(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005286
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20230111BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H04M9/00 H
G08B25/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107078
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 健吾
【テーマコード(参考)】
5C087
5K038
【Fターム(参考)】
5C087AA19
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD03
5C087DD06
5C087DD26
5C087EE06
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF24
5C087GG02
5C087GG17
5K038AA05
5K038CC12
5K038DD16
5K038DD21
5K038FF01
(57)【要約】
【課題】本開示は、セキュリティを向上させることを目的とする。
【解決手段】制御システム10は、取得部131と、音声制御部134と、を備える。取得部131は、所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する。所定の領域は、施設の出入り口より外側の領域である。音声制御部134は、音声に応じて対象機器を制御する音声制御機能を有する。音声制御機能は、所定の領域において来訪者から発せられる音声に応じて対象機器を制御する特定制御機能を含む。音声制御部134は、認証結果に基づいて、特定制御機能の有効と無効とを切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の出入り口より外側の所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する取得部と、
音声に応じて対象機器を制御する音声制御機能を有する音声制御部と、を備え、
前記音声制御機能は、前記所定の領域において前記来訪者から発せられる音声に応じて前記対象機器を制御する特定制御機能を含み、
前記音声制御部は、前記認証結果に基づいて、前記特定制御機能の有効と無効とを切り替える、
制御システム。
【請求項2】
前記特定制御機能が無効な状態において、前記取得部で前記認証結果が取得され、前記認証結果が肯定的な結果であった場合、前記音声制御部は、前記特定制御機能を有効な状態に切り替える、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記音声制御部は、前記特定制御機能を無効な状態から有効な状態に切り替えてから、所定条件が満たされると、前記特定制御機能を無効な状態に切り替え、
前記所定条件は、前記音声制御部が前記特定制御機能を無効な状態から有効な状態に切り替えてから、所定時間が経過したという条件と、前記来訪者から発せられる音声に応じて前記音声制御部が前記対象機器に所定の制御を実行したという条件と、のうち少なくとも一方を含む、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記認証情報は、前記来訪者の音声情報を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記認証情報は、前記来訪者の少なくとも一部の部位の画像情報を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記認証情報は、前記来訪者の顔の画像情報を含む、
請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記認証結果は、前記来訪者を特定する処理の結果を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記対象機器は、前記施設に設置された機器を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記特定制御機能は、前記対象機器と、前記施設に設置された通信機器との間の、通話のための通信を確立する機能を含む、
請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記特定制御機能は、前記対象機器の動作モードを制御する機能を含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項11】
前記対象機器は、前記認証情報に基づいて前記来訪者の認証を行い、前記認証結果を前記取得部へ出力する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項12】
前記所定の領域に設置され前記来訪者から前記認証情報を取得する第1通信機器と、
前記第1通信機器と通信し、前記認証情報又は前記認証結果を取得する第2通信機器と、を備える、
請求項1~11のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項13】
前記特定制御機能の有効な状態と無効な状態とを区別して提示する提示部を更に備える、
請求項1~12のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項14】
施設の出入り口より外側の所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する取得処理と、
音声に応じて対象機器を制御する音声制御機能を有する音声制御処理と、を有し、
前記音声制御機能は、前記所定の領域において前記来訪者から発せられる音声に応じて前記対象機器を制御する特定制御機能を含み、
前記音声制御処理は、前記認証結果に基づいて、前記特定制御機能の有効と無効とを切り替える、
制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に制御システム、制御方法及びプログラムに関し、より詳細には、音声に応じて対象機器を制御する制御システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインターホンシステムは、入力手段と、認証手段と、記憶手段と、決定手段と、出力手段と、を備える。入力手段は、玄関機に設けられ、入力情報を取得する。認証手段は、入力手段で取得された入力情報から、個人ごとに与えられる個人識別情報を特定する。決定手段は、認証手段で特定された個人識別情報に対応付けられた出力内容を決定する。出力手段は、宅内インターホンに設けられ、決定手段で決定された出力内容を音声に変換して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、セキュリティを向上させることができる制御システム、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る制御システムは、取得部と、音声制御部と、を備える。前記取得部は、所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する。前記所定の領域は、施設の出入り口より外側の領域である。前記音声制御部は、音声に応じて対象機器を制御する音声制御機能を有する。前記音声制御機能は、前記所定の領域において前記来訪者から発せられる音声に応じて前記対象機器を制御する特定制御機能を含む。前記音声制御部は、前記認証結果に基づいて、前記特定制御機能の有効と無効とを切り替える。
【0006】
本開示の一態様に係る制御方法は、取得処理と、音声制御処理と、を有する。前記取得処理は、所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する処理である。前記所定の領域は、施設の出入り口より外側の領域である。前記音声制御処理は、音声に応じて対象機器を制御する音声制御機能を有する処理である。前記音声制御機能は、前記所定の領域において前記来訪者から発せられる音声に応じて前記対象機器を制御する特定制御機能を含む。前記音声制御処理では、前記認証結果に基づいて、前記特定制御機能の有効と無効とを切り替える。
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、セキュリティを向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る制御システムを含むインターホンシステムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の制御システムの使用状態を示す図である。
【
図3】
図3は、同上の制御システムによる制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る制御システム、制御方法及びプログラムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(概要)
図1に示す、本実施形態の制御システム10は、施設に設置されて使用される。施設は、住宅施設であってもよいし、非住宅施設であってもよい。住宅施設の一例は、戸建住宅及び集合住宅である。非住宅施設の一例は、店舗、オフィスビル、学校、福祉施設、複合商業施設、病院及び工場等である。施設は、球場、駐車場、グランド及び公園等の屋外施設であってもよい。
【0012】
制御システム10が集合住宅に設置される場合には、集合住宅の複数の住戸の各々を「施設」とみなしてもよいし、集合住宅全体を「施設」とみなしてもよい。また、制御システム10が例えば、複数の事業者が入居可能な複数の区画を含むオフィスビルに設置される場合には、貸出し又は売買されている複数の区画の各々を「施設」とみなしてもよいし、オフィスビル全体を「施設」とみなしてもよい。本実施形態では、制御システム10が集合住宅に設置される場合を想定し、集合住宅の複数の住戸の各々を「施設」とみなして説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の制御システム10は、取得部131と、音声制御部134と、を備える。取得部131は、所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する。所定の領域は、施設の出入り口より外側の領域である。音声制御部134は、音声に応じて対象機器を制御する音声制御機能を有する。音声制御機能は、所定の領域において来訪者から発せられる音声に応じて対象機器を制御する特定制御機能を含む。音声制御部134は、認証結果に基づいて、特定制御機能の有効と無効とを切り替える。
【0014】
本実施形態によれば、音声制御部134は、来訪者に対する認証結果に基づいて、特定制御機能の有効と無効とを切り替える。そのため、特定制御機能が常に有効である場合と比較して、悪意を有する者により特定制御機能が使用される可能性を低減できる。よって、セキュリティを向上させることができる。また、特定制御機能を使用する意図を有さない者の音声又はその他の音が認識されて特定制御機能が実行される可能性を低減できる。つまり、特定制御機能による対象機器の誤動作を抑制できる。
【0015】
本開示で言う「来訪者」は、施設(住戸)を訪れる人一般を指す。「来訪者」は、施設(住戸)を訪れる客人に限定されず、施設(住戸)の住人を含む概念である。つまり、施設(住戸)の住人も、特定制御機能を利用することが可能である。
【0016】
制御システム10は、例えば、次のような用途で使用される。住戸の住人等は、玄関ドアD1(
図2参照)の付近に設置されたドアホン2(
図2参照)に対して音声入力を行うことで、ドアホン2に、住戸の室内にいる他の住人との通話のための通信を確立させる。また、住戸の住人等は、ドアホン2に対して音声入力を行うことで、玄関ドアD1を解錠又は施錠する。また、住戸の住人等は、ドアホン2に対して音声入力を行うことで、住戸に設置されたインターホン親機(住戸端末1)等を制御する。
【0017】
また、制御システム10と同様の機能は、制御方法又はプログラムにて具現化可能である。一態様に係る制御方法は、取得処理と、音声制御処理と、を有する。取得処理は、所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する処理である。所定の領域は、施設の出入り口より外側の領域である。音声制御処理は、音声に応じて対象機器を制御する音声制御機能を有する処理である。音声制御機能は、所定の領域において来訪者から発せられる音声に応じて対象機器を制御する特定制御機能を含む。音声制御処理では、認証結果に基づいて、特定制御機能の有効と無効とを切り替える。
【0018】
一態様に係るプログラムは、上記の制御方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。プログラムは、コンピュータで読み取り可能な非一時的記録媒体に記録されていてもよい。
【0019】
(詳細)
(1)全体構成
図1に示すように、制御システム10は、インターホンシステム100に適用される。インターホンシステム100は、複数の制御システム10と、管理端末3と、ロビーインターホン4と、複数の分岐器5と、主幹線L1と、複数の分岐線L2と、複数の負荷6と、を備える。また、インターホンシステム100は、サーバ7と通信する。
【0020】
本実施形態では、複数の制御システム10の各々は、住戸端末1と、ドアホン2(ドアホン子機)と、を含む。住戸端末1は、インターホン親機としての機能に加えて警報機能等を備えた、住宅情報盤である。警報機能は、例えば、火災警報機能、ガス漏れ警報機能、水漏れ警報機能、並びに、窓及び扉の開放状態を警報する機能等である。
【0021】
インターホンシステム100は、集合住宅に設置される。集合住宅の複数の住戸の各々には、住戸端末1と、ドアホン2と、が設置される。より詳細には、複数の住戸端末1は、複数の住戸と一対一で対応する。各住戸端末1は、対応する住戸の室内(専有部)に設置される。複数のドアホン2は、複数の住戸端末1と一対一で対応する。各ドアホン2は、対応する住戸端末1が設置された住戸の玄関前(共用部)に設置される(
図2参照)。
【0022】
管理端末3は集合住宅の管理人室に設置される。ロビーインターホン4は集合住宅の共用玄関に設置される。
【0023】
なお、インターホンシステム100が戸建て住宅に設置される場合は、住戸端末1及びドアホン2の個数をそれぞれ1つとし、管理端末3及びロビーインターホン4を省略すればよい。
【0024】
住戸端末1は、通信IF(インターフェース)11と、操作部12と、処理装置13と、マイクロフォン14と、スピーカ15と、表示部16と、を備える。
【0025】
ドアホン2は、通信IF(インターフェース)21と、操作部22と、処理装置23と、マイクロフォン24と、スピーカ25と、提示部27と、カメラ28と、を備える。
【0026】
管理端末3は、通信IF(インターフェース)31と、処理装置33と、を備える。
【0027】
ロビーインターホン4は、通信IF(インターフェース)41と、操作部42と、処理装置43と、マイクロフォン44と、スピーカ45と、表示部46と、カメラ48と、を備える。
【0028】
(2)基本動作
集合住宅への来訪者は、まず、ロビーインターホン4を操作することで、訪問先の住戸の住戸番号を指定する。すると、ロビーインターホン4は、指定された住戸番号の情報を含む信号を管理端末3へ送信する。管理端末3は、当該住戸番号を有する住戸の住戸端末1へ、第1呼出信号を送信する。第1呼出信号は、住戸端末1の識別情報を含む。住戸端末1は、第1呼出信号に含まれる識別情報が自身の識別情報と一致していると判定すると、第1呼出信号が自身に宛てられた信号であると認証する。住戸端末1が第1呼出信号を受信すると、住戸端末1は、例えば音により住人を呼び出す。住人が住戸端末1に所定の操作を行うと、住戸端末1は、ロビーインターホン4との間で、通話のための通信を確立させる。これにより、来訪者と住人とが通話することができる。
【0029】
また、来訪者(
図2の人H1)は、住戸の玄関前に来てから、玄関ドアD1に隣接して設置されたドアホン2を操作することで、住人を呼び出す。具体的には、ドアホン2は、所定の操作を受けると、対応する住戸端末1へ第2呼出信号を送信する。住戸端末1は、第2呼出信号を受信すると、例えば音により住人を呼び出す。住人が住戸端末1に所定の操作を行うと、住戸端末1は、ドアホン2との間で、通話のための通信を確立させる。これにより、来訪者と住人とが通話することができる。
【0030】
また、来訪者が特定制御機能を利用する権限を有する場合は、来訪者は、ドアホン2に対して音声入力を行うことによっても、ドアホン2と住戸端末1との間で、通話のための通信を確立させることが可能である。
【0031】
なお、住戸端末1とドアホン2との間の、通話のための通信の通信モードは、双方向通話モードであってもよいし、片方向通話モードであってもよい。双方向通話モードは、来訪者と住人とが相互に音声を伝えることが可能な通話モードである。片方向通話モードは、来訪者と住人とのうち一方のみが、他方に音声を伝えることが可能な通話モードである。また、双方向通話モードと片方向通話モードとが切替え可能であってもよい。例えば、特定制御機能が有効な状態において、音声入力に応じて双方向通話モードと片方向通話モードとが切替え可能であってもよい。
【0032】
(3)通信IF
住戸端末1、ドアホン2、管理端末3及びロビーインターホン4はそれぞれ、通信IF11、21、31、41を備える。
【0033】
住戸端末1とドアホン2とは、通信IF11、21を介して相互に通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。本実施形態では、住戸端末1とドアホン2とは、有線の通信路を介して信号を授受する。
【0034】
住戸端末1と管理端末3とは、通信IF11、31を介して相互に通信可能である。本実施形態では、住戸端末1と管理端末3とは、有線の通信路を介して信号を授受する。
【0035】
管理端末3とロビーインターホン4とは、通信IF31、41を介して相互に通信可能である。本実施形態では、管理端末3とロビーインターホン4とは、有線の通信路を介して信号を授受する。
【0036】
ロビーインターホン4と住戸端末1とは、管理端末3を介して相互に通信可能である。つまり、管理端末3は、ロビーインターホン4と住戸端末1との間の通信を中継する。
【0037】
主幹線L1及び複数の分岐線L2の各々は、例えば、ツイストペアケーブルからなる。
図1では、主幹線L1及び複数の分岐線L2の各々を1本の線で示している。
【0038】
管理端末3からは、主幹線L1が延びている。主幹線L1は、複数の分岐線L2に分岐している。複数の分岐線L2の各々は、対応する住戸端末1まで延びている。つまり、管理端末3と複数の住戸端末1とは、主幹線L1及び複数の分岐線L2を介して電気的に接続されている。主幹線L1と各分岐線L2との分岐点には、分岐器5が設けられている。
【0039】
好ましくは、主幹線L1上において複数の分岐器5と管理端末3との間には、信号を増幅する増幅器が設置される。
【0040】
(4)操作部
住戸端末1、ドアホン2及びロビーインターホン4はそれぞれ、操作部12、22、42を備える。操作部12、22、42は、ユーザの操作を受け付ける。操作部12、22、42に操作がされると、処理装置13、23、43が操作に応じた応答をする。そのため、例えば、操作部12、22、42に対する操作に応じて、住戸端末1、ドアホン2及びロビーインターホン4のそれぞれの間の通信を確立又は切断することができる。また、操作部12、22、42を操作することで、例えば、インターホンシステム100の各種設定が可能である。
【0041】
操作部12、22、42は、例えば、1以上の釦、タッチパネル(若しくはタッチパネルディスプレイ)、又は、これらの組み合わせを含む。1以上の釦は、例えば、0~9のテンキー、アスタリスク(*)釦、取消し釦、及び呼出し釦等を有している。来訪者が、ある住戸番号の住戸の住人を呼び出したい場合、ロビーインターホン4の操作部42のテンキーを押して、当該住戸番号を入力する。最後に、来訪者が呼出し釦を押すことで、住戸番号の入力が確定されて、その住戸番号の住戸の住戸端末1に対して呼出しが実行される。
【0042】
(5)処理装置
住戸端末1、ドアホン2、管理端末3及びロビーインターホン4はそれぞれ、処理装置13、23、33、43を備える。処理装置13、23、33、43はそれぞれ、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、住戸端末1、ドアホン2、管理端末3及びロビーインターホン4の各々の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0043】
処理装置13は、住戸端末1の全体的な制御を行う。処理装置13の詳細については後述する。
【0044】
処理装置23は、ドアホン2の全体的な制御を行う。処理装置33は、管理端末3の全体的な制御を行う。処理装置43は、ロビーインターホン4の全体的な制御を行う。
【0045】
(6)マイクロフォン
住戸端末1、ドアホン2及びロビーインターホン4はそれぞれ、マイクロフォン14、24、44を備える。マイクロフォン14、24、44は、周辺の音を電気信号に変換する。
【0046】
(7)スピーカ
住戸端末1、ドアホン2及びロビーインターホン4はそれぞれ、スピーカ15、25、45を備える。スピーカ15、25、45は、音データを音(空気の振動)に変換して出力する。
【0047】
(8)表示部
住戸端末1及びロビーインターホン4はそれぞれ、表示部16、46を備える。表示部16、46は、画像を表示するディスプレイである。表示部16は、例えば、ロビーインターホン4のカメラ48で撮像された画像を表示する。また、表示部16、46は、例えば、インターホンシステム100の各種設定情報を表示する。
【0048】
(9)提示部
ドアホン2は、提示部27を備える。提示部27は、特定制御機能の有効な状態と無効な状態とを区別して提示する。提示部27は、例えば、パイロットランプを含む。提示部27は、特定制御機能が有効な場合と、無効な場合とで、パイロットランプの点灯状態を切り替えることで、特定制御機能の有効な状態と無効な状態とを区別して提示(表示)する。
【0049】
(10)カメラ
ドアホン2及びロビーインターホン4はそれぞれ、カメラ28、48を備える。カメラ28、48は、可視光カメラである。カメラ28、48は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の二次元イメージセンサを有する。カメラ28は、住戸の玄関前にいる来訪者を撮像する。カメラ48は、集合住宅の共用玄関にいる来訪者を撮像する。
【0050】
なお、カメラ28は、ドアホン2における他の構成とは独立して設けられていてもよい。つまり、インターホンシステム100は、カメラ28を含まないドアホン2と、カメラ28と、を備えていてもよい。
【0051】
また、カメラ48は、ロビーインターホン4における他の構成とは独立して設けられていてもよい。つまり、インターホンシステム100は、カメラ48を含まないロビーインターホン4と、ロビーインターホン4と、を備えていてもよい。
【0052】
(11)負荷
複数の住戸の各々には、1以上の負荷6が設置される。
図1では、1つの住戸に設置された4つの負荷6を図示している。4つの負荷6は、それぞれ、照明器具61、空調機器62、電気錠63及び電動シャッター64である。ただし、負荷6の種類はこれらに限定されない。
【0053】
ある住戸に着目した場合に、この住戸に設置された住戸端末1及び1以上の負荷6は互いに対応する。各負荷6は、対応する住戸端末1に電気的に接続されている。各負荷6は、対応する住戸端末1の音声制御機能により制御される。
【0054】
(12)サーバ
サーバ7は、制御システム10及びインターホンシステム100が設置された施設から離れた場所に設置される。サーバ7は、ネットワークNT1を介して制御システム10と通信する。
【0055】
(13)住戸端末の処理装置
図1に示すように、住戸端末1の処理装置13は、取得部131と、登録部132と、認証部133と、音声制御部134と、を有する。なお、これらは、処理装置13によって実現される機能を示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0056】
(13-1)取得部
取得部131は、施設(住戸)の出入り口より外側の所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する。本実施形態では、出入り口には玄関ドアD1(
図2参照)が設けられており、所定の領域は、玄関ドアD1に隣接して設置されたドアホン2の正面の領域である。
【0057】
また、本実施形態では、住戸端末1は、来訪者の認証情報を取得する。取得部131は、認証部133により生成された、認証情報に基づく認証結果を取得する。
【0058】
(13-2)登録部
登録部132は、特定制御機能の利用を許可されるユーザの登録情報を登録する処理を行う。登録情報は、来訪者の認証のために、来訪者の認証情報と比較される対象である。ユーザが操作部12を操作することで、登録部132により登録情報を登録する処理が行われる。登録部132で登録された登録情報は、住戸端末1のメモリに記憶される。
【0059】
例えば、ユーザの音声情報を登録情報として登録する場合、ユーザが操作部12を操作すると、マイクロフォン14で収音された音が電気信号に変換されることで音声情報が生成され、登録部132は、音声情報を登録情報として登録する。
【0060】
また、登録部132は、後述する通常制御機能の利用を許可されるユーザの登録情報を登録する処理を行う。
【0061】
(13-3)認証部
認証部133は、住戸端末1で取得された認証情報に基づいて、来訪者の認証を行う。具体的には、登録部132により登録された1以上の登録情報のうちいずれかと、住戸端末1で新たに取得された認証情報との一致率が閾値以上であると、認証部133は、来訪者が事前に登録されたユーザであると判定する。つまり、この場合、認証部133は、来訪者に特定制御機能の利用を許可する。一方で、上記一致率が閾値未満であると、認証部133は、来訪者が事前に登録されたユーザではない判定する。つまり、この場合、認証部133は、来訪者に特定制御機能の利用を許可しない。
【0062】
一例として、認証情報は、来訪者の音声情報を含む。この場合、住戸端末1は、ドアホン2のマイクロフォン24で来訪者から取得された音声情報を、通信IF11を介して取得し、認証情報とする。認証部133は、来訪者から取得された音声情報に対して、声紋認証を行う。つまり、事前に、登録部132によりユーザの音声の特徴量が登録され、認証部133は、登録された1以上の音声のうちいずれかの特徴量と、住戸端末1で新たに取得された音声情報の特徴量との一致率が閾値以上であると、認証部133は、来訪者が事前に登録されたユーザであると判定する。
【0063】
また、別の一例として、認証情報は、来訪者の少なくとも一部の部位の画像情報を含む。来訪者の少なくとも一部の部位とは、例えば、来訪者の顔である。つまり、一例として、認証情報は、来訪者の顔の画像情報を含む。この場合、住戸端末1は、ドアホン2のカメラ28で来訪者の顔を撮像することで取得された画像情報を、通信IF11を介して取得し、認証情報とする。認証部133は、来訪者から取得された画像情報に対して、画像認証を行う。つまり、事前に、登録部132によりユーザの画像の特徴量が登録され、認証部133は、登録された1以上の画像のうちいずれかの特徴量と、住戸端末1で新たに取得された画像情報の特徴量との一致率が閾値以上であると、認証部133は、来訪者が事前に登録されたユーザであると判定する。
【0064】
このように、住戸端末1(通信IF11)は、所定の領域に設置され来訪者から認証情報を取得する通信機器(ドアホン2)と通信し、認証情報を取得する。対象機器としての住戸端末1は、住戸端末1で取得された認証情報に基づいて来訪者の認証を行う。より詳細には、住戸端末1の認証部133が来訪者の認証を行う。認証部133は、認証結果を取得部131へ出力する。
【0065】
以下では、認証部133が声紋認証により来訪者を認証する場合を想定して説明する。
【0066】
(13-4)音声制御部
音声制御部134は、音声制御機能を有する。音声制御機能は、音声に応じて対象機器を制御する機能である。音声制御機能は、通常制御機能と、特定制御機能と、を含む。
【0067】
(13-4-1)通常制御機能
通常制御機能は、住戸端末1の周囲の領域において人から発せられる音声に応じて対象機器を制御する機能である。つまり、通常制御機能は、住戸の屋内で音声入力により対象機器を制御する機能である。通常制御機能は、例えば、住戸の住人により利用される。住人は、住戸端末1に向かって、通常制御機能を起動するための所定のコマンドを発声する。住人から発せられた音声は、住戸端末1のマイクロフォン14により収音され、音声情報に変換される。音声情報は、電気信号である。
【0068】
登録部132は、通常制御機能の利用を許可されるユーザの登録情報(音声)を登録する処理を行う。登録情報は、ユーザの認証のために、ユーザの認証情報と比較される対象である。登録部132で登録された登録情報は、住戸端末1のメモリに記憶される。通常制御機能の利用を許可される1以上のユーザは、特定制御機能の利用を許可される1以上のユーザと一致していてもよいし、一致していなくてもよい。一例として、通常制御機能の利用を許可される1以上のユーザは、住戸の住人と、その知人と、を含んでいてもよく、特定制御機能の利用を許可される1以上のユーザは、住戸の住人のみを含んでいてもよい。
【0069】
認証部133は、音声情報に対して声紋認証を行う。認証部133は、所定のコマンドを発声した者が事前に登録されたユーザであるか否かを判定する。所定のコマンドを発声した者が事前に登録されたユーザであると判定されると、音声制御部134は、通常制御機能を有効にする。
【0070】
通常制御機能が有効な状態で、住戸端末1のマイクロフォン14に対象機器を制御するためのコマンドが音声にて入力されると、音声制御部134は、コマンドに対応する制御を対象機器に対して実行する。
【0071】
音声制御部134は、通常制御機能を無効な状態から有効な状態に切り替えてから、所定条件が満たされると、通常制御機能を無効な状態に切り替える。所定条件は、例えば、音声制御部134が通常制御機能を無効な状態から有効な状態に切り替えてから、所定時間が経過したという条件(第1条件)と、ユーザから発せられる音声に応じて音声制御部134が対象機器に所定の制御を実行したという条件(第2条件)と、のうち少なくとも一方を含む。第2条件は、例えば、音声制御部134がいずれか1つ以上の対象機器に、いずれか1つ以上の制御を実行したという条件である。
【0072】
なお、通常制御機能に関しては、認証を省略してもよい。つまり、住戸内にいる者であれば誰でも、通常制御機能を利用可能であってもよい。
【0073】
(13-4-2)特定制御機能
次に、特定制御機能について説明する。
【0074】
特定制御機能は、ドアホン2の周囲の領域において人から発せられる音声に応じて対象機器を制御する機能である。特定制御機能は、住戸への来訪者により利用される。来訪者は、ドアホン2に向かって、特定制御機能を起動するための所定のコマンドを発声する。来訪者から発せられた音声は、ドアホン2のマイクロフォン24により収音され、音声情報に変換される。音声情報は、電気信号である。
【0075】
認証部133は、音声情報に対して声紋認証を行う。認証部133は、所定のコマンドを発声した者が事前に登録されたユーザであるか否かを判定する。所定のコマンドを発声した者が事前に登録されたユーザであると判定されると、音声制御部134は、特定制御機能を有効にする。つまり、特定制御機能が無効な状態において、取得部131で認証結果が取得され、認証結果が肯定的な結果であった場合、音声制御部134は、特定制御機能を有効な状態に切り替える。
【0076】
特定制御機能が有効な状態で、ドアホン2のマイクロフォン24に対象機器を制御するためのコマンドが音声にて入力されると、音声制御部134は、コマンドに対応する制御を対象機器に対して実行する。
【0077】
音声制御部134は、特定制御機能を無効な状態から有効な状態に切り替えてから、所定条件が満たされると、特定制御機能を無効な状態に切り替える。所定条件は、音声制御部134が特定制御機能を無効な状態から有効な状態に切り替えてから、所定時間が経過したという条件(第3条件)と、来訪者から発せられる音声に応じて音声制御部134が対象機器に所定の制御を実行したという条件(第4条件)と、のうち少なくとも一方を含む。第4条件は、例えば、音声制御部134がいずれか1つ以上の対象機器に、いずれか1つ以上の制御を実行したという条件である。
【0078】
特定制御機能の有効及び無効の設定は、通常制御機能の有効及び無効の設定とは独立している。例えば、特定制御機能の有効と無効とが切り替えられても、通常制御機能の有効及び無効の設定は維持される。
【0079】
(13-4-3)対象機器の制御
音声制御機能(通常制御機能又は特定制御機能)が有効な状態で、ユーザは、対象機器を制御するためのコマンドを音声にて入力することができる。音声制御部134は、コマンドに対応する制御を対象機器に対して実行する。
【0080】
対象機器は、施設(住戸)に設置された機器を含む。具体的には、対象機器は、例えば、複数の負荷6のうち少なくとも1つを含む。また、対象機器は、例えば、住戸端末1及びドアホン2を含む。特定制御機能において制御される対象機器が、住戸端末1を含む場合、来訪者は、ドアホン2に向かって音声入力することで、住戸端末1を遠隔操作することができる。
【0081】
以下に、音声入力による対象機器の制御の例を列挙する。ただし、対象機器に対する複数の制御のうち、一部の制御は、通常制御機能によってのみ実現可能であってもよい。また、対象機器に対する複数の制御のうち、別の一部の制御は、特定制御機能によってのみ実現可能であってもよい。
【0082】
例えば、ユーザが「照明を点けて」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、照明器具61を点灯させる。また、ユーザが「照明を消して」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、照明器具61を消灯させる。また、ユーザが「部屋を明るくして」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、照明器具61の輝度を上げる。また、ユーザが「部屋を暗くして」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、照明器具61の輝度を下げる。
【0083】
例えば、ユーザが「室温を上げて」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、空調機器62の設定温度を上げる。また、ユーザが「室温を下げて」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、空調機器62の設定温度を下げる。
【0084】
例えば、ユーザが「鍵を開けて」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、玄関ドアD1に設けられた電気錠63に指令信号を送信し、電気錠63は、指令信号に従って玄関ドアD1を解錠する。また、ユーザが「鍵をかけて」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、玄関ドアD1に設けられた電気錠63に指令信号を送信し、電気錠63は、指令信号に従って玄関ドアD1を施錠する。
【0085】
例えば、特定制御機能において、来訪者が「ただいま」というコマンドをドアホン2に音声入力すると、音声制御部134は、住戸端末1のスピーカ15に呼出し音を出力させる。さらに、音声制御部134は、住戸端末1とドアホン2との間の通話のための通信を確立させる。住人は、来訪者と通話し、必要に応じて、玄関ドアD1を音声入力により解錠したり、手動で解錠したりすることができる。このように、特定制御機能は、対象機器(ドアホン2)と、施設(住戸)に設置された通信機器(住戸端末1)との間の、通話のための通信を確立する機能を含んでいてもよい。なお、住戸端末1のスピーカ15に呼出し音が出力された後、住戸端末1の操作部12に所定の操作がされることで、住戸端末1とドアホン2との間の通話のための通信が確立されてもよい。あるいは、住戸端末1のスピーカ15に呼出し音が出力された後、住戸端末1のマイクロフォン14に所定のコマンドが音声入力されることで、住戸端末1とドアホン2との間の通話のための通信が確立されてもよい。操作部12への操作を省略する場合、住人が他の作業により手を使えない場合でも、通話を開始することができるという利点がある。
【0086】
例えば、電動シャッター64は、シャッター本体と、シャッター本体を上げ下げする駆動装置と、を含む。ユーザが「シャッターを上げて」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、駆動装置に指令信号を送信し、駆動装置は、指令信号に従ってシャッター本体を巻き上げる。また、ユーザが「シャッターを下ろして」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、駆動装置に指令信号を送信し、駆動装置は、指令信号に従ってシャッター本体を下ろす。
【0087】
例えば、ユーザが「今日の天気を教えて」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、通信IF11を介してサーバ7と通信し、サーバ7から天気情報を取得する。さらに、音声制御部134は、天気情報を住戸端末1の表示部16に表示する。
【0088】
例えば、住戸端末1は、住戸に設置されたスマートメーターから、住戸の電力使用量のデータを取得する。ユーザが「電力使用量を教えて」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、住戸の電力使用量のデータを住戸端末1の表示部16に表示する。
【0089】
ドアホン2の動作モードは、留守モードと、在宅モードと、を含む。例えば、ユーザが「留守モードにして」というコマンドを音声入力すると、音声制御部134は、ドアホン2の動作モードを留守モードに切り替える。すなわち、特定制御機能は、対象機器の動作モードを制御する機能を含む。ドアホン2の動作モードが留守モードのとき、来訪者がドアホン2の操作部22に、住人を呼び出すための操作がされると、ドアホン2は、マイクロフォン24で収音された音を録音し、カメラ28で撮像された画像を録画する。ドアホン2の動作モードが在宅モードのとき、来訪者がドアホン2の操作部22に、住人を呼び出すための操作がされると、住戸端末1は、例えば音により住人を呼び出す。その後、住人が住戸端末1に所定の操作を行うと、住戸端末1は、ドアホン2との間で、通話のための通信を確立させる。これにより、来訪者と住人とが通話することができる。
【0090】
なお、通常制御機能又は特定制御機能が有効な状態で、入力された音声が予め定められたいずれのコマンドとも異なる場合、エラー通知がなされてもよい。エラー通知は、例えば、提示部27を構成するパイロットランプの点灯状態を変化させることによりなされてもよい。あるいは、エラー通知は、表示部16における画面表示によりなされてもよい。あるいは、エラー通知は、スピーカ15又は25における音声出力によりなされてもよい。
【0091】
(14)制御フロー
次に、
図3を参照して、特定制御機能による対象機器の制御方法の一連のフローについて説明する。なお、
図3に示すフローチャートは、本開示に係る制御方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0092】
まず、初期状態では、特定制御機能は無効な状態である(ステップST1)。来訪者がドアホン2に向かって所定のコマンドを発声することにより、来訪者の認証情報(音声情報)が入力されると(ステップST2:Yes)、認証部133が認証処理を行う(ステップST3)。
【0093】
認証処理の結果、来訪者が事前に登録されたユーザであると認証部133で判定されると(ステップST4:Yes)、音声制御部134は、特定制御機能を有効にする(ステップST5)。特定制御機能が有効な状態で、ドアホン2のマイクロフォン24に対象機器を制御するためのコマンドが音声にて入力されると(ステップST6:Yes)、音声制御部134は、コマンドに対応する制御を対象機器に対して実行する(ステップST8)。その後、音声制御部134は、特定制御機能を無効な状態にする(ステップST1)。
【0094】
また、特定制御機能が有効になってから、コマンドが入力されないまま、所定時間が経過すると(ステップST7:Yes)、音声制御部134は、特定制御機能を無効な状態にする(ステップST1)。
【0095】
(15)利点
本実施形態によれば、音声制御部134は、来訪者に対する認証結果に基づいて、特定制御機能の有効と無効とを切り替える。そのため、特定制御機能が常に有効である場合と比較して、悪意を有する者により特定制御機能が使用される可能性を低減できる。よって、セキュリティを向上させることができる。また、特定制御機能を使用する意図を有さない者の音声又はその他の音が認識されて特定制御機能が実行される可能性を低減できる。つまり、特定制御機能による対象機器の誤動作を抑制できる。
【0096】
また、来訪者は、施設に備え付けられた機器(ドアホン2)に対して非接触で、認証情報を提供することができる。例えば、来訪者の認証情報は、音声情報、画像情報又はこれらの組み合わせからなる。来訪者がドアホン2の操作部22等に接触する必要がないため、ドアホン2に手が届かない子供等であっても、音声による対象機器の制御を行うことができる。また、多数の人が接触する操作部22等に接触することによる感染症の感染リスクを、低減させることができる。
【0097】
また、認証部133は、通常制御機能において音声を発した者を認証する機能と、特定制御機能において音声を発した者を認証する機能と、を有する。そのため、通常制御機能における認証を行う認証部と、特定制御機能における認証を行う認証部と、を個別に設ける場合と比較して、インターホンシステム100の初期コストの低減を図ることができる。
【0098】
(変形例1)
以下、変形例1に係る制御システム10について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0099】
実施形態では、住戸端末1が認証部133としての機能を備え、住戸端末1は、ドアホン2から認証情報を取得し、認証部133にて認証情報に基づく認証結果が生成される。
【0100】
しかしながら、認証部133としての機能が、住戸端末1に備えられていることは、必須ではない。認証部133としての機能が、例えば、ドアホン2に備えられていてもよい。この場合、ドアホン2にて認証情報に基づく認証結果が生成され、取得部131は、ドアホン2から認証結果を取得すればよい。住戸端末1の音声制御部134は、認証結果に基づいて特定制御機能の有効と無効とを切り替えればよい。
【0101】
つまり、制御システム10は、第1通信機器(ドアホン2)及び第2通信機器(住戸端末1)を備え、第1通信機器は、所定の領域に設置され来訪者から認証情報を取得し、第2通信機器は、第1通信機器と通信し、認証情報又は認証結果を取得してもよい。
【0102】
あるいは、認証部133としての機能が、サーバ7に備えられていてもよい。つまり、ドアホン2のマイクロフォン24又はカメラ28等を用いて取得された来訪者の認証情報が、サーバ7へ送信され、サーバ7が認証情報に基づく認証結果を生成し、認証結果を住戸端末1へ送信してもよい。住戸端末1の音声制御部134は、認証結果に基づいて特定制御機能の有効と無効とを切り替えればよい。
【0103】
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の変形例1と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0104】
制御システム10は、少なくとも取得部131及び音声制御部134としての機能を備えていればよい。そのため、例えば、住戸端末1が単体で制御システム10を構成してもよい。
【0105】
実施形態では、提示部27は、パイロットランプの点灯状態を変化させることで、特定制御機能の有効な状態と無効な状態とを視覚的に表示する。これに対して、提示部27は、音(音声を含む)により特定制御機能の有効な状態と無効な状態とを区別して提示してもよい。この場合、スピーカ15又は25を提示部27として用いてもよい。例えば、認証部133が来訪者の認証を試みる度に、提示部27は、音(音声を含む)により特定制御機能の有効な状態と無効な状態とを区別して提示してもよい。
【0106】
認証情報に基づく認証結果は、来訪者を特定する処理の結果を含んでいてもよい。つまり、音声制御部134は、来訪者を特定する処理の結果に基づいて、特定制御機能の有効と無効とを切り替えてもよい。例えば、ある来訪者に対しては、音声入力による対象機器に対する複数の制御のうち、一部の制御のみを許可し、別の来訪者に対しては、音声入力による対象機器に対する複数の制御のうち全ての制御を許可してもよい。また、来訪者を特定する処理の結果が、来訪者の特定に失敗したという結果である場合は、特定制御機能を無効にすればよい。また、音声制御部134は、来訪者の氏名又は属性等の情報を提示してもよい。例えば、音声制御部134は、来訪者の氏名又は属性等の情報をスピーカ15に出力させてもよい。
【0107】
来訪者の認証に用いられる認証情報は、実施形態で挙げた情報に限定されない。認証情報は、例えば、来訪者の虹彩の画像情報、来訪者の指紋の画像情報、来訪者により入力されるパスワード、又は、来訪者の筆跡情報等であってもよい。
【0108】
また、認証情報は、来訪者から直接取得される情報に限定されず、来訪者の所持品から取得される情報であってもよい。例えば、来訪者が所持するICタグ又はカードキー等から読み取られた読取情報が、認証情報として用いられてもよい。読取情報は、来訪者に対応付けられた識別情報を含む。識別情報が、登録部132で事前に登録された1以上の識別情報のうちいずれかと一致する場合、認証部133は、来訪者が事前に登録されたユーザであると判定する。
【0109】
また、複数種類の認証情報のセットが、来訪者の認証に用いられてもよい。例えば、第1認証情報(音声情報等)と第2認証情報(パスワード等)との両方において認証に成功した場合に、音声制御部134は、特定制御機能を無効な状態から有効な状態に切り替えてもよい。一方で、第1認証情報と第2認証情報との少なくとも一方において認証に失敗した場合に、音声制御部134は、特定制御機能を無効な状態にしてもよい。
【0110】
登録部132で登録される登録情報は、制御システム10でカメラ28等を用いて生成される情報に限定されず、制御システム10の外部から取得される情報であってもよい。
【0111】
特定制御機能を起動するための特定のコマンドが、対象機器を制御するためのコマンドを兼ねていてもよい。例えば、特定制御機能が無効の状態で、来訪者が「ただいま」というコマンドをドアホン2に音声入力すると、このコマンドに基づいて声紋認証により認証部133が来訪者を認証する。来訪者が事前に登録されたユーザであると認証部133で判定されると、音声制御部134は、上記コマンドに対応する制御を対象機器に対して実行する。例えば、音声制御部134は、住戸端末1のスピーカ15に呼出し音を出力させる。さらに、音声制御部134は、住戸端末1とドアホン2との間の通話のための通信を確立させる。
【0112】
特定制御機能が有効な状態において来訪者が音声を入力する対象は、ドアホン2に限定されず、例えば、ロビーインターホン4であってもよい。この場合、来訪者は、予め住戸番号を指定した上で、ロビーインターホン4に向かってコマンドを発声する。ロビーインターホン4は、指定された住戸番号に対応する住戸端末1へ、コマンドを転送する。住戸端末1の音声制御部134は、受信したコマンドに応じて対象機器を制御する。
【0113】
音声制御機能において、コマンドから制御内容を照合する方式を採用することは必須ではなく、自由発話から制御内容を照合するフリーワード方式を採用してもよい。
【0114】
制御システム10が、通話を可能にするための通信機能を備えていることは、必須ではない。
【0115】
本開示における制御システム10及びインターホンシステム100は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム10及びインターホンシステム100としての機能の少なくとも一部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0116】
また、制御システム10及びインターホンシステム100の各々の構成において、複数の機能が1つの装置に集約されていることは必須ではなく、複数の機能が複数の装置に分散して設けられていてもよい。さらに、制御システム10及びインターホンシステム100の少なくとも一部の機能、例えば、認証部133の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0117】
反対に、実施形態において、複数の装置に分散されている制御システム10及びインターホンシステム100の少なくとも一部の機能が、1つの装置に集約されていてもよい。
【0118】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0119】
第1の態様に係る制御システム(10)は、取得部(131)と、音声制御部(134)と、を備える。取得部(131)は、所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する。所定の領域は、施設の出入り口より外側の領域である。音声制御部(134)は、音声に応じて対象機器を制御する音声制御機能を有する。音声制御機能は、所定の領域において来訪者から発せられる音声に応じて対象機器を制御する特定制御機能を含む。音声制御部(134)は、認証結果に基づいて、特定制御機能の有効と無効とを切り替える。
【0120】
上記の構成によれば、音声制御部(134)は、来訪者に対する認証結果に基づいて、特定制御機能の有効と無効とを切り替える。そのため、特定制御機能が常に有効である場合と比較して、悪意を有する者により特定制御機能が使用される可能性を低減できる。よって、セキュリティを向上させることができる。また、特定制御機能を使用する意図を有さない者の音声又はその他の音が認識されて特定制御機能が実行される可能性を低減できる。つまり、特定制御機能による対象機器の誤動作を抑制できる。
【0121】
また、第2の態様に係る制御システム(10)では、第1の態様において、特定制御機能が無効な状態において、取得部(131)で認証結果が取得され、認証結果が肯定的な結果であった場合、音声制御部(134)は、特定制御機能を有効な状態に切り替える。
【0122】
上記の構成によれば、認証結果として肯定的な結果が得られた来訪者に限り、特定制御機能を使用することができる。よって、セキュリティを向上させることができる。
【0123】
また、第3の態様に係る制御システム(10)では、第1又は2の態様において、音声制御部(134)は、特定制御機能を無効な状態から有効な状態に切り替えてから、所定条件が満たされると、特定制御機能を無効な状態に切り替える。所定条件は、音声制御部(134)が特定制御機能を無効な状態から有効な状態に切り替えてから、所定時間が経過したという条件と、来訪者から発せられる音声に応じて音声制御部(134)が対象機器に所定の制御を実行したという条件と、のうち少なくとも一方を含む。
【0124】
上記の構成によれば、特定制御機能が有効な状態のまま放置された場合に、悪意を有する者により特定制御機能が使用されたり、特定制御機能を使用する意図を有さない者の音声又はその他の音が認識されて特定制御機能が実行されたりする可能性を低減できる。
【0125】
また、第4の態様に係る制御システム(10)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、認証情報は、来訪者の音声情報を含む。
【0126】
上記の構成によれば、来訪者は、非接触で認証情報を提供できる。
【0127】
また、第5の態様に係る制御システム(10)では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、認証情報は、来訪者の少なくとも一部の部位の画像情報を含む。
【0128】
上記の構成によれば、来訪者は、非接触で認証情報を提供できる。
【0129】
また、第6の態様に係る制御システム(10)では、第5の態様において、認証情報は、来訪者の顔の画像情報を含む。
【0130】
上記の構成によれば、高精度な認証が可能である。
【0131】
また、第7の態様に係る制御システム(10)では、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、認証結果は、来訪者を特定する処理の結果を含む。
【0132】
上記の構成によれば、住人や制御システム(10)が、来訪者を特定する情報を利用できる。よって、利便性を向上させることができる。
【0133】
また、第8の態様に係る制御システム(10)では、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、対象機器は、施設に設置された機器を含む。
【0134】
上記の構成によれば、来訪者は、施設に設置された機器を音声により制御できる。
【0135】
また、第9の態様に係る制御システム(10)では、第8の態様において、特定制御機能は、対象機器と、施設に設置された通信機器との間の、通話のための通信を確立する機能を含む。
【0136】
上記の構成によれば、来訪者は、通話のための通信を、音声入力により開始させることができる。
【0137】
また、第10の態様に係る制御システム(10)では、第1~9の態様のいずれか1つにおいて、特定制御機能は、対象機器の動作モードを制御する機能を含む。
【0138】
上記の構成によれば、来訪者が対象機器の動作モードを制御できる。
【0139】
また、第11の態様に係る制御システム(10)では、第1~10の態様のいずれか1つにおいて、対象機器は、認証情報に基づいて来訪者の認証を行い、認証結果を取得部(131)へ出力する。
【0140】
上記の構成によれば、対象機器で認証を行うことができる。
【0141】
また、第12の態様に係る制御システム(10)は、第1~11の態様のいずれか1つにおいて、第1通信機器(ドアホン2)と、第2通信機器(住戸端末1)と、を備える。第1通信機器は、所定の領域に設置され来訪者から認証情報を取得する。第2通信機器は、第1通信機器と通信し、認証情報又は認証結果を取得する。
【0142】
上記の構成によれば、所定の領域には、少なくとも第1通信機器が設置されればよい。したがって、所定の領域に設置する機器の台数を抑制できる。
【0143】
また、第13の態様に係る制御システム(10)は、第1~12の態様のいずれか1つにおいて、提示部(27)を更に備える。提示部(27)は、特定制御機能の有効な状態と無効な状態とを区別して提示する。
【0144】
上記の構成によれば、ユーザが特定制御機能の有効な状態と無効な状態とを区別できる。
【0145】
第1の態様以外の構成については、制御システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0146】
また、第14の態様に係る制御方法は、取得処理と、音声制御処理と、を有する。取得処理は、所定の領域にいる来訪者の認証情報に基づく認証結果を取得する処理である。所定の領域は、施設の出入り口より外側の領域である。音声制御処理は、音声に応じて対象機器を制御する音声制御機能を有する処理である。音声制御機能は、所定の領域において来訪者から発せられる音声に応じて対象機器を制御する特定制御機能を含む。音声制御処理では、認証結果に基づいて、特定制御機能の有効と無効とを切り替える。
【0147】
上記の構成によれば、セキュリティを向上させることができる。
【0148】
また、第15の態様に係るプログラムは、第14の態様に係る制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0149】
上記の構成によれば、セキュリティを向上させることができる。
【0150】
上記態様に限らず、実施形態に係る制御システム(10)の種々の構成(変形例を含む)は、制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体にて具現化可能である。
【符号の説明】
【0151】
1 住戸端末(第2通信機器)
2 ドアホン(第1通信機器)
10 制御システム
27 提示部
131 取得部
134 音声制御部