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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053367
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】ヒーター管理
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20230404BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20230404BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20230404BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/10
A24F40/42
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022182
(22)【出願日】2023-02-16
(62)【分割の表示】P 2021000245の分割
【原出願日】2016-03-21
(31)【優先権主張番号】15161202.5
(32)【優先日】2015-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ビラ ステファーヌ
(57)【要約】
【課題】乾燥したヒーターまたは認可されていないタイプのヒーターなどの有害な状態を検出する手段を備える、電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【解決手段】システムは、エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター(30)と、電源(14)と、電気ヒーターおよび電源に接続されかつメモリーを備える電気回路(16)と、を備え、電気回路(16)は、ヒーター(30)の当初の電気抵抗(R1)と当初の抵抗からの電気抵抗の変化(R2-R1)との間の比がメモリー内に保存された最大閾値の値より大きい時、または最小閾値の値より小さい時、有害な状態を決定し、有害な状態がある場合、電気ヒーター(30)に供給される電力を制限する、またはユーザーに表示を提供するように構成される。システムは、予め保存された最大抵抗値を必要としないという利点を持ち、そしてそれによりシステムは異なるヒーターを使用することができ、また製造許容差に起因する抵抗変動に順応することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に動作するエアロゾル発生システムであって、
エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
電源と、
前記電気ヒーターおよび前記電源に接続され、かつメモリーを備える電気回路であって、前記電気回路が、前記ヒーターの当初の電気抵抗と前記当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比が前記メモリー内に保存された最大閾値の値より大きいとき、もしくは最小閾値の値より小さいとき、または前記比が予想される期間外に前記メモリー内に保存された閾値の値に達するときに、有害な状態を決定し、かつ有害な状態がある場合、前記電気ヒーターに供給される前記電力を制限する、または表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える、電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記システムが装置および取り外し可能なカートリッジを備え、前記電源および前記電気回路が前記装置内にあり、また前記電気ヒーターが前記取り外し可能なカートリッジ内にあり、かつ前記カートリッジが液体エアロゾル形成基体を備える、請求項1に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項3】
使用時に、前記エアロゾル形成基体が前記発熱体と接触する、請求項1または2に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項4】
ユーザーが前記システムを吸煙しているときを検出するための吸煙検出器であって、前記吸煙検出器が前記電気回路に接続され、また前記電気回路が、前記吸煙検出器によって吸煙が検出されたときに前記電源から前記ヒーター要素へ電力を供給するように構成され、かつ前記電気的回路が、各吸煙の間に有害な状態があるかどうかを決定するように構成される、吸煙検出器を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記システムが電気加熱式の喫煙システムである、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項6】
ヒーター組立品であって、
少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
前記電気ヒーターに接続され、かつメモリーを備える電気回路であって、前記電気回路が、前記ヒーターの当初の電気抵抗と前記当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比が前記メモリー内に保存される最大閾値の値より大きいとき、もしくは最小閾値の値より小さいとき、または前記比が予想される期間外で前記メモリー内に保存された閾値の値に達するとき、有害な状態があることを決定し、かつ、有害な状態があるかどうかに基づいて前記電気ヒーターに供給される電力を制御し、または有害な状態がある場合に表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える、ヒーター組立品。
【請求項7】
電気的に動作するエアロゾル発生装置であって、
電源と、
前記電源に接続され、かつメモリーを備える電気回路であって、前記電気回路が、使用時に電気ヒーターに接続され、かつ前記ヒーターの当初の電気抵抗と前記当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比が前記メモリー内に保存される最大閾値の値より大きいとき、もしくは最小閾値の値より小さいとき、または前記比が予想される期間外に前記メモリー内に保存された閾値の値に達するとき、有害な状態を決定し、かつ、有害な状態があるかどうかに基づいて前記電気ヒーターに供給される前記電力を制御し、または有害な状態がある場合に表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える、電気的に動作するエアロゾル発生装置。
【請求項8】
電気的に動作するエアロゾル発生装置で使用するための電気回路であって、使用時に前記電気回路が電気ヒーターおよび電源に接続され、前記電気回路はメモリーを備え、かつ前記ヒーターの当初の電気抵抗と前記当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比が前記メモリー内に保存される最大閾値の値より大きいとき、もしくは最小閾値の値より小さいとき、または前記比が予想される期間外に前記メモリー内に保存された閾値の値に達するとき、有害な状態を決定し、さらに、有害な状態があるかどうかに基づいて前記電気ヒーターに供給される前記電力を制御し、または有害な状態がある場合に表示を提供するように構成される、電気回路。
【請求項9】
電気的に動作するエアロゾル発生装置で使用するための電気回路であって、使用時に前記電気回路は、エアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターおよび電源に接続され、前記電気回路はメモリーを備え、かつ電力が前記ヒーターに供給された後の所定の期間内の前記ヒーターの当初の抵抗、または当初の抵抗の変化の速度を測定するように構成され、前記ヒーターの前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較し、さらに、前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度が前記許容できる値の範囲外である場合、前記ヒーターまたは前記エアロゾル形成基体が交換されるまで前記電気ヒーターへの前記電力供給を防止し、または表示を提供する、電気回路。
【請求項10】
電気的に動作するエアロゾル発生システム内のヒーターへの前記電力供給を制御する方法であって、前記システムはエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター、および前記電気ヒーターに電力を供給するための電源を備え、前記方法は、
前記ヒーターの当初の電気抵抗と前記当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比がメモリー内に保存された最大閾値の値より大きい、もしくは最小閾値の値より小さいとき、または前記比が予想される期間外に前記メモリー内に保存された閾値の値に達するとき、有害な状態を決定すること、および、有害な状態の検出に応じて、前記電気ヒーターに供給される前記電力を制限すること、またはユーザーに表示を提供することを含む、方法。
【請求項11】
電力が前記ヒーターに供給された後の所定の期間内の前記ヒーターの当初の抵抗、または当初の抵抗の変化の速度を測定し、前記ヒーターの前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較し、そして前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度が許容できる値の範囲外である場合、前記ヒーターまたは前記エアロゾル形成基体が交換されるまで前記電気ヒーターへの前記電力供給を防止し、または表示を提供することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヒーターまたはエアロゾル形成基体が前記システムの中へと挿入されたときを検出することをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
電気的に動作するエアロゾル発生システム内の適合性がないまたは損傷されたヒーターを検出する方法であって、前記システムがエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター、および前記電気ヒーターに電力を供給するための電源を備え、前記方法は、
前記ヒーターの当初の電気抵抗と前記当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比がメモリー内に保存された最大閾値の値より大きい、もしくは最小閾値の値より小さいとき、または前記比が予想される期間外にメモリー内に保存された閾値の値に達するとき、適合性がないもしくは損傷されたヒーターを決定することを含む、方法。
【請求項14】
電気的に動作するエアロゾル発生システム内の適合性がないまたは損傷されたヒーターを検出する方法であって、前記システムがエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター、および前記電気ヒーターに電力を供給するための電源を備え、前記方法は、
電力が前記ヒーターに供給された後の所定の期間内の前記ヒーターの当初の抵抗、または当初の抵抗の変化の速度を測定することと、前記ヒーターの前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較することと、前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度が前記許容できる値の範囲外である場合、前記ヒーターまたは前記エアロゾル形成基体が交換されるまで前記電気ヒーターへの前記電力供給を防止すること、または表示を提供することと、を含む、方法。
【請求項15】
電気的に動作するエアロゾル発生システム内のマイクロプロセッサ上でコンピュータプログラムが実行されるとき、請求項10~14のいずれか1項に記載の前記工程を実施するように、ソフトウェアコード部分を備えるマイクロプロセッサの前記内部メモリーへと直接的にロードできる前記コンピュータプログラムであって、前記システムがエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター、および電力を前記電気ヒーターに供給するための電源を備え、前記マイクロプロセッサが前記電気ヒーターおよび前記電源に接続される、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明はヒーター管理に関する。開示された特定の実施例は、電気加熱式エアロゾル発生システム内のヒーター管理に関する。本発明の態様は電気加熱式エアロゾル発生システムおよび電気加熱式エアロゾル発生システムを動作するための方法を対象とする。説明される一部の実施例は、ヒーター要素における有害な状態を示す場合があるヒーター要素の電気抵抗の異常な変化を検出することができるシステムに関する。例えば、有害な状態は、システム内のエアロゾル形成基体の消耗したレベルを示す場合がある。一部の説明される実施例では、このシステムは異なる電気抵抗を有するヒーター要素に対して有効である場合がある。他の実施例では、電気抵抗の検出された特徴は、どのようにシステムが動作されうるかを決定または選択するために使用されてもよい。本発明の一部の態様および特徴は電気加熱式の喫煙システムに対する特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
国際特許公開広報第2012/085203号は、液体エアロゾル形成基体を保存するための液体貯蔵部分と、液体エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、発熱体にかけられた電力と結果として得られる発熱体の温度変化との間の関係に基づいて液体エアロゾル形成基体の消耗を決定するために構成された電気回路と、を備える電気加熱式の喫煙システムを開示している。特に、電気回路は、発熱体の温度上昇の速度を計算するように構成され、速度の高い温度上昇は、液体エアロゾル形成基体をヒーターへ運ぶ芯が乾燥しきったことを示す。システムは、温度上昇の速度を、製造中にメモリー内に保存された閾値の値と比較する。温度上昇の速度が閾値を超える場合、システムはヒーターへの電力の供給を停止する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
国際特許公開広報第2012/085203号のシステムは、発熱体の温度を計算するためにヒーター要素の電気抵抗を使用することができ、これは専用の温度センサーを必要としないという利点を持つ。ところが、システムはヒーター要素の抵抗に依存する閾値の保存を依然として必要とし、そのためシステムは特定の電気抵抗または抵抗の範囲を有するヒーター要素のために最適化される。
【0004】
ところが、システムを異なるヒーターで動作できるようにすることが望ましい場合がある。典型的には国際特許公開広報第2012/085203号で説明されるタイプのシステムでは、ヒーターは分量の液体エアロゾル形成基体とともに使い捨てカートリッジ内に提供される。異なるカートリッジ内のヒーター要素は異なる電気抵抗を有する場合がある。これは同一のタイプのカートリッジ内の製造許容差の結果である場合があり、または異なるユーザー経験を提供するためにシステムで使用するための異なるカートリッジ設計が入手可能であるためである。国際特許公開広報第2012/085203号のシステムは、このシステムで使用されるシステムの製造時に決定される既知の特定の電気抵抗を持つヒーターのために最適化される。
【0005】
電気式喫煙システムおよび特に異なるヒーターを用いて動作可能なシステムでは、ヒーターが乾燥しきったこと、またはヒーターにおける他の有害な状態を決定するための、代替的なシステムを持つことが望ましいことになる。
【0006】
恒久的な装置部分およびエアロゾル形成基体を含む消耗品である部分を持つ電気加熱式エアロゾル発生システムでは、消耗品である部分が「純正品」であるか、または装置と適合性があると考えられる消耗品であるかをこの装置の製造者が容易に決定できることが望ましいことになる。これは、ヒーターが消耗部品であるシステムと、ヒーターが恒久的な装置の一部であるシステムとのどちらにも当てはまることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生システムが提供されているが、これは、
エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
電源と、
電気ヒーターおよび電源に接続され、かつメモリーを備える電気回路であって、電気回路がヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比が、メモリー内に保存された最大閾値の値より大きい時、もしくは最小閾値の値より小さい時、または比が予想される期間外にメモリー内に保存された閾値の値に達する時に、有害な状態を決定し、そして有害な状態があるかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御し、かつ有害な状態があるかどうかに基づいて表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える。
【0008】
「比が予想される期間外にメモリー内に保存された閾値の値に達する」という句は、比が予想される期間より早く閾値の値に達する時の状況と、比が予想される期間より後で閾値の値に達する時、または閾値の値にまったく達しない時の状況の両方の状況を包含することが明らかであろう。
【0009】
エアロゾル発生システムまたはエアロゾル発生装置での1つの有害な状態は、ヒーターにおいてエアロゾル形成基体が不十分または消耗していることである。一般論として、気化のためにヒーターに送達されるエアロゾル形成基体がより少ないほど、所与のかけられた電力に対して発熱体の温度がより高くなる。所与の電力について、加熱サイクルの間の発熱体の温度の進化、または複数の加熱サイクルにわたるその進化の変化のしかたを使用して、ヒーターにおいてエアロゾル形成基体の量を消耗しているかどうか、および特にヒーターにおいてエアロゾル形成基体が不十分かどうかを検出することができる。
【0010】
別の有害な状態は、複製可能なヒーターまたは使い捨てヒーターを持つシステム内での偽造品もしくは適合性がないヒーターまたは損傷されたヒーターの存在である。所与のかけられた電力に対して、ヒーター要素の抵抗が予想されるより迅速にまたはよりゆっくり上昇する場合、これはヒーターが偽造品であり、かつ純正品ヒーターとは異なる電気的特性を持つためである場合があり、またはヒーターが何らかのやり方で損傷されたためである場合がある。いずれの場合でも電気回路はヒーターへの電力供給を防止するように構成される場合がある。
【0011】
別の有害な状態は、偽造品の、適合性がない、または古いもしくは損傷されたエアロゾル形成基体のシステム内での存在である。所与のかけられる電力に対して、ヒーター要素の抵抗が予想されるより迅速にまたはよりゆっくり上昇する場合、これはエアロゾル形成基体が偽造品であるかまたは古く、そのために含水量が予想されるより高いまたはより低い場合がある。例えば、固体のエアロゾル形成基体が使用される場合に、この基体が非常に古い、または適切に保存されていなかった場合には乾燥している場合がある。基体が予想されるよりも乾燥している場合、気化に使用されるエネルギーが予想されるより少なく、ヒーター温度がより迅速に上昇することになる。これは結果としてヒーター要素の電気抵抗の予想外の変化をもたらす。
【0012】
当初の抵抗とこれに続く抵抗との比を使用することによって、システムは発熱体の実際の温度を決定する必要がなく、またはいかなる予め保存された所与の温度における発熱体の抵抗の知識も持つ必要がない。これは、有害な状態をトリガすることなく、システム内で承認された異なるヒーターを使用できるようにし、また同一のタイプのヒーターの製造許容差に起因する絶対的な抵抗の変動を可能にする。これは、適合性がないヒーターの検出も可能にする。
【0013】
当初の抵抗測定およびその後の抵抗の変化を使用すると、特定の有害な状態を決定するために、より正確に閾値を設定することも可能になる。当初の抵抗に対する抵抗の変化の比は、製造許容差またはシステム内の寄生接触抵抗の変動に起因する、ヒーターのサイズまたは形状の変動に依存しないが、ヒーターおよびエアロゾル形成基体の材料特性のみに依存する。
【0014】
電気回路は、実際には比または電気抵抗の変化を計算してその比を閾値の値と比較しなくてもよいが、測定された抵抗値と1つ以上の保存された値および1つ以上の測定された抵抗値に由来する閾値の値との同等な比較を行ってもよい。例えば、電気回路は、電源から電気ヒーターへの当初の電力送達の後の時点で測定されたヒーター要素の電気抵抗を、当初の電気抵抗およびメモリー内に保存された閾値の値から計算された値と比較する場合がある。
【0015】
電気回路は、当初のヒーター要素の電気抵抗、および電源から電気ヒーターへの当初の電力送達後の時点でのヒーター要素の電気抵抗を測定するように構成されてもよい。電気抵抗の測定間の時間が既知であるかまたは決定されている場合、ヒーター要素の所与の抵抗係数に対して、温度の変化の速度に対応して抵抗の変化の速度を計算することができる。システムは、ヒーターに同一の電力を供給するように常に構成されてもよく、または閾値(複数可)はヒーターに供給される電力に依存してもよい。
【0016】
当初の電気抵抗は、ヒーターを最初に使用する前に測定されてもよい。ヒーターを最初に使用する前に当初の抵抗が測定される場合、ヒーター要素は室温前後であると仮定することができる。経時的な抵抗の予想される変化はヒーター要素の当初の温度に依存する場合があるため、室温におけるまたは室温に近い温度での当初の抵抗を測定することによって、予想される挙動の帯域をより狭く設定することができる。
【0017】
当初の抵抗は、測定された当初の抵抗から、システム内の他の電気的構成要素および電気接点からもたらされる仮定される寄生抵抗を差し引いたものとして計算されてもよい。
【0018】
システムは装置および装置に取り外し可能なように結合されたカートリッジを備えてもよく、電源および電気回路は装置内にあり、また電気ヒーターおよびエアロゾル形成基体は取り外し可能なカートリッジ内にある。本明細書で使用される時、カートリッジが装置に「取り外し可能なように結合された」とは、カートリッジおよび装置が、装置またはカートリッジのいずれも著しく損傷することなく、互いに結合および分離できることを意味する。
【0019】
電気回路は、カートリッジの装置への挿入および装置からの除去を検出するように構成されてもよい。電気回路は、カートリッジが最初に装置の中へ挿入された時に、しかし著しい加熱が発生する前に、ヒーターの当初の電気抵抗を測定するように構成されてもよい。電気回路は、測定された当初の抵抗を、メモリー内に保存された許容できる電気抵抗の範囲と比較してもよい。当初の抵抗が許容できる抵抗の範囲外である場合、これは偽造品である、適合性がない、または損傷されていると考えられる場合がある。その場合、電気回路は、カートリッジが取り除かれ異なるカートリッジで交換されるまで電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0020】
装置には異なる特性を持つカートリッジが使用されてもよい。装置には、例えば、異なるサイズのヒーターを持つ2つの異なるカートリッジが使用されてもよい。より大きいヒーターは、そのような個人的好みを持つユーザーのために、より多くのエアロゾルを送達するために使用される場合がある。
【0021】
カートリッジは、再充填可能であってもよく、またはエアロゾル形成基体が枯渇状態になった時に廃棄されるように構成されていてもよい。
【0022】
エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出されてもよい。
【0023】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有する、たばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用において密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にし、またシステムの動作の使用温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性のある、任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。好適なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリン(最も好ましい)など)である。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0024】
カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体については、基体のある一定の物理的特性、例えば、蒸気圧または粘性は、エアロゾル発生システムで使用するために適切になるように選ばれる。液体は、加熱されると液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、液体は非たばこ材料を含む場合がある。液体は水、エタノール、または他の溶媒、植物エキス、ニコチン溶液、および天然もしくは人工の風味を含む場合がある。液体はさらにエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0025】
液体貯蔵部分を提供することの利点は、液体貯蔵部分内の液体が周囲空気から保護される点である。一部の実施形態では、液体の光誘発性分解のリスクを回避できるように、周囲光も同様に液体貯蔵部分に入ることができない。さらに、高いレベルの衛生を維持することができる。
【0026】
液体貯蔵部分は、所定の吸煙回数のための液体を保持するよう配置されることが好ましい。液体貯蔵部分が再充填可能でなく、かつ液体貯蔵部分内の液体を使用しきった場合、ユーザーは液体貯蔵部分を交換する必要がある。こうした交換の間の液体によるユーザーの汚染を防止する必要がある。別の方法として、液体貯蔵部分は再充填可能でもよい。その場合、エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分の一定の回数の再充填の後で交換されてもよい。
【0027】
別の方法として、エアロゾル形成基体は固体の基体であってもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0028】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、キャストリーフたばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち1つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジを提供してもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルを含みうるが、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0029】
本明細書で使用される時、「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量で5%より多くてもよい。別の方法としては、均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量で約5~約30重量パーセントであってもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎のうちの一方または両方を粉砕またはその他の方法で細分することによって得られた粒子状たばこを凝集することにより形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えば、たばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの1つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、1つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、1つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水系の溶媒およびその組み合わせを含むがこれに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0030】
随意に、固体のエアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとってもよい。別の方法として、担体は、その内部表面上、またはその外部表面上、またはその内部および外部の表面上の両方に配置された固体基体の薄い層を持つ、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、質量が小さく目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0031】
固体エアロゾル形成基体は、例えば、シート、発泡体、ゲルまたはスラリーの形態の担体の表面上に配置されてもよい。固体のエアロゾル形成基体は、担体の全表面上に配置してもよく、または別の方法として、使用中、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンで配置されてもよい。
【0032】
固体エアロゾル形成基体は、ヒーター、電源、および電気回路を備える装置で使用されるように、紙巻たばこなどの喫煙物品として提供されてもよい。
【0033】
電気回路は、エアロゾル形成基体の装置への挿入および装置からの除去を検出するように構成されてもよい。電気回路は、エアロゾル形成基体が最初に装置の中へ挿入された時に、しかし著しい加熱が発生する前に、ヒーターの当初の電気抵抗を測定するように構成されてもよい。電気回路は、測定された当初の抵抗を、メモリー内に保存された許容できる電気抵抗の範囲と比較してもよい。当初の抵抗が許容できる抵抗の範囲外である場合、エアロゾル形成基体は偽造品である、適合性がない、または損傷されていると考えられる場合がある。その場合、電気回路は、エアロゾル形成基体が取り除かれ交換されるまで電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0034】
電気ヒーターは、単一の発熱体を備える場合がある。別の方法として、電気ヒーターは、複数の発熱体、例えば2個、または3個、または4個、または5個、または6個、またはそれ以上の発熱体を含む場合がある。発熱体(単数または複数)は、最も効果的に液体エアロゾル形成基体を加熱するように適切に配列される場合がある。
【0035】
少なくとも一つの電気発熱体は、電気抵抗性の材料を含むことが好ましい。適切な電気抵抗性の材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含む場合がある。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-チタン-ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-および鉄を含有する合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。複合材料では、電気抵抗性の材料は、必要なエネルギー移動の動態学および外部の物理化学的性質に応じて、随意に断熱材料へ埋込、封入、または塗布されてもよく、あるいはその逆であってもよい。発熱体は、2層の不活性材料の間で絶縁された、金属製でエッチング加工が施された箔を備える場合がある。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。
【0036】
少なくとも1つの電気発熱体は任意の適切な形態をとってもよい。例えば、少なくとも1つの電気発熱体は加熱用ブレードの形態をとってもよい。別の方法として、少なくとも1つの電気発熱体は、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを持つケーシングまたは基体の形態をとってもよい。液体貯蔵部分は使い捨て発熱体を組み込んでもよい。別の方法として、液体エアロゾル形成基体を貫通する1つ以上の加熱用の針またはロッドも適切である場合がある。別の方法として、少なくとも1つの電気発熱体は材料の可撓性シートを含んでもよい。他の代替物としては、加熱用のワイヤまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケル・クロム)、白金、タングステン、または合金製のワイヤもしくは加熱プレートが挙げられる。任意選択的に、発熱体は固い担体材料内またはその上に蒸着される場合がある。
【0037】
一実施形態では、発熱体は、導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または布を含む。導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定してもよく、隙間の幅は10μm~100μmとしてもよい。
【0038】
導電性フィラメントは160~600メッシュUS(±10%)(すなわち、1インチ当たりのフィラメント数が160~600個(±10%))のサイズのメッシュを形成してもよい。隙間の幅は25μm~75μmが好ましい。メッシュの合計面積に対する間隙の面積の比であるメッシュの開口部分の面積率は25~56%が好ましい。メッシュは異なるタイプの織物または格子の構造を使用して形成してもよい。別の方法として、導電性フィラメントは互いに平行に並べられたフィラメントのアレイで構成される。
【0039】
導電性フィラメントの直径は10μm~100μmとすることができ、8μm~50μmであることが好ましく、8μm~39μmであることがより好ましい。フィラメントは、丸い断面を有してもよく、または平坦な断面を有してもよい。
【0040】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布の面積は小さくてもよく、25mm2未満であることが好ましく、手持ち式システムへの組み込みが許容されることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布は、例えば5mm×2mmの寸法の長方形であってもよい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、ヒーター組立品の面積の10%~50%の面積を覆うことが好ましい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、ヒーター組立品の面積の15~25%の面積を覆うことがより好ましい。
【0041】
フィラメントは、シート材料(箔など)のエッチングによって形成されてもよい。これは、ヒーター組立品が平行のフィラメントのアレイを含む時、特に有利である場合がある。発熱体がフィラメントのメッシュまたは布を含む場合、フィラメントは個別に形成され、まとめて編まれてもよい。
【0042】
導電性フィラメント用の好ましい材料は、304、316、304L、および316Lステンレス鋼である。
【0043】
少なくとも1つの発熱体は伝導により液体エアロゾル形成基体を加熱する場合がある。発熱体は、少なくとも部分的に基体と接触する場合がある。別の方法として、発熱体からの熱は熱伝導性要素の手段によって基体に伝導する場合がある。
【0044】
使用時に、エアロゾル形成基体が発熱体と接触することが好ましい。
【0045】
電気的に動作するエアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分から電気ヒーター要素へ液体エアロゾル形成基体を運ぶための毛細管材料をさらに備えることが好ましい。
【0046】
液体貯蔵部分内の液体と接触するように毛細管材料を配置することが好ましい。毛細管芯を液体貯蔵部分の中へと延ばすことが好ましい。その場合、使用時に、液体は毛細管芯内での毛細管作用によって、液体貯蔵部分から電気ヒーターに移動される。一実施形態では、毛細管芯は第一の端と第二の端とを持ち、第一の端はその中の液体と接触するための液体貯蔵部分内に延び、また電気ヒーターは第二の端内の液体を加熱するように配置される。ヒーターが起動されると、毛細管芯の第二の端における液体がヒーターの少なくとも1つの発熱体によって気化され、過飽和蒸気を形成する。過飽和蒸気は気流と混合され、気流中で運ばれる。流れる間に、蒸気は凝縮されてエアロゾルを形成し、エアロゾルはユーザーの口に向かって運ばれる。液体エアロゾル形成基体は、液体が毛細管作用によって毛細管芯を通して運ばれるようにする粘性および表面張力を含む物理的特性を持つ。
【0047】
毛細管芯は繊維質または海綿状の構造を有する場合がある。毛細管芯は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管芯は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含む場合がある。繊維または糸は概してエアロゾル発生システムの長軸方向に整列されてもよい。別の方法として、毛細管芯はロッド形状に形成された海綿体様または発泡体様の材料を含む場合がある。ロッド形状はエアロゾル発生システムの長軸方向に沿って延びてもよい。芯の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管芯は適切な任意の材料または材料の組み合わせを含みうる。適切な材料の実施例は毛細管材料であり、例えば、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管芯は異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管および空隙率を有する場合がある。液体は毛細管作用により毛細管装置を通過して搬送できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。
【0048】
発熱体は、毛細管芯を取り巻く、および随意に毛細管芯を支持する、加熱ワイヤまたはフィラメントの形態であってもよい。通常の使用中にたくさんのエアロゾル形成基体がある時、芯の毛細管特性は、液体の特性と組み合わせられて、加熱領域内で芯が確実に常に湿潤状態であるようにする。
【0049】
別の方法として、説明されるように、ヒーター要素は、複数の導電性フィラメントから形成されるメッシュを含んでもよい。毛細管材料は、フィラメント間の隙間に延びてもよい。ヒーター組立品は、毛細管作用により液体エアロゾル形成基体を隙間に引き込んでもよい。
【0050】
ハウジングは、二つ以上の異なる毛細管材料を含みうるが、ここでヒーター要素と接触している第一の毛細管材料はより高い熱分解温度を持ち、第一の毛細管材料と接触しているが、ヒーター要素とは接触してない第二の毛細管材料はより低い熱分解温度を持つ。第一の毛細管材料は第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、ヒーター要素を第二の毛細管材料から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。本明細書で使用される場合、「熱分解温度」は、材料が分解を始め、ガス状の副産物を発生することにより質量を損失する温度を意味する。第二の毛細管材料は、有利なことに第一の毛細管材料よりも大きな容積を占めてもよいが、また第一の毛細管材料よりも多くのエアロゾル形成基体を保持してもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも優れた芯の性能を持ってもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも安価であるか、または高い充填能力を持ってもよい。第二の毛細管材料はポリプロピレンであってもよい。
【0051】
電源は、例えばDC電圧供給源などのいかなる適切な電源としてもよい。一実施形態では、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池であってもよい。代替として、電源はコンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は、再充電を必要としてもよく、また1回以上の喫煙の体験のために十分なエネルギーの蓄積が許容される容量を持つ場合がある。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持っていてもよい。別の例では、電源は所定の回数の吸煙、またはヒーターの不連続的な起動を許容するのに十分な容量を持っていてもよい。
【0052】
エアロゾル発生システムはハウジングを含むことが好ましい。ハウジングは細長いことが好ましい。ハウジングは適切な任意の材料または材料の組み合わせを含む場合がある。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチックもしくはそれらの1つ以上の材料を含有する複合材料、または、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適した熱可塑性物質が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。
【0053】
エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは電気加熱式の喫煙システムであってもよく、従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。エアロゾル発生システムは喫煙システムであってもよい。喫煙システムの全長は、およそ30mm~およそ150mmとしうる。喫煙システムの外部直径は、およそ5mm~およそ30mmとしうる。
【0054】
電気回路はマイクロプロセッサを備えることが好ましく、またプログラマブルマイクロプロセッサを備えることがより好ましい。システムは、ソフトウェアをマイクロプロセッサ上にアップロードすることができるように、データ入力ポートまたはワイヤレスレシーバーを備えてもよい。電気回路は追加的な電気的構成要素を備えてもよい。システムは温度センサーを備えてもよい。
【0055】
有害な状態が検出された場合、システムはユーザーに有害な状態が検出されたことを示す表示を提供する以上のことは行わない。これは視覚的な、聴覚的な、または触覚的な警告を提供することによって行われてもよい。別の方法として、または追加的に、有害な状態が検出された時、電気回路は、ヒーターに供給される電力を自動的に制限してもよく、またはその他の方法で制御してもよい。
【0056】
有害な状態が検出された時に電気ヒーターに供給される電力を制御するように電気回路を構成することができる、数多くの可能な方法がある。発熱体に送達されるエアロゾル形成基体が不十分である場合、または固体エアロゾル形成基体が乾燥した状態になる場合、ヒーターへの電力供給を減少させるまたは停止することが望ましい場合がある。これは、ユーザーに一貫した楽しい経験が確実に提供されるようにすることと、過熱およびエアロゾル内に望ましくない化合物が発生するリスクを軽減することと、の両方である場合がある。ヒーターへの電力供給は、短い時間またはヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで、停止もしくは制限されてもよい。
【0057】
システムは、ユーザーがシステムを吸煙している時に検出するための吸煙検出器を備えてもよく、吸煙検出器は電気回路に接続され、また電気回路は吸煙検出器によって吸煙が検出された時、電源からヒーター要素へ電力を供給するように構成され、かつ電気的回路は各吸煙の間に有害な状態があるかどうかを決定するように構成される。
【0058】
吸煙検出器は、マイクロフォンベースの吸煙検出器などの、装置を通る気流を直接的に測定する専用の吸煙検出器であってもよく、または例えば、装置内の温度変化、またはヒーター要素の電気抵抗の変化に基づいて吸煙を間接的に検出してもよい。
【0059】
電気回路は、所定の電力を、当初の吸煙の検出またはヒーターへの当初の電力供給の後に続く期間t1の間、ヒーター要素に供給するように構成されてもよく、また電気回路は、各々の吸煙の間の期間t1におけるヒーター要素の電気抵抗の測定に基づいてヒーター要素の電気抵抗の変化を決定するように構成されてもよい。期間t1は、当初の吸煙の検出の直後、またはヒーターに最初に電力をかけた直後(の期間)となるように選んでもよい。消耗品の交換に続く最初の使用の間に、回路が適合性のないまたは偽造品のヒーターもしくはエアロゾル形成基体を検出する場合、これは特に有利である。例えば、一般的な吸煙の持続期間は3秒であってもよく、吸煙検出器の応答時間は約100msであってもよい。次いで、t1は、ヒーター温度が安定化する前の吸煙の期間中で、100ms~500msとなるように選んでもよい。別の方法として、期間t1は、発熱体の温度が安定化すると予想される期間となるように選んでもよい。
【0060】
電気回路は、所定の数の連続するユーザーの吸煙に対して有害な状態がある場合、電源からヒーター要素への電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0061】
電気回路は、有害な状態があるかどうかを継続的に決定し、有害な状態がある時、ヒーターへの電力供給を防止または減少し、有害な状態がなくなるまでヒーター要素への電力供給の防止または減少を継続するように、構成されてもよい。
【0062】
液体および芯に基づくシステムでは、ヒーターの近くでは液体を十分迅速に置き換えることができないので、過剰な吸煙は芯の乾燥をもたらす場合がある。これらの状況では、ヒーターが高温になりすぎないように、また望ましくないエアロゾル成分を生成しないように、ヒーターへの電力供給を制限することが望ましい。有害な状態が検出されるとすぐに、それに続くユーザー吸煙まで、ヒーターへの電力は停止されてもよい。
【0063】
同様に、過剰な吸煙は、吸煙と吸煙との間にヒーターを予想されるほど冷まさせない場合があり、結果として吸煙と吸煙の間に徐々に、望ましくないヒーターの温度の上昇をもたらす。これは、液体または固体のエアロゾル形成基体ベースのシステムに当てはまることである。吸煙の間の冷却をモニターするために、電気回路は経時的に比を追跡するように構成されてもよく、そして比の最大値とこれに続く比の最小値との間の差異がメモリー内に保存された差異の閾値を超えない場合、ヒーターに供給される電力を制限するかまたは表示を提供してもよい。
【0064】
電気回路は、有害な状態がある時、所定の停止期間の間ヒーター要素への電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0065】
電気回路は、エアロゾル形成基体を含有する消耗品部分またはヒーターが交換されるまで、ヒーターへの電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0066】
別の方法として、または追加的に、電気回路は、比が閾値の値に達したかどうかを継続的に計算し、比が閾値の値に達するためにかかった時間を保存された時間の値と比較し、閾値の値に達するためにかかった時間が保存された時間の値より小さい場合、または比が予想される期間内に閾値の値に達しない場合、有害な状態があることを決定し、ヒーターへの電力供給を防止または減少するように構成されてもよい。予想されるより迅速に閾値の値に達した場合、これはヒーター要素が乾燥している、もしくは基体が乾燥していることを示す場合があり、または適合性がないヒーター、偽造品のヒーター、または損傷されたヒーターを示す場合がある。同様に、予想される期間内に閾値の値に達しない場合は、偽造品または損傷されたヒーターもしくは基体を示す場合がある。これは、偽造品の、損傷された、または適合性がないヒーターもしくは基体の素早い決定を可能にする場合がある。
【0067】
説明されるように、有害な状態を見つけることは、ヒーター要素における乾燥した状態を示すだけでなく、予想される特性範囲外の電気的特性を持つヒーターを示す場合がある。これは、ヒーターに欠陥があるため、ヒーターの上にその製品寿命にわたって物質が累積するため、またはこれが認可されていないヒーターまたは偽造品のヒーターであるため、である場合がある。例えば、製造者がステンレス鋼ヒーター要素を使用した場合、それらのヒーター要素は、特定の電気抵抗の範囲内で室温にて当初の電気抵抗を持つことが予想される。さらに、ヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比は、ヒーター要素の材料に関連するため特に価値があることが予想される場合がある。例えば、Ni-Crから形成されたヒーター要素が使用される場合には、Ni-Crの温度抵抗係数はステンレス鋼よりずっと低いので、比は予想されるものより低くなることになる。したがって、電気回路は、ヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比が最小閾値より小さい時に有害な状態を決定し、結果に基づいてヒーターへの電力供給を制限するように構成されてもよい。これは一部の認可されていないヒーターの使用を防止する。電気回路は、比が最小閾値より低い場合にヒーターへの電力供給を防止する場合がある。
【0068】
異なる状態に対する異なる制御戦略を生じさせるために、複数の異なる閾値が使用される場合がある。例えば、さらに電力を供給する前に、基体のヒーターの交換を必要とする境界を設定するために、最高の閾値および最低の閾値が使用される場合がある。電気回路は、比が最高の閾値を超える、または最低の閾値より小さい場合、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで、ヒーターへの電力供給を防止するように構成されてもよい。ヒーターにおける乾燥した状態をもたらす過剰な吸煙挙動を検出するために、1つ以上の中間閾値が使用されてもよい。電気回路は、中間閾値を超えたが最高閾値は超えていない場合、特定の期間または後に続くユーザーの吸煙までの間、ヒーターへの電力供給を防止するように構成されてもよい。1つ以上の中間閾値は、エアロゾル形成基体をほとんど消耗して、まもなく交換する必要があることの表示を、ユーザーに対してトリガするためにも使用することができる。電気回路は、中間閾値を超えるが、最高閾値は超えない場合、視覚的、聴覚的、または触覚的でありうる表示を提供するように構成されてもよい。
【0069】
偽造品のヒーター、損傷されたヒーター、または適合性がないヒーターを検出するための1つのプロセスは、ヒーターが最初に使用される時、または装置もしくはシステムに挿入される時に、ヒーターの抵抗またはヒーターの抵抗の変化の速度をチェックすることである。電気回路は、電力がヒーターに供給された後の所定の期間内のヒーター要素の当初の抵抗を測定するように構成されてもよい。所定の期間は、短い期間であってもよく、50ms~200msであってもよい。メッシュ発熱体を備えるヒーターについては、所定の期間はおよそ100msであってもよい。所定の期間は50ms~150msであることが好ましい。電気回路は、所定の期間の間の当初の抵抗の変化の速度を決定するように構成されてもよい。これは、所定の期間の間に異なる時点で複数の抵抗測定を行い、複数の抵抗測定に基づいて抵抗の変化の速度を計算することによってなされてもよい。電気回路は、ヒーターの当初の抵抗、またはヒーターの当初の抵抗の変化の速度を測定するように構成されてもよく、別個のルーチンとしてよりずっと低い電力を使用してエアロゾル形成基体を加熱するためにヒーターに電力を供給するように構成されてもよく、またはヒーターが起動して著しく加熱が生じる前の最初のわずかの間ヒーターの当初の抵抗を測定してもよい。電気回路は、ヒーターの当初の抵抗またはヒーターの当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較するように構成されてもよく、当初の抵抗または当初の抵抗の変化の速度が許容できる値の範囲外である場合、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで電気ヒーターへの電力供給を防止するか、または表示を提供してもよい。
【0070】
当初の抵抗または当初の抵抗の変化の速度が許容できる値の範囲内である場合、ヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比がメモリーに保存された最大閾値の値より小さいまたは最小閾値の値より大きい時、電気回路は、許容できるヒーターであることを決定し、そして許容できるヒーターかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または許容できるヒーターではなかった場合に表示を提供するように構成されてもよい。
【0071】
電気回路は、許容できるヒーターがあることを、ヒーターに電力を最初に供給してから1秒以内に決定するように構成されてもよい。
【0072】
第二の態様では、ヒーター組立品が提供され、このヒーター組立品は、
少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
電気ヒーターに接続され、かつメモリーを備える電気回路であって、電気回路が、ヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比がメモリー内に保存される最大閾値の値より大きい時、もしくは最小閾値の値より小さい時、または比が予想される期間外でメモリー内に保存された閾値の値に達する時、有害な状態があることを決定し、有害な状態があるかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御し、または有害な状態があるかどうかに基づいて表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える。
【0073】
ヒーター組立品は、エアロゾル発生システム内で使用するために構成されてもよく、また使用時にエアロゾル形成基体を加熱するように構成されてもよい。
【0074】
第三の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生装置が提供され、この装置は、
電源と、
電源に接続され、かつメモリーを備える電気回路であって、電気回路が、使用時に電気ヒーターに接続され、かつヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比がメモリー内に保存される最大閾値の値より大きい時、もしくは最小閾値の値より小さい時、または比が予想される期間外にメモリー内に保存された閾値の値に達する時、有害な状態を決定し、また有害な状態があるかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御し、または有害な状態があるかどうかに基づいて表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える。
【0075】
本発明の第四の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生装置で使用するための電気回路であって、使用時に電気ヒーターおよび電源に接続され、電気回路はメモリーを備え、かつヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比がメモリー内に保存される最大閾値の値より大きい時、もしくは最小閾値の値より小さい時、または比が予想される期間外でメモリー内に保存された閾値の値に達する時、有害な状態を決定し、そして有害な状態があるかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御し、または有害な状態があるかどうかに基づいて表示を提供するように構成される、電気回路が提供される。
【0076】
本発明の第五の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生装置で使用するための電気回路であって、使用時に、エアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターおよび電源に接続され、メモリーを備え、かつ電力がヒーターに供給された後の所定の期間内のヒーターの当初の抵抗、またはヒーターの当初の抵抗の変化の速度を測定するように構成され、ヒーターの当初の抵抗またはヒーターの当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較し、そして当初の抵抗または当初の抵抗の変化の速度が許容できる値の範囲外である場合、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで電気ヒーターへの電力供給を防止し、または表示を提供する、電気回路が提供される。
【0077】
所定の期間は、短い期間であってもよく、50ms~200msであってもよい。メッシュ発熱体を備えるヒーターについては、所定の期間はおよそ100msであってもよい。所定の期間は50ms~150msであることが好ましい。電気回路は、所定の期間の間の当初の抵抗の変化の速度を決定するように構成されてもよい。これは、所定の期間の間に異なる時点で複数の抵抗測定を行い、複数の抵抗測定に基づいて抵抗の変化の速度を計算することによってなされてもよい。
【0078】
当初の抵抗が許容できる抵抗値の範囲内である場合、電気回路は、ヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比を決定し、かつ比をメモリー内に保存された最大または最小閾値の値と比較するように構成されてもよく、また比がメモリー内に保存された最大閾値の値より小さい場合、もしくは最小閾値の値より大きい場合、許容できるヒーターであることを決定し、かつ許容できるヒーターであるかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または許容できるヒーターであるかどうかに基づいて表示を提供する。
【0079】
第六の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生システム内のヒーターへの電力供給を制御する方法であって、システムがエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター、および電気ヒーターに電力を供給するための電源を備える方法が提供され、この方法は、
【0080】
ヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比がメモリー内に保存された最大閾値の値より大きい、もしくは最小閾値の値より小さい時、または比が予想される期間外でメモリー内に保存された閾値の値に達する時、有害な状態を決定すること、および電気ヒーターに供給される電力を制御すること、または有害な状態があるかどうかに応じてユーザーに表示を提供することを含む。
【0081】
方法は、当初のヒーター要素の電気抵抗を測定することと、電源から電気ヒーターへの当初の電力送達の後の時点でのヒーター要素の電気抵抗を測定することと、を含んでもよい。
【0082】
方法は、電力が供給される時、ヒーターに一定の電力を供給することを含んでもよい。別の方法として、他の動作パラメータに応じて可変的な電力を供給してもよい。その場合、閾値はヒーターに供給される電力に応じてもよい。
【0083】
方法は、ヒーターを最初に使用する前に当初の電気抵抗を決定することを含んでもよい。ヒーターを最初に使用する前に当初の抵抗が決定される場合、ヒーター要素は室温前後であると仮定することができる。経時的な抵抗の予想される変化はヒーター要素の当初の温度に依存する場合があるため、室温におけるまたは室温に近い温度での当初の抵抗を測定することによって、予想される挙動の帯域をより狭く設定することができる。
【0084】
方法は当初の抵抗を測定された当初の抵抗から、システム内の他の電気的構成要素および電気接点からもたらされる仮定される寄生抵抗を差し引いたものとして計算することを含んでもよい。
【0085】
電気的に動作するエアロゾル発生システムは、ユーザーがシステムを吸煙した時に検出するための吸煙検出器を備えてもよく、また方法は吸煙検出器によって吸煙が検出された時、電源からヒーター要素へと電力を供給することと、各々の吸煙の間に有害な状態があるかどうかを決定することと、所定の回数の連続するユーザー吸煙に対して有害な状態がある場合に電源からヒーター要素への電力供給を防止することと、を含んでもよい。
【0086】
方法は、有害な状態がある場合、電源からヒーター要素への電力供給を防止することを含んでもよい。
【0087】
方法は、有害な状態があるかどうかを継続的に決定することと、有害な状態がある時、ヒーターへの電力供給を防止し、有害な状態がなくなるまでヒーター要素への電力供給の防止を継続することと、を含んでもよい。
【0088】
方法は、有害な状態がある時、所定の停止期間の間ヒーター要素への電力供給を防止することを含んでもよい。
【0089】
別の方法として、または追加的に、方法は、比が閾値を超えるかどうかを継続的に計算すること、および閾値に達するまでにかかった時間を保存された時間の値と比較することを含んでもよく、また閾値に達するまでにかかった時間が保存された時間の値より小さい場合、有害な状態を決定すること、およびヒーターへの電力供給を制御することを含んでもよい。
【0090】
第七の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生システム内の適合性がないヒーターまたは損傷されたヒーターを検出する方法が提供され、システムはエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、電気ヒーターに電力を供給するための電源と、を備え、この方法は、
【0091】
ヒーターの当初の電気抵抗と当初の抵抗からの電気抵抗の変化との間の比がメモリー内に保存された最大閾値の値より大きい、もしくは最小閾値の値より小さい時、または比が予想される期間外でメモリー内に保存された閾値の値に達する時、適合性がないヒーターもしくは損傷されたヒーターを決定することを含む。
【0092】
方法は、適合性がないヒーターであることが決定された場合、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで、電気ヒーターへの電力供給を防止すること、または表示を提供することを含んでもよい。
【0093】
方法は、電力がヒーターに供給された後の所定の期間内のヒーターの当初の抵抗、またはヒーターの当初の抵抗の変化の速度を測定することと、ヒーターの当初の抵抗またはヒーターの当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較することと、当初の抵抗または当初の抵抗の変化の速度が許容できる値の範囲外である場合、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで電気ヒーターへの電力供給を防止すること、または表示を提供することをさらに含む。
【0094】
所定の期間は、短い期間であってもよく、50ms~200msであってもよい。メッシュ発熱体を備えるヒーターについては、所定の期間はおよそ100msであってもよい。所定の期間は50ms~150msであることが好ましい。
【0095】
所定の期間の間の当初の抵抗の変化の速度を決定することは、所定の期間の間の異なる時点で複数の抵抗測定を行い、複数の抵抗測定に基づいて抵抗の変化の速度を計算することによって達成される場合がある。
【0096】
方法は、ヒーターまたはエアロゾル形成基体がシステムの中へ挿入された時に検出することをさらに含む場合がある。方法は、ヒーターまたはエアロゾル形成基体がシステムの中へと挿入されたことが検出された直後に実施されてもよい。
【0097】
本発明の第八の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生システム内の適合性がないヒーターまたは損傷されたヒーターを検出する方法が提供され、システムはエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、電気ヒーターに電力を供給するための電源と、を備え、この方法は、
【0098】
電力がヒーターに供給された後の所定の期間内のヒーターの当初の抵抗、またはヒーターの当初の抵抗の変化の速度を測定することと、ヒーターの当初の抵抗または当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較することと、ヒーターの当初の抵抗または当初の抵抗の変化の速度が許容できる値の範囲外である場合、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで電気ヒーターへの電力供給を防止すること、または表示を提供することと、を含む。
【0099】
所定の期間は、短い期間であってもよく、50ms~200msであってもよい。メッシュ発熱体を備えるヒーターについては、所定の期間はおよそ100msであってもよい。所定の期間は50ms~150msであることが好ましい。
【0100】
所定の期間の間の当初の抵抗の変化の速度を決定することは、所定の期間の間の異なる時点で複数の抵抗測定を行い、複数の抵抗測定に基づいて抵抗の変化の速度を計算することによって達成される場合がある。
【0101】
方法は、ヒーターまたはエアロゾル形成基体がシステムの中へ挿入された時に検出することをさらに含む場合がある。方法は、ヒーターまたはエアロゾル形成基体がシステムの中へと挿入されたことが検出された直後に実施されてもよい。
【0102】
第九の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生システム内のマイクロプロセッサ上でコンピュータプログラム製品が実行される時、第六、第七、第八の態様の工程を実施するように、ソフトウェアコード部分を備えるマイクロプロセッサの内部メモリーへと直接的にロードできるコンピュータプログラム製品が提供され、システムはエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター、および電力を電気ヒーターに供給するための電源を備え、マイクロプロセッサは電気ヒーターおよび電源に接続される。
【0103】
コンピュータプログラム製品は、ダウンロード可能なソフトウェアの1つとして、またはコンピュータ可読記憶媒体上に記録して提供されてもよい。
【0104】
第十の態様によると、第九の態様によるコンピュータプログラムがその上に保存されているコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0105】
本発明の一態様に関連して説明した特徴は、発明の他の態様に適用されてもよい。特に、第一の態様に関して説明した特徴は、本発明の第二、第三、第四、および第五の態様に適用されてもよい。本発明の第一、第二、第三、第四、および第五の態様に関して説明した特徴は、本発明の第六、第七、および第八の態様にも適用可能である。
【0106】
本発明は、ほんの例証として、添付図面を参照しながら、さらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1a図1aは、本発明の実施形態によるシステムの概略図である。
図1b図1bは、本発明の実施形態によるシステムの概略図である。
図1c図1cは、本発明の実施形態によるシステムの概略図である。
図1d図1dは、本発明の実施形態によるシステムの概略図である。
図2図2は、図1a~図1dに示したシステムで使用するカートリッジの分解組立図である。
図3図3は、フィラメント間の液体エアロゾル形成基体のメニスカスを示す、ヒーターのフィラメントの詳細図である。
図4図4は、ユーザーの吸煙の間のヒーターの抵抗の変化の概略図である。
図5図5は発熱体の抵抗を測定しうる方法を示す電気回路図である。
図6図6は有害な状態の検出の後に続く制御プロセスを図示する。
図7図7は第一の代替的なエアロゾル発生システムの概略図である。
図8図8は第二の代替的なエアロゾル発生システムの概略図である。
図9図9は、認可されていないヒーター、損傷されたヒーター、または適合性がないヒーターを検出するための方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0108】
図1a~図1dは、本発明の実施形態によるカートリッジを含む、エアロゾル発生システムの概略図である。図1aは、エアロゾル発生装置10および別個のカートリッジ20の概略図であり、まとめて、エアロゾル発生システムを形成する。この例で、エアロゾル発生システムは電気的に作動する喫煙システムである。
【0109】
カートリッジ20は、エアロゾル形成基体を含み、装置内のくぼみ18内に受けられるように構成される。カートリッジ20は、カートリッジ内に提供されたエアロゾル形成基体が消耗した時に、ユーザーによって交換可能であるべきである。図1aは、装置への挿入直前のカートリッジ20を示し、図1aの矢印1は、カートリッジの挿入方向を示す。
【0110】
エアロゾル発生装置10は携帯型で、従来的な葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを持つ。装置10は、本体11およびマウスピース部分12を含む。本体11は、電池14(リン酸鉄リチウム電池など)、電気回路16、およびくぼみ18を含有する。電気回路16はプログラマブルマイクロプロセッサを備える。マウスピース部分12は、ヒンジ付接続部21によって本体11に接続され、図1に示す開位置と図1dに示す閉位置との間で移動可能である。マウスピース部分12は、カートリッジ20の挿入および除去が許容されるように開位置に置かれ、またシステムがエアロゾルの発生に使用される時に閉位置に置かれる。マウスピース部分は、複数の空気吸込み口13および出口15を含む。使用時に、ユーザーは出口を吸うかまたは吸入して、空気を空気吸込み口13からマウスピース部分を通して出口15に引き出し、その後、ユーザーの口または肺に入る。内部バッフル17は、マウスピース部分12を通してカートリッジを通過する空気の流れを強制するために提供される。
【0111】
くぼみ18は円形断面を持ち、カートリッジ20のハウジング24を受けるサイズである。電気コネクター19は、制御電子回路16および電池14とカートリッジ20の対応する電気接点との間に電気的接続を提供するために、くぼみ18の側部に提供される。
【0112】
図1bは、カートリッジがくぼみ18に挿入され、カバー26が除去された図1aのシステムを示す。この位置で、電気コネクターは、カートリッジ上の電気接点に対して置かれている。
【0113】
図1cは、カバー26が完全に除去され、マウスピース部分12が閉位置に移動される図1bのシステムを示す。
【0114】
図1dは、マウスピース部分12が閉位置にある図1cのシステムを示す。マウスピース部分12は、留め金機構によって閉位置に保持される。閉位置にあるマウスピース部分12は、システムの向きに関係なく、使用時に良好な電気的接続が維持されるように、カートリッジを電気コネクター19と電気的に接触した状態に保つ。
【0115】
図2は、カートリッジ20の分解組立図である。カートリッジ20は、くぼみ18内に受けられるように選択されるサイズおよび形状を持つ一般的に円柱状のハウジング24を含む。ハウジングは、液体エアロゾル形成基体内に浸された毛細管材料27、28を含む。この例では、エアロゾル形成基体は、39重量パーセントのグリセリン、39重量パーセントのプロピレングリコール、20重量パーセントの水および風味剤、および2重量パーセントのニコチンを含む。毛細管材料は、液体を一方の端から他方に能動的に運ぶ材料であり、適切な任意の材料から製造されうる。この例では、毛細管材料はポリエステルから形成される。
【0116】
は、ヒーター組立品30が固定される開放端を持つ。ヒーター組立品30は、その中に開口部35が形成された基体34と、基体に固定されかつギャップ33により相互に分離された一対の電気接点32と、開口部を横切って開口部35の反対側にある電気接点に固定された複数の導電性ヒーターフィラメント36とを含む。
【0117】
ヒーター組立品30は、取り外し可能なカバー26によって覆われる。カバーは、ヒーター組立品に接着されるが、簡単に剥がすことができる液体不浸透性プラスチックシートを含む。剥がす時にユーザーがカバーを掴むことができるように、タブがカバーの側面に提供されている。接着は不浸透性プラスチックシートをヒーター組立品に固定する方法として説明されているが、消費者によってカバーが簡単に除去されうる限り、ヒートシールまたは超音波溶接を含めた当業者が精通している他の方法も使用してもよいことが、当業者には明らかとなろう。
【0118】
図2のカートリッジには別個の2つの毛細管材料27、28がある。第一の毛細管材料27のディスクが、使用時にヒーター要素36、32と接触するように提供されている。第二の毛細管材料28の大きい方の本体はヒーター組立品への第一の毛細管材料27の反対側に提供されている。第一の毛細管材料および第二の毛細管材料はどちらも、液体エアロゾル形成基体を保持する。ヒーター要素と接触する第一の毛細管材料27は第二の毛細管材料28よりもより高い熱分解温度(少なくとも160℃以上、例えば約250℃など)を持つ。第一の毛細管材料27は第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、ヒーター要素36、32を第二の毛細管材料28から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。第一の毛細管材料全体での熱勾配は第二の毛細管材料がその熱分解温度を下回る温度に晒されるようにするためである。第二の毛細管材料28は第一の毛細管材料27への優れた芯の性能を持つものを選択でき、単位体積あたり第一の毛細管材料よりも多くの液体を保持でき、また第一の毛細管材料よりも安価なものとしうる。この例では第一の毛細管材料はガラス繊維またはガラス繊維を含む要素などの耐熱素子であり、また第二の毛細管材料は適切な毛細管材料などのポリマーである。例示的な適切な毛細管材料としては、本明細書で考察した毛細管材料が挙げられ、また代替的な実施形態では、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられうる。
【0119】
毛細管材料27、28は、ハウジング24内で液体をヒーター組立品30に運ぶのに有利に方向付けられる。カートリッジが組み立てられる時、ヒーターフィラメント36、37、38は毛細管材料27と接触してもよく、そのためエアロゾル形成基体はメッシュヒーターに直接運ぶことができる。図3は、ヒーター組立品のフィラメント36の詳細図であり、ヒーターフィラメント36間の液体エアロゾル形成基体のメニスカス40を示す。ヒーター組立品により発生されたほとんどの熱がエアロゾル形成基体内に直接入るように、エアロゾル形成基体はそれぞれのフィラメントのほとんどの表面に接触することがわかる。
【0120】
そのようにして、通常動作では、液体エアロゾル形成基体はヒーターフィラメント36の表面の大きい部分に接触する。ところが、カートリッジ内の液体基体のほとんどが使用された時、ヒーターフィラメントに送達される液体エアロゾル形成基体はより少なくなる。気化する液体がより少ないと、気化のエンタルピーによって取り上げられるエネルギーがより小さくなり、加熱フィラメントに供給されるエネルギーのより多くが、加熱フィラメントの温度を上げることに向けられる。そのようにしてヒーター要素が乾燥すると、所与のかけられた電力に対するヒーター要素の温度上昇の速度が増加する。ヒーター要素は、カートリッジ内のエアロゾル形成基体をほとんど使用しきるため、またはユーザーが非常に長いまたは非常に頻繁な吸煙を行い、かつ液体をヒーターフィラメントに気化するのと同程度に速く送達することができないため、乾燥しきる場合がある。
【0121】
使用時に、ヒーター組立品は抵抗加熱により動作する。電流は、制御電子回路16の制御に基づき、フィラメント36を通過し、フィラメントを望ましい温度範囲内に加熱する。フィラメントのメッシュまたはアレイは、高い温度がフィラメントに局所化されるように電気接点32および電気コネクター19よりも著しく高い電気抵抗を持つ。この実施例では、システムはユーザーの吸煙に応答して電流をヒーター組立品に提供することによって熱を発生するように構成される。別の実施形態では、システムは、装置が「オン」状態にある間に連続的に熱を発生するように構成されてもよい。フィラメント用の異なる材料が、異なるシステムで適切でありうる。例えば、連続的加熱システムでは、比熱容量が比較的低く、かつ低電流の加熱と適合性があるため、Ni-Crフィラメントが適切である。高電流パルスを使用した短時間のバーストで熱が発生される吸煙により作動するシステムでは、高い比熱容量を持つステンレス鋼フィラメントがより適切でありうる。
【0122】
システムは、マウスピース部分を通してユーザーが空気を吸い込んだ時、検出するように構成された吸煙センサーを含む。吸煙センサー(図示せず)は制御電子回路16に接続され、制御電子回路16は、ユーザーが装置で喫煙していることが判断された時にのみ電流をヒーター組立品30に供給するよう構成される。マイクロフォンまたは圧力センサーなどの、任意の適切な気流センサーが吸煙センサーとして使用されてもよい。
【0123】
この温度変化の速度の増加を検出するために、電気回路16はヒーターフィラメントの電気抵抗を測定するように構成される。この実施例のヒーターフィラメントは、ステンレス鋼から形成され、そのため正の温度抵抗係数を持つ。これは、ヒーターフィラメントの温度が上昇するとその電気抵抗も上昇することを意味する。
【0124】
図4は、ユーザーの吸煙の間のヒーターの抵抗の変化の概略図である。x軸は、当初のユーザーの吸煙および結果としてもたらされたヒーターへの電力供給の検出後の時間である。y軸はヒーター組立品の電気抵抗である。ヒーター組立品がいかなる加熱も生じる前に当初の抵抗R1を持つことがわかる。R1は、電気接点32および電気コネクター19ならびにそれらの間の接点からもたらされる寄生抵抗RPと、ヒーターフィラメントの抵抗R0と、から得られる。ユーザーの吸煙の間に電力がヒーターにかけられると、ヒーターフィラメントの温度が上昇し、ヒーターフィラメントの電気抵抗が上昇する。図示したように、t1の時点にてヒーター組立品の抵抗はR2である。したがって、当初の抵抗からt1の時点における抵抗へのヒーター組立品の電気抵抗の変化は、ΔR=R2-R1である。
【0125】
この実施例では、ヒーターフィラメントが加熱されても寄生抵抗RPは変化しないと仮定される。これは、RPが電気接点32および電気コネクター19などの加熱されない構成要素を原因とするためである。RPの値はすべてのカートリッジに対して同一になると仮定されており、また値は電気回路のメモリーに保存されている。
【0126】
ヒーターフィラメントの抵抗とその温度との間の関係は、以下の式で与えられる。
R2=R0*(1+α*ΔT)+RP (1)
式中αはヒーターフィラメントの電気抵抗の温度係数であり、またΔTはヒーターに電力をかける前の当初の温度とt1の時点での温度との間の温度の変化である。
【0127】
閾値の値Kは電気回路内に保存され、Kはα*ΔTmaxと等しい。温度がt1の時点でΔTmaxより多く上昇する場合、ヒーターが乾燥した状態などの有害な状態であることが考えられる。
【0128】
式1より:
K=α*ΔTmax=ΔR/R0 (2)
【0129】
そのため、ヒーターフィラメントが乾燥した状態を示す温度の急激な上昇を検出するために、比ΔR/R0の値を保存されたKの値と比較することができる。ΔR/R0>Kである場合、ヒーターにおいて乾燥した状態がある。
【0130】
電気回路によってこの比較を実施することができるが、特にいかなる割り算も実施する必要性を避けるために、電子的な処理動作に適合するように不等号を配列し直すことができる。この実施例では、電気回路内のマイクロプロセッサ上で実行しているソフトウェアは、式1に由来する、以下の比較を実施する。
R2>(R1*(K+1)-K*RP)である場合、ヒーターにおいて乾燥した状態がある。 (3)
【0131】
R2およびR1は、両方とも測定された値であり、またKおよびRPはメモリー内に保存される。理想的にはR1の値はいかなる加熱も行われる前に、言い換えればヒーターを最初に起動する前に測定され、かつその測定された値はすべての後に続く吸煙に対して使用される。これは、以前の吸煙に由来する残留熱からもたらされるあらゆるエラーを回避する。R1は、各々のカートリッジに対して1回のみ測定されてもよく、新しいカートリッジが挿入された時、決定するために検出システムが使用され、またはR1はシステムのスイッチがオンになるたびに測定されてもよい。
【0132】
乾燥したヒーター状態を除いた他の有害な状態もこのようにして検出される場合がある。温度抵抗係数が異なる材料から形成されたヒーターを持つカートリッジがシステムで使用される場合、電気回路はそれを検出することができ、かつ電力をこれに供給しないように構成されてもよい。本実施例では、ヒーターフィラメントはステンレス鋼から形成される。Ni-Crから形成されたヒーターを持つカートリッジは、温度抵抗係数がより低いことになり、これはその抵抗が温度の上昇とともによりゆっくり上昇することを意味する。そのため、α*ΔTminと等しいK2の値がメモリー内に保存される場合、これはステンレス鋼ヒーター要素に対して予想される時間t1での最も低い温度上昇に対応し、次いでR2<(R1*(K2+1)-K*RP)である場合、回路はシステム内に存在する認可されていないカートリッジに対応する有害な状態を決定する。図9は適合性がないヒーターを検出するプロセスを図示する。
【0133】
つまりシステムは、有害な状態を決定するために、R2またはΔR/R0、またはさらにはΔR/R1を保存された高い閾値および保存された低い閾値と比較するように構成されてもよい。R1は、予想される範囲内であることをチェックするために閾値(複数可)とも比較してもよい。これらは複数の高い保存された閾値であってさえもよく、どの高い閾値を超えたかに応じて異なる措置が講じられる。例えば、最も高い閾値を超えた場合、回路はヒーターおよび/または基体を交換するまでさらなる電力供給を防止する場合がある。これは、基体を完全に消耗したこと、または損傷したヒーターもしくは適合性がないヒーターを示す場合がある。いつ基体がほとんど消耗した状態になるかを決定するために、より低い閾値が使用されてもよい。このより低い閾値を超えるが、より高い閾値を超えない場合、回路は単純にLEDの点灯などの表示を提供する場合があり、まもなく基体を交換する必要があることを示す。
【0134】
ΔR/R0の比は、吸煙と吸煙との間でヒーターが十分冷めるかどうかを決定するために継続的にモニターされてもよい。ユーザーが非常に頻繁に吸煙するために吸煙と吸煙との間で比が冷却閾値より低くならない場合、比が冷却閾値より下に下がるまで電気回路はヒーターへの電力供給を防止または制限してもよい。別の方法として、十分な冷却が生じているかどうかを決定するために、吸煙の間の比の最大値と吸煙の後に続く比に対する最小値との間の比較がなされてもよい。
【0135】
また、比ΔR/R0が継続的にモニターされてもよく、また閾値の値に達する時間が時間閾値と比較されてもよい。ΔR/R0が閾値にずっとより速く達する場合、または予想されるよりも遅く達する場合、これは適合性がないヒーターなどの有害な状態を示す場合がある。ΔRの変化の速度も決定し、かつ閾値と比較することができる。ΔRが非常に迅速にまたは非常にゆっくり上昇する場合、これは有害な状態を示す場合がある。これらの技法は、適合性がないヒーターを非常に迅速に検出できるようにする場合がある。
【0136】
図5は発熱体の抵抗を測定し得るやり方を示す概略的な電気回路図である。図5では、ヒーター501は、電圧V2を提供するバッテリー503に接続される。特定の時点で測定されるヒーター抵抗は、Rヒーターである。ヒーター501と直列に、既知の抵抗rを持つ追加的な抵抗器505が挿入され、電圧V1に接続されるが、これは接地と電圧V2の中間である。マイクロプロセッサ507がヒーター501の抵抗Rヒーターを測定するために、ヒーター501を通る電流、およびヒーター501の両端にかかる電圧の両方を決定できる。次に、以下の周知の公式を使用して抵抗を決定できる。
【0137】
図5で、ヒーターの両端にかかる電圧はV2-V1であり、ヒーターを流れる電流はIである。よって
【0138】
その抵抗rが既知である追加的な抵抗器505を使用して、再び上記の(1)を使用して、電流Iを決定する。抵抗器505を流れる電流はIであり、抵抗器505の両端にかかる電圧はV1である。よって、
ゆえに、(5)と(6)を組み合わせると、
【0139】
こうして、マイクロプロセッサ507は、V2およびV1を測定することができ、エアロゾル発生システムが使用されると、rはわかっているため、異なる時点でのヒーターの抵抗を決定することができる。
【0140】
電気回路は、有害な状態が検出された後に続いて、ヒーターへの電力供給をいくつかの異なるやり方で制御することができる。別の方法として、または追加的に、電気回路は単純に有害な状態が検出されたことをユーザーに表示してもよい。システムLEDもしくはディスプレイを含んでもよく、またはマイクロフォンを備えてもよく、またこれらの構成要素は有害な状態の警報をユーザーに出すために使用されてもよい。
【0141】
図6aは、吸煙により作動するシステムのための第一の制御プロセスを図示する。図6aに図示される図では、ΔR/R0が単一の吸煙に対する高い閾値を超える場合、電気回路はヒーターに電力を供給し続ける。図6aは3つの連続する吸煙を示し、その間に高い閾値を超えている。特定の回数の連続吸煙、例えば3回、4回、または5回の吸煙に対してΔR/R0が高い閾値を超えた場合のみ、ヒーターへの電力が停止される。閾値を超える単一の事例はユーザーの吸煙が非常に長い結果である可能性があるが、いくつかの連続吸煙でその間に高い閾値を超えるのは、それよりもカートリッジが空になった結果である可能性が高い。その時点で、例えば、カートリッジ内のヒューズを飛ばすことによってカートリッジは無効化されてもよく、または電気回路はカートリッジが交換もしくは再充填されるまでさらなる電力の供給を遮断してもよい。
【0142】
図6bは、代替として使用してもよい別の制御プロセスを開示し、または図6bを参照して説明されるプロセスに別の制御プロセスを追加してもよい。図6bの制御プロセスでは、電気回路は、高い閾値を超えたことが決定されるとすぐにユーザー吸煙の終りまでヒーターへの電力供給を停止する。新しいユーザー吸煙が検出されると、再度ヒーターに電力が供給される。これは、ユーザーが過剰に吸煙する時でさえ、ヒーターが熱くなりすぎるのを防止するために有用である場合がある。電力を停止するのと同様に、閾値に達したことが表示される可能性がある。
【0143】
図6cは、代替的な制御プロセスを図示し、その中で電気回路は、高い閾値を超えたことが決定されるとすぐにヒーターへの電力供給を停止する。後に続くユーザー吸煙に対しても電力供給は防止される。電力がヒーターに再度供給されるようにするためには、ユーザーはカートリッジ交換するか、または再設定動作を実施することが必要とされる場合がある。この制御プロセスは、図6aおよび図6bを参照して説明されるプロセスと併せて使用されてもよいが、図6aおよび図6bを参照して説明されるプロセスで使用されるものより高い閾値を基準にしている。より高い閾値は、完全に消耗したエアロゾル形成基体、または欠陥のあるヒーター、もしくは適合性がないヒーターを示す場合がある。
【0144】
本発明は、メッシュヒーター付きのカートリッジベースのシステムを参照して説明してきたが、他のエアロゾル発生システムでも同一の有害な状態の検出方法を使用することができる。
【0145】
図7は、本発明による、これもやはり液体基体および毛細管材料を使用する、代替的なシステムを図示する。図7では、システムは喫煙システムである。図7の喫煙システム100は、マウスピース端103および本体端105を持つハウジング101を備える。本体端には、電池107の形態の電源および電気回路109が提供されている。電気回路109と連動する吸煙検出システム111も提供されている。マウスピース端には、液体115を含むカートリッジ113の形態の液体貯蔵部分、毛細管芯117およびヒーター119が提供されている。図7では、ヒーターは概略的に示しているのみであることに留意されたい。毛細管芯117の一方の端はカートリッジ113内に延び、毛細管芯117の他方の端はヒーター119によって囲まれている。ヒーターは、カートリッジ113の外側に沿って通ってもよい(図7には図示せず)接続部121を経由して電気回路に接続される。ハウジング101はまた、空気吸込み口123、マウスピース端にある空気出口125、エアロゾル形成チャンバー127を含む。
【0146】
使用時、動作は以下の通りである。液体115は、カートリッジ113からの毛細管作用によって、カートリッジ内に延びる芯117の一方の端からヒーター119によって囲まれる芯の他方の端へ運ばれる。ユーザーが空気出口125でエアロゾル発生システムを吸うと、周囲空気は空気吸込み口123を通して吸い込まれる。図7に示す配置では、吸煙検知システム111は、吸煙を感知し、ヒーター119を起動する。電池107が電気エネルギーをヒーター119に供給して、ヒーターによって囲まれる芯117の端を加熱する。芯117の端にある液体は、ヒーター119によって気化され、過飽和蒸気を生成する。同時に、気化された液体は、毛細管作用により芯117に沿って移動するさらなる液体で置き換えられる。生成された過飽和蒸気は空気吸込み口123からの気流と混合され、気流中で運ばれる。エアロゾル形成チャンバー127内で、蒸気は凝縮して吸引可能なエアロゾルを形成し、これが空気出口125に向かって運ばれ、ユーザーの口内に入る。
【0147】
図7に示す実施形態において、電気回路109および吸煙検出システム111は、図1a~図1dの実施形態に示すようにプログラム可能である。
【0148】
毛細管芯は、様々な多孔性または毛細管材料で作成され、既知の予め設定された毛管現象を有するのが好ましい。例として、繊維または焼結粉末の形態のセラミックまたはグラファイトをベースにした材料がある。別の多孔性の芯を使用して、密度、粘度、表面張力および蒸気圧などの物理的特性の異なる液体を収容することができる。この芯は、液体貯蔵部分に十分な液体がある時、要求される液体の量をヒーターに送達できるように適したものでなければならない。
【0149】
ヒーターは、毛細管芯の周囲に延在する少なくとも1つの加熱用のワイヤまたはフィラメントを備える。
【0150】
図1図3を参照して説明されるシステムでのように、芯を形成する毛細管材料は、カートリッジ内の液体を使用しきった場合、またはユーザーが非常に長く深い吸煙を行った場合、ヒーターワイヤの近くは乾燥しきる場合がある。図1図3のシステムを参照して説明されるのと同様に、乾燥した芯などの有害な状態があるかどうかを決定するために、それぞれの吸煙の最初の部分の間のヒーターワイヤの抵抗の変化を使用することができる。
【0151】
図7に図示されたタイプのシステムには、芯の周りを包むヒーターワイヤの長さの変動のために、同一のタイプのカートリッジの間でさえもヒーター抵抗にかなりの変動があってもよい。本発明は、電気回路が閾値として最大ヒーター抵抗値を保存する必要がなく、その代りその当初の測定された抵抗に対する抵抗の増加が使用されるので、特に有利である。
【0152】
図8は、本発明を具体化することができる、なお別のエアロゾル発生システムを図示する。図8の実施形態は、たばこ系の固体基体が燃焼することなく加熱され、吸入用のエアロゾルを生成する、電気加熱式たばこ装置である。図8では、エアロゾル発生装置700の構成要素は単純化した様式で示されており、縮尺は正確なものではない。本実施形態の理解に関連性のない要素は、図8を単純化するために省略されている。
【0153】
電気加熱式エアロゾル発生装置200は、ハウジング203と、例えば、紙巻たばこなどのエアロゾル形成基体210とを備える。エアロゾル形成基体210は、ハウジング203によって形状が決められるくぼみ205内に押し込まれ、ヒーター201と熱的に近接するようになる。エアロゾル形成基体210は、多様な揮発性化合物を異なる温度で放出する。電気加熱式エアロゾル発生装置200の動作温度を一部の揮発性化合物の放出温度よりも低く制御することにより、これらの煙成分の放出または形成を回避することができる。
【0154】
ハウジング203内には、電力供給源207、例えば充電式リチウムイオン電池がある。電気回路209はヒーター201および電力供給源207に接続される。電気回路209は、その温度を調節するためにヒーター201に供給される電力を制御する。エアロゾル形成基体の検出器213は、ヒーター201と熱的に近接したエアロゾル形成基体210の存在および固有性を検出することができ、エアロゾル形成基体210の存在を電気回路209にシグナルとして伝える。基体の検出器を提供することは随意的である。気流センサー211がハウジング内に提供され、電気回路209に接続されて、装置を通過する気流速度を検出する。
【0155】
説明した実施形態では、ヒーター201は、セラミック基体上に堆積された電気抵抗性のあるトラック(複数可)である。セラミック基体は、ブレードの形態であり、使用時にエアロゾル形成基体210の中へと挿入される。ヒーターは装置の一部を形成し、かつ数多くの異なる基体を加熱するために使用されてもよい。ところが、ヒーターは交換可能な構成要素であってもよく、また代替のヒーターの電気抵抗は異なってもよい。
【0156】
図8に説明されるタイプのシステムは、連続的に加熱されるシステムであってもよく、この中では、システムがオンである間、ヒーターの温度は目標温度に維持され、またはこれは、吸煙が検出される期間の間により多くの電力を供給することによってヒーターの温度が上昇される、吸煙により作動するシステムであってもよい。
【0157】
吸煙により作動するシステムの場合には、動作は以前の実施形態を参照して説明されるものと非常に類似している。基体がヒーター付近で乾燥している場合、ヒーター抵抗は、基体がまだ比較的低い温度で気化することができるエアロゾル形成剤を含有する場合よりも、所与のかけられた電力に対してより迅速に上昇する。
【0158】
連続的に加熱されるシステムの場合には、ユーザーがシステムで吸煙した時は、当初、ヒーターを通過する気流の冷却効果に起因したヒーターの温度低下がある。吸煙が最初に検出された時、ヒーター抵抗を測定し、R1として記録することができ、また、説明されているのと類似の様式で、システムがヒーターを目標温度に戻した時に、後に続く抵抗R2を、吸煙を検出した後のt1の時点において測定することができる。次に、前述のようにΔRおよびR0を計算することができ、次いでΔR/R0の比を前述のように保存された閾値と比較して、基体がヒーター付近で乾燥しているかどうかを決定することができる。基体は、使用により消耗しているために、または古い、もしくは不適切に保存されていたために、または偽造品であって、含水量が純正品のエアロゾル形成基体とは異なるために乾燥している場合がある。
【0159】
図8のシステムは、電気回路209中に、有害な状態が検出された時に点灯する警告LED 215を含む。
【0160】
図9は、認可されていないヒーター、損傷されたヒーター、または適合性がないヒーターを検出するための方法を図示するフローチャートである。第一の工程300では、装置の中へのヒーターを含むカートリッジの挿入が検出される。次に、工程300ではヒーターR1の電気抵抗が測定される。これは、電力がヒーターに供給された後、100msなどの所定の期間に行われる。工程320では、測定された抵抗R1を予想される抵抗または許容できる抵抗の範囲と比較する。許容できる抵抗の範囲は、製造許容差ならびに純正品ヒーターおよび基体との間の変動を考慮に入れる。R1が予想される範囲外である場合、プロセスは工程330に進み、ここでは装置と適合性がないと考えられるため、聴覚的なアラームなどの表示が提供され、かつヒーターへの電力の供給が防止される。その後プロセスは工程300に戻り、新しいカートリッジの挿入の検出を待つ。
【0161】
代替として、または追加として、工程300で当初の抵抗R1を測定するために、電力がヒーターに供給された後の所定の期間内、例えば100msまでに、当初の抵抗の変化の速度を測定してもよい。これは、所定の期間に異なる時点で複数の抵抗測定を行い、その後複数の抵抗測定およびそれらの測定が行われた複数の時点から当初の抵抗の変化の速度を計算してもよい。同一のやり方で、ヒーターの特定の設計は、許容できる値の範囲内の当初の抵抗を持つものと予想でき、ヒーターの特定の設計は、所与のかけられた電力に対して抵抗の変化の速度値の許容範囲内の当初の抵抗の変化の速度を持つものと予想されうる。計算された当初の抵抗の変化の速度は、抵抗の変化の速度値の許容範囲と比較することができ、また計算された抵抗の変化の速度が許容範囲外である場合、プロセスは工程330に進む。
【0162】
工程320で、R1が予想される抵抗の範囲内であることが決定される場合、プロセスは工程340に進む。工程340で、期間t1の間ヒーターに電力がかけられ、その後ΔR/R0の比が計算される。有利なことに、t1はエアロゾルの有意な発生前の短い期間となるように選ばれる。工程350では、比ΔR/R0の値は予想される値または許容できる値の範囲と比較される。予想される値の範囲は、この場合もやはり、ヒーターおよび基体組立品の製造での変動を考慮に入れる。ΔR/R0の値が予想される範囲外である場合、ヒーターは適合性がないと考えられ、プロセスは前述のように工程330に行き、次に工程300に戻る。ΔR/R0の値が予想される範囲内である場合、プロセスは工程360に進み、ここでユーザーの要求に応じてエアロゾルを発生できるように電力がヒーターに供給される。
【0163】
本発明は、3つの異なるタイプの電気的な喫煙システムを参照しながら説明してきたが、本発明が他のエアロゾル発生システムに適用可能であることは明らかであろう。
【0164】
本発明は、プログラム可能なコントローラ上で実行するためのコンピュータプログラム製品として、既存のエアロゾル発生システム内に実装されてもよいことも明らかであるべきである。コンピュータプログラム製品は、ダウンロード可能なソフトウェアの1つとして、またはコンパクトディスクなどのコンピュータ可読媒体上に提供されてもよい。
【0165】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に動作するエアロゾル発生システムであって、
エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
電源と、
前記電気ヒーターおよび前記電源に接続される、メモリーを備えた電気回路と、
を備え、
前記電気回路は、
前記エアロゾル形成基体を加熱するために使用される電力よりも低い電力である当初の電力供給を前記電気ヒーターに提供し、
前記当初の電力供給が前記電気ヒーターに供給された後の所定の期間内の前記電気ヒーターの当初の抵抗または当初の抵抗の変化の速度を測定し、
前記電気ヒーターの前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較し、
前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度が前記許容できる値の範囲外である場合、前記電気ヒーターまたは前記エアロゾル形成基体が交換されるまで、前記電気ヒーターへの前記電力供給を防止し、または、表示を提供するように構成されており、
前記電気回路は、前記エアロゾル形成基体を加熱するよう前記電気ヒーターに電力を供給するものとは別のルーチンとして、前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を測定するようにさらに構成されている、電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記エアロゾル発生システムが装置および取り外し可能なカートリッジを備え、前記電源および前記電気回路が前記装置内に配置されており、また前記電気ヒーターが前記取り外し可能なカートリッジ内に配置されており、かつ前記カートリッジが液体エアロゾル形成基体を備える、請求項1に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項3】
使用時に、前記エアロゾル形成基体が前記発熱体と接触する、請求項1又は2に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記所定の期間は、50ミリ秒から200ミリ秒である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度が前記許容できる値の範囲内である場合、前記電気回路が、前記電気ヒーターの前記当初の抵抗と前記当初の抵抗からの抵抗の変化との間の比が前記メモリー内に保存される最大閾値の値より小さいとき、もしくは最小閾値の値より大きいとき、許容できるヒーターがあることを判定し、許容できるヒーターあるが否かに基づいて前記電気ヒーターへの電力供給を制御するよう構成され、または、許容できるヒーターが無い場合、表示を提供するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記電気回路は、許容できるヒーターがあることを、前記電気ヒーターに電力を最初に供給してから1秒以内に決定するよう構成されている、請求項5に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記エアロゾル発生システムが電気加熱式の喫煙システムである、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項8】
ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
電気的に動作するエアロゾル発生装置で使用するための電気回路であって、使用時に、前記電気ヒーターおよび電源に接続される、メモリーを備えた電気回路と、
を備え、
前記電気回路は、
前記エアロゾル形成基体を加熱するために使用される電力よりも低い電力である当初の電力供給を前記電気ヒーターに提供し、
前記当初の電力供給が前記電気ヒーターに供給された後の所定の期間内の前記電気ヒーターの当初の抵抗、または当初の抵抗の変化の速度を測定し、
前記電気ヒーターの前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較し、
前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度が前記許容できる値の範囲外である場合、前記電気ヒーターまたは前記エアロゾル形成基体が交換されるまで、前記電気ヒーターへの前記電力供給を防止し、または表示を提供するように構成されており、
前記電気回路は、前記エアロゾル形成基体を加熱するよう前記電気ヒーターに電力を供給するものとは別のルーチンとして、前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を測定するようにさらに構成されている、ヒーター組立品。
【請求項9】
電気的に動作するエアロゾル発生装置であって、
電源と、
前記電源に接続される、メモリーを備えた電気回路であって、使用時に電気ヒーターに接続されるように構成された電気回路とを備え、
使用時に前記電気回路は、
前記エアロゾル形成基体を加熱するために使用される電力よりも低い電力である当初の電力供給を前記電気ヒーターに提供し、
前記当初の電力供給が前記電気ヒーターに供給された後の所定の期間内の前記電気ヒーターの当初の抵抗、または当初の抵抗の変化の速度を測定し、
前記電気ヒーターの前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較し、
前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度が前記許容できる値の範囲外である場合、前記電気ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで、前記電気ヒーターへの前記電力供給を防止し、または表示を提供するように構成されており、
前記電気回路は、前記エアロゾル形成基体を加熱するよう前記電気ヒーターに電力を供給するものとは別のルーチンとして、前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を測定するようにさらに構成されている、エアロゾル発生装置。
【請求項10】
電気的に動作するエアロゾル発生システム内の適合性がないまたは損傷されたヒーターを検出する方法であって、前記システムがエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター、および前記電気ヒーターに電力を供給するための電源を備え、前記方法は、
前記エアロゾル形成基体を加熱するために使用される電力よりも低い電力である当初の電力供給を前記電気ヒーターに提供することと、
前記当初の電力供給が前記電気ヒーターに供給された後の所定の期間内の前記電気ヒーターの当初の抵抗、または当初の抵抗の変化の速度を測定することと、
前記電気ヒーターの前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較することと、
前記当初の抵抗または前記当初の抵抗の変化の速度が前記許容できる値の範囲外である場合、前記電気ヒーターまたは前記エアロゾル形成基体が交換されるまで前記電気ヒーターへの前記電力供給を防止すること、または表示を提供することと、を含み、
前記当初の抵抗、または当初の抵抗の変化の速度を測定することは、前記エアロゾル形成基体を加熱するよう前記電気ヒーターに電力を供給するものとは別のルーチンとして実行される、方法。
【請求項11】
ヒーター又はエアロゾル形成基体の前記システムへの挿入を検出することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記当初の抵抗、または当初の抵抗の変化の速度を測定することは、ヒーター又はエアロゾル形成基体が前記システムに挿入されていることが検出された直後に実行される、請求項11に記載の方法。