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  • 特開-フィルター要素およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053380
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】フィルター要素およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/17 20200101AFI20230404BHJP
   A24D 3/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
A24D3/17
A24D3/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022658
(22)【出願日】2023-02-16
(62)【分割の表示】P 2019546788の分割
【原出願日】2018-02-22
(31)【優先権主張番号】17158177.0
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ベギン アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ズッファ ニコロ
(57)【要約】
【課題】エアロゾル発生物品のためのフィルター要素を提供する。
【解決手段】本発明は、エアロゾル発生物品のためのフィルター要素であって、内表面を有する中空管状部分を備えるフィルター要素に関する。風味剤(20)は中空管状部分の内表面の上に直接堆積される。本発明は、エアロゾル発生物品用のフィルター要素を製造するための形成装置および方法にさらに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品のためのフィルター要素であって、内表面を有する中空管状部分を備え、風味剤が前記中空管状部分の前記内表面の上に直接堆積される、フィルター要素。
【請求項2】
前記風味剤がメントールである、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項3】
前記フィルター要素が中空アセテート管である、請求項1~2のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項4】
前記中空管状部分が中央の中空管状部分として前記フィルター要素内に提供されていて、かつ/または前記フィルター要素の前記中空管状部分がエアロゾルのための気流経路を形成するように提供されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項5】
空気が通って引き出されることができる前記フィルター要素材料の容積が基本的に変化しないままであるように、風味剤が前記中空管状部分の前記内表面の上に堆積される、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項6】
前記フィルター材料がセルロースアセテート繊維を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項7】
エアロゾル発生物品用のフィルターロッドを製造するための形成装置であって、
長軸方向軸を画定し、かつフィルター材料を導入する入口およびフィルターロッドを出力する出口を有する管状要素と、
風味剤を排出するためのノズルを有するロッド状の要素と、を備え、
前記ロッド状の要素が、前記管状要素の内側に少なくとも部分的に配置されていて、かつ風味剤を前記フィルターロッドの内表面の上に直接排出するために、前記ノズルが前記ロッド状の要素の前記外表面に配置されている、形成装置。
【請求項8】
前記ロッド状の要素が、前記ロッド状の要素を加熱するための発熱体を備える、請求項7に記載の形成装置。
【請求項9】
前記ロッド状の要素が前記ロッド状の要素内の循環する蒸気によって加熱されてもよいように、前記ロッド状の要素が中空である、請求項8に記載の形成装置。
【請求項10】
前記ロッド状の要素が、風味剤を前記ノズルに供給するための供給管を前記ロッド状の要素の中に備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の形成装置。
【請求項11】
前記管状要素が前記形成装置の外側形状を制限する、請求項7~10のいずれか一項に記載の形成装置。
【請求項12】
エアロゾル発生物品用のフィルター要素を製造するための方法であって、前記方法が、
フィルター要素内に内表面を有する中空管状部分を提供する工程と、
前記フィルター要素の前記中空管状部分の前記内表面の上に風味剤を直接堆積させる工程と、を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載のフィルター要素を製造するための方法であって、
前記フィルター要素を形成するためのフィルター材料を形成装置に装填する工程と、
前記形成装置内にロッド状の要素を提供する工程であって、前記ロッド状の要素が、風味剤を排出するためのノズルを備える、工程と、
前記押出成形されたフィルター材料内に中空管状部分が形成されるように、前記形成装置内に前記ロッド状の要素を位置付ける工程と、
前記押し出されたフィルター材料の前記中空管状部分の前記内表面の上に風味剤が堆積されるように、前記ロッド状の要素の前記ノズルから風味剤を排出する工程と、をさらに含む、方法。
【請求項14】
前記ロッド状の要素が、前記ロッド状の要素を加熱するための発熱体を備え、かつさらなる工程において、前記ロッド状の要素が加熱されて、前記押出成形されたフィルター材料内に前記中空管状部分を形成するために前記押出成形されたフィルター材料を結合する、請求項13に記載のフィルター要素を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品のためのフィルター要素であって、内表面を有する中空管状部分を備えるフィルター要素に関する。本発明は、エアロゾル発生物品用のフィルター要素を製造するための形成装置および方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
風味剤によってエアロゾル発生物品のエアロゾルの風味を修正することは周知である。従来の解決策によると、風味剤を喫煙物品のフィルターの中のカプセル内に提供することができる。しかしながら、こうした場合、風味はユーザーがカプセルを壊した時にのみ放出される。
【0003】
別の方法として、風味剤をエアロゾル発生物品の内側ライナー上に提供することができる。
【0004】
例えば、米国特許第3,062,218(A)号は、従来の紙巻たばこを開示している。図2に示すこの紙巻たばこでは、たばこロッドおよびフィルターが提供されている。フィルターは円筒内に提供されていて、この円筒の内表面をメントールで被覆して、紙巻たばこの煙の風味を修正することができる。
【0005】
同様に、米国特許第9,220,298(B1)号は、たばこおよびたばこに隣接した開放空間を包囲する紙ラッパーを有する従来の紙巻たばこを開示している。紙ラッパーの内表面を、喫煙風味で被覆することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、風味剤は製品の経時的な安定性に影響を与える場合がある。例えば、メントールは、構成要素を喫煙物品のラッピングペーパーに結合するために使用される通常的な接着剤と反応する場合がある。その結果、喫煙物品の構成要素とラッピング材料との間にメントール風味が拡散することは、品質問題を生じる場合があるので、好ましい解決策にはならない場合がある。
【0007】
連続的な風味を有するための別の解決策は、例えば喫煙物品のフィルターなどのロッド構成要素のうちの一つの内側に風味剤を提供することである。しかしながら、フィルターは無作為に詰め込まれた繊維で作製されているため、気流はフィルター内で無作為的な経路を有する。喫煙物品ごとに同一の体験を生成するために、フィルターのすべての繊維には風味剤が均一に提供されるべきである。さらに、フィルター材料に風味剤を提供することは、喫煙物品の引き出し抵抗(RTD)を修正する可能性があり、これはユーザーが喫煙物品をどの程度強く吸わなければならないかを測定するものであり、また正確に制御されるべき体験の重要なパラメータである。
【0008】
エアロゾルの風味剤を正確かつ簡単に制御することができるエアロゾル発生物品を有することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生物品のためのフィルター要素が提供されていて、フィルター要素は内表面を有する中空管状部分を備える。風味剤は、中空管状部分の内表面の上に直接堆積される。中空管状部分の内表面は、風味剤で被覆されてもよい。中空管状部分が風味剤で含浸されるように、風味剤は中空管状部分を含浸することが好ましい。それ故に風味剤は中空管状部分の内表面によって吸収されてもよい。風味剤の代わりに、活性剤が使用されてもよい。風味剤の代わりに、摂取可能な物質が使用されてもよい。
【0010】
風味剤は、中空管状部分の内表面の上にのみ堆積されることが好ましい。このようにして、空気を通して引き出すことができるフィルター要素内のフィルター材料の容積は変化しない。結果として、引き出し抵抗は風味剤の適用によって変化しないままである。この態様によると、中空管状部分の内表面は、風味剤がフィルター材料の中へと浸透することができないように、流体不透過性または液体不透過性となるように構成されてもよい。中空管状部分の内表面には、追加的な流体不透過性または液体不透過性の層が提供されてもよい。中空管状部分の内表面は、流体不透過性または液体不透過性となるように加熱または加圧されてもよい。風味剤はまた、フィルター材料の中へと含浸されてもよい。この場合でも、風味剤は依然として、引き出し抵抗が変化しない程度で、または実質的に変化しない程度でフィルター材料を含浸するのみである。風味剤は、フィルター材料の隙間を通る気流を遮ることなく、フィルター材料の繊維の中へと浸されてもよい。引き出し抵抗に対して決定的であるフィルター要素の容積は、フィルター要素の横方向、ならびにフィルターの長さで分かるフィルター要素の内表面によって画定される。引き出し抵抗を画定するために利用可能なフィルター要素の容積は結果として、風味剤によって悪影響を受けて損なわれることはない。
【0011】
フィルター要素内に中空管状部分を提供することは、空気(およびエアロゾル)が主に中空管状部分内を進むため、こうした中空管状部分の内側の気流経路が正確に分かるという利点を有する。それ故に、エアロゾルの中へと放出される風味の量は、中空管状部分内に適切な量の風味剤を提供することによって調整されてもよい。
【0012】
中空管状部分は、フィルター要素が対称なプロファイルを有するように、フィルター要素の中で中央に整列されてもよい。それ故に、フィルター要素の寸法安定性は強化される場合がある。
【0013】
風味剤は流体として提供されることが好ましい。液体は液体風味剤であることがより好ましい。風味剤の例は、アルコールベース、グリコールベース、または水性の、精油、オレオレジン、完全体、植物濃縮物、植物抽出物、蒸留物、および天然もしくは人工化学物質の風味剤である。使用してもよい風味剤の例は、たばこ、ベルガモット、シナモン、スペアミント、ペパーミント、バニラ、オレンジ、ゼラニウム抽出物、リナロール、コーヒー、メントール、ユーカリ、クローブ、ショウガ、および柑橘類である。一般的に、風味剤はエアロゾル修飾物質として提供されてもよい。風味剤は室温で固体であってもよい。風味剤は高温溶融性であってもよい。風味剤は室温で液体であってもよい。
【0014】
風味剤を中空管状部分の内表面の上に堆積させることによって、風味剤の大半は、中空管状部分の内側部の上に提供されてもよい。この点で、中空管状部分は、中空管状部分の内側中空部に向かって半径方向内向きに面する内側部と、半径方向外向きに面する外側部とを備える。中空管状部分の材料は、中空管状部分の内表面の上に堆積されている風味剤が基本的に、内側部に装填されるように選ばれてもよい。外側部は、基本的に風味剤を含まないままであってもよい。
【0015】
一般的にフィルターロッドの製造は、様々な成分の混合物でできたフィルター材料から開始する。紙巻たばこフィルターの製造のための原材料は、一般的にセルロース(例えば、木材から得られるセルロース)である。次いで、セルロースはアセチル化され、セルロースアセテートまたは単に「アセテート」と呼ばれる材料にされ、溶解され、かつ連続的な合成繊維として紡がれ、フィルタートウと呼ばれる束にされる。このトウは、フィルターとして作用するように一般的に開いていて、可塑化されていて、形作られ、適切な長さに切断されている。可塑剤は、セルロースアセテート繊維を溶解し、圧力および熱の作用によって単一のユニットの形で一緒にくっつき、これによってフィルター材料を固化し、フィルターロッドが形成される。フィルターは一般的に、多くの場合紙の細片を含むラッピング材料内に巻かれる。
【0016】
また、ラッピングペーパー内に巻かれていないフィルターの製造も可能である。巻かれていないフィルタープラグの製造において、フィルター材料は形成装置内で所望の形態に形作られている。使用される材料および成形のプロセスは、形成ユニットを離れた後でさえもフィルターロッドがその形状を十分な程度で維持するように実現され、これによって(別の方法では形状の安定のために使用される)ラッピングペーパーは省略されてもよい。巻かれていないフィルタープラグの製造中に、形成装置内のフィルター材料の流れは圧力および熱に供されてもよい。様々な方法で(例えば、蒸気などの高温空気もしくはマイクロ波エネルギーによって、または干渉することによって)必要な熱エネルギーがフィルター材料の中へと導入されてもよい。
【0017】
さらに、中空のフィルター、すなわちその長軸方向軸に沿ってフィルターを通過する中空管状部分を含むフィルターを製造することが可能である。フィルターは中空のフィルターであることが好ましい。フィルターは中空アセテート管であることが好ましい。
【0018】
さらに、内側表面上への風味剤の被覆を有するまたは有しないフィルター要素の中空管状部分の引き出し抵抗は、ゼロであることが好ましい。フィルター要素の中空管状部分は、エアロゾル発生物品の包括的なRTDに影響を与えないことが好ましい。
【0019】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形、または楕円形の断面の概して円筒形の要素を示すために使用される。
【0020】
フィルター材料は任意の適切な材料(複数可)を含んでもよい。適切な材料の例としては、セルロースアセテート、セルロース、再構成セルロース、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリプロピレン、紙、熱可塑性材料(澱粉など)、不織布材料、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。材料のうちの一つ以上はオープンセル構造へと形成されてもよい。フィルター材料はセルロースアセテートトウを含むことが好ましい。
【0021】
フィルター材料は追加的な材料を含んでもよい。例えば、追加的な材料はフィルタートウの中へと組み込まれてもよい。例えば、フィルター材料は吸収材材料を含んでもよい。「吸収材」という用語は、吸着剤、吸収剤、またはこれらの両方の機能を遂行しうる物質を指す。フィルター材料は接着剤もしくは可塑剤またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0022】
フィルター材料は可塑剤を含むことが好ましい。可塑剤は結合成分の機能を有することが好ましい。巻かれていないフィルターにおいては特に、前述の通り、フィルター材料の密度または剛性を、標準的な巻かれたフィルターにおいてよりも高くする必要がある。これは、ラッピングペーパーによる拘束作用がフィルター材料にはないという事実による。従って、フィルター材料は、ロッド様の形状に形成された時、いかなる追加的な外部材料の補助なしに、実質的に一定の直径を有する明確に定義された形状を保つ必要がある。
【0023】
フィルターが中空であるため、より堅いフィルター材料が必要である場合がある。中空のフィルターにおいて、中空管状部分はフィルター自体の全体的な構造を弱くする場合がある。例えば、フィルターの圧縮による中空管状部分の変形を回避するために、中空のフィルターを実現する材料は、標準的なフィルタープラグを形成する材料よりも堅いことが好ましい。
【0024】
本発明で実現されるフィルターは有利なことに、エアロゾル形成物品で使用されてもよい。本発明によるエアロゾル形成物品は、フィルター付き紙巻たばこ、またはたばこ材料が燃焼して煙を形成するその他の喫煙物品の形態であってもよい。本発明は、たばこ材料を燃焼ではなく加熱してエアロゾルを形成する物品、および燃焼または加熱を用いずにたばこ材料、たばこ抽出物、または他のニコチン供与源からニコチン含有エアロゾルを生成する物品をさらに包含する。燃焼を用いずにエアロゾルが形成される、または燃焼によって煙が生成されるこれらの物品は、一般に「エアロゾル形成物品」と呼ばれる。エアロゾル形成物品は、完全な組み立てられたエアロゾル形成物品でもよく、または、例えば加熱式喫煙装置の消耗部品などの、エアロゾルを生成するために組み立てられた物品を提供するための一つ以上の他の構成要素と組み合わせられたエアロゾル形成物品の構成要素であってもよい。
【0025】
エアロゾル形成物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接吸入可能なエアロゾルを生成する物品であってもよい。エアロゾル形成物品は、紙巻たばこなどの従来の喫煙物品と似ていてもよく、またたばこを含んでもよい。エアロゾル形成物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル形成物品は、別の方法として、部分的に再利用可能であってもよく、また補充可能または交換可能なエアロゾル形成基体を備えてもよい。
【0026】
好ましくは可塑剤を含むフィルター材料を、フィルターの製造のためにさらに使用される連続的なロッドへと形作るために、形成装置が提供されている。形成装置は、フィルター材料が装填されてもよい管状要素を備える。形成装置は、風味剤を排出するためのノズルを有するロッド状の要素をさらに備える。ロッド状の要素は、管状要素の内側に少なくとも部分的に配置されている。ノズルは、風味剤を排出するためにロッド状の要素の外表面に配置されている。
【0027】
フィルタートウの束などの供与源からのフィルター材料は、形成装置に向かって進められる。結果として、形成装置の入口は、フィルター材料の供給経路の終端部に接続されている。形成装置は、フィルター材料をロッド状の連続的なフィルター本体へと形成し、形成された連続的なフィルター本体をさらなる処理のために出口を用いて送達するように適合されている。形成装置は、フィルター材料を連続的なフィルター本体へと形成するために、フィルター材料が通過できるように適合された管状要素を備える。管状要素は、フィルター材料の挿入を容易にするように入口にて漏斗形状であってもよい。管状要素の内壁は連続的なフィルター本体の外表面を画定することが好ましく、かつ中でもその直径を決定することが好ましい。管状要素の内壁はフィルター材料をロッドへと「圧縮する」。さらに、フィルター材料を堅くし、かつ実質的に一定な形状を有するようにするために、管状要素内を通るフィルター材料を加熱するように適合された熱源も提供されてもよく、これによって、存在する可能性のある結合材料(例えば、フィルター材料の中に存在する可能性のある可塑剤など)は、フィルター材料の繊維同士を結合させる。可塑剤は材料の可塑性または流動性を増大させる添加物である。
【0028】
熱源は、例えばマイクロ波供与源、赤外線供与源、または水蒸気などの蒸気供与源でありうる。蒸気供与源は摂氏約120度以上の温度、例えば摂氏約200度超の温度を有してもよい。供与源の選択は、可塑剤のタイプ、および可塑剤が活性化されうる方法に依存する。フィルター材料は、少なくとも摂氏約30度の温度で加熱されることが好ましく、少なくとも摂氏約35度の温度で加熱されることが好ましく、少なくとも摂氏約40度の温度で加熱されることが好ましい。
【0029】
中空管状部分をフィルターロッド内に形成するために、形成装置はロッド状の要素を備える。ロッド状の要素は管状要素の内側に少なくとも部分的に配置されていて、これによってロッド状の要素の外壁は連続的なフィルター本体の内表面、すなわちフィルターロッドの中空管状部分の内表面を画定することが好ましい。それ故に、ロッド状の要素の外壁は、フィルターロッド内の中空管状部分の直径を決定する。ロッド状の要素の外壁はフィルター材料をロッドへと「圧縮する」。ロッド状の要素は、フィルター材料が管状要素の内壁とロッド状の要素の外壁との間に圧縮または挟まれるように、管状要素の内側に提供されている。
【0030】
ロッド状の要素は、ロッド状の要素を加熱するための発熱体を備えてもよい。ロッド状の要素を加熱することによって、フィルター材料は、管状要素の発熱体に関して説明される通り、堅くされ、また実質的に一定の形状にされてもよい。存在する可能性のある結合材料(例えば、フィルター材料の中に存在する可能性のある可塑剤)が、フィルター材料の繊維同士を結合させるように、発熱体が提供されている。ロッド状の要素内の発熱体は、管状要素内の発熱体の代わりに、または追加的に提供されてもよい。ロッド状の要素内の発熱体は、フィルターロッドの中空管状部分の内表面から始まっている中空のフィルターロッドを加熱してもよい。管状要素内の発熱体は、もう一方ではフィルターロッドの外側から始まっている中空のフィルターロッドを加熱してもよい。有益なことに、ロッド状の要素ならびに管状要素の両方は、中空のフィルターロッドを均一に加熱するための発熱体を備える。
【0031】
ロッド状の要素の中で高温蒸気を循環することによってロッド状の要素が加熱されてもよいように、ロッド状の要素は中空であることが好ましい。ロッド状の要素内にマイクロ波供与源、赤外線供与源、または抵抗要素が提供されてもよい。蒸気は、摂氏約120度超、例えば約摂氏200度超の温度を有してもよい。供与源の選択は、可塑剤のタイプ、および可塑剤が活性化されうる方法に依存する。フィルター材料は、少なくとも摂氏約30度の温度で加熱されることが好ましく、少なくとも摂氏約35度の温度で加熱されることが好ましく、少なくとも摂氏約40度の温度で加熱されることが好ましい。
【0032】
ロッド状の要素は、風味剤を排出するためのノズルを備える。風味剤は、上記で詳細に説明した通り、液体風味剤であることが好ましい。ノズルは、風味剤がロッド状の要素から半径方向外向きに排出されうるように、ロッド状の要素の外表面上に提供されることが好ましい。ロッド状の要素から風味剤を排出することによって、風味剤はフィルターロッドの中空管状部分の内表面上に堆積される。言い換えれば、中空のフィルターロッド、好ましくは中空のアセテートフィルターロッドには、フィルターロッドの中空管状部分の表面にてフィルターロッドの内側の上に風味剤の被覆が提供されている。そのように、エアロゾルはフィルターロッドの被覆された中空管状部分を通してフィルターを通して主に引き出されるので、フィルターを通して引き出されるエアロゾルの風味は精密に調整されうる。
【0033】
ノズルは、風味剤がロッド状の要素から均一に排出されるように、複数のノズルを備えてもよい。一つのノズル、または二つのノズル、または三つ以上のノズルがあってもよい。ノズルは、長軸方向のスリットとして、または基本的に円形の形状を有する小さい穴として構成されてもよい。ノズルまたはロッド状の要素は、風味剤の均一な排出を容易にしうるように回転可能であってもよい。複数のノズルは、ロッド状の要素の外周の周りに均一に配分されてもよい。複数のノズルは、ロッド状の要素の外周の周りにリング形状の構成を有してもよい。
【0034】
ノズルは、風味剤をノズルに供給するためにロッド状の要素の中に供給管を備えてもよい。そのように、ロッド状の要素の滑らかな外表面は、フィルターロッドの中空管状部分の滑らかな内表面が作成されうるように提供されてもよい。エアロゾル発生物品用のフィルター要素を製造するための方法がさらに提供されている。方法は、フィルター要素内に内表面を有する中空管状部分を提供する工程と、フィルター要素の中空管状部分の内表面の上に風味剤を堆積する工程とを含む。
【0035】
方法は、フィルター要素を形成するためのフィルター材料を形成装置に装填する工程と、形成装置内にロッド状の要素を提供する工程であって、ロッド状の要素が風味剤を排出するためのノズルを備える、工程と、押出成形されたフィルター材料内に中空管状部分が形成されるようにロッド状の要素を形成装置内に位置付ける工程と、押出成形されたフィルター材料の中空管状部分の内表面の上に風味剤が堆積されるようにロッド状の要素のノズルから風味剤を排出する工程と、をさらに含んでもよい。
【0036】
「押出成形された」という用語は、材料が所望の断面のダイを通して押されるプロセスで作製された製品を含む。また、それぞれの材料を絞り加工するなどの異なるプロセスによって製造される製品もこの用語に包含される。
【0037】
さらに、方法は、ロッド状の要素を加熱するための発熱体をロッド状の要素が備えることを含んでもよく、またさらなる工程において、ロッド状の要素は加熱されて、押出成形されたフィルター材料内に中空管状部分を形成するために押出成形されたフィルター材料を結合する。
【0038】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、エアロゾル発生物品用のフィルター要素を製造するための発明の形成装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に示す形成装置は管状要素10を備える。管状要素10は、入口側で漏斗形状要素として構成されている。管状要素10は、フィルター材料12を管状要素10の中へと導入することができるように形作られている。
【0041】
フィルター材料12は、従来の手段によって矢印14の方向に沿って、すなわち管状要素10の出口に向かって管状要素10を通して進められる。そのようにして、連続的なフィルターロッドが作り出される。形成装置はフィルター材料12を加熱するための発熱体を備えてもよく、一方でフィルター材料12は、フィルター材料12の中の結合剤が反応してフィルター材料12が結合されるように、管状要素10を通して進められる。フィルター材料12を結合することによって、完成したフィルターロッドの形状が画定される。
【0042】
本発明で作り出されたフィルターロッドは、中空アセテート管である。結果として、フィルター材料はセルロースアセテートである。フィルターロッドの中に中空管状部分を作り出すために、ロッド状の要素16が管状要素10の内側に配置されている。ロッド状の要素16は、ロッド状の要素16の外側形状がフィルターロッドの中空管状部分の内径を画定するように、円筒状の外側形状を有する。言い換えれば、ロッド状の要素16の直径は、完成したフィルターロッドの中空管状部分の直径を画定する。
【0043】
加熱された蒸気がロッド状の要素16の中で循環できるように、ロッド状の要素16には中空部分18が提供されている。高温蒸気がフィルター材料12に直接接触できないように、ロッド状の要素16は閉止されている(参照番号18で示された高温蒸気用の入口区域は別として)。ロッド状の要素16の中で高温蒸気を循環することによって、ロッド状の要素16は加熱されて、包囲するフィルター材料12の結合を容易にすることができ、その一方でフィルター材料12は管状要素10を通して進められる。
【0044】
追加的に、風味剤20は、ノズル24に向かって供給管22によってロッド状の要素16を通して進められる。風味剤20は、フィルター材料12が管状要素10を通して進む間、包囲するフィルター材料12の上に排出またはスプレーされる。風味剤20は液体風味剤として提供されている。結果として、風味剤20の被覆は、フィルター材料12の中空管状部分の内表面上に提供されている。最終に、風味剤から成る被覆を有する中空アセテート管として完成したフィルターロッドが提供される。その後、フィルターロッドを、例えば連続的なフィルターロッドをより小さいフィルターセグメントへと切断することによって、さらに処理することができる。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品用のフィルターロッドを製造するための形成装置であって、
長軸方向軸を画定し、かつフィルター材料を導入する入口およびフィルターロッドを出力する出口を有する管状要素と、
風味剤を排出するように構成されたノズルを有するロッド状の要素と、を備え、
前記ロッド状の要素が、前記管状要素の内側に少なくとも部分的に配置されていて、前記ノズルが前記ロッド状の要素の外表面に配置され、かつ風味剤を前記フィルターロッドの内表面の上に直接排出するように構成されており、
前記ロッド状の要素が、前記ロッド状の要素を加熱するための発熱体を備える、形成装置。
【請求項2】
前記ロッド状の要素が前記ロッド状の要素内の循環する蒸気によって加熱されてもよいように、前記ロッド状の要素が中空である、請求項1に記載の形成装置。
【請求項3】
前記ロッド状の要素が、風味剤を前記ノズルに供給するための供給管を前記ロッド状の要素の中に備える、請求項1又は2のいずれか一項に記載の形成装置。
【請求項4】
前記管状要素が前記形成装置の外側形状を制限する、請求項1~3のいずれか一項に記載の形成装置。
【請求項5】
エアロゾル発生物品用のフィルター要素を製造するための方法であって、前記方法が、
フィルター要素内に内表面を有する中空管状部分を提供する工程と、
前記フィルター要素の前記中空管状部分の前記内表面の上に風味剤を直接堆積させる工程と、を含み、
前記フィルター要素を形成するためのフィルター材料を形成装置に装填する工程と、
前記形成装置内にロッド状の要素を提供する工程であって、前記ロッド状の要素が、風味剤を排出するためのノズルを備える、工程と、
押出成形されたフィルター材料内に中空管状部分が形成されるように、前記形成装置内に前記ロッド状の要素を位置付ける工程と、
前記押し出されたフィルター材料の前記中空管状部分の前記内表面の上に風味剤が堆積されるように、前記ロッド状の要素の前記ノズルから風味剤を排出する工程と、をさらに含み、
前記ロッド状の要素が、前記ロッド状の要素を加熱するための発熱体を備え、かつさらなる工程において、前記ロッド状の要素が加熱されて、前記押出成形されたフィルター材料内に前記中空管状部分を形成するために前記押出成形されたフィルター材料を結合する、フィルター要素を製造するための方法。