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特開2023-5399香り気流発生装置、香り気流発生方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005399
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】香り気流発生装置、香り気流発生方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/64 20180101AFI20230111BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20230111BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20230111BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20230111BHJP
   A61L 9/00 20060101ALN20230111BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20230111BHJP
   F24F 120/00 20180101ALN20230111BHJP
【FI】
F24F11/64
F24F11/79
F24F11/74
F24F11/61
A61L9/00 Z
F24F110:10
F24F120:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107270
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】衞藤 文
【テーマコード(参考)】
3L260
4C180
【Fターム(参考)】
3L260BA10
3L260CA01
3L260CA12
3L260CA15
3L260CB62
3L260CB65
3L260CB66
3L260CB67
3L260EA03
3L260FA07
3L260FA08
3L260FB80
3L260FC14
3L260FC26
3L260HA06
4C180AA13
4C180CA03
4C180CA06
4C180CB01
4C180EB08X
4C180EC01
4C180GG08
4C180HH09
4C180JJ01
4C180KK03
4C180KK04
4C180LL06
4C180LL14
(57)【要約】
【課題】ユーザに対して適切な強度の香りを効果的に発生することができる香り気流発生装置を提供する。
【解決手段】香り気流発生装置100は、指向性の気流を発生させる気流発生部10と、気流を加熱する加熱部20と、香りを発生させる香り発生部30と、加熱された気流に香りが付与された香り気流を吹き出す吹出口と、香り気流がユーザの顔より下の特定部位に当たるように香り気流の吹き出し角度を調節する角度調節部40と、ユーザの顔の位置を検出する位置検出部70bと、検出されたユーザの顔の位置に基づいて特定部位の位置を推定する推定部50bと、ユーザの周囲の温度を計測する温度計測部70aと、制御部50と、を備え、制御部50は、推定された特定部位の位置、及び、ユーザの周囲の温度に基づいて制御条件を決定し、決定された制御条件に従って、気流発生部10、加熱部20、香り発生部30、及び、角度調節部40を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性のある気流を発生させる気流発生部と、
前記気流を加熱する加熱部と、
香りを発生させる香り発生部と、
前記加熱部により加熱された前記気流に前記香り発生部で発生された前記香りが付与された香り気流を吹き出す吹出口と、
前記吹出口から吹き出される前記香り気流がユーザの顔より下の特定部位に当たるように前記香り気流の吹き出し角度を調節する角度調節部と、
前記ユーザの顔の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部により検出された前記顔の位置に基づいて、前記特定部位の位置を推定する推定部と、
前記ユーザの周囲の温度を計測する温度計測部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記推定部により推定された前記特定部位の位置、及び、前記温度計測部により計測された前記温度に基づいて、制御条件を決定し、決定された前記制御条件に従って、前記気流発生部、前記加熱部、前記香り発生部、及び、前記角度調節部を制御する
香り気流発生装置。
【請求項2】
前記香り気流発生装置は、さらに、前記推定部により推定された前記特定部位の位置に基づいて、前記吹出口から前記特定部位までの距離及び前記香り気流の吹き出し角度を導出する導出部を備え、
前記制御部は、前記導出部により導出された前記特定部位までの距離、及び、前記温度計測部により計測された前記温度に基づいて前記制御条件を決定し、決定された前記制御条件に従って、前記気流の強さ、前記気流の加熱温度、前記香りの発生量、及び、前記香り気流の吹き出し角度の少なくともいずれかを制御する
請求項1に記載の香り気流発生装置。
【請求項3】
前記香り気流発生装置は、さらに、前記香り気流発生装置の本体の床面からの高さを検出する高さ検出部を備え、
前記推定部は、前記顔の位置に加え、前記本体の前記床面からの高さに基づいて前記特定部位の位置を推定する
請求項1又は2に記載の香り気流発生装置。
【請求項4】
前記香り発生部は、1種類以上の前記香りを発生させ、
前記制御部は、前記香りの種類に応じて、前記加熱部による前記気流の加熱温度、及び、前記香り発生部による前記香りの発生量の少なくともいずれかを制御する
請求項1~3のいずれか1項に記載の香り気流発生装置。
【請求項5】
前記香り気流発生装置は、さらに、前記ユーザの操作入力を受け付ける入力受付部を備え、
前記制御部は、
前記入力受付部により受け付けられた前記香り気流を発生させるタイミングを含む設定情報に基づいて前記制御条件を決定し、決定された前記制御条件に従って所定のタイミングで前記香り気流を発生させ、
前記香り気流の発生において、前記特定部位に当たる際の前記香り気流の温度及び前記香りの強度の少なくともいずれかを制御する
請求項1~4のいずれか1項に記載の香り気流発生装置。
【請求項6】
前記香り気流発生装置は、前記ユーザに提示情報を提示する提示部を備え、
前記提示部は、前記制御部により決定された前記制御条件に関する前記提示情報を提示し、
前記制御部は、前記入力受付部により前記制御条件を変更する指示の入力が受け付けられると、前記指示に従って前記制御条件を変更する
請求項5に記載の香り気流発生装置。
【請求項7】
前記香り発生部は、前記ユーザに暖かい印象を与える香りを発生させる
請求項1~6のいずれか1項に記載の香り気流発生装置。
【請求項8】
前記香り気流発生装置は、さらに、前記ユーザの周囲の温度、前記ユーザの顔の位置、前記香りの種類、前記気流の加熱温度、前記香りの発生量、及び、前記特定部位に当たる際の前記香り気流の温度が紐づけられて格納されているデータベースを備え、
前記制御部は、前記データベース内で前記ユーザの周囲の温度及び前記ユーザの顔の位置に紐づけられて格納されているデータに基づいて前記制御条件を決定し、決定された前記制御条件に従って前記気流発生部、前記加熱部、前記香り発生部、及び、前記角度調節部を制御する
請求項1~7のいずれか1項に記載の香り気流発生装置。
【請求項9】
前記香り気流発生装置は、さらに、前記ユーザの顔を識別する識別部を備え、
前記制御部は、前記識別部により識別された前記ユーザの顔の位置を前記位置検出部に検出させ、
前記推定部は、前記位置検出部により検出された前記ユーザの顔の位置に基づいて、前記特定部位の位置を推定する
請求項1~8のいずれか1項に記載の香り気流発生装置。
【請求項10】
ユーザの顔の位置を検出する位置検出ステップと、
前記位置検出ステップで検出された前記顔の位置に基づいて、前記ユーザの顔より下の特定部位の位置を推定する推定ステップと、
前記ユーザの周囲の温度を計測する温度計測ステップと、
指向性のある気流を発生させる気流発生ステップと、
制御ステップと、
前記気流を加熱する加熱ステップと、
香りを発生させる香り発生ステップと、
吹出口から吹き出される香り気流が前記特定部位に当たるように前記香り気流の吹き出し角度を調節する角度調節ステップと、
前記加熱ステップで加熱された前記気流に前記香り発生ステップで発生された前記香りが付与された前記香り気流を前記吹出口から吹き出す吹出ステップと、
を含み、
前記制御ステップでは、前記推定ステップで推定された前記特定部位の位置、及び、前記温度計測ステップで計測された前記温度に基づいて制御条件を決定し、決定された前記制御条件に従って、前記気流発生ステップ、前記加熱ステップ、前記香り発生ステップ、及び、前記角度調節ステップを制御する
香り気流発生方法。
【請求項11】
請求項10に記載の香り気流発生方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香り気流発生装置、香り気流発生方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
香りを発生させる様々な技術が知られている。特許文献1には、空調装置の吹出空気に香りを付してユーザの体感温度を調整する体感温度調整型空調装置が開示されている。また、特許文献2には、液体燃料燃焼暖房機の運転時の燃焼排ガスによる臭気を低減するために、マイナスイオン発生器と芳香剤加熱装置とを同時に動作させる液体燃料燃焼暖房機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2598562号公報
【特許文献2】特開2005-069525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、室内に香りが充満してしまい、例えば職場など他の人が室内に居る場合に、香りに対する嗜好性及び許容できる香りの強度などに個人差があるため、不快な思いをする人もいる。また、上記の技術では、室内に香りが拡散するため、ユーザが感知できる程度に香りの強度を上げるために相当量の香料を使用する。このように、上記の技術では、ユーザに対して適切な強度の香りを効果的に発生させることが難しい。
【0005】
本発明は、ユーザに対して適切な強度の香りを効果的に発生させることができる香り気流発生装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る香り気流発生装置は、指向性のある気流を発生させる気流発生部と、前記気流を加熱する加熱部と、香りを発生させる香り発生部と、前記加熱部により加熱された前記気流に前記香り発生部で発生された前記香りが付与された香り気流を吹き出す吹出口と、前記吹出口から吹き出される前記香り気流がユーザの顔より下の特定部位に当たるように前記香り気流の吹き出し角度を調節する角度調節部と、前記ユーザの顔の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部により検出された前記顔の位置に基づいて、前記特定部位の位置を推定する推定部と、前記ユーザの周囲の温度を計測する温度計測部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記推定部により推定された前記特定部位の位置、及び、前記温度計測部により計測された前記温度に基づいて、前記気流発生部、前記加熱部、前記香り発生部、及び、前記角度調節部を制御する。
【0007】
本発明の一態様に係る香り気流発生方法は、ユーザの顔の位置を検出する位置検出ステップと、前記位置検出ステップで検出された前記顔の位置に基づいて、前記ユーザの顔より下の特定部位の位置を推定する推定ステップと、前記ユーザの周囲の温度を計測する温度計測ステップと、指向性のある気流を発生させる気流発生ステップと、制御ステップと、前記気流を加熱する加熱ステップと、香りを発生させる香り発生ステップと、吹出口から吹き出される前記香り気流が前記特定部位に当たるように前記香り気流の吹き出し角度を調節する角度調節ステップと、前記加熱ステップで加熱された前記気流に前記香り発生ステップで発生された前記香りが付与された香り気流を前記吹出口から吹き出す吹出ステップと、を含み、前記制御ステップでは、前記推定ステップで推定された前記特定部位の位置、及び、前記温度計測ステップで計測された前記温度に基づいて制御条件を決定し、決定された前記制御条件に従って、前記気流発生ステップ、前記加熱ステップ、前記香り発生ステップ、及び、前記角度調節ステップを制御する。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記香り気流発生方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の香り気流発生装置等は、ユーザに対して適切な強度の香りを効果的に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る香り気流発生装置の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態1に係る香り気流発生装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、実施の形態2に係る香り気流発生装置の機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、データベースの作成手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、図4の各ステップを説明するための図である。
図6図6は、実施の形態2に係る香り気流発生装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態3に係る香り気流発生装置の機能構成を示すブロック図である。
図8図8は、実施の形態3に係る香り気流発生装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態1)
[構成]
まず、実施の形態1に係る香り気流発生装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る香り気流発生装置の機能構成を示すブロック図である。
【0014】
実施の形態1に係る香り気流発生装置100は、ユーザが欲する香りを当該ユーザに対して効果的に提供するために、香り発生部30で発生させた香りを指向性のある気流に乗せてユーザに提供するシステムである。
【0015】
香り気流発生装置100においては、ユーザに対して適切な強度の香りを効果的に発生させることが課題となる。香りに対する嗜好性及び許容できる香りの強度などに個人差がある。そのため、単に香りを気流に乗せて吹き出すだけでは、室内に香りが拡散してしまい、ユーザの周囲の人も香りを知覚し、人によってはその香りを不快に感じる人もいる。また、この場合、ユーザに対してのみ香りを知覚させるよりも多くの香料を消費するため、非効率である。
【0016】
そこで、香り気流発生装置100は、指向性のある気流に香りを乗せてユーザの特定部位(例えば、足元、又は、首元)に当該気流が当たるように香り気流を発生させる。香り気流発生装置100は、具体的には、ユーザの顔の位置を検出して、検出された顔の位置に基づいて、ユーザの顔より下の特定部位の位置を推定し、ユーザの周囲の温度(つまり、室温)を計測する。そして、香り気流発生装置100は、特定部位の位置及びユーザの周囲の温度(室温)に基づいて、吹出口から吹き出される香り気流がユーザの顔より下の特定部位に当たるように香り気流の角度を調節する。ユーザの特定部位に当たった香り気流は、ユーザの身体に沿って上昇し、香り気流に含まれる香りがユーザに知覚される。このように、香り気流発生装置100は、ユーザに対して適切な強度の香りを効果的に発生させることができる。
【0017】
図1に示されるように、香り気流発生装置100は、例えば、気流発生部10と、加熱部20と、香り発生部30と、角度調節部40と、制御部50と、記憶部60と、センサ部70と、入力受付部80と、提示部90とを備える。以下、各構成について説明する。
【0018】
[気流発生部10]
気流発生部10は、指向性のある気流を発生する。気流発生部10は、制御部50によって決定された制御条件に従って気流を発生させる。気流発生部10は、気流に指向性を持たせるために、誘引気流を用いてもよく、噴流又は渦輪を発生させる空気砲を用いてもよい。当該制御条件は、気流の速度、及び、方向などの設定パラメータ、並びに、動作設定の少なくとも1つである。動作設定は、変調方式及び/又は動作モードである。つまり、動作設定は、設定パラメータの時間変化に関連する設定を含む。
【0019】
動作モードには、例えば、パルスモード、バーストモード及び連続モードが含まれる。
【0020】
パルスモードは、ユーザに向けて単一の気流パルスを発生させるモードである。気流パルスは、1回のみ発生される。
【0021】
バーストモードは、所定の時間間隔で複数回、気流パルスを発生させるモードである。時間間隔は、一定であってもよく、ランダムであってもよい。複数回の気流パルスは、互いに同じ設定条件の気流であってもよく、互いに異なる設定条件の気流であってもよい。
【0022】
連続モードは、連続的に(より詳細には、香り気流発生装置100の動作期間中に継続して)気流を発生させるモードである。
【0023】
なお、気流発生部10は、入力受付部80により受け付けられたユーザの指示に従って気流の速度などを調節してもよい。例えば、ユーザは、自身が感じる気流の強さに応じて適切な気流の強さになるように気流の速度などを調節してもよい。気流の強さは、気流の速度、気流の方向、吹出口からユーザまでの距離、ユーザの周囲の風速、又は、ユーザの身体において気流が当たる範囲などによってユーザが感じる主観的な強さである。
【0024】
[加熱部20]
加熱部20は、気流発生部10によって発生された指向性のある気流を加熱する。加熱部20は、例えば、ヒータであり、電熱線又はセラミックに電流を流すことで発熱する。加熱部20は、例えば、気流発生部10内に設置されてもよく、気流発生部10と吹出口との間に設置されてもよい。加熱部20は、制御部50によって決定された制御条件に従って気流を加熱する。当該制御条件は、ヒータの温度、気流の温度、及び、加熱時間などの設定パラメータ、並びに、動作設定の少なくとも1つである。動作設定は、例えば、加熱方式である。
【0025】
[香り発生部30]
香り発生部30は、香りを発生させる。より具体的には、香り発生部30は、制御部50により決定された制御条件に従って、1種類以上の香りを発生させる。当該制御条件は、香りの種類、香りの強度、香りの発生パターン、及び、香りの発生タイミングなどの設定パラメータ、並びに、動作設定の少なくとも1つである。動作設定は、例えば、香りの発生方式である。
【0026】
香りの種類は、例えば、具体的な香りの名称、ウッド系などの香りの分類、又は、暖かい印象を与える香りなどの香りのイメージで区分されてもよい。例えば、暖かい印象を与える香り成分は、温感効果を有するバニリン、スパイス系のシナモン又はクローブであってもよい。香りの印象は、ユーザの嗜好性に左右されるため、暖かい印象を与える香り成分として、上記の例に限らず、ユーザが好む香り成分が使用されてもよい。また、1種類の香りに限られず、2種類以上の香りが組み合わされて使用されてもよい。香りのイメージは、例えば、涼しい印象を与える香り、すっきりした印象を与える香り、又は、穏やかな印象を与える香りなどであってもよい。涼しい印象を与える香りは、例えば、ミント系の香りであり、すっきりした印象を与える香りは、例えば、シトラス系の香りであり、穏やかな印象を与える香りは、ウッド系の香りであってもよい。
【0027】
香りの強度は、香りを発生させる時間の長さ、及び、一度の発生させる香りの量の少なくとも一方によって調節される。適切な香りの強度は、個人差があるため一概に決められないが、臭気強度3(人が楽に感知できるにおいの強度)を初期値とし、ユーザの香りに対する嗜好性又は場面に応じて、例えば、臭気強度2(弱いにおい)~臭気強度4(強いにおい)の範囲内のレベルでユーザが適切に感じる強度となるように調節されてもよい。例えば、制御部50は、ユーザのフィードバックに基づいて制御条件を更新してもよい。
【0028】
香りの発生パターンは、例えば、1種類の香りの場合、香りの発生が間欠的又は連続的である発生方式であり、複数種類の香りの場合、さらに、香りの発生順番、2種類以上の香りを同時に発生させる組み合わせ、又は、香りの切り替えのタイミングも含む。例えば、香り発生部30が1種類の香りを間欠的に発生する場合、制御条件は、香りを発生させたり休止させたりする香り発生の時間間隔、1回あたりの香りの発生量などである。1回あたりの香りの発生量は、例えば、発生される香りの濃度、及び、香りの発生時間の少なくとも一方によって調節される。
【0029】
香り発生部30は、加熱部20で加熱された気流に香りを付与する。香り発生部30は、気流発生部10及び加熱部20の風下側に設置される。例えば、香り発生部30は、吹出口から気流が吹き出す手前の位置(例えば、吹出口から気流が吹き出される際に香りを乗せることができる吹出口の近傍)に配置されてもよい。また、例えば、香り発生部30は、吹出口の風下側に設置されてもよい。
【0030】
香り発生部30には、香気成分を含む液体または固体(以下、香料とも記載される)が封入されたカートリッジが接続され、このカートリッジの交換により2種類以上の香りを発生させることができる。また、香り発生部30は、複数のカートリッジが接続可能であり、カートリッジを交換せずに香りを切り替えることができる構成であってもよい。
【0031】
カートリッジは、香料を保持する香料保持部の一例であり、これに限られない。香料保持部は、例えば、香料が熱又は外気に触れにくい機構で保持される容器であってもよい。
【0032】
香り発生部30による香り発生方式は、特に限定されない。香り発生方式は、香気成分を空気中に散布するための方法を意味し、加熱方式、ミスト化方式、及び、気化方式などが例示される。加熱方式は、温度を上げて香気成分を揮発させる方式である。ミスト化方式は、香気成分を含む液体を超音波振動などでミスト化して散布する方式であり、ミスト化の方法によってミストの直径も異なる。気化方式は、風で香気成分を揮発させて散布する方式である。また、本明細書中では、これらの方式に加湿機能、または、送風機能などを加えたものも香り発生方式として定義される。
【0033】
[吹出口]
吹出口(不図示)は、加熱部20により加熱された気流に香り発生部30により発生された香りが付与された香り気流を吹き出す開口部である。吹出口は、気流発生部10で発生された気流が香り気流発生装置100の本体の外に送出される流路の先端に設けられている。
【0034】
[角度調節部40]
角度調節部40は、吹出口から吹き出される香り気流がユーザの顔より下の特定部位に当たるように香り気流の吹き出し角度を調節する。角度調節部40は、導出部50cにより導出された角度の情報に基づいて、香り気流の吹き出し角度を調節する。また、角度調節部40は、制御部50により決定された制御条件に従って、香り気流の吹き出し角度を調節してもよい。角度の情報は、水平方向及び鉛直方向の2つの角度の値を含む。角度調節部40の可動部(不図示)は、香り気流発生装置100の形状に応じた手法で香り気流の吹き出し角度を調節してもよい。
【0035】
例えば、香り気流発生装置100が扇風機のような構成である場合、(より詳細には、香り気流発生装置100が、軸部を有する台座と、軸部に接続された香り気流発生装置とで構成される場合)、角度調節部40は、水平方向に首振り回転可能で、かつ、鉛直上下方向に高さを変更可能な軸状の部材であってもよい。また、香り気流発生装置100が台座の上に前後左右に回転可能に設置された球状の装置である場合、角度調節部40は、球状の装置を前後左右に回転させる機構であってもよい。
【0036】
例えば、香り気流発生装置100が加湿器のように吹出口がノズルのような構成である場合、吹出口の角度を上下左右に調節してもよい。また、香り気流発生装置100がエアコンなどの空調機器のように吹出口が上下方向にスイングする複数の羽板と左右方向にスイング可能な複数の羽板とを備える構成である場合、複数の羽板のそれぞれの角度を上下方向及び左右方向にスイングさせることにより、吹出口から吹き出される香り気流の角度を調節してもよい。
【0037】
なお、吹出口から吹き出される香り気流の角度は、例えば、入力受付部80により受け付けられたユーザの指示に従って調節されてもよい。特定部位は、例えば、ユーザの足元であってもよく、首元であってもよい。なお、特定部位は、ユーザにより適宜設定されてもよい。
【0038】
[制御部50]
制御部50は、香り気流発生装置100の動作を制御するための各種情報処理を行う。制御部50は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。制御部50の機能は、例えば、制御部50を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部60に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。具体的には、制御部50は、取得部50aと、推定部50bと、導出部50cとを備える。
【0039】
例えば、制御部50は、入力受付部80により受け付けられたユーザの操作入力、及び、センサ部70によりセンシングされたセンシングデータに基づいて、香り気流発生装置100の動作を制御する。より具体的には、入力受付部80により受け付けられた設定条件、及び、推定部50bによりセンシングデータから推定された特定部位の位置に基づいて、制御条件を決定し、決定された制御条件に従って、香り気流発生装置100の動作を制御する。制御条件は、特定部位に向けて吹き出された香り気流をユーザの顔の位置にユーザが所望する適切なタイミング及び強さで到達させるために各部の動作を制御する条件である。制御条件は、例えば、香り気流発生装置100の動作開始のタイミング、香りの発生量、気流の強さ、気流の加熱温度、及び、吹出口の角度に関する。
【0040】
取得部50aは、入力受付部80により受け付けられたユーザの操作入力、及び、センサ部70によりセンシングされたセンシングデータを取得する。
【0041】
推定部50bは、位置検出部70bにより検出されたユーザの顔の位置に基づいて、ユーザの特定部位の位置を推定する。例えば、特定部位が首元である場合、推定部50bは、ユーザの顔の位置に基づいて、ユーザの首元の位置を推定する。
【0042】
また、推定部50bは、顔の位置に加え、香り気流発生装置100の本体の床面からの高さに基づいて、特定部位の位置を推定してもよい。例えば、特定部位が足元である場合、推定部50bは、センサ部70から取得したユーザの顔の位置、及び、香り気流発生装置100の本体の設置高さに基づいて、吹出口からユーザまでの水平方向の距離と、吹出口から床面までの鉛直方向の距離とを算出する。そして、推定部50bは、算出された水平方向及び鉛直方向の距離に基づいて、ユーザの足元の位置を推定する。
【0043】
導出部50cは、推定部50bにより推定された特定部位の位置に基づいて、吹出口から特定部位までの距離と、香り気流の吹き出し角度とを導出する。
【0044】
[記憶部60]
記憶部60は、制御部50が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部60は、半導体メモリまたはHDD(Hard Disk Drive)などによって実現される。
【0045】
[センサ部70]
センサ部70は、複数種類のセンサを含む。例えば、センサ部70は、温度計測部70aと、位置検出部70bと、高さ検出部70cとを含む。
【0046】
温度計測部70aは、いわゆる、温度センサであり、ユーザの周囲の温度、例えば、ユーザが存在する部屋の室温を計測する。
【0047】
位置検出部70bは、いわゆる、距離センサであり、ユーザの顔の位置を検出する。具体的には、位置検出部70bは、ユーザの顔の位置を検出し、ユーザまでの距離(水平距離)を算出する。例えば、位置検出部70bは、吹出口の中央付近に設定されてもよいし、吹出口の上部に設置されてもよい。位置検出部70bは、距離画像センサ、超音波センサ、又は、赤外線センサなどであってもよいが、中でも距離画像センサであってもよい。
【0048】
また、高さ検出部70cは、いわゆる、距離センサであり、香り気流発生装置100の本体の床面からの高さを検出する。具体的には、高さ検出部70cは、床面を検出し、床面までの距離(垂直距離)を算出する。例えば、高さ検出部70cは、本体の下面に設置されてもよいし、本体の側面に設置されてもよい。高さ検出部70cは、距離画像センサ、超音波センサ、又は、赤外線センサなどであってもよい。
【0049】
なお、センサ部70は、さらに、ユーザに直接又は間接的に当てられる気流の風向及び風速を計測する風向風速計、ユーザの周囲の相対湿度(例えば、ユーザが存在する部屋の相対湿度)を計測する湿度センサ、又は、ユーザの皮膚の温度変化の時系列データを取得する熱画像センサなどを含んでもよい。
【0050】
[入力受付部80]
入力受付部80は、香り気流発生装置100を利用するための入力(例えば、入力操作)をユーザから受け付ける入力インタフェースである。入力受付部80は、例えば、香り気流を発生させるタイミングなどの設定情報の入力をユーザから受け付ける。設定情報は、例えば、香りを発生させるタイミング、香りを発生させるトリガー、発生させる香りの種類及びその強度、香り気流の強度、気流の加熱の有無及び加熱のレベル、香り気流を当てる位置(言い換えると、ユーザの特定部位)、並びに、複数種類の香りを発生させる場合に発生させる香りの組み合わせ、香りの継続時間及び香り発生の順番などである。また、香りを発生させるタイミングは、ユーザが時間を指定することにより設定されてもよいし、ユーザのスケジュールを入力することでスケジュールに応じて設定されてもよい。また、香りを発生させるトリガーは、具体的に指定されたタイミング以外に香りを発生させるきっかけとなる条件であり、例えば、ユーザの周囲の温度、又は、ユーザの心身状態などである。例えば、トリガーは、ユーザの周囲の温度が所定の温度よりも低くなること、ユーザの身体(例えば、頭、首、肩など)の動きが所定の大きさよりも大きくなること、ユーザの体温が所定値よりも高くなる若しくは低くなること、ユーザの呼吸数が所定の回数よりも低下すること、又は、ユーザが所定時間を超えて同じ姿勢を続けていることなどであってもよい。また、香りの種類は、例えば、具体的な香りの名称、ウッド系などの香りの分類、又は、暖かい印象を与える香りなどの香りのイメージの一覧が提示部90に表示され、一覧の中からユーザが選択してもよい。また、設定情報は、履歴情報から指定されてもよいし、複数の設定情報から指定されてもよい。
【0051】
入力受付部80は、具体的には、タッチパネルディスプレイなどによって実現される。例えば、入力受付部80がタッチパネルディスプレイを搭載している場合は、タッチパネルディスプレイが提示部90及び入力受付部80として機能する。なお、入力受付部80は、タッチパネルディスプレイに限らず、例えば、キーボード、マウス、又は、メカニカルなスイッチなどであってもよい。また、入力受付部80は、マイクロフォンであってもよい。
【0052】
入力受付部80は、香り気流発生装置100が備える他の構成要素とは別の構成要素であってもよいし、これらの他の構成要素の少なくとも1つと一体化されていてもよい。入力受付部80は、例えば、リモートコントローラのように独立した機器の一部であってもよいし、専用のアプリケーションプログラムがインストールされた携帯端末(スマートフォンまたはタブレット端末)の一部であってもよい。
【0053】
[提示部90]
提示部90は、制御部50の制御に基づいてユーザへの提示情報を画像として表示する表示装置と、提示情報を音声で出力する音声出力装置とを備えてもよい。表示装置は、例えば、液晶(LC)パネル又は有機EL(Electro Luminescence)パネルである。また、音声出力装置は、例えば、スピーカである。
【0054】
提示部90は、香り気流発生装置100が備える他の構成要素とは別の構成要素であってもよいし、これらの他の構成要素の少なくとも1つと一体化されていてもよい。提示部90は、例えば、リモートコントローラのように独立した機器の一部であってもよいし、専用のアプリケーションプログラムがインストールされた携帯端末(スマートフォンまたはタブレット端末)の一部であってもよい。
【0055】
[動作]
続いて、実施の形態1に係る香り気流発生装置100の動作について説明する。図2は、実施の形態1に係る香り気流発生装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0056】
図示されていないが、まず、入力受付部80は、香り気流の発生タイミングなどの設定情報の入力をユーザから受け付ける。制御部50は、入力受付部80により受け付けられたユーザの操作入力(より具体的には、設定情報の入力)に基づいて制御条件を決定し、決定された制御条件に従って図2に示されるフローで香り気流発生装置100の動作を制御する(不図示)。
【0057】
図2に示されるように、香り気流発生装置100の位置検出部70bは、ユーザの顔の位置を検出する(ステップS11)。センサ部70は、位置検出部70bによって検出されたユーザの顔の位置に関するデータを制御部50に送信する(不図示)。制御部50の取得部50aは、センサ部70から送信されたユーザの顔の位置に関するデータを取得すると、推定部50bに出力する(不図示)。
【0058】
次いで、推定部50bは、ステップS11で位置検出部70bによって検出されたユーザの顔の位置に基づいて、ユーザの顔より下の特定部位の位置を推定する(ステップS12)。例えば、特定部位が首元である場合、推定部50bは、ユーザの顔の位置に基づいて、ユーザの首元の位置を推定する。
【0059】
また、ステップS12では、推定部50bは、顔の位置に加え、香り気流発生装置100の本体の床面からの高さに基づいて、特定部位の位置を推定してもよい。例えば、特定部位が足元である場合、推定部50bは、センサ部70から取得したユーザの顔の位置、及び、香り気流発生装置100の本体の設置高さに基づいて、吹出口からユーザまでの水平方向の距離と、吹出口から床面までの鉛直方向の距離とを算出する。そして、推定部50bは、算出された水平方向及び鉛直方向の距離に基づいて、ユーザの足元の位置を推定する。
【0060】
次いで、温度計測部70aは、ユーザの周囲の温度を計測する(ステップS13)。センサ部70は、温度計測部70aによって計測されたユーザの周囲の温度に関するデータを制御部50に送信する(不図示)。制御部50の取得部50aは、センサ部70から送信されたユーザの周囲の温度に関するデータを取得する(不図示)。
【0061】
次いで、制御部50は、推定部50bによって推定されたユーザの特定部位の位置、及び、温度計測部70aによって計測されたユーザの周囲の温度に基づいて制御条件を決定し、制御部50によって決定された制御条件に従って、以下のステップS15~S19の処理を制御する(ステップS14)。
【0062】
ステップS15では、気流発生部10は、指向性のある気流を発生させる。制御部50によって決定された制御条件は、気流の速度及び方向などの設定パラメータ、並びに、動作設定の少なくとも1つである。
【0063】
ステップS16では、加熱部20は、ステップS15で気流発生部10によって発生された気流を加熱する。制御部50によって決定された制御条件は、ヒータの温度、気流の温度、及び、加熱時間などの設定パラメータ、並びに、動作設定の少なくとも1つである。
【0064】
ステップS17では、香り発生部30は、香りを発生させる。制御部50によって決定された制御条件は、香りの種類、香りの強度、香りの発生パターン、及び、香りの発生タイミングなどの設定パラメータ、並びに、動作設定の少なくとも1つである。動作設定は、例えば、香りの発生方式である。
【0065】
ステップS18では、ステップS19で吹出口から吹き出される香り気流がユーザの顔より下の特定部位に当たるように香り気流の吹き出し角度を調整する。制御部50によって決定された制御条件は、香り気流の吹き出し角度などの設定パラメータ及び動作設定の少なくとも1つである。動作設定は、例えば、香り気流発生装置100の形状に応じた角度調節部40の動作を制御するための設定パラメータである。
【0066】
ステップS19では、ステップS16で加熱部20によって加熱された気流に、ステップS17で香り発生部30によって発生された香りが付与された香り気流を吹出口から吹き出す。このとき、ステップS18で角度調節部40によって調節された角度で吹出口から香り気流を吹き出す。このようにして吹き出された香り気流は、ユーザの特定部位に当たり、ユーザの身体に沿って上昇し、適切な強度の香りがユーザに知覚される。
【0067】
なお、入力受付部80によって気流の強さ、及び、香りの強度などを変更する入力が受け付けられると、制御部50は、変更の入力に基づいて制御条件を更新し、更新された制御条件に従ってステップS15~S19の処理を制御してもよい。
【0068】
[効果等]
以上説明したように、香り気流発生装置100は、指向性のある気流を発生させる気流発生部10と、気流を加熱する加熱部20と、香りを発生させる香り発生部30と、加熱部20により加熱された気流に香り発生部30で発生された香りが付与された香り気流を吹き出す吹出口と、吹出口から吹き出される香り気流がユーザの顔より下の特定部位に当たるように香り気流の吹き出し角度を調節する角度調節部40と、ユーザの顔の位置を検出する位置検出部70bと、位置検出部70bにより検出されたユーザの顔の位置に基づいて特定部位の位置を推定する推定部50bと、ユーザの周囲の温度を計測する温度計測部70aと、制御部50と、を備え、制御部50は、推定部50bにより推定された特定部位の位置、及び、温度計測部70aにより計測されたユーザの周囲の温度に基づいて制御条件を決定し、決定された制御条件に従って、気流発生部10、加熱部20、香り発生部30、及び、角度調節部40を制御する。
【0069】
このような香り気流発生装置100では、ユーザの顔の位置及びユーザの周囲の温度(例えば、ユーザが存在する部屋の室温)に基づいて、ユーザに対して適切な強度の香りを含む香り気流がユーザの顔より下の特定部位(例えば、首元、又は、足元など)に当たるように吹き出される。香り気流は加熱部20で加熱されており暖かい気流である。そのため、香り気流は、特定部位に当たった後、上昇する。上昇した香り気流は、ユーザの顔の位置に到達することで、ユーザに適切な強度の気流及び香りを提供することができる。したがって、香り気流発生装置100は、ユーザに対して適切な強度の香りを効果的に発生することができる。
【0070】
また、例えば、香り気流発生装置100は、さらに、推定部50bにより推定された特定部位の位置に基づいて、吹出口から特定部位までの距離及び香り気流の吹き出し角度を導出する導出部50cを備え、制御部50は、導出部50cにより導出された吹出口から特定部位までの距離、及び、温度計測部70aにより計測されたユーザの周囲の温度に基づいて制御条件を決定し、決定された制御条件に従って、気流の強さ、気流の加熱温度、香りの発生量、及び、香り気流の吹き出し角度の少なくともいずれかを制御する。
【0071】
このような香り気流発生装置100では、特定部位の位置に基づいて、香り気流の吹き出し角度が導出されるため、例えばユーザの姿勢が変わってもユーザの特定部位の位置に基づいて吹出口から特定部位までの距離を算出することができる。また、香り気流発生装置100は、ユーザの周囲の温度に基づいて、香り気流が特定部位に当たるように香り気流の角度を調節することができる。そのため、香り気流発生装置100は、ユーザの姿勢の変化及びユーザの周囲の温度に応じて、ユーザの特定部位に当たるように香り気流を吹き出すことができる。
【0072】
また、例えば、香り気流発生装置100は、さらに、香り気流発生装置100の本体の床面からの高さ(言い換えると、設置高さ)を検出する高さ検出部70cを備え、推定部50bは、ユーザの顔の位置に加え、香り気流発生装置100の本体の床面からの高さ(つまり、設置高さ)に基づいて特定部位の位置を推定する。
【0073】
このような香り気流発生装置100では、香り気流発生装置100の設置高さに基づいて吹出口の床面からの高さ(いわゆる、垂直距離)を算出することができる。そのため、香り気流発生装置100は、吹出口からユーザまでの水平距離及び吹出口から床面までの垂直距離に基づいて、より正確に特定部位の位置を推定することができる。
【0074】
また、例えば、香り発生部30は、1種類以上の香りを発生させ、制御部50は、香りの種類に応じて、加熱部20による気流の加熱温度、及び、香り発生部30による香りの発生量の少なくともいずれかを制御する。
【0075】
このような香り気流発生装置100では、香り発生部30は、1種類以上の香りを発生させ、香りの種類に応じて、気流の加熱温度及び香りの発生量の少なくともいずれかを制御する。これにより、香り気流発生装置100は、香り成分(いわゆる、香料)の種類に応じて、ユーザに対して適切な強度の気流及び香りを効果的に提供することができる。
【0076】
また、例えば、香り気流発生装置100は、さらに、ユーザの操作入力を受け付ける入力受付部80を備え、制御部50は、入力受付部80により受け付けられた香り気流を発生させるタイミングを含む設定情報に基づいて制御条件を決定し、決定された制御条件に従って所定のタイミングで香り気流を発生させ、香り気流の発生において、特定部位に当たる際の香り気流の温度及び香りの強度の少なくともいずれかを制御する。
【0077】
このような香り気流発生装置100では、ユーザにより入力された設定情報に基づいて所定のタイミングでユーザに対して適切な強度の気流及び香りを効果的に提供することができる。
【0078】
また、例えば、香り発生部30は、ユーザに暖かい印象を与える香りを発生させる。
【0079】
このような香り気流発生装置100では、香り発生部30は、加熱された気流に温かい印象を与える香りが付与された香り気流を発生することができる。これにより、香り気流発生装置100は、例えば、ユーザの特定部位を温める際に、ユーザに温感効果を実感させることができる。
【0080】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2に係る香り気流発生装置について説明する。実施の形態1では、香り気流発生装置100は、ユーザにより入力された設定情報に基づいて決定された制御条件に従って動作する例を説明したが、実施の形態2では、香り気流発生装置は、データベースに基づいて決定された制御条件に従って動作する。以下では、実施の形態1に係る香り気流発生装置100と異なる点を中心に説明し、重複する内容については説明を簡略化又は省略する。
【0081】
[構成]
図3は、実施の形態2に係る香り気流発生装置の機能構成を示すブロック図である。実施の形態2では、香り気流発生装置100aがデータベース62を備える点で実施の形態1と異なる。
【0082】
[制御部50]
制御部50は、入力受付部80により受け付けられた設定条件、及び、推定部50bによりセンシングデータから推定された特定部位の位置に加え、データベース62に格納されたデータに基づいて制御条件を決定する。具体的には、制御部50は、上記のデータに基づいて、加熱部20による気流の加熱温度、及び、香りの発生量を決定する。例えば、制御部50は、温度計測部70aにより計測されたユーザの周囲の温度、及び、位置検出部70bにより検出されたユーザの顔の位置に加え、データベース62を参照することにより、ユーザの顔の位置で適切な気流の強さ、温度、及び、香りの強度となるように香り気流を発生させるための制御条件を決定する。
【0083】
[データベース62]
データベース62は、記憶部60aに格納されており、ユーザの周囲の温度、ユーザの顔の位置、香りの種類、気流の加熱温度、香りの発生量、及び、特定部位に当たる際の香り気流の温度を紐づけて格納している。
【0084】
データベース62は、香りの強度が温度により変化すること、及び、香りの種類によってその傾向が異なることを考慮して、実験データに基づいて作成されてもよい。例えば、データベース62は、以下の手順で作成されてもよい。図4は、データベース62の作成手順の一例を示すフローチャートである。図5は、図4の各ステップを説明するための図である。以下では、特定部位がユーザの「首元」である例について説明する。
【0085】
まず、ステップS21では、例えば図5の(a)に示されるように、ユーザの顔の位置における気流温度(以下、単に気流温度という)を固定値とし、気流の風速、特定部位までの距離、ユーザの周囲の温度(いわゆる、室温)、及び、気流の加熱温度(以下、単に加熱温度という)を変数として、対応関係を取得する。これにより、室温と気流温度との差分に加えて、加熱された気流がユーザの顔の位置に届くまでの熱損失を考慮することで、加熱温度を算出する関係式を構築することができる。
【0086】
次いで、ステップS22では、例えば図5の(b)に示されるように、ユーザの顔の位置における香りの強度、特定部位までの距離、及び、室温を固定値とし、加熱温度及び香りの発生量との対応関係を香りの種類ごとに取得する。これにより、加熱温度による香りの揮発量、気流の風速及び顔の位置までの距離による香りの拡散を考慮することで、ユーザの顔の位置で適切な強度で香りを提供するために必要な香りの発生量を推定する関係式を構築することができる。なお、香りの強度は、ユーザの主観による臭気強度を採用してもよいし、においセンサなどの機器で計測された数値を採用してもよい。においセンサで計測された数値を採用する場合、当該数値とユーザの主観による香りの強度との関係が別途紐付けられているとよい。
【0087】
次いで、ステップS23では、例えば、図5の(c)のように、ステップS21及びS22で取得された対応関係を示す算出式と、温度計測部70aにより計測される室温とを紐づける。これにより、計測される室温に応じた気流の加熱温度が決定され、加熱温度から香りの発生量を推定することができる。
【0088】
なお、データベース62は、上記の対応関係だけではなく、実行された制御に対するユーザの感想をフィードバックする機能を有してもよい。例えば、データベースにユーザの感想を蓄積し、ユーザが好む条件にデータベース62内の対応関係が上書きされてもよい。これにより、香り気流発生装置100aの制御部50は、ユーザの好みに応じた制御を行うことができる。
【0089】
なお、ユーザのフィードバックとして実験データにない条件などが入力された場合、例えば、制御部50は、実験データで得られた対応関係から算出した関係式を用いて加熱温度及び香りの発生量を推定してもよい。関係式の形態にもよるが、例えば、制御部50は、線形補完又は反復計算を用いて関係式を算出してもよい。
【0090】
なお、図5の(c)の例のように、香りの種類毎に対応関係を示す表(対応表)を作成してもよいし、香りの種類の欄を設けて1つの対応表としてもよい。
【0091】
なお、気流温度と加熱温度と差分を取得したが、さらに、ユーザの顔又は足元の表面温度を取得して対応表を作成してもよい。この場合、サーモグラフィ画像を用いて対象となる部位の温度を測定してもよい。対象部位の温度を考慮して加熱温度及び気流温度を調整してもよい。これにより、制御部50は、ユーザの対象部位の表面温度を考慮して、当該表面温度を所定の値に近づける制御又は維持する制御を行うことができる。
【0092】
[動作]
続いて、実施の形態2に係る香り気流発生装置100aの動作について説明する。ここでは、実施の形態1と異なる点について説明する。図6は、実施の形態2に係る香り気流発生装置100aの動作の一例を示すフローチャートである。図6に示されるフローチャートは、図2に示されるステップS14が異なる。
【0093】
図2のステップS13の後、制御部50は、データベース内でユーザの周囲の温度及びユーザの顔の位置に紐づけられて格納されているデータに基づいて制御条件を決定し、決定された制御条件に従ってステップS15~S19の処理を制御する(ステップS31)。
【0094】
[効果等]
以上説明したように、香り気流発生装置100aは、さらに、ユーザの周囲の温度(言い換えると、室温)、ユーザの顔の位置(又は、顔の位置から推定されたユーザまでの距離)、香りの種類、気流の加熱温度、香りの発生量、および、特定部位に当たる際の香り気流の温度(いわゆる、気流温度)が紐づけられて格納されているデータベース62を備え、制御部50は、データベース62内でユーザの周囲の温度及びユーザの顔の位置(又は、顔の位置から推定されたユーザまでの距離)に紐づけられて格納されているデータに基づいて制御条件を決定し、決定された制御条件に従って、気流発生部10、加熱部20、香り発生部30及び角度調節部40を制御する。
【0095】
このような香り気流発生装置100aでは、ユーザの周囲の温度(室温)及びユーザまでの距離に応じて、データベース62を参照して制御条件を決定することができる。そのため、香り気流発生装置100aは、ユーザの周囲の環境に合わせた適切な制御を行うことができる。
【0096】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3に係る香り気流発生装置について説明する。実施の形態3では、ユーザを識別し、識別されたユーザに対して香り気流を提供する点で実施の形態1及び実施の形態2と異なる。以下、実施の形態1及び実施の形態2と異なる点を中心に説明し、重複する内容については説明を簡略化または省略する。
【0097】
[構成]
図7は、実施の形態3に係る香り気流発生装置の機能構成を示すブロック図である。実施の形態3では、香り気流発生装置100bが識別部72を備える点で実施の形態1及び実施の形態2と異なる。
【0098】
[制御部50]
制御部50は、識別部72により識別されたユーザの顔の位置を位置検出部70bに検出させる。そして、制御部50の取得部50aは、位置検出部70bによって検出されたユーザの顔の位置に関するデータを取得し、推定部50bに送信する。
【0099】
推定部50bは、位置検出部70bにより検出されたユーザの顔の位置に基づいて、ユーザの顔より下の特定部位の位置を推定する。
【0100】
また、制御部50は、識別部72により識別されたユーザの属性情報に対応する設定情報をデータベース62から読み出す。そして、制御部50は、推定部50bによって推定されたユーザの特定部位の位置、温度計測部70aによって計測されたユーザの周囲の温度、及び、データベース62から読み出された設定情報に基づいて制御条件を決定してもよい。
【0101】
[識別部72]
識別部72は、ユーザの顔を識別する。識別部72は、例えば、カメラ(不図示)を備えており、カメラで撮影されたユーザの顔画像と、予め登録されたユーザの顔画像とを照合することで、ユーザの顔を識別してもよい。また、識別部72は、ユーザから識別情報を取得することにより対象となるユーザを特定し、特定されたユーザの顔を識別してもよい。この場合、例えば、識別部72は、指紋情報、顔情報もしくは虹彩情報等の生体情報を読み取ることでユーザを識別してもよい、また、例えば、識別部72は、ユーザが所有するスマートフォン、ウェアラブル端末又はRFID(Radio Frequency Identifier)などで実現される識別子と無線通信を行い、当該識別子から識別情報を取得することによりユーザを識別してもよい。なお、識別子はICカードでもよい。この場合、例えば、識別部72は、カードリーダを備え、カードリーダで読み取ったICカードの情報を、予め登録されたユーザの所持するICカードの情報と照合することで、ユーザの識別を行ってもよい。
【0102】
[動作]
続いて、実施の形態3に係る香り気流発生装置100bの動作について説明する。図8は、実施の形態3に係る香り気流発生装置100bの動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、実施の形態1及び実施の形態2と異なる点について説明する。
【0103】
まず、識別部72は、ユーザの顔を識別する(ステップS41)。ステップS41では、例えば、識別部72がカメラを備えており、カメラで撮影されたユーザの顔画像と、予め登録されたユーザの顔画像とを照合することにより、ユーザの顔を識別してもよい。
【0104】
次いで、制御部50は、識別部72によってユーザの顔が識別されると、位置検出部70bにユーザの顔の位置を検出させる(不図示)。位置検出部70bは、ステップS41で識別部72によって識別されたユーザの顔の位置を検出する(ステップS42)。
【0105】
次いで、推定部50bは、ステップS42で位置検出部70bによって検出された顔の位置に基づいて、ユーザの顔より下の特定部位の位置を推定する(ステップS43)。
【0106】
次いで、温度計測部70aは、ユーザの周囲の温度を計測する(ステップS44)。
【0107】
次いで、制御部50は、ユーザの属性情報に対応する設定情報をデータベース62から読み出す(ステップS45)。そして、制御部50は、ユーザの周囲の温度、特定部位の位置、及び、設定情報に基づいて、制御条件を決定し、決定された制御条件に従って、図2に示されるステップS15~S19の処理を制御する(ステップS46)。
【0108】
[効果等]
以上説明したように、香り気流発生装置100bは、さらに、ユーザの顔を識別する識別部72を備え、制御部50は、識別部72により識別されたユーザの顔の位置を位置検出部70bに検出させ、推定部50bは、位置検出部70bにより検出されたユーザの顔の位置に基づいて、ユーザの顔より下の特定部位の位置を推定する。
【0109】
このような香り気流発生装置100bは、ユーザの顔を識別するため、複数のユーザがユーザの周囲に居たとしても対象のユーザを識別して、当該ユーザに対して適切な強度の香りを効果的に発生させることができる。
【0110】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構成される形態も、本発明の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0111】
また、フローチャートにおけるそれぞれのステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0112】
例えば、上記実施の形態では、香り気流発生装置は、単一の装置として実現されたが、複数の装置によって実現されてもよい。香り気流発生装置が複数の装置によって実現される場合、香り気流発生装置が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、香り気流発生装置は、クライアントサーバシステムとして実現されてもよい。例えば、上記実施の形態における記憶部60は、クラウドサーバ上の記憶部であってもよい。
【0113】
例えば、香り気流発生装置が複数の装置によって実現される場合、各構成要素間の通信方法については特に限定されるものではない。
【0114】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。例えば、選択部が実行する処理は制御部によって実行されてもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0115】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0116】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0117】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0118】
例えば、本発明は、香り気流発生装置などのコンピュータが実行する香り気流発生方法として実現されてもよいし、このような香り気流発生方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0119】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
10 気流発生部
20 加熱部
30 香り発生部
40 角度調節部
50 制御部
50a 取得部
50b 推定部
50c 導出部
60、60a 記憶部
62 データベース
70 センサ部
70a 温度計測部
70b 位置検出部
70c 高さ検出部
72 識別部
80 入力受付部
90 提示部
100、100a、100b 香り気流発生装置
図1
図2
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図8