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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054571
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20230407BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230407BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20230407BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230407BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230407BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20230407BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230407BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02F1/1335 500
G02F1/133 575
H01L33/00 L
F21S2/00 482
F21V9/38
F21Y115:10 300
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163502
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木部 英敏
(72)【発明者】
【氏名】福吉 健蔵
【テーマコード(参考)】
2H193
2H291
2H391
3K244
5F142
【Fターム(参考)】
2H193ZG03
2H193ZG14
2H193ZG22
2H193ZG43
2H193ZG50
2H193ZP12
2H193ZP13
2H193ZP16
2H193ZP17
2H291FA02X
2H291FA14X
2H291FA31X
2H291FA41X
2H291FA46X
2H291FA74Z
2H291FA85Z
2H291FB14
2H291FD16
2H291FD22
2H291FD42
2H291LA22
2H291LA31
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB06
2H391AB34
2H391AC25
2H391CB13
2H391EA02
2H391EA05
2H391EA11
2H391EA21
2H391EA26
3K244AA01
3K244BA23
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA21
3K244FA14
3K244GA04
5F142BA32
5F142CA02
5F142CA11
5F142CD02
5F142CE08
5F142CE13
5F142DA02
5F142DA15
5F142DA23
5F142DA35
5F142DA73
5F142DB38
5F142DB42
5F142EA31
5F142GA12
(57)【要約】
【課題】バックライトの発光素子からの光源光の光利用効率を一層改善した液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】カラーフィルタ基板10、液晶駆動基板30、バックライトモジュール50及び液晶層20で構成され、カラーフィルタ基板と液晶駆動基板との間に液晶層を配置して、画素ごとにこの液晶層を駆動することによりバックライトモジュールからの光を制御して画面表示する液晶表示装置とする。カラーフィルタ基板10は、透明基板11上に第1ブラックマトリクス14、カラーフィルタ層13、光散乱層15、第2ブラックマトリクス16を有し、第2ブラックマトリクスに光反射性マトリクス17が積層されている。そして、バックライトモジュール50が複数の発光ユニット50aを配列して構成されており、単一の発光ユニット50aに対応する表示画面の領域を単位表示エリア100aとするとき、この単位表示エリアに複数の画素開口部が含まれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタ基板、液晶駆動基板、バックライトモジュール及び液晶層で構成され、前記カラーフィルタ基板と液晶駆動基板との間に液晶層を配置し、画素ごとにこの液晶層を駆動することによりバックライトモジュールからの光を制御して画面表示する液晶表示装置において、
前記カラーフィルタ基板が、透明基板上に、第1ブラックマトリクス、カラーフィルタ層、光散乱層、第2ブラックマトリクスを有しており、
前記カラーフィルタ層が、互いに色彩の異なる着色フィルタの配列で構成されており、
前記第1ブラックマトリクスが格子状の形状を有しており、その間の開口部(画素開口部)に対応して前記着色フィルタのそれぞれが配置されており、
前記光散乱層がこれら第1ブラックマトリクスと着色フィルタとを覆って配置されており、
前記第2ブラックマトリクスがこの光散乱層の上に配置されており、
この第2ブラックマトリクスが格子状の形状を有しており、その間の開口部が、前記第1ブラックマトリクスの画素開口部に対応した位置に配置されており、
この第2ブラックマトリクスの前記バックライトモジュール側の面に光反射性マトリクスが積層されており、
前記バックライトモジュールが複数の発光ユニットを配列して構成されており、
単一の発光ユニットに対応する表示画面の領域を単位表示エリアとするとき、この単位表示エリアに複数の前記画素開口部が含まれていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記発光ユニットと発光ユニットとの境界に、光を遮断する隔壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記発光ユニットの内部に複数の発光素子が配列されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記発光素子が、青色あるいは近紫外の単色発光の発光素子から成ることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記発光素子がLEDから成ることを特徴とする請求項3又は4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記発光素子と着色フィルタとの間に、発光素子の発光ピークの光を緑色光又は赤色光に変換する波長変換層を有することを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記光反射性マトリクスが3層構造を有しており、その中間層が銀あるいは銀合金の金属薄膜から成ることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記光反射性マトリクスがアルミニウムあるいはアルミニウム合金の金属薄膜から成ることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記光散乱層が、透明樹脂に透明粒子を分散させた分散体から成ることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項10】
カラーフィルタ基板の前記透明基板と第1ブラックマトリクスとの間に透過率調整層を具備することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記着色フィルタのそれぞれが直線の形状を有しており、これを並列に配列して前記カ
ラーフィルタ層を構成していることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面を複数のエリアに区分して、そのエリアごとにバックライトの光強度をコントロールして画面表示することができる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の表示画面を複数のエリアに区分して、そのエリアごとにバックライトの光強度をコントロールして画面表示する方法はローカルディミング技術の名称で知られており、例えば、特許文献1~3に記載されている。
【0003】
そして、このようにエリアごとに光強度をコントロールすることにより、発光素子からの出射光を有効に活用して、その光利用効率を改善することができる。また、同じ理由から発光素子の発熱を防ぎ、この発光素子に近接する周辺部材の劣化を防ぐことができる。
【0004】
しかしながら、このローカルディミング技術を使用しても、その光利用効率は十分とはいえず、まだ改善の余地を残していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2017/191714号
【特許文献2】特開2015-64391号公報
【特許文献3】国際公開2019/244351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、バックライトの発光素子からの光源光の光利用効率を一層改善した液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に関わる表示装置は、カラーフィルタ基板、液晶駆動基板、バックライトモジュール及び液晶層で構成され、前記カラーフィルタ基板と液晶駆動基板との間に液晶層を配置し、画素ごとにこの液晶層を駆動することによりバックライトモジュールからの光を制御して画面表示する液晶表示装置において、
前記カラーフィルタ基板が、透明基板上に、第1ブラックマトリクス、カラーフィルタ層、光散乱層、第2ブラックマトリクスを有しており、
前記カラーフィルタ層が、互いに色彩の異なる着色フィルタの配列で構成されており、
前記第1ブラックマトリクスが格子状の形状を有しており、その間の開口部(画素開口部)に対応して前記着色フィルタのそれぞれが配置されており、
前記光散乱層がこれら第1ブラックマトリクスと着色フィルタとを覆って配置されており、
前記第2ブラックマトリクスがこの光散乱層の上に配置されており、
この第2ブラックマトリクスが格子状の形状を有しており、その間の開口部が、前記第1ブラックマトリクスの画素開口部に対応した位置に配置されており、
この第2ブラックマトリクスの前記バックライトモジュール側の面に光反射性マトリクスが積層されており、
前記バックライトモジュールが複数の発光ユニットを配列して構成されており、
単一の発光ユニットに対応する表示画面の領域を単位表示エリアとするとき、この単位表示エリアに複数の前記画素開口部が含まれていることを特徴とする液晶表示装置である
【0008】
本発明に関わる液晶表示装置は、前記発光ユニットと発光ユニットとの境界に、光を遮断する隔壁が設けられている液晶表示装置とすることができる。
【0009】
また、本発明に関わる液晶表示装置は、前記発光ユニットの内部に複数の発光素子が配列されている液晶表示装置とすることができる。
【0010】
また、本発明に関わる液晶表示装置は、前記発光素子が、青色あるいは近紫外の単色発光の発光素子から成る液晶表示装置とすることができる。
【0011】
また、本発明に関わる液晶表示装置は、前記発光素子がLEDから成る液晶表示装置とすることができる。
【0012】
また、本発明に関わる液晶表示装置は、前記発光素子と着色フィルタとの間に、発前記発光素子と着色フィルタとの間に、発光素子の光を緑色光又は赤色光に変換する波長変換層を有する液晶表示装置とすることができる。
【0013】
また、本発明に関わる液晶表示装置は、前記光反射性マトリクスが3層構造を有しており、その中間層が銀あるいは銀合金の金属薄膜から成る液晶表示装置とすることができる。
【0014】
また、本発明に関わる液晶表示装置は、前記光反射性マトリクスがアルミニウムあるいはアルミニウム合金の金属薄膜から成る液晶表示装置とすることができる。
【0015】
また、本発明に関わる液晶表示装置は、前記光散乱層が、透明樹脂に透明粒子を分散させた分散体から成る液晶表示装置とすることができる。
【0016】
また、本発明に関わる液晶表示装置は、カラーフィルタ基板の前記透明基板と第1ブラックマトリクスとの間に透過率調整層を具備する液晶表示装置とすることができる。
【0017】
また、本発明に関わる液晶表示装置は、前記着色フィルタのそれぞれが直線の形状を有しており、これを並列に配列して前記カラーフィルタ層を構成している液晶表示装置とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ローカルディミング技術を利用した液晶表示装置において、バックライトの発光素子からの光源光の光利用効率を一層改善できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の説明用断面図である。
図2図2は本発明の第1実施形態に係り、そのカラーフィルタ基板の説明用断面図である。
図3図3は本発明の第1実施形態に係り、透過率調整層の有無による反射率の相違を説明するための説明用グラフ図である。
図4図4は本発明の第1実施形態に係り、カラーフィルタ基板を表示画面側から見たときの画素開口部に配置された着色フィルタと第1ブラックマトリクスの配列状態と大きさを示す説明図である。
図5図5は本発明の第1実施形態に係り、カラーフィルタ基板をバックライト側から見たときの画素開口部に配置された着色フィルタと第2ブラックマトリクスの配列状態と大きさを示す説明図である。
図6図6は本発明の第1実施形態に係り、カラーフィルタ基板を表示画面側から見たときとバックライト側から見たときとの画素開口部に配置された着色フィルタと、第1ブラックマトリクス、第2ブラックマトリクス及び光反射性マトリクスの配列状態およびその位置関係を示す説明図である。
図7図7は本発明の第1実施形態に係り、その液晶駆動基板の説明用断面図である。
図8図8は本発明の第1実施形態に係り、液晶駆動基板の薄膜トランジスタの駆動回路の回路図である。
図9図9は本発明の第1実施形態に係り、その波長変換板の説明用断面図である。
図10図10は本発明の第1実施形態に係り、そのバックライトモジュールの説明用断面図である。
図11図11は本発明の第1実施形態に係り、バックライトモジュールの発光素子の駆動回路の回路図である。
図12図12は本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の説明用断面図である。
図13図13は本発明の第2実施形態に係り、そのバックライトモジュールの説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の説明用断面図である。
【0021】
図1に示すように、この第1実施形態の液晶表示装置100は、カラーフィルタ基板10、液晶駆動基板30、波長変換板40、バックライトモジュール50及び液晶層20をその構成要素としている。液晶層20はカラーフィルタ基板10と液晶駆動基板30との間に配置されている。
【0022】
これら液晶表示装置100を構成するカラーフィルタ基板10、液晶駆動基板30、波長変換板40、バックライトモジュール50及び液晶層20の詳細については後述するとして、まず、これらの相互関係と液晶表示装置100の動作原理について概説する。
【0023】
まず、バックライトモジュール50は、液晶表示装置100の画面表示に必要な表示光を発生するデバイスである。このため、このバックライトモジュール50は、複数の発光ユニット52a,52a,‥を配列して構成されており、各発光ユニット52aには青色発光LEDから成る発光素子53が複数内蔵されている。
【0024】
次に、このバックライトモジュール50に隣接して、波長変換板40が配置されており、このバックライトモジュール50で発生した光源光は、まず、この波長変換板40に入射する。波長変換板40には、入射した青色光を赤色光に変換する赤色変換層4Rと緑色光に変換する緑色変換層4Gとを内蔵している。このため、この波長変換板40を透過した光は、青色光、赤色光及び緑色光が混合した疑似白色光となっている。
【0025】
次に、この疑似白色光は液晶駆動基板30に入射する。
【0026】
前述のように、液晶駆動基板30は、これとカラーフィルタ基板10との間に液晶層20を挟んでおり、液晶駆動基板30に設けられた画素電極36と共通電極33との間に電圧を印加し、あるいは印加しないことにより、液晶層20を駆動する。液晶駆動基板30とカラーフィルタ基板10には図示しない偏光膜と配向膜が設けられたおり、液晶駆動基板30の偏光膜を透過した直線偏光に偏光面を液晶層20によってコントロールする。例
えば、前記画素電極36と共通電極33との間に電圧を印加することによって偏光面を回転させ、印加しないことによって偏光面を回転させることなく維持する。こうして回転しあるいは回転しない偏光面に応じて、カラーフィルタ基板10の偏光膜を透過し、あるいは偏光膜に吸収させて透過を防止する。そして、電圧の前記印加の有無を画素ごとにコントロールすることによりその偏光面の回転の有無を画素ごとにコントロールし、カラーフィルタ基板10の偏光膜を透過した透過光を表示光としてこの表示光によって画面表示することができる。
【0027】
なお、図1に図示のように、カラーフィルタ基板10には2層のブラックマトリクス14,16と、その第1ブラックマトリクス14の開口部を画素として、この画素開口部に配置された着色フィルタ1311,1312,‥が設けられている。このため、表示光はこの着色フィルタ1311,1312,‥によって着色される。なお、着色フィルタ1311,1312,‥には、表示光を青色とする青色フィルタ、緑色とする緑色フィルタ及び赤色とする赤色フィルタが用いられており、これら各色の着色フィルタ1311,1312,‥が、その画素開口部のそれぞれに配置されているから、表示光は画素ごとに異なる色彩に着色される。そして、このようにそれぞれの画素を透過した各色の表示光で画面表示するから、フルカラーの画面を表示することができる。
【0028】
次に、この液晶表示装置は、前述のローカルディミング技術を利用して、エリアごとに光強度をコントロールして画面表示できるように構成されている。すなわち、前述のように、バックライトモジュール50は複数の発光ユニット52a,52a,‥を配列して構成されており、この複数の発光ユニット52aごとに発光する光源光の強度をコントロールすることができる。そこで、それぞれの発光ユニット52aに対応する表示画面の領域を単位表示エリアとすると、その発光ユニット52aの光強度をコントロールすることにより、これに対応する単位表示エリアの表示光の輝度をコントロールすることが可能である。
【0029】
例えば、図1に示す液晶表示装置100においては、図示左右方向(X方向)に着目すると、発光ユニット52aに対応する単位表示エリアには、符号「100a」を付して示している。このため、この単位表示エリア100aに表示する画像が明度の低い画像の場合には、発光ユニット52aの光強度を低くすることができる。そして、このようにローカルディミング技術を利用して、発光ユニット52aごとにより、光強度をコントロールすることにより、発光素子からの出射光を有効に活用して、その光利用効率を改善することができる。
【0030】
ところで、2層のブラックマトリクス14,16のうち、バックライトモジュール50側に位置する第2ブラックマトリクス16のバックライトモジュール50に向いた面には光反射性マトリクス17が積層されている。また、一般に、発光素子53には、発生した光源光を目的とする方向に出射するように、その反対側に光反射性部材が設けられている。そこで、この光反射性部材と前記光反射性マトリクス17は発光素子53を挟んで向かい合っており、このため、発光素子53から発生した光源光はこの両者の間で何度も反射し、この結果、実質的にすべての光源光が光反射性マトリクス17及び第2ブラックマトリクス16の開口部から出射される。そして、このように光反射性マトリクス17及び第2ブラックマトリクス16の開口部から出射された光源光は画面表示に利用されるから、光利用効率を一層改善することができるのである。
【0031】
なお、第2ブラックマトリクス16の表示画面側には光散乱層15が配置されているから、表示画面側から液晶表示装置100に入射した周辺光のうち第2ブラックマトリクス16表面に到達した光はこの光散乱層15によって散乱され、このため、第2ブラックマトリクス16表面による正反射光が抑制される。そして、このため、第2ブラックマトリ
クス16表面による正反射光による表示画面のノイズを抑制されるから、画面表示に利用する表示光の光量が少なくても、鮮明でコントラストの高い画面表示が可能となる。
【0032】
次に、カラーフィルタ基板10、液晶駆動基板30、波長変換板40及びバックライトモジュール50の詳細について、各別に説明する。
【0033】
(カラーフィルタ基板10)
図2は本発明の第1実施形態におけるカラーフィルタ基板10の説明用断面図である。
【0034】
この図2から分かるように、カラーフィルタ基板10は、透明基板(カラーフィルタ基板の透明基板)11、透過率調整層12、第1ブラックマトリクス14、カラーフィルタ層13、光散乱層15、第2ブラックマトリクス16、光反射性マトリクス17及び透明樹脂層18を備えて構成されている。なお、このほか、カラーフィルタ基板10には偏光膜や配向膜が設けられているが、これらの図示は省略している。
【0035】
<カラーフィルタ基板の透明基板11>
カラーフィルタ基板の透明基板11は、液晶表示装置100から出射される表示光が観察者に向かって透過する透明基板であり、その表面が表示画面を構成する。カラーフィルタ基板の透明基板11としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、ポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等のプラスチック基板を用いることができる。その可視光の透過率は、高いほどより好ましい。例えば、カラーフィルタ基板の透明基板11の透過率は、50%以上100%以下であってもよく、90%以上100%以下であることがより好ましい。
【0036】
<透過率調整層12>
透過率調整層12は、発光素子53で発生し、第1ブラックマトリクス14を透過した表示光をペーパーホワイトライクに散乱させて、視認性を向上させると共に、視野角を広げる役割を有する。また、併せて、透過率調整層12は、表示画面側から液晶表示装置100に入射した周辺光を吸収又は散乱させることにより、この周辺光を正反射して生じた再反射光がノイズとなり、表示画面のコントラストを低下させることを防止する役割を有する。これらの役割を果たすため、透過率調整層12はカラーフィルタ基板の透明基板11と第1ブラックマトリクス14との間に配置することが望ましい。より望ましくは、これらカラーフィルタ基板の透明基板11、透過率調整層12及び第1ブラックマトリクス14が互いに接するように、透過率調整層12をカラーフィルタ基板の透明基板11と第1ブラックマトリクス14との界面に配置することである。この例では、透過率調整層12をカラーフィルタ基板の透明基板11と第1ブラックマトリクス14との界面に配置している。
【0037】
液晶表示装置100に入射した周辺光を吸収するため、この透過率調整層12の可視光に対する透過率は、70%以上99.7%以下の範囲とすることが好ましい。
【0038】
カラーフィルタ基板の透明基板11側からの表示装置100への周辺光が入射するとき、周辺光は透過率調整層12を1回、透過した後、表示装置100の内部の光反射性部材で反射されたのち、再度、透過率調整層12を通過して観察者側に出射される。このように、周辺光は透過率調整層12を2回通過することにより表示装置100から出射する。周辺光の反射光のうち外部に出射できるのは、入射光量に透過率調整層12の透過率の二乗を乗じた光量なので、透過率調整層12を有しない場合に比べて周辺光反射の出射光が格段に減衰する。
【0039】
例えば、透過率調整層12の可視光透過率が70%であれば、内部の光反射性部材の反
射率が実質的に49%になったことに相当する。
【0040】
このような透過率調整層12は、入射した周辺光を吸収するカーボンブラックを樹脂に配合してカラーフィルタ基板の透明基板11上に塗布することで形成することができる。樹脂固形分に対してカーボンブラックの添加量を0.2~8wt%として、0.1~1μmの膜厚に塗布形成することにより、透過率調整層12の可視光透過率を70%以上99.7%以下の範囲とすることが可能である。
【0041】
なお、透過率調整層12にカーボンブラックを配合しない場合には、透過率調整層12と第1ブラックマトリクス14との界面での周辺光の反射光が黄色に着色して見えることがある。これに対し、透過率調整層12にカーボンブラックを配合したときには、その反射光に着色は見られない。
【0042】
この透過率調整層12に使用できる樹脂は、耐熱性など必要な信頼性を付与できるものであれば良い。アルカリ現像可能な感光性樹脂を用いてもよく、熱硬化樹脂を用いても良い。熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ基含有化合物又は樹脂、メチロール基、アルコキシメチル基あるいはアシロキシメチル基から選ばれる少なくも一つの基を有する樹脂とすることができる。
【0043】
図3は、透過率調整層12の有無による反射率の相違を説明するための説明用グラフ図である。すなわち、図3(a)はカラーフィルタ基板の透明基板11と第1ブラックマトリクス14との界面に透過率調整層12を配設したときの反射率を示す。この透過率調整層12は、カーボンブラックを配合した樹脂を塗付して形成したものである。一方、図3(b)は透過率調整層12を配設することなく、カラーフィルタ基板の透明基板11と第1ブラックマトリクス14とが直接接触するように配設したときの反射率を示している。
【0044】
なお、カーボンブラックに加えて、入射した周辺光を散乱する透明微粒子を配合してもよい。このような透明微粒子としては、例えば、平均1次粒子径3~100nmで、光学的に等方性の微粒子を好ましく使用できる。例えば、酸化ケイ素微粒子等である。
【0045】
また、これらカーボンブラックや透明微粒子に加えて、紫外線吸収剤や少量の青顔料を配合することもできる。
【0046】
図3(a)から分かるように、カーボンブラックを配合した樹脂を塗付して透過率調整層12を形成した場合には、その透過率調整層12の反射率は、波長が600nmを超えると高くなる。これに対し、少量の青顔料を配合して透過率調整層12を形成すると、波長600nm以上の長波長の光に対する反射率を低下させることができる。
【0047】
また、透過率調整層12に配合する紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が例示できる。
【0048】
<第1ブラックマトリクス14>
第1ブラックマトリクス14は格子状の形状を有するもので、この格子状第1ブラックマトリクス14の開口部が表示画面の画素に対応している。このため、本明細書では、この格子状第1ブラックマトリクス14の開口部を「画素開口部」と呼ぶ。
【0049】
この第1ブラックマトリクス14は可視光を吸収する黒色を有しており、このため、画素開口部と画素開口部との間に入射した表示光や周辺光はこの第1ブラックマトリクス14に吸収される。なお、前述のとおり、第1ブラックマトリクス14には透過率調整層12が積層されているから、その表面の反射光もわずかである。
【0050】
そして、このように画素開口部と画素開口部との間の位置から表示画面に向けて出射する光が存在しないから、コントラストの高い画面表示を行うことができる。なお、後述するように、画素開口部には着色フィルタ1311,1312,‥が配列されており、この画素開口部を透過する表示光を着色する。
【0051】
第1ブラックマトリクス14は、樹脂にカーボンブラックやチタンブラック等の可視光吸収機能を持つ黒色顔料を分散させて形成することができる。また、これら黒色顔料に加えて、青色顔料など有機顔料を添加してもよい。
【0052】
<カラーフィルタ層13>
カラーフィルタ層13は、互いに色彩の異なる前記着色フィルタ1311,1312,‥の配列で構成されている。着色フィルタ1311,1312,‥は透過する表示光を着色して、表示画面の色彩を決めるものである。このため、通常、光の3原色(赤色、緑色、青色)の着色フィルタを使用しており、また、これら着色フィルタ1311,1312,‥は前記画素開口部に配列されている。
【0053】
なお、後述するように、この例では、各着色フィルタ1304,1305,‥は、図面に垂直な方向(Y方向)延びる直線の形状を有しており、このため、それぞれの各着色フィルタ1304,1305,‥は第1ブラックマトリクス14と交差して、この交差位置で第1ブラックマトリクス14に重なっているが、前記画素開口部では第1ブラックマトリクス14に重なっていないため、説明の便宜上、各画素開口部に対応する着色フィルタに、それぞれ、「1311」「1312」‥の符号を付している。このため、これらの符号は、画素開口部を示すと同時に、この画素開口部に配置された着色フィルタも示している。
【0054】
これら着色フィルタ1304,1305,‥は、アクリル等の透明感光性樹脂あるいはその前駆体に有機顔料を分散させて塗布した後、露光・現像して形成することができる。
【0055】
赤色の着色フィルタ(赤色フィルタ)に適用できる赤色の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を挙げることができる。赤色フィルタには、赤色顔料に加えて黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
【0056】
黄色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、147、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。
【0057】
緑色の着色フィルタ(緑色フィルタ)に適用できる緑色の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を挙げることができる。また、緑フィルタには、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料やハロゲン化
アルミニウムフタロシアニン緑色顔料を好適に用いることもできる。
【0058】
緑色フィルタには、緑色顔料の他に、前述の黄色顔料を併用することもできる。
【0059】
青色の着色フィルタ(青色フィルタ)に適用できる青色の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を挙げることができる。
【0060】
青色フィルタには、青色顔料の他に、紫色顔料を併用することもできる。紫色顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
【0061】
これら有機顔料を分散させる透明感光性樹脂は、可視域の透過率が90%以上の透明樹脂であることがより好ましく、また、樹脂の前駆体を含むアルカリ可溶性の感光性樹脂であることがより好ましい。
【0062】
この透明感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂等が挙げられる。
【0063】
また、透明樹脂の前駆体であるモノマーおよびオリゴマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0064】
そして、これら顔料を、透明感光性樹脂又はその前駆体に対し、15質量%から60質量%の範囲内で配合して塗布液とし、この塗布液を第1ブラックマトリクス14上に塗布してその被膜を形成した後、フォトマスクを介して前記露光し、続いてアルカリ溶液で現像することにより、着色フィルタ1301,1302,‥を形成することができる。
【0065】
<第2ブラックマトリクス16及び光反射性マトリクス17>
第2ブラックマトリクス16は、第1ブラックマトリクス14と同様に格子状の形状を有し、第1ブラックマトリクス14と位置整合して設けられたブラックマトリクスである。もちろん、第2ブラックマトリクス16の開口部は、前記第1ブラックマトリクス14の画素開口部に対応した位置に配置されている。
【0066】
第2ブラックマトリクス16は、第1ブラックマトリクス14と同様に、樹脂にカーボンブラックやチタンブラック等の可視光吸収機能を持つ黒色顔料を分散させて形成することができる。また、この第2ブラックマトリクス16のバックライトモジュール50側の面には、光反射性マトリクス17が積層されている。この光反射性マトリクス17は、発光素子53から発生した光源光を反射する機能を有している。一方、前記第2ブラックマトリクス16は、表示画面側から入射した光を吸収して、その反射を防止する役割を有している。
【0067】
光反射性マトリクス17は、第2ブラックマトリクス16の全体を覆っていてもよいが、この場合には、表示画面を斜め方向から観察したとき、光反射性マトリクス17の端部が見えることがある。このため、光反射性マトリクス17の幅は第2ブラックマトリクス16の幅よりも狭く、この第2ブラックマトリクス16の一部を覆っていることが望ましい。また、同じ理由から、第1ブラックマトリクス14の幅は光反射性マトリクス17の幅よりも広いことが望ましく、第2ブラックマトリクス16の幅よりも広いことが望ましい。
【0068】
図4図6は、第1の実施形態に係るカラーフィルタ基板10において、画素開口部に配置された着色フィルタ1311,1312,‥と、これら両ブラックマトリクス14,16及び光反射性マトリクス17との平面上の関係を説明するためのもので、まず、図4はカラーフィルタ基板10を表示画面側から見たときの画素開口部に配置された着色フィルタと第1ブラックマトリクス14の配列状態と大きさを示す説明図である。
【0069】
この図4から分かるように、直線状の着色フィルタ1304が第1ブラックマトリクス14に重ねられている。例えば、この着色フィルタ1304は赤色の着色フィルタ(赤色フィルタ)である。しかし、表示画面側から見たときには、第1ブラックマトリクス14と交差した部位では赤色フィルタ1304は観察することができず、その開口部から赤色フィルタ1304が観察できるに過ぎない。
【0070】
また、この直線状赤色フィルタ1304に隣接して、これとは異なる色彩の直線状着色フィルタ1305が第1ブラックマトリクス14に重ねられている。例えば、緑色の着色フィルタ(緑色フィルタ)である。また、同様に、3色目の直線状着色フィルタ1306が第1ブラックマトリクス14に重ねられている。3色目の着色フィルタ1306は例えば、青色の着色フィルタ(青色フィルタ)である。
【0071】
そして、この例では、これら赤色フィルタ1304,緑色フィルタ1305及び青色フィルタ1306が並列に配列してカラーフィルタ層13を構成している。
【0072】
そして、第1ブラックマトリクス14の開口部、すなわち、画素開口部は行列状に配列しているから、同じ列に属する画素開口部には、同じ色彩の着色フィルタが配置されている。すなわち、図4において、着色フィルタ1314,1324,1334は、いずれも、赤色フィルタである。また、3色の着色フィルタが繰り返して配列されているから、着色フィルタ1311,1321,1331,1317,1327,1337も赤色フィルタである。
【0073】
一方、着色フィルタ1312,1322,1332,1315,1325,1335,1318,1328,1338は緑色フィルタであり、着色フィルタ1313,1323,1333,1316,1326,1336,1319,1329,1330は緑色フィルタである。
【0074】
なお、図4中、符号「14x」は、第1ブラックマトリクス14のうち、図示縦方向(Y方向)に延びる線の幅を示し、符号「14y」は、第1ブラックマトリクス14のうち、図示左右方向(X方向)に延びる線の幅を示している。
【0075】
次に、図5はカラーフィルタ基板10をバックライト側から見たときの画素開口部に配置された着色フィルタと第2ブラックマトリクスの配列状態と大きさを示す説明図である。この図5において、符号「16x」は、第2ブラックマトリクス16のうち、図示縦方向(Y方向)に延びる線の幅を示し、符号「16y」は、第1ブラックマトリクス16のうち、図示左右方向(X方向)に延びる線の幅を示している。
【0076】
そして、図6はこれらを透視して、カラーフィルタ基板10を表示画面側から見たときとバックライト側から見たときとの画素開口部に配置された着色フィルタと、第1ブラックマトリクス14、第2ブラックマトリクス16及び光反射性マトリクス17の配列状態およびその位置関係を示す説明図である。
【0077】
この図6から分かるように、第1ブラックマトリクス14の開口部(画素開口部)と第2ブラックマトリクス16の開口部はその位置が一致するように配置されている。もちろん、光反射性マトリクス17の開口部の位置も一致している。そして、これら3種類のマトリクスの開口部が一致した部位に着色フィルタ1301,1302,‥が配置され、これを透過する表示光を着色する。
【0078】
そして、光反射性マトリクス17は第2ブラックマトリクス16の一部を覆っているから、その幅は第2ブラックマトリクス16の幅よりも狭い。図中、符号「17x」は、光反射性マトリクス17のうち、図示縦方向(Y方向)に延びる線の幅を示し、符号「17y」は、光反射性マトリクス17のうち、図示左右方向(X方向)に延びる線の幅を示している。
【0079】
そして、図6から分かるように、第1の実施形態に係るカラーフィルタ基板10では、これを平面視したとき、光反射性マトリクス17は第2ブラックマトリクス16上に重なってこれよりはみ出しているところがない。そして、光反射性マトリクス17のY方向に延びる線の幅17xは、第2ブラックマトリクス16のY方向に延びる線の幅16xよりも狭く、また、X方向に延びる線の幅17yも第2ブラックマトリクス16のY方向に延びる線の幅16yよりも狭い。
【0080】
また、同様に第1の実施形態に係るカラーフィルタ基板10を平面視したとき、第2ブラックマトリクス16は第1ブラックマトリクス14上に重なってこれよりはみ出しているところがない。そして、第2ブラックマトリクス16のY方向に延びる線の幅16xは、第1ブラックマトリクス14のY方向に延びる線の幅14xよりも狭く、また、X方向に延びる線の幅16yも第1ブラックマトリクス14のY方向に延びる線の幅14yよりも狭い。このため、第1ブラックマトリクス14の開口部が画素の大きさを決定している。
【0081】
前述のように、第2ブラックマトリクス16は樹脂に黒色顔料を分散させて形成することができるが、光反射性マトリクス17は、単層構造又は多層構造の薄膜によって構成することができる。
【0082】
なお、光反射性マトリクス17の膜厚は例えば0.15~0.8μmでよい。0.15μm以上の膜厚に設定することで光反射性マトリクス17を透過する光をなくすことができる。このため、第2ブラックマトリクス16には高い遮光性を要求しなくて良い。例えば光学濃度が2以上3以下の範囲で十分である。
【0083】
単層構造の光反射性マトリクス17としては、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金から成る金属薄膜を例示できる。アルミニウム合金としては、モリブデンやチタン等の高融点金属、ネオジム等の希土類、あるいはケイ素を少量含むアルミニウム合金が採用できる。反射率の観点からネオジムを0.2~3質量%含むアルミニウム合金が好ましい。ネオジムが0.2質量%未満では、アルミニウムの結晶が粗大化あるいはヒロック形成のため光反射率が低下しやすい。また、ネオジムが3質量%を超えた場合にも光反射率が低下する傾向となる。これに対し、ネオジムが0.2質量%以上3質量%以下の範囲
にて、高い反射率を安定して再現しやすいのである。
【0084】
また、単層構造の光反射性マトリクス17として、銀あるいは銀合金の金属薄膜を使用することもできる。また、このように銀あるいは銀合金の金属薄膜を採用する場合には、この銀あるいは銀合金の金属薄膜を中間層として、その両側に導電性酸化物の薄膜を配置した三層構造の光反射性マトリクス17とすることが望ましい。導電性酸化物の薄膜としては、インジウム酸化物からなる第1の金属酸化物材料と、銀との固溶域を実質的に持たない金属元素の酸化物からなる第2の金属酸化物材料とを含有する混合酸化物を好ましく使用することができる。なお、銀との固溶域を実質的に持たない金属元素としては、例えば、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、セリウム、ビスマス、ゲルマニウム、ケイ素、クロムを例示できる。
【0085】
また、これら薄膜は、第2ブラックマトリクス16との間に窒化チタン薄膜やチタン薄膜を介して積層することもできる。
【0086】
<光散乱層15>
前述のように、第2ブラックマトリクス16は、表示画面側から入射した光を吸収して、その反射を防止する役割を有している。しかしながら、表示画面側から入射した光が第2ブラックマトリクス16に吸収されず、その表面で正反射して、この正反射光が画面表示のコントラストを低下させることがある。光散乱層15はこのような正反射を防止するもので、第2ブラックマトリクス16と着色フィルタ1301,1302,‥の間に配置される。すなわち、光散乱層15は第1ブラックマトリクス14及び着色フィルタ1301,1302,‥を覆って配置され、第2ブラックマトリクス16はこの光散乱層15の上に配置されている。
【0087】
光散乱層15は、透明粒子を樹脂に配合して塗布液とし、第1ブラックマトリクス14及び着色フィルタ1301,1302,‥を覆ってこの塗布液を塗布することで形成することができる。このほか、分散助剤や紫外線吸収剤を配合してもよい。なお、後述するように、相溶性が低く、しかも、互いに屈折率の異なる2種の樹脂を使用して光散乱層15を形成することもできる。
【0088】
そこで、透明粒子を利用して光散乱層15を構成する場合には、この光散乱層15に適用する透明粒子として、可視光の波長より大きな粒子径の粒子を好ましく使用できる。光散乱の対象となる可視光の波長と同程度の粒子径を有する粒子では、その対象となる可視光の透過性が高く、光散乱が生じ難い。これに対し、可視光の波長より大きな粒子径の粒子を用いる場合、可視光の透過性が低下して、高い光散乱性を示すのである。
【0089】
このような理由から、前記透明粒子としては、例えば、平均粒径が1.0~3.0μm透明粒子の粒子を好ましく用いることができる。また、前記分散助剤として、平均粒径が0.2μm前後、あるいは0.1μm以下の透明微粒子を配合することも可能である。
【0090】
また、前記透明粒子は、光散乱層15に含まれる前記樹脂とは屈折率が異なることが望ましい。屈折率の異なる透明粒子と樹脂との界面で光が反射又は屈折することにより、光の散乱が生じるからである。
【0091】
また、前記透明粒子は光学的に等方性であることが望ましい。この光散乱層15を透過する表示光の偏光面を回転させることなく維持させるためである。このような光学的に等方性の無機粒子としては、例えば、非晶質構造(アモルファス)のシリカ粒子を例示することができる。
【0092】
また、有機物の粒子は一般に等方性であり、このような有機粒子には屈折率を含めて様々な性質を有する粒子が知られている。例えば、アクリル、スチレン、ウレタン、ナイロン、メラミン、ベンゾグアナミンなどの樹脂の粒子である。もちろん、これらの粒子を混合して用いることができる。
【0093】
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。紫外線吸収剤は、フェノール水酸基を持つことが好ましい。フェノール水酸基を持たせることにより、熱処理時にアルコキシメチル基やメチロール基などを有する化合物と架橋が可能となる。架橋させることで、硬膜後の長期保管で紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制し、信頼性を向上させることができる。紫外線吸収剤の添加量は、前記樹脂に対して、例えば、0.05~10質量%の範囲で配合することができる。
【0094】
このように光散乱層15は光の波長の長さより大きい透明粒子の分散体で構成されているから、その厚みは透明粒子の平均粒子径より厚いことが望ましい。例えば、1~50μm以下である。50μmより厚く形成することもできるが、50μmより厚くすることによる散乱性の向上は少ない。むしろ、厚く形成することによる工程負荷、例えば塗布・乾燥などの作業時間に無駄を発生しやすい。
【0095】
なお、前述のように、相溶性が低く、しかも、互いに屈折率の異なる複数の樹脂を溶剤に溶解又は分散させて塗布液とし、この塗布液を塗布した後、これら樹脂を相分離させることにより、互いに屈折率の異なる海島構造の層を形成して、この層を光散乱層15とすることも可能である。
【0096】
<透明樹脂層18>
透明樹脂層18はカラーフィルタ基板10の表面を保護するもので、必ずしもこれを設ける必要はない。なお、後述するように、共通電極をカラーフィルタ基板10に設ける場合には、光反射性マトリクス17の上にこの透明樹脂層18を設け、この透明樹脂層18を介して共通電極を配置することが望ましい。
【0097】
(液晶駆動基板30)
液晶駆動基板30は、図7に示すように、透明基板(液晶駆動基板の透明基板)31、絶縁層32、共通電極33、絶縁層34,画素電極35をその構成要素としている。このほか、液晶駆動基板30には、図示しない偏光膜と配向膜が設けられている。また、共通電極33、絶縁層34及び画素電極35は、絶縁層34を配線基板基材として、その両面に共通電極33と画素電極35を形成したものであってもよい。
【0098】
画素電極35には薄膜トランジスタがそれぞれ少なくとも1個接合されており、この薄膜トランジスタを駆動することにより、画素電極35ごとに電圧を印加することができる。そして、このように画素電極35ごとに電圧を印加することにより、液晶層20を画素電極35ごとに駆動して画面表示することができる。
【0099】
なお、この実施形態では、画素電極35と共通電極33間のフリンジ電界で駆動するFFS(フリンジフィールドスイッチング)方式で液晶層20を駆動しているが、液晶層20として、カラーフィルタ基板10と液晶駆動基板30との間の電界で駆動するVA(垂直配向)方式の液晶を使用する場合には、共通電極33の代わりに、カラーフィルタ基板10に共通電極を設けて、カラーフィルタ基板10のこの共通電極と液晶駆動基板30の画素電極35との間で電圧を印加することが望ましい。
【0100】
なお、図8に、画素電極35に電圧を印加する回路の回路図を示す。この図に示すよう
に一つの画素電極35は一つの薄膜トランジスタ35に電気的に接続されており、一つの薄膜トランジスタ35を制御することにより、一つの画素電極35を制御することができる。すなわち、画素電極35ごとに制御することが可能である。
【0101】
そして、この回路では、ソース線35からの映像信号と、ゲート線35からの選択信号を受けて、画素電極35に液晶駆動電圧が印加され、液晶層20が駆動される。なお、図中、符号「35CS」は補助容量を示し、符号「35」は補助容量線を示しているが、これら補助容量35CS及び補助容量線35の形成は省いても良い。
【0102】
(波長変換板40)
波長変換板40は、バックライトモジュール50から発生した光源光を疑似白色光に変えるものである。前述のように、この実施形態では、バックライトモジュール50に内蔵した発光素子53として、青色の発光ピークを持つ青色LEDを使用している。この青色LEDから発生した光源光は青色の単色光であるから、この光源光を利用してフルカラーの画面表示を行うためには、この青色光源光を疑似白色光に変換しなければならない。このため、波長変換板40には、青色光源光を赤色光や緑色に変換する波長変換層4R,4Gが設けられている。
【0103】
波長変換に用いる前記材料は、量子ドットと呼称され、量子閉じ込め効果を持つナノメートルサイズの半導体微粒子(以下、量子ドットと記載)と、希土類(レアアース)と呼ばれるEU(ユーロピウム)、Ce(セリウム)、Y(イットリウム)など賦活材を添加した複合酸化物や窒化物で代表される無機蛍光体(以下、蛍光体)とに区分できる。
【0104】
蛍光体は、量子ドットと比べて平均粒径が0.5μmから30μmと大きいが、高温・高圧下での製造工程を経ることもあって耐熱・耐光性など信頼性が高い。
【0105】
量子ドットの例としては、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、及びHgTeのようなII-VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs、及びTiSbのようなIIIV族半導体化合物、Si、Ge、及びPbのようなIV族半導体等を含有する半導体結晶の他、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物が挙げられる。量子ドットのサイズは、例えば、0.5nmから30nmの範囲内にあり、粒子サイズを大きくすることにより変換光が長波長側へシフトする。
【0106】
波長変換層には、赤色、緑色、青色の2次光を得るための、赤変換粒子と緑変換粒子が含まれてもよい。波長変換層3に適用できる赤変換粒子と緑変換粒子は、量子ドットまたは蛍光体から適宜選択できる。
【0107】
赤変換粒子とは、青色の光を受けて赤色の波長に変換できる蛍光体あるいは量子ドットの粒子を指す。緑変換粒子は、青色の光を受けてそれぞれ緑色の光に変換できる蛍光体あるいは量子ドットの粒子を指す。
【0108】
波長変換層は、平面視において、異なる変換粒子を含む複数種類の層が互いに離れてまたは互いに隣接して、配置されていてもよい。
【0109】
波長変換層は、複数種類の変換粒子を個別に含む複数種類の層が積層された構成を有していてもよい。この場合、発光素子53に近い方に、例えば、赤色など長波長の変換粒子を配置することがより好ましい。赤色より短波長の緑色光に変換する緑変換粒子は、赤変
換粒子よりも発光素子53から遠い位置に配置することが好ましい。
【0110】
なお、発光素子53が近紫外発光する場合、波長変換層には、赤変換粒子、緑変換粒子、青変換粒子をそれぞれ含む赤色変換層、緑色変換層、青色変換層が設けられることが好ましい。この場合にも、短波長の光に変換する波長変換層は、発光素子53から遠い位置に配置することが好ましい。すなわち、発光素子53から、赤色変換層、緑色変換層、青色変換層の順である。
【0111】
この第1の実施形態の波長変換板40は、透明基材41上に、赤色変換層4Rと緑色変換層4Rとを積層したものである。この第1の実施形態では、発光素子53として青色発光する青色LEDを使用しており、青色の光源光の一部が赤色変換層4Rで赤色に変換され、また、他の一部が緑色変換層4Rで緑色に変換される。このため、この波長変換板40を透過した光は、青色光、赤色光及び緑色光が混合した疑似白色光である。
【0112】
波長変換層は、波長変換粒子を耐熱性・耐光性に優れる樹脂に分散させた分散体として形成することができる。なお、これら波長変換粒子と樹脂に加えて、透明な光散乱粒子を配合することもできる。
【0113】
分散体に用いる樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、これらの変性樹脂、ハイブリッド樹脂などが挙げられる。
【0114】
また、光散乱粒子としては、前述の光散乱層15に配合する透明粒子として説明したものを使用することができる。すなわち、可視光の波長より粒子径が大きく、屈折率が前記樹脂の屈折率と異なり、また、光学的に等方性の粒子である。具体的には、平均粒径が1.0~3.0μmのシリカ粒子や、アクリル、スチレン、ウレタン、ナイロン、メラミン、ベンゾグアナミンなどの樹脂の粒子を例示できる。
【0115】
これら樹脂、波長変換粒子及び光散乱粒子を、モノマーあるいは有機溶剤を用いて混合して液状の分散体を形成した後、印刷することにより波長変換層を形成することができる。また、スピンコーター、スリットコーター、カーテンコーター、インクジェットなどの装置で、前記分散体を塗布し硬化させることで波長変換層を形成することもできる。
【0116】
なお、変換粒子として蛍光体を用いる場合、例えば、前記樹脂としてアルカリ可溶な感光性ポリマーレジストを使用し、このポリマーレジストに分散させた分散液(分散体)を塗布して、フォトリソグラフィの手法でパターン状の波長変換層を形成することも可能である。
【0117】
(バックライトモジュール50)
バックライトモジュール50は、画面表示に使用する光を発生するデバイスである。図1及び図10に示すように、バックライトモジュール50は複数の発光ユニット50aを配列して構成されており、発光ユニット50aの内部には複数の発光素子53が配列されているが、これら発光素子53は発光ユニット50aを単位として制御される。すなわち、発光ユニット50aを単位として点灯し、あるいは消灯する。また、その明るさも発光ユニット50aを単位として制御される。
【0118】
これら発光ユニット50aと発光ユニット50aとの間の境界には、光を遮断する隔壁50bが設けられている。例えば、発光ユニット50aと発光ユニット50aとの間の境界には隔壁50bが配置されている。このように発光ユニット50aと発光ユニット50aとの間に隔壁50bが設けられているから、発光ユニット50aごとに制御して
、この発光ユニット50aで発生した光が隣接する発光ユニット50aで発生した光と混合することがない。例えば、発光ユニット50aで発光素子53を点灯させ、隣接する発光ユニット50aでは消灯させたとき、発光ユニット50aで発生した光源光が隔壁50bを越えて出射することがない。
【0119】
そこで、これら発光ユニット50aに対応する表示画面の領域を単位表示エリア100aとすると、その発光ユニット52aの光強度をコントロールする(ローカルディミング駆動)ことにより、これに対応する単位表示エリアの表示光の輝度をコントロールすることが可能である。
【0120】
なお、前述のように発光ユニット50aの内部には複数の発光素子53が配列されており、単位表示エリア100aの内部には複数の画素(画素開口部)13が含まれている。例えば、図1を見ると、発光ユニット50a内でX方向に並んだ発光素子53の数は3である。また、発光ユニット50aに対応する単位表示エリア100aでX方向に並んだ画素(画素開口部)13の数は6である。発光ユニット50aに含まれる発光素子53の数や単位表示エリア100aに含まれる画素(画素開口部)13の数はこれに限られないが、発光ユニット50aに含まれる発光素子53の数は、単位表示エリア100aに含まれる画素(画素開口部)13の数より少なく構成することが望ましい。
【0121】
図1及び図10に示すように、バックライトモジュール50は、発光ユニット50aと隔壁50bの他に、基板(バックライトモジュール基板)51、多層構造の絶縁層52a,52b,52c、発光素子53の電極53a,53bに電気的に接続した共通電極54、プリズムシート55等を備えて構成されている。多層構造の絶縁層52には、半導体製造プロセスによって各発光素子53を駆動する薄膜トランジスタを含む回路配線が形成されており、各発光素子53はこの絶縁層52の上に配置されている。
【0122】
<バックライトモジュール基板51>
バックライトモジュール基板51は透明でもよいが、カラーフィルタ基板の透明基板11や液晶駆動基板の透明基板31と異なり、不透明なものであってもよい。例えば、このバックライトモジュール基板51は、サイファア基板であってよく、CMOS素子(トランジスタなど)を配設したシリコン基板であってもよい。また、このバックライトモジュール基板51として、バッファー層を介して結晶成長させたLEDによって各発光素子53が形成されたシリコン基板であってもよい。
【0123】
また、バックライトモジュール基板51の裏面には、放熱膜51を設けることができる。放熱膜51としては、放熱性が良好な材料であれば特に限定されない。例えば、放熱膜51はアルミニウムや銅で形成された薄膜で構成することができる。この薄膜は蒸着やスパッタリング法によって形成することが可能である。
【0124】
<発光素子53>
発光素子53としては、LED(Light Emitting Diode)を好適に利用することができる。中でも、単色発光LEDを用いることがより好ましい。単色発光LEDとしては、青色LEDあるいは近紫外LEDが特に好ましい。
【0125】
LEDは、n型半導体とp型半導体とをpn接合して構成されたもので、その両側に電圧をかけると、n型半導体とp型半導体との境界面で電子と正孔とが再結合し、この再結合に伴って光を発生する発光素子である。そして、この発光する境界面を「活性層」あるいは「発光層」と呼ぶことがある。図10において、符号「53b」及び「53b」は前記両半導体を示し、符号「53b」はその間の発光層を示している。
【0126】
LEDには、n側電極とp側電極が同じ側にある水平型LEDと、LEDの厚み方向にn側電極とp側電極が異なる面(向かい合う平行な面)にある垂直型LEDとがあるが、そのいずれを用いることも可能である。また、40~200μmサイズのミニLEDチップを用いても良いし、2~60μmサイズのマイクロLEDチップを用いても良い。
【0127】
この発光素子53の実装は、低融点合金を用いたフリップチップ実装、異方性導電膜を用いた実装、あるいは金線などを用いたワイヤーボンディングなどであって良い。
【0128】
この第1の実施形態においては、絶縁層52cの上には光反射性電極53aが配置されている。この光反射性電極53aは、一つの発光素子53に対して一つの光反射性電極53aが対応している。そして、前記発光素子53は、それぞれ、この光反射性電極53aに接続されている。この絶縁層52cを含む多層構造の絶縁層52に回路配線が形成されていることは前述のとおりである。そして、この回路配線は前記光反射性電極53aに電気的に接続されており、このため、発光素子53の半導体層53bに電圧を印加することができる。
【0129】
また、半導体層53bの上には透明電極53cが設けられており、この透明電極53cはコンタクトホール53dを介して共通電極54に伝記的に接続されている。共通電極54は、発光ユニット50aに含まれる発光素子53のすべてに電気的に接続されており、この共通電極54と前記光反射性電極53aとの間に電圧を印加して、透明電極53cと光反射性電極53aとの間の発光素子53に電圧を印加することにより、前記発光層53bを発光させることができる。
【0130】
図11に、バックライトモジュールの発光素子の駆動回路の回路図を示す。図中、符号「53」はソース線、「53」はゲート線を示している。また、符号「53CS」は補助容量を示し、符号「53T1」は選択トランジスタを示し、「53T2」は駆動トランジスタを示している。このようにこの回路では、選択トランジスタ53T1と、電源線53VDから電流を発光素子53に供給する駆動トランジスタ53T2の2つのトランジスタを必要とする。
【0131】
この回路においては、これにさらに可変抵抗器を組み入れて、この可変抵抗器の抵抗値を変化させることにより、発光素子53への電流の大きさを調整するアナログ調光方式をとることができる。このように発光素子53への電流の大きさを調整することにより、それぞれの発光素子53から発生する光源光の輝度をコントロールし、その結果、発光ユニット50aごとに光源光の輝度をコントロールすることができる。
【0132】
また、発光素子53の点灯時間をコントロールすることにより、発光ユニット50aごとに光源光の輝度を調整するPWM(Pulse Width Modulation)の駆動方式を選択してもよい。
【0133】
また、さらには、発光ユニット50aに含まれる複数の発光素子53の中から発光させる発光素子53を選択して、これら選択した発光素子53の光反射性電極53に電圧を印加する駆動制御回路を発光ユニットに組み込んでも良い。こうして選択した一部の光反射性電極53に電圧を印加することにより、発光ユニット50aごとに輝度をコントロールすることが可能である。
【0134】
<隔壁50b>
前述のように、隔壁50bは、発光ユニット50aと発光ユニット50aとの間の境界に配置されて、光の透過を防止するものである。このため、隔壁50bは光を吸収する黒色を有することができる。また、この隔壁50bの表面を光反射性として、それぞれの発
光ユニット50aから入射した光源光をその発光ユニット50aに向けて反射させることもできる。このように隔壁50bを光反射性とした場合には、光源光の光利用効率を一層高めることができる。
【0135】
黒色の隔壁50bは、例えば、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料を含む樹脂組成物で構成することができる。例えば、フォトレジストにこれら黒色顔料を配合して塗布し、露光・現像して隔壁50bを形成することができる。また、黒色インキを印刷して隔壁50bを形成してもよい。
【0136】
また、光反射性の隔壁50bは、樹脂製隔壁の表面に光反射性金属薄膜を付着させればよい。光反射性金属薄膜としては、光反射性マトリクス17を構成する金属薄膜として説明したものを利用できる。例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金、あるいは銀又は銀合金である。また、多層構造の金属薄膜でもよい。
【0137】
なお、この光反射性隔壁50bに加えて、バックライトモジュール50の内部に光反射性部材を配置することにより、光源光の光利用効率を向上させることもできる。
【0138】
<プリズムシート55>
プリズムシート55は発光ユニット50aから出射する光源光の出射方向を広げるものである。このプリズムシート55は発光ユニット50aごとに配置してもよいし、図示のように、複数の発光ユニット50aを覆うように配置してもよい。
【0139】
このプリズムシート55は、例えば、透明樹脂シートをエンボス加工して製造することができる。また、透明樹脂を射出成形して製造することもできる。透明樹脂としては屈折率の高い樹脂が望ましく、例えばアクリル樹脂が使用できる。
【0140】
以上、第1の実施形態に係る液晶表示装置100について説明したが、この液晶表示装置100は種々の応用が可能である。上述の各実施形態に係る表示装置が適用可能な電子機器としては、携帯電話、携帯型ゲーム機器、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤ等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、自動販売機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、個人認証機器、光通信機器、ICカードなどの電子デバイス等が挙げられる。そして、適用する電子機器の種類に応じて、さらにアンテナを搭載して通信や非接触での受電給電を行うことも可能である。
【0141】
[第2の実施形態]
次に、図12を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。図12は第2実施形態に係る液晶表示装置200の説明用断面図であり、図13はそのバックライトモジュール250内の発光ユニット250aを拡大して示した説明用断面図である。
【0142】
この第2の実施形態に係る液晶表示装置200は、波長変換板40を備えていない点で第1の実施形態に係る液晶表示装置100と異なっている。すなわち、液晶表示装置200は、カラーフィルタ基板210、液晶駆動基板230、バックライトモジュール250及び液晶層220をその構成要素としている。このうち、カラーフィルタ基板210、液晶駆動基板230及び液晶層220は、それぞれ、第1の実施形態におけるカラーフィルタ基板10、液晶駆動基板30及び液晶層20と同様である。
【0143】
バックライトモジュール250は、その発光ユニット250aとして、光反射性の金属容器253eを複数配列して構成している。この金属容器253eには、発光素子として
金線でワイヤーボンディングされた青色LED253が収容されており、この青色LED253上部には、赤変換粒子と緑変換粒子の両者を分散させた波長変換層25RGが充填されている。このため、青色LED253から発生した青色光は、この波長変換層25RGを透過して疑似白色光に変換されて出射する。なお、波長変換層25RGには、赤変換粒子と緑変換粒子に加えて、光散乱性の透明粒子を配合してもよい。
【0144】
なお、発光ユニット250aを構成する複数の金属容器253eの上には、これら複数の金属容器253eの全部を覆うようにプリズムシート255が配設されている。
【0145】
前記液晶表示装置100と同様に、この第2の実施形態に係る液晶表示装置200も種々の電子機器に適用できることは明らかと思われる。
【符号の説明】
【0146】
100:液晶表示装置 100a,100a,‥:各別の単位表示エリア
10:カラーフィルタ基板
11:カラーフィルタ基板の透明基板
12:透過率調整層
13:カラーフィルタ層 1301,130,‥:着色フィルタ 1311,1312、‥:各別の画素開口部(各別の着色フィルタ)
14:第1ブラックマトリクス 14x:第1ブラックマトリクスのうちY方向に延びる線の幅 14y:第1ブラックマトリクスのうちX方向に延びる線の幅
15:光散乱層
16:第2ブラックマトリクス 16x:第2ブラックマトリクスのうちY方向に延びる線の幅 16y:第2ブラックマトリクスのうちX方向に延びる線の幅
17:光反射性マトリクス 17x:光反射性マトリクスのうちY方向に延びる線の幅 17y:光反射性マトリクスのうちX方向に延びる線の幅
18:透明樹脂層
20:液晶層
30:液晶駆動基板
31:液晶駆動基板の透明基板
32:絶縁層 32a:絶縁層 32b:絶縁層
33:共通電極
34:絶縁層
35:画素電極
40:液晶駆動基板
41:透明基材
4R:赤色変換層
4G:緑色変換層
50:バックライトモジュール
50a:発光ユニット 50a,50a,‥:各別の発光ユニット
50b:隔壁 50b,50b,‥:各別の隔壁
51:バックライトモジュール基板
52:絶縁層 52a:絶縁層 52b:絶縁層
53:発光素子 53a:光反射性電極 53b:半導体層 53b:発光層 53b:半導体層 53c:透明電極 53d:コンタクトホール
54:共通電極
55:プリズムシート
53T1:選択トランジスタ 53T2:選択トランジスタ 53VD:電源線
53:ソース線 53:ゲート線 53CS:補助容量
200:液晶表示装置
210:カラーフィルタ基板
220:液晶層
230:液晶駆動基板
50A:バックライトモジュール
50Aa:発光ユニット
251:バックライトモジュール基板
252:絶縁層
253:発光素子(青色LED)
253e:光反射性金属容器
255:プリズムシート
25RG:波長変換層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13