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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054573
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230407BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20230407BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230407BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20230407BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALN20230407BHJP
【FI】
G09F9/30 349C
G09F9/30 349D
G09F9/30 349Z
G09F9/33
G09F9/30 349B
H01L33/00 L
G02F1/13357
G02F1/1335 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163504
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後藤 宏希
(72)【発明者】
【氏名】福吉 健蔵
【テーマコード(参考)】
2H291
2H391
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
2H291FA02X
2H291FA13X
2H291FA13Z
2H291FA14X
2H291FA31X
2H291FA31Z
2H291FA46X
2H291FA85Z
2H291GA05
2H291GA10
2H291GA19
2H291GA21
2H291HA11
2H291HA15
2H391AA03
2H391AB04
2H391AC09
2H391AC42
2H391CA35
2H391CB13
2H391EA02
2H391EA11
2H391EA21
2H391EA26
5C094AA07
5C094BA03
5C094BA23
5C094BA43
5C094CA19
5C094DA13
5C094ED03
5C094ED11
5C094ED15
5C094ED20
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB20
5F142BA32
5F142CB23
5F142CB24
5F142DA13
5F142DA23
5F142DA64
5F142DA73
5F142DB34
5F142DB36
5F142DB37
5F142DB40
5F142DB42
(57)【要約】
【課題】光源光の光利用効率を向上させることのできる表示装置を提供すること。
【解決手段】ブラックマトリクス基板(BM基板)10と光モジュール20とを重ねて表示装置100を構成し、光モジュールの光源を制御して画面表示する。BM基板10が、ブラックマトリクス(BM)13とブラックストライプ(BS)16とを備えており、かつ、BS16がBM13より光モジュールに近い位置に配置されている。そして、前記BS16の光モジュール側表面にBS側光反射膜16が積層されており、前記BM13の2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、BS16が重ねられていない光吸収性帯の光モジュール側表面に光反射膜(BM側光反射膜)13が積層されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラックマトリクス基板と光モジュールとを重ねて構成され、光モジュールの光源を制御して画面表示する表示装置において、
前記ブラックマトリクス基板が、ブラックマトリクス(BM)とブラックストライプ(BS)とを備えており、かつ、BSがBMより光モジュールに近い位置に配置されており、
前記BMが、互いに直交する2つの方向に延在する光吸収性帯を格子状に配置した形状を有し、かつ、その開口部を表示画面の画素に対応する画素開口部としており、
前記BSが一定の方向に延在する光吸収帯を並列した形状を有しており、かつ、この光吸収帯が延在する方向が、前記BMが延在する2つの方向のうちの一方と一致しており、しかも、両者が位置整合して重ねられており、
このBSの光モジュール側表面に光反射膜(BS側光反射膜)が積層されており、
前記BMの2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、BSが重ねられていない光吸収性帯の光モジュール側表面に光反射膜(BM側光反射膜)が積層されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記BMの2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、前記BSが重ねられた光吸収性帯の幅が、前記BSの幅より広いことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記BSの幅よりBS側光反射膜の幅が狭いことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記BMの2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、BM側光反射膜が積層された光吸収性帯のよりBM側光反射膜の幅が狭いことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記BS側光反射膜が、チタン膜又は窒化チタン膜を介して積層されたアルミニウムあるいはアルミニウム合金の金属薄膜から成ることを特徴とする請求項1~4のいずれかにに記載の表示装置。
【請求項6】
前記BS側光反射膜が3層構造を有しており、その中間層が銀あるいは銀合金の金属薄膜から成ることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記BM側光反射膜が、チタン膜又は窒化チタン膜を介して積層されたアルミニウムあるいはアルミニウム合金の金属薄膜から成ることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記BM側光反射膜が3層構造を有しており、その中間層が銀あるいは銀合金の金属薄膜から成ることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記ブラックマトリクス基板が、前記BMより観察者側に透過率調整層を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記透過率調整層が、透明樹脂に少なくともカーボンを分散させた分散体から成ることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記ブラックマトリクス基板が、前記BMと前記BSとの間に光散乱層を備えることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
前記光散乱層が透明粒子とカーボンと透明樹脂の分散体から成ることを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記ブラックマトリクス基板が、透過光を着色するカラーフィルタ層を備えることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の表示装置。
【請求項14】
前記光モジュールの内部に複数の発光素子が配列されていることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の表示装置。
【請求項15】
前記発光素子が青色あるいは近紫外の単色発光の発光素子から成ることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記発光素子がLEDから成ることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記発光素子と着色フィルタとの間に、発光素子の光を緑色光又は赤色光に変換する波長変換層を有することを特徴とする請求項15又は16に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記ブラックマトリクス基板と光モジュールとの間に液晶層及び液晶駆動基板を備えており、これらブラックマトリクス基板と液晶駆動基板との間で液晶層を駆動することを特徴とする請求項1~17のいずれかに記載の表示装置。
【請求項19】
前記光モジュールが複数の発光ユニットを配列して構成されており、
単一の発光ユニットに対応する表示画面の領域を表示エリアとするとき、この表示エリアに複数の前記画素開口部が含まれていることを特徴とする請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記発光素子が、前記画素開口部に対して1:1に対応していることを特徴とする請求項1~18のいずれかに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の光源からの出射光を利用して画面表示する技術は公知であり、例えば、特許文献1~3に記載されている。
【0003】
しかし、その出射光の光利用効率は十分とはいえず、まだ改善の余地を残していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2653014号公報
【特許文献2】特開2000-321566号公報
【特許文献3】国際公開2020/115837号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、光源光の光利用効率を向上させることのできる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る表示装置は、ブラックマトリクス基板と光モジュールとを重ねて構成され、光モジュールの光源を制御して画面表示する表示装置において、
前記ブラックマトリクス基板が、ブラックマトリクス(BM)とブラックストライプ(BS)とを備えており、かつ、BSがBMより光モジュールに近い位置に配置されており、
前記BMが、互いに直交する2つの方向に延在する光吸収性帯を格子状に配置した形状を有し、かつ、その開口部を表示画面の画素に対応する画素開口部としており、
前記BSが一定の方向に延在する光吸収帯を並列した形状を有しており、かつ、この光吸収帯が延在する方向が、前記BMが延在する2つの方向のうちの一方と一致しており、しかも、両者が位置整合して重ねられており、
このBSの光モジュール側表面に光反射膜(BS側光反射膜)が積層されており、
前記BMの2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、BSが重ねられていない光吸収性帯の光モジュール側表面に光反射膜(BM側光反射膜)が積層されていることを特徴とする表示装置である。
【0007】
本発明に係る表示装置は、前記BMの2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、前記BSが重ねられた光吸収性帯の幅が、前記BSの幅より広い表示装置とすることができる。
【0008】
本発明に係る表示装置は、前記BSの幅よりBS側光反射膜の幅が狭い表示装置とすることができる。
【0009】
また、本発明に係る表示装置は、前記BMの2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、BM側光反射膜が積層された光吸収性帯のよりBM側光反射膜の幅が狭い表示装置とすることができる。
【0010】
本発明に係る表示装置は、前記BS側光反射膜が、チタン膜又は窒化チタン膜を介して
積層されたアルミニウムあるいはアルミニウム合金の金属薄膜から成る表示装置とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る表示装置は、前記BS側光反射膜が3層構造を有しており、その中間層が銀あるいは銀合金の金属薄膜から成る表示装置とすることができる。
【0012】
本発明に係る表示装置は、前記BM側光反射膜が、チタン膜又は窒化チタン膜を介して積層されたアルミニウムあるいはアルミニウム合金の金属薄膜から成る表示装置とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る表示装置は、前記BM側光反射膜が3層構造を有しており、その中間層が銀あるいは銀合金の金属薄膜から成る表示装置とすることができる。
【0014】
本発明に係る表示装置は、前記ブラックマトリクス基板が、前記BMより観察者側に透過率調整層を備える表示装置とすることができる。
【0015】
本発明に係る表示装置は、前記透過率調整層が、透明樹脂に少なくともカーボンを分散させた分散体から成る表示装置とすることができる。
【0016】
本発明に係る表示装置は、前記ブラックマトリクス基板が、前記BMと前記BSとの間に光散乱層を備える表示装置とすることができる。
【0017】
本発明に係る表示装置は、前記光散乱層が透明粒子とカーボンと透明樹脂の分散体から成る表示装置とすることができる。
【0018】
本発明に係る表示装置は、前記ブラックマトリクス基板が、透過光を着色するカラーフィルタ層を備える表示装置とすることができる。
【0019】
本発明に係る表示装置は、前記光モジュールの内部に複数の発光素子が配列されている表示装置とすることができる。
【0020】
本発明に係る表示装置は、前記発光素子が青色あるいは近紫外の単色発光の発光素子から成る表示装置とすることができる。
【0021】
本発明に係る表示装置は、前記発光素子がLEDから成る表示装置とすることができる。
【0022】
本発明に係る表示装置は、前記発光素子と着色フィルタとの間に、発光素子の光を緑色光又は赤色光に変換する波長変換層を有する表示装置とすることができる。
【0023】
本発明に係る表示装置は、前記ブラックマトリクス基板と光モジュールとの間に液晶層及び液晶駆動基板を備えており、これらブラックマトリクス基板と液晶駆動基板との間で液晶層を駆動する表示装置とすることができる。
【0024】
本発明に係る表示装置は、前記光モジュールが複数の発光ユニットを配列して構成されており、
単一の発光ユニットに対応する表示画面の領域を表示エリアとするとき、この表示エリアに複数の前記画素開口部が含まれている表示装置とすることができる。
【0025】
本発明に係る表示装置は、前記発光素子が、前記画素開口部に対して1:1に対応して
いる表示装置とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の表示装置によれば、BMとBSとを備えており、BSにはその光モジュール側表面にBS側光反射膜が積層されており、BMの2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、BMが重ねられていない光吸収性帯の光モジュール側表面にBM側光反射膜が積層されているから、光モジュールの光源からの光源光は、画素開口部を透過して表示画面の画素を構成するか、あるいはこれらBS側光反射膜又はBM側光反射膜に反射されて光モジュールの方向に戻る。一般に、光モジュールには、発生した光源光を目的とする方向に出射するように、その反対側に光反射性部材が設けられている。このため、BS側光反射膜又はBM側光反射膜に反射された光源光は再び反射されてブラックマトリクス基板の方向に向かう。このため、理論上、すべての光源光が画素開口部を透過して画面表示に利用される。そして、このため、光源光の光利用効率を著しく向上させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は本発明の第1実施形態に係る表示装置の説明用断面図である。
図2図2は本発明の第1実施形態に係り、そのブラックマトリクス基板の説明用断面図である。
図3図3は本発明の第1実施形態に係り、透過率調整層の有無による反射率の相違を説明するための説明用グラフ図である。
図4図4は本発明の第1実施形態に係り、画素開口部とブラックマトリクスの配列状態を説明するための説明図である。
図5図5は本発明の第1実施形態に係り、画素開口部とブラックストライプの配列状態を説明するための説明図である。
図6図6は本発明の第1実施形態に係り、画素開口部、ブラックマトリクス及びブラックストライプの配列状態を説明するための説明図である。
図7図7は本発明の第1実施形態に係り、その光モジュールの説明用断面図である。
図8図8は本発明の第1実施形態に係り、光モジュールの発光素子の駆動回路の回路図である。
図9図9は本発明の第2実施形態に係る表示装置の説明用断面図である。
図10図10は本発明の第2実施形態に係り、光モジュールの発光素子の説明用断面図である。
図11図11は本発明の第3実施形態に係る表示装置の説明用断面図である。
図12図12は本発明の第3実施形態に係り、そのブラックマトリクス基板の説明用断面図である。
図13図13は本発明の第3実施形態に係り、各色に着色された画素開口部とブラックマトリクスの配列状態を説明するための説明図である。
図14図14は本発明の第3実施形態に係り、各色に着色された画素開口部とブラックストライプの配列状態を説明するための説明図である。
図15図15は本発明の第3実施形態に係り、各色に着色された画素開口部、ブラックマトリクス及びブラックストライプの配列状態を説明するための説明図である。
図16図16は本発明の第4実施形態に係る表示装置の説明用断面図である。
図17図17は本発明の第4実施形態に係り、その液晶駆動基板の説明用断面図である。
図18図18は本発明の第4実施形態に係り、液晶駆動基板の薄膜トランジスタの駆動回路の回路図である。
図19図19は本発明の第5実施形態に係る表示装置の説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1の実施形態]
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る表示装置の説明用断面図である。
【0029】
図1に示すように、この第1実施形態の表示装置100は、ブラックマトリクス基板(BM基板)10及び光モジュール20をその構成要素としている。
【0030】
これら表示装置100を構成するBM基板10及び光モジュール20の詳細については後述するとして、まず、これらの相互関係と液晶表示装置100の動作原理について概説する。
【0031】
まず、光モジュール20は、表示装置100の画面表示に必要な表示光を発生するデバイスである。このため、この光モジュール20は、複数の発光素子23を配列して構成されている。これら複数の発光素子23は青色発光LEDによって構成されている。
【0032】
ところで、光モジュール20は波長変換層20RGが配置されており、発光素子23で発生した光源光は、まず、この波長変換層20RGに入射する。波長変換層20RGは、入射した青色光を赤色光に変換する波長変換粒子と緑色光に変換する波長変換粒子とを内蔵している。このため、この波長変換層20RGを透過した光は、青色光、赤色光及び緑色光が混合した疑似白色光となり、この疑似白色光が光モジュール20から出射する。
【0033】
次に、この疑似白色光はBM基板10に入射する。BM基板10には、格子状のブラックマトリクス(BM)13が設けられており、この開口部(画素開口部)Pxが表示画面の画素に対応している。そして、この画素開口部Pxを通った前記疑似白色光を表示光として画面表示する。
【0034】
ところで、複数の前記発光素子23は画素開口部Pxと1:1に対応しており、複数のこれら発光素子23のうちの1つの発光素子23が点灯すれば、点灯した発光素子23から発生した光源光は、対応する画素開口部Pxを通って、表示画面の1つの画素を光らせる。一方、1つの発光素子が消灯すれば、対応する画素は暗いままである。このため、複数の前記発光素子23の点灯の有無を発光素子23ごとにコントロールすることにより、画面表示を行うことができる。
【0035】
なお、BM基板10には、BM13の他にブラックストライプ(BS)16が設けられている。
【0036】
前述のように、BM13は互いに直交する2つの方向に延在する光吸収性帯を格子状に配置した形状である。この例では、この光吸収性帯が延在する2つの方向を、それぞれ、X方向、Y方向としている。X方向は図示左右方向である。一方、Y方向は図の手前から奥に向かう方向である。
【0037】
一方、BS16は一定の方向に延在する光吸収帯を並列した形状を有している。このBS16が延在する方向は、前記BM13が延在する2つの方向(X方向及びY方向)のうちの一方と一致している。この例では、BS16が延在する方向はY方向である。そして、このBS16とY方向に延在するBM13の光吸収帯とは、互いに位置整合して重ねられている。
【0038】
BS16の光モジュール20側表面に光反射膜(BS側光反射膜)16が積層されている。また、前記BM13の2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、BS16が重ねられていない光吸収性帯(すなわち、X方向に延在する光吸収性帯)の光モジュール
20側表面に光反射膜(BM側光反射膜)13が積層されている。
【0039】
光モジュール20から出射した光源光のうち、BM13の画素開口部Pxに入射した光は画面表示に利用されるが、BS側光反射膜16に入射した光は反射されて光モジュール20の方向に戻る。また、BM側光反射膜13に入射した光も反射されて光モジュール20の方向に戻る。
【0040】
そして、一般に、光モジュール20には、発生した光源光を目的とする方向に出射するように、その反対側に光反射性部材が設けられている。このため、BS側光反射膜16又はBM側光反射膜13に反射された光は再び反射されてBM基板10の方向に向かう。
【0041】
そこで、この光反射性部材と前記BS側光反射膜16及びBM側光反射膜13は発光素子23を挟んで向かい合っており、このため、発光素子23から発生した光源光はこの両者の間で何度も反射し、この結果、実質的にすべての光源光がBMの画素開口部Pxから出射される。そして、画素開口部Pxから出射された光源光は画面表示に利用されるから、光利用効率を改善することができるのである。
【0042】
次に、BM基板10及び光モジュール20の詳細について、各別に説明する。
【0043】
(BM基板10)
図2は本発明の第1実施形態におけるBM基板10の説明用断面図である。
【0044】
この図2から分かるように、BM基板10は、透明基板(BM基板の透明基板)11、透過率調整層12、BM13、光散乱層14、平坦化層15、BS16、BS側光反射膜16及び透明樹脂層17を備えて構成されている。なお、このほか、この図には現れないBM側光反射膜13を備えている。
【0045】
<BM基板の透明基板11>
BM基板の透明基板11は、表示装置100から出射される表示光が観察者に向かって透過する透明基板であり、その表面が表示画面を構成する。BM基板の透明基板11としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、ポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等のプラスチック基板を用いることができる。その可視光の透過率は、高いほどより好ましい。例えば、BM基板の透明基板11の透過率は、50%以上100%以下であってもよく、90%以上100%以下であることがより好ましい。
【0046】
<透過率調整層12>
透過率調整層12は、光モジュール20から出射し、BM13の画素開口部Pxを透過した表示光をペーパーホワイトライクに散乱させて、視認性を向上させると共に、視野角を広げる役割を有する。また、併せて、透過率調整層12は、表示画面側から表示装置100に入射した周辺光を吸収又は散乱させることにより、この周辺光を正反射して生じた再反射光がノイズとなり、表示画面のコントラストを低下させることを防止する役割を有する。これらの役割を果たすため、透過率調整層12はBM基板の透明基板11とBM13との間に配置することが望ましい。より望ましくは、これらBM基板の透明基板11、透過率調整層12及びBM13が互いに接するように、透過率調整層12をBM基板の透明基板11とBM13との界面に配置することである。この例では、透過率調整層12をBM基板の透明基板11とBM13との界面に配置している。
【0047】
液晶表示装置100に入射した周辺光を吸収するため、この透過率調整層12の可視光に対する透過率は、70%以上99.7%以下の範囲とすることが好ましい。
【0048】
BM基板の透明基板11側からの表示装置100への周辺光が入射するとき、周辺光は透過率調整層12を1回、透過した後、表示装置100の内部の光反射性部材で反射されたのち、再度、透過率調整層12を通過して観察者側に出射される。このように、周辺光は透過率調整層12を2回通過することにより表示装置100から出射する。周辺光の反射光のうち外部に出射できるのは、入射光量に透過率調整層12の透過率の二乗を乗じた光量なので、透過率調整層12を有しない場合に比べて周辺光反射の出射光が格段に減衰する。
【0049】
例えば、透過率調整層12の可視光透過率が70%であれば、内部の光反射性部材の反射率が実質的に49%になったことに相当する。
【0050】
このような透過率調整層12は、入射した周辺光を吸収するカーボンブラックを樹脂に配合してカラーフィルタ基板の透明基板11上に塗布することで形成することができる。樹脂固形分に対してカーボンブラックの添加量を0.2~8wt%として、0.1~1μmの膜厚に塗布形成することにより、透過率調整層12の可視光透過率を70%以上99.7%以下の範囲とすることが可能である。
【0051】
なお、透過率調整層12にカーボンブラックを配合しない場合には、透過率調整層12とBM13との界面での周辺光の反射光が黄色に着色して見えることがある。これに対し、透過率調整層12にカーボンブラックを配合したときには、その反射光に着色は見られない。
【0052】
この透過率調整層12に使用でききる樹脂は、耐熱性など必要な信頼性を付与できるものであれば良い。アルカリ現像可能な感光性樹脂を用いてもよく、熱硬化樹脂を用いても良い。熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ基含有化合物又は樹脂、メチロール基、アルコキシメチル基あるいはアシロキシメチル基から選ばれる少なくも一つの基を有する樹脂とすることができる。
【0053】
図3は、透過率調整層12の有無による反射率の相違を説明するための説明用グラフ図である。すなわち、図3(a)はBM基板の透明基板11とBM13との界面に透過率調整層12を配設したときの反射率を示す。この透過率調整層12は、カーボンブラックを配合した樹脂を塗付して形成したものである。一方、図3(b)は透過率調整層12を配設することなく、BM基板の透明基板11と第1ブラックマトリクス14とが直接接触するように配設したときの反射率を示している。
【0054】
なお、カーボンブラックに加えて、入射した周辺光を散乱する透明微粒子を配合してもよい。このような透明微粒子としては、例えば、平均1次粒子径3~100nmで、光学的に等方性の微粒子を好ましく使用できる。例えば、酸化ケイ素微粒子等である。
【0055】
また、これらカーボンブラックや透明微粒子に加えて、紫外線吸収剤や少量の青顔料を配合することもできる。
【0056】
図3(a)から分かるように、カーボンブラックを配合した樹脂を塗付して透過率調整層12を形成した場合には、その透過率調整層12の反射率は、波長が600nmを超えると高くなる。これに対し、少量の青顔料を配合して透過率調整層12を形成すると、波長600nm以上の長波長の光に対する反射率を低下させることができる。
【0057】
また、透過率調整層12に配合する紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が例示できる。
【0058】
<BM13及びBM側光反射膜132>
BM13は、互いに直交する2つの方向に延在する光吸収性帯を格子状に配置した形状を有するものである。すなわち、この例では、図示左右方向(X方向)に延在する光吸収性帯と、図の手前から奥に向かう方向(Y方向)に延在する光吸収性帯とで構成されている。そして、この格子状BM13の開口部が表示画面の画素に対応している。このため、本明細書では、この格子状BM13の開口部を「画素開口部Px」と呼ぶ。
【0059】
このBM13は可視光を吸収する黒色を有しており、このため、画素開口部Pxと画素開口部Pxとの間に入射した表示光や周辺光はこのBM13に吸収される。なお、前述のとおり、BM13には透過率調整層12が積層されているから、その表面の反射光もわずかである。そして、このように画素開口部Pxと画素開口部との間の位置Pxから表示画面に向けて出射する光が存在しないから、コントラストの高い画面表示を行うことができる。
【0060】
BM13は、樹脂にカーボンブラックやチタンブラック等の可視光吸収機能を持つ黒色顔料を分散させて形成することができる。また、これら黒色顔料に加えて、青色顔料など有機顔料を添加してもよい。例えば、ネガ型感光性樹脂にこれら顔料を分散させて塗布し、フォトリソグラフィ技術を利用して露光・現像することによって、BM13を形成することが可能である。
【0061】
そして、このBM13の2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、X方向に延在する光吸収性帯の光モジュール20側表面にBM側光反射膜13が積層されている。
【0062】
なお、図2は、X方向に延在する光吸収性帯のない部分の断面を示しているため、この図2には、X方向に延在する光吸収性帯と、その表面に積層されたBM側光反射膜13は現れていない。一方、図4は、画素開口部PxとBM13の配列状態を示す説明図であり、この図4にはBM13も示されている。
【0063】
図4にはマトリクス状に配列された画素開口部Pxが示されており、BM13はこれら画素開口部Pxを囲んで、格子状に設けられている。そして、このBM13の2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、X方向に延在する光吸収性帯の光モジュール20側表面にBM側光反射膜13が積層されている様子も図示されている。
【0064】
なお、図中、「13y」はX方向に延在する光吸収性帯の幅を示しており、「13y」はX方向に延在するBM側光反射膜13の幅を示している。そして、BM側光反射膜13の幅13yはBM13のX方向に延在する光吸収性帯の幅13yよりも細く構成されている。幅13yが前記13yと同等の場合、表示画面を斜め方向から観察したとき、BM13の端部にBM側光反射膜13が見えることがある。一方、このように。幅13yが前記13yよりも細い場合、表示画面を斜め方向から観察してもBM側光反射膜13が目に入ることがなく、表示品位の高い画面表示を行うことができる。
【0065】
なお、図中、「13x」は、BM13の2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、Y方向に延在する光吸収性帯の幅を示している。この幅13xは、後述するBS16の幅16xよりも広く構成されている。
【0066】
このBM側光反射膜13は、単層構造又は多層構造の光反射性金属薄膜によって構成することができる。
【0067】
なお、BM側光反射膜13の膜厚は例えば0.15~0.8μmでよい。0.15μm以上の膜厚に設定することでBM側光反射膜13を透過する光をなくすことができる。このため、BM13には高い遮光性を要求しなくて良い。例えば光学濃度が2以上3以下の範囲で十分である。
【0068】
単層構造のBM側光反射膜13としては、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金から成る金属薄膜を例示できる。アルミニウム合金としては、モリブデンやチタン等の高融点金属、ネオジム等の希土類、あるいはケイ素を少量含むアルミニウム合金が採用できる。反射率の観点からネオジムを0.2~3質量%含むアルミニウム合金が好ましい。ネオジムが0.2質量%未満では、アルミニウムの結晶が粗大化あるいはヒロック形成のため光反射率が低下しやすい。また、ネオジムが3質量%を超えた場合にも光反射率が低下する傾向となる。これに対し、ネオジムが0.2質量%以上3質量%以下の範囲にて、高い反射率を安定して再現しやすいのである。
【0069】
また、単層構造のBM側光反射膜13として、銀あるいは銀合金の金属薄膜を使用することもできる。また、このように銀あるいは銀合金の金属薄膜を採用する場合には、この銀あるいは銀合金の金属薄膜を中間層として、その両側に導電性酸化物の薄膜を配置した三層構造のBM側光反射膜13とすることが望ましい。導電性酸化物の薄膜としては、インジウム酸化物からなる第1の金属酸化物材料と、銀との固溶域を実質的に持たない金属元素の酸化物からなる第2の金属酸化物材料とを含有する混合酸化物を好ましく使用することができる。なお、銀との固溶域を実質的に持たない金属元素としては、例えば、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、セリウム、ビスマス、ゲルマニウム、ケイ素、クロムを例示できる。また、前記導電性酸化物として、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫の複合酸化物を使用できる。
【0070】
また、これら薄膜は、BM13との間に窒化チタン薄膜やチタン薄膜を介して積層することもできる。
【0071】
また、このBM側光反射膜13は、真空蒸着法やスパッタリング法等の真空製膜法を使用して形成することができる。
【0072】
そのパターニングは公知のパターニング技術を使用して可能である。例えば、リフトオフ技術を使用して、まず、水溶性溶液又はアルカリ性溶液に溶解する糊剤や樹脂をパターン状に印刷し、次にこのパターン状印刷被膜上に前記金属薄膜を真空製膜し、最後に水溶性溶液又はアルカリ性溶液を適用して、前記パターン状印刷被膜を溶解除去すると共に、このパターン状印刷被膜に重ねられた前記金属薄膜を除去することにより、パターニングすることができる。
【0073】
また、フォトリソグラフィ技術を使用してパターニングすることも可能である。すなわち、真空製膜した金属薄膜上に感光性樹脂を塗付し、露光・現像した後、残存する感光性樹脂をレジストとして、金属薄膜をエッチングすることにより、所定形状にパターニングすることができる。なお、前述のように、BM側光反射膜13が、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫の複合酸化物から成る導電性酸化物の薄膜を使用している場合には、その酸化亜鉛の量によって、この導電性酸化物薄膜のエッチング速度を調整することが可能である。
【0074】
<光散乱層14>
光散乱層14は、光モジュール20から出射された光源光を拡散させて、表示画面の視野角を広げる機能を有するものである。
【0075】
この第1実施形態では、光散乱層14はBM13とBS16との間に配置されているが、光モジュール20から出射された光源光を拡散させることができれば任意の位置に配置してよい。
【0076】
光散乱層14は、透明粒子を樹脂に配合して塗布液とし、この塗布液を塗布することで形成することができる。また、これに加えて、分散助剤を配合してもよい。なお、後述するように、相溶性が低く、しかも、互いに屈折率の異なる2種の樹脂を使用して光散乱層14を形成することもできる。
【0077】
ところで、光散乱層14は光を拡散あるいは散乱させる性質を有するため、フォトリソグラフィ技術を使用してこの光散乱層14上に別の層を形成することは困難である。フォトリソグラフィ技術で利用する露光光が光散乱層14で反射散乱され、この反射散乱光がノイズ光としてフォトレジストに入射して露光するため、その露光精度を低下させるからである。フォトリソグラフィ技術を使用して形成する別の層としては、例えば、BS16やBS側光反射膜16を例示できる。
【0078】
フォトリソグラフィ技術で利用する露光光は一般に波長の短い紫外線であるため、光散乱層14に紫外線吸収剤を配合して、この露光光を吸収させ、その反射散乱を防止することができる。透明粒子を利用して光散乱層14を構成する場合、あるいは、互いに屈折率の異なる2種の樹脂を使用して光散乱層14を構成する場合のいずれの場合にも、紫外線吸収剤を配合することが可能である。
【0079】
そこで、まず、透明粒子を利用して光散乱層14を構成する場合には、この光散乱層14に適用する透明粒子として、可視光の波長より大きな粒子径の粒子を好ましく使用できる。光散乱の対象となる可視光の波長と同程度の粒子径を有する粒子では、その対象となる可視光の透過性が高く、光散乱が生じ難い。これに対し、可視光の波長より大きな粒子径の粒子を用いる場合、可視光の透過性が低下して、高い光散乱性を示すのである。
【0080】
このような理由から、前記透明粒子としては、例えば、平均粒径が1.0~3.0μm透明粒子の粒子を好ましく用いることができる。また、前記分散助剤として、平均粒径が0.2μm前後、あるいは0.1μm以下の透明微粒子を配合することも可能である。
【0081】
また、前記透明粒子は、光散乱層14に含まれる前記樹脂とは屈折率が異なることが望ましい。屈折率の異なる透明粒子と樹脂との界面で光が反射又は屈折することにより、光の散乱が生じるからである。
【0082】
このような透明粒子としては、例えば、シリカ粒子や酸化亜鉛粒子等の無機粒子を使用することができる。酸化亜鉛粒子は、高い光散乱性に加えて、波長400~700nmの可視域において、高い透過率を持つとともに390nm以下の紫外線を吸収する性質を有するため、この点でも好ましく利用できる。また、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子を使用することも可能である。
【0083】
なお、後述する第4実施形態や第5実施形態のように、液晶層30を画素ごとに駆動して画面表示する表示装置103,104にあっては、光散乱層14を透過する表示光の偏光面を回転させることなく維持させるため、前記透明粒子は光学的に等方性であることが望ましい。このような光学的に等方性の無機粒子としては、例えば、非晶質構造(アモルファス)のシリカ粒子を例示することができる。また、有機物の粒子は一般に等方性である。
【0084】
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。紫外線吸収剤は、フェノール水酸基を持つことが好ましい。フェノール水酸基を持たせることにより、熱処理時にアルコキシメチル基やメチロール基などを有する化合物と架橋が可能となる。架橋させることで、硬膜後の長期保管で紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制し、信頼性を向上させることができる。紫外線吸収剤の添加量は、前記樹脂に対して、例えば、0.05~10質量%の範囲で配合することができる。
【0085】
このように光散乱層14は光の波長の長さより大きい透明粒子の分散体で構成されているから、その厚みは透明粒子の平均粒子径より厚いことが望ましい。例えば、1~50μm以下である。50μmより厚く形成することもできるが、50μmより厚くすることによる散乱性の向上は少ない。むしろ、厚く形成することによる工程負荷、例えば塗布・乾燥などの作業時間に無駄を発生しやすい。
【0086】
なお、前述のように、相溶性が低く、しかも、互いに屈折率の異なる複数の樹脂を溶剤に溶解又は分散させて塗布液とし、この塗布液を塗布した後、これら樹脂を相分離させることにより、互いに屈折率の異なる海島構造の層を形成して、この層を光散乱層14とすることも可能である。
【0087】
<平坦化層15>
前述のように、光散乱層14が透明粒子を含有している場合、その表面には透明粒子に基づく凹凸が形成されている。平坦化層15はこの凹凸を埋めて平坦化するもので、光学的に透明な樹脂を塗付して形成されている。BS16やBS側光反射膜16をこうして平坦化された表面に形成することにより、高い精度で形成することができる。なお、光散乱層14の表面に凹凸がない場合には、この平坦化層15を必要としない。
【0088】
<BS16及びBS側光反射膜162>
次に、BS16は、図5に示すように、一定の方向に延在する光吸収帯を並列した形状を有している。その延在方向は、BM13の2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、BM側光反射膜13が設けられていない光吸収性帯が延在する方向と同じである。この第1実施形態では、BM13の2つの方向に延在する光吸収性帯のうち、X方向に延在する光吸収性帯にBM側光反射膜13が設けられており、Y方向に延在する光吸収性帯にはBM側光反射膜13が設けられていないから、BS16はY方向に延在している。
【0089】
そして、表示画面側から見たとき、BM13の2つの方向に延在する前記光吸収性帯のうち、Y方向に延在する光吸収性帯と、BS16を構成する光吸収性帯とは位置整合して重ねられている。もちろん、両者のピッチも同一である。
【0090】
また、この光モジュール20側表面には、BS側光反射膜16が積層されている。
【0091】
図6は、これらBM13、BS16及びBS側光反射膜16の位置関係を含む配列状態を示す説明図で、BS側光反射膜16の幅16xはBS16の幅16xよりも細く構成されている。表示画面を斜めから観察したとき、BS側光反射膜16が目に入って表示品位を低下させることを防止するためである。
【0092】
また、前述のように、BS16の幅16xは、BM13のY方向に延在する光吸収性帯の幅13xよりも細く構成されている。BM13の開口部(画素開口部)Pxは表示画面の画素と対応いており、このBM13とBS16との間で多少の位置ずれが起きたときにも、その位置ずれが画素開口部Pxの大きさや位置に影響することを防ぐ
ためである。
【0093】
そして、このため、これら幅16x、16x、13xは、BM13のY方向に延在する光吸収性帯の幅13xが最も広く、次にBS16の幅16xが広く、BS側光反射膜16の幅16xが最も狭いように構成されている。
【0094】
BS16も、BM13と同様に、樹脂にカーボンブラックやチタンブラック等の可視光吸収機能を持つ黒色顔料を分散させて形成することができる。また、これら黒色顔料に加えて、青色顔料など有機顔料を添加してもよい。例えば、ネガ型感光性樹脂にこれら顔料を分散させて塗布し、フォトリソグラフィ技術を利用して露光・現像することによって、BM13を形成することが可能である。
【0095】
また、BS側光反射膜16は、BM側光反射膜13と同様に、真空蒸着法やスパッタリング法等の真空製膜法を使用して形成することができる。また、そのパターニングも、BM側光反射膜13と同じく、リフトオフ技術やフォトリソグラフィ技術を使用して可能である。
【0096】
また、その材質も、BM側光反射膜13と同様でよい。すなわち、BS側光反射膜16は単層構造又は多層構造の光反射性金属薄膜によって構成することができる。例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金から成る単層構造の金属薄膜、あるいは、銀あるいは銀合金の単層構造の金属薄膜でBS側光反射膜16を構成してもよいし、銀あるいは銀合金の金属薄膜の側に導電性酸化物の薄膜を配置した三層構造とすることもできる。また、BS16との間に窒化チタン薄膜やチタン薄膜を介してこれら光反射性金属薄膜を積層してもよい。
【0097】
なお、その厚みも、BM側光反射膜13と同様に、0.15~0.8μmでよい。
【0098】
<透明樹脂層17>
透明樹脂層17はBM基板10の表面を保護するもので、必ずしもこれを設ける必要はない。なお、後述するように、第4実施形態や第5実施形態のように、液晶層30を画素ごとに駆動して画面表示する表示装置103,104であって、共通電極をBM基板に設ける場合には、BS側光反射膜16の上にこの透明樹脂層17を設け、この透明樹脂層17を介して共通電極を配置することが望ましい。
【0099】
(光モジュール20)
前述のように、光モジュール20は画面表示に使用する光を発生するデバイスである。また、図7に示すように、光モジュール20は、発光素子23の他に、これら発光素子23を支持して配列させる基板(光モジュール基板)21、多層構造の絶縁層22、発光素子23に個別に接続された光反射性電極23a、複数の発光素子23に共通して接続した共通電極23b、波長変換層20RG、発光素子23と波長変換層20RGとを接着する透明接着剤層24、プリズムシート25等を備えている。
【0100】
<光モジュール基板21>
光モジュール基板21は透明でもよいが、BM基板の透明基板1と異なり、不透明なものであってもよい。例えば、この光モジュール基板21は、サイファア基板であってよく、CMOS素子(トランジスタなど)を配設したシリコン基板であってもよい。また、この基板21として、バッファー層を介して結晶成長させたLEDによって各発光素子23が形成されたシリコン基板であってもよい。
【0101】
また、光モジュール基板21の裏面には、放熱膜21を設けることができる。放熱膜
21としては、放熱性が良好な材料であれば特に限定されない。例えば、放熱膜21はアルミニウムや銅で形成された薄膜で構成することができる。この薄膜は蒸着やスパッタリング法によって形成することが可能である。
【0102】
<発光素子23>
発光素子23としては、LED(Light Emitting Diode)を好適に利用することができる。中でも、単色発光LEDを用いることがより好ましい。単色発光LEDとしては、青色発光LEDあるいは近紫外LEDが特に好ましい。
【0103】
LEDは、n型半導体とp型半導体とをpn接合して構成されたもので、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)/窒化ガリウム(GaN)/アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、リン化ガリウム(GaP)、セレン化亜鉛(ZnSe)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)などの化合物がLEDに利用されている。そして、このLEDの両側に電圧をかけると、n型半導体とp型半導体との境界面で電子と正孔とが再結合し、この再結合に伴って光を発生する発光素子である。そして、この発光する境界面を「活性層」あるいは「発光層」と呼ぶことがある。
【0104】
LEDには、n側電極とp側電極が同じ側にある水平型LEDと、LEDの厚み方向にn側電極とp側電極が異なる面(向かい合う平行な面)にある垂直型LEDとがあるが、そのいずれを用いることも可能である。また、40~200μmサイズのミニLEDチップを用いても良いし、2~60μmサイズのマイクロLEDチップを用いても良い。
【0105】
この発光素子23の実装は、低融点合金を用いたフリップチップ実装、異方性導電膜を用いた実装、あるいは金線などを用いたワイヤーボンディングなどであって良い。
【0106】
この第1の実施形態においては、光モジュール基板21の上に多層構造の絶縁層22を介して光反射性電極23aを配置している。この光反射性電極53aは、一つの発光素子23に対して一つの光反射性電極23aが対応している。そして、前記発光素子23は、それぞれ、この光反射性電極23aに接続されている。多層構造の前記絶縁層22には回路配線が形成されており、この回路配線が前記光反射性電極23aに電気的に接続されている。
【0107】
また、発光素子23の上には透明電極が設けられており、この透明電極はコンタクトホールを介して共通電極23bに電気的に接続されている。共通電極23bは、発光素子23のすべてに電気的に接続されており、この共通電極23bと前記光反射性電極23aとの間に電圧を印加して、透明電極と光反射性電極23aとの間の発光素子23に電圧を印加することにより、前記発光素子23を発光させることができる。なお、前述のように、一つの発光素子23に対して一つの光反射性電極23aが接続されているため、発光素子23は、それぞれの発光素子23を個別に発光させることができる。また、その発光強度も、発光素子23ごとに個別にコントロールすることができる。
【0108】
そして、発光素子23と表示画面の画素、すなわち、BM基板10の画素開口部Pxとは1:1に対応しているから、発光素子23ごとにその点灯と消灯とをコントロールし、また、その発光強度をコントロールすることにより、表示画面を画素ごとに制御して画面表示することが可能となる。
【0109】
図8に、光モジュール20の発光素子23の駆動回路の回路図を示す。図中、符号「23」はソース線、「23」はゲート線を示している。また、符号「23CS」は補助容量を示し、符号「23T1」は選択トランジスタを示し、「23T2」は駆動トランジ
スタを示している。このようにこの回路では、選択トランジスタ23T1と、電源線23VDから電流を発光素子23に供給する駆動トランジスタ23T2の2つのトランジスタを必要とする。
【0110】
この回路においては、これにさらに可変抵抗器を組み入れて、この可変抵抗器の抵抗値を変化させることにより、発光素子23への電流の大きさを調整するアナログ調光方式をとることができる。このように発光素子23への電流の大きさを調整することにより、それぞれの発光素子23から発生する光源光の輝度をコントロールすることができる。
【0111】
<波長変換層20RG>
波長変換層20RGは、青色発光LEDから成る発光素子23で発光した青色の光源光を疑似白色光に変えるものである。この実施形態では、透明接着剤層24を介して発光素子23上に積層されている。透明接着剤層24としては、例えば、シリコーン系接着剤を使用すればよい。
【0112】
波長変換に用いる材料は、量子ドットと呼称され、量子閉じ込め効果を持つナノメートルサイズの半導体微粒子(以下、量子ドットと記載)と、希土類(レアアース)と呼ばれるEU(ユーロピウム)、Ce(セリウム)、Y(イットリウム)など賦活材を添加した複合酸化物や窒化物で代表される無機蛍光体(以下、蛍光体)とに区分できる。
【0113】
蛍光体は、量子ドットと比べて平均粒径が0.5μmから30μmと大きいが、高温・高圧下での製造工程を経ることもあって耐熱・耐光性など信頼性が高い。
【0114】
量子ドットの例としては、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、及びHgTeのようなII-VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs、及びTiSbのようなIIIV族半導体化合物、Si、Ge、及びPbのようなIV族半導体等を含有する半導体結晶の他、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物が挙げられる。量子ドットのサイズは、例えば、0.5nmから30nmの範囲内にあり、粒子サイズを大きくすることにより変換光が長波長側へシフトする。
【0115】
波長変換層20RGには、赤色、緑色、青色の2次光を得るための、赤変換粒子と緑変換粒子が含まれている。波長変換層20RGに適用できる赤変換粒子と緑変換粒子は、量子ドットまたは蛍光体から適宜選択できる。
【0116】
赤変換粒子とは、青色の光を受けて赤色の波長に変換できる蛍光体あるいは量子ドットの粒子を指す。緑変換粒子は、青色の光を受けてそれぞれ緑色の光に変換できる蛍光体あるいは量子ドットの粒子を指す。
【0117】
この例では、単一の波長変換層20RGに赤変換粒子と緑変換粒子の両者を配合しているが、赤変換粒子を含む赤変換層と緑変換粒子を含む緑変換層とを別個に設けてもよい。これら赤変換層と緑変換層とは、同じ面上に配置されていてもよいし、互いに積層されていてもよい。積層されている場合には、発光素子23に近い方に、例えば、赤色など長波長の変換粒子を配置することが好ましい。赤色より短波長の緑色光に変換する緑変換粒子は、赤変換粒子よりも発光素子23から遠い位置に配置することが好ましい。
【0118】
なお、この実施形態では、青色発光LEDを発光素子23として使用しているが、発光素子23として近紫外発光LEDを使用する場合、波長変換層には、赤変換粒子、緑変換
粒子、青変換粒子をそれぞれ含む赤色変換層、緑色変換層、青色変換層が設けられることが好ましい。この場合にも、短波長の光に変換する波長変換層は、発光素子23から遠い位置に配置することが好ましい。すなわち、発光素子23から、赤色変換層、緑色変換層、青色変換層の順である。
【0119】
波長変換層20RGは、波長変換粒子を耐熱性・耐光性に優れる樹脂に分散させた分散体として形成することができる。なお、これら波長変換粒子と樹脂に加えて、透明な光散乱粒子を配合することもできる。
【0120】
分散体に用いる樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、これらの変性樹脂、ハイブリッド樹脂などが挙げられる。
【0121】
また、光散乱粒子としては、前述の光散乱層14に配合する透明粒子として説明したものを使用することができる。すなわち、可視光の波長より粒子径が大きく、屈折率が前記樹脂の屈折率と異なる粒子である。具体的には、平均粒径が1.0~3.0μmのシリカ粒子、酸化亜鉛粒子や、アクリル、スチレン、ウレタン、ナイロン、メラミン、ベンゾグアナミンなどの樹脂の粒子を例示できる。
【0122】
これら樹脂、波長変換粒子及び光散乱粒子を、モノマーあるいは有機溶剤を用いて混合して液状の分散体を形成した後、印刷することにより波長変換層20RGを形成することができる。また、スピンコーター、スリットコーター、カーテンコーター、インクジェットなどの装置で、前記分散体を塗布し硬化させることで波長変換層を形成することもできる。
【0123】
なお、変換粒子として蛍光体を用いる場合、例えば、前記樹脂としてアルカリ可溶な感光性ポリマーレジストを使用し、このポリマーレジストに分散させた分散液(分散体)を塗布して、フォトリソグラフィの手法でパターン状の波長変換層を形成することも可能である。
【0124】
<プリズムシート25>
プリズムシート25は発光素子23から出射する光源光の出射方向を広げるものである。このプリズムシート25は、例えば、透明樹脂シートをエンボス加工して製造することができる。また、透明樹脂を射出成形して製造することもできる。透明樹脂としては屈折率の高い樹脂が望ましく、例えばアクリル樹脂が使用できる。
【0125】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る表示装置101は、第1の実施形態に係る光モジュール20に代えて、図10に示す光モジュール20Aを使用したもので、その他の点は第1の実施形態に係る表示装置100と同様である。なお、図9はこの第2の実施形態に係る表示装置101を示している。
【0126】
この光モジュール20Aは、その発光素子として、光反射性の金属容器26を複数配列して構成している。この金属容器26には、金線でワイヤーボンディングされた青色LEDから成る発光素子23が収容されており、この発光素子23上部には、赤変換粒子と緑変換粒子の両者を分散させた波長変換層20RGが充填されている。このため、発光素子23から発生した青色光は、この波長変換層20RGを透過して疑似白色光に変換されて出射する。なお、波長変換層20RGには、赤変換粒子と緑変換粒子に加えて、光散乱性の透明粒子を配合してもよい。
【0127】
なお、発光素子を構成する複数の金属容器26の上には、これら複数の金属容器26の全部を覆うようにプリズムシート25が配設されている。
【0128】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る表示装置102は、第1の実施形態に係るBM基板10に代えて、カラーフィルタ層18を有するBM基板10Aを使用したもので、その他の点は第1の実施形態に係る表示装置100と同様である。なお、図11はこの第3の実施形態に係る表示装置101を示しており、図12はBM基板10Aを示している。また、図13は、カラーフィルタ層18によって各色に着色された画素開口部1811,1812,‥とBM13との配列状態を説明するための説明図、図14は、各色に着色された前記画素開口部1811,1812,‥とBS16の配列状態を説明するための説明図である。さらにまた、図15は、これらを重畳して、各色に着色された前記画素開口部1811,1812,‥、BM13及びBS16の配列状態を説明するための説明図である。
【0129】
カラーフィルタ層18は、画素開口部Pxを透過する表示光を各色に着色して、カラー画面の表示を可能とするためである。このようなカラーフィルタ層18は周知であり、画面観察者側から見てBM13の背後に配置することが普通である。しかしながら、この第3実施形態においては、図11及び図12から分かるように、透明基板11上にカラーフィルタ層18を形成した後、このカラーフィルタ層18の上にBM13を形成することにより、BM13の画面観察者側にカラーフィルタ層18を配置している。BM13の上にカラーフィルタ層18を形成する場合には、そのBM13の表面が凹凸を有しているが、透明基板11上にカラーフィルタ層18を形成する場合には、透明基板11の表面が平滑であるため、カラーフィルタ層18の膜厚を一様にして、透過光を均一に着色し易いという利点を有する。また、BM13の光モジュール20側表面にはBM側光反射膜13が積層されているため、このBM側光反射膜13の上にカラーフィルタ層18を配置した場合には、その光反射性能を損なうおそれがある。これに対して、BM13の画面観察者側にカラーフィルタ層18を配置した場合には、前記BM側光反射膜13の光反射性能を生かして、光源光の光利用効率を向上させることが可能となる。
【0130】
カラーフィルタ層18は、互いに色彩の異なる前記着色フィルタ1811,1812,‥の配列で構成されている。前述のように、着色フィルタ1811,1812,‥は画素開口部Pxを透過する表示光を着色して、表示画面の色彩を決めるものである。このため、着色フィルタ1811,1812,‥は画素開口部Pxに配列されており、また、通常、光の3原色(赤色、緑色、青色)の着色フィルタを使用している。
【0131】
なお、図13~15を参照して後述するように、この第3の実施形態では、各着色フィルタ1804,1805,‥は、Y方向に延びる直線の形状を有しており、このため、それぞれの各着色フィルタ1804,1805,‥はBM13と交差して、この交差位置でBM13に重なっているが、前記画素開口部ではBM13に重なっていないため、説明の便宜上、各画素開口部に対応する着色フィルタに、それぞれ、「1811」「1812」‥の符号を付している。このため、これらの符号は、それぞれの画素開口部Pxを示すと同時に、各画素開口部Pxに配置された着色フィルタも示している。
【0132】
そして、着色フィルタ1801がY方向に延びる直線状であるため、第1列に属する画素開口部1811,1821,1831,‥はこの着色フィルタ1801と同じ色彩を有している。また、その3列後の画素開口部1814,1824,1834,‥も着色フィルタ1801と同じ色彩を有している。この実施形態では、いずれも、赤色である。
【0133】
着色フィルタ1801に隣接する着色フィルタ1802は緑色である。このため、第1
列に属する画素開口部1812,1822,1832,‥は緑色である。また、その3列後の画素開口部1815,1825,1835,‥も緑色である。
【0134】
さらに、着色フィルタ1802に隣接する着色フィルタ1803は青色である。このため、第1列に属する画素開口部1813,1823,1833,‥も緑色である。もちろん、その3列後の画素開口部1816,1826,1836,‥も緑色である。
【0135】
ところで、これら着色フィルタ1804,1805,‥は、アクリル等の透明感光性樹脂あるいはその前駆体に有機顔料を分散させて塗布した後、露光・現像して形成することができる。
【0136】
赤色の着色フィルタ(赤色フィルタ)に適用できる赤色の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を挙げることができる。赤色フィルタには、赤色顔料に加えて黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
【0137】
黄色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、147、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。
【0138】
緑色の着色フィルタ(緑色フィルタ)に適用できる緑色の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を挙げることができる。また、緑フィルタには、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料やハロゲン化アルミニウムフタロシアニン緑色顔料を好適に用いることもできる。
【0139】
緑色フィルタには、緑色顔料の他に、前述の黄色顔料を併用することもできる。
【0140】
青色の着色フィルタ(青色フィルタ)に適用できる青色の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を挙げることができる。
【0141】
青色フィルタには、青色顔料の他に、紫色顔料を併用することもできる。紫色顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
【0142】
これら有機顔料を分散させる透明感光性樹脂は、可視域の透過率が90%以上の透明樹脂であることがより好ましく、また、樹脂の前駆体を含むアルカリ可溶性の感光性樹脂であることがより好ましい。
【0143】
この透明感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性
置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂等が挙げられる。
【0144】
また、透明樹脂の前駆体であるモノマーおよびオリゴマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0145】
そして、これら顔料を、透明感光性樹脂又はその前駆体に対し、15質量%から60質量%の範囲内で配合して塗布液とし、この塗布液を第1ブラックマトリクス14上に塗布してその被膜を形成した後、フォトマスクを介して前記露光し、続いてアルカリ溶液で現像することにより、着色フィルタ1801,1802,‥を形成することができる。
【0146】
[第4の実施形態]
次に、図16~18を参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。この第4の実施形態に係る表示装置103では、BM基板10Bと光モジュール20に加えて、液晶駆動基板40を使用し、この液晶駆動基板40とBM基板10Aとの間に液晶層30を介在させ、この液晶層30を画素ごとに駆動して画面表示している。なお、光モジュール20は液晶駆動基板40の背後に配置されており、この光モジュール20から出射した光源光が、液晶駆動基板40、液晶層30及びBM基板10Bをこの順に透過して、BM基板10Aの表面に画面表示する。
【0147】
なお、第4の実施形態に係るBM基板10Bは、前述の第3の実施形態に係るBM基板10Aと同様に、カラーフィルタ層18を有している。これに加えて、BM基板10Bは、液晶層を配向する配向膜と偏光膜とを有している。
【0148】
図16は第4実施形態に係る表示装置103の説明用断面図であり、図17は、その液晶駆動基板40の説明用断面図である。
【0149】
液晶駆動基板40は、図17に示すように、透明基板(液晶駆動基板の透明基板)41、絶縁層42、共通電極43、絶縁層44,画素電極45をその構成要素としている。このほか、液晶駆動基板40には、図示しない配向膜と偏光膜が設けられている。また、共通電極43、絶縁層44及び画素電極45は、絶縁層44を配線基板基材として、その両面に共通電極43と画素電極45を形成したものであってもよい。
【0150】
画素電極45は前記画素開口部Pxのそれぞれに1:1に対応している。そして、画素電極45には薄膜トランジスタがそれぞれ少なくとも1個接合されており、この薄膜トランジスタを駆動することにより、画素電極45ごとに電圧を印加することができる。このように画素電極45ごとに電圧を印加することにより、液晶層30を画素電極45ごとに駆動して、画素開口部Px、すなわち、画素ごとにコントロールして画面表示することができる。
【0151】
なお、この実施形態では、画素電極45と共通電極43間のフリンジ電界で駆動するFFS(フリンジフィールドスイッチング)方式で液晶層30を駆動しているが、液晶層3
0として、BM基板10Bと液晶駆動基板40との間の電界で駆動するVA(垂直配向)方式の液晶を使用する場合には、共通電極43の代わりに、BM基板10Bに共通電極を設けて、BM基板10Bのこの共通電極と液晶駆動基板40の画素電極45との間で電圧を印加することが望ましい。
【0152】
図18に、画素電極45に電圧を印加する回路の回路図を示す。この図に示すように一つの画素電極45は一つの薄膜トランジスタ45に電気的に接続されており、一つの薄膜トランジスタ45を制御することにより、一つの画素電極45を制御することができる。すなわち、画素電極45ごとに制御することが可能である。
【0153】
そして、この回路では、ソース線45からの映像信号と、ゲート線45からの選択信号を受けて、画素電極45に液晶駆動電圧が印加され、液晶層30が駆動される。なお、図中、符号「45CS」は補助容量を示し、符号「45」は補助容量線を示しているが、これら補助容量45CS及び補助容量線45の形成は省いても良い。
【0154】
なお、この第4の実施形態では、光モジュールとして、第1の実施形態に係る光モジュール20と同様の光モジュールを使用している。前述のとおり、この光モジュール20に内蔵の発光素子23は画素開口部Pxと1:1に対応しており、この発光素子23ごとに点灯と消灯、あるいは発光輝度をコントロールすることができる。しかしながら、この第4の実施形態では、液晶駆動基板40によって表示画面をコントロールできるため、発光素子23が画素開口部Pxと1:1に対応している必要がない。すなわち、光モジュール20に内蔵の発光素子23の数はBM基板20Bの画素開口部Pxの数より少なくても、その表示画面を画素ごとにコントロールすることができるのである。
【0155】
次に説明する第5の実施形態に係る表示装置104は、画素開口部Pxの数より少ない数の発光素子23を内蔵した光モジュール20Bを使用したものである。
【0156】
[第5の実施形態]
第5の実施形態に係る表示装置104は、ローカルディミング技術を利用して、エリアごとに光強度をコントロールして画面表示できるように構成されたもので、その他の点は、第5の実施形態に係る表示装置103と同様である。すなわち、この表示装置104は、図19に示すように、カラーフィルタ層18を有するBM基板10B、液晶層30、液晶駆動基板40及び光モジュール20Bをこの順に配置して構成されている。
【0157】
光モジュール20Bは、複数の発光ユニット20aを配列して構成されており、この複数の発光ユニット20aごとに発光する光源光の強度をコントロールすることができる。そして、発光ユニット20aと発光ユニット20aとの間の境界には、光を遮断する隔壁20bが設けられている。例えば、発光ユニット20aと発光ユニット20aとの間の境界には隔壁20bが配置されている。このように発光ユニット20aと発光ユニット20aとの間に隔壁20bが設けられているから、発光ユニット20aごとに制御して、この発光ユニット20aで発生した光が隣接する発光ユニット20aで発生した光と混合することがない。例えば、発光ユニット20aで発光素子23を点灯させ、隣接する発光ユニット20aでは消灯させたとき、発光ユニット20aで発生した光源光が隔壁20bを越えて出射することがない。
【0158】
そこで、それぞれの発光ユニットに対応する表示画面の領域を表示エリア100aとすると、その発光ユニット20aの光強度をコントロールすることにより、これに対応する表示エリア100aの表示光の輝度をコントロールすることが可能である。もちろん、この表示エリア100aには多数の画素開口部Pxを含めることができる。
【0159】
例えば、図19に示す液晶表示装置104においては、図示左右方向(X方向)に着目すると、発光ユニット20aに対応する表示エリアには、符号「100a」を付して示している。そこで、この表示エリア100aに表示する画像が明度の低い画像の場合には、発光ユニット20aの光強度を低くすることができる。そして、このようにローカルディミング技術を利用して、発光ユニット20aごとに光強度をコントロールすることにより、発光素子からの出射光を有効に活用して、その光利用効率を改善することができる。
【0160】
しかも、光モジュール20Bは発光ユニット20aごとに制御するため、光モジュール20Bに含まれる発光素子の数と表示画面の画素数とに間に直接の関係が生じない。このため、発光ユニット20aに含まれる発光素子の数を表示エリアに含まれる画素開口部Pxの数より少ないものとして、光モジュール20B全体に含まれる発光素子の数を表示画面全体の画素数より少なくすることが可能となる。
【0161】
ところで、発光ユニット20aを単位として、この発光ユニット20aごとに光強度をコントロールするため、次のような方法を採用することが可能である。
【0162】
すなわち、まず、第1の方法は、発光ユニット20aごとに、この発光ユニット20aに含まれる発光素子23への電流の大きさを調整することにより、それぞれの発光素子23から発生する光源光の輝度をコントロールし、その結果、発光ユニット20aごとに光源光の輝度をコントロールすることができる。
【0163】
また、発光ユニット20aに含まれる発光素子23の点灯時間をコントロールすることにより、発光ユニット20aごとに光源光の輝度を調整するPWM(Pulse Width Modulation)の駆動方式を選択して、発光ユニット20aごとに光源光の輝度をコントロールすることも可能である。
【0164】
また、さらには、発光ユニット20aに含まれる複数の発光素子23の中から発光させる発光素子23を選択して、これら選択した発光素子23に電圧を印加する駆動制御回路を発光ユニット20aに組み込んでも良い。こうして選択した一部の発光素子23を発光させることにより、発光ユニット20aごとに光強度をコントロールすることが可能である。
【0165】
ところで、隔壁20bは、発光ユニット20aと発光ユニット20aとの間の境界に配置されて、光の透過を防止するものである。このため、隔壁20bは光を吸収する黒色を有することができる。また、この隔壁20bの表面を光反射性として、それぞれの発光ユニット20aから入射した光源光をその発光ユニット20aに向けて反射させることもできる。このように隔壁20bを光反射性とした場合には、光源光の光利用効率を一層高めることができる。
【0166】
黒色の隔壁20bは、例えば、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料を含む樹脂組成物で構成することができる。例えば、フォトレジストにこれら黒色顔料を配合して塗布し、露光・現像して隔壁20bを形成することができる。また、黒色インキを印刷して隔壁20bを形成してもよい。
【0167】
また、光反射性の隔壁20bは、樹脂製隔壁の表面に光反射性金属薄膜を付着させればよい。光反射性金属薄膜としては、BM側光反射膜13やBS側光反射膜13を構成する金属薄膜として説明したものを利用できる。例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金、あるいは銀又は銀合金である。また、多層構造の金属薄膜でもよい。
【0168】
なお、この光反射性隔壁20bに加えて、光モジュール20Bの内部に光反射性部材を配置することにより、光源光の光利用効率を向上させることもできる。
【0169】
なお、発光素子23と波長変換層20RGとを内蔵した光反射性金属容器26(図10参照)を配列させて、発光ユニット20aとすることも可能である。
【符号の説明】
【0170】
100,101,102,103,104:表示装置
100a:表示エリア
10,10A,10B:ブラックマトリクス基板(BM基板)
11:BM基板の透明基板
12:透過率調整層
13:ブラックマトリクス(BM) Px:画素開口部
13:ブラックマトリクス側光反射膜(BM側光反射膜)
14:光散乱層
15:平坦化層
16:ブラックストライプ(BS)
16:ブラックストライプ側光反射膜(BS側光反射膜)
17:透明樹脂層
18:カラーフィルタ層 1811,1812,‥:画素開口部に配置された着色フィルタ
20,20A,20B:光モジュール
20a:発光ユニット
20b:隔壁
21:光モジュール基板 21:放熱膜
22:絶縁層
23:発光素子 23a:光反射性電極 23b:共通電極
23CS:補助容量 23:ゲート線 23:ソース線 23T1:選択トランジスタ 23T2:駆動トランジスタ 23VD:電源線
24:透明接着剤層
25:プリズムシート
26:金属容器
20RG:波長変換層
30:液晶層
40:液晶駆動基板
41:液晶駆動基板の透明基板
42:絶縁層
43:共通電極
44:絶縁層
45:画素電極
45:補助容量線 45CS:補助容量 45:ゲート線 45:ソース線 45:薄膜トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19