(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005459
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
A47G 29/12 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A47G29/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107388
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 崇
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA15
3K100CA24
3K100CB01
3K100CD10
(57)【要約】
【課題】宅配ボックスにおいて、軽量化を図ると共に、保冷を必要とする荷物の受け取り側のユーザが配達前後に行う作業、及び宅配業者が配達時に行う作業の作業性を向上する。
【解決手段】宅配ボックス12は、外ボックス本体13と、扉本体と、施錠ブロックと、断熱ボックスとを含む。外ボックス本体は、樹脂製で、前面に開口を有している。扉本体は、外ボックス本体の開口の縁部に取り付けられる。施錠ブロックは、扉本体に取り付けられて、扉本体の施錠及び解錠を可能とする。断熱ボックスは、内ボックス本体61と、内ボックス本体の前端開口を塞ぐ蓋とを含み、外ボックス本体内部に取り外し可能に収納され、内ボックス本体及び蓋が断熱材を含んでいる。内ボックス本体は、内部に保冷剤の設置位置を規制する少なくとも1つの保冷剤位置規制部を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅配物を収容可能である外ボックス本体と、扉本体と、施錠ブロックと、断熱ボックスと、を備え、
前記外ボックス本体は、樹脂製で、前面に開口を有しており、
前記扉本体は、前記外ボックス本体の前記開口の縁部にヒンジを介して取り付けられ、
前記施錠ブロックは、前記扉本体に取り付けられて、前記扉本体の施錠及び解錠を可能とし、
前記断熱ボックスは、上下方向両端に配置される天板及び底板と、横方向両端に配置される2つの側板と、奥端に設けられた奥板とを有する内ボックス本体と、前記内ボックス本体の前端開口を塞ぐ蓋とを含み、前記外ボックス本体内部に取り外し可能に収納され、
前記内ボックス本体及び前記蓋が断熱材を含んでおり、
前記内ボックス本体は、内部に保冷剤の設置位置を規制する少なくとも1つの保冷剤位置規制部を有する、
宅配ボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の宅配ボックスにおいて、
前記保冷剤位置規制部は、前記保冷剤を格納可能な保冷剤格納部である、
宅配ボックス。
【請求項3】
請求項2に記載の宅配ボックスにおいて、
前記保冷剤格納部は、前記内ボックス本体の内部の上部に設けられている、
宅配ボックス。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の宅配ボックスにおいて、
前記蓋及び前記内ボックス本体の互いに嵌合する部分に設けられた嵌め合い部は、側面視において、上方から下方に向かって前側に傾斜している、
宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、宅配物を無人で受け取り可能な宅配ボックスが知られている。例えば、宅配ボックスでは、荷物の配達員が収容室(荷物室)に宅配物を入れた後、扉を閉め、扉に設けられた施錠装置の操作によって扉が施錠される。これにより、宅配ボックスは、戸建住宅等の建物の前に置かれている場合に、宅配業者によって配達された宅配物を受け取ることができ、建物の住人が留守でも宅配物の受け取りが可能である。
【0003】
現在、宅配ボックスは、宅配業者から配達される冷凍または冷蔵での保存が必要な食材等の物品を預け入れすることはできないが、宅配ボックスの受取側のユーザでは、宅配ボックスを用いてそのような物品を受け取りたいニーズが高い。また、宅配ボックスに断熱材を設ける構造があるが、その構造では、夏の炎天下等における保冷の持続効果を高めるために、宅配ボックスの内部に保冷剤を、保冷を必要とする物品と収納位置を予め分けることなく同梱することが行われている。
【0004】
特許文献1には、断熱材を含む板部材で形成した内ボックスが、金属板製の外ボックスの収納部に取り出し可能に収納可能な宅配ボックスが記載されている。宅配業者によって配達される荷物が保温または保冷を必要とする場合に、内ボックスにその荷物が入れられた後、収納部に内ボックスが収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、内ボックスとして、扉側である前端が開口した直方体状、または6面全面を断熱材で構成したものを外ボックスに収納することが記載されている。しかしながら、内ボックスを前端が開口した直方体状とする場合には、扉に断熱材を設けないと内ボックス内の物品の保冷を行えない。一方、宅配ボックスの受取側のユーザが扉に断熱材を設定する作業は面倒である。
【0007】
また、内ボックスの6面前面を断熱材で構成する場合には、宅配業者が外ボックスから内ボックスを引き出してから内ボックスに保冷を必要とする物品を入れることが要求される可能性がある。これにより、宅配業者の配達作業に手間及び時間を要する可能性がある。また、宅配ボックス内の荷物室内に、荷物と保冷剤とを予め収納位置を分けることなく同梱することによって、荷物の出し入れがしにくくなる。
【0008】
また、特許文献1に記載された構成では、外ボックスは金属板を加工して形成されるので、軽量化を図る面から改良の余地がある。
【0009】
本開示の目的は、宅配ボックスにおいて、軽量化を図ると共に、保冷を必要とする荷物の受取側のユーザが配達前後に行う作業、及び宅配業者が配達時に行う作業の作業性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の宅配ボックスは、宅配物を収容可能である外ボックス本体と、扉本体と、施錠ブロックと、断熱ボックスと、を備え、外ボックス本体は、樹脂製で、前面に開口を有しており、扉本体は、外ボックス本体の開口の縁部にヒンジを介して取り付けられ、施錠ブロックは、扉本体に取り付けられて、扉本体の施錠及び解錠を可能とし、断熱ボックスは、上下方向両端に配置される天板及び底板と、横方向両端に配置される2つの側板と、奥端に設けられた奥板とを有する内ボックス本体と、内ボックス本体の前端開口を塞ぐ蓋とを含み、外ボックス本体内部に取り外し可能に収納され、内ボックス本体及び蓋が断熱材を含んでおり、内ボックス本体は、内部に保冷剤の設置位置を規制する少なくとも1つの保冷剤位置規制部を有する、宅配ボックスである。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る宅配ボックスによれば、外ボックス本体が樹脂製であるため、軽量化を図れる。さらに、外ボックス本体の内部に取り外し可能に断熱ボックスが収納されるので、受取側のユーザが許可した場合に、保冷を必要とする食材等の荷物を宅配ボックスに預入することができる。さらに、内ボックス本体と蓋とが断熱材を含んでいるので、保冷を必要とする荷物の配達前に、受取側のユーザが扉に断熱材を設ける必要がない。さらに、断熱ボックスは、扉本体側の前端に蓋が設けられるので、宅配業者が配達時に外ボックス本体から内ボックス本体を取り外した後に、内ボックス本体の内部に荷物を収納する必要がない。さらに、内ボックス本体の内部で、保冷剤位置規制部によって規制された設置位置に保冷剤を設置するので、荷物と保冷剤との設置位置が分かれる。これにより、荷物の出し入れがしやすくなる。このため、ユーザが配達前後に行う作業、及び宅配業者が配達時に行う作業の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1の宅配ボックスの扉を開けた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2から断熱ボックスの蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1の宅配ボックスから断熱ボックスのみを取り出して示す斜視図である。
【
図6】
図4の断熱ボックスの蓋と内ボックス本体とを分離して示す斜視図である。
【
図8】
図4に示す内ボックス本体において、複数の保冷剤を複数の保冷剤位置規制部に設置した状態で開口側から見た斜視図である。
【
図9】
図8の内ボックス本体から保冷剤を取り外して、内ボックス本体の開口側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料及び個数は、説明のための例示であって、宅配ボックスの仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
以下の説明及び図面で、Rは、宅配ボックスの扉を閉じた状態で宅配ボックスの外側から扉がある前面に向かって見た場合の右側であり、Lは、同じく左側であり、Fは、宅配ボックスの正面側である前側であり、Bは、宅配ボックスの裏側である後側である。R及びLを結ぶ方向と、F及びBを結ぶ方向とは、互いに直交する。
【0015】
図1は、実施形態の宅配ボックス12の斜視図である。
図2は、宅配ボックス12の扉40を開けた状態を示す斜視図である。
図3は、
図2から断熱ボックス60の蓋69を取り外した状態を示す斜視図である。宅配ボックス12は、例えば戸建住宅用であり、宅配される荷物(図示せず)を無人で受け取り可能である。宅配ボックス12は、宅配業者の配達員が荷物を預けるとともに、扉40を施錠するために使用される。例えば、宅配ボックス12は、戸建住宅の外側で玄関扉の近くに配置される。また、宅配ボックス12は、宅配物として保冷が必要な食材等の荷物の預け入れも可能である。
【0016】
具体的には、宅配ボックス12は、外ボックス本体13と、扉40と、断熱ボックス60とを含んで形成される。外ボックス本体13は、前面に開口15(
図2、
図3)を有する略直方体状である。扉40は、外ボックス本体13の開口15を開閉する横開き型である。外ボックス本体13の内側には収容室14が形成される。収容室14は、宅配荷物(図示せず)を出し入れ可能に収容可能な略直方体の箱状である。収容室14には、後述の断熱ボックス60も出し入れ可能に収容可能である。外ボックス本体13は、樹脂製の一体成型品である。例えば、外ボックス本体13は、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)等の樹脂により形成される。
【0017】
外ボックス本体13は、上面である天面16の略全面に、降雨時の水溜まりを防止するための、後端(
図1のB側端)に向かうに従い下方に傾斜した傾斜面が設けられてもよい。
【0018】
外ボックス本体13の外面において左右両側の側面17は、後端(
図1のB側端)に向かうに従い左右方向中央側に傾斜した傾斜面としてもよい。このとき、外ボックス本体13を上または下から見た場合の外形は、左右方向における中心線に関して左右対称な台形状となる。このため、外ボックス本体13は、後端に向かうほど断面形状が小さくなり、樹脂成型時に用いる金型からの抜け性を高くできる。
【0019】
また、外ボックス本体13の底面70には、外ボックス本体13を床面または地面の上に配置するための複数のブロック状の脚部73がネジ等により取り付けられている。
図2、
図3では、脚部73の図示を省略する。
【0020】
外ボックス本体13の前側の開口15の右側R縁部には、扉40がヒンジ(図示せず)を介して回動可能に取り付けられる。ヒンジは、外ボックス本体13の前側F端部の右側R端部の上下両端部に取り付けられた金属板製のヒンジ板と、扉40の右側R端部の上下両端部に上下方向に突出するように固定されて、ヒンジ板の孔に貫通支持されるヒンジピンとにより形成される。これにより、外ボックス本体13の開口15が、右開き用の扉40によって開閉可能となる。扉40は、外ボックス本体13の開口の縁部において左側L端部に設けられたヒンジにより、左開き用の扉によって開閉可能とされてもよい。
【0021】
なお、外ボックス本体13の開口15の縁に樹脂製のボックス補強枠が嵌合され、そのボックス補強枠にヒンジを介して扉を取り付ける構成としてもよい。
【0022】
外ボックス本体13の前側の開口の左側L縁部にはラッチ受け金具(図示せず)が固定される。ラッチ受け金具にはラッチ受け孔が形成され、ラッチ受け孔に後述の施錠ブロック50から出し入れされるラッチボルト(図示せず)が挿入可能である。
【0023】
さらに扉40は、矩形板状の扉本体41と、扉本体41に取り付けられた施錠ブロック50とを含んで構成される。扉本体41の前面の左側L端部には、上下方向に長い矩形孔42が貫通して形成される。施錠ブロック50は、矩形孔42を通じて一部が前側Fに露出するように扉本体41の裏側に取り付けられる。扉本体41は、例えば樹脂により形成される。扉本体41の前側F面(表側面)にはフィルムが貼られたり、塗装が施されてもよい。
【0024】
施錠ブロック50は、扉本体41を含む扉40の電気的な施錠及び解錠を可能とする電子錠であり、施錠装置に相当する。施錠ブロック50は、ブロックケース54の前側Fから露出するテンキー入力部55を有する。ブロックケース54の内側には電池を含む電源部と、電源部から電力を供給される制御装置と、制御装置により駆動されるソレノイド等を含む電動アクチュエータと、施錠機構とが配置される。テンキー入力部55の操作によって生じる操作信号は、制御装置に入力される。施錠機構は、扉本体41の左側L端からの突出及び扉本体41の内側への退避が可能なラッチボルトと、ラッチボルトを移動させる移動部(図示せず)とを含んでいる。制御装置は、電動アクチュエータを駆動して、移動部を介してラッチボルトを扉本体41の左側L端から突出または退避させることにより、扉40の施錠及び解錠を切換可能である。例えば、宅配業者等が、収容室14に宅配物を入れた後、扉40を閉めて、テンキー入力部55で暗証番号を押した後、テンキー入力部55に設けられる決定ボタンを押すことで、扉40を施錠することができる。宅配物の受取側のユーザは、テンキー入力部55で暗証番号を押した後、決定ボタンを押すことで、扉40を解錠することができる。
【0025】
施錠ブロック50は、カードキーや、スマートフォン等の携帯端末からの無線信号を受信する受信部を有してもよい。受信部で受信された信号は、制御装置に入力される。制御装置に入力された信号が扉の解錠または施錠を表す信号である場合に、制御装置は、電動アクチュエータ及び施錠機構により、扉40を解錠または施錠する。これにより、扉40の外側からカードキーを近づけたり、携帯端末から解錠または施錠のための無線信号を送った場合に、扉40を解錠または施錠することができる。
【0026】
さらに、
図2、
図3に示すように、本例の宅配ボックス12の内部には、断熱ボックス60が取り外し可能に収納される。断熱ボックス60は、宅配ボックス12を保冷が必要な食材等の荷物を預入可能とするために設けられる。
【0027】
図4は、宅配ボックス12から断熱ボックス60のみを取り出して示す斜視図である。
図5は、断熱ボックス60の側面図である。
図6は、断熱ボックス60の蓋69と内ボックス本体61とを分離して示す斜視図である。断熱ボックス60は、前面に前端開口61a(
図6)を有する略直方体状の内ボックス本体61と、内ボックス本体61の前端開口61aを塞ぐ蓋69とを含んで、全体で略直方体状に形成される。具体的には、内ボックス本体61は、上下方向両端に配置される天板62及び底板63と、横方向である左右方向の両端に配置される2つの側板64と、奥端に設けられた奥板65とを有し、一体に形成される。
【0028】
内ボックス本体61の前端開口61aには、蓋69の裏側端に設けられた筒部83(
図6)が嵌合されることにより、前端開口61aが蓋69で塞がれる。この状態で、
図4、
図5に示すように、蓋69及び内ボックス本体61の互いに嵌合する部分に設けられた嵌め合い部Gは、
図4に示す側面視において、上方から下方に向かって前側Fに傾斜している。このために、内ボックス本体61の前端縁も、側面視において、上方から下方に向かって前側Fに傾斜している。
【0029】
内ボックス本体61の前端開口61aは、内ボックス本体61の枠状の前端面61bの外周部に形成された略矩形の筒部61cの内側に形成される。内ボックス本体61も、外ボックス本体13と同様に、上面の略全面に、後端に向かうに従い下方に傾斜した傾斜面が設けられ、外面において左右両側の側面が、後端に向かうに従い左右方向中央側に傾斜した傾斜面となっていてもよい。
【0030】
内ボックス本体61の内側には、保冷が必要な食材等の宅配荷物を出し入れ可能に収容可能な内側収容室66が形成される。内ボックス本体61は、断熱性を有する樹脂製の一体成型品である。これにより、内ボックス本体61の軽量化を図れると共に高断熱性を確保できる。例えば、内ボックス本体61は、発泡ポリスチレン(発泡スチロール、EPS)や、発泡ウレタン等の樹脂により形成される。内ボックス本体61は、天板62、底板63、2つの側板64、奥板65のそれぞれが断熱材を含んでいればよく、それぞれ金属板の内面の全面に断熱材が貼られていてもよい。さらに、内ボックス本体61の内部の上端、下端及び奥端には、それぞれ保冷剤の設置位置を規制する保冷剤位置規制部が設けられる。これについては後で詳しく説明する。
【0031】
図7は、蓋69の裏面を示す斜視図である。
図6、
図7に示すように、蓋69は、略矩形の平板状の前端板部80と、前端板部80の外周部に後方に突出するように設けられた筒状の周壁部82とを有する。周壁部82の裏側端面の内周部には、内ボックス本体61に嵌合させるための上記の筒部83が形成される。
【0032】
蓋69は、筒部83を内ボックス本体61の前端開口61aに嵌合させることにより、断熱ボックス60の内部を気密に密閉するように取り付けられる。上記のように蓋69及び内ボックス本体61の互いに嵌合する部分に設けられた嵌め合い部G(
図4、
図5)は、上方から下方に向かって前側に傾斜している。このために、蓋69の裏側端面のうち、内ボックス本体61の前端縁に突き当てる外周部も、側面視において、上方から下方に向かって前側に傾斜している。蓋69も、内ボックス本体61と同様に、断熱性を有する樹脂製の一体成型品である。これにより、蓋69の軽量化を図れると共に高断熱性を確保できる。例えば、蓋69は、発泡ポリスチレン(発泡スチロール、EPS)や、発泡ウレタン等の樹脂により形成される。蓋69は断熱材を含んでいればよく、金属板の内面の全面に断熱材が貼られていてもよい。
【0033】
さらに、蓋69の前側面の上部には、上下に並んで2つの凹部84が形成される。このため、2つの凹部84の上下方向の間には横長の突部である掴み部85が形成される。これにより、この掴み部85を指で掴んで内ボックス本体61から蓋69を分離させることができる。
【0034】
さらに、蓋69の外周面の左右方向両端の上下方向中間部と、内ボックス本体のこの上下方向中間部と整合する位置とには、前後方向に延びる断面矩形の溝92,93が形成される。これにより、
図2、
図3に示すように外ボックス本体13に断熱ボックス60を収容し、断熱ボックス60の外周面が外ボックス本体13の内面に嵌合した状態で、断熱ボックス60の溝92,93と外ボックス本体13の内周面との間には例えば左右方向に10mm以上の隙間dが形成される。この隙間dが断熱ボックス60の引き出し用の手がかり部として用いられる。また、
図4のように外ボックス本体13から断熱ボックス60を引き出した状態で、蓋69及び内ボックス本体61の左右両端の溝92,93は、宅配物の受け取り側のユーザ等が、断熱ボックス60を両手で持ち運ぶ際の手がかり部としても用いられる。また、外ボックス本体13の内部に断熱ボックス60が収納された状態で、
図3に示すように、内ボックス本体61から蓋69を取り外し可能である。これにより、宅配業者が荷物を配達するときの配達の容易化、及び、受け取り側のユーザが荷物を取り出すときの取り出しの容易化を図れる。
【0035】
図8は、内ボックス本体61において、複数の保冷剤90a、90b、90cを複数の保冷剤位置規制部に設置した状態で開口側から見た斜視図である。
図9は、内ボックス本体61から保冷剤を取り外して、内ボックス本体61の開口側から見た斜視図である。
保冷剤位置規制部94は、内ボックス本体61の内部の上端、下端、及び奥端に設けられる。内ボックス本体61の内側収容室66において、左右方向両端の2つの側板64の内側面上部には、両側の内側面間の間隔が上側に向かって小さくなるように傾斜面67が形成される。各側板64の内側面で、傾斜面67の上端部上側には、両側の内側面から左右方向内側に張り出して前後方向に延びる係合突部68と、その係合突部68の上側で係合突部68間の間隔より左右方向の幅が大きくなった略直方体状で前後方向に延びる空間によって、上端の保冷剤位置規制部である保冷剤格納部95が形成される。この保冷剤格納部95には、
図8に示すように略直方体で前後方向に長い上端の保冷剤90aを、2つの係合突部68に載せるように格納可能である。
【0036】
内側収容室66の奥端であって、奥板65の内側面には、断面略矩形の凹部である奥端の保冷剤位置規制部である保冷剤格納部96が形成される。奥端の保冷剤格納部96には、
図8に示すように上下方向に長い奥端の保冷剤90bが嵌め込まれるように格納される。
【0037】
内側収容室66の下端であって、底板63の上面の左右方向中央部には、断面矩形で前後方向に延びる溝によって、下端の保冷剤位置規制部94が形成される。下端の保冷剤位置規制部94には、下端の保冷剤90cの下端部が嵌め込まれるように収容され、保冷剤90cの上側部分が保冷剤位置規制部94から上側に突出している。これにより、内側収容室66に複数の保冷剤90a、90b、90cが設置されている。このため、内側収容室66内の保冷効果を持続しやすくなる。また、内ボックス本体61の保冷剤格納部95,96及び保冷剤位置規制部94により、内ボックス本体61内部での保冷剤の設置位置が規制されるので、後述のように荷物と保冷剤との設置位置が分かれることにより、荷物の出し入れがしやすくなる。
【0038】
保冷剤90a、90b、90cの種類は限定しないが、例えば半透明で略直方体状の硬質の樹脂製容器に、長手方向一端の給水口から水を入れて冷凍庫で凍らせることにより構成される。
【0039】
上記の宅配ボックス12は、次のように利用される。例えば、利用形態の第1例は、主として保冷を必要とする食材を除く荷物を、宅配ボックス12に預入するために利用する。このとき、外ボックス本体13の内側からは断熱ボックス60を取り出しておく。一方、宅配ボックス12は、保冷を必要とする食材を預入することも可能である。このときには、受け取り側のユーザにおいて、食材の受取前に外ボックス本体13の内側に、保冷剤を内部に設置した断熱ボックス60を設置しておく。そして、宅配業者が断熱ボックス60の蓋69を開けて内側に食材を収容し、蓋69を断熱ボックス60に取り付けてから扉40を閉めて施錠する。ユーザが食材を受け取るときには扉40の解錠後、断熱ボックス60の全体を外ボックス本体13から取り外し、家の中に断熱ボックス60を持ち込む。そして、断熱ボックス60の蓋69をあけて中から食材を取り出す。
【0040】
利用形態の第2例は、宅配ボックス12を、定期的に配達される食材、例えば弁当などの定期的に配達される荷物の預入専用として用いる。このときには、外ボックス本体13の内部には常時、断熱ボックス60を設置した状態のままとする。宅配ボックス12で食材を受け取る前には、予め受け取り側のユーザが、断熱ボックス60の内側に、保冷剤を内部に設置しておく。宅配業者が断熱ボックス60に食材を収容した後、ユーザが食材を受け取るときには、扉40の解錠後、断熱ボックス60の蓋69を取り外してから食材を家の中に持ち込む。
【0041】
本例の宅配ボックスによれば、上記の第1例及び第2例のいずれの利用形態にも対応できる。これにより、本例の構成によれば、宅配ボックス12の用途の範囲を広くできる。
【0042】
上記の宅配ボックス12によれば、外ボックス本体13が樹脂製であるため、軽量化を図れる。さらに、外ボックス本体13の内部に取り外し可能に断熱ボックス60が収納されるので、受け取り側のユーザが許可した場合に、保冷を必要とする食材等の荷物を宅配ボックス12に預入することができる。さらに、内ボックス本体61と蓋69とが断熱材を含んでいるので、保冷を必要とする荷物の配達前に、受け取り側のユーザが扉40に断熱材を設ける必要がない。さらに、断熱ボックス60は、扉本体41側の前端に蓋69が設けられるので、宅配業者が配達時に外ボックス本体13から内ボックス本体61を取り外した後に、内ボックス本体61の内部に荷物を収納する必要がない。さらに、内ボックス本体61の内部で、保冷剤格納部95,96及び保冷剤位置規制部94によって規制された設置位置に保冷剤を設置するので、荷物と保冷剤との設置位置が分かれる。これにより、荷物の出し入れがしやすくなる。このため、ユーザが配達前後に行う作業、及び宅配業者が配達時に行う作業の作業性を向上できる。
【0043】
さらに、内ボックス本体61の内部の上端及び奥端に保冷剤を格納可能な保冷剤格納部95,96が設けられるので、保冷剤格納部95,96に格納した保冷剤90a、90bが、内ボックス本体61内部の内側収容室66の荷物を配置する部分に、大きく突出することを防止できる。これにより、荷物の形状及び大きさが制限されにくくなる。このため、内側収容室66への荷物の収容を行いやすくなる。保冷剤格納部95,96は、保冷剤の大きさの半分以上が格納されるものであればよい。
【0044】
また、内ボックス本体61には、上端に保冷剤90aを格納可能な上端の保冷剤格納部95が設けられる。これにより、保冷剤90aの冷気が内側収容室66内で下に流れてその冷気が荷物を冷やすことで温度上昇して再度、保冷剤格納部95に送られ、そこで再度温度低下させられて冷気となる。このため、内側収容室66の広い範囲に冷気が上から下に流れやすいので、内側収容室22内の温度の均一性を高くできる。
【0045】
さらに、蓋69及び内ボックス本体61の互いに嵌合する部分に設けられた嵌め合い部Gは、側面視において、上方から下方に向かって前側に傾斜している。これにより、
図4のように断熱ボックス60を外ボックス本体13から取り出して例えば床等に配置した状態で、蓋69の下端は前後方向の幅が小さくなるので、蓋69を、蓋69の下端を中心に内ボックス本体61から離れる方向に傾けて内ボックス本体61から取り外しやすくなる。また、蓋69を開けた状態で斜め上側から内ボックス本体61内部の荷物を視認しやすくなるので、荷物を取り出しやすくなる。
【0046】
なお、上記の実施形態では、保冷剤位置規制部が宅配ボックス12の3つの位置に設けられる場合を説明したが、保冷剤位置規制部は、内ボックス本体の内部に、1つのみ、または2つのみ、または4つ以上の位置に設けることもできる。また、断熱ボックス60の外面と外ボックス本体13の内面との間に空隙を設けることにより、断熱性を向上させてもよい。
【0047】
また、上記の実施形態において、宅配ボックス12の雰囲気温度が40℃の条件で、庫内8℃以下を5時間維持するために、例えば断熱ボックス60を発泡ポリスチレン製とし、その厚みを40mm以上とすることができる。
【符号の説明】
【0048】
12 宅配ボックス、13 外ボックス本体、13b 突部、14 収容室、15 開口、16 天面、17 側面、18 側面、40 扉、41 扉本体、42 矩形孔、50 施錠ブロック、54 ブロックケース、55 テンキー入力部、60 断熱ボックス、61 内ボックス本体、61a 前端開口、62 天板、63 底板、64 側板、65 奥板、66 内側収容室、67 傾斜面、68 係合突部、69 蓋、70 底面、73 脚部、80 前端板部、82 周壁部、83 筒部、84 凹部、85 掴み部、90a,90b,90c 保冷剤、92,93 溝、94 保冷剤位置規制部、95,96 保冷剤格納部。