(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054596
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】飲料冷却装置、および、飲料冷却装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
F25D 3/08 20060101AFI20230407BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
F25D3/08 A
A23L2/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163544
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】河野 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】加納 博明
(72)【発明者】
【氏名】村上 正昭
【テーマコード(参考)】
3L044
4B117
【Fターム(参考)】
3L044AA03
3L044AA04
3L044BA05
3L044CA18
3L044DC01
3L044FA01
3L044KA04
4B117LE10
4B117LP16
4B117LT05
(57)【要約】
【課題】飲料の冷却に要する時間を短縮することができる飲料冷却装置、および、飲料冷却装置の使用方法を提供する。
【解決手段】飲料冷却装置100は、飲料容器を収容可能に構成された収容容器10と、回転機構部20とを備える。収容容器10は、断面が円形の筒状を有し、飲料容器の径よりも大きい内径を有する胴体部11を備える。回転機構部20は、胴体部11の周方向に収容容器10を回転させる。飲料冷却装置100の使用方法は、収容容器10に飲料容器と氷および水とを入れることと、回転機構部20を駆動して胴体部11の周方向に収容容器10を回転させることを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器を収容可能に構成された収容容器であって、断面が円形の筒状を有し、前記飲料容器の径よりも大きい内径を有する胴体部を備える前記収容容器と、
前記胴体部の周方向に前記収容容器を回転させる回転機構部と、
を備える飲料冷却装置。
【請求項2】
前記回転機構部は、水平面上に静置可能な形状を有する筐体部と、
前記筐体部に組み付けられたローラーであって、前記筐体部の上面において当該ローラーの周面の一部が露出する前記ローラーと、
前記筐体部の内部に収容されて前記ローラーを回転させる駆動部と、を備え、
前記収容容器が前記回転機構部に組み付けられているとき、前記ローラーによって前記胴体部が支持される
請求項1に記載の飲料冷却装置。
【請求項3】
前記胴体部は、当該胴体部の側面に、前記胴体部の周方向に沿って延びる環状の突条を備え、
前記筐体部は、前記上面に、前記突条を挿入可能な溝を備える
請求項2に記載の飲料冷却装置。
【請求項4】
前記回転機構部は、前記収容容器に収容可能な大きさを有する
請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料冷却装置。
【請求項5】
収容容器と前記収容容器を回転させる回転機構部とを備える飲料冷却装置の使用方法であって、
前記収容容器は、断面が円形の筒状であって、飲料容器の径よりも大きい内径を有する胴体部を備え、
前記収容容器に前記飲料容器と氷および水とを入れることと、
前記回転機構部を駆動して前記胴体部の周方向に前記収容容器を回転させることと、
を含む飲料冷却装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料冷却装置、および、飲料冷却装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、ビール等の缶入飲料を冷却する装置が知られている。特許文献1に記載の飲料冷却装置は、氷の入れられた容器内で横向きの飲料缶を回転させることによって、飲料を冷却する。容器内において、飲料缶の底面には吸盤体が吸着され、飲料缶はこの吸盤体に支持される。そして、飲料缶は、吸盤体の回転に伴って回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の飲料冷却装置では、容器内に入れられた氷と飲料缶とが点で接触し、かつ、氷の位置は変わらないため、特に冷却の初期において氷が溶けていないときには、飲料缶の中に冷えやすい箇所と冷えにくい箇所とが生じる。それゆえ、飲料の冷却にムラが生じて、冷却に要する時間が長くなる。
【0005】
具体的には、特許文献1には、飲料を飲み頃の温度である6℃~10℃程度に冷却するために、90秒程度の時間を要することが記載されている。これに対し、飲料冷却装置の利便性の向上のために、冷却時間の短縮が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための飲料冷却装置は、飲料容器を収容可能に構成された収容容器であって、断面が円形の筒状を有し、前記飲料容器の径よりも大きい内径を有する胴体部を備える前記収容容器と、前記胴体部の周方向に前記収容容器を回転させる回転機構部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、飲料の冷却に際しては、収容容器の回転に伴い、収容容器の内部で飲料容器および氷水等の冷却剤が回転する。このように収容容器自体が回転することから、回転する飲料容器の周囲で冷却剤が動き続ける。したがって、飲料容器の全体が冷えやすくなるため、飲料の冷却の効率が高められる。その結果、飲料の冷却に要する時間の短縮が可能である。
【0008】
上記構成において、前記回転機構部は、水平面上に静置可能な形状を有する筐体部と、前記筐体部に組み付けられたローラーであって、前記筐体部の上面において当該ローラーの周面の一部が露出する前記ローラーと、前記筐体部の内部に収容されて前記ローラーを回転させる駆動部と、を備え、前記収容容器が前記回転機構部に組み付けられているとき、前記ローラーによって前記胴体部が支持されてもよい。
上記構成によれば、回転機構部によって収容容器を支持しながら、ローラーの回転によって収容容器を的確に回転させることができる。
【0009】
上記構成において、前記胴体部は、当該胴体部の側面に、前記胴体部の周方向に沿って延びる環状の突条を備え、前記筐体部は、前記上面に、前記突条を挿入可能な溝を備えてもよい。
【0010】
上記構成によれば、収容容器が回転機構部に組み付けられている状態において、溝に突条が挿入されていることにより、収容容器の回転にぶれが生じた場合でも、収容容器が回転機構部から外れることを抑えることができる。
【0011】
上記構成において、前記回転機構部は、前記収容容器に収容可能な大きさを有してもよい。
上記構成によれば、収容容器に回転機構部を収容して、飲料冷却装置を保管することができる。これにより、飲料冷却装置の保管時に、収容容器と回転機構部とが離れ離れになることが抑えられ、また、飲料冷却装置の保管に要するスペースの削減も可能である。
【0012】
上記課題を解決するための飲料冷却装置の使用方法は、収容容器と前記収容容器を回転させる回転機構部とを備える飲料冷却装置の使用方法であって、前記収容容器は、断面が円形の筒状であって、飲料容器の径よりも大きい内径を有する胴体部を備え、前記収容容器に前記飲料容器と氷および水とを入れることと、前記回転機構部を駆動して前記胴体部の周方向に前記収容容器を回転させることと、を含む。
【0013】
上記方法によれば、収容容器自体が回転することから、回転する飲料容器の周囲で氷と水が動き続ける。したがって、飲料容器の全体が冷えやすくなる。また、収容容器に冷却剤として氷と水が入れられるため、氷のみが入れられる場合と比較して、飲料容器の広い範囲が冷却剤に接しやすくなる。そして、収容容器が回転されることにより、飲料容器の外周に氷水が流れるため、飲料容器の外周の広い領域で飲料容器を氷水に接触させることができる。これらにより、飲料の冷却の効率が高められるため、飲料の冷却に要する時間の短縮が可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、飲料の冷却に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態の飲料冷却装置の斜視構造を示す図。
【
図2】一実施形態の飲料冷却装置における収容容器の断面構造を分解して示す図。
【
図3】一実施形態の飲料冷却装置における回転機構部の斜視構造を示す図。
【
図4】一実施形態の飲料冷却装置において飲料容器と氷水が収容された収容容器を示す図。
【
図5】一実施形態の飲料冷却装置において収容容器と回転機構部との組み付けの手順を示す図。
【
図6】一実施形態の飲料冷却装置において回転される収容容器を示す図。
【
図7】一実施形態の飲料冷却装置において回転機構部が収容された収容容器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、飲料冷却装置およびその使用方法の一実施形態を説明する。以下の説明における上下方向は、飲料冷却装置を水平面上に置いて駆動しているときの上下方向である。
【0017】
本実施形態の飲料冷却装置は、飲料容器に入れられている飲料を冷却する。以下では、飲料冷却装置が、飲料容器の一例である飲料缶に充填された飲料を冷却する形態を説明する。飲料の種類は特に限定されず、飲料は、例えば、ビール等のアルコール飲料や、清涼飲料水である。
【0018】
[飲料冷却装置の構成]
図1が示すように、飲料冷却装置100は、飲料容器および氷水が入れられる収容容器10と、収容容器10を回転させる回転機構部20とを備えている。収容容器10は、略円筒形状を有している。回転機構部20は、収容容器10の側面部を支持し、収容容器10を周方向に回転させる。
【0019】
図2および
図3を参照して、収容容器10および回転機構部20の詳細構成を説明する。
図2が示すように、収容容器10は、筒状に延びる胴体部11と、収容容器10の底として機能する底部12と、収容容器10の蓋として機能する蓋部13とを備えている。
【0020】
底部12は、胴体部11の延びる方向、すなわち胴体部11の軸方向における一端を塞いでいる。胴体部11の軸方向における他端は開口されており、蓋部13は、この他端に位置する開口部15に対して開閉可能に構成されている。胴体部11と蓋部13との組み付けの方式は特に限定されない。例えば、胴体部11と蓋部13とは螺子によって嵌め合わせられてもよいし、胴体部11と蓋部13との少なくとも一方がゴム等の弾性体からなる部材を備え、当該部材の弾性変形を利用して胴体部11と蓋部13とが嵌め合わされてもよい。また、蓋部13が開けられている状態において、蓋部13は、胴体部11から分離されていてもよいし、胴体部11の一部と繋がっていてもよい。
【0021】
胴体部11は、軸方向と直交する断面が円形の筒状を有する。胴体部11の内径Diは、底部12の位置する端部から開口部15に向けて徐々に大きくなっていてもよいし、胴体部11の全体において一定であってもよい。内径Diが開口部15に向けて大きくなっていれば、樹脂成形により胴体部11を形成する場合に、胴体部11の離型が容易である。内径Diが一定であれば、収容容器10の回転時における動力の損失が抑えられる。
【0022】
胴体部11の全体において、内径Diは、収容対象の飲料容器の径よりも大きい。さらに、内径Diは、胴体部11内において飲料容器の周囲に氷を配置可能な程度に、飲料容器の径よりも大きければよい。例えば、飲料容器が飲料缶であるとき、内径Diは、12cm程度であることが好ましい。
【0023】
胴体部11の高さHcは、収容対象の飲料容器の高さよりも大きい。例えば、高さHcが18cm程度であると、350mlの容量の飲料缶と500mlの容量の飲料缶とのいずれも収容容器10に収容することができる。
【0024】
胴体部11は、その側面上に、第1突条14aと第2突条14bとの2つの突条を備えている。突条14a、14bは、胴体部11の周方向に沿って延びる環状を有しており、胴体部11の側面から胴体部11の径方向の外側に向けて突出している。第1突条14aは、胴体部11の軸方向における胴体部11の中央に対して開口部15と同一の側に位置する。第2突条14bは、胴体部11の軸方向における胴体部11の中央に対して開口部15と反対の側に位置する。
【0025】
収容容器10は、胴体部11の軸方向における端部付近に、胴体部11の側面から胴体部11の径方向の外側に向けて張り出す張出部16a,16bを備えている。第1張出部16aは、胴体部11の軸方向において、第1突条14aに対して開口部15と同一の側に位置する。例えば、
図2では、胴体部11のなかで蓋部13が嵌められる部分に隣接する位置に第1張出部16aが設けられている。さらに、蓋部13が閉められた状態においては、第1張出部16aと共に蓋部13も胴体部11の側面に対して張り出していてもよい。あるいは、胴体部11には第1張出部16aが設けられず、蓋部13が閉められることによって蓋部13が第1張出部16aとして機能してもよい。
【0026】
第2張出部16bは、胴体部11の軸方向において、第2突条14bに対して開口部15と反対の側に位置する。例えば、
図2では、底部12が胴体部11の側面に対して張り出しており、底部12が第2張出部16bとして機能する。あるいは、胴体部11のなかで底部12に隣接する位置に第2張出部16bが設けられていてもよい。
【0027】
収容容器10の材料は特に限定されない。収容容器10の材料が、例えば樹脂であると、収容容器10の軽量化が可能であり、収容容器10の製造も容易である。また、収容容器10が透明であると、収容容器10に入れられた飲料容器や氷水の状態を収容容器10の外側から確認することができる。
【0028】
図3が示すように、回転機構部20は、筐体部21と、筐体部21に組み付けられた5つのローラー30~34とを備える。筐体部21は、曲面の上面22を有する箱型形状を有し、その内部に、収容容器10を回転させるための機械部品および電子部品を収容している。筐体部21は、上面22を上に向けて水平面上に静置可能である。上面22は、収容容器10の胴体部11の側面に沿うことの可能な曲面であり、すなわち、凸面である胴体部11の側面と同程度の大きさの曲率半径を有する凹面である。
【0029】
筐体部21の上面22には、第1溝23aと第2溝23bとの2つの溝が形成されている。溝23a,23bは、筐体部21上に収容容器10を配置した場合に胴体部11の周方向と一致する方向に沿って延びている。第1溝23aと第2溝23bとの間隔は、第1突条14aと第2突条14bとの間隔と一致する。第1溝23aの幅は、第1突条14aの幅よりも僅かに大きく、第1溝23aに第1突条14aを挿入することが可能である。第2溝23bの幅は、第2突条14bの幅よりも僅かに大きく、第2溝23bに第2突条14bを挿入することが可能である。
【0030】
5つのローラー30~34のうち、第1ローラー30および第2ローラー31は、第1溝23aの延びる方向に並列に並び、筐体部21の内部から第1溝23a内へローラーの周方向の一部が突出するように、配置されている。言い換えれば、第1ローラー30の回転軸と第2ローラー31の回転軸とは平行であって、第1ローラー30の周面の一部と第2ローラー31の周面の一部とが、第1溝23a内に露出している。
【0031】
また、第3ローラー32および第4ローラー33は、第2溝23bの延びる方向に並列に並び、筐体部21の内部から第2溝23bへローラーの周方向の一部が突出するように、配置されている。言い換えれば、第3ローラー32の回転軸と第4ローラー33の回転軸とは平行であって、第3ローラー32の周面の一部と第4ローラー33の周面の一部とが、第2溝23b内に露出している。
【0032】
第5ローラー34は、上面22の中央部にて、筐体部21の内部からローラーの周方向の一部が突出するように、配置されている。上面22と向かい合う位置から見て、第5ローラー34は、第1溝23aと第2溝23bとの間に位置する。
【0033】
ローラー30~34の回転軸はすべて同じ方向に延びる。これらの回転軸の延びる方向は、第1溝23aと第2溝23bとの並ぶ方向であり、筐体部21上に収容容器10を配置した場合に胴体部11の軸方向と一致する方向である。第1ローラー30と第3ローラー32との回転軸は同一の直線上に位置してもよいし、第2ローラー31と第4ローラー33との回転軸は同一の直線上に位置してもよい。
【0034】
筐体部21やローラー30~34の材料は特に限定されない。筐体部21は、例えば樹脂製であればよい。ローラー30~34の周面が、ゴムから形成されていると、収容容器10とローラー30~34との摩擦を適切に制御しやすい。
【0035】
回転機構部20はさらに、筐体部21の内部に、駆動部40および制御部41を備える。また、回転機構部20は、筐体部21に組み付けられた操作部42および表示部43を備える。
【0036】
駆動部40は、ローラー30~34を回転させるためのモーターや、当該モーターの回転をローラー30~34に伝えるための機構を含む。なお、5つのローラー30~31のうち、少なくとも1つのローラーが駆動部40によって回転されればよい。駆動部40から動力が伝達されるローラー以外のローラーは、収容容器10の回転に従動して回転することで、収容容器10の回転を補助する。
【0037】
操作部42は、飲料冷却装置100の駆動を指示する操作を受け付ける。例えば、操作部42は、こうした操作を押下の有無として受け付けるスイッチに具体化される。操作部42は、操作部42に対する操作に応じた電気信号を制御部41の制御回路に出力する。操作部42は、操作を受け付ける部分が例えば筐体部21の側面に配置されるように、筐体部21に組み付けられる。そして、操作部42が駆動を指示する操作を受け付け、駆動の開始後の飲料の冷却の完了の判断は、所定の時間の経過後の回転の停止によってもよいが、表示部43の表示によってもよい。
【0038】
表示部43は、飲料冷却装置100の駆動状態に関する情報を表示する。例えば、表示部43は、飲料冷却装置100の駆動の開始後に、飲料冷却装置100の駆動が継続される残り時間、言い換えれば、飲料の冷却の完了までの残り時間を表示する。表示部43は、例えば液晶パネルに具体化され、表示面が筐体部21の側面に配置されるように、筐体部21に組み付けられる。
【0039】
制御部41は、駆動部40の駆動の制御、および、表示部43の表示の制御を行う制御回路を含む。例えば、制御部41は、操作部42からの信号を受けて駆動部40の駆動を開始し、60秒等の所定の時間、駆動部40の駆動を継続した後、駆動部40の駆動を停止する。そして、制御部41は、駆動部40の駆動の残り時間を表示部43に表示させる。
【0040】
駆動部40、制御部41、表示部43等への電力は、商用電源から供給されてもよいし、電池から供給されてもよい。電力が電池から供給される場合、筐体部21の内部には、電池を収容可能な領域が設けられる。
【0041】
回転機構部20の長さLb、幅Wb、高さHbについて、長さLbは、収容容器10の胴体部11の高さHcよりも小さい。また、幅Wbおよび高さHbの各々は、胴体部11の内径Diよりも小さい。したがって、回転機構部20は、収容容器10内に収容可能である。なお、回転機構部20の水平方向に沿った大きさのうち、長手方向の大きさが長さLbである。
【0042】
[飲料冷却装置の使用方法]
図4~
図6を参照して、飲料冷却装置100の使用方法を説明する。なお、
図4においては、収容容器10の収容物を理解しやすく示すために、収容容器10を断面で示している。
【0043】
図4が示すように、まず、収容容器10に、開口部15から、飲料容器50が入れられ、さらに、氷51および水52が入れられて、蓋部13が閉められる。飲料容器50、氷51、水52の収容の際、収容容器10は、回転機構部20から取り外されていればよい。これにより、底部12を下にして収容容器10を立てた状態で、飲料容器50、氷51、水52を収容容器10に入れることができる。したがって、飲料容器50、氷51、水52の収容が容易である。氷51および水52の量は、飲料容器50の大きさや飲料の組成に応じて調整されればよい。なお、収容容器10には、氷51および水52に加えて、塩等のように、氷51や水52との組み合わせで温度を低下させる材料が加えられてもよい。
【0044】
図5が示すように、次に、収容容器10が、上面22を上に向けて水平面上に静置された回転機構部20に組み付けられる。すなわち、収容容器10が横向きに倒されて、上面22上に乗せられる。この際、第1溝23aに第1突条14aが挿入され、第2溝23bに第2突条14bが挿入される。溝23a、23bに突条14a、14bを合わせるように収容容器10を配置することで、回転機構部20に対する収容容器10の位置合わせが容易に可能である。
【0045】
収容容器10が回転機構部20に組み付けられた状態において、第1ローラー30および第2ローラー31は、第1突条14aに接し、第3ローラー32および第4ローラー33は、第2突条14bに接する。そして、第5ローラー34は、胴体部11の側面に接する。上面22と胴体部11の側面との間には、僅かな隙間が形成される。
【0046】
このように、収容容器10が回転機構部20に組み付けられた状態において、回転機構部20は、各ローラー30~34の位置で、すなわち合わせて5つの点で、収容容器10を支持する。収容容器10の胴体部11の軸方向は、水平方向とほぼ一致した方向になる。
【0047】
図6が示すように、続いて、飲料冷却装置100の使用者によって操作部42が操作されることに伴い、飲料冷却装置100が駆動される。具体的には、駆動部40によってローラー30~34の一部もしくは全部が回転されることによって、ローラー30~34上の収容容器10が、胴体部11の軸方向に沿った方向を回転の軸方向として、回転する。
【0048】
収容容器10が回転することに伴って、収容容器10の内部では、飲料容器50が回転し、また、飲料容器50の周囲で氷51および水52も渦状の流れを形成する。ローラー30~34の回転数は、飲料容器50の大きさ、飲料の組成、氷51および水52の量等に応じて設定されればよい。
【0049】
溝23a、23bに突条14a、14bが挿入されていることから、回転のぶれ、すなわち収容容器10の回転軸のずれが生じたとしても、回転機構部20から収容容器10が外れることが抑えられる。また、上面22が胴体部11の側面に沿う形状であることによっても、回転のぶれが生じた場合に、収容容器10の動きが上面22によって規制されるため、回転のぶれが修正されやすい。
【0050】
さらに、収容容器10の端部に張出部16a,16bが設けられていることから、収容容器10が胴体部11の軸方向に動こうとすれば、張出部16a,16bが筐体部21の端部に引っかかる。これによっても、回転機構部20から収容容器10が外れることが抑えられる。
【0051】
飲料冷却装置100の駆動が開始されてから、予め設定された所定の期間が経過すると、飲料冷却装置100の駆動が停止される。これにより、収容容器10の回転も停止する。その後、使用者は、収容容器10から飲料容器50を取り出して、飲料容器50内の飲料を飲むことができる。
【0052】
本実施形態の飲料冷却装置100によれば、飲料容器50と氷51および水52とが入れられた収容容器10自体が回転するため、回転する飲料容器50の周囲で氷51と水52とが動き続ける。したがって、飲料容器50の全体が冷えやすくなるため、飲料の冷却の効率が高められる。その結果、飲料の高速な冷却が可能である。
【0053】
そして、収容容器10に、固体である氷51だけでなく液体である水52も入れられることから、飲料の冷却中に、飲料容器50の広い範囲に氷51や水52である冷却剤が接するため、冷却の効率がより高められる。本実施形態では、収容容器10の胴体部11が筒状であり、かつ、回転されるため、氷51に加えた水52の収容が可能であるとともに、飲料容器50の外周の広い領域で飲料容器50と水52とを接触させることができる。
【0054】
さらに、氷51と水52とが混合されることにより、氷51の融解が促進されるため、冷却の初期における冷却能力が高められる。これによっても、飲料の高速な冷却が可能である。
【0055】
また、飲料冷却装置100に対する飲料容器50の固定が不要であるため、吸盤体等を用いて装置に飲料容器50を固定する形態と比較して、飲料冷却装置100への飲料容器50の収容が容易である。さらに、吸盤体等の固定部材によって飲料容器50が支持され、固定部材の回転によって飲料容器50が回転される場合、回転の速度は、飲料容器50から固定部材が外れない範囲に制限される。これに対し、本実施形態の飲料冷却装置100では、飲料容器50の回転の速度についての自由度が高いため、飲料の冷却により適するように回転の速度を調整することが容易に可能である。
【0056】
また、収容容器10と回転機構部20とが分離可能であり、氷51や水52と接する収容容器10は電子部品や細かな機械部品を含まない。そのため、収容容器10の洗浄や乾燥等、飲料冷却装置100の管理に要する負担の軽減が可能である。
【0057】
さらに、
図7が示すように、収容容器10に回転機構部20の収容が可能である。回転機構部20は、上面22を胴体部11の内側面に向けるように、収容容器10に収容される。これにより、収容容器10に回転機構部20を収容した状態で、飲料冷却装置100を保管することができる。それゆえ、飲料冷却装置100の保管時に、収容容器10と回転機構部20とが離れ離れになることが抑えられる。また、飲料冷却装置100の保管に要するスペースを小さく抑えることもできる。
【0058】
[実施例]
上述した飲料冷却装置の実施例を作製し、飲料の冷却試験を行った。
(試験内容)
収容容器に、室温の缶ビールと、100mlの水および260gの氷とを入れ、収容容器を回転機構部に組み付けた。そして、飲料冷却装置を1分間駆動させた後、缶ビール内の飲料の温度を測定した。
【0059】
収容容器において、胴体部の高さHcは17.5cmであり、収容容器の容量は1500mlである。缶ビールの容量は350mlである。
【0060】
(試験結果)
上記試験を、市販の4種類の缶ビールについて、2回ずつ行った。その結果、4種類の缶ビールのいずれにおいても、2回とも、飲料冷却装置による冷却後の飲料の温度は10℃未満であった。したがって、飲料冷却装置の1分間の駆動によって、飲み頃の温度とされる温度まで飲料の冷却が可能であることが確認された。従来のように、氷の入れられた容器内で飲料容器のみを回転させる形態では、室温から10℃未満まで飲料を冷却するために、1分半から2分程度の時間がかかる。それゆえ、上記実施形態の飲料冷却装置であれば、従来よりも短時間で飲料の冷却が可能であることが示された。
【0061】
以上説明したように、飲料冷却装置およびその使用方法によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)回転機構部20が、飲料容器と氷水の収容された収容容器10を胴体部11の周方向に回転させる。こうした構成であれば、収容容器10自体が回転するため、回転する飲料容器の周囲で氷と水とが動き続ける。したがって、飲料容器の全体が冷えやすくなるため、飲料の冷却の効率が高められる。その結果、飲料の高速な冷却が可能である。
【0062】
(2)収容容器10に冷却剤として氷と水が入れられるため、氷のみが入れられる場合と比較して、飲料容器の広い範囲が冷却剤に接しやすくなる。そして、収容容器10が回転されることにより、飲料容器の外周に氷水が流れるため、飲料容器の外周の広い領域で飲料容器を氷水に接触させることができる。
【0063】
(3)収容容器10が回転機構部20に組み付けられているとき、筐体部21の上面22に周面の一部が露出するローラー30~34によって、収容容器10の胴体部11が支持される。これにより、回転機構部20によって収容容器10を支持しながら、ローラー30~34の回転によって収容容器10を的確に回転させることができる。
【0064】
(4)収容容器10の胴体部11は、胴体部11の側面に突条14a,14bを備え、筐体部21は、上面22に、突条14a,14bを挿入可能な溝23a,23bを備える。こうした構成によれば、溝23a,23bに突条14a,14bが挿入されていることにより、収容容器10の回転にぶれが生じた場合でも、収容容器10が回転機構部20から外れることを抑えることができる。
【0065】
(5)回転機構部20が収容容器10に収容可能な大きさを有する。したがって、収容容器10に回転機構部20を収容して、飲料冷却装置100を保管することができる。そのため、飲料冷却装置100の保管時に、収容容器10と回転機構部20とが離れ離れになることが抑えられ、また、飲料冷却装置100の保管に要するスペースの削減も可能である。
【0066】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・断面が円形の筒状を有する胴体部11を備えていれば、収容容器10の構成は上記実施形態と異なってもよい。例えば、胴体部11は、突条14a、14bを備えていなくてもよい。この場合、筐体部21は、上面22に溝23a、23bを有していなくてもよい。また、収容容器10は、張出部16a,16bを備えていなくてもよい。
【0067】
・収容容器10を胴体部11の周方向に回転可能であれば、回転機構部20の構成は上記実施形態と異なってもよい。例えば、ローラーの数は5つでなくてもよいし、ローラーによる収容容器10の支持が可能であれば、上面22は平面であってもよい。また、表示部43は設けられていなくてもよいし、飲料冷却装置100の駆動の開始と停止とが、いずれも、操作部42に対する操作に基づき行われてもよい。すなわち、飲料冷却装置100の駆動時間を使用者が任意に決定できてもよい。また、回転機構部20は、収容容器10に収容可能でなくてもよいし、収容容器10と常に接続されていてもよい。
【0068】
・飲料容器50は、飲料缶に限らず、ペットボトル等であってもよい。飲料冷却装置100においては、飲料容器50の固定が不要であるため、吸盤体等の固定部材の形状に制約を受けることなく、様々な形状の飲料容器を収容することができる。
【符号の説明】
【0069】
10…収容容器
11…胴体部
12…底部
13…蓋部
14a,14b…突条
15…開口部
16a,16b…張出部
20…回転機構部
21…筐体部
22…上面
23a,23b…溝
30~34…ローラー
40…駆動部
41…制御部
42…操作部
43…表示部
50…飲料容器
51…氷
52…水
100…飲料冷却装置