(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054757
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】計算機式断層写真法システムにおけるコリメータ・スクリーニングのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
A61B6/03 320H
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142624
(22)【出願日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】17/493,005
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ・アーカ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ムーア・ブードリー
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン・アラン・スミス
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA36
4C093EA12
4C093EB28
4C093GA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムのプリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置を検証する方法を提供する。
【解決手段】方法はプリ・ペイシェント・コリメータを期待アパーチャ位置に配置した状態で、CTイメージング・システムのX線源から放出されるX線に照射される検出器素子を有するX線測定装置によって収集されるデータを得る動作と、得られたデータに基づいて、プリ・ペイシェント・コリメータについて実測コリメータ・アパーチャ位置を算出する動作とを含み、さらに実測コリメータ・アパーチャ位置を、CTイメージング・システムのための期待アパーチャ位置についてのシステム仕様に対して比較する動作と、システム仕様に対する実測コリメータ・アパーチャ位置の比較に基づいて、出力を生成する動作を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムのプリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置を検証する方法であって、
前記プリ・ペイシェント・コリメータを期待アパーチャ位置に配置した状態で、前記CTイメージング・システムのX線源から放出されるX線に照射される検出器素子を有するX線測定装置により収集されるデータを得る動作と、
前記得られたデータに基づいて、前記プリ・ペイシェント・コリメータについて実測コリメータ・アパーチャ位置を算出する動作と、
前記実測コリメータ・アパーチャ位置を、前記CTイメージング・システムのための前記期待アパーチャ位置についてのシステム仕様に対して比較する動作と、
前記システム仕様に対する前記実測コリメータ・アパーチャ位置の前記比較に基づいて、出力を生成する動作と
を備えた方法。
【請求項2】
前記X線測定装置は、前記CTイメージング・システムとは別個である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記X線測定装置は、前記CTイメージング・システムの検出器を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記データは、空気走査中に得られる空気走査データを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プリ・ペイシェント・コリメータを複数の期待アパーチャ位置に配置した状態で、前記CTイメージング・システムの前記X線源から放出されるX線に照射される検出器素子を有する前記X線測定装置により収集される前記データを得る動作と、
前記得られたデータに基づいて、前記複数の期待アパーチャ位置にある前記プリ・ペイシェント・コリメータについてそれぞれの実測コリメータ・アパーチャ位置を算出する動作と、
前記それぞれの実測コリメータ・アパーチャ位置を、前記CTイメージング・システムのための前記複数の期待アパーチャ位置の各々の期待アパーチャ位置毎に前記システム仕様に対して比較する動作と、
前記システム仕様に対する前記それぞれの実測コリメータ・アパーチャ位置の前記比較に基づいて、それぞれの出力を生成する動作と
を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記出力は、前記CTイメージング・システムのメモリ又は遠隔装置のメモリに前記比較の結果を記憶させることを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記出力を生成する動作は、前記比較の結果の利用者認知可能な通知を与えることを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
X線源及び放射線検出器を含む計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムのプリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置を検証する方法であって、
前記プリ・ペイシェント・コリメータを様々な期待アパーチャ位置に配置した状態で、前記X線源から前記放射線検出器へ向けてX線を放出させることにより、空気走査データを取得する動作と、
該得られた空気走査データに基づいて、前記様々な期待アパーチャ位置にある前記プリ・ペイシェント・コリメータについてのそれぞれの正規化済み強度分布プロファイルのそれぞれの幅を算出する動作と、
伝達関数を用いて前記それぞれの幅をそれぞれの線量へ変換する動作と、
該それぞれの線量に基づいて、前記様々な期待アパーチャ位置でのそれぞれの線量誤差推定を決定する動作と、
前記様々な期待アパーチャ位置について前記それぞれの線量誤差推定をそれぞれの許容線量閾値に対して比較する動作と、
前記それぞれの許容線量閾値に対する前記それぞれの線量誤差推定の前記比較に基づいて、出力を生成する動作と
を備えた方法。
【請求項9】
前記それぞれの幅を算出する動作は、前記様々な期待アパーチャ位置でのそれぞれの正規化済み強度分布プロファイルを算出するように前記得られた空気走査データを処理することを含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記得られた空気走査データを処理する動作は、前記それぞれの正規化済み強度分布プロファイルを算出するのに先立って、前記得られた空気走査データを正規化して、不良ピクセル・データを除去することを含んでいる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記それぞれの幅を算出する動作は、前記それぞれの幅を算出するのに先立って前記それぞれの正規化済み強度分布プロファイルをフィッティング関数にフィッティングすることを含んでいる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記それぞれの線量誤差推定を決定する動作は、前記様々な期待アパーチャ位置での前記それぞれの線量を前記様々な期待アパーチャ位置でのそれぞれの期待線量に対して比較することを含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記出力を生成する動作は、前記比較の結果を前記CTイメージング・システムのメモリに記憶させることを含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記出力を生成する動作は、前記それぞれの線量誤差推定の一つがそれぞれの期待アパーチャ位置についての許容線量閾値の範囲外になったときに利用者認知可能な通知を与えることを含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
独立型のツールとして又は毎日の較正工程時に用いられる請求項8に記載の方法。
【請求項16】
計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムであって、
動作中にX線を放出するように構成されたX線源と、
前記X線を受光するように構成された放射線検出器と、
前記X線源と前記放射線検出器との間に配設されて、アパーチャを介して前記X線のビームを成形するように構成されたプリ・ペイシェント・コリメータと、
処理回路と
を備えており、前記処理回路は、
前記プリ・ペイシェント・コリメータを様々な期待アパーチャ位置に配置した状態で、前記X線源から前記放射線検出器へ向けてX線を放出させることにより、空気走査データを取得する動作と、
該得られた空気走査データに基づいて、前記様々な期待アパーチャ位置にある前記プリ・ペイシェント・コリメータについてのそれぞれの正規化済み強度分布プロファイルのそれぞれの幅を算出する動作と、
伝達関数を用いて前記それぞれの幅をそれぞれの線量へ変換する動作と、
該それぞれの線量に基づいて、前記様々な期待アパーチャ位置でのそれぞれの線量誤差推定を決定する動作と、
前記様々な期待アパーチャ位置について前記それぞれの線量誤差推定をそれぞれの許容線量閾値に対して比較する動作と、
前記それぞれの許容線量閾値に対する前記それぞれの線量誤差推定の前記比較に基づいて、出力を生成する動作と
を実行するように構成されている、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム。
【請求項17】
前記それぞれの幅を算出する動作は、前記様々な期待アパーチャ位置でのそれぞれの正規化済み強度分布プロファイルを算出するように前記得られた空気走査データを処理することを含んでいる、請求項16に記載のCTイメージング・システム。
【請求項18】
前記得られた空気走査データを処理する動作は、前記それぞれの正規化済み強度分布プロファイルを算出するのに先立って、前記得られた空気走査データを正規化して、不良ピクセル・データを除去することを含んでいる、請求項17に記載のCTイメージング・システム。
【請求項19】
前記それぞれの線量誤差推定を決定する動作は、前記様々な期待アパーチャ位置での前記それぞれの線量を前記様々な期待アパーチャ位置でのそれぞれの期待線量に対して比較することを含んでいる、請求項16に記載のCTイメージング・システム。
【請求項20】
前記出力を生成する動作は、前記それぞれの線量誤差推定の一つがそれぞれの期待アパーチャ位置についての許容線量閾値の範囲外になったときに利用者認知可能な通知を与えることを含んでいる、請求項16に記載のCTイメージング・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題は、医用イメージング・システムに関し、さらに具体的には、コリメータ・スクリーニングに関する。
【背景技術】
【0002】
計算機式断層写真法(CT)では、X線が、患者のような着目する被検体に広がり、X線の部分が検出器に入射して、ここで画像データが収集される。ディジタルX線システムでは、光検出器が、検出器表面の離散的なピクセル領域に入射した放射線の量又は強度を表わす信号を発生する。次いで、これらの信号を処理して画像を形成することができ、この画像を検討のために表示することができる。かかるシステムによって形成された画像では、患者の体内の内部構造及び器官を識別して検査することが可能になり得る。CTシステムでは、ガントリが患者を中心として変位するにつれて、一連の検出器素子又はセンサを含む検出器アレイが様々な位置を通じて同様の信号を発生し、容積測定再構成を得ることを可能にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
CTイメージング・システムは、着目する被検体が、意図された線量を受けることを保証するために、プリ・ペイシェント(患者入射前)コリメータを含み得る。プリ・ペイシェント・コリメータのコリメータ・ブレードがX線源の前方で調節されて、操作者によって設定された通りの走査用のX線を透過させるように適当な開口又はアパーチャを形成する。コリメータ・ブレードが、意図されたアパーチャになるように正しく且つ高精度で開くことが重要である。というのは、僅かな配置不正であっても、着目する被検体に対する実質的な線量不整合を招き得るからである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本来請求される主題の範囲に沿った幾つかの実施形態を以下にまとめる。これらの実施形態は請求される主題の範囲を限定するためのものではなく、主題の可能な形態の簡単な概要を掲げるためのみのものである。実際に、主題は多様な形態を包含することができ、これらの形態は、以下に述べる実施形態と同様である場合も異なる場合もある。
【0005】
一実施形態では、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムのプリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置を検証する方法が提供される。この方法は、プリ・ペイシェント・コリメータを期待(される)アパーチャ位置に配置した状態で、CTイメージング・システムのX線源から放出されるX線に照射される検出器素子を有するX線測定装置によって収集されるデータを得る動作を含んでいる。方法はまた、得られたデータに基づいて、プリ・ペイシェント・コリメータについて実測コリメータ・アパーチャ位置を算出する動作を含んでいる。方法はさらに、実測コリメータ・アパーチャ位置を、CTイメージング・システムのための期待アパーチャ位置についてのシステム仕様に対して比較する動作を含んでいる。方法はさらにまた、システム仕様に対する実測コリメータ・アパーチャ位置の比較に基づいて、出力を生成する動作を含んでいる。
【0006】
もう一つの実施形態では、X線源及び放射線検出器を含むCTイメージング・システムのプリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置を検証する方法が提供される。この方法は、プリ・ペイシェント・コリメータを様々な期待アパーチャ位置に配置した状態で、X線源から放射線検出器へ向けてX線を放出させることにより、空気走査データを取得する動作を含んでいる。方法はまた、得られた空気走査データに基づいて、様々な期待アパーチャ位置にあるプリ・ペイシェント・コリメータについてのそれぞれの正規化済み強度分布プロファイルのそれぞれの幅を算出する動作を含んでいる。方法はさらに、伝達関数を用いてそれぞれの幅をそれぞれの線量へ変換する動作を含んでいる。方法は、それぞれの線量に基づいて、様々な期待アパーチャ位置でのそれぞれの線量誤差推定を決定する動作を含んでいる。方法はさらにまた、様々な期待アパーチャ位置についてそれぞれの線量誤差推定をそれぞれの許容線量閾値に対して比較する動作を含んでいる。方法はさらに、それぞれの許容線量閾値に対するそれぞれの線量誤差推定の比較に基づいて、出力を生成する動作を含んでいる。
【0007】
さらにもう一つの実施形態では、CTイメージング・システムが提供される。このシステムは、動作中にX線を放出するように構成されたX線源を含んでいる。システムはまた、X線を受光するように構成された放射線検出器を含んでいる。システムはさらに、X線源と放射線検出器との間に配設されて、アパーチャを介してX線のビームを成形するように構成されたプリ・ペイシェント・コリメータを含んでいる。システムはさらにまた、動作を実行するように構成された処理回路を含んでいる。これらの動作は、プリ・ペイシェント・コリメータを様々な期待アパーチャ位置に配置した状態で、X線源から放射線検出器へ向けてX線を放出させることにより、空気走査データを取得する動作を含んでいる。動作はまた、得られた空気走査データに基づいて、様々な期待アパーチャ位置にあるプリ・ペイシェント・コリメータについてのそれぞれの正規化済み強度分布プロファイルのそれぞれの幅を算出する動作を含んでいる。動作はさらに、伝達関数を用いてそれぞれの幅をそれぞれの線量へ変換する動作を含んでいる。動作は、それぞれの線量に基づいて、様々な期待アパーチャ位置でのそれぞれの線量誤差推定を決定する動作を含んでいる。動作はさらにまた、様々な期待アパーチャ位置についてそれぞれの線量誤差推定をそれぞれの許容線量閾値に対して比較する動作を含んでいる。動作はさらに、それぞれの許容線量閾値に対するそれぞれの線量誤差推定の比較に基づいて、出力を生成する動作を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
開示される主題のこれら及び他の特徴、観点、及び長所は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めばさらに十分に理解されよう。全図面を通して、類似の文字は類似の部分を表わす。
【0009】
【
図1】本書で議論されるような計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムの見取り図及びブロック図を組み合わせた図である。
【
図2】本開示の各観点によるX線源及び多列X線検出器の概略図(例えばXY平面で見た)である。
【
図3】本開示の各観点によるX線源及び多列X線検出器の概略図(例えばYZ平面で見た)である。
【
図4】本開示の各観点によるコリメータのコリメータ・ブレードの概略図であって、両ブレードとも正しく配置された図(左側)及びコリメータ・ブレードの一方が不正に配置された図(右側)である。
【
図5】本開示の各観点によるコリメータ・ブレードの配置が患者の走査部位に如何なる影響を及ぼすかについての概略図である。
【
図6】本開示の各観点によるプリ・ペイシェント・コリメータ(例えば
図1のCTイメージング・システムのもの)のアパーチャ位置を検証する方法の流れ図である。
【
図7】本開示の各観点によるプリ・ペイシェント・コリメータ(例えば
図1のCTイメージング・システムのもの)のアパーチャ位置を検証する方法のブロック図である。
【
図8A】本開示の各観点によるプリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置の検証の一つの段階でのデータのグラフ図である。
【
図8B】本開示の各観点によるプリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置の検証の異なる段階でのデータのグラフ図である。
【
図8C】本開示の各観点によるプリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置の検証のもう一つの異なる段階でのデータのグラフ図である。
【
図8D】本開示の各観点によるプリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置の検証のさらにもう一つの異なる段階でのデータのグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、1又は複数の特定の実施形態について記載する。これらの実施形態の簡潔な記載を掲げる試みにおいて、実際の具現化形態の全ての特徴が明細書に記載されている訳ではない。このようなあらゆる実際の具現化形態の開発時には、どの工学的プロジェクト又は設計プロジェクトとも同じく、開発者特有の目標を達成するために、具現化形態毎に異なり得るシステム関連の制約事項及び業務関連の制約事項の遵守等のように、具現化形態特有の多くの決定を下さねばならないことを認められたい。また、かかる開発努力は複雑で時間が掛かるかもしれないが、それでも本開示の利益を得る当業者にとっては設計、製造、及び製品化の定型業務であることを認められたい。
【0011】
本主題の様々な実施形態の要素について述べるに当たり、単数不定冠詞、定冠詞、「該」及び「前記」等の用語は、当該要素の1又は複数が存在することを意味するものとする。また「備えている(comprising)」「含んでいる(including)」及び「有している(having)」の各用語は包括的であるものとし、所載の要素以外に付加的な要素が存在し得ることを意味する。さらに、以下の議論でのあらゆる数値例は非限定的であるものとし、従って、付加的な数値、範囲、及び百分率が、開示される実施形態の範囲内にある。
【0012】
以下の議論の観点は医用撮像の状況で掲げられる場合があるが、本手法はかかる医療的状況に限定されないことを認められたい。実際に、かかる医療的状況での実例及び説明の記載は、実世界での具現化形態及び応用の例を挙げることにより議論を容易にするためだけのものである。しかしながら、本アプローチはまた、製造部品若しくは製造物品の非破壊検査(すなわち品質管理応用又は品質審査応用)、並びに/又は小荷物、箱、及び手荷物等の非侵襲検査(すなわちセキュリティ応用又はスクリーニング応用)に用いられる産業用計算機式断層写真法(CT)のような他の状況でも用いられ得る。一般的には、本アプローチは、コリメータを用いてX線ビームの寸法を制御するあらゆる撮像状況若しくはスクリーニング状況、又は画像処理分野において有用であり得る。
【0013】
本開示は、CTイメージング・システムにおいてコリメータ・スクリーニングを行なうシステム及び方法を提供する。具体的には、これらのシステム及び方法は、プリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置の検証を可能にする。開示される実施形態は、プリ・ペイシェント・コリメータの様々なアパーチャ位置において、空気走査を介してデータ(例えば空気走査データ又は較正)を得ることを含んでいる。データは、CTイメージング・システムの検出器、又はCTイメージング・システムとは別個の若しくは独立の他のX線測定装置によって得ることができる。得られたデータから、様々な期待される(例えば意図された又は予め決められた)アパーチャの位置又は設定について実測コリメータ・アパーチャ位置を決定することができる。実測アパーチャ位置は、CTイメージング・システムのシステム仕様に対して比較されて、実測(すなわち実際の)アパーチャ位置が期待アパーチャ位置から少しでも逸脱しているか否かを決定することができる。幾つかの実施形態では、得られたデータから正規化済み強度分布プロファイルを算出することができる。正規化済み分布プロファイルの幅(アパーチャ位置の計測となる)を線量へ変換することができ、この線量を期待アパーチャ位置についての期待(される)線量に対して比較して、線量誤差推定を決定することができる。次いで、線量誤差推定を期待アパーチャ位置についての許容線量閾値に対して比較することができる。アパーチャ位置のこの解析を利用者に報告してもよいし、且つ/又は記憶させてもよい。
【0014】
開示される実施形態は、コリメータ・ブレードが正しく配置されていることを保証するための安全検査を提供する。加えて、開示される実施形態は、独立型のツールとして用いられてもよいし、コリメータ・ブレードの働きの検証を定型的に可能にするように毎日の更新較正工程と統合されていてもよい。幾つかの実施形態では、コリメータの予防保守のためにパラメータ(すなわちアパーチャ位置の解析)を遠隔監視することができる(接続型CTイメージング・システムの場合)。開示される実施形態は、CTイメージング・システムにおいて用いられる重要なハードウェア構成要素(すなわちプリ・ペイシェント・コリメータ)の働きを実証して、プリ・ペイシェント・コリメータが誤動作する(例えば期待されるアパーチャ開口よりも大きいアパーチャ開口を有する)場合に患者に過剰な放射線量を与えることを回避するために、計算及び解析のためのシステム・ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた全体論的アプローチを提供する。
【0015】
以上を念頭に置いて
図1を参照すると、CTイメージング・システム10が例として示されている。CTイメージング・システムはガントリ12を含んでいる。ガントリ12はX線源14を有し、X線源14は、ガントリ12の対向側に設けられた検出器アセンブリ15へ向けてX線のビーム16を投射する。X線源14はX線のビーム16を、当該X線のビーム16の寸法を決定するプリ・ペイシェント・コリメータ又はコリメータ・アセンブリ13を通して投射する。検出器アセンブリ15は、コリメータ・アセンブリ18(ポスト・ペイシェント[患者通過後]コリメータ・アセンブリ)、複数の検出器モジュール20(例えば検出器素子又はセンサ)、及びデータ取得システム(DAS)32を含んでいる。複数の検出器モジュール20は患者22を通過した投射されたX線を検出し、DAS32は、後の処理のためにこれらのデータをディジタル信号へ変換する。従来のシステムにおける各々の検出器モジュール20は、入射X線ビームの強度を表わし従って患者22を通過して減弱したX線ビームの強度を表わすアナログ電気信号を発生する。X線投影データを取得する走査中に、被撮像容積に対する多数の視角(ビュー角度)からの減弱データを収集するように、ガントリ12及び該ガントリ12に装着された構成要素は回転中心25(例えばアイソセンタ)の周りを回転する。
【0016】
ガントリ12の回転及びX線源14の動作はCTシステム10の制御機構26によって制御される。制御機構26は、電力及びタイミング信号をX線源14へ与えるX線制御器28、プリ・ペイシェント・コリメータ13のアパーチャの幅(従ってX線のビーム16の寸法)を制御するコリメータ制御器29、並びにガントリ12の回転速度及び位置を制御するガントリ・モータ制御器30を含んでいる。画像再構成器34が、標本化されてディジタル化されたX線データをDAS32から受け取って、高速再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ36への入力として印加されて、コンピュータ36は画像を大容量記憶装置38に記憶させる。コンピュータ36はまた、操作者からコンソール40を介して命令及び走査パラメータを受け取る。付設された表示器42が、再構成画像、及びコンピュータ36からの他のデータを操作者が観察することを可能にする。操作者が与えた命令及びパラメータはコンピュータ36によって用いられて、DAS32、X線制御器28、コリメータ制御器29、及びガントリ・モータ制御器30へ制御信号及び情報を与える。加えて、コンピュータ36はテーブル・モータ制御器44を動作させ、制御器44は電動式テーブル46を制御して患者22及びガントリ12を位置決めする。具体的には、テーブル46は患者22の各部分を、ガントリ開口又はボア(中孔)48を通して移動させる。
【0017】
全体的なイメージング・システム10の以上の議論を念頭に置いて、
図2及び
図3へ移ると、X線源14及び検出器アセンブリ15(例えば複数の横列50を有するX線検出器)の一例が、XY平面(
図2)及びYZ平面(
図3)においてそれぞれ示されている。説明を簡単にするために、回転式ガントリ12はX線源14と共に、
図1に示されている位置からガントリの頂点まで回転させられる(+Y方向)。図示のように、プリ・ペイシェント・コリメータ13は、X線源14と検出器アセンブリ15との間に配設されて、X線ビーム52の形状を決定する。具体的には、プリ・ペイシェント・コリメータ13の一対のコリメータ・ブレード56の間の開口又はアパーチャ54(
図3に示すようなもの)が、X線ビーム52を成形する。患者走査のために意図されるX線ビーム52の寸法に対応する視野24及びビーム幅58も図示されている。コリメータ・ブレード56の正しい配置は、患者が正しい放射線量を受けて、正しい部位が走査されることを保証するのに重要である。ブレード56の形状が、
図2及び
図3において異なる配向で図示されている。例として述べると、ブレード56はXY平面においては全体的に曲線をなしており、YZ平面の円形の前縁がビーム寸法を決定する。XY平面における他の多くの可能なブレード形状が、平坦及び角度付きを含めて存在しており、YZ平面での前縁の形状も、例えば矩形又は三角形であってもよい。
【0018】
図4は、プリ・ペイシェント・コリメータ13のコリメータ・ブレード56の概略図であって、両ブレード56(例えばブレードA及びB)とも正しく配置されたコリメータ(左側)、及びコリメータ・ブレード56の一方(ブレードB)が不正に配置されたコリメータ(右側)の図である。
図5に示すように、コリメータ・ブレード56の正しい配置(
図4の左図に見られるようなもの)によって、患者22の正しく且つ望まれる部位60(実線で示す)が走査される。
図4の右図に示すように、ブレードBは、望まれる又は正しい位置62に対して不正に配置されている。
図4の右図に示すようなブレードBの不正の配置によって、患者22の不正で且つ望まれない部位64(破線で示す)が走査される(
図5に示す)。本書の開示によれば、患者22が適正な線量を受けて正しい部位が走査されることを保証するために、プリ・ペイシェント・コリメータのコリメータ・ブレード56の配置を検査する又は検証するシステム及び方法が提供される。
【0019】
図6は、プリ・ペイシェント・コリメータ(例えば
図1のCTイメージング・システムのもの)のアパーチャ位置を検証する方法66の流れ図である。方法66の1又は複数のステップが、
図1のCTイメージング・システムの1又は複数の構成要素(例えば処理回路)によって実行されてもよいし、CTイメージング・システムとは別個の又は遠隔の装置によって実行されてもよい。方法66は、プリ・ペイシェント・コリメータの様々な期待される(例えば意図された又は予め決められた)アパーチャ位置又は設定(例えば5ミリメートル[mm]、10mm等)においてCTイメージング・システムについての較正走査又は空気走査(例えばガントリのボア内に物体が存在しない状態での走査)を開始するステップを含んでいる(ブロック68)。
【0020】
方法66はまた、検出器素子を有するX線測定装置を用いてデータ(例えば較正走査データ又は空気走査データ)を収集する又は得るステップを含んでいる(ブロック70)。幾つかの実施形態では、X線測定装置はCTイメージング・システムの検出器アセンブリである。他の実施形態では、X線測定装置はCTイメージング・システムとは別個の又は独立の装置であってよい。別個のX線測定装置のいくつかの例としては、X線感光性フィルムのようなアナログ型の方法、又はX線シンチレータに結合されたCCDカメラのようなディジタル型の方法がある。別個のX線装置は、空間分解能の計測(例えば半値幅)を決定し得るものであってもよい。
【0021】
方法66はさらに、様々な期待アパーチャ位置の各々での得られたデータに基づいて、実測コリメータ・アパーチャ位置を算出又は計算するステップを含んでいる(ブロック72)。幾つかの実施形態(例えばデータがCTイメージング・システムの検出器アセンブリを介して得られるとき)では、得られたデータを処理(例えば正規化及び不良ピクセル・データの除去等)して、様々な期待アパーチャ位置でのそれぞれの正規化済み強度分布プロファイルを決定することができ、このプロファイルから、実測コリメータ・アパーチャ位置(例えばそれぞれの正規化済み強度分布プロファイルの幅)を得ることができる。これらの計算(及び後の計算)は、CTイメージング・システムのソフトウェアの内部で生じ得る。幾つかの実施形態(例えばデータが別個の又は外部のX線測定装置を介して得られるとき)では、計算が、CTイメージング・システムとは別個の装置のソフトウェアにおいて生じてもよい(例えば有限要素法計算シート又は数値的方法のコンピュータ・プログラミングを用いて)。
【0022】
方法66はさらにまた、期待アパーチャ位置の各々についてのそれぞれの実測アパーチャ位置を、各々の期待アパーチャ位置毎にCTイメージング・システムのシステム仕様に対して比較するステップを含んでいる(ブロック74)。システム仕様は、各々の期待アパーチャ位置についてのそれぞれの許容線量閾値であってもよいし、期待アパーチャ位置についての期待される幅であってもよい。幾つかの実施形態では、比較はCTイメージング・システムにおいて行なわれ得る。幾つかの実施形態では、比較はCTイメージング・システムとは別個に又は遠隔で行なわれ得る。
【0023】
方法66はさらにまた、期待アパーチャ位置の各々についてのシステム仕様に対するそれぞれの実測コリメータ位置の比較に基づいて、出力を生成するステップを含んでいる(ブロック76)。幾つかの実施形態では、出力を生成するステップは、報告を生成することを含んでおり、この報告は利用者/操作者に与えられてもよいし、CTイメージング・システムの内部に記憶されてもよい。幾つかの実施形態では、出力を生成するステップは、利用者認知可能な通知を発生する(例えばCTイメージング・システムの装置又はCTイメージング・システムから遠隔に位置する装置[例えばコンピュータ及びスマートホン等]のグラフィック・ユーザ・インタフェイスの画面に)ことを含んでいる。幾つかの実施形態では、通知は、プリ・ペイシェント・コリメータが交換を必要としている又は近々に交換を必要とするとの警告を含み得る。幾つかの実施形態では、コリメータの予防保守のためにパラメータ(すなわちアパーチャ位置の解析)を遠隔監視することができる(接続型CTイメージング・システムの場合)。
【0024】
図7は、プリ・ペイシェント・コリメータ(例えば
図1のCTイメージング・システムのもの)のアパーチャ位置を検証する方法78のブロック図である。方法78の1又は複数のステップが、
図1のCTイメージング・システムの1又は複数の構成要素(例えば処理回路)によって実行され得る。方法70は、プリ・ペイシェント・コリメータの様々な期待される(例えば意図された又は予め決められた)アパーチャ位置又は設定(例えば5ミリメートル[mm]、10mm等)においてCTイメージング・システムについての空気走査(例えばガントリのボア内に物体が存在しない状態での走査)を、独立型の工程として又は更新較正走査工程と統合して、開始するステップを含んでいる(ブロック80)。図示のように、走査82(例えば走査1)を最小のアパーチャ幅(W
1)に関連付けて、最大のアパーチャ幅(W
n)での走査84まで、所定の数の走査が行なわれ得る。
【0025】
方法78はまた、様々な期待アパーチャ位置での得られた走査データを処理するステップを含んでいる(ブロック86)。処理は、得られた走査データを正規化すること、不良ピクセル・データを除去すること、及びチャネル平均を得ることを含んでいる。例えば、ブロック90によって示すように、最小のアパーチャ幅(W1)が関連付けられる走査から得られる走査データの平均88を、最大のアパーチャ幅(Wn)が関連付けられる平均走査データに関して正規化することができる。またブロック92によって示すように、最小のアパーチャ幅(W1)が関連付けられる正規化済み走査データをあらゆる不良ピクセルについて検査することができ、不良ピクセル・データを除去することができる。不良ピクセル・データを除去したら、ブロック94によって示すように、最小のアパーチャ幅(W1)に関連付けられる正規化済み走査データについてチャネル平均を得ることができる。
【0026】
様々な期待アパーチャ位置(最大のアパーチャ幅(Wn)に関連付けられる走査データを除きWn-1まで)での得られた走査データの全てについて同様の処理が生ずる。例えば、ブロック98によって示すように、アパーチャ幅Wn-1に関連付けられる走査から得られる走査データの平均96を、最大のアパーチャ幅(Wn)に関連付けられる平均走査データに関して正規化することができる。またブロック100によって示すように、アパーチャ幅Wn-1に関連付けられる正規化済み走査データをあらゆる不良ピクセルについて検査することができ、不良ピクセル・データを除去することができる。不良ピクセル・データを除去したら、ブロック102によって示すように、アパーチャ幅Wn-1に関連付けられる正規化済み走査データについてチャネル平均を得ることができる。
【0027】
方法78は、正規化済みの得られた走査データのさらなる処理を含んでいる(ブロック104)。さらなる処理は、各々の期待アパーチャ位置に関連付けられる正規化済み走査データについて正規化済み強度分布プロファイルを算出するステップを含み得る。例えば、正規化済み強度分布プロファイルを算出するステップは、ブロック106に示すように、最小のアパーチャ幅(W1)に関連付けられるチャネル平均された(ブロック94において)正規化済み走査データについて生じ得る。同様に、正規化済み強度分布プロファイルを算出するステップは、ブロック108に示すように、アパーチャ幅Wn-1に関連付けられるチャネル平均された(ブロック102において)正規化済み走査データについて生じ得る。同様の工程が、W1とWn-1との間のアパーチャ幅の全てに関連付けられる正規化済み走査データの全てについて生じ得る。正規化済み強度分布プロファイルの幅は、コリメータのアパーチャ又は開口の実際の測定値(すなわち実測アパーチャ位置)と等価である。
【0028】
さらなる処理はまた、正規化済み強度分布プロファイルのデータをフィッティングし(例えばガウス関数のようなフィッティング関数に対して)、次いで、各々の期待アパーチャ位置毎に、開いたアパーチャを横断する実測の正規化済み強度分布の幅を測定することを含んでいる。例えば、ブロック110によって示すように、最小のアパーチャ幅(W1)に関連付けられる正規化済み強度分布プロファイルをフィッティングして、幅を測定することができる。同様に、ブロック112によって示すように、アパーチャ幅Wn-1に関連付けられる正規化済み強度分布プロファイルをフィッティングして、幅を測定することができる。同様の工程が、W1とWn-1との間のアパーチャ幅の全てに関連付けられる正規化済み走査データの全てについて生じ得る。
【0029】
方法78はさらに、各々の期待アパーチャ位置についての実測の正規化済み強度分布のそれぞれの幅を、伝達関数を用いてそれぞれの線量へ変換するステップを含んでいる(ブロック114)。伝達関数は、幅又は実測強度値を線量へ変換する線形変換関数であってよい。
【0030】
方法78はさらにまた、各々の期待アパーチャ位置毎に線量誤差推定を決定するステップを含んでいる(ブロック116)。線量誤差推定を決定するステップは、正規化済み強度分布の幅から導かれる線量を、各々の期待アパーチャ位置に関連付けられるそれぞれの期待線量に対して比較することを含み得る。
【0031】
方法78はさらにまた、様々な期待アパーチャ位置について各々のそれぞれの線量誤差推定をそれぞれの許容線量閾値(例えば許容線量範囲)に対して比較するステップを含んでいる(ブロック118)。比較は、それぞれの線量誤差推定が、各々の期待アパーチャ位置についてのそれぞれの許容線量閾値の範囲内にあるか範囲外にあるか(すなわち合格か不合格か)の決定を下すことを可能にする。
【0032】
方法78はさらに、比較に基づいて出力を生成するステップを含んでいる。例えば、方法78は、比較の結果をCTイメージング・システムの内部のメモリ又は遠隔位置にあるメモリに記録又は記憶することを含んでいる(ブロック120)。上で触れたように、接続型CTイメージング・システムでは、記録された情報は、コリメータの予防保守のための監視目的で遠隔位置に与えられ得る。この結果又は解析は、結果(すなわち合否)を問わず記録又は記憶され得る。方法78はまた、利用者認知可能な通知を利用者/操作者に与えることを含んでいる(ブロック122)。例えば、線量誤差推定の1又は複数がそれぞれの許容線量閾値の範囲外になった場合には、プリ・ペイシェント・コリメータが交換を必要としている又は近々に交換を必要とするとの通知を与えることができる。利用者認知可能な通知は、CTイメージング・システムの装置又はCTイメージング・システムから遠隔に位置する装置(例えばコンピュータ及びスマートホン等)のグラフィック・ユーザ・インタフェイスの画面に与えられ得る。
【0033】
図8(A)から
図8(D)は、プリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置の検証の様々な段階でのデータのグラフ図である。具体的には、これらのグラフ図は、
図7の方法78に記載されているデータ処理の様々な段階での得られたデータを示している。
図8(A)は、ビュー平均走査データ(例えば
図7のブロック88に示すようなW
1での走査1のもの)のグラフ
図124を示す。
図8(B)は、ビュー平均データ(例えば
図7のブロック96に示すようなW
nでの走査nのもの)のグラフ
図126を示す。
図8(C)は、正規化済み走査データ(例えばブロック98に示すようなW
1での正規化済み走査1)のグラフ
図128を示す。
図8(C)の正規化済み走査は、W
1での走査1についてのビュー平均データをW
nでの走査nについてのビュー平均データに関して正規化することにより導かれる(例えば
図7のブロック90に示す)。
図8(D)は、正規化済みデータの強度分布プロファイル(例えば
図7のブロック106に示すような)のグラフ
図130を示す。
図8(D)の強度分布プロファイルは、フィッティング済み(例えばガウス関数のようなフィッティング関数に対して)のデータであってよく、プロファイルの幅が得られて、ここから線量を導くことができる(例えば伝達関数を介して)。
【0034】
開示される主題の技術的効果としては、CTイメージング・システムにおいてコリメータ・スクリーニングを行なうシステム及び方法を提供することが挙げられる。具体的には、これらのシステム及び方法は、プリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置の検証を可能にする。開示される実施形態は、コリメータ・ブレードが正しく配置されていることを保証するための安全検査を提供する(例えばコリメータの形式又は設計を問わず)。加えて、開示される実施形態は、独立型のツールとして用いられてもよいし、コリメータ・ブレードの働きの検証を定型的に可能にするように毎日の更新較正工程と統合されていてもよい。幾つかの実施形態では、コリメータの予防保守のためにパラメータ(すなわちアパーチャ位置の解析)を遠隔監視することができる(接続型CTイメージング・システムの場合)。コリメータ・ブレード位置の定型的監視は、予防保守を要求時に実行することを可能にして、CTイメージング・システムの停止時間の短縮を可能にする。開示される実施形態は、CTイメージング・システムにおいて用いられる重要なハードウェア構成要素(すなわちプリ・ペイシェント・コリメータ)の働きを実証して、プリ・ペイシェント・コリメータが誤動作する(例えば期待されるアパーチャ開口よりも大きいアパーチャ開口を有する)場合に患者に過剰な放射線量を与えることを回避するために、計算及び解析のためのシステム・ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた全体論的アプローチを提供する。
【0035】
本書に提示され請求される手法は、本技術分野を実証的に改善する実用性のある物質及び具体例を参照して、かかる物質及び具体例に適用されており、このようなものとして、抽象的ではなく、無形でもなく、単なる理論でもない。さらに、本明細書の末尾に添えられたあらゆる請求項は、「然々の[作用を果たす]ための手段」又は「然々の[作用を果たす]ためのステップ」と指定された1又は複数の要素を含む場合には、かかる要素は合衆国法典第35巻第112条(f)の下で解釈されるものとする。但し、他の任意の態様で指定された要素を含むあらゆる請求項について、かかる要素は合衆国法典第35巻第112条(f)の下で解釈されるべきでないものとする。
【0036】
この書面の記載は、最適な態様を含めて本主題を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本主題を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な主題の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0037】
10 CTイメージング・システム
12 ガントリ
13 (プリ・ペイシェント)コリメータ・アセンブリ
14 X線源
15 検出器アセンブリ
16 X線のビーム
18 ポスト・ペイシェント・コリメータ・アセンブリ
20 検出器モジュール
22 患者
24 視野
25 回転中心
26 制御機構
32 データ取得システム(DAS)
42 表示器
46 テーブル
48 中孔(ボア)
50 横列
52 X線ビーム
54 アパーチャ
56 コリメータ・ブレード
58 ビーム幅
60 患者22の正しく且つ望まれる部位
62 コリメータ・ブレードBの望まれる又は正しい位置
64 患者22の不正で且つ望まれない部位
66 プリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置を検証する方法
78 プリ・ペイシェント・コリメータのアパーチャ位置を検証する方法
80 空気走査を開始するステップ
86 得られた走査データを処理するステップ
104 正規化済み走査データのさらなる処理
124 ビュー平均走査データのグラフ図(W1での走査1)
126 ビュー平均走査データのグラフ図(Wnでの走査n)
128 正規化済み走査データのグラフ図(W1での正規化済み走査1)
130 正規化済みデータの強度分布プロファイルのグラフ図
【外国語明細書】