(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005494
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ロック機構
(51)【国際特許分類】
E05B 9/08 20060101AFI20230111BHJP
E06B 7/16 20060101ALI20230111BHJP
E05C 3/06 20060101ALI20230111BHJP
E05B 3/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
E05B9/08 G
E06B7/16 Z
E05C3/06
E05B3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107460
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】不破 幸治
(72)【発明者】
【氏名】安達 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】久次米 稔之
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA02
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA21
2E036EB08
2E036EC01
2E036HA01
2E036HB18
(57)【要約】
【課題】建具の枠体の室内外の気密性を確保できるロック機構を提供すること。
【解決手段】建具のロック機構であって、本体部と、ハンドルレバーと、気密構造と、を有し、本体部は、建具の障子の一部と係合するアームを備え、気密構造は、建具の枠体に形成されるロック機構が配置される空間の室外側の開口を閉塞する、ロック機構。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具のロック機構であって、
本体部と、ハンドルレバーと、気密構造と、を有し、
前記本体部は、前記建具の障子の一部と係合するアームを備え、
前記気密構造は、前記建具の枠体に形成される前記ロック機構が配置される空間の室外側の開口を閉塞する、ロック機構。
【請求項2】
前記気密構造は、前記本体部を被覆する気密ケースである、請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記ハンドルレバーは、ハンドル台座を介して前記気密ケースに対して固定され、
前記ハンドル台座の端部と、前記気密ケースとは、面同士が当接して固定される、請求項2に記載のロック機構。
【請求項4】
前記気密ケースにおける前記ハンドル台座の端部と当接する箇所は、前記ハンドルレバーのハンドル軸が挿通される軸孔の周囲に形成される段差部を含み、
前記ハンドル台座は、前記ハンドル軸が挿通される筒部の先端で前記段差部と当接し、
前記段差部は、前記筒部の外径よりも大きい、請求項3に記載のロック機構。
【請求項5】
前記本体部と、前記気密構造と、前記ハンドルレバーとは、裏板を介して前記建具の枠体に固定される、請求項1~4のいずれかに記載のロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦辷り出し窓や横辷り出し窓等の建具として、枠体と、枠体内に開閉可能に収められる障子と、障子を開閉する操作ハンドルと、障子を施錠(ロック)するロック機構を備えるものが知られている。
【0003】
例えば、補助錠の浮き上がりを抑制することができるとともに、ハンドル部材の取り外しが容易な建具として、補助錠は、枠体及び框体のいずれか一方に設けられた取付穴内に設けられた取付穴内に配置される基部と、ロック部と、ロック部を操作可能なハンドルを有する構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術は、ロック機構のロック部やハンドルを枠体及び框体のいずれか一方に設けられた取付穴内に配置する際に、室内側のハンドル取付開口に、部品を隙間なく取り付けることにより、室内外の気密を確保している。或いは、室内外の気密を確保するため、気密シーラーを貼り付けることも考えられる。しかし、上記の方法では、例えば、縦枠フレーム内に外気が侵入するような経路があると、ロック機構をハンドルにより操作する際に室内外の気密確保が十分ではなく、ロック機構をハンドルにより操作する際に使用者が不快な冷気を感じるという課題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、建具の枠体の室内外の気密性を確保できるロック機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、建具のロック機構であって、本体部と、ハンドルレバーと、気密構造と、を有し、前記本体部は、前記建具の障子の一部と係合するアームを備え、前記気密構造は、前記建具の枠体に形成される前記ロック機構が配置される空間の室外側の開口を閉塞する、ロック機構に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係る辷り出し窓を示す斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る辷り出し窓を示す斜視図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るロック機構を示す斜視図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係るロック機構を示す斜視図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係るロック機構を示す分解斜視図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る気密ケースを示す正面図である。
【
図7】本開示の実施形態に係るハンドル台座を示す背面図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る気密ケースカバーを示す正面図である。
【
図9】本開示の実施形態に係る本体部を示す正面図である。
【
図11】本開示の実施形態に係るハンドルレバーを示す背面図である。
【
図12】本開示の実施形態に係るハンドルレバーを示す側面図である。
【
図13】本開示の実施形態に係るハンドルレバーの取付時の斜視図である。
【
図14】本開示の実施形態に係るハンドルレバーの斜視図である。
【
図15】本開示の第2実施形態に係るロック機構を示す斜視図である。
【
図16】本開示の第2実施形態に係るロック機構を示す斜視図である。
【
図17】本開示の第2実施形態に係るロック機構を示す分解斜視図である。
【
図18】本開示の第2実施形態に係るロック機構の取付工程を示す斜視図である。
【
図19】本開示の第2実施形態に係るロック機構の取付工程を示す斜視図である。
【
図20】本開示の第2実施形態に係るロック機構の取付後の斜視図である。
【
図21】本開示の第2実施形態に係るロック機構の正面図である。
【
図26】本開示の第3実施形態に係るロック機構を示す斜視図である。
【
図27】本開示の第3実施形態に係るロック機構を示す分解斜視図である。
【
図28】本開示の第3実施形態に係るロック機構を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1及び
図2は、第1実施形態のロック機構としてのサブロック1が用いられる建具としての辷り出し窓100の斜視図である。
図1は辷り出し窓の閉状態を示し、
図2は辷り出し窓の開状態を示す。以下の説明において、見込み方向は、建具の奥行に沿う方向であり、
図1及び
図2における手前側を室内側、奥側を室外側と記載する場合がある。見込み方向に沿う面については、見込み面と記載する場合がある。見付け方向は、辷り出し窓100の窓面の左右に沿った方向である。見付け方向に沿う面については、見付面と記載する場合がある。
【0010】
辷り出し窓100は、建物(図示せず)に形成された開口部に配置される枠体11と、枠体11の内側に収められる障子12と、オペレータハンドル13と、サブロック1と、を有する。以下、建具としての辷り出し窓100を縦辷り出し窓として説明するが、本開示のロック機構は横辷り出し窓に適用してもよく、縦開き窓や横開き窓に適用してもよい。
【0011】
枠体11は、建物の開口部の形状に対応して、上枠、下枠、及び一対の縦枠を矩形に枠組みすることによって構成される。枠体11及び障子12は、アルミニウム等の金属で構成されるものであってもよいし、例えば室外側がアルミニウムで構成され、室内側が樹脂で構成される樹脂複合サッシであってもよいし、樹脂のみによって構成されるものであってもよい。
【0012】
障子12は、枠体11の内周側に開閉可能に配置される。障子12は、上框、下框、及び左右の縦框を矩形に枠組した框体の内側に、1枚又は複数枚のガラス板121を収めることによって構成される。障子12の上下には、それぞれ障子12の開閉動作を支持する一対のステー123が設けられる。ステー123は、上框と上枠、及び下框と下枠とにそれぞれ架け渡される。
【0013】
オペレータハンドル13は、枠体11の下枠の室内側見付け面に設けられる。オペレータハンドル13は、下枠から障子12に亘って取り付けられる操作アームを介して回転力を障子12に伝達することで、障子12を開閉操作可能に構成される。
【0014】
ロック機構としてのサブロック1は、枠体11の縦枠の室内側見込み面に設けられる。サブロック1は、先端が略U字形状を有するアーム50を有する。
図3に示すように、アーム50は、障子12の縦框の枠体11と当接する側の見込み面に設けられた係合部122と係合可能である。サブロック1は、アーム50が係合部122と係合することで、閉位置にある障子12の開動作を規制し施錠する。
【0015】
サブロック1は、
図4に示すように、ハンドルレバー2と、ハンドル台座3と、気密構造としての気密ケース4と、アーム50を有する本体部5と、裏板6と、を有する。
【0016】
ハンドルレバー2は、サブロック1の使用者(以下、単に「使用者」と記載する場合がある)が回転力をアーム50に伝達するために設けられる。ハンドルレバー2は、
図11に示すように、略L字形状を有し、把持部21と、ハンドル軸22と、支持部23と、を有する。把持部21と、支持部23とは、樹脂により一体に成形されていてもよい。ハンドル軸22は、矩形の断面形状を有する金属製の棒状体であり、先端部が
図9に示すアーム50の軸孔501と係合可能である。ハンドル軸22は、基端側が支持部23に没入して支持される。
【0017】
支持部23は、把持部21の長手方向端部に設けられ、該長手方向に直交する方向に延出する略円柱形状を有する。支持部23は、ハンドル軸22を支持し、後述するハンドル台座3の孔部31に挿入可能に構成される。
図11及び
図12に示すように、支持部23の外周には、一対の対向する非干渉部としての平面部231が設けられる。平面部231は、ハンドルレバー2の短手方向に直交する面である。非干渉部としては平面部231の構成には限定されず、後述する所定の角度で支持部23を孔部31に挿入した際に、凸部312と干渉しないものであればよい。例えば凸部312の形状に応じた凹部等であってもよい。支持部23の側部の平面部231よりも基端側には、溝部232が設けられる。
【0018】
ハンドル台座3は、ハンドルレバー2を、気密ケース4を介して本体部5及び裏板6に固定する。ハンドル台座3は、
図7に示すように、略直方体形状を有し、孔部31と、保持部32と、固定部33と、ネジ穴34と、を有する。ハンドル台座3は、例えば樹脂により構成される。
【0019】
孔部31は、ハンドルレバー2のハンドル軸22及び支持部23を挿入可能な孔部である。孔部31の内面の一部には、対向する一対の凸部312が設けられる。凸部312の形状は特に限定されないが、例えば先端が平面状であり、該平面はハンドル台座3の長手方向に直交する面である。凸部312は、一対の平面部231の位置が凸部312の位置と合致した場合にのみ、孔部31に対して支持部23を完全に挿入可能となるように構成される。つまり、支持部23は、ハンドル台座3の孔部31に所定の角度(本実施形態では、ハンドルレバー2の長手方向とハンドル台座3の長手方向とのなす角度が90度)でのみ挿入可能となっている。一方で、支持部23をハンドル台座3の孔部31に上記した90度以外の角度(例えば80度)で挿入しようとしても、凸部312によって支持部23の挿通が規制される。凸部312は、孔部31に対して支持部23を完全に挿入した状態において、溝部232に対応する位置に配置される。この状態では、ハンドルレバー2はハンドル軸22に対して回動可能である。
【0020】
ハンドルレバー2をハンドル台座3に対して組付ける際の手順を以下に説明する。
図13に示すように、平面部231の位置が凸部312の位置と合うように、ハンドルレバー2の長手方向をハンドル台座3の長手方向に対して直交する位置で、ハンドル軸22及び支持部23を、孔部31に挿入する。その後、ハンドルレバー2を
図14に示すハンドルレバー2の稼働領域y1のいずれかの位置に回動させ、ハンドル軸22の先端部を
図9に示すアーム50の軸孔501に挿入する。その後、ハンドルレバー2をネジ穴34が露出する位置に回動させ、
図5に示すネジF1をネジ穴34に挿通して、ハンドルレバー2及びハンドル台座3を気密ケース4及び裏板6に固定する。固定後は、
図3に示すようにハンドルレバー2を回転させハンドル台座3と平行にする。固定後は、稼働領域y1のいずれにおいても、平面部231の位置が凸部312の位置と合致することが無く、凸部312は溝部232に係合して固定される。上記ハンドルレバー2及びハンドル台座3の構成により、ワッシャー、Oリング等が不要となりサブロック1の部品点数を大幅に削減できると共に、ハンドルレバー2側と気密ケース4側との間の気密性を確保することができる。
【0021】
孔部31の気密ケース4と当接する背面側には、
図7に示すように、孔部31の周囲が突出した、略円筒形状を有する筒部311が形成される。筒部311の端縁は、気密ケース4と当接可能な、筒部311の突出方向に対して垂直な面である。
【0022】
保持部32は、ハンドル台座3の背面側に突出し、略円筒形状を有する。保持部32は、
図5に示すように、ハンドル台座3を気密ケース4に組み付ける際に、気密ケース4を裏板6に対して固定するネジF2のネジ頭の位置に合うように設けられる。保持部32は、ネジF2のネジ頭を内周側に保持することで、ネジF2を、ハンドル台座3を組付ける際の位置決めとして用いることができる。保持部32により、本体部に位置決め用の穴加工を施すことが不要となり、ロック機構の気密性をより向上できる。
【0023】
固定部33は、ハンドル台座3の背面側に突出し、略角筒形状を有する。固定部33は、
図5に示すように、ハンドル台座3を、気密ケース4を介して裏板6に固定する際に、裏板6の固定孔61に挿通可能に設けられる。保持部32及び固定部33により、ハンドル台座3の回動が規制されるため、サブロック1を固定するネジの本数を最小限に抑えることが可能になる。更に、位置決めや固定用の穴加工を気密ケース4又は本体部5に施す必要がなくなるため、室内側と室外側の気密性を確保できる。
【0024】
ネジ穴34は、
図5に示すように、ハンドル台座3を気密ケース4、本体部5を介して裏板6に対して固定するネジF1と螺合可能なネジ穴である。ハンドル台座3の背面側では、ネジ穴34の周囲が突出し、略円筒形状を有する筒部が形成される。
【0025】
気密構造としての気密ケース4は、本体部5が配置される箇所の室外側の開口を塞ぐことで、ハンドルレバー2が配置される枠体11の縦枠の室内側見込み面と、サブロック1を挿入する開口111が形成される枠体11の縦枠の室外側見付け面との間の気密性を確保する。気密ケース4により、縦枠の裏側に外気が流れにくくなり、使用者がハンドルレバー2を操作する際に不快な冷気を感じにくくすることができる。気密構造として、以下に気密ケース4を例に挙げて説明するが、上記気密性を確保するための気密構造としては、気密ケース4には限定されない。気密構造は、例えばアーム50の可動部の隙間を最小化するものであってもよい。例えば、開口111の開口幅を最小化してもよいし、ヒレ状の軟質ゴムを用いてアーム50を挟み込むことでアーム50の可動部の隙間を最小化してもよい。高粘度グリスを用いてアーム50の可動部の隙間を埋めてもよい。
【0026】
気密ケース4は、
図4及び
図5に示すように、内部に本体部5が配置される箱状体であり、アーム50の稼働領域に対応する開口を有している。気密ケース4は、蓋部材41と、取付部材42の2部材からなる。蓋部材41と、取付部材42との間に本体部5を配置して、蓋部材41と、取付部材42とを篏合させて固定することで、気密ケース4の内部に本体部5を配置できる。気密ケース4は、例えば樹脂により構成される。
【0027】
蓋部材41は、ハンドル台座3に当接する側の部材である。
図6は、気密ケース4を蓋部材41側から視た図である。
図6に示すように、蓋部材41は、ネジ穴411及び413と、軸孔412と、を有する。
【0028】
軸孔412は、ハンドル軸22が挿通される孔部である。軸孔412の直径は、筒部311の外径よりも小さい。軸孔412の周囲には、筒部311を配置可能な凹部である段差部412aが設けられる。段差部412aは、取付誤差を吸収できるよう、筒部311の外径よりも大きく、かつ軸孔412が取付時に外部に露出しないように構成される。筒部311の端部と、段差部412aとは面同士が当接して固定される。これによって、アーム50が稼働する開口から流入する空気が、室内側に漏洩することを防止できる。
【0029】
ネジ穴411及び413は、それぞれネジF2及びF1が挿通される孔部である。ネジ穴411の周囲には、保持部32を配置可能な凹部である段差部411aが設けられる。ネジ穴413の周囲には、ネジ穴34の周囲に形成される筒部を配置可能な凹部である段差部413aが設けられる。段差部411a及び段差部413aは、段差部412aと同様の構成を有し、保持部32の端部と、段差部411aとは面同士が当接して固定される。ネジ穴34の周囲に形成される筒部の端部と、段差部413aとは面同士が当接して固定される。これによって、アーム50が稼働する開口から流入する空気が、室内側に漏洩することを防止できる。
【0030】
取付部材42は、
図5に示すように、裏板6に当接する側の部材である。
図8は、取付部材42を、蓋部材41側から視た図である。取付部材42は、後述する第2プレート部材52の凸部52a,bに対応する位置にそれぞれ凸部421を有する。凸部421は、例えば樹脂により成形される取付部材42の、肉厚部として一体に成形される。取付部材42は、ネジF1及びF2を挿通可能な孔部を有する。
【0031】
気密ケース4は、
図6に示すように、枠体11の開口111に沿って配置されるフランジ414と、フランジ414の裏側に設けられる凹部415を有する。凹部415により、サブロック1を容易に枠体11に取り付けることができる。凹部415の機能については後段で詳述する。
【0032】
本体部5は、
図5に示すように、アーム50と、第1プレート部材51及び第2プレート部材52と、からなる。アーム50は、第1プレート部材51及び第2プレート部材により回動可能に挟持される。本体部5は、例えば金属により構成される。
【0033】
アーム50は、
図9に示すように、気密ケース4から突出する略U字形状を有する先端部と、ハンドル軸22の先端が挿入されて係合する軸孔501と、施錠孔502aと、解錠孔502bと、を有する。アーム50は、軸孔501を軸心として所定の稼働領域内で回動可能に固定される。アーム50の先端部は、障子12の縦框の枠体11と当接する側の見込み面に設けられた係合部122と係合可能である。
【0034】
第1プレート部材51は、蓋部材41側に配置される板状部材であり、第2プレート部材52は、取付部材42側に配置される板状部材である。一対のプレート部材である第1プレート部材51及び第2プレート部材52は、略H字形状を有し、ネジF1及びF2を挿通可能な孔部を有する。第1プレート部材51には、ハンドル軸22を挿通可能な孔部が形成される。
【0035】
第1プレート部材51及び第2プレート部材52は、アーム50を回動可能に挟持すると共に、使用者が、サブロック1の施錠状態及び解錠状態をハンドルレバー2の操作感で判別可能であるように、クリック篏合により、アーム50を施錠位置及び解錠位置で保持する。本明細書でいう、「クリック嵌合」とは、単なる部材間の嵌め合いを意味するだけでなく、ハンドルレバー2の操作に伴うアーム50の施錠位置及び解錠位置への移動時に生じる音感および感触などの操作感を伴う嵌め合いを意味する。このように上記クリック篏合は、使用者に音や手指への感触として操作感を伝達することを目的とするが、上記クリック篏合により、アーム50の自重や風圧・振動等によるアーム50が施錠位置から解錠位置に動く力に対しても、アーム50を保持できる。上記クリック篏合は以下の構成により実現できる。
【0036】
第1プレート部材51及び第2プレート部材52は、
図9に示すように、ネジF1及びF2を挿通可能な孔部及びハンドル軸22を挿通可能な孔部が設けられた箇所以外に、アーム50の施錠孔502a及び解錠孔502bが設けられた箇所を挟持し、アーム50を挟持する方向に付勢されている。第2プレート部材52は、
図10に示すように、凸部52aと、凸部52bと、を有する。凸部52a及び凸部52bは、第2プレート部材と一体として形成される。これによって、サブロック1の部品点数を削減できる。
【0037】
図9は、本体部5を第1プレート部材51側から視た図であり、アーム50が係合部122と係合する位置を示す図である。該位置では、
図10に示すように、施錠孔502aに第2プレート部材の凸部52aが篏合する。
図9において使用者がハンドルレバー2を操作し、アーム50が下方に回動すると、凸部52aを施錠孔502aが乗り越えて、使用者の手指に操作感が伝達される。使用者がハンドルレバー2を操作し、アーム50を稼働領域の最下方に移動させると、解錠孔502bが凸部52bに入り込み、使用者の手指に操作感が伝達され、解錠孔502bに第2プレート部材の凸部52bが篏合すると共に、アーム50と係合部122との係合が外れ、障子12が解錠状態となる。本体部5自体に施錠孔502a及び解錠孔502bと篏合する凸部52a及び凸部52bを設けることで、部品数を増加することなく上記クリック篏合を実現できる。更に、取付部材42の凸部52a及び凸部52bに対応する位置には、それぞれ凸部421が形成される。これによって、部品数を増加することなく上記篏合力を高めることができる。本実施形態では、凸部52a及び凸部52bのそれぞれに対応する凸部421が別個に形成されているが、これに限られず、凸部52a及び凸部52bに対応できるよう長尺の凸部421としてもよい。
【0038】
裏板6は、上記ハンドルレバー2、ハンドル台座3、気密ケース4、及び本体部5を枠体11の縦枠に対して固定する板状部材である。裏板6を介して上記各部材を固定することにより、各部材の取付精度を向上でき、サブロック1の気密性を更に向上できる。上記に加えて、サブロック1を強固に固定できるため、防犯性を向上できる。裏板6は、例えば金属により構成される。裏板6には、ハンドル台座3の固定部33が挿通可能な固定孔61が設けられる。裏板6には、上記以外にネジF1及びF2が螺合可能な孔部と、裏板6を縦枠に対して固定するための固定具が挿通可能な孔部が形成される。
【0039】
以下、本開示の他の実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を図面に付し、説明を省略する場合がある。
【0040】
[第2実施形態]
図15及び
図20は、第2実施形態のサブロック1aの取付状態を示す斜視図である。サブロック1aは、連動バー14に設けられる係合ピン143と係合可能なアーム50aを有する。サブロック1aは、アーム50aを介してハンドルレバー2の回転力を連動バー14に伝達することで、連動バー14を上下方向に摺動可能に構成される。
【0041】
連動バー14は、枠体11の縦枠の室外側見込み面に設けられる。連動バー14は、障子12の縦框の枠体11と当接する側の見込み面に設けられた係合部122と係合可能な係合部142を有する。連動バー14が最も下方に摺動された状態では、係合部122と係合部142との係合は解除されており、障子12は解錠状態である。使用者がオペレータハンドル13を操作し、係合部142の内部に係合部122の係合ピンが挿入された状態で、ハンドルレバー2を操作して連動バー14を上方に摺動させると、障子12が室内側に完全に引き寄せられると共に係合部122と係合部142とが係合し、障子12が施錠状態となる。係合部122及び係合部142は複数組設けられていてもよい。
【0042】
サブロック1aは、
図16に示すように、先端部に係合ピン143と係合可能な孔部を有するアーム50aを有する。アーム50aは、先端部の形状が異なること以外はアーム50と同様の構成を有する。サブロック1aのアーム50a以外の構成は、サブロック1と同一の構成を適用できる。
【0043】
次に、
図21~
図25を用いて、サブロック1aが配置される枠体11の開口部が気密ケース4により閉塞される状態について説明する。サブロック1aは、アーム50aの構成以外はサブロック1と同様の構成を有するため、以下の説明はサブロック1に対しても適用される。
【0044】
図21は、枠体11(縦枠)の見込み面に配置されたサブロック1aを、見付け方向から視た図である。
図21のハンドルレバー2及びハンドル台座3が配置される右側が室内側、アーム50aが配置される左側が室外側である。
図22は、
図21のB-B線断面図である。ハンドル台座3と気密ケース4は面同士で当接して固定されている。
【0045】
図23~
図25に示すように、室外側の空間Zと枠体11の内部の空間Yとは、気密ケース4により閉塞される。枠体11には、サブロック1aが配置され、アーム50aが稼働するための開口111が設けられる。開口111の周囲は気密ケース4で被覆される。気密ケース4の内部には開口111から気流が流入可能である。しかし、開口111を介して気密ケース4の内部に流入した気流は、気密ケース4の外部に流出しないように、気密ケース4は開口111以外の開口部を有しない構成を有している。このため、室外側の空間Zから流れる空気が、枠体11の内部の空間Yや、室内側に到達することがなく、使用者がハンドルレバー2を操作する際に不快な冷気を感じにくくすることができる。
【0046】
(サブロックの辷り出し窓への取付方法)
サブロック1aの辷り出し窓100への取付方法は、気密ケース4の内部に本体部5aを配置する工程と、裏板6を枠体11の縦枠に固定する工程と、
図18に示す、アーム50aの孔部50a1に係合ピン143を挿入して係合させる工程と、
図19に示す、気密ケース4を、係合ピン143を中心軸として回転させながら開口111に挿入する工程と、気密ケース4及び本体部5a、並びにハンドル台座3及びハンドルレバー2を裏板6に対して固定する工程と、を有する。
【0047】
サブロック1aの本体部5aは、
図18に示すように、アーム50aの孔部50a1が係合ピン143に係合した状態で、枠体11の縦枠に設けられる開口111から室内側に挿入されて固定される。しかし、本体部5aは開口111を閉塞するためのフランジ414を有する気密ケース4により被覆されているため、気密ケース4を開口111に挿入する際にフランジ414と開口111の周囲との干渉を防ぐ必要がある。この点、気密ケース4のフランジ414の裏側には、凹部415が設けられている。これによって、気密ケース4を、係合ピン143を中心軸として回転させて開口111に挿入する際に、開口111の縁に凹部415を差し込むようにして、気密ケース4を開口111に挿入できるため、フランジ414と開口111の周囲との干渉を防ぐことができる。
【0048】
[第3実施形態]
図26~
図28は、第3実施形態のサブロック1bを示す図である。サブロック1bは、第2実施形態と同様、連動バー14と係合するアーム50bを有する。アーム50bが係合可能な連動バー14の構成は第2実施形態と同様である。
【0049】
サブロック1bは、
図26及び
図27に示すように、ハンドルレバー2と、ハンドル台座3aと、気密ケース4aと、アーム50bと、裏板6と、を有する。サブロック1bは、第1プレート部材51及び第2プレート部材52を有さず、気密ケース4a自体がクリック篏合機能を有している。ハンドル台座3aは、気密ケース4aの形状に応じた形状を有すること以外は、ハンドル台座3と同様の構成を有する。
【0050】
気密ケース4aは、蓋部材41aと、取付部材42aと、を有する。
図28は、蓋部材41aを取り外した状態で、気密ケース4aをハンドル台座3a側から視た図である。
図28に示すように、気密ケース4aは、アーム50bの軸孔501の周囲に形成された凸部53a、及び凸部53bと篏合可能な凸部43aを先端に有する係合部43を有する。係合部43は樹脂等の弾性体により構成され、弾性変形可能である。
【0051】
アーム50bは、アーム50aと同様に、先端部に係合ピン143と係合可能な孔部を有する。アーム50bの軸孔501の周囲は略円盤状に形成され、軸孔501を中心に所定の稼働領域で回動可能に気密ケース4aに収容される。軸孔501の周縁部であるアーム50bの基端部には、アーム50bの回動を稼働領域内に規制する規制部54が形成される。軸孔501の周縁部には、規制部54以外に凸部53a、及び凸部53bが形成される。
【0052】
図28は、アーム50bが連動バー14を最も上方に摺動させ、係合部122と係合部142とが係合し、障子12が施錠状態にある際のアーム50bの位置を示す。該位置では、
図28に示すように、凸部43aと凸部53aとが篏合する。この状態で使用者がハンドルレバー2を回動させると、凸部53aを凸部43aが乗り越えて、使用者の手指に操作感が伝達される。更に使用者がハンドルレバー2を回動させると、凸部53bを凸部43aが乗り越えて、使用者の手指に操作感が伝達されると共に、凸部53bと凸部43aとが篏合する。この状態では、アーム50bにより連動バー14が最も下方に摺動され、係合部122と係合部142の係合が解除され、障子12が解錠状態となる。上記アーム50b及び気密ケース4aの構成によれば、アームを挟持して固定するプレート部材を用いることなく、アーム50bと気密ケース4aとをクリック篏合させ、使用者の手指に施錠時及び解錠時の操作感を伝達することができる。
【0053】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0054】
第3実施形態のサブロック1bのアーム50bを、アーム50aと同様に先端に孔部を有するアームとして説明した。上記に限定されない。アーム50bは、アーム50と同様の略U字形状を有する先端部を有していてもよい。この場合、サブロック1bは、第1実施形態と同様に、アームが枠体11の係合部122に直接係合することで施錠状態となる。この際に枠体11の縦枠には連動バー14は配置されない。
【符号の説明】
【0055】
1、1a、1b サブロック(ロック機構)、2 ハンドルレバー、3、3a ハンドル台座、4、4a 気密ケース(気密構造)、414 フランジ、415 凹部、421 凸部、5、5a 本体部、50、50a、50b アーム、51 第1プレート部材、52 第2プレート部材、6 裏板、100 辷り出し窓(建具)、11 枠体、12 障子、122 係合部