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特開2023-5512蛍光発光モジュール、プロジェクタ及び蛍光体ホイール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005512
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】蛍光発光モジュール、プロジェクタ及び蛍光体ホイール
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20230111BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230111BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
H04N9/31 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107487
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】本多 洋介
(72)【発明者】
【氏名】高平 宜幸
【テーマコード(参考)】
2K203
5C060
【Fターム(参考)】
2K203FA06
2K203FA07
2K203FA22
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA34
2K203FA45
2K203GA32
2K203GA35
2K203HA25
2K203HA30
2K203MA04
5C060EA00
5C060HC17
5C060HD00
5C060JB06
(57)【要約】
【課題】光の利用効率が高い蛍光発光モジュールなどを提供する。
【解決手段】蛍光発光モジュール1は、光源10と、光源10が発する励起光で励起されて第一の蛍光を発する黄色蛍光体23yを含む蛍光体ホイール20と、第一の蛍光の一部をカットして所望の色光にトリミングするカラーフィルタを含むカラーホイール30と、第一の蛍光の一部により励起されて第二の蛍光を発する赤色蛍光体23rと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源が発する励起光で励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体を含む第一の回転ホイールと、
前記第一の蛍光の一部をカットして所望の色光にトリミングするカラーフィルタを含む第二の回転ホイールと、
前記第一の蛍光の一部により励起されて第二の蛍光を発する第二の蛍光体と、を備える、
蛍光発光モジュール。
【請求項2】
前記第二の蛍光体は、前記第一の蛍光体に積層されている、
請求項1に記載の蛍光発光モジュール。
【請求項3】
前記カラーフィルタは、前記第二の蛍光の少なくとも一部を透過させる、
請求項1又は2に記載の蛍光発光モジュール。
【請求項4】
前記第一の蛍光体は、黄色光を前記第一の蛍光として発する黄色蛍光体であり、
前記第二の蛍光体は、赤色光を前記第二の蛍光として発する赤色蛍光体である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の蛍光発光モジュール。
【請求項5】
前記励起光の光路に沿って、前記光源、前記第一の蛍光体、前記第二の蛍光体、及び、前記カラーフィルタは、この順で並んで配置されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の蛍光発光モジュール。
【請求項6】
前記第一の回転ホイールは、前記励起光に対して光反射性を有し、前記第一の蛍光体を支持する支持基板をさらに含み、
前記第二の蛍光体は、前記第一の蛍光体と前記支持基板との間に配置されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の蛍光発光モジュール。
【請求項7】
前記第二の蛍光体は、化学式La(Si,Al)(N,O)11で表される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の蛍光発光モジュール。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の蛍光発光モジュールを備えるプロジェクタ。
【請求項9】
光源が発する励起光で励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体と、
前記第一の蛍光体に積層され、前記第一の蛍光の一部により励起されて第二の蛍光を発する第二の蛍光体と、を備える、
蛍光体ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光発光モジュール、プロジェクタ及び蛍光体ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源と、第1の回転ホイールと、第2の回転ホイールと、を備える投写型映像表示装置が開示されている。第1の回転ホイールには、それぞれ異なる波長帯域の色光を出射する複数のセグメントが設けられている。第2の回転ホイールでは、第1の回転ホイールから入射される色光を透過するカラーフィルタセグメントが設けられている。カラーフィルタセグメントは、第1の回転ホイールから出射される黄色光に含まれる赤色光を透過させる領域を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-142820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、カラーフィルタセグメントが第1の回転ホイールから出射される光の一部を透過させる一方で、光の他の部分を透過させないので、光の利用効率が低いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、光の利用効率が高い蛍光発光モジュール、プロジェクタ及び蛍光体ホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蛍光発光モジュールは、光源と、前記光源が発する励起光で励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体を含む第一の回転ホイールと、前記第一の蛍光の一部をカットして所望の色光にトリミングするカラーフィルタを含む第二の回転ホイールと、前記第一の蛍光の一部により励起されて第二の蛍光を発する第二の蛍光体と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るプロジェクタは、上記一態様に係る蛍光発光モジュールを備える。
【0008】
本発明の一態様に係る蛍光体ホイールは、光源が発する励起光で励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体と、前記第一の蛍光体に積層され、前記第一の蛍光の一部により励起されて第二の蛍光を発する第二の蛍光体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光の利用効率が高い蛍光発光モジュール、プロジェクタ及び蛍光体ホイールなどを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態に係るプロジェクタの外観を示す斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る蛍光体ホイールの平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線における位置での蛍光体ホイールの断面図である。
図5図5は、実施の形態に係る蛍光体ホイールが含む赤色蛍光体の励起スペクトル及び蛍光スペクトルを示す図である。
図6図6は、実施の形態に係るカラーホイールの平面図である。
図7図7は、実施の形態に係るカラーフィルタのフィルタ特性と透過光のスペクトルとを示す図である。
図8図8は、実施の形態の変形例に係るプロジェクタの構成を示す概略図である。
図9図9は、実施の形態の変形例に係る蛍光体ホイールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態に係る蛍光発光モジュール、プロジェクタ及び蛍光体ホイールについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
また、本明細書において、直交又は平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、円形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0014】
(実施の形態)
[1.プロジェクタ]
まず、実施の形態に係るプロジェクタの概要について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係るプロジェクタ100を示す概略図である。図2は、本実施の形態に係るプロジェクタ100の外観を示す斜視図である。
【0015】
図1に示されるように、プロジェクタ100は、蛍光発光モジュール1と、表示素子2と、投射光学部材3と、を備える。なお、図1には示されていないが、プロジェクタ100は、反射ミラー、レンズ、プリズム、ダイクロイックミラー、偏光素子、ロッドインテグレータなどの1つ以上の光学素子をさらに備えていてもよい。
【0016】
蛍光発光モジュール1は、可視光を出射する光源装置である。蛍光発光モジュール1は、赤色光Lr、緑色光Lg、青色光Lb及び黄色光Lyを時分割で出射する。蛍光発光モジュール1の具体的な構成については、後で説明する。
【0017】
表示素子2は、蛍光発光モジュール1が出射する可視光を利用して、映像光を生成して出力する素子である。例えば、表示素子2は、DMD(Digital Micromirror Device)を有するDLP(Digital Light Processing)基板である。表示素子2は、蛍光発光モジュール1から時分割で入射する4色の光と、DMD内の微小ミラーのオンオフとを同期させることで、RGBのカラー画像を含む映像光を生成する。つまり、本実施の形態に係るプロジェクタ100は、いわゆるDLP方式のプロジェクタである。
【0018】
なお、プロジェクタ100は、液晶方式のプロジェクタであってもよい。具体的には、プロジェクタ100は、色光毎に光路を分離するダイクロイックミラーなどの光学素子を備えてもよい。この場合、表示素子2は、色光毎の液晶パネルと、プリズムとを備えてもよい。
【0019】
投射光学部材3は、表示素子2が出力する映像光をスクリーン(図示せず)に向けて投射する。投射光学部材3は、例えば、1つ以上の投影レンズを含んでいる。
【0020】
[2.蛍光発光モジュール]
続いて、蛍光発光モジュール1の具体的な構成について説明する。
【0021】
図1に示されるように、蛍光発光モジュール1は、光源10と、蛍光体ホイール20と、カラーホイール30と、を備える。図1には示されていないが、蛍光発光モジュール1は、反射ミラー、レンズ、プリズム、ダイクロイックミラー、偏光素子、ロッドインテグレータなどの1つ以上の光学素子をさらに備えていてもよい。
【0022】
[2-1.光源]
光源10は、励起光を出射する光源装置である。例えば、光源10は、半導体レーザ素子又はLED(Light Emitting Diode)などの固体発光素子を含む。一例として、光源10は、複数の半導体レーザ素子を含み、高い出力エネルギーを有する。具体的には、光源10は、10W以上500W以下の出力エネルギーを有する。
【0023】
光源10が出射する励起光は、380nm以上490nm以下の範囲にピーク波長を有する。例えば、光源10が含む半導体レーザ素子は、ピーク波長が445nmの青色レーザ光を発する青色レーザ素子である。つまり、本実施の形態では、励起光は青色光Lbである。
【0024】
[2-2.蛍光体ホイール]
蛍光体ホイール20は、第一の回転ホイールの一例である。図1に示されるように、蛍光体ホイール20は、基板21と、モータ22と、を含む。また、図3に示されるように、蛍光体ホイール20は、黄色蛍光体23yと、赤色蛍光体23rと、緑色蛍光体23gと、透明部24と、を含む。なお、ここで、図3は、本実施の形態に係る蛍光体ホイール20の平面図である。また、図4は、図3のIV-IV線における蛍光体ホイール20の断面図である。
【0025】
基板21は、平面視形状が円形の基板である。基板21の中心にはモータ22が取り付けられている。基板21は、回転軸Jを中心にモータ22によって回転される。モータ22は、基板21を回転させる駆動素子である。モータ22は、例えばDCモータであるが、特に限定されない。
【0026】
本実施の形態では、基板21は、励起光である青色光Lbに対して透光性を有する。基板21は、例えばサファイア、窒化ガリウム、ガラス基板、石英基板などである。あるいは、基板21は、PEN(ポリエチレンナフタレート)又はPET(ポリエチレンテレフタレート)などの透明樹脂基板であってもよい。
【0027】
基板21には、光拡散機能が付与されていてもよい。具体的には、基板21の内部に光拡散粒子が分散されていてもよい。あるいは、基板21の表面に、光を拡散させるための微小な凹凸が設けられていてもよい。
【0028】
基板21は、蛍光体を支持する支持基板である。具体的には、基板21の主面には、黄色蛍光体23yと、赤色蛍光体23rと、緑色蛍光体23gと、が配置されている。また、基板21には、透明部24が設けられている。
【0029】
黄色蛍光体23yは、光源10が発する励起光で励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体の一例である。黄色蛍光体23yは、青色光Lbで励起されて黄色光Lyを第一の蛍光として発する。具体的には、黄色蛍光体23yは、励起スペクトルにおけるピーク波長が380nm以上490nm以下の範囲であり、かつ、蛍光スペクトルにおけるピーク波長が530nm以上580nm以下の範囲にある蛍光体である。一例として、黄色蛍光体23yは、セリウム賦活ガーネット構造蛍光体であり、化学式YAl12:Ce3+で表されるが、これに限定されない。
【0030】
赤色蛍光体23rは、第一の蛍光の一部により励起されて第二の蛍光を発する第二の蛍光体の一例である。赤色蛍光体23rは、黄色光Lyで励起されて赤色光Lrを第二の蛍光として発する。赤色蛍光体23rは、励起スペクトルにおけるピーク波長が500nm以上580nm以下の範囲であり、かつ、蛍光スペクトルにおけるピーク波長が580nm以上700nm以下の範囲にある蛍光体である。一例として、赤色蛍光体23rは、化学式La(Si,Al)(N,O)11:Ce3+で表される蛍光体である。
【0031】
図5は、本実施の形態に係る蛍光体ホイール20が含む赤色蛍光体23rの励起スペクトル及び蛍光スペクトルを示す図である。図5に示されるように、励起スペクトルでは、約530nmにピーク波長を有し、その半値幅は約50nmである。蛍光スペクトルでは、約630nmにピーク波長を有し、その半値幅は約75nmである。なお、「約」は±20nmの範囲を意味している。
【0032】
赤色蛍光体23rとしては、励起スペクトルのピーク波長が黄色光Lyの波長範囲に含まれ、かつ、蛍光スペクトルのピーク波長が赤色光Lrの波長範囲に含まれる蛍光体であればよく、化学式La(Si,Al)(N,O)11:Ce3+で表される蛍光体には限定されない。
【0033】
緑色蛍光体23gは、光源10が発する励起光で励起されて第三の蛍光を発する第三の蛍光体の一例である。緑色蛍光体23gは、青色光Lbで励起されて緑色光Lgを第三の蛍光として発する。具体的には、緑色蛍光体23gは、励起スペクトルにおけるピーク波長が380nm以上490nm以下の範囲にあり、かつ、蛍光スペクトルにおけるピーク波長が490nm以上530nm以下の範囲にある蛍光体である。一例として、緑色蛍光体23gは、セリウム賦活ガーネット構造蛍光体であり、化学式LuAl12:Ce3+で表されるが、これに限定されない。
【0034】
透明部24は、黄色蛍光体23y、緑色蛍光体23g及び赤色蛍光体23rのいずれも設けられていない部分である。つまり、透明部24は、励起光に対して透光性を有する基板21の一部である。なお、透明部24は、基板21を貫通する貫通孔であってもよい。あるいは、透明部24は、基板21を貫通する貫通孔内に設けられ、基板21よりも励起光に対する透過率が高い透明部材であってもよい。
【0035】
本実施の形態では、図3に示されるように、蛍光体ホイール20は、周方向に沿って4つのセグメントY、R、G及びBに区分される。セグメントYは、励起光が入射された場合に、主に黄色光Lyを出射する部分である。セグメントRは、励起光が入射された場合に、主に赤色光Lrを出射する部分である。セグメントGは、励起光が入射された場合に、主に緑色光Lgを出射する部分である。セグメントBは、励起光が入射された場合に、主に青色光Lbを出射する部分である。なお、各セグメントの並び順は一例にすぎず、特に限定されない。
【0036】
セグメントRとセグメントBとは、中心角が90度の四分円に相当する部分である。セグメントYは、中心角が90度より大きい扇形に相当する部分である。セグメントBは、中心角が90度未満の扇形に相当する部分である。各セグメントの大きさは、出射される光の強度に応じて定められる。具体的には、出射される光の強度が大きい程、対応するセグメントの大きさが小さくなる。本実施の形態では、青色光Lbの強度が他の光よりも強いため、セグメントBの大きさが他のセグメントより小さい。出射される光の強度比によっては、4つのセグメントが全て同じ大きさであってもよい。
【0037】
セグメントBは、透明部24が設けられた部分である。セグメントGは、緑色蛍光体23gが設けられた部分である。セグメントRは、赤色蛍光体23r及び黄色蛍光体23yの両方が設けられた部分である。セグメントYは、赤色蛍光体23r及び黄色蛍光体23yのうち、黄色蛍光体23yのみが設けられた部分である。
【0038】
本実施の形態では、黄色蛍光体23y及び赤色蛍光体23rは、平面視において重なっている。具体的には、図4に示されるように、黄色蛍光体23yの一部の上に赤色蛍光体23rが積層されている。赤色蛍光体23rは、そのほぼ全体が黄色蛍光体23yに重なっている。つまり、セグメントYは、黄色蛍光体23yが設けられた部分のうち、赤色蛍光体23rが設けられた部分を除いた部分である。
【0039】
黄色蛍光体23y、赤色蛍光体23r、緑色蛍光体23g及び透明部24は、回転軸Jを中心とする円の周方向に沿って並んで配置されている。具体的には、黄色蛍光体23y、赤色蛍光体23r、緑色蛍光体23g及び透明部24は、径方向に所定の幅を有し、平面視においてドーナツ状に配置されている。
【0040】
蛍光体ホイール20は、光源10から出射される励起光(青色光Lb)が蛍光体ホイール20の所定の部位に入射するように配置されている。具体的には、励起光は、ある時刻において、セグメントY、セグメントR、セグメントG及びセグメントBのいずれか1つに入射する。蛍光体ホイール20が回転することで、励起光は、セグメントY、セグメントR、セグメントG及びセグメントBの各々に順に入射することになり、各セグメントから、対応する光が出射される。
【0041】
本実施の形態では、蛍光体ホイール20は、透過型のホイールである。具体的には、図1に示されるように、光源10から出射される励起光(青色光Lb)は、蛍光体ホイール20及びカラーホイール30をこの順で通過する。例えば、赤色蛍光体23rに着目した場合には、励起光の光路に沿って、光源10、黄色蛍光体23y、赤色蛍光体23r及びカラーフィルタ33r(図6を参照)がこの順で並んで配置されている。
【0042】
[2-3.カラーホイール]
カラーホイール30は、第二の回転ホイールの一例である。図1に示されるように、カラーホイール30は、基板31と、モータ32と、を含む。また、図6に示されるように、カラーホイール30は、カラーフィルタ33rを含む。なお、ここで、図6は、本実施の形態に係るカラーホイール30の平面図である。
【0043】
基板31は、平面視形状が円形の基板である。基板31の中心にはモータ32が取り付けられている。基板31は、回転軸Jを中心にモータ32によって回転される。モータ32は、基板31を回転させる駆動素子である。モータ32は、例えばDCモータであるが、特に限定されない。なお、カラーホイール30は、蛍光体ホイール20と同じ回転速度で同期して回転制御される。このため、共通する1つのモータによって、カラーホイール30の基板31と蛍光体ホイール20の基板21とが回転されてもよい。
【0044】
基板31は、蛍光体ホイール20から出射される光に対して透光性を有する。具体的には、基板31は、青色光Lb、赤色光Lr、緑色光Lg及び黄色光Lyの各々に対して透光性を有する。基板31は、例えばガラス基板、石英基板などである。あるいは、基板31は、PEN又はPETなどの透明樹脂基板であってもよい。
【0045】
基板31には、光拡散機能が付与されていてもよい。具体的には、基板31の内部に光拡散粒子が分散されていてもよい。あるいは、基板31の表面に、光を拡散させるための微小な凹凸が設けられていてもよい。
【0046】
基板31は、カラーフィルタ33rを支持する支持基板である。具体的には、基板31の主面の一部にカラーフィルタ33rが設けられている。
【0047】
カラーフィルタ33rは、第一の蛍光の一部をカットして所望の色光にトリミングする。「カット」とは、所望の色光の波長成分以外の波長成分を完全に除去することを意味するだけでなく、所望の色光の波長成分以外の波長成分の強度を小さくすることを意味する。
【0048】
本実施の形態では、カラーフィルタ33rは、黄色光Lyの一部をカットし、赤色光Lrを透過させる。すなわち、カラーフィルタ33rは、赤色の波長帯域に透過帯域を有する。例えば、図7に示されるように、カラーフィルタ33rは、約600nm以上の波長帯域を透過させるハイパスフィルタである。図7は、本実施の形態に係るカラーフィルタ33rのフィルタ特性と透過光のスペクトルとを示す図である。なお、カラーフィルタ33rは、バンドパスフィルタであってもよい。この場合、一例として、カラーフィルタ33rは、約600nm以上約780nm以下の波長帯域を透過帯域として有する。
【0049】
カラーフィルタ33rは、図6に示されるように、蛍光体ホイール20のセグメントRと対応する部分に設けられている。すなわち、セグメントRから出射される赤色光Lrを透過させる。なお、図6には、蛍光体ホイール20のセグメントY、B、G及びRの各々との対応関係を図示している。上述したとおり、カラーホイール30と蛍光体ホイール20とは同期して回転する。このため、蛍光体ホイール20の一の部位から出射される光は、カラーホイール30の対応する部位に常に入射する。具体的には、セグメントRから出射される赤色光Lrは、実質的に必ずカラーフィルタ33rを通過する。セグメントYから出射される黄色光Ly、セグメントBから出射される青色光Lb及びセグメントGから出射される緑色光Lgはそれぞれ、カラーフィルタ33rを通過しない。
【0050】
[3.作用効果など]
続いて、本実施の形態に係る蛍光発光モジュール1の作用効果などについて、図7を参照しながら説明する。
【0051】
図7には、比較例に係る黄色光及び赤色光と、実施例に係る黄色光及び赤色光との各々のスペクトルを表している。比較例は、蛍光体ホイール20が赤色蛍光体23rを含まない構成に相当する。
【0052】
比較例では、黄色光Lyの一部をカラーフィルタ33rによってトリミングすることで、赤色光Lrを生成している。黄色蛍光体23yは、図7の比較例(黄)で示されるように、ピーク波長が約550nmであり、赤色成分に比べて短波長側の黄色光Lyを発する。このため、赤色成分の強度が十分ではない。また、強度が高い黄色成分を除去しているので、光の利用効率も低い。
【0053】
これに対して、本実施の形態では、黄色蛍光体23yから出射された黄色光Lyの一部は、図4に示されるように、赤色蛍光体23rによって赤色光Lrに変換される。このため、蛍光体ホイール20のセグメントRから出射される光は、図7の実施例(黄)で示されるように、ピーク波長の成分が減少する代わりに、赤色成分が増加している。このため、カラーフィルタ33rでトリミングした場合に、赤色光Lrが強くなる。本来カットされていた光成分(黄色光)を赤色光に変換するので、光の利用効率が高められている。
【0054】
また、比較例では、図7の比較例(赤)で示されるように、長波長側ほど強度が低下するため、透過帯域を長波長側に設定すると、赤色光の強度不足がより顕著になる。このため、赤色光の強度を確保するためには、短波長側に透過帯域を設定することになる。しかしながら、短波長側の黄色成分も含むことになるため、色純度が低下する。
【0055】
これに対して、本実施の形態では、赤色光Lrの強度が大きくなるので、カラーフィルタ33rの透過帯域をより長波長側に設定することができる。このため、赤色光Lrの色純度を高めることができる。RGBの各々の純度が高まることにより、映像の色再現性を高めることができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、黄色光Lyで励起されて赤色光Lrを発する赤色蛍光体23rを利用したが、励起光(青色光Lb)で励起されて赤色光を発する赤色蛍光体をセグメントRに配置することが考えられる。しかしながら、光源10の出力エネルギーが大きい場合、当該赤色蛍光体が発する熱量が大きくなりすぎ、蛍光体ホイール20の特性劣化及び/又は破壊に繋がる。このため、本実施の形態のように、黄色蛍光体23yが発する黄色光Lyを励起光として利用する赤色蛍光体を利用することで、発熱を抑制することができ、蛍光体ホイール20の信頼性が高くなり、かつ、寿命を長くすることができる。
【0057】
以上のように、本実施の形態に係る蛍光発光モジュール1は、光源10と、光源10が発する励起光で励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体を含む第一の回転ホイールと、第一の蛍光の一部をカットして所望の色光にトリミングするカラーフィルタ33rを含む第二の回転ホイールと、第一の蛍光の一部により励起されて第二の蛍光を発する第二の蛍光体と、を備える。
【0058】
これにより、光の利用効率を高めることができる。また、色再現性も高めることができる。また、発熱を抑制することができるので、信頼性の向上及び長寿命化を実現することができる。
【0059】
また、例えば、第一の蛍光体は、黄色光Lyを第一の蛍光として発する黄色蛍光体23yである。第二の蛍光体は、赤色光Lrを第二の蛍光として発する赤色蛍光体23rである。
【0060】
これにより、強度不足を起こしがちな赤色光Lrの強度を高めることができるので、色再現性を高めることができる。
【0061】
また、例えば、赤色蛍光体23rは、黄色蛍光体23yに積層されている。
【0062】
これにより、黄色蛍光体23yから発せられる黄色光Lyの赤色蛍光体23rに対する入射効率を高めることができるので、光の利用効率をさらに高めることができる。
【0063】
また、例えば、カラーフィルタ33rは、第二の蛍光の少なくとも一部を透過させる。
【0064】
これにより、カラーフィルタ33rによって赤色光Lrをトリミングすることで、赤色の純度を高めることができる。
【0065】
また、例えば、励起光の光路に沿って、光源10、黄色蛍光体23y、赤色蛍光体23r、及び、カラーフィルタ33rは、この順で並んで配置されている。
【0066】
これにより、光源10、蛍光体ホイール20及びカラーホイール30を同一直線上に並べることができるので、光路設計が容易になる。ミラーなどの光学素子の数を減らすことができ、蛍光発光モジュール1の小型化を実現することができる。
【0067】
また、例えば、赤色蛍光体23rは、化学式La(Si,Al)(N,O)11で表される。
【0068】
これにより、黄色光Lyを高効率で赤色光Lrに変換することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係るプロジェクタ100は、蛍光発光モジュール1を備える。
【0070】
これにより、蛍光発光モジュール1と同等の効果を得ることができる。
【0071】
また、本実施の形態に係る蛍光体ホイール20は、光源10が発する励起光で励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体と、第一の蛍光体に積層され、第一の蛍光の一部により励起されて第二の蛍光を発する第二の蛍光体と、を備える。
【0072】
これにより、蛍光発光モジュール1と同等の効果を得ることができる。
【0073】
[4.変形例]
続いて、実施の形態の変形例について説明する。変形例に係る蛍光発光モジュールは、実施の形態と比較して、蛍光体ホイールが反射型である点が相違する。以下では、実施の形態との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0074】
図8は、本変形例に係るプロジェクタ200の構成を示す概略図である。図8に示されるプロジェクタ200は、図1に示されるプロジェクタ100と比較して、蛍光発光モジュール1の代わりに蛍光発光モジュール201を備える。
【0075】
蛍光発光モジュール201は、光源10と、蛍光体ホイール220と、カラーホイール30と、ダイクロイックミラー240と、反射ミラー251、252及び253と、を備える。蛍光体ホイール220は反射型であるので、図8に示されるように、入射した励起光(青色光Lb)を反射させる。
【0076】
図9は、本変形例に係る蛍光体ホイール220の断面図である。図9に示される断面は、図3のIV-IV断面に対応している。なお、蛍光体ホイール220の平面図は、図3に示される蛍光体ホイール20と同じである。
【0077】
図9に示されるように、蛍光体ホイール220は、透光性の基板21の代わりに、反射性の基板221を備える。基板221は、例えばアルミニウムなどの金属製の基板である。あるいは、基板221は、ガラス基板又は石英基板などの透光性の基材と、当該基材の表面に設けられた金属層と、を有してもよい。
【0078】
本変形例では、赤色蛍光体23rは、基板221と黄色蛍光体23yとの間に配置されている。これにより、励起光(青色光Lb)は、赤色蛍光体23rより先に黄色蛍光体23yに入射するので、効率良く黄色光Lyを発生させることができる。黄色光Lyへの変換効率が良くなるので、赤色蛍光体23rにおける赤色光Lrへの変換効率も高くなる。よって、光の利用効率を高めることができる。
【0079】
蛍光体ホイール220の基板221には、実施の形態と同様に、青色光Lbを透過させる透明部24が設けられている。透明部24は、基板221を貫通する貫通孔である。あるいは、透明部24は、青色光Lbに対して透光性を有するガラスなどの透光部材であってもよい。透光部材は、青色光Lbを拡散する拡散機能(表面凹凸又は拡散粒子など)を有してもよい。
【0080】
ダイクロイックミラー240は、例えば青色光Lbの一部を反射させ、かつ、黄色光Ly、赤色光Lr及び緑色光Lgなどの青色以外の波長域の光を透過させる。これにより、光源10から出射される青色光Lbを蛍光体ホイール220に導くことができ、かつ、蛍光体ホイール220で発生した黄色光Ly、赤色光Lr及び緑色光Lgを透過させてカラーホイール30に導くことができる。
【0081】
反射ミラー251、252及び253は、蛍光体ホイール220の透明部24を通過する青色光Lbをこの順で反射してダイクロイックミラー240に向けて出射する。ダイクロイックミラー240では、反射ミラー253から入射する青色光Lbの一部を反射してカラーホイール30に導くことができる。この構成により、光源10が出射する青色光Lbの利用効率を高めることができる。なお、3つの反射ミラー251、252及び253を用いて青色光Lbの光路を形成する例を示したが、これに限らない。
【0082】
以上のように、本変形例に係る蛍光発光モジュール201では、蛍光体ホイール220は、励起光に対して光反射性を有し、黄色蛍光体23yを支持する基板221をさらに含む。赤色蛍光体23rは、黄色蛍光体23yと基板221との間に配置されている。
【0083】
これにより、反射型の蛍光体ホイール220を利用した場合であっても、実施の形態と同様に、光の利用効率を高めることができる。また、色再現性も高めることができる。また、発熱を抑制することができるので、信頼性の向上及び長寿命化を実現することができる。
【0084】
(その他)
以上、本発明に係る蛍光発光モジュール、プロジェクタ及び蛍光体ホイールについて、上記の実施の形態などに基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0085】
例えば、蛍光体ホイール20又は220は、緑色蛍光体23gを含んでいなくてもよい。青色光Lb及び黄色光Lyの合成光を緑色光Lgとして利用してもよい。
【0086】
また、蛍光体ホイール20又は220は、赤色蛍光体23rを含んでいなくてもよい。赤色蛍光体23rは、カラーホイール30に含まれていてもよい。具体的には、カラーフィルタ33rの光入射面に赤色蛍光体23rが配置されていてもよい。
【0087】
また、例えば、蛍光発光モジュール1又は201は、蛍光体ホイール20又は220、及び、カラーホイール30の各々と同期して回転する第三の回転ホイールを備えてもよい。赤色蛍光体23rは、第三の回転ホイールに配置されていてもよい。
【0088】
また、例えば、赤色蛍光体23rは、黄色蛍光体23yよりも光源10側に配置されていてもよい。
【0089】
また、例えば、蛍光体ホイール20は、基板21を備えなくてもよい。各蛍光体自体が強固に固められて基板として機能してもよい。同様に、カラーホイール30は、基板31を備えなくてもよい。
【0090】
また、例えば、第一の蛍光体が黄色蛍光体で、第二の蛍光体が赤色蛍光体である例を示したが、これに限定されない。例えば、第一の蛍光体が緑色蛍光体で、第二の蛍光体が赤色蛍光体であってもよい。この場合、第二の蛍光体は、緑色光を励起光として受光し、赤色光を蛍光として発光してもよい。
【0091】
また、第二の蛍光体は、赤色光以外の可視光であってもよい。上記の実施の形態では、赤色光の輝度が不足する例を挙げて説明したが、プロジェクタの仕様によっては他の光の輝度が不足する場合もある。要求に応じて、第一の蛍光体及び第二の蛍光体の各々の種類は適宜調整されればよい。
【0092】
また、例えば、蛍光発光モジュール1又は201は、RGBのカラー表示が可能な表示装置の光源として利用されてもよい。
【0093】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1、201 蛍光発光モジュール
10 光源
20、220 蛍光体ホイール(第一の回転ホイール)
21、31、221 基板
23r 赤色蛍光体(第二の蛍光体)
23y 黄色蛍光体(第一の蛍光体)
24 透明部
30 カラーホイール(第二の回転ホイール)
33r カラーフィルタ
100、200 プロジェクタ
Lb 青色光(励起光)
Lg 緑色光
Lr 赤色光(第二の蛍光)
Ly 黄色光(第一の蛍光)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9