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特開2023-55202医療診断装置、及び、篩状板の3次元データ及び画像を用いた病態評価方法
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  • 特開-医療診断装置、及び、篩状板の3次元データ及び画像を用いた病態評価方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055202
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】医療診断装置、及び、篩状板の3次元データ及び画像を用いた病態評価方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/12 20060101AFI20230410BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20230410BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20230410BHJP
   G16H 50/00 20180101ALI20230410BHJP
【FI】
A61B3/12
A61B3/10 100
G16H30/00
G16H50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151439
(22)【出願日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】17/493,856
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】西田 幸二
(72)【発明者】
【氏名】三木 篤也
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 良
(72)【発明者】
【氏名】メイ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】マオ・ツァイシン
(72)【発明者】
【氏名】ワング・ゼングォ
(72)【発明者】
【氏名】チャン・キンプイ
(72)【発明者】
【氏名】スイ・シン
【テーマコード(参考)】
4C316
5L099
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AB02
4C316AB11
4C316FB12
4C316FB21
4C316FB26
4C316FC15
5L099AA04
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】被検者の医学的状態を評価するための新たな技術を提供する。
【解決手段】実施形態に係る医療診断装置は、受信回路とプロセッサとを含む。受信回路は、被検眼の3次元データを受け付ける。プロセッサは、この3次元データの複数の部分を異なる複数のセグメントに分割し、これら複数のセグメントに対してそれぞれ異なる処理を実行し、別々に処理された複数のセグメントを組み合わせて分割3次元データセットを作成するように構成されている。更に、プロセッサは、この分割3次元データセットから少なくとも1つの診断指標を生成し、この少なくとも1つの診断指標に基づいて医学的状態を評価するように構成されている。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の3次元データを受け付ける受信回路と、
前記3次元データの複数の部分を異なる複数のセグメントに分割し、前記複数のセグメントに対してそれぞれ異なる処理を実行し、別々に処理された前記複数のセグメントを組み合わせて分割3次元データセットを作成するように構成されたプロセッサと
を含み、
前記プロセッサは、前記分割3次元データセットから少なくとも1つの診断指標を生成するように更に構成され、
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの診断指標に基づいて医学的状態を評価するように更に構成されている、
医療診断装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記診断指標の3次元ビューを表すビジュアライゼーションを生成するように更に構成されている、
請求項1の医療診断装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼のブルッフ膜開口部の少なくとも1つの物理的特徴を含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の少なくとも1つの物理的特徴を含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼のブルッフ膜開口部及び篩状板に基づき演算された少なくとも1つの物理的特徴を含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記プロセッサは、前記被検眼の篩状板の前面に対して最大相関を有する滑らかな多項式を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、前記基準面及び前記滑らかな多項式に基づく測定値を含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のうちの少なくとも1つを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項8】
前記医学的状態は緑内障であり、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のうちの少なくとも1つを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項9】
前記医学的状態は緑内障であり、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のうちの少なくとも2つを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項10】
前記医学的状態は緑内障であり、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のうちの少なくとも3つを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項11】
前記医学的状態は緑内障であり、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のうちの少なくとも4つを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項12】
前記医学的状態は緑内障であり、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のうちの少なくとも5つを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項13】
前記医学的状態は緑内障であり、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のうちの少なくとも6つを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項14】
前記医学的状態は緑内障であり、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、及び、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリアに対する前記篩状板の前記前面の3次元エリアの比
のそれぞれを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項15】
前記医学的状態は緑内障であり、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のそれぞれを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項16】
前記医学的状態は、眼性神経障害又は非眼性神経障害であり、
前記眼性神経障害は、虚血性ニューロパチー、外傷性ニューロパチー、遺伝性ニューロパチー、炎症性ニューロパチー、薬剤性ニューロパチー、先天性ニューロパチー、及び病的近視ニューロパチーのうちの少なくとも1つを含み、
前記非眼性神経障害は、脳腫瘍、脳内出血、脳外傷、脳膿瘍、髄膜炎、脳炎、偽脳腫瘍、脳血管障害、及び高血圧症のうちの少なくとも1つを含み、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記プロセッサは、少なくとも1つの診断指標に基づいて前記眼性神経障害又は前記非眼性神経障害の進行又はリスクを評価するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のうちの少なくとも1つを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項17】
前記医学的状態は、眼性神経障害又は非眼性神経障害であり、
前記眼性神経障害は、虚血性ニューロパチー、外傷性ニューロパチー、遺伝性ニューロパチー、炎症性ニューロパチー、薬剤性ニューロパチー、先天性ニューロパチー、及び病的近視ニューロパチーのうちの少なくとも1つを含み、
前記非眼性神経障害は、脳腫瘍、脳内出血、脳外傷、脳膿瘍、髄膜炎、脳炎、偽脳腫瘍、脳血管障害、及び高血圧症のうちの少なくとも1つを含み、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記プロセッサは、少なくとも1つの診断指標に基づいて前記眼性神経障害又は前記非眼性神経障害の進行又はリスクを評価するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、及び、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリアに対する前記篩状板の前記前面の3次元エリアの比
のそれぞれを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項18】
前記医学的状態は、眼性神経障害又は非眼性神経障害であり、
前記眼性神経障害は、虚血性ニューロパチー、外傷性ニューロパチー、遺伝性ニューロパチー、炎症性ニューロパチー、薬剤性ニューロパチー、先天性ニューロパチー、及び病的近視ニューロパチーのうちの少なくとも1つを含み、
前記非眼性神経障害は、脳腫瘍、脳内出血、脳外傷、脳膿瘍、髄膜炎、脳炎、偽脳腫瘍、脳血管障害、及び高血圧症のうちの少なくとも1つを含み、
前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように更に構成されており、
前記プロセッサは、少なくとも1つの診断指標に基づいて前記眼性神経障害又は前記非眼性神経障害の進行又はリスクを評価するように更に構成されており、
前記少なくとも1つの診断指標は、
前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、
前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、
前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、
XY座標系における前記最低点のY座標、
XY座標系における前記最高点のX座標、
XY座標系における前記最高点のY座標、
前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、
前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、
前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、
前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、
前記差の標準偏差、
前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、
前記線曲率の標準偏差、
前記篩状板の前記前面の3次元エリア、
前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、
前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比
のそれぞれを含んでいる、
請求項1の医療診断装置。
【請求項19】
被検眼の3次元データを取得し、
前記3次元データの複数の部分を異なる複数のセグメントに分割し、
前記複数のセグメントに対してそれぞれ異なる処理を実行し、
別々に処理された前記複数のセグメントを組み合わせて分割3次元データセットを作成し、
前記分割3次元データセットから少なくとも1つの診断指標を生成し、
前記少なくとも1つの診断指標に基づいて医学的状態を評価する、
医療診断方法。
【請求項20】
指示を格納した非有形のコンピュータ可読な媒体であって、
コンピュータによって実行されたときに、
被検眼の3次元データを取得するステップと、
前記3次元データの複数の部分を異なる複数のセグメントに分割するステップと、
前記複数のセグメントに対してそれぞれ異なる処理を実行するステップと、
別々に処理された前記複数のセグメントを組み合わせて分割3次元データセットを作成するステップと、
前記分割3次元データセットから少なくとも1つの診断指標を生成するステップと、
前記少なくとも1つの診断指標に基づいて医学的状態を評価するステップと
を実行する、媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医学的状態のモニター、評価、及び診断のためのデータ及び画像の解析に関し、特に、医学的状態のモニター、評価、及び診断のための篩状板の3次元(3D)光コヒーレンストモグラフィ(OCT)データ及び画像の解析に関する。
【背景技術】
【0002】
ここに提供される「背景技術」の記述は、本開示の内容を一般的に示すためのものである。この背景技術の項に記載されている範囲における本発明者の及び出願時に先行技術として他に認定されない可能性のある態様は、本発明に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められるものではない。
【0003】
OCTは、様々な生体組織(例えば、その2次元スライスや3次元ボリューム)の生体内イメージング及び解析を行う技術である。3次元(3D)/ボリューメトリックOCTデータから作成された画像は、画像化された組織の異なる複数の部分を異なる態様(見た目)/輝度で表す。この違いに基づいて、更なる解析及び/又は可視化のために、これらの部分を画像からセグメント化することができる。しかしながら、OCTイメージングの固有の特性により、画像に対して閾値処理を直接に適用すると、セグメンテーションにアーティファクトが発生することがある。
【発明の概要】
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態は、被検眼の3次元データを受け付ける受信回路と、前記3次元データの複数の部分を異なる複数のセグメントに分割し、前記複数のセグメントに対してそれぞれ異なる処理を実行し、別々に処理された前記複数のセグメントを組み合わせて分割3次元データセットを作成するように構成されたプロセッサとを含み、前記プロセッサは、前記分割3次元データセットから少なくとも1つの診断指標を生成するように更に構成され、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの診断指標に基づいて医学的状態を評価するように更に構成された医療診断装置を含む。
【0006】
前記医療診断装置において、前記プロセッサは、前記診断指標の3次元ビューを表すビジュアライゼーションを生成するように構成されていてもよい。
【0007】
前記医療診断装置において、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼のブルッフ膜開口部の少なくとも1つの物理的特徴を含んでいてもよい。
【0008】
前記医療診断装置において、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の少なくとも1つの物理的特徴を含んでいてもよい。
【0009】
前記医療診断装置において、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼のブルッフ膜開口部及び篩状板に基づき演算された少なくとも1つの物理的特徴を含んでいてもよい。
【0010】
前記医療診断装置において、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記プロセッサは、前記被検眼の篩状板の前面に対して最大相関を有する滑らかな多項式を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記基準面及び前記滑らかな多項式に基づく測定値を含んでいてもよい。
【0011】
前記医療診断装置において、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0012】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は緑内障であってもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0013】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は緑内障であってもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のうちの少なくとも2つを含んでいてもよい。
【0014】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は緑内障であってもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のうちの少なくとも3つを含んでいてもよい。
【0015】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は緑内障であってもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のうちの少なくとも4つを含んでいてもよい。
【0016】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は緑内障であってもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のうちの少なくとも5つを含んでいてもよい。
【0017】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は緑内障であってもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のうちの少なくとも6つを含んでいてもよい。
【0018】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は緑内障であってもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、及び、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリアに対する前記篩状板の前記前面の3次元エリアの比のそれぞれを含んでいてもよい。
【0019】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は緑内障であってもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のそれぞれを含んでいてもよい。
【0020】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は、眼性神経障害又は非眼性神経障害であってもよく、前記眼性神経障害は、虚血性ニューロパチー、外傷性ニューロパチー、遺伝性ニューロパチー、炎症性ニューロパチー、薬剤性ニューロパチー、先天性ニューロパチー、及び病的近視ニューロパチーのうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、前記非眼性神経障害は、脳腫瘍、脳内出血、脳外傷、脳膿瘍、髄膜炎、脳炎、偽脳腫瘍、脳血管障害、及び高血圧症のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記プロセッサは、少なくとも1つの診断指標に基づいて前記眼性神経障害又は前記非眼性神経障害の進行又はリスクを評価するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0021】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は、眼性神経障害又は非眼性神経障害であってもよく、前記眼性神経障害は、虚血性ニューロパチー、外傷性ニューロパチー、遺伝性ニューロパチー、炎症性ニューロパチー、薬剤性ニューロパチー、先天性ニューロパチー、及び病的近視ニューロパチーのうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、前記非眼性神経障害は、脳腫瘍、脳内出血、脳外傷、脳膿瘍、髄膜炎、脳炎、偽脳腫瘍、脳血管障害、及び高血圧症のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記プロセッサは、少なくとも1つの診断指標に基づいて前記眼性神経障害又は前記非眼性神経障害の進行又はリスクを評価するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、及び、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリアに対する前記篩状板の前記前面の3次元エリアの比のそれぞれを含んでいてもよい。
【0022】
前記医療診断装置において、前記医学的状態は、眼性神経障害又は非眼性神経障害であってもよく、前記眼性神経障害は、虚血性ニューロパチー、外傷性ニューロパチー、遺伝性ニューロパチー、炎症性ニューロパチー、薬剤性ニューロパチー、先天性ニューロパチー、及び病的近視ニューロパチーのうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、前記非眼性神経障害は、脳腫瘍、脳内出血、脳外傷、脳膿瘍、髄膜炎、脳炎、偽脳腫瘍、脳血管障害、及び高血圧症のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、前記プロセッサは、前記被検眼のブルッフ膜開口部の最大表面に対して最大相関を有する基準面を特定するように構成されていてもよく、前記プロセッサは、少なくとも1つの診断指標に基づいて前記眼性神経障害又は前記非眼性神経障害の進行又はリスクを評価するように構成されていてもよく、前記少なくとも1つの診断指標は、前記被検眼の篩状板の前面において、前記基準面から最も遠くに位置する最低点の深さ、前記篩状板の前記前面において、前記基準面の最も近くに位置する最高点の深さ、前記3次元データを生成する光コヒーレンストモグラフィスキャナのXY座標系における前記最低点のX座標、XY座標系における前記最低点のY座標、XY座標系における前記最高点のX座標、XY座標系における前記最高点のY座標、前記基準面と前記篩状板の前記前面との間の領域の体積、前記基準面に対する前記ブルッフ膜開口部の投影像の輪郭のエリア、前記基準面に対する前記篩状板の前記前面における複数の点の平均深さ、前記篩状板の前記前面における前記複数の点それぞれと前記篩状板の前記前面の滑らかな近似曲線における対応点との差の平均、前記差の標準偏差、前記篩状板の前記前面と垂直面とを結ぶ線の線曲率の平均、前記線曲率の標準偏差、前記篩状板の前記前面の3次元エリア、前記篩状板の前記前面の前記基準面に対する2次元投影像の2次元エリア、及び、前記2次元エリアに対する前記3次元エリアの比のそれぞれを含んでいてもよい。
【0023】
本発明の1つの実施形態は、被検眼の3次元データを取得し、前記3次元データの複数の部分を異なる複数のセグメントに分割し、前記複数のセグメントに対してそれぞれ異なる処理を実行し、別々に処理された前記複数のセグメントを組み合わせて分割3次元データセットを作成し、前記分割3次元データセットから少なくとも1つの診断指標を生成し、前記少なくとも1つの診断指標に基づいて医学的状態を評価する、医療診断方法を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の1つの実施形態は、指示を格納した非有形のコンピュータ可読な媒体であって、コンピュータによって実行されたときに、被検眼の3次元データを取得するステップと、前記3次元データの複数の部分を異なる複数のセグメントに分割するステップと、前記複数のセグメントに対してそれぞれ異なる処理を実行するステップと、別々に処理された前記複数のセグメントを組み合わせて分割3次元データセットを作成するステップと、前記分割3次元データセットから少なくとも1つの診断指標を生成するステップと、前記少なくとも1つの診断指標に基づいて医学的状態を評価するステップとを実行する、媒体を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の範囲は、添付の図面と共に読まれたときに、以下の例示的な実施形態の詳細な説明から最もよく理解される。
図1】本発明の1つの実施形態を表す。
図2】本発明の1つの実施形態により生成される例示的な2D及び3Dの可視化(ビジュアライゼーション)を示す。
図3】本発明の1つの実施形態に係るBMOセグメンテーション工程の1つの実施形態を示す。
図4】本発明の1つの実施形態により抽出され解析される指標のリストである。
図5】本発明の1つの実施形態により抽出される構造的パラメータ及び指標の1つの例である。
図6】本発明の1つの実施形態により抽出される構造的パラメータ及び指標の別の例である。
図7】本発明の1つの実施形態により抽出される構造的パラメータ及び指標の別の例である。
図8】本発明の1つの実施形態により抽出される構造的パラメータ及び指標の別の例である。
図9】本発明の1つの実施形態により抽出される構造的パラメータ及び指標の別の例である。
図10】本発明の1つの実施形態により抽出された複数の指標の重みの比較を表す解析の結果を示す。
図11】本発明の1つの実施形態により抽出された複数の指標のゲインの比較を表す解析の結果を示す。
図12】本発明の1つの実施形態を実施するために使用可能なコンピュータの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
視神経乳頭(ONH)は緑内障において網膜神経線維(視神経軸索)が損傷する主要な部位である可能性が、エビデンスにより示唆されている。ONHは、眼球から網膜神経線維が出る視神経の最も前方の部位である。特に、ONHにおいて網膜神経線維を支持する篩状(笊状)構造の篩状板(LC)の形態変化や損傷は、組織学的研究における緑内障の特徴である。しかしながら、篩状板の高解像度の像を取得することは困難であった。
【0027】
篩状板が緑内障における軸索損傷の主要部位であることを示唆するエビデンスがあり、また、これまでの研究で緑内障による篩状板の変化が報告されてはいるものの、これまでの研究では、篩状板の複雑な形状に関する十分な詳細を捉えることができていなかった。本発明の1つの実施形態は、既知の技術ではこれまで実用的でなく及び/又は可能でなかった3次元(3D)OCTデータの臨床的に価値のある解析及び視覚化(ビジュアライゼーション)を実行することができる。そのような解析及びビジュアライゼーションは、疾病の診断、モニター(監視)、及び治療管理(すなわち、病態(病的な状態)の進行又はリスクの評価)に対する医療従事者の能力を向上させ得る。簡単に言えば、解析は、一連の前処理技術の後に行われる、3次元における関心部分(例えば、篩状板)についてのOCTデータのセグメント化に対して実行され、更に、このOCTデータのセグメント化によってビジュアライゼーションが作成される。このセグメンテーションは、前処理に続いてデータに適用されてよく、更に、所望の部分の最終的かつ全体的な3次元セグメンテーションを生成するために結合されてよい。その後、平滑化技術などの後処理を、セグメント化された部分に適用することができる。
【0028】
眼は最も重要な感覚器官であり、身体の医学的状態全般を観察するための窓である。光コヒーレンストモグラフィー(OCT)を組み込んだ高速かつ非侵襲的な眼球イメージングにおける最近の進歩により、眼のイメージングを通じてより多くの健康関連情報を明らかにすることができる。眼球とその周辺組織との間の門(ポータル)としての篩状板は、眼圧の変化に敏感である。本発明の1つの実施形態は、ディープラーニングに基づくOCT画像の自動3次元篩状板ビジュアライゼーション及び測定を用いて、3次元での篩状板構造を考察する能力を向上させるものである。
【0029】
本実施形態によれば、深度の増加、曲率の増加、及び局所的欠損の発生などの篩状板構造の変化を引き起こす可能性のある疾患の診断において、高い感度及び高い特異性を実現することが可能である。これらの形態学的な特性は、緑内障などの疾患の構造的バイオマーカーとして使用することができる。更に、篩状板のこれらの特性を3次元で評価することにより、深度や断面曲率などの2次元構造のみの解析では分からない構造変化を評価することができる。
【0030】
本発明の1つの実施形態は、OCT画像ボリュームから3次元情報を抽出する新規な画像処理を用いて、篩状板構造を可視化し、定量化することができる。この方法では、OCT画像の品質、ひいては定量化に悪影響を及ぼす問題に対処するために、一連の前処理技術が採用される。この問題には、スペックルノイズやランダムノイズ、シャドウアーティファクト、深層部における信号の減衰や画像コントラストの低下などが含まれる。注目すべきは、この前処理方法が、特定の取得プロトコルを用いることなく一般的に取得される単一のOCTボリューム(例えば、単一のOCTスキャンで得られたボリューム)に対して作用し、既存のデータベースに遡及的に適用されて病態の新たな洞察を獲得することができるという実用的な利点を提供する点である。更に、この篩状板構造は、ディープラーニングに基づくアルゴリズムを使用して、本発明の1つの実施形態により、前処理が施されたOCTボリュームから順次にセグメント化される。
【0031】
本開示に係る臨床的に価値のある解析及びビジュアライゼーションを実現するための方法の一例を図1に示す。同図に示すように、受信部102は、OCTスキャンを実行することによって、又は以前に実行されたOCTスキャンからその結果を取得することによって、生の3次元OCTデータを取得するように又は別の方法で受信するように構成されている。取得されたデータに対して、次に、前処理104(ディープラーニング(DL、深層学習)ベースのOCT強調108、3次元シャドウ補償110、及びコントラスト強調112を含む)と、セグメンテーション106(3次元セグメンテーション114及び3次元平滑化(3次元スムージング)116を含む)とを施してもよい。3次元平滑化116の結果であるセグメント化された3次元データは、3次元レンダリング118によって3次元画像を作成するために使用されてもよく、並びに/又は、指標抽出及び解析120のために更なる処理に供されてもよい。前処理104、セグメンテーション106、3次元レンダリング118、並びに、指標抽出及び解析120は、本明細書に記載された必要な機能を実行するようプログラムされた処理回路によって実行される。この処理回路は、以下において更に説明するように、特定用途向け(application specific)ハードウェア及び回路、並びに/又は、プログラムされたプロセッサ回路(例えば、マイクロプロセッサ、CPU、コンピュータなど)を含んでいてもよい。
【0032】
前処理104は、例えば、2020年2月21日に出願された「Image Quality Improvement Methods for Optical Coherence Tomography」と題する米国特許出願第16/797,848号(その全体は、参照により本明細書に援用される)に記載されているような、ディープラーニングに基づくノイズ低減法を適用することによって、データや画像におけるスペックル及び他のノイズに対処するように構成されてもよい。更に、例えば、2019年9月28日に出願された「3D Shadow Reduction Signal Processing Method for Optical Coherence Tomography (OCT) Images」と題する米国特許出願第16/574,453号(その全体は、参照により本明細書に援用される)に記載されているような、画像処理及び/又はディープラーニング技術を適用することによって、シャドウアーティファクト及びプロジェクションアーティファクトを低減するようにしてもよい。もちろん、他のデノイズ技術を適用してもよい。
【0033】
前処理104は、生画像の全体又はボリュームの全体に適用されてもよいし、選択された関心領域のみに適用されてもよい。その結果、前処理104に入力されたそれぞれの生画像又はそれぞれのボリュームについて、複数の前処理された画像(前処理画像)が生成されてもよい。換言すると、生の3次元OCTデータから取り出された個々のBスキャン又はCスキャンは、複数の前処理画像を生成するために異なる前処理法に供されてもよい。前処理104に続いて、前処理画像(又は、この画像の基になるデータ)は、この画像/データ中の所望の部分(例えば、篩状板の前部)についてセグメント化114及び3次元平滑化116がなされる。3次元セグメンテーション処理114は、1つ以上の異なる技術を利用してもよい。ここで、適用されるそれぞれのセグメンテーション法は、個々としては、比較的単純かつ高速に実行でき、異なる長所及び異なる短所を有するものであってよい。
【0034】
幾つかのセグメンテーション法114は、(前処理強調後の)オリジナル画像フレームに適用されてもよい。幾つかの他のセグメンテーション法114は、隣接するフレームによって強調された(例えば、加重平均)オリジナルフレームに適用されてもよい。幾つかの他のセグメンテーション法114は、各フレームが篩状板とともに有意義な領域を有しており単に篩状板境界を含むだけのものにならないように、乳頭中心を通過する補間された放射状フレーム(補間ラジアルフレーム)に適用されてもよい。セグメンテーション法は、従来のエッジ検出に基づくセグメンテーション法若しくはグラフカットに基づくセグメンテーション法でもよいし、又は、ディープラーニングに基づくセグメンテーション技であってもよい。
【0035】
以上に説明した事項から、異なる複数のセグメンテーション法を、複数の前処理画像のうちの1つ以上に対して選択的に適用することができる。更に、(例えば、アーティファクトを引き起こす)減衰及びノイズがあるために、篩状板前面のセグメンテーションを3次元OCTボリュームにおいて行うことは従来は実用的に不可能であった。しかしながら、上述した前処理の適用に続いて、セグメンテーション技術は、平均化されたラインスキャン又はラジアルスキャンではなく、本発明の1つの実施形態に係るOCTボリューム全体に適用することも可能である。
【0036】
本発明の1つの実施形態では、別々に前処理された画像/データに対して各セグメンテーション法を適用してもよい。別の実施形態では、異なる複数の関心領域に対応する画像/データに対して複数のセグメンテーション法を選択的に適用してもよい。例えば、2つの前処理画像のうちの第1の画像に対して第1のセグメンテーション法によるセグメンテーションを適用しつつ、これら2つの前処理画像のうちの第2の画像に対して第2のセグメンテーション法によるセグメンテーションを適用してもよい。
【0037】
適用される前処理法の個数及びセグメンテーション法の個数にかかわらず、合成/強化されセグメント化された画像又はデータを生成するために複数のセグメンテーションが組み合わされる。これは、篩状板全部の構造を正確に反映するものであり、かつ、セグメンテーション及び/又は指標(例えば、診断指標)の解析及びビジュアライゼーションの一部としての異なる定量的指標120を決定する処理を十分な品質にするものである。
【0038】
3次元セグメンテーション114において、篩状板セグメンテーションの前にまずブルッフ膜開口部(BMO)を検出してもよい。本発明の1つの実施形態では、篩状板前面セグメントの境界を示し、それにより篩状板前面のセグメンテーションを境界づけるために、ブルッフ膜開口部が使用される。以下において更に説明するように、ブルッフ膜開口部の輪郭212は、データにおいて特定される。3次元セグメンテーション114は、ブルッフ膜開口部の周囲(境界、外縁)に沿った点の軌跡であるブルッフ膜開口部輪郭212に適合する平面を生成し、この平面を基準として、異なる複数のパラメータが抽出及び算出される。これらのパラメータは診断指標の基となる。
【0039】
図3は、前処理302、ディープラーニングに基づく検出304、及び後処理306を含む、本発明の1つの実施形態を示す。眼の大まかな乳頭領域は、画像強度に基づいてOCTアンファス(enface)画像においてセグメント化される。乳頭中心は、乳頭中心を横切る放射状スキャン(ラジアルスキャン)によって検出され、リサンプリングされる。大まかな乳頭セグメンテーションをシード(中心)として用いることによって、各画像をクロップすることができる。次に、ブルッフ膜開口部を検出するために、クロップされた画像に対して、(マニュアルラベルで学習された)ディープラーニングアルゴリズムが適用される。外れ値(異常値)データ点の除去及びブルッフ膜開口部の点をデカルト座標系(直交座標系)に戻す変換を行ってブルッフ膜開口部輪郭326を得るために、追加の処理が3次元で実行される。
【0040】
図2は、本発明の1つの実施形態によって生成される例示的な2次元ビジュアライゼーション及び3次元ビジュアライゼーションを表している。
【0041】
図3は、ブルッフ膜開口部セグメンテーション処理の1つの実施形態を有する。取得された生OCTボリューム(202、308)には、まず、ディープラーニングベースのノイズ低減310を用いた前処理302が施され、乳頭中心(204、312)を横切る放射状のリサンプルが施され、画像強度に基づくOCTアンファス画像を用いた粗い(rough)ブルッフ膜開口部セグメンテーション314が実行される。ブルッフ膜開口部セグメンテーションステップ304は、粗い乳頭セグメンテーションをシード(中心)として用いた各画像のクロッピングからなる(316、206)。次に、ブルッフ膜開口部を検出するために、クロップされた画像(208)に対して、(マニュアルラベルから学習された)ディープラーニングアルゴリズム318が適用される。初期セグメンテーションマップ320が得られ、外れ値除去322と、検出された点を直交座標系324に戻すマッピングとを含む後処理306が適用される。この処理の後、最終的なブルッフ膜開口部輪郭(326、212)が得られる。
【0042】
3次元OCTデータに基づいて定量化可能な指標を生成及び解析するために、セグメント化された表面を処理してもよい。これらの診断指標(本明細書では、パラメータ及び指標とも互換的に呼ばれる)は、前述した前処理及びセグメント化された強調OCTデータから生成されるので、これらの指標は、従来の技術によってOCTデータから導出される指標よりも著しく正確である。更に、これらの指標(及び、これらの指標から生成される任意のビジュアライゼーション)は、篩状板領域全体において決定されてもよい。
【0043】
図4は、本発明の1つの実施形態に係る抽出及び解析120で得られる指標のリストである。例えば、図4に示す指標は、篩状板の前面上の最低点及び最高点の深さ測定値及び座標(Low、High、Lx、Ly、Hx、Hy)、ブルッフ膜開口部の基準面(基準平面)と篩状板の前面との間の領域の体積(Vol)、ブルッフ膜開口部の輪郭のエリア(面積)(Bmo)、ブルッフ膜開口部の基準面からの篩状板の前面の平均深さ(Avg_d)、篩状板の前面の粗さの1つの指標としての、篩状板の前面と最適な多項式フィッティングの滑らかな表面との差の平均(D_mean)、篩状板の前面の粗さの別の指標としての、篩状板の前面と最適な多項式フィッティングの滑らかな表面との差の標準偏差(D_std)、篩状板の前面の形状の1つの指標としての、篩状板前面の線曲率の平均(R_mean)、篩状板の前面の形状の別の指標としての、篩状板前面の線曲率の標準偏差(R_std)、篩状板の前面の3次元表面のエリア(面積)(Area3)、ブルッフ膜開口部の基準面に対する篩状板前面の投影像の2次元エリア(面積)(Area2)、及び、Area3をArea2で除算して演算される粗さの指標(Ratio=Area3/Area2)を含んでいる。ブルッフ膜開口部の基準面808、906は、OCTボリュームからセグメント化されたブルッフ膜開口部の輪郭に対する一致度が最も高い(すなわち、ブルッフ膜開口部の輪郭に対する相関が最大である)平面を見つけることによって、指標の抽出及び解析120において計算される。最適な多項式平面フィッティングの滑らかな表面704は、セグメント化されたOCTデータからセグメント化された篩状板の表面に対して最大に相関する最適マッチング(best-matching)多項式面を見つけることによって、指標の抽出及び解析120において計算される。
【0044】
これらの指標は、緑内障やその他の神経疾患に関連する様々な状態を示している可能性がある。例えば、篩状板の深さ(深度)の増加は、緑内障眼の組織学的研究における後方歪み(posterior distortion)に相当する。篩状板の歪みの位置(すなわち、座標)は、より大きな損傷を有する領域に相当し得る。篩状板の体積は、篩状板の後方歪みの総和と解釈される可能性があり、また、篩状板の曲率は、緑内障眼において著しく大きく、緑内障に起因する篩状板の後方歪みを反映している可能性がある。位置、体積、及び粗さは、従来の2次元的な手法では正確に算出することができなかった、3次元的な構造パラメータである。
【0045】
図5は、本発明の1つの実施形態によって篩状板前面502の3次元レンダリングにより抽出された構造パラメータ及び指標の1つの例を示す。自動的に抽出された情報は、ブルッフ膜開口部の基準面508の位置、ブルッフ膜開口部輪郭506、及びブルッフ膜開口部領域504を含んでいる。
【0046】
パラメータは、重要な面及びこれら重要な面(important surfaces)における重要な位置(important locations)に関して抽出される。本発明の1つの実施形態によって自動的に特定及び抽出される重要な面は、複雑な形態を有するセグメント化された篩状板の前面(略して、篩状板前面)、ブルッフ膜開口部の輪郭にフィッティングされた平面(ブルッフ膜開口部の基準面)、及び、篩状板前面にフィッティングされた滑らかな放物面(適合放物面)を含んでいる。本発明の1つの実施形態によって自動的に特定及び抽出される重要な位置は、ブルッフ膜開口部輪郭の幾何中心(重心)を検出することによって得られる視神経乳頭中心(乳頭中心)、及び、(ブルッフ膜開口部の基準面に対する)最高点/最低点を含む。最高点/最低点は、ブルッフ膜開口部の基準面に対する(垂直方向の)距離が最大/最小となる篩状板前面上の点である。
【0047】
パラメータは、3次元データから以下のようにして算出される。
【0048】
篩状板の深さ:篩状板前面上の各点からブルッフ膜開口部の基準面までの(垂直方向の)距離。特に、最低点/最高点における深さは重要なパラメータである。篩状板前面における全ての点の深さの平均が平均深さとして算出される。
【0049】
最低点/最高点のX座標/Y座標:篩状板前面における最低点/最高点のスキャン座標系におけX位置/Y位置。
【0050】
表面距離:図7の例に示すように、各Aライン位置における篩状板前面702と適合放物面(fitted parabonoid)704との間の距離。この抽出において、実施形態では、まず、合計でAライン個数×フレーム個数(nAlines*nFrames)の表面距離を求める。OCTスキャナは、ある時点でのXY平面上の1つの点における全ての深度(Z方向)について画像情報を取得することができる。OCTボリュームは、XY平面上のラスタースキャンパターンの撮影で取得される。このスキャンは、初期Y位置から開始され、X方向(アライン方向(align direction))に沿ってスキャンを行うことで1つのフレームを完成させるものであり、各フレームのサイズは深さ個数×Aライン個数(nDepth*nAlines)である。スキャナは、次のY位置又はフレーム位置に移動して次のフレームをスキャンすることを、全てのフレーム(合計n個のフレーム)がスキャンされるまで行う。完全なOCTボリュームのサイズは、深さ個数×Aライン個数×フレーム個数(nDepth*nAlines*nFrames)である。そして、重要なパラメータとして、全ての表面距離の平均(Dist_mean)及び標準偏差(Dist_std)が算出される。
【0051】
線曲率:Z方向に平行な平面内において、かつ、スキャナ座標系のXY平面で定義される各角度に沿って、本発明の1つの実施形態では、篩状板前面と、乳頭中心を通る垂直な平面(Z方向/Aライン方向に平行な平面)とを通過する直線を求め、乳頭中心におけるこの直線の曲率を当該角度に沿った線曲率として算出することが可能である。篩状板前面の輪郭は、Z方向に平行でありXY平面にて定義された各角度に沿った平面によってスライスすることができる。篩状板の前部と垂直面510とを結ぶ線は、本発明の1つの実施形態が曲率を測定することが可能な曲線604である。例えば、各角度(例えば、1度間隔)に沿って、一連の(例えば、180個の)線曲率を算出することができる。これらの曲率の平均や標準偏差は、重要なパラメータとして記録される。例えば、図6は、乳頭中心を通過する交差線602の1つの例を示している。交差線の曲率は、R_mean及びR_stdで表される。
【0052】
ブルッフ膜開口部面積:ブルッフ膜開口部輪郭(ブルッフ膜開口部の基準面への投影)により定義される面の表面積。ブルッフ膜開口部輪郭は、3次元の点の集合であり、複雑な曲線を形成している。ブルッフ膜開口部平面は、ブルッフ膜開口部輪郭に最も適合(フィット)する平面である。ブルッフ膜開口部面積は、ブルッフ膜開口部輪郭をブルッフ膜開口部平面に対して垂直に投影することによって定義されるブルッフ膜開口部平面上の面積である。
【0053】
3次元面積:篩状板前面の表面積。
【0054】
2次元面積:ブルッフ膜開口部の基準面における篩状板前面の投影像の面積。
【0055】
篩状板の前方の体積(Pre-LC Volume)(Vol):図8は、各点における篩状板の深さの総和と、ブルッフ膜開口部の基準面808に沿った画素分解能とを乗じることによって算出することが可能な、篩状板前面810とブルッフ膜開口部の基準面808との間の領域全体のボリューム802の抽出及び計算の1つの例を示している。また、図8は、篩状板前面810における最高点804の高さ812及び最低点806の高さ814を示している。
【0056】
表面積比:3次元面積と3次元面積の比(表面の平坦さの測定値(指標))。図9の例に示すように、3次元表面積902(Area3)をブルッフ膜開口部基準面906上の2次元表面積904(Area2)で除算することによって、表面粗さ(比)を算出してもよい。Area2は、ブルッフ膜開口部の面積と同じ意義を持つ。
【0057】
本発明者らは、臨床経験に基づいて、緑内障被検者と正常対照被検者との間で篩状板の形態が異なることを見出した。この形態の相違は、図4に示した上述の指標に反映され得る。これらの指標は、緑内障に関連する形態変化を捉えることができるため、緑内障の早期発見に利用することができる。
【0058】
前述した複数の篩状板指標に反映される形態的特徴を統合して緑内障検出の性能を向上させるために、XGBoost機械学習モデルを構築した。データセットにおいては、緑内障患者の篩状板の深さ(0.53±0.14mm)が、対照被検者の篩状板の深さ(0.47±0.09mm、P=0.002)よりも有意に深かった。緑内障と対照者との識別に最も適した単一の篩状板パラメータは、最低点の深さであった(AUC 0.64)。最適化されたXGBoost解析では、優れた識別性能(AUC 0.90)が得られたが、これはRNFL(網膜神経線維層)の合計厚のAUC値(0.85)よりも良好であった。RNFLは網膜の部分層の1つであり、視神経の神経線維から構成されている。視神経が障害される疾患(眼性神経障害(視神経疾患、視神経症など)と総称される)では、RNFLが菲薄化することが知られている。そのため、緑内障などの視神経疾患の診断のためのOCTパラメータとしては、RNFL厚が最も一般的に用いられている。
【0059】
XGBoostは、ブラックボックス的な判断ではなく、説明可能な決定木構造を用いるため、結果の解釈可能性が向上される。図10及び図11は、列挙された各特徴(指標)の重み及びゲインを通じてそれらの指標の相対的な重要性を示すXGBoost解析の結果を示している。この例では、AxLは眼軸長を意味する。眼軸長は、篩状板前面から測定されるものではないが、日常的な眼科検査における標準的な測定値である。眼軸長は、角膜表面からブルッフ膜層までの距離であり、眼の寸法を反映している。眼軸長は、近視による眼球伸長の大きさを評価するために臨床的に使用されている。近視は眼球の異常な伸長を呈するため、緑内障のリスクを著しく高めるものである。
【0060】
図10及び図11の解析結果は、選択された指標それぞれが最終的な判断に寄与していることを示している。本発明の1つの実施形態では、これらの指標のそれぞれを緑内障検出におけるファクタとして個別に使用してもよい(例えば、図4に示す指標のうちの1つ)。或いは、任意の2つの指標、任意の3つの指標、任意の4つの指標などの組み合わせ、又は図4に示す全ての指標は、緑内障検出のますます有用な指標として機能することができる。例えば、Low、Lx、Ly、Vol、D_mean、R_mean、及びRatioを含む7つの指標のサブセットのみの組み合わせを用いる本発明の1つの実施形態は、緑内障の有効な指標を提供する。
【0061】
本発明の1つの実施形態は、図4で特定された指標のうちの1つ又は複数の指標(個別に、互いに組み合わせて、及び/又は、従来のRNFL網膜神経線維層パラメータと組み合わせて)に基づいて、被検者の対象医学的状態(対象疾患、対象病状)の発生及び重症度を特定することができる。上述したように、対象医学的状態は、視神経障害の最も一般的な種類である緑内障であってよい。加えて、対象医学的状態は、他の眼性神経障害及び非眼性神経情報を含んでもよい。他の眼性神経障害としては、虚血性、外傷性、遺伝性、炎症性、薬剤性、及び先天性の神経障害(ニューロパチー)などの他の視神経症、並びに、ONH(視神経乳頭)の実質的な歪みを引き起こす可能性のある病的近視が挙げられる。更に、本発明の1つの実施形態は、現在はOCTを用いた診断が行われていない非眼性の病態にまでOCTの臨床応用を拡大することができる。このような非眼性対象病態としては、脳腫瘍、脳内出血、脳外傷、脳膿瘍、髄膜炎、脳炎、偽脳腫瘍、脳血管障害、及び悪性高血圧など、乳頭浮腫(つまり、頭蓋内圧上昇によるONHの隆起)の原因となり得る病態が挙げられる。本発明の1つの実施形態は、眼と中枢神経系との間の門(portal)としてのONHの特性を利用することによって、ONHイメージングを中枢神経系の病態の診断に適用する機会(可能性、きっかけ)を提供し得る。
【0062】
特別なプロトコルを必要せずに、本開示に係る技術は、OCTスキャナに直接に又は同時に接続される必要がなく、既存のあらゆる3次元データに対して遡及的に適用することが可能である。この3次元データは、単一の値に集約されるか、又は任意の方向に沿ってスライス/集約されることで、以前の技術が可能であるように2次元ビューを得ることができる一方、全体の3次元情報を観察する能力と異なる複数のビュー/複数の位置の間で切り替える能力とを追加的処理を行うことなく提供し、更に、2次元の場合よりも優れた正確度を提供することが可能である。本明細書で使用されるように、単数形で記載され、単語「a」又は「an」に続く要素又はステップは、複数の要素またはステップを除外することが明示的に記載されていない限り、複数の要素またはステップを除外しないものと理解されるべきである。更に、本発明の「1つの実施形態」への言及は、それに記載された特徴も組み込んだ追加的な実施形態の存在を除外するように解釈されることを意図していない。
【0063】
本明細書に記載の制御及び処理方法及び/又はシステムは、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせ若しくはそれらのサブセットを含むコンピュータプログラミング又は工学技術を用いて実装されてよく、その技術的効果は、本開示に係る3次元データ及び診断指標の処理を少なくとも含んでいてもよい。
【0064】
図12は、本明細書に記載されている様々な実施形態を実施し得るコンピュータのブロック図を示す。本開示の制御及び処理の態様は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品として具現化され得る。コンピュータプログラム製品は、1つ又は複数のプロセッサに実施形態の態様を実行させ得るコンピュータ可読プログラム命令が記録されたコンピュータ可読記憶媒体を含んでいてもよい。
【0065】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置(プロセッサ)によって使用するための命令を格納することが可能な有形かつ非一時的なデバイスであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又はこれらデバイスの任意の適切な組合せであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、以下の各々(及び、それらの適切な組み合わせ)を含む:フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスク(CD又はCD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、MO、及び、メモリカード又はメモリスティック。本開示で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、それ自体が一時的な信号であると解釈されるべきではない。この一時的な信号は、例えば、電波若しくは他の自由に伝播する電磁波、導波路又は他の伝送媒体を伝播する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)、又は、ケーブルを通過する電気信号などである。
【0066】
本開示で説明する機能を実装するコンピュータ可読プログラム命令は、グローバルネットワーク(すなわち、インターネット)、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又は無線ネットワークを介して、コンピュータ可読記憶媒体から、又は、外部コンピュータ若しくは外部記憶装置に、適切なコンピューティング装置又は処理装置にダウンロードされ得る。ネットワークは、銅伝送線、光通信ファイバー、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含んでいてもよい。各コンピューティング装置又は処理装置内のネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェイスは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令をそのコンピューティング装置又は処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に格納するために転送することができる。
【0067】
本開示の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、機械語命令及び/又はマイクロコードを含んでもよく、これは、アセンブリ言語、BASIC、FORTRAN、Java、Python、R言語、C言語、C++、C#、又は同様のプログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードからコンパイル又は解釈されてもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのパーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレット、若しくはスマートフォン上で完全に実行してもよく、リモートコンピュータ若しくはコンピュータサーバ上で完全に実行してもよく、又は、これらのコンピューティングデバイスの任意の組合せで実行してもよい。リモートコンピュータ又はコンピュータサーバは、ローカルエリアネットワーク若しくはワイドエリアネットワーク、又はグローバルネットワーク(すなわち、インターネット)を含むコンピュータネットワークを介して、ユーザのデバイス又は複数のデバイスに接続されてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本開示の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令からの情報を用いてこの電子回路を構成又はカスタマイズすることによってこのコンピュータ可読プログラム命令を実行し得る。
【0068】
本開示の態様は、本開示の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及びブロック図を参照して本明細書で説明されている。フローチャート及びブロック図の各ブロック、並びにフローチャート及びブロック図の複数のブロックの組み合わせはがコンピュータ可読プログラム命令によって実装できることは、当業者には理解されるであろう。
【0069】
本開示に記載のシステム及び方法を実施し得るコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブル装置のプロセッサを介して実行される命令が、本開示のフローチャート及びブロック図において特定されている機能を実施するためのシステムを構築するように、機械を生成するために汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、又は他のプログラマブル装置の1つ又は複数のプロセッサ(及び/又は、プロセッサ内の1つ又は複数のコア)に提供されてもよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、格納された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体が、本開示におけるフローチャート及びブロック図において特定されている機能の態様を実装する命令を含む製造品となるように、コンピュータ、プログラマブル装置、及び/又は他の装置に対して特定の方法で機能するように指示を行うことが可能なコンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよい。
【0070】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他の装置上で実行される命令が本開示のフローチャート及びブロック図において特定されている機能を実装するように、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他の装置にロードされて、コンピュータに実装されたプロセスを生成するために一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他の装置に実行させてもよい。
【0071】
図12は、ネットワーク接続されている1つ又は複数のコンピュータ及びサーバのネットワーク化されたシステム1200の1つの例を示す機能ブロック図である。1つの実施形態において、図12に例示されたハードウェア及びソフトウェア環境は、本開示に係るソフトウェア及び/又は方法の実装のための例示的なプラットフォームを提供し得る。図12を参照すると、ネットワーク化されたシステム1200は、コンピュータ1205、ネットワーク1210、リモートコンピュータ1215、ウェブサーバ1220、クラウドストレージサーバ1225、及びコンピュータサーバ1230を含んでいてよいが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態では、図12に例示された機能ブロックのうちの1つ以上の複数の例を採用してもよい。
【0072】
コンピュータ1205の追加的な詳細もまた、図12に示されている。コンピュータ1205内に例示されている機能ブロックは、例示的な機能を確立するためにのみ提供されたものであり、網羅的であることを意図していない。また、リモートコンピュータ1215、ウェブサーバ1220、クラウドストレージサーバ1225、及びコンピュータサーバ1230についての詳細は提供されていないが、これらの他のコンピュータ及びデバイスは、コンピュータ1205について示されているものと同様の機能性を含んでいてもよい。コンピュータ1205は、パーソナルコンピュータ(PC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、又は、ネットワーク1210上の他のデバイスと通信することが可能な他の任意のプログラム可能な電子デバイスであってもよい。
【0073】
コンピュータ1205は、プロセッサ1235、バス1237、メモリ1240、不揮発性ストレージ1245、ネットワークインターフェイス1250、周辺機器インターフェイス1255、及びディスプレイインターフェイス1265を含んでいてもよい。これらの機能の各々は、幾つかの実施形態では、個々の電子サブシステム(集積回路チップ、又はチップと関連デバイスとの組み合わせ)として実装されてもよく、或いは、他の実施形態では、機能の幾つかの組み合わせが単一チップ(システムオンチップ又はSoCと呼ばれることもある)上に実装されてもよい。
【0074】
プロセッサ1235は、Intel Corporation、Advanced Micro Devices Inc.(AMD)、Arm Holdings(Arm)、Apple Computerなどによって設計及び/又は製造されたものなど、1つ以上のシングルチップ又はマルチチップのマイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサの例としては、Intel CorporationのCeleron、Pentium、Core i3、Core i5、及びCore i7、AMDのOpteron、Phenom、Athlon、Turion、及びRyzen、並びに、ArmのCortex-A、Cortex-R、及びCortex-Mなどが挙げられる。バス1237は、ISA、PCI、PCI Express(PCI-e)、AGPなどの、私有の(プロプライエタリ)又は業界標準の高速なパラレル又はシリアル周辺機器相互接続バスであってもよい。
【0075】
メモリ1240及び不揮発性ストレージ1245は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。メモリ1240は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)などの任意の適切な揮発性ストレージデバイスを含んでもよい。不揮発性ストレージ1245は、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュ)、コンパクトディスク(CD又はCD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、及び、メモリカード又はメモリスティックのうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0076】
プログラム1248は、機械可読命令及び/又はデータの集合であってよく、この集合は、不揮発性ストレージ1245に格納されており、本開示の他の箇所で詳細に説明され、図面に示されている特定のソフトウェア機能を作成し、管理し、制御するために使用される。幾つかの実施形態において、メモリ1240は、不揮発性ストレージ1245と比較して十分に高速であってもよい。そのような実施形態では、プロセッサ1235による実行の前に、プログラム1248が不揮発性ストレージ1245からメモリ1240に転送されてもよい。
【0077】
コンピュータ1205は、ネットワークインターフェイス1250を通じネットワーク1210を介して他のコンピュータと通信し、相互作用する(協働する、情報を交換する)ことが可能であってもよい。ネットワーク1210は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)、又はこれらの組み合わせであってもよく、有線接続、無線接続、又は光ファイバー接続を含んでいてもよい。一般に、ネットワーク1210は、2つ以上のコンピュータ及び関連デバイスの間における通信をサポートする接続及びプロトコルの任意の組み合わせとすることができる。
【0078】
周辺機器インターフェイス1255は、コンピュータ1205とローカルに接続され得る他のデバイスとの間におけるデータの入出力を可能にしてもよい。例えば、周辺機器インターフェイス1255は、外部デバイス1260への接続を提供してもよい。外部デバイス1260は、キーボード、マウス、キーパッド、タッチスクリーン、及び/又は他の適切な入力デバイスなどのデバイスを含んでいてもよい。外部デバイス1260は、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ(thumb drive)、ポータブル光ディスク又はポータブル磁気ディスク、及びメモリカードなどの、ポータブルコンピュータ可読記憶媒体を含んでいてもよい。本開示の実施形態を実用化するために使用されるソフトウェア及びデータ(例えばプログラム1248)は、このような携帯型コンピュータ可読記憶媒体に格納されていてもよい。そのような実施形態では、ソフトウェアは、周辺機器インターフェイス1255を介してメモリ1240に直接にロードされてもよいし、或いは、不揮発性ストレージ1245にロードされてもよい。周辺機器インターフェイス1255は、外部デバイス1260と接続するために、RS-232又はユニバーサルシリアルバス(USB)などの業界標準接続を使用してもよい。
【0079】
ディスプレイインターフェイス1265は、コンピュータ1205をディスプレイ1270に接続してもよい。ディスプレイ1270は、幾つかの実施形態において、コンピュータ1205のユーザにコマンドライン又はグラフィカルユーザインターフェースを提示するために使用されてもよい。ディスプレイインターフェイス1265は、VGA、DVI、DisplayPort、及びHDMI(登録商標)など、1つ又は複数の私有の(プロプライエタリ)又は業界標準の接続を用いてディスプレイ1270に接続してもよい。
【0080】
上述したように、ネットワークインターフェイス1250は、コンピュータ1205の外部にある他のコンピューティングシステム及びストレージシステム又はデバイスとの通信を提供する。本明細書で説明されるソフトウェアプログラム及びデータは、例えば、リモートコンピュータ1215、ウェブサーバ1220、クラウドストレージサーバ1225、及びコンピュータサーバ1230から、ネットワークインターフェイス1250及びネットワーク1210を介して、不揮発性ストレージ1245にダウンロードされてもよい。更に、本開示で説明するシステム及び方法は、ネットワークインターフェイス1250及びネットワーク1210を通じてコンピュータ1205に接続された1つ又は複数のコンピュータによって実行されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、本開示で説明するシステム及び方法は、リモートコンピュータ1215、コンピュータサーバ1230、又はネットワーク1210上の相互接続された複数のコンピュータの組合せによって実行されてもよい。
【0081】
本開示に記載のシステム及び方法の実施形態において採用されるデータ、データセット及び/又はデータベースは、リモートコンピュータ1215、ウェブサーバ1220、クラウドストレージサーバ1225、及びコンピュータサーバ1230に格納されてもよく、及び/又は、それらからダウンロードされてもよい。
【0082】
上述の教示に照らして本発明の数々の変更及び変形を行うことが可能である。したがって、添付した特許請求の範囲が示す範囲内において、本明細書に具体的に記載されたものとは別の態様で本発明を実施し得ることが理解される。

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