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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055410
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】液体容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20230411BHJP
   B65D 77/06 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B65D1/02 100
B65D77/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164769
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】滝田 亮一
【テーマコード(参考)】
3E033
3E067
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033DB01
3E033DD01
3E033FA02
3E033GA02
3E067AA03
3E067BA03C
3E067BA12B
3E067BB01C
3E067BB15B
3E067BB16B
3E067FA04
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】パルプ資源を利用して製造した液体容器であり、しかも、ボトルの外観に類似した液体容器であって、その内外のいずれにも突起物が突出することがない液体容器を提供すること。
【解決手段】パルプモールド製のボトル形状の外殻10の内部に、液体を保持するための袋状体を配置して液体容器100とする。外殻10は、組み合わせることでボトル形状となる複数のパルプモールド成型品11,12から構成されている。そして、パルプモールド成型品(特定成型品)11は、隣接成形品12の方向に向かって突出する接合片11a、11a,11aを有しており、かつ、この接合片11a、11a,11aは隣接成形品12の接合端部の内側に重ねられて接合されており、その接合位置で、外面に段差がない滑らかな外観を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプモールド製のボトル形状の外殻の内部に、液体を保持するための液体保持空間を有する液体容器において、
前記外殻は、組み合わせることでボトル形状となる複数のパルプモールド成型品から構成されており、
複数の前記パルプモールド成型品のうち少なくとも一つの成形品(特定成形品)は、これと接合する隣接成形品の方向に向かって突出する接合片を有しており、かつ、この接合片は前記隣接成形品の接合端部の内側に重ねられて接合されており、
その接合位置で、外面に段差がない滑らかな外観を備えている、
液体容器。
【請求項2】
前記パルプモールド成型品の接合片の厚みと接合片以外の領域の厚みが同じである請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
前記接合片は、その根元から内側に向かって隆起している請求項1又は2に記載の液体容器。
【請求項4】
前記接合位置を除いて、すべての前記外殻の厚みが同じである請求項1~3のいずれかに記載の液体容器。
【請求項5】
前記液体保持空間が、液体を透過しない材料で構成される袋状体に囲まれた空間であり、
前記袋状体はボトル形状の前記外殻の首部分に固定されている請求項1~4のいずれかに記載の液体容器。
【請求項6】
前記液体保持空間が、前記外殻の内側表面に位置する樹脂被膜により囲われた空間である請求項1~4のいずれかに記載の液体容器。
【請求項7】
パルプモールド製のボトル形状の外殻の内部に、液体を保持するための液体保持空間を有する液体容器の製造方法において、
組み合わせることでボトル形状となる複数のパルプモールド成型品であって、そのうち少なくとも一つの成形品(特定成形品)がこれと接合する隣接成形品の方向に向かって突出する接合片を有している前記数のパルプモールド成型品を準備する工程と、
特定成形品の前記接合片を前記隣接成形品の接合端部の内側に重ねて接合する工程であって、しかも、その接合位置で、外面に段差がない滑らかな外観を形成するように接合する工程と、
前記液体保持空間を形成する工程と、
を有する液体容器の製造方法。
【請求項8】
接合片を隣接成形品の接合端部に接合する前記工程において、
前記接合片及び隣接成形品の接合端部の両者をあらかじめ湿潤させておき、両者を接触させた状態で乾燥させる請求項7に記載の液体容器の製造方法。
【請求項9】
前記液体保持空間を形成する工程が、液体を透過しない材料で構成される袋状体を、前記外殻の内部に収容される位置となるように配置する工程である請求項7又は8に記載の液体容器の製造方法。
【請求項10】
前記液体保持空間を形成する工程が、前記外殻の内側表面に樹脂被膜を形成する工程である請求項7又は8に記載の液体容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプモールドを利用したボトル形状の液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ボトル形状の液体容器にはガラス製の容器もあるが、ガラス製ボトルは比較的高価であり、また、その廃棄や回収にも負担が掛かることから、合成樹脂製のボトルが広く使用されている。例えば、いわゆるPETボトルである。
【0003】
しかし、合成樹脂は一般に自然界で分解せず、また、その製造のために石油等の化石資源を消費することから、これに代えて、自然界で分解し、しかも、再生可能なパルプ資源を利用してボトルの外観に類似した液体容器を製造する技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、ボトルを縦に半裁した形状のパルプモールド成型品を2つ製造すると共に、口栓部分を取り付けた袋状体を準備し、この袋状体の口栓部分を挟んで、2つの前記パルプモールド成型品を互いに接合してボトル状の外殻とする技術を記載している。液体内容物は前記口栓を通じて袋状体に充填されるが、この袋状体は完成したボトル状の外殻の内部に収容されているため、袋状体が外観に影響することはなく、その外観はボトルの外観に類似している。そして、この特許文献1では、その成形品同士の接合を確実とするため、前述の2つのパルプモールド成型品の両方に接合用のフランジ部を設け、しかも、このフランジ部がボトル外面に向けて突出するように設けて、これらフランジ部同士を向かい合わせて接合させている。このように2つの成形品の両方に設けたフランジ部を向かい合わせに接合させることによりその接合面積を広くして、2つの成形品を強固にしかも確実に接合するのである。
【0005】
もっとも、このようにボトル外面に向けて突出するようにフランジ部を設けた場合には、完成したボトル状外殻でも、接合したフランジ部がその外側に向けて突出した形状となる。そこで、特許文献1は、その外観を整えるため、前記フランジ部を内側に向けて折り曲げ、こうして折り曲げた両フランジ部同士を向かい合わせに接合させる技術も開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-196644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、特許文献1に記載の技術は、自然界で分解し、しかも、再生可能なパルプ資源を利用してボトルの外観に類似した液体容器を製造できる点で優れた技術である。しかしながら、フランジ部を内側に向けて折り曲げており、従ってボトル状の外殻の内側に向けて突出しているため、このフランジ部によって、内部に収容された袋状体が損傷を受けることがあるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、パルプ資源を利用して製造した液体容器であり、しかも、ボトルの外観に類似した液体容器であって、その内外のいずれにも突起物が突出することがない液体容器を提供することを目的とする。
【0009】
また、併せて、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、まず本発明に係る液体容器の発明は、パルプモールド製のボトル形状の外殻の内部に、液体を保持するための液体保持空間を有する液体容器において、
前記外殻は、組み合わせることでボトル形状となる複数のパルプモールド成型品から構成されており、
複数の前記パルプモールド成型品のうち少なくとも一つの成形品(特定成形品)は、これと接合する隣接成形品の方向に向かって突出する接合片を有しており、かつ、この接合片は前記隣接成形品の接合端部の内側に重ねられて接合されており、
その接合位置で、外面に段差がない滑らかな外観を備えている、
液体容器である。
【0011】
前記パルプモールド成型品の接合片の厚みと接合片以外の領域の厚みは同じであってよい。
【0012】
また、前記接合片は、その根元から内側に向かって隆起しているものであってもよい。
【0013】
さらに、前記接合位置を除いて、すべての前記外殻の厚みが同じであってもよい。
【0014】
また、前記液体保持空間が液体を透過しない材料で構成される袋状体に囲まれた空間であり、この袋状体がボトル形状の前記外殻の首部分に固定されていてもよい。
【0015】
あるいは、前記液体保持空間は、前記外殻の内側表面に位置する樹脂被膜により囲われた空間であってもよい。
【0016】
次に、本発明に係る液体容器の製造方法の発明は、パルプモールド製のボトル形状の外殻の内部に、液体を保持するための液体保持空間を有する液体容器の製造方法において、
組み合わせることでボトル形状となる複数のパルプモールド成型品であって、そのうち少なくとも一つの成形品(特定成形品)がこれと接合する隣接成形品の方向に向かって突出する接合片を有している前記複数のパルプモールド成型品を準備する工程と、
特定成形品の前記接合片を前記隣接成形品の接合端部の内側に重ねて接合する工程であって、しかも、その接合位置で、外面に段差がない滑らかな外観を形成するように接合する工程と、
前記液体保持空間を形成する工程と、
を有する液体容器の製造方法である。
【0017】
接合片を隣接成形品の接合端部に接合する前記工程は、これを、前記接合片及び隣接成形品の接合端部の両者をあらかじめ湿潤させておき、両者を接触させた状態で乾燥させる工程とすることができる。
【0018】
また、前記液体保持空間を形成する工程は、液体を透過しない材料で構成される袋状体を、前記外殻の内部に収容される位置となるように配置する工程とすることができる。
【0019】
あるいは、液体保持空間を形成する工程を、前記液体保持空間を形成する工程が、前記外殻の内側表面に樹脂被膜を形成する工程とすることも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、特定成形品の接合片を隣接成形品の接合端部の内側に重ねて接合し、しかも、外面には段差がないので、外殻の外側はもちろん、内側に向けても突出することがない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明の第1の実施形態に係る液体容器の斜視図である。
図2図2は本発明の第1の実施形態に係る液体容器の分解斜視図である。
図3図3は本発明の第1の実施形態に係り、パルプモールド成型品同士の接合構造を説明するための説明用断面図である。
図4図4は本発明の第1の実施形態に係り、袋状体の接合構造を説明するための説明用断面図である。
図5図5は本発明の第2の実施形態に係り、図5(a)はパルプモールド成型品同士の接合構造を説明するための説明用断面図、図5(b)は液体容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る液体容器の斜視図であり、図2はその分解斜視図である。
【0023】
これらの図から分かるように、この実施形態に係る液体容器100は、ボトル形状の外殻10、口栓20及び袋状体30を備えて構成されている。そして、外殻10は、複数のパルプモールド成型品11,12を組み合わせて構成されている。この例では、パルプモールド成型品は2つで、ボトル形状の前記外殻10をその中央から縦に二分した形状を有している。このため、左側のパルプモールド成型品11と右側のパルプモールド成型品12とを組み合わせると、ボトル形状の前記外殻10となる。なお、パルプモールド成型品は2つに限られず、例えば、3つのパルプモールド成型品を組み合わせてボトル形状の前記外殻10を構成してもよい。
【0024】
これらパルプモールド成型品11,12は、パルプ繊維を水に分散させてスラリー状とし、これを金型(雌型)に流し込み、雌型の外側から真空吸引して脱水することにより形成することができる。また、雌型に流し込んだ前記スラリーを雄型で加圧して脱水することによって形成することもできる。いずれにしても、このパルプモールド成型品11,12は脱水されているものの未乾燥の状態であり、このため、水分を付与することにより湿潤し、この湿潤した部位を利用してパルプモールド成型品の湿潤した部位同士を接触させた状態で乾燥させることにより、パルプモールド成型品11,12同士を接合することができる。
【0025】
ところで、左側のパルプモールド成型品11に着目して、これを特定成形品とすると、右側のパルプモールド成型品12はこの特定成形品11に隣接してこれと接合される成型品(隣接成形品)である。このため、前記特定成形品11には隣接成形品12の方向に向かって突出する接合片11aが設けられている。この例では、接合片11aは3ケ所に設けられており、それぞれ、11a,11a及び11aの符号が付されている。
【0026】
もっとも、接合片の数はこれに限られず、もっと多くても良いし、少なくても良い。また、特定成形品11と隣接成形品12との接合面の全領域に接合片を設けても良い。
【0027】
そして、図3の説明用断面図に示すように、接合片11aは、ボトル形状の前記外殻10の内側に位置するように、特定成形品11の端部を根元として、この根元から前記外殻10の内側に向かって隆起するように配置されている。そして、この結果、この接合片11aの外表面と特定成形品11の外表面との間に段差が生じている。この段差は隣接成形品12の厚みと同一であり、このため、図3に示すように、隣接成形品12の接合端面12bを特定成形品11の接合端面12aと突き合わせ、かつ、前記接合片11aを隣接成形品12の接合端部の内側に重ねて接合したとき、特定成形品11の外表面と隣接成形品12の外表面との間に段差が生じることがなく、滑らかで面一の表面とすることが
できる。
【0028】
なお、接合片11aと隣接成形品12の接合端部と接合は、例えば、これら接合片11a及び隣接成形品12の接合端部の両方に水分を付与して湿潤させ、こうして湿潤した両者を接触さえた状態で乾燥することによって可能である。また、特定成形品11と隣接成形品12は、両者を接合する前に、接合片11a及び隣接成形品12の接合端部以外の領域を乾燥させておいてもよい。
【0029】
以上、接合片11aを例として特定成形品11と隣接成形品12との接合構造を説明したが、その他の接合片11a,11aについても同様である。すなわち、これら接合片11a,11aと隣接成形品12の接合端部の両方に水分を付与して湿潤させることにより、両者を接合することができる。また、こうして接合した部分の外表面には段差がなく、滑らかで面一の表面とすることができる。
【0030】
また、右側のパルプモールド成型品12を隣接成形品として説明したが、この右側のパルプモールド成型品12の反対側の端部にも接合片が設けられている。もっとも、図2においては、この接合片はパルプモールド成型品12の胴部の背後に隠されており、このため、図2には図示されていない。そして、このように右側のパルプモールド成型品12も接合片を有しているため、このパルプモールド成型品12を特定成形品とすると、隣接成形品は左側のパルプモールド成型品11である。そして、これら特定成形品12と隣接成形品11も同様に接合することが可能である。
【0031】
なお、底部には接合片が設けられていないが、両成形品11,12の底部端面に水分を付与して室分させ、端面同士を突き合わせて接合することが可能である。
【0032】
ところで、これら接合片の厚みと、成形品11,12の接合片以外の領域の厚みとは同一であることが望ましい。この結果、これら成形品11,12を接合して得られたボトル形状の前記外殻10の厚みは、接合片が隣接成形品の内側に重ねられた接合位置を除いて、すべての位置でその厚みが同一である。こうすることにより、外殻全体で乾燥の仕方が均一になり易いため、外殻の表面形状の均一性に優れたものとなる。もっとも、誤差程度の厚みむらが許されるのはもちろんである。
【0033】
次に、この実施形態においては、前記外殻10の内部に袋状体30を収容して、この袋状体30に囲まれた空間を、液体を保持するための液体保持空間としている。なお、このように内部に液体を保持可能とするため、この袋状体30は樹脂フィルム等の液体を透過しない材料で構成されている。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等が挙げられる。袋状体30は、単層構造あるいは多層構造であってよい。
【0034】
口栓20は、この袋状体30を前記外殻10に固定して、しかも、液体を袋状体30に注入し、また、注出可能とするもので、図4に示すように、袋状体30に設けられた貫通孔に対して、その内側から筒状体21を挿入して、この筒状体21の下部に設けられたフランジ22を袋状体30の前記貫通孔の周囲に固定されている。固定の方法は、例えば、フランジ22を前記貫通孔の周囲に溶着、接着する方法、並びに、フランジ22を外殻で挟む方法が挙げられる。なお、この筒状体21及びフランジ22には、これを貫通する孔20xが設けられており、この貫通孔20xを通じて液体を袋状体30に注入充填し、また、注出することができる。また、口栓には、孔20xの先端にある開口部を覆うキャップ(不図示)が取り付けられていてもよい。
【0035】
そして、図1及び図2に示すように、袋状体30に固定されたこの口栓20を介在させ
た状態で前記特定成形品11と隣接成形品12とを互いに接合することにより、口栓20と共に袋状体30を固定することができる。なお、この際、口栓20がボトル形状の前記外殻10の首部分に位置するように口栓20を配置することが望ましい。また、この口栓20及び袋状体30は、前記外殻10に対して回転可能であってもよいが、回転できないように固定することが望ましい。
【0036】
この第1の実施形態に係る液体容器100は、次のような工程を経て製造することができる。
【0037】
すなわち、まず、液体容器100を構成する各パルプモールド成型品11,12及び袋状体30に固定された口栓20を準備する工程である。このとき、各パルプモールド成型品11,12のうち、少なくとも1つのパルプモールド成型品は、これと接合する隣接成形品の方向に向かって突出する接合片を有している必要がある。前述のように、この実施形態では、パルプモールド成型品11が接合片11a,11a及び11aを有している。また、パルプモールド成型品12も図示しない接合片を有している。また、これらパルプモールド成型品11,12は、水分の付与によって湿潤し、互いに接合可能となるものであることが望ましい。
【0038】
次に、パルプモールド成型品11の接合片をパルプモールド成型品12の接合端部の内側に重ねて接合する工程を行う。すなわち、これら各パルプモールド成型品11,12の所定部位に水分を供給して湿潤させる。ここで、「湿潤」とは、パルプモールド成型品の所定部位が水分を含んで湿った状態になっていることを意味し、水分で膨らんだ状態であっていてもよい。すなわち、パルプモールド成型品が湿潤していることは、パルプモールド成型品が膨潤していることを含む。そして、袋状体30に固定された前記口栓20を介在させて、湿潤した各パルプモールド成型品11,12を互いに対面させて接触させる。このとき、前記接合片11a,11a及び11aをパルプモールド成型品12の接合端部の内側に重ねる。しかも、接合位置で、外面に段差がない滑らかな外観を形成するように接触させる。そして、こうして接触させられた両パルプモールド成型品11,12を加熱乾燥することにより、前記外殻10を形成する。この工程において、各パルプモールド成型品11,12は、両者を接合する前に、前記接合片11a,11a及び11a及び隣接成形品12の接合端部以外の領域を乾燥させておいてもよい。前記外殻10の内部に液体を保持できる袋状体30を収容して、前記液体容器100を製造することができる。
【0039】
以上説明したように、第1の実施形態では、前記袋状体30に囲まれた空間を液体保持空間としたが、前記外殻10の内側表面に樹脂被膜を形成して、この樹脂被膜樹脂被膜により囲われた空間を液体保持空間としてもよい。
【0040】
この場合には、図5(a)及び(b)に示すように、袋状体30や口栓20を介在させることなく、両パルプモールド成型品11,12を接合して外殻10を形成した後、例えば、スプレー塗布等の方法で、外殻10の内側表面に樹脂被膜を形成すればよい。樹脂被膜を構成する材料は、液体を透過しないものであれば、任意である。
【0041】
なお、接合する前の各パルプモールド成型品11,12の内側表面に樹脂被膜を形成した後、これら各パルプモールド成型品11,12を接合して外殻10を形成することも不可能ではないが、外殻10形成後に樹脂被膜を形成することが望ましい。
【符号の説明】
【0042】
100:液体容器
10:外殻
11:左側のパルプモールド成型品(特定成形品) 11a、11a,11a:接合片 11b:端面
12:右側のパルプモールド成型品(隣接成形品) 12b:端面
20:口栓 20x:貫通孔 21:筒状体 22:フランジ
30:袋状体
図1
図2
図3
図4
図5