(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055823
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】低用量ブリモニジンの組み合わせおよびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/498 20060101AFI20230411BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230411BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20230411BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230411BHJP
A61K 31/5575 20060101ALI20230411BHJP
A61K 31/4535 20060101ALI20230411BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230411BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230411BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230411BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230411BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230411BHJP
A61P 27/14 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
A61K31/498
A61P27/02
A61P27/06
A61K45/00
A61K31/5575
A61K31/4535
A61P43/00 112
A61P43/00 113
A61P37/08
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/38
A61P27/14
【審査請求】有
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012550
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2019567535の分割
【原出願日】2018-06-07
(31)【優先権主張番号】62/621,082
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/516,931
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513051449
【氏名又は名称】アイ・セラピーズ・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・ホーン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】緑内障もしくはアレルギーを処置しまたは炎症を低減するための眼科用組成物および方法を提供する。
【解決手段】約0.01%~約0.050%(w/v)のブリモニジンと有効量の第2の緑内障薬とを含む、緑内障の処置のための眼科用組成物であって、(w/v)が前記組成物の総体積による重量を示す、眼科用組成物である。また、前記組成物を投与することによって、緑内障もしくはアレルギーを処置するか、または炎症を低減する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.01%~約0.050%(w/v)のブリモニジンと有効量の第2の緑内障薬とを含む、緑内障の処置のための眼科用組成物であって、(w/v)が前記組成物の総体積による重量を示す、眼科用組成物。
【請求項2】
前記ブリモニジンが、約0.035%~約0.050%(w/v)の濃度である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第2の緑内障薬が、プロスタグランジン、ベータ遮断薬、rhoキナーゼ阻害薬、および炭酸脱水酵素阻害薬からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記緑内障薬が、ラタノプロスト、ビマトプロスト、トラバプロスト(travaprost)、タフルプロスト、ネタルスジル(netarsudil)、カルテオロール、チモプチク(timoptic)、チモロール、ベタロキソール(betaloxol)、レボブノロール、メチプラノロール、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミドおよびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第2の緑内障薬が、約0.001%~約1.0%(w/v)の濃度である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2の緑内障薬が、約0.001%~約0.1%(w/v)の濃度のプロスタグランジン、または約0.01%~約1.0%(w/v)の濃度のrhoキナーゼ阻害薬、または約0.1%~約1.0%(w/v)の濃度のベータ遮断薬、または約0.5%~約5%(w/v)の濃度の炭酸脱水酵素阻害薬である、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2の緑内障薬が、約0.0015%~約0.03%(w/v)の濃度のプロスタグランジン、約0.01%~約0.05%(w/v)の濃度のrhoキナーゼ阻害薬、約0.25%~約0.5%(w/v)の濃度のベータ遮断薬、または約1%~約2%(w/v)の濃度の炭酸脱水酵素阻害薬である、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
ブリモニジンが約0.050%(w/v)の濃度であり、前記第2の緑内障薬が約0.005%(w/v)の濃度のラタノプロストである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ブリモニジンが約0.050%(w/v)の濃度であり、前記第2の緑内障薬が約0.05%(w/v)の濃度のビマトプロストである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ブリモニジンが約0.050%(w/v)の濃度であり、前記第2の緑内障薬が約0.5%(w/v)の濃度のチモロールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ブリモニジンが約0.04%(w/v)の濃度であり、前記第2の緑内障薬が約2%(w/v)の濃度のドルゾラミドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
非イオン性界面活性剤と、増粘剤と、緩衝液をさらに含み、ソルベートをさらに含んでもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記非イオン性界面活性剤が、約1%~約5%(w/v)の濃度のポリソルベートである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
緑内障を治療することを必要とする対象へ、請求項1に記載の組成物を投与することを含む、緑内障を治療する方法。
【請求項15】
発赤の低減をさらに提供する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
眼のホワイトニングをさらに提供する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
結膜膨潤の低減、充血低減、眼のホワイトニング、またはこれらの組み合わせをさらに提供する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
約0.005%~約0.050%のブリモニジンと有効量のヒスタミンアンタゴニストとを含む、アレルギーの治療のための眼科用組成物であって、(w/v)が前記組成物の総体積による重量を示す、眼科用組成物。
【請求項19】
前記ブリモニジンが、約0.025%~約0.035%(w/v)の濃度である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記ヒスタミンアンタゴニストが、ナファゾリン、アンタゾリン、アゼラスチン、カルビノキサミン、シプロヘプタジン、エメダスチン、ヒドロキシジン、レボカバスチン、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ケトチフェン、ロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、オロパタジン、アクリバスチン、エバスチン、ノルアステミゾール、レボセチリジン、ミゾラスチン、フェニラミン、これらの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記ヒスタミンアンタゴニストが、約0.025%~約0.7%(w/v)の濃度である、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
非イオン性界面活性剤と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、緩衝液をさらに含み、ソルベートをさらに含んでもよい、請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
前記非イオン性界面活性剤が、約1%~約5%(w/v)の濃度のポリソルベートである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
アレルギー応答を治療するかまたは予防する必要のある対象へ、請求項16に記載の組成物を投与することを含む、アレルギー応答を治療するかまたは予防する方法。
【請求項25】
眼のホワイトニングをさらに提供する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
小血管の選択的血管収縮、毛細管後小静脈漏出の低減、サイトカイン、ロイコトリエン由来の炎症の低減、またはこれらの組み合わせをさらに提供する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
約0.005%~約0.050%(w/v)のブリモニジンと有効量の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)とを含む、炎症の低減のための眼科用組成物であって、(w/v)が前記組成物の総体積による重量を示す、眼科用組成物。
【請求項28】
前記ブリモニジンが、約0.025%~約0.035%(w/v)の濃度である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記NSAIDが、ケトロラック、アスピリン、セレコキシブ、ジフルニサール、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、サルサラート、スリンダク、トルメチン、およびこれらの薬学的に許容される塩、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記NSAIDがケトロラックである、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記NSAIDが、約0.02%~約0.50%(w/v)の濃度である、請求項27に記載の組成物。
【請求項32】
非イオン性界面活性剤と、増粘剤と、緩衝液をさらに含み、ソルベートをさらに含んでもよい、請求項27に記載の組成物。
【請求項33】
前記非イオン性界面活性剤が、約1%~約5%(w/v)の濃度のポリソルベートである、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
炎症を低減する必要のある対象へ、請求項25に記載の組成物を投与することを含む、炎症を低減する方法。
【請求項35】
約0.001%(w/v)のラタノプロストまたは0.05%(w/v)のチモロールと、
約0.050%(w/v)のブリモニジンと、
約2.5%(w/v)のポリソルベートと、
約1.2%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、
約5ミリモル濃度のホウ酸を含み、
約0.1%(w/v)のソルベートをさらに含んでもよい、緑内障の治療のための組成物であって、
前記組成物が、約7.4のpHを有する、組成物。
【請求項36】
約0.0035%(w/v)のフマル酸ケトチフェンと、
約0.035%(w/v)のブリモニジンと、
約2.5%(w/v)のポリソルベートと、
約0.1%~約1.2%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、
約4ミリモル濃度のクエン酸緩衝液を含み、
約0.1%(w/v)のソルベートをさらに含んでもよい、アレルギー性結膜炎の治療のための組成物であって、
前記組成物が、約6.5のpHを有する、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低用量ブリモニジンと、第2の緑内障薬、抗ヒスタミン薬または非ステロイド系抗炎症薬のいずれかと、を含有する組成物に関する。本発明は、本発明の組成物を投与することによって、緑内障もしくはアレルギーを処置しまたは炎症を低減する方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障とは、眼内圧(「IOP」)の上昇から視神経の脈管灌流の低減までに及ぶ範囲を包含する多因子疾患である。
【0003】
多くの因子は、緑内障の原因に寄与するものと強調されてきたが、緑内障についての既存の処置は、IOPを低下させる上での有効性に限界があり、ならびに/または疲労、鎮静、眼瞼のアレルギー、局所的アレルギー、および/もしくは発赤のようないくつかの副作用を伴う。緑内障患者のうちの10%超は、充血の徴候(すなわち、赤目)に罹患している。副作用のため、緑内障療法におけるさらなる主問題は、説明したように、投薬する上での患者の遵守である。
【0004】
緑内障患者のうちの40%超は、眼内圧の満足のいく制御のために2種以上の薬剤を必要とする。これらのうち、Xalatan(登録商標)(ラタノプロスト)(Xalatanとは、Pfizer Health ABの登録商標である)、Travatan(登録商標)(トラボプロスト)(Travatanとは、Novartis AGの登録商標である)およびLumigan(登録商標)(ビマトプロスト)(Lumiganとは、Allergan,Inc.の登録商標である)を含むプロスタグランジン/プロスタノイドは、IOP、典型的には高眼圧症の眼(21mmHg以上)における30%超の顕著な低減、およびぶどう膜強膜流出における長い持続時間の改善による主要薬である。最大の効果を得るために、該2つの薬剤は、異なる作用機序を有するべきである。
【0005】
既知のアルファ2(α-2)アドレナリン受容体アゴニストであるブリモニジンは、商標名Alphagan(登録商標)(Alphaganとは、Allergan,Inc.の登録商標である)の下で、0.1%、1.5%および0.2%酒石酸ブリモニジンの形態で現に入手可能である。ブリモニジンは典型的には、高眼圧症の眼で約20~25%、正常圧の眼(21mmHg未満)で6~18%の中等度のピークIOP低減を生じる。ブリモニジンのピーク作用は点眼2時間以内であり、ブリモニジンの作用持続時間は典型的には12時間未満であり、ブリモニジンの中等度の有効性は通常、1日2~3回の投薬を必要とする。ブリモニジンは、ベータ遮断薬および炭酸脱水酵素阻害薬などの他の第2の種類の緑内障薬とほぼ等しい主要な二次薬のうちの1つであり、水中での抑制作用の機序は、有意な相加的利点のためのプロスタグランジン/プロスタノイドのぶどう膜強膜流出増強を補完する。0.2%ブリモニジンは、ベータ遮断薬または炭酸脱水酵素阻害薬、特にプロスタグランジンと併用したとき、IOPのさらなる1~2mmHgの低減を提供することが認められている。
【0006】
しかしながら、0.15~0.2%ブリモニジンは、結膜充血(すなわち、赤目)、眼瞼炎、アレルギー、結膜浮腫、結膜濾胞、異物感、灼熱感、または霧視など、使用者の10~25%において実質的な局所的副作用を誘発することがある。これらの副作用は、近年のブリモニジン製剤によって中等度に改善されたに過ぎず、結果として、より高いアルカリpHでの眼内吸収の上昇と共に濃度が幾分低減した(Alphagan(登録商標))。概して、ブリモニジン、その前身であるクロニジン、およびより選択的なデキスメデトミジンを含むα-2アゴニストは、循環中へと吸収された場合、実質的な全身への効果を誘発し、具体的には疲労を高め、血圧を低下させ(すなわち低血圧)、心拍数を低下させる(すなわち、徐脈)ことが既知である。ブリモニジンは、その相対的なアルファ2/アルファ1特異性(約900:1の比率)により、アルファ1アゴニスト活性を眼内になおも導入し、そこで何らかの誘発された虚血が長期間、視神経の喪失を潜在的に加速させる可能性がある。
【0007】
したがって、少なくとも相加効果を維持しながら、副作用を低減する緑内障併用処置について当技術分野における必要性がある。
【0008】
アレルギー性疾患は、世界規模の主たる健康問題である。さらに、アレルギー性疾患の有病率は、ほとんどの国々で上昇している。アレルギーの2つの主な形態には、アレルギー性鼻炎および眼アレルギーが含まれる。アレルギー性反応は一部、免疫系がアレルゲンの存在に反応し、ヒスタミンを産生するときに生じる。次に、ヒスタミンは、「鼻水が出る」または「かゆみのある」鼻、くしゃみ、「水様性」眼、掻痒感のある喉などを含むアレルギーの主な症状を発症する。
【0009】
アレルギー性鼻炎において、アレルギー反応は鼻の中で生じる。該反応に応じて放出されるヒスタミンは、局所的な脈管膨潤生じ、結果として、毛細管圧が上昇し、毛細血管透過性が上昇する。これらの効果はいずれも、鼻の組織内への迅速な流体漏出を生じ、鼻の内側は膨潤して分泌性となる。
【0010】
眼アレルギーまたはアレルギー性結膜炎はしばしば、ヒスタミンの放出に応じてアレルギー性鼻炎を併発する。アレルギーの眼の徴候および症状には、掻痒、発赤、膨潤、催涙、灼熱感および穿刺感が含まれる。
【0011】
眼アレルギーはしばしば、Opcon-A(登録商標)(0.02675%ナファゾリン塩酸塩および0.315%マレイン酸フェニラミン、Opcon AはBausch&Lomb Incorporatedの登録商標である)、Naphcon-A(登録商標)(0.025%ナファゾリン塩酸塩および0.3%マレイン酸フェニラミン、Naphcon-AはAlcon Research Ltdの登録商標である)、およびVasocon(登録商標)(0.05%ナファゾリン塩酸塩および0.5%リン酸アンタゾリン、VasoconはNovartis AGの登録商標である)およびAIbalon(商標)(0.05%ナファゾリン塩酸塩、AlbalonはAllergan Pharmaceuticalsから入手可能である)を含む点眼薬を用いて処置される。
【0012】
しかしながら、眼アレルギーおよびまたはアレルギー性鼻炎を処置するために処方されるかまたは投与される抗ヒスタミン薬の多くは、ヒスタミン誘発性の掻痒および不快感を処置するが、特に脈管漏出に対して副次的な膨潤と、残存する不快感および不健康な様相の両方を結果としてもたらす充血(赤目)とを含む付随症状を完全に緩和することがない。したがって、赤目を含む付随症状のより大きな緩和をもたらすアレルギー処置の組み合わせについて、当該技術分野におけるさらなる必要性がある。
【発明の概要】
【0013】
一実施形態において、本発明は、約0.01%~約0.050%(w/v)の濃度のブリモニジンと第2の緑内障薬とを含む、緑内障の処置のための眼科用組成物を対象とする。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、緑内障を処置することを必要とする対象へ、約0.01%~約0.050%(w/v)の濃度のブリモニジンと第2の緑内障薬とを含む組成物を投与することを含む、緑内障を処置する方法を対象とする。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、赤目の低減をさらに提供する、緑内障を処置する方法を対象とする。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、眼のホワイトニングをさらに提供する、緑内障を処置する方法を対象とする。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、結膜膨潤の低減ならびに充血低減および眼のホワイトニングをさらに提供する、緑内障を処置する方法を対象とする。
【0018】
一実施形態において、本発明は、約0.01%~約0.050%(w/v)の濃度のブリモニジンとヒスタミンアンタゴニストとを含む、アレルギーの処置のための眼科用組成物を対象とする。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、アレルギーを処置することを必要とする対象へ、約0.005%~約0.050%(w/v)の濃度のブリモニジンとヒスタミンアンタゴニストとを含む組成物を投与することを含む、アレルギーを処置する方法を対象とする。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、眼のホワイトニングおよびまたは炎症の低減をさらに提供する、アレルギーを処置する方法を対象とする。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、約0.005%~約0.050%(w/v)のブリモニジンと有効量の非ステロイド系抗炎症薬(「NSAID」)とを含む、炎症の低減のための眼科用組成物を対象とする。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、炎症を低減することを必要とする対象へ、約0.005%~約0.050%(w/v)の濃度のブリモニジンとNSAIDとを含む組成物を投与することを含む、炎症を低減する方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】0.005%ラタノプロストの投与後のIOPの低減(0時間、白色の棒)と、0.03%ブリモニジンおよび0.005%ラタノプロストの投与後のIOPの低減(4、6および8時間、黒色の棒)の予測例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の発見は、毛細管後小静脈漏出がアルファ1血管収縮薬よりも低用量ブリモニジンによって選択的に低減されることができるということである。特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、アルファ1アゴニストは、低用量ブリモニジンよりもはるかに大きな程度まで細動脈などの大きめの血管を収縮させると考えられている。大きめの血管の収縮によって虚血が生じ、使用を繰り返すことで炎症と充血の再発とが生じる。毛細管後小静脈における漏出は、毛細管後小静脈細胞壁に沿った漏出を伴う、ギャップ結合を結果として生じる血管内皮VEカドヘリンタンパク質の一過性喪失に関連していることが示されてきた。しかしながら、小さな血管、特に低用量ブリモニジンによる虚血なしでの該毛細管後小静脈の収縮は驚くべきことに、テトラヒドロザリン、オキシメタゾリン、または他のアルファ1アゴニスト収縮物質の虚血なしでこのような漏出を低減させ、該虚血があれば完全には緩和されない発赤ならびに膨潤および発赤の臨床上の後遺症を緩和することが発見され、それにより抗ヒスタミン薬との低用量ブリモニジンの併用は特に有効である。
【0025】
特に、しかしプロスタグランジン/プロスタノイドに限定されるわけではないが、このような緑内障薬と併用すると、表面炎症、膨潤、および発赤は低減する。さらに、IOPはさらに低減する。本発明は、低めの濃度のブリモニジンが、有効な第2の薬剤のIOP降下利点を提供するが、高めの濃度のブリモニジンの付随するアルファ1アゴニスト活性なしで、視神経虚血も潜在的に低減することを発見している。
【0026】
「ブリモニジン」は、ブリモニジン塩および他の誘導体を包含するがこれらに限定せず、具体的には、酒石酸ブリモニジン、D-酒石酸5-ブロモ-6-(2-イミダゾリン-2-イルアミノ)キノキサリン、Alphagan(登録商標)(Alphaganとは、Allergan,Inc/の登録商標である)、およびUK14,304を含むが、これらに限定されない。
【0027】
「緑内障薬」または「第2の緑内障薬」という用語は、ブリモニジンを除く、眼内圧を低下させるのに使用される薬剤を含む、緑内障を処置するために使用されるすべての薬剤を包含するが、これらに限定されない。
【0028】
「ヒスタミンアンタゴニスト」という用語は、ヒスタミンH1およびヒスタミンH2を含む少なくとも1つのヒスタミン受容体に拮抗作用することが発見されてきたすべての化学物質を含む。
【0029】
「アレルギー」または「複数のアレルギー」または「アレルギー応答」という用語は、アレルギー性鼻炎および/または眼アレルギーを指す。アレルギー性鼻炎とは、鼻汁、鼻閉、鼻の掻痒、くしゃみ、眼の掻痒症を含むがこれらに限定されない付随症状を有する鼻道のアレルギー性炎症である。眼アレルギーとは、季節性/通年性アレルギー性結膜炎、春季カタル性角結膜炎、巨大乳頭結膜炎、通年性アレルギー性結膜炎およびアトピー性角結膜炎を含むがこれらに限定されない、眼の何らかのアレルギー性疾患である。
【0030】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で説明される化合物に関して認められる特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本発明の化合物が比較的酸性の官能性を含有するとき、塩基付加塩は、このような化合物の中性形態を十分な量の所望の塩基と、無水の不活性溶媒または適切な不活性溶媒のいずれかの中で接触させることによって取得することができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能性を含有するとき、酸付加塩は、このような化合物の中性形態を十分な量の所望の酸と、無水の不活性溶媒または適切な不活性溶媒のいずれかの中で接触させることによって取得することができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素性炭酸、リン酸、一水素性リン酸、二水素性リン酸、硫酸、一水素性硫酸、よう化水素酸、または亜リン酸などのような無機酸に由来するもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、イスブチル酸(isbutyric)、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フメル酸マンデル酸(fumeric mandelic)、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸(tolylsulfonic)、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような比較的非毒性の有機酸に由来する塩が挙げられる。アルギン酸塩などのようなアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツノル酸などのような有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge,S.M.,et al,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1-19を参照されたい)。本発明のある特定の具体的な化合物は、該化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかへ転化させられる塩基性および酸性の両官能性を含有する。
【0031】
化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させること、および親化合物を従来の様式で単離することによって登録することができる。化合物の親形態は、極性溶媒中での溶解度など、ある特定の物理的特性における種々の塩形態とは異なるが、さもなくば、塩は、本発明の目的のために化合物の親形態と等価である。
【0032】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態にある化合物を提供する。本明細書で説明する化合物のプロドラッグとは、生理学的条件下で化学変化を容易に受けて、本発明の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、エクスビボ環境における化学的または生化学的方法によって、本発明の化合物へと転化することができる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素または化学的試薬と共に経皮パッチ貯蔵器内に置くと、本発明の化合物へと緩徐に転化することができる。プロドラッグは、いくつかの状況において親薬よりも投与することが容易である可能性があるので、しばしば有用である。プロドラッグは、経口投与によって生物学的に利用可能であることがあるのに対し、親薬はそうではない。プロドラッグは、親薬よりも薬理学的組成物中で改善された溶解度も有することができる。プロドラッグの加水分解性開裂または酸化的活性化によるものなど、広範な種々のプロドラッグ誘導体が当技術分野で既知である。プロドラッグの例は、エステルとして投与され、次いで代謝で活性実体であるカルボン酸へ加水分解される本発明の化合物であろうが、これに限定されない。追加の例としては、本発明の化合物のペプチジル誘導体が挙げられる。
【0033】
本発明のある特定の化合物は、不溶媒和形態、および水和形態を含む溶媒和形態で存在することができる。概して、溶媒和形態は、不溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含されるよう企図される。本発明のある特定の化合物は、多結晶質形態または無定形形態で存在することができる。概して、すべての物理的形態は、本発明によって企図された使用について等価であり、本発明の範囲内であるよう企図されている。
【0034】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤と、増粘剤、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)またはカルボキシメチルセルロースと、緩衝液と、任意にソルベートと、を含むことができる。
【0035】
本発明における使用に適した非イオン性界面活性剤には、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシル、アルキルアリールポリエーテル、シクロデキストリン、トコフェリルポリエチレングリコールスクシナート、グルコシルジアルキルエーテルおよびクラウンエーテル、エステル結合界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤は、本発明の組成物中に約1%~約5%(w/v)の濃度で存在することができる。
【0036】
本発明における使用に適したポリソルベートには、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート)、ポリソルベート40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミタート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート)およびポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート)が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
ポリソルベートは、本発明の組成物中に、約1%~約5%(w/v)、より好ましくは約2%~約3%(w/v)の濃度で、および最も好ましくは約2.5%(w/v)で存在することができる。
【0038】
本発明における使用に適したシクロデキストリンには、酪酸塩含有または非含有の、イオンで帯電した(例えば、アニオン性の)ベータシクロデキストリン(Captisol(登録商標))2-ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン(「HPβCD」)、アルファシクロデキストリンおよびガンマシクロデキストリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
ポロキサマーには、ポロキサマー103、ポロキサマー123、およびポロキサマー124、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポロキサマー338ならびに何らかのポロキサマー類似体または誘導体が含まれるが、これらに限定されない
【0040】
ポリオキシルには、Brij(登録商標)35、78、98、700(ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル)ならびにSpan類(ソルビタンエステル)およびSpan(登録商標)20~80(ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、およびソルビタンモノオレアート)が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
増粘剤、好ましくはHPMCは、本発明の組成物中に約0.1%~約1.2%(w/v)、好ましくは約1.2%(w/v)の濃度で存在することができる。
【0042】
本発明において有用な緩衝液には、クエン酸緩衝液およびリン酸緩衝液が含まれるが、これらに限定されない。緩衝液は、本発明の組成物中に約1ミリモル濃度(「mM」)~約10mM、好ましくは約2mM~約6mM、より好ましくは約3mM~約4mMの濃度で存在することができる。
【0043】
ソルベートは、本発明の組成物中に約0.01%~約0.5%(w/v)、好ましくは約0.05%~約0.25%(w/v)、より好ましくは約0.1%(w/v)の濃度で存在することができる。
【0044】
本明細書で使用する場合、量、重量などに関する、「約」各特定の値として定義されるすべての数値は、プラスまたはマイナス10%である。例えば、「約5%(w/v)」という句は、「4.5%~5.5%(w/v)」として理解されることになっている。それゆえ、主張される値の10%以内の量は、特許請求の範囲によって包含される。
【0045】
本明細書で使用する場合、「%(w/v)」は、組成物全体のうちの重量百分率を指す。
【0046】
本明細書で使用する場合、「対象」および「患者」という用語は、相互交換可能に使用され、人間または他の動物を指すが、これに限定されない。
【0047】
本明細書で使用する場合、「予防する」または「予防すること」という用語は、特に進行作用によって起こることから何かを起こらないようにすることか、逸らすことか、除去することか、未然に防ぐことか、停止することか、または妨げることを指す。
【0048】
本明細書で使用する場合、「処置する」または「処置すること」という用語は、このような用語が適用される疾患、障害、もしくは容態、またはこのような疾患、障害、もしくは容態の1つ以上の症状の進行を逆転させることか、緩和することか、または遅延させることを指す。
【0049】
本明細書で使用する場合、「投与」または「投与すること」という用語は、局所的な適用、注射またはインプラントを介した投与を指す。
【0050】
「a」、「an」、および「the」という冠詞は、文脈が別途明確に示さない限り、複数形および単数形を含むよう企図される。
緑内障薬との併用
【0051】
本発明の発見は、第2の緑内障薬との併用で現に入手可能な製剤中の濃度の約1/5と低濃度のブリモニジンが、第2の緑内障薬単独よりも眼内圧を大いに低減することができ、その一方で、眼をホワイトニングし、今日までブリモニジン単独と関係する、または一定の緑内障薬の併用における充血の再発を大いに低減するかおよび/または排除することである。この第2の緑内障薬と併用したごく低用量のブリモニジン(「ELDB」)の局所的な適用は、全濃度のブリモニジン併用と同様であるかまたはそれよりも良好であり得、いずれかの薬剤単独よりも相乗性があり得る眼内圧の低減を実証している。
【0052】
さらに、緑内障を処置する上での主な障害は、患者の遵守である。多くの患者が、結膜の充血および充血の再発(すなわち、赤目)を含む付随する副作用により、緑内障療法を投与することを中止している。本発明の発見は、完全な濃度のブリモニジン濃度と関係する結膜の充血などの副作用を大いに低減しながら、併用するELDBの使用が緑内障を処置することである。最後に、ELDBは、対象の基線の白さを越えて、眼の強膜をホワイトニングすることができ、このことは、さらにより大きな患者の遵守につなげることができる。
【0053】
特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、ELDBは、緑内障薬の全身送達を低減することができ、したがって、全身性副作用を低減することができ、眼の表面上での緑内障薬のより大いなる保持につなげることができる。このより大いなる保持は、緑内障薬のより大いなる眼内吸収につなげることができ、したがって、投与の量およびまたは頻度を低減することができ、さらなる患者の遵守につなげることができる。
【0054】
一実施形態において、本発明は、約0.01%~約0.050%(w/v)の濃度のブリモニジンと、第2の緑内障薬と、を含む緑内障の処置のための眼科用組成物を対象とする。
【0055】
ブリモニジンは、約0.005%~約0.050%(w/v)、好ましくは約0.005%~約0.050%(w/v)、約0.01%~約0.050%(w/v)約0.025%~約0.045%(w/v)、約0.025%~約0.035%(w/v)および約0.025%、約0.035%または約0.04%(w/v)の濃度であり得る。
【0056】
ブリモニジン以外の、本発明にとって有用である緑内障薬には、プロスタグランジン、ROCK阻害薬、ベータ遮断薬および炭酸脱水酵素阻害薬(「CAI」)が含まれるが、これらに限定されない。プロスタグランジンには、ラタノプロスト、ビマトプロスト、トラバプロスト(travaprost)、タフルプロスト、およびこれらの薬学的に許容される塩が含まれるが、それらに限定されない。rhoキナーゼ阻害薬には、ネタルスジルが含まれるが、これに限定されない。ベータ遮断薬には、カルテオロール、チモプチク(timoptic)、チモロール、ベタロキソール(betaloxol)、レボブノロール、メチプラノロール、およびこれらの薬学的に許容される塩が含まれるが、それらに限定されない。CAIには、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミドおよびこれらの薬学的に許容される塩が含まれるが、それらに限定されない。
【0057】
ブリモニジン以外の緑内障薬は、約0.001%~約5%(w/v)の濃度であり得る。好ましくは、プロスタグランジンは、約0.001%~約0.1%(w/v)、より好ましくは約0.0015%~約0.03%(w/v)の濃度であり、ベータ遮断薬は、約0.1%~約1%(w/v)、より好ましくは約0.25%~約0.5%(w/v)の濃度であり、rhoキナーゼ阻害薬は、約0.01%~約1%(w/v)、好ましくは約0.01%~約0.05%(w/v)の濃度であり、CAIは、約0.5%~約5%(w/v)、より好ましくは約1%~約2%(w/v)の濃度である。眼科用投与のため温緑内障薬は、次の濃度の有効成分の下で現に市販されている。すなわち、0.004%のトラバプロスト(travaprost)、0.01%および0.03%のビマトプロスト、0.0015%のタフルプロスト、0.005%のラタノプロスト、0.02%のネタルスジル、0.25%および0.5%のマレイン酸チモロール、0.25%および0.5%のチモロールヘミヒドラート、0.25%および0.5%のベタキソロール・塩酸塩(「HCl」)、0.25%および0.5%のレボブノロールHCl、1%ブリンゾラミド、ならびに2%のドルゾラミドである。
【0058】
ブリモニジンと第2の緑内障薬との具体的な併用には、約0.035%~0.050%(w/v)のブリモニジンと約0.005%(w/v)のラタノプロスト、約0.035%~0.050%(w/v)のブリモニジンと約0.050%(w/v)のビマトプロスト、約0,035%~約0.050%(w/v)のブリモニジンと約0.5%(w/v)のチモロール、および約0.035%~約0.050%(w/v)のブリモニジンと約2%(w/v)のドルゾラミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
本発明の組成物は、ブリモニジン緑内障併用薬については約5.0~約8.0、より好ましくは約6.0~約7.5、さらにより好ましくは約7.2~約7.7、さらにより好ましくは約7.4~約7.6のpHを有することができる。
【0060】
好ましい実施形態において、本発明は、
約0.001%(w/v)のラタノプロストと、
約0,050%(w/v)のブリモニジンと、
約2.5%(w/v)のポリソルベートと、
約1.2%(w/v)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)と、
約5mMのホウ酸と、
任意に、約0.1%(w/v)ソルベートと、
を含む組成物であって、該組成物が約7.4のpHを有する、組成物を対象とする。
【0061】
Methocell(登録商標)をHPMCの源として使用した(Methocellとは、Dow Corningの登録商標であり、Dow Corningから入手可能である)。
【0062】
別の好ましい実施形態において、本発明は、
約0.05%(w/v)のチモロールと、
約0.050%(w/v)のブリモニジンと、
約2.5%(w/v)のポリソルベートと、
約1.2%(w/v)のHPMCと、
約4mMのホウ酸と、
任意に、約0.1%(w/v)のソルベートと、
を含む組成物であって、該組成物が、約7.4のpHを有する、組成物を対象とする。
【0063】
緑内障の処置のための本発明の組成物は、眼へ局所的に、眼内注射を介してまたは眼内インプラントを介して投与されることができ、好ましくは、投与は局所的適用を介して生じる。
ヒスタミンアンタゴニストとの併用
【0064】
現に入手可能な抗ヒスタミン薬(すなわち、ヒスタミンアンタゴニスト)は、特にサイトカイン誘発性血管拡張と関係した赤目を含むすべてのアレルギー症状を完全に緩和することはできない。本発明の発見は、極めて低用量のブリモニジン(「ELDB」)と抗ヒスタミン薬との併用が、抗ヒスタミン薬単独の使用よりも発赤の大きな低減だけでなく、結膜の膨潤などのアレルギー症状の大きな緩和にもつながる。
【0065】
一実施形態において、本発明は、約0.005%~約0.050%(w/v)の濃度のブリモニジンと、ヒスタミンアンタゴニストとを含む、アレルギーの処置のための眼科用組成物を対象とする。
【0066】
ブリモニジンは、約0.005%~約0.050%(w/v)、好ましくは約0.01%~約0.050%(w/v)、より好ましくは約0.025%~約0.035%(w/v)および約0.025%、約0.035%または約0.04%(w/v)の濃度であってもよい。
【0067】
本発明にとって有用なヒスタミンアンタゴニストには、ナファゾリン、アンタゾリン、アゼラスチン、カルビノキサミン、シプロヘプタジン、エメダスチン、ヒドロキシジン、レボカバスチン、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ケトチフェン、ロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、オロパタジン、アクリバスチン、エバスチン、ノルアステミゾール、レボセチリジン、ミゾラスチン、フェニラミン、これらの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせが含まれるが、こうしたものに限定されない。
【0068】
ヒスタミンアンタゴニストは、約0.01~約1%(w/v)、好ましくは約0.025%~約0.7%(w/v)の濃度であり得る。点鼻投与または眼科用投与のためのヒスタミンアンタゴニストは、次の濃度の有効成分の下で現に市販されている。すなわち、0.05%のナファゾリンHCl;0.05%のナファゾリンHClと0.5%のリン酸アンタゾリンとの組み合わせ;0.05%のナファゾリンHClと0.3%のマレイン酸フェニラミンとの組み合わせ;0.02675%のナファゾリン塩酸塩と0.315%のマレイン酸フェニラミンとの組み合わせ;0.1%および0.15%のアゼラスチン;0.05%のエメダスチン;0.05%のレボカバスチンHCl;0.025%のケトチフェン;ならびに0.1%、0.2%および0.7%のオロパタジンである。
【0069】
好ましい実施形態において、本発明は、
約0.0035%(w/v)のフマル酸ケトチフェンと、
約0.035%(w/v)のブリモニジンと、
約2.5%(w/v)のポリソルベートと、
約0.1%~約1.2%(w/v)のHPMCと、
約4mMのクエン酸緩衝液と、
任意に、約0.1%(w/v)のソルベートと、
を含む組成物であって、該組成物が6.5のpHを有する、組成物を対象とする。
非ステロイド系抗炎症薬との併用
【0070】
現に入手可能な非ステロイド系抗炎症薬(「NSAID」)は、すべての炎症を完全に低減することができない。本発明の発見は、極めて低用量のブリモニジン(「ELDB」)とNSAIDとの併用が、NSAID単独の使用よりも炎症の大きな低減につながるということである。さらに、サイトカイン誘発性であることが広く既知のかなりの炎症、充血および刺激があり、低用量ブリモニジンと、ケトロラック0.025%などの低濃度NSAIDとの併用は、充血の緩和、炎症の低減のいずれにも提供することができるこの併用は、いずれかの製品単独よりも良好な、慢性の眼アレルギーに罹患している人にとって生活の質を改善することができると考えられている。
【0071】
一実施形態において、本発明は、約0.005%~約0.050%(w/v)の濃度のブリモニジンとNSAIDとを含む、炎症の低減のための眼科用組成物を対象とする。
【0072】
ブリモニジンは、約0.005%~約0.050%(w/v)、好ましくは約0.01%~約0.050%(w/v)、より好ましくは約0.025%~約0.035%(w/v)および約0.025%、約0.035%または約0.04%(w/v)の濃度であり得る。
【0073】
本発明にとって有用なNSAIDには、ケトロラック、アスピリン、セレコキシブ、ジフルニサール、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、サルサラート、スリンダク、トルメチン、およびこれらの薬学的に許容される塩、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、こうしたものに限定されない。
【0074】
NSAIDは、約0.01%~約10%(w/v)、好ましくは約0.01%~約1%(w/v)、より好ましくは約0.02%~約0.50%(w/v)の濃度であってもよい。
【0075】
炎症の低減のための本発明の組成物は、眼または鼻腔へ点眼薬または噴霧薬を介して局所的に投与されることができる。
【実施例0076】
実施例1-予測される眼内圧低減
方法
正常圧の基線眼内圧(「IOP」、<21mmHg)を有する対象を、0.035%のブリモニジン、0.005%のラタノプロスト、および0.03%のブリモニジンと0,005%のラタノプロストとの併用、を含有する組成物の、単眼あたり1日2回点眼の単回投与で、5日間連続で予測的に処置した。1週間の休薬期を3回の処置周期の各々の間で観察した。投与は、午前8時30分に実施し、次いで1、3および5日後の投与と共に時間厳守で30秒の閉塞を実施した。
【0077】
IOPを4時間、8時間、12時間、24時間、32時間のうちの1つ以上で測定し、快適性および副作用特性を定性的に評価した。
【0078】
結果
予備実験データに基づいて、検査される本発明の製剤は、ラタノプロスト単独よりも大きなIOP低減を予測的に達成した。さらに、ピークIOP低減効果は、投与後約4~8時間で予測的に達成し、IOPは投与後24時間基線を下回ったままであった。
図1は、0.005%のラタノプロストの投与後のIOP低減の予測的な例(0時間、白色の棒)対0.03%のブリモニジンと0.005%のラタノプロストの投与後のIOP低減(4、6、および8時間、黒色の棒)を実証している。実際、ELDBとラタノプロストとの併用投与後のIOPの低減は、投与前を除くすべての時間および日数で相乗作用を予測的に達成した。相乗作用は、IOPの低減を観察することと、IOPの予測された低減によって除して「相乗作用因子」を付与することによって計算されることになる。1よりも大きな相乗作用因子は、相乗作用を実証している。期待されるIOP低減は、次式を用いて計算されることになり、式中、AはELDB単独についてのIOP低減とし、Bはラタノプロスト単独についてのIOP低減とする。A+B-(AB/100)。したがって、本発明の製剤は、類似の検査条件下でブリモニジンおよびラタノプロスト単独での全濃度にわたる改善された性能を予測的に実証している。最後に、ラタノプロスト単独の間、対象は、ブリモニジンまたはブリモニジンとラタノプロストとの併用の検査の間には観察されなかった眼の充血を予測的に経験し、極めて低用量のブリモニジンが、IOP低減を亢進することができるだけでなく、緑内障薬の付随副作用を低減することもできることを実証した。
【0079】
結論において、ELDBと第2の緑内障薬との併用は、第2の緑内障薬単独または完全濃度のブリモニジンと併用する第2の緑内障薬によって提供される良好であるかまたはそれよりもさらに良好であるかのいずれかである眼内圧の緩和の亢進および相乗作用を予測的に提供する。さらに、ELDBと第2の緑内障薬との併用は、第2の緑内障薬を単独で投与するときに通常生じる副作用の低減または寛解を予測的に提供する。
【0080】
実施例2-予測:アレルギー緩和
方法
鼻アレルギーに罹患している対象に、0.005%~0.050%(w/v)のブリモニジンと0.025%~0.035%(w/v)のフマル酸ケトチフェンまたは0.3%(w/v)のマレイン酸フェニラミンのいずれかとの併用を7日間連続で予測的に投与した。
【0081】
結果
検査した本発明の製剤は、ケトチフェンまたはフェニラミン単独よりもサイトカインおよび炎症における大きな低減を予測的に達成した。さらに、検査された本発明の製剤は、ケトチフェンおよびフェニラミンと関係した赤目を予測的に低減した。最後に、検査した本発明の製剤は、基線の白さを越えて、対象の眼を予測的にホワイトニングした。