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特開2023-5584情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005584
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230111BHJP
   G06T 7/254 20170101ALI20230111BHJP
   G06T 7/246 20170101ALI20230111BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230111BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G07B15/00 C
G06T7/254 B
G06T7/246
G06T7/00 660B
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107594
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 一寛
【テーマコード(参考)】
3E127
5C054
5L096
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA48
3E127CA02
3E127DA22
3E127FA16
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA07
5C054FC01
5C054FC07
5C054FC12
5C054FC13
5C054FE25
5C054GB01
5C054GB05
5C054HA19
5C054HA31
5L096BA02
5L096FA59
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA08
5L096HA03
5L096HA05
(57)【要約】
【課題】ゲートにおける通路のような特定の通路を人物が通過したか否かの判定精度を向上する。
【解決手段】情報処理装置20は、通路を上方から撮影した画像において通路に対して設定された複数のゾーンの別に、定常状態の画像に含まれない異物の検出を行う検出部203と、異物が検出されたゾーンの経時変化に基づいて、異物に対応する人物が通路を通過したか否かを判定する判定部205と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路を上方から撮影した画像において前記通路に対して設定された複数のゾーンの別に、定常状態の画像に含まれない異物の検出を行う検出部と、
前記異物が検出されたゾーンの経時変化に基づいて、前記異物に対応する人物が前記通路を通過したか否かを判定する判定部と、
を備えた、情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記経時変化が、前記複数のゾーンのうち、前記通路の入口に対応するゾーンから前記通路の出口に対応するゾーンまでの間に前記異物の検出されたゾーンが順番に変化したことを示す場合に、前記人物が前記通路の入口から出口へ通過したと判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記経時変化が、前記異物の検出されたゾーンの順番が逆転したことを示す場合に、前記通路において前記人物が引き返したと判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記異物の大きさに基づいて前記異物が前記人物であるか否かを判定し、前記人物でないと判定された異物については、前記人物が前記通路を通過したか否かの判定には用いない、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記人物の顔画像を用いた認証処理の開始に応じて、前記検出を開始する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通路の床面は、前記ゾーンの別に色分けされている、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記色分けは、前記ゾーン毎に段階的に変化するパターンである、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記色分けは、前記ゾーン毎に特定の色が周期的に現れるパターンである、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記異物の検出において、前記ゾーンの別に色相、明度、彩度、及び、コントラストの少なくとも1つを異ならせる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
1つの前記ゾーンの前記通路の通行方向に沿った方向の幅は、1人の人物のみが通過可能な幅であり、
前記判定部は、前記通路において複数の前記人物に対応する異物が検知された場合、前記人物が前記通路を通過するまで、前記通路の進行方向に沿った順序の入れ替わりは発生しないものとして、前記人物が前記通路を通過したか否かを判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記判定部は、前記複数のゾーンの一部又は全部の前記通路の通行方向に沿った方向の幅を、前記画像における前記人物の位置に応じて異なる幅に設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記判定部は、前記人物の位置が前記画像の中央に近いほど、前記通路の中央に近いゾーンの幅を狭く設定する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記通路は、前記人物の顔認証を行うゲートにおける通路である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
1または複数の情報処理装置によって、
通路を上方から撮影した画像において前記通路に対して設定された複数のゾーンの別に、定常状態の画像に含まれない異物の検出を行い、
前記異物が検出されたゾーンの経時変化に基づいて、前記異物に対応する人物が前記通路を通過したか否かを判定する、
情報処理方法。
【請求項15】
1または複数の情報処理装置に、
通路を上方から撮影した画像において前記通路に対して設定された複数のゾーンの別に、定常状態の画像に含まれない異物の検出を行う処理と、
前記異物が検出されたゾーンの経時変化に基づいて、前記異物に対応する人物が前記通路を通過したか否かを判定する処理と、
を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
駅や空港などに設置されるゲートを通過する人物の入退出を管理する技術がある。例えば、特許文献1には、人物が、無線カードによるゲート通過の許可を得て、ゲートの入口からゲートへ進入した場合に、当該人物がゲートを通過したか否か(ゲートの入口へ戻ったりしていないか)を無線カードの位置の変化に基づいて追跡する装置が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-330440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人物が所持する無線カードを用いずにゲート通過の許可が得られるようなゲートシステム(例えば、顔認証ゲートシステム)において、ゲートにおける通路を人物が通過したか否かを如何にして確実に判定するかについては、検討の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、ゲートにおける通路のような特定の通路を人物が通過したか否かの判定精度を向上できる情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る情報処理装置は、通路を上方から撮影した画像において前記通路に対して設定された複数のゾーンの別に、定常状態の画像に含まれない異物の検出を行う検出部と、前記異物が検出されたゾーンの経時変化に基づいて、前記異物に対応する人物が前記通路を通過したか否かを判定する判定部と、を備える。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の非限定的な実施例は、例えば、ゲートにおける通路のような特定の通路を人物が通過したか否かの判定精度を向上できる。
【0009】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態に係る顔認証改札の通過管理システム1の構成例を示すブロック図
図2】顔認証改札の構成例を示す斜視図
図3図1に例示した端末PCの構成例を示すブロック図
図4図1に例示した監視カメラによって撮影された通路画像の一例を示す図
図5図4に例示した通路画像に対して複数のエリアが設定された例を示す図
図6】時間経過に応じて人物の検知されるエリアが順番に変化する例を示す図
図7図6に例示した時間経過と人物が検知されたエリアとの関係の一例を示す図
図8】時間経過に応じて人物が検知されるエリアの順番が途中で逆転する例を示す図
図9図8に例示した時間経過と人物が検知されたエリアとの関係の一例を示す図
図10】時間経過に応じて人物が検知されるエリアが途中で変化しない例を示す図
図11図10に例示した時間経過と人物が検知されたエリアとの関係の一例を示す図
図12】時間経過に応じて二人の人物それぞれの検知されるエリアが順番に変化する例を示す図
図13図12に例示した時間経過と人物が検知されたエリアとの関係の一例を示す図
図14】時間経過に応じて三人の人物のうちの二人について検知されるエリアが順番に変化し、残り一人について検知されるエリアの順番が途中で逆転する例を示す図
図15図14に例示した時間経過と人物が検知されたエリアとの関係の一例を示す図
図16図1及び図3に例示した端末PCの事前設定に関する動作例を示すフローチャート
図17図1及び図3に例示した端末PCの運用時の動作例を示すフローチャート
図18図1及び図3に例示した端末PCの通過判定に関する動作例を示すフローチャート
図19】一実施の形態のバリエーション1を説明する図
図20】一実施の形態のバリエーション1を説明する図
図21】一実施の形態のバリエーション1を説明する図
図22】一実施の形態のバリエーション2を説明する図
図23】一実施の形態のバリエーション2を説明する図
図24】一実施の形態のバリエーション4を説明する図
図25】一実施の形態のバリエーション5を説明する図
図26】一実施の形態のバリエーション6を説明する図
図27】一実施の形態のバリエーション7を説明する図
図28】一実施の形態のバリエーション7を説明する図
図29】一実施の形態のバリエーション8を説明する図
図30】一実施の形態のバリエーション9を説明する図
図31】一実施の形態のバリエーション9を説明する図
図32】コンピュータのハードウェア構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
[一実施の形態]
顔認証を用いた交通系(例えば、電車)の改札が、次世代の改札として検討される。例えば、改札に取り付けられた顔認証用のカメラによって人物を撮影する。撮影された画像情報は、顔認証用の顔画像情報が登録された認証装置(例えば、サーバ)へ送信される。サーバは、受信した画像情報と登録された顔画像情報とに基づいて認証を行い、認証結果(例えば、認証成功(OK)又は認証失敗(NG)を改札に返す。改札は、認証結果に応じて例えばゲートの開閉を制御する。
【0013】
このような顔認証を用いた改札(以下、顔認証改札と称することがある)においては、例えば、タッチ方式のIC(Integrated Circuit)カード、あるいは改札に投入する磁気券を用いたシステムとは異なり、認証対象の人物が改札を通過する「意思」の判定が難しいことがある。例えば、改札を覗き込むだけでカメラによって撮影された画像情報による顔認証が成立し、当該人物が改札内に入場したものと判定されて課金が発生し得る。
【0014】
このような状況は、例えば「顔認証開始ボタン」のような、顔認証の開始をトリガする操作部を改札に設けることで回避可能ではある。しかし、改札を通過しようとする人物は、一度立ち止まって操作部を操作することになり、短時間に多くの人物の通過が想定される改札において、顔認証を用いることの意義あるいは利便性が損なわれ得る。
【0015】
そのため、「認証に成功した人物が改札を確実に通過したか」を判定することが重要である。例えば、改札の上方にカメラを設置し、当該カメラによって人物を上方(例えば、頭上)から撮影した画像を基に当該人物を特定して追跡を実施する手法が検討される。
【0016】
しかしながら、人物によっては、髪色あるいは装着物(例えば、帽子、ヘルメットなど)の有無といった差異があるために、人物を頭上から撮影した画像情報から当該人物を特定することは難しく、判定あるいは追跡の精度は低下し得る。
【0017】
また、改札周辺の環境(例えば、改札における床面の色、あるいは外光)によっては、人物を切り分けて判定することが難しい場合もある。また、時間的変化以外にも、改札周辺に設置される照明あるいは影の影響によって判定が難しい場合も考えられる。
【0018】
また、駅によって改札周辺の天井高が異なり得る(別言すると、カメラによる撮影環境が異なり得る)ため、そのような撮影環境に合わせた設定あるいは学習(例えば、駅ごとに撮影環境に対応して学習したライブラリを用意する)が求められ得る。異なる撮影環境の別に設定あるいは学習を実施することは時間がかかり、現実的ではない。
【0019】
本開示の非限定的な一実施例においては、例えば、改札の上方から改札内の通路を監視するカメラ(以下、監視カメラと称することがある)を設置し、監視カメラによって撮影された通路画像を複数のエリア(あるいはゾーン)に分割(あるいは区分)する。そして、分割したエリア(以下「分割エリア」と略称することがある)の別に、例えば、人物が当該エリアに進入したか否かを検出し、その検出結果の時系列的な変化(別言すると、経時変化)に基づいて、人物が改札を通過したか否かを判定する。
【0020】
分割エリア別の人物の進入検出には、例えば、差分検知、あるいは人物を異物と捉えてディープラーニングを用いた異物検知が用いられてよい。例えば、改札内に人物が存在しない状態(便宜的に「定常状態」と称する)において監視カメラによって撮影された通路画像と、非定常状態(例えば、顔認証改札の運用中)において監視カメラによって撮影された通路画像との比較によって、人物が何れの分割エリアに進入したかを検出してよい。例えば、非定常状態の通路画像が定常状態の通路画像と異なる部分が検出された場合に、当該部分に対応する分割エリアに人物が進入したと判定できる。
【0021】
したがって、例えば、人物の進入が検出された分割エリア(以下「人物検知エリア」あるいは「進入検知エリア」)と称することがある)が経時で順番に変化する場合、当該人物が改札内を移動中であると判定できる。また、例えば、改札の出口に対応する分割エリアにおいて進入が検出されたことをもって当該人物が改札を通過した、と判定できる。
【0022】
一方、例えば、異物検知エリアが経時で順番に変化しない場合には、当該人物が改札を通過していない、と判定できる。
【0023】
改札は、通常、一人ずつが通過できる通路幅を有する(別言すると、2以上の人物が横並びで通過できる通路幅を有さない)。そのため、改札に進入した人物が、先に改札に進入した他の人物を追い越したり、後に改札に進入した他の人物に追い越されたりする状況(別言すると、人物の前後入れ替わり)が発生することは想定しにくい。
【0024】
したがって、改札内に二人以上の人物が存在する場合においても、分割エリア別の進入検出の時系列変化を追うことで、改札の通過状態を複数の人物の別に判別できる。
【0025】
また、分割エリア別の進入検出は、常時実施する必要はない。例えば、顔認証が実施されたタイミングに応じて、分割エリア別の進入検出が実施されてよい。また、定常状態の通路画像は、例えば、改札40及び監視カメラ12を含む通過管理システム1の設置時、メンテナンス時、あるいは朝、昼、夜といった任意の時間帯(又は、タイミング)において取得されてよい。
【0026】
人物を確実に検出するためには、定常状態の通路画像として人物や異物がない画像を用いるとよい。設置時及びメンテナンス時にはこれらの人物や異物が通路に存在しない可能性が高いので、良好な定常状態の画像が得られる可能性が高い。なお、定常状態の通路画像をユーザからの指示によって撮影可能としてもよい。この場合、ユーザが目視で通路内に人物や異物などがないか確認を行ってもよい。また、改札40が屋外に設置されている場合、時間帯によって通路に落ちる影等が変化するが、この影等が人物として誤検出されてしまうおそれがある。この問題の発生を抑制するためには、複数の時間帯における定常状態の通路画像を取得し、通過管理において、現在の時間帯と同じ時間帯の通路画像を使用するとよい。
【0027】
例えば、改札40に設置された顔認証用カメラ11を用いた顔認証の状態を基に、改札40の通路に人が存在しないことが検出されたタイミングにおいて、定常状態の通路画像が取得されてよい。また、改札40に光電センサが設置されている場合には、光電センサを用いて改札40の通路に人が存在しないことが検出されたタイミングを特定し、定常状態の通路画像が取得されてよい。
【0028】
[システム構成例]
図1は、一実施の形態に係る顔認証改札の通過管理システム1の構成例を示すブロック図である。
【0029】
図1に例示したように、通過管理システム1は、例えば、顔認証用カメラ11、監視カメラ12、端末PC(パーソナルコンピュータ)20、サーバ30、及び、改札(ゲート)40を備える。
【0030】
顔認証用カメラ11は、例えば、改札40を通過する人物の顔を含む領域を撮影し、撮影した画像を端末PC20へ出力する。顔認証用カメラ11は、例えば図2に示すように、改札40の互いに向かい合った側壁41A及び41Bの一方又は双方に設けられてよい。なお、側壁41A及び41Bに挟まれた空間が、改札40内の通路を形成する。
【0031】
例えば、図2に示したように、一方の側壁41Aの上部に、図2において矢印2Aで示す方向から改札40へ進入する人物を撮影するカメラ11Aが設置されてよい。また、他方の側壁41Bの上部に、逆方向(例えば、図2において矢印2Bで示す方向)から改札40へ進入する人物を撮影するカメラ11Bが設置されてよい。
【0032】
別言すると、改札40を利用する人物は、顔認証によって改札40を図2の矢印2Aで示す方向へ通過することも図2の矢印2Bで示す方向へ通過することも可能である。なお、改札40は、矢印2A及び矢印2Bで示す方向のうち一方向のみに人物の通過を許容する構成あるいは設定であってもよい。この場合、顔認証用カメラ11は、2方向のうちの一方向についてのみ改札40に設けられるとしてよい。
【0033】
監視カメラ12は、例えば、改札40の上方に設置されて、改札40の上方から改札40内の通路を含む画像(通路画像)を撮影する。監視カメラ12によって撮影された通路画像は、例えば、端末PC20に出力される。監視カメラ12は、改札40内の通路の全体を上方から撮影可能なカメラであればよい。例えば、PTZカメラや全方位カメラが監視カメラ12として用いられてよい。また、監視カメラ12は、必ずしも改札40と一体として構成されていたり、通路の真上に位置したりする必要はない。改札40内の通路全体が撮影範囲に含まれるようであれば、監視カメラ12の配置は問わない。例えば、改札40近傍の駅の天井に設置されたカメラを、監視カメラ12として使用してもよい。
【0034】
監視カメラ12の設置形態の非限定的な一例としては、例えば図2に示すように、改札40よりも上方に延びるポール型の支持部42を改札40に設置し、この支持部42の上部に監視カメラ12を設置する態様が挙げられる。支持部42の形状は、ポール型に限られず、例えば、アーチ型のような他の形状であってもよい。また、支持部42は、監視カメラ12を設置するための専用の支持部42である必要はなく、例えば、改札40の周辺に既設の設備が兼用として流用されてもよい。
【0035】
端末PC20は、例えば、顔認証用カメラ11から入力された顔画像の情報をサーバ30へ送信し、顔認証をサーバ30に依頼する。また、端末PC20は、サーバ30からの顔認証結果に応じて、改札(ゲート)40の開閉を制御する。
【0036】
例えば、端末PC20は、顔認証結果が認証成功(OK)を示す場合に、改札40を開状態に制御して人物の通過を許容する。一方、顔認証結果が認証失敗(NG)を示す場合、端末PC20は、改札40を閉状態に制御して人物の通過を規制する。なお、端末PC20は、改札40の開閉制御と共に、顔認証結果に応じた音声の出力あるいは表示の制御を改札40に対して行ってもよい。
【0037】
また、端末PC20は、既述のとおり、例えば、監視カメラ12によって撮影された改札40の通路画像の分割エリアの別に人物が当該エリアに進入したか否かを検出し、その検出結果の時系列変化に基づいて、人物が改札40を通過したか否かを判定する。この判定(以下「通過判定」と称することがある)の結果は、例えば、通過判定に係る人物の顔認証結果と関連付けて管理されてよい。この管理によって、例えば、顔認証に成功した人物が改札40を確実に通過したか否かを管理できる。
【0038】
サーバ30は、例えば、端末PC20から顔認証の依頼を受けた場合、端末PC20から受信した顔画像と一致する顔画像が、事前に登録された複数の人物の顔画像を記憶したデータベース(DB)の中に含まれるか否かを判定し、その判定結果(別言すると、顔認証結果)を端末PC20へ返す。
【0039】
なお、サーバ30に対する顔画像の事前登録は、例えば図1に示したように、顔画像登録用の端末を介して行われてもよいし、サーバ30に対して直接に行われてもよい。
【0040】
改札40は、例えば、端末PC20から顔認証結果に基づく開閉制御を受けることによって、駅構内への人物の入場および駅構内からの人物の退場を許容あるいは規制する。
【0041】
[端末PC20の構成例]
次に、図3を参照して、端末PC20の構成例について説明する。図3は、端末PC20の構成例を示すブロック図である。図3に例示したように、端末PC20は、例えば、認証処理部201、設定部202、検出部203、記憶部204、判定部205、及び、通過管理部206を備えてよい。
【0042】
認証処理部201は、例えば、顔認証用カメラ11から受信した画像において人物の顔に相当する領域(以下「顔領域」と称することがある)を画像処理によって検出(あるいは抽出)し、検出した顔領域の情報をサーバ30に送信して顔認証を依頼する。なお、顔領域の情報は、例えば、顔領域の画像であってもよいし、顔領域の画像から抽出した特徴点を示す情報であってもよい。
【0043】
また、認証処理部201は、例えば、サーバ30から顔認証結果を受信した場合、受信した顔認証結果に基づいて改札40の開閉制御を行う。また、認証処理部201は、サーバ30から受信した顔認証結果を、顔認証に成功した人物が改札40を通過したか否かを管理するために、通過管理部206へ出力してよい。
【0044】
設定部202は、例えば、監視カメラ12によって撮影された改札の通路画像に対して通路を複数に分割する分割エリアを設定する。
【0045】
検出部203は、例えば、監視カメラ12から受信した改札40の通路画像の分割エリアの別に人物が当該エリアに進入したか否かを画像処理によって検出する。例えば、検出部203は、監視カメラ12によって撮影された通路画像と定常状態の通路画像との比較によって、人物が何れの分割エリアに進入したかを検出してよい。
【0046】
検出部203による検出動作は、例えば、認証処理部201による認証処理の開始に応じて開始されてもよい。この場合、検出部203の動作時間を低減できるので、端末PC20の省電力化に寄与する。
【0047】
定常状態の通路画像は、例えば、設定部202によって検出部203に設定されてよい。人物の進入が検出された分割エリア(人物検知エリア)は、例えば、時系列に記憶部204に記憶されてよい。
【0048】
判定部205は、例えば、記憶部204に時系列に記憶された人物検知エリアの情報に基づいて、人物が改札40を通過したか否かを判定する。例えば、判定部205は、人物検知エリアが改札40の入口に対応するエリアから改札40の出口に対応するエリアにわたって経時で順番に変化する場合に、人物が改札40を通過したと判定してよい。
【0049】
一方、例えば、人物検知エリアが経時で順番に変化しない場合、判定部205は、当該人物が改札40を通過していないと判定してよい。例えば、後述するように、改札40の入口から進入した人物が改札40内に留まっているようなケース、あるいは、改札40に入口から進入したが逆方向に引き返して入口から出てしまったようなケースにおいて、人物が改札40を通過していないと判定され得る。
【0050】
通過管理部206は、例えば、認証処理部201において認証処理結果が得られた人物に関する情報と、判定部205による通過判定の結果とを関連付けて管理(例えば、記憶)する。これにより、例えば、認証に成功した人物が改札40を通過したか否かが管理される。
【0051】
なお、端末PC20の各機能部201~206の一部又は全部は、例えば、サーバ30に備えられてもよい。また、サーバ30による顔認証処理は、端末PC20において行われてもよい。
【0052】
別言すると、上述した人物の顔認証及び通過判定(あるいは、通過管理)に関する処理は、端末PC20とサーバ30とが連携あるいは協調して動作することによって分散的に行われてもよいし、端末PC20あるいはサーバ30において集中的に行われてもよい。また、端末PC20とサーバ30とは、1つの情報処理装置に統合されてもよい。
【0053】
また、顔認証及び通過判定の対象となる人物は、自力で移動する人物に限られず、例えば、車椅子(手動であるか自動(例えば電動)であるかは問わない)のような乗り物に乗って移動する人物が含まれてよい。
【0054】
[動作例]
次に、図4図18を参照して、通過管理システム1の動作例について説明する。
【0055】
図4は、監視カメラ12によって撮影された通路画像の一例を示す図である。図5は、図4に例示した通路画像に対して複数のエリア(又はゾーン)A~Gが設定された例を示す図である。端末PC20(例えば、検出部203)は、エリアA~Gの別に人物の進入検出を行う。
【0056】
例えば図6に示すように、エリアGからエリアAに向かって人物が進んだ場合、時刻t1~t7の時間経過に応じて、エリアG→F→E→D→C→B→Aの順番に個々のエリアへの人物の進入が検出される。別言すると、時刻t1~t7の時間経過に応じて、人物検知エリアが、エリアG→F→E→D→C→B→Aの順番に変化(あるいは遷移)する。
【0057】
この場合の時間経過(t1~t7)と人物検知エリアとの関係は、例えば図7に示すように、横軸を時間軸、縦軸を分割エリアの位置として表すことができる。図7に示すように、t1~t7の時間経過に応じて人物検知エリアが線形的に変化する場合、改札40に進入した人物が、改札40内を時刻t1~t7の時間において、一方向に移動していることが分かる。
【0058】
ここで、例えば図7に示すように、人物が改札40を通過したと判定する通過判定エリアをエリアBに設定しておいた場合、端末PC20(例えば、判定部205)は、時刻t6において人物が改札40を正常に通過したと判定する。なお、通過判定エリアの設定は、例えば、設定部202によって行われてよい。正常通過の判定に応じて、例えば、当該人物に対する課金処理が実行されてよい。
【0059】
課金処理は、例えば、端末PC20において行われてもよいし、端末PC20とは異なる装置(例えば、サーバ30)において端末PC20からの依頼に応じて行われてもよい。なお、端末PC20(例えば、判定部205)による通過判定の結果は、課金処理を伴わない通過の記録あるいは管理に用いられてもよい。
【0060】
これに対し、例えば図8に、改札40に進入した人物が改札40内の途中で引き返したケースを示す。図8には、時刻t1においてエリアGから改札40に進入した人物が、時刻t4~t5の時間において進行方向を逆転し、時刻t8においてエリアGに戻った例が示される。
【0061】
この場合の時間経過(t1~t8)と人物検知エリアとの関係は、例えば図9に示される。図9に例示したように、t1~t8の時間経過に応じて人物検知エリアが非線形(山形)に変化する場合、改札40に進入した人物が、改札40内の途中(例えば、エリアD)で引き返して改札40を出てしまった(つまり、改札40を通過していない)ことが分かる。
【0062】
また、例えば図10に、改札40に進入した人物が改札40内の途中で留まるケースを示す。図10には、時刻t1においてエリアGから改札40に進入した人物が、時刻t2~t3の時間経過と共にエリアEに到達したが、時刻t3~t8の時間においてエリアEに留まったままの例が示される。
【0063】
この場合の時間経過(t1~t8)と人物検知エリアとの関係は、例えば図11に示される。図11に例示したように、人物検知エリアが変化しない時間(例えば、t3~t8)は、改札40に進入した人物が、改札40内の途中(例えば、エリアE)において滞留している(つまり、改札40を通過していない)ことを示す。
【0064】
[複数人の通過判定]
次に、図12図15に、複数の人物が改札40へ進入したケースを示す。図12は、二人の人物P1及びP2が順番に改札40を通過するケースを示し、図13は、図12のケースにおける、時間経過(t1~t8)と人物検知エリアとの関係の一例を示す図である。
【0065】
また、図14は、三人の人物P1~P3が改札40に進入し、二人の人物P1及びP2は改札40を正常に通過したが、人物P3は改札40内で引き返したケースを示す。図15は、図14のケースにおける、時間経過(t1~t8)と人物検知エリアとの関係の一例を示す図である。
【0066】
図12のケースでは、図13に例示したように、時刻t1~t7の時間において人物検知エリアがエリアG→F→E→D→C→B→Aの順番に変化し、時刻t1よりも後の時刻t2~t8の時間において人物検知エリアがエリアG→F→E→D→C→B→Aの順番に変化する。
【0067】
本実施の形態では、改札40内の通路の幅は十分に狭いため、通路において人物の前後の入れ替わりは発生しないと考えてよいので、時刻t1を起点とした人物検知エリアの線形的な変化は人物P1に対応し、時刻t2を起点とした人物検知エリアの線形的な変化は人物P2に対応する、と判定できる。
【0068】
また、図14のケースでは、図15に例示したように、時刻t1~t7の時間および時刻t2~t8の時間のそれぞれにおいて図13の例と同等の線形的な人物検知エリアの変化が現れ、かつ、時刻t4~t8の時間において人物検知エリアがエリアG→F→E→E→Fの順番に変化して山形の変化が現れる。
【0069】
したがって、時刻t1及び時刻t2のそれぞれを起点とした人物検知エリアの線形的な2つの変化は、それぞれ改札40を正常に通過した人物P1及びP2に対応し、時刻t4を起点とした人物検知エリアの山形の変化は、改札40内の途中で引き返した人物P3に対応する、と判定できる。
【0070】
このように、端末PC20は、改札40内に複数人が進入した場合においても、人物検知エリアの時系列変化を追うことで、改札40の通過状態を複数人の別に判別が可能である。
【0071】
[動作フロー例]
次に、図16図18に例示したフローチャートを参照して、上述した端末PC20の動作例について説明する。
【0072】
[事前設定]
図16に例示したように、端末PC20は、例えば、設定部202によって、監視カメラ12による監視対象(別言すると、撮影対象)とするエリア(監視エリア又は撮影エリア)の設定を行う(S101)。例えば、設定部202は、改札40の通路を含む全体が撮影範囲に含まれるように監視エリアの設定を行う。
【0073】
また、設定部202は、例えば、定常状態において監視カメラ12で撮影した画像を、検出部203に設定(あるいは登録)する(S102)。
【0074】
また、設定部202は、例えば、監視エリアの撮影画像の通路部分に対して分割エリア(例えば、エリアA~G)を設定する(S103)。
【0075】
なお、個々の分割エリアの設定(例えば、改札40において人物が通行する方向に沿った方向の幅)は、固定でもよいし可変でもよい。可変の場合、設定部202は、例えば、分割エリアの更新に関する設定を検出部203に対して行ってよい(S104)。なお、可変の場合、設定部202は、ユーザからの指示に応じて分割エリアの設定を行ってよい。この場合、ユーザの操作としては様々なものが考えられる。例えば、ユーザが各分割エリアを手動で指定してもよいし、ユーザが分割数を指定すると設定202が通路部分を等間隔に分割して分割エリアを設定してもよい。また、通路部分の設定も固定でもよいし可変でもよい。可変の場合、設定部202は、ユーザからの指示に応じて通路部分を設定してもよい。また、設定部202が、撮影画像から通路部分を識別可能な情報(例えば、マーカーや、特定の背景色など)を検出して、自動的に通路部分を特定してもよい。
【0076】
[運用]
図17は、上述した事前設定が完了した後の、通過管理システム1の運用時における端末PC20の動作例を示すフローチャートである。
【0077】
図17に例示したように、通過管理システム1の運用時において、端末PC20は、例えば、認証処理部201において、顔認証用カメラ11から受信した画像において人物の顔領域を画像処理によって検出する(S201)。なお、検出した顔領域の情報は、例えば、顔認証の依頼としてサーバ30に送信される。
【0078】
また、端末PC20は、例えば、検出部203において、監視カメラ12から受信した改札40の通路画像と定常状態の通路画像とに基づいて、分割エリアの別に人物が進入したか否かを画像処理(例えば、異物検知)によって検出する(S202)。
【0079】
検出部203は、S202による検出結果(例えば、人物検知エリア)を、例えば図7図9図11図13図15に例示したように、記憶部204に時系列に記録(あるいは登録)する(S203)。なお、このように記憶部204に記録された情報あるいはデータを便宜的に「時系列データ」と称することがある。
【0080】
その後、端末PC20は、例えば、判定部205において、記憶部204に記録された時系列データに基づいて、改札40に進入した人物が改札40を通過したか否かを判定する(S204)。この判定(通過判定)の一例については、図18を参照して後述する。
【0081】
通過判定の後、端末PC20は、例えば、認証処理部201において、改札40に進入した人物の顔領域が検出済みであるか否かを確認する(S205)。人物の顔領域が検出済みの場合(S205;Yes)、認証処理部201は、例えば、顔認証が成功しているか否かを確認する(S206)。
【0082】
例えば、サーバ30から顔認証の成功を示す情報が認証処理部201において受信された場合、認証処理部201は、S201において顔領域を検出した人物について顔認証が成功したと判定してよい(S206;Yes)。
【0083】
この場合、認証処理部201は、例えば、顔領域を検出した人物が改札40に正常に進入したと判定してよい(S207)。この正常判定に応じて、認証処理部201は、例えば、改札40に対してゲートを開状態に制御する信号を送信して、認証に成功した人物の改札40の通過を許容する。
【0084】
一方、サーバ30から顔認証の失敗を示す情報が認証処理部201において受信された場合、認証処理部201は、S201において顔領域を検出した人物について顔認証が失敗したと判定してよい(S206;No)。
【0085】
この場合、認証処理部201は、例えば、顔領域を検出した人物が改札40に不正に進入したと判定してよい(S209)。この不正判定に応じて、認証処理部201は、例えば、改札40に対してゲートを閉状態に制御する信号を送信して、認証に失敗した人物の改札40の通過を規制する。
【0086】
なお、S205において、人物の顔領域が検出済みでない場合(S205;No)、認証処理部201は、例えば、顔認証用カメラ11による撮影画像において人物ではない異物が存在するか、あるいは不正侵入であると判定してよい(S208)。なお、人物が顔を覆い隠した状態で改札40へ進入した場合のように、人物の顔領域検出に失敗して顔領域の未検出が生じることがあり得る。この場合、例えば、改札40の入口付近の画像をターゲット領域として異物検知を実施し、異物検知をトリガに通路全域を含む画像に異物検知のターゲット領域を切り替えることで、顔領域が未検出の人物を追跡してS208のような判定を行ってもよい。また、異物検知は、例えば、顔領域が検出されたか否かに関わらずに(別言すると、顔領域の検出をトリガとせずに)、常に実施することとしてもよい。
【0087】
[通過判定]
次に、S204における通過判定の動作例について、図18を参照して説明する。
図18に例示したように、端末PC20は、例えば、判定部205において、記憶部204に記録された時系列データが、人物検知エリアが通過判定エリア(例えば、エリアB)に到達するまで順番に変化することを示す場合(S2041)、人物が改札40を正常に通過(通過完了)したと判定する(S2042)。
【0088】
また、判定部205は、例えば、記憶部204に記録された時系列データが、人物検知エリアが通過判定エリア(例えば、エリアB)に到達する前の途中のエリア(例えば、エリアE)で変化(あるいは更新)されないことを示す場合(S2043)、人物が改札40内に留まっていると判定(滞留判定)する(S2044)。滞留判定が一定時間(閾値時間)にわたって継続した場合、判定部205は、例えば、改札40にアラートを発出する信号を送信してよい。
【0089】
また、判定部205は、例えば、記憶部204に記録された時系列データが、人物検知エリアが通過判定エリア(例えば、エリアB)に到達する前の途中のエリア(例えば、エリアD)で逆順に変化する場合(S2045)、人物が改札40内において逆方向に引き返したと判定(逆通行判定)する(S2046)。
【0090】
なお、記憶部204に記録された時系列データが複数の人物について存在する場合がある(S2047)。例えば、同一時間帯に改札40に双方向から人物が進入することがあり得る。この場合、人物検知エリアの変化が順方向の時系列データと逆方向の時系列データとが記憶部204に記録される。
【0091】
例えば、改札40において一方の方向への通過が順方向の通過として設定あるいは想定されているような場合、判定部205は、例えば、当該方向の時系列データを逆方向の時系列データよりも優先して用いて、S2041~S2046に示した判定を行ってよい(S2048)。
【0092】
例えば、エリアGからエリアAに向かう方向が順方向である場合、判定部205は、人物検知エリアが、エリアG→F→E→D→C→B→Aと変化する時系列データを、エリアA→B→C→B→Aの順番に変化する時系列データよりも優先して用いて通過判定を行ってよい。
【0093】
以上のように、上述した実施の形態によれば、例えば、改札40の通路画像において人物の進入が検出された(分割)エリアの経時変化に基づいて、人物が改札40の通路を通過したか否かを判定する。したがって、例えば、顔認証に成功した人物が改札40を確実に通過したか否かを判定でき、判定精度を向上できる。
【0094】
また、分割エリアにおける人物の検出に、例えば、監視カメラ12によってそれぞれ撮影された通路画像および定常状態の通路画像に基づく異物検出(あるいは「差分検出」と称してもよい)を用いることで、改札40周辺の環境(例えば、改札における床面の色、あるいは外光)の変化または多様性に起因した検出精度の低下を回避できる。
【0095】
また、例えば、改札40周辺の環境が改札40毎に異なる場合であっても、監視カメラ12による撮影画像における差分検出であれば、改札40毎に、撮影環境を厳密に調整したり、人物検出のために学習したライブラリを用意したりといった特別な準備を不要にできる。
【0096】
また、上述した実施の形態では、背景差分を用いた異物検知により人物だと思われる物体を検知し、その時系列的な動きから通過判定を行っている。そのため、人物そのものを検知するよりも漏れの少ない検出を行うことができる。特に、「人物」の検知向けに学習させたライブラリでは検知が難しい帽子をかぶっている人物等も、「異物」としてならばより確実に検知できるので、上述した実施の形態では多様な格好をしている人物についても通過管理を実現することが可能となる。
【0097】
なお、類似の仕組みとして、改札40に光電センサを多数設け、人物だと思われる物体の通路の通過を直接検知する仕組みが存在する。ただし、この仕組みでは、改札40に多数の光電センサを配置しなくては、人物がどこまで通過したかを検知することができない。そのため、通路全体が撮像できる監視カメラ12が存在すれば通過管理を実現できる上述した実施の形態の構成の方が必要なセンサ数を抑えることができ、コスト面で有利である。
【0098】
したがって、監視カメラ12による撮影画像における差分検出は、例えば、通過管理システム1の簡易化に寄与する。
【0099】
[バリエーション1]
監視カメラ12の撮影画像(別言すると、人物の頭上から撮影した画像)を用いた進入検出(例えば、異物検出)において、改札40における通路床面の色が全体にわたって一色一様である場合、例えば、人物の髪色、服装、あるいは、帽子、ヘルメットのような頭上の装着物の相違によって、検出成功率の低下が想定され得る。
【0100】
そこで、例えば、改札40における通路床面の色は、部分的に異なってもよい。例えば図19に示すように、既述の複数の分割エリア(例えば、エリアA~G)のそれぞれに対応する通路床面のゾーン(便宜的に「床面ゾーン」と称する)が、当該床面ゾーンの別に色分けされてもよい。
【0101】
色分け(あるいは「配色」と称してもよい)は、図19に例示したように、例えば、床面ゾーンA~G毎に段階的に変化するパターン(別言すると、グラデーション)による色分けであってよい。図19には、床面ゾーンAから床面ゾーンGに向かって暖色から寒色へ段階的に色が変化する例が示される。なお、逆に、床面ゾーンGから床面ゾーンAに向かって暖色から寒色へ段階的に色が変化する色分けが床面ゾーンA~Gに適用されてもよい。
【0102】
このような通路床面の色分けによって、例えば、通路床面の色が一色一様である場合に比して、人物の頭上から撮影した画像を用いた分割エリア別の進入検出において、特定色の床面ゾーンでは検出に失敗し易い人物であっても、他の色の床面ゾーンでは検出に成功し易い状況を作り出すことができる。したがって、改札40の通路を通行する人物の進入検出に失敗する確率を低減(別言すると、検出成功率を向上)できる。
【0103】
あるいは、色分けは、例えば図20に示すように、通路床面を通路幅方向に分割(図20の例では2分割)した場合に、段階的な色変化が通路幅方向の分割エリアの別に異なる態様であってもよい。
【0104】
例えば図20には、通路幅方向に2分割したエリアの一方(例えば、左側)に適用された段階的な色変化とは逆順の段階的な色変化が、通路幅方向に2分割したエリアの他方(例えば、右側)に適用された例が示される。例えば、左側には、図19と同様に、床面ゾーンAから床面ゾーンGに向かって暖色から寒色へ段階的に変化する色分けが適用され、右側には、床面ゾーンGから床面ゾーンAに向かって暖色から寒色へ段階的に変化する色分けが適用されてよい。
【0105】
このような色分けによれば、例えば、或る人物が順方向に改札40を通過した後に、別の人物が逆方向に改札40を通過するような場合において、順方向及び逆方向の何れについても、色の異なる床面ゾーンによって検出に成功し易い状況を作り出すことができる。したがって、改札40の通路を順方向及び逆方向の何れの方向に通行する人物であっても、進入検出に失敗する確率を低減(別言すると、検出成功率を向上)できる。
【0106】
なお、通路床面の色分けは、段階的(あるいはグラデーション)でなくてもよく、例えば、床面ゾーンの別に異なる色を付すこととしてもよい。複数の床面ゾーンの一部に色を付さないことも、「色分け」に含まれてよい。
【0107】
また、色(例えば、色相)に代えてあるいは追加して、例えば、明度、彩度、及び、コントラストの少なくとも1つが複数の床面エリアの一部又は全部について異なってもよい。
【0108】
なお、本開示において、「色分け」という用語は、便宜的に、色相、明度、彩度、及び、コントラストの少なくとも1つ(便宜的に、少なくとも1つに関する「色パラメータ」と称することがある)が異なる態様を含むものと理解されてよい。
【0109】
また、通路床面の色分けは、塗料の塗布、色の異なる床材の設置といった物理的な手法に限られず、例えば、プロジェクションマッピングのような技術を用いて仮想的に実現されてもよい。例えば、通路床面に通行方向を示す矢印のようなマークをプロジェクションマッピングによって設定し、当該マークを分割エリアに応じて色分けして表示するようにしてもよい。
【0110】
また、通路床面に付与する代わりに、例えば、画像処理によって上述した色分けと同等の作用効果が実現されてもよい。例えば、画像処理において、分割エリアの別に特定の色を強調(又は増幅)したり減衰させたりしてもよいし、明度、彩度、及び、コントラストの少なくとも1つを分割エリアの別に強調(又は増幅)したり減衰させたりしてもよい。
【0111】
図21には、非限定的な一例として、分割エリアA~Gのうち、分割エリアAにおいて紫色を強調し、分割エリアGにおいて赤色を減衰する例が示される。
【0112】
このような画像処理を用いた色分けに関する処理は、例えば、設定部202によって検出部203に設定されてよい。
【0113】
画像処理(あるいはプロジェクションマッピング)による色分け相当の処理を実現することで、通路床面に特別な加工を施す必要がないので、通過管理システム1の導入が容易である。
【0114】
また、分割エリアの床面の色分けあるいは画像処理による色分けによって、人物の髪色あるいは装着物の有無といった差異がある場合においても、何れかの分割エリアにおいて人物の検出成功率を向上できる。したがって、色分けを適用しない場合に比して、改札40における人物の通過判定あるいは追跡の精度を向上できる。
【0115】
[バリエーション2]
また、通路床面の色分けは、例えば図22に示すように、2色(例えば、青色と白色)交互の縞状であってもよい。別言すると、通路床面の色は、床面エリア毎に周期的に変えられてよい。なお、3色以上で周期的に通路床面の色が変えられてもよい。通路床面に付与する周期的な色の組み合わせは、任意の異なる色の組み合わせでよい。
【0116】
このような周期的な色分けによれば、人物の通行に伴って画像処理において同じ色の床面エリアが周期的に現れる。したがって、例えば、特定色の床面エリアでは検出に失敗し易い人物についても、進入検知エリアの変化を時系列に追跡することで、当該人物の改札40における位置変化を推定できる。
【0117】
例えば、図22において、白色の床面ゾーンF→白色の床面ゾーンDの順序で人物が検出された後に、白色の床面ゾーンBにおいて人物が検出されない場合、「青色の床面では検出に失敗し易い人物が、改札40のゾーンCに位置している可能性が高い」というような推定が可能である。
【0118】
なお、上述した周期的な色分けについても、バリエーション1と同様に、例えば、画像処理において周期的に強調あるいは減衰する色パラメータを周期的に変えることで実現されてもよい。非限定的な一例として、図23に示すように、青色を強調するゾーンと白色を強調するゾーンとを交互に設定することとしてもよい。
【0119】
また、3色以上の色を使用する場合、使用する色のセットが周期的に現れるのであれば、各周期内で使用する順序を任意にしてもよい。例えば、1周期目(青、赤、白)、2周期目(赤、白、青)、…と構成することが考えられる。この構成でも、各周期内で少なくとも1度は人物が検出されることが期待されるため、進入検知エリアの変化を時系列に追跡が可能となる。上記の例だと、例えば、白色でしか検出できない人物は、1周目の最後と2周期目の中央で検出される。その結果、時系列的には1周期目の領域から2周期目への領域へ移動したことが分かる。
【0120】
このような画像処理による周期的な色分けによっても、通路床面の色分けと同様に、例えば、特定色の床面エリアでは検出に失敗し易い人物についても、進入検知エリアの変化を時系列に追跡することで、当該人物の改札40における位置変化を推定できる。
【0121】
[バリエーション3]
上述した実施の形態において、定常状態の通路画像は、改札40の通路に人物が存在しない状態で取得されてよいとした。ただし、非定常状態、例えば、監視カメラ12が固定されている場合には、改札40の通路を人物が存在(例えば、通過)する状態(例えば、運用開始後)において撮影された通路画像が定常状態の通路画像に設定されてもよい。
【0122】
例えば、監視カメラ12によって複数のタイミングにおいて撮影した画像(例えば、フレーム)を重ね合わせて差分をとることによって、動体を除去した画像を定常状態の通路画像に設定してもよい。
【0123】
[バリエーション4]
図2に示した構成では、顔認証用カメラ11が改札40の側壁41A及び41Bの一方又は双方に設けられた態様について例示したが、顔認証用カメラ11は、改札40に進入する人物の顔を含む範囲を撮影可能な位置に設置されればよい。例えば図24に示すように、監視カメラ12の設けられた支持部42に、顔認証用カメラ11が設けられることとしてもよい。
【0124】
[バリエーション5]
分割エリアのサイズ(例えば、改札40において人物が通行する方向に沿った方向の幅)、別言すると、改札40の通路に沿った方向の分割エリアの数は、任意でよい。例えば図25に示すように、分割エリアのサイズは、人物の平均的なサイズ(以下「人物サイズ」と称することがある)よりも大きいサイズ、人物の平均的なサイズと同程度のサイズ、及び、人物の平均的なサイズよりも小さいサイズの何れであってもよい。
【0125】
分割エリアのサイズが人物の平均的なサイズよりも大きい場合には、例えば、検出される人物の画像上の座標を基に人物の改札40内の位置を推定できる。分割エリアのサイズが、人物の平均的なサイズよりも小さい場合には、例えば、複数の分割エリアに跨って人物が検出されるため、当該複数の分割エリアを1つの進入検知エリアとして結合処理されてよい。
【0126】
分割エリアを人物の平均的なサイズ(以下「人物サイズ」と称することがある)に相応のサイズに設定しておけば、座標の追跡、分割エリアの結合といった処理を追加的に用いずに、個々の通行状況が把握し易い。したがって、例えば図12図15に例示したように、複数人が改札40内に進入した場合の個々の通行状況も把握し易くなる。
【0127】
[バリエーション6]
また、例えば図26に示すように、改札40の通路画像内にゴミのような意図しない物体261が写り込んだ場合にも、分割エリアを適切なサイズ(例えば、人物サイズに相応のサイズ)に設定することで、意図しない物体261を進入検出対象から容易に除外できる。例えば、判定部205は、通路画像における異物の大きさに基づいて異物が人物であるか否かを判定してよい。すなわち、分割エリアと比べて小さすぎる物体および大きすぎる物体は、人物ではない物体261であると判断することが可能となる。判定部205は、人物でないと判定された異物については、人物が通路を通過したか否かの判定には用いないこととしてよい。
【0128】
代替的あるいは追加的に、顔認証処理の実施の有無によって物体261の除外を行ってもよい。例えば、顔認証処理が実施されていない場合に検出された物体261は、人物ではないと判断して進入検出対象から除外されてよい。
【0129】
[バリエーション7]
分割エリアのサイズ(例えば、通路の通行方向に沿った方向の幅)は、複数の分割エリアの全部又は一部について一様でなくてもよい。例えば、複数の分割エリアの一部又は全部のサイズは、通路画像における人物の位置に応じて異なるサイズに設定されてもよい。
【0130】
例えば図27に示すように、監視カメラ12によって撮影された画像において人物が占める領域のサイズは、当該人物の監視カメラ12に対する位置によって変わり得る。例えば図27の上段に示したように、人物が監視カメラ12に近づくほど、監視カメラ12によって撮影された画像における人物のサイズは、図27の下段に示したように、小さくなり得る。
【0131】
そのため、例えば図28に示すように、分割エリアのサイズは、監視カメラ12の設置位置(例えば、監視カメラ12による撮影領域の中央)に近い位置ほど小さく(あるいは狭く)設定されてよい。
【0132】
例えば、分割エリアのサイズは、監視カメラ12に対する人物の位置が変化した場合に、「人物が1つの分割エリアに収まる」あるいは「人物が一定数の複数の分割エリアに跨る」ように非一様に設定されてよい。
【0133】
図28には、非限定的な一例として、監視カメラ12に対する人物の異なる位置のそれぞれにおいて、通路画像において「人物が3つの分割エリアに跨る」ように分割エリアのサイズが設定された例が示される。なお、通路画像において人物が跨る分割エリア数は、4以上でもよい。
【0134】
このような設定によれば、監視カメラ12に対する人物の位置変化に依らず、人物一人あたりの進入検知エリア数を、通路画像における人物サイズとの関係で一定にできる。したがって、例えば、複数の分割エリアのサイズを一様一定に設定した場合に比して、より簡易な画像処理によって、バリエーション5と同様の作用効果を得ることができる。
【0135】
代替的に、分割エリアのサイズは変更(あるいは調整)せずに、例えば、通路画像において人物が現れる位置によって、人物が跨る分割エリア数、あるいは個々の分割エリアにおいて人物サイズが占める割合を変更(あるいは調整)してもよい。
【0136】
例えば、監視カメラ12による撮影領域の中央に近い位置ほど、一人あたりの人物が跨る分割エリア数が小さく設定されてよく、あるいは、同じサイズの個々の分割エリアにおいて人物サイズの占める割合が小さく設定されてもよい。
【0137】
[バリエーション8]
分割エリアを人物の通行方向に区切るラインは、直線でもよいし曲線でもよい。例えば図29(左側)に示すように、改札40の通路中央部分から放射状に広がる複数の同心円それぞれの一部(別言すると、円弧)が、分割エリアを通行法に区切るラインに相当してもよい。
【0138】
図29(右側)に太枠291で例示したように、改札40に対して人物が通行する範囲内において個々の円弧によって区切られるエリアを人物検出対象の分割エリアに設定することで、改札40の外側に位置する円弧によって区切られるエリアは人物検出対象から除外できる。
【0139】
[バリエーション9]
上述したバリエーション1~8を含む実施の形態において、通過管理を行う対象の通路は、駅に設置された改札40の通路に限られない。例えば、空港、港、商業施設、公共施設、アミューズメント施設、テーマパーク、公園、イベント会場といった、入退場の管理が導入され得る各種の施設あるは会場に設置されるゲートの通路に、上述したバリエーション1~8を含む実施の形態が適用されてもよい。
【0140】
また、開閉制御を行う機能を持たないゲートにおける通過管理に対して、上述したバリエーション1~8を含む実施の形態が適用されてもよい。
【0141】
[全体の補足]
上述したバリエーション1~8を含む実施の形態において、改札40(あるいはゲート)の通路が互いに向かい合う側壁41A及び41B(図2)によって形成される例を示したが、これに限定されない。例えば、通路は、人物の通行を案内するロープ、テープ、ポールといった部材によって連続あるいは不連続に他のエリアと区別して設定されてもよい。また、このような物理的な部材の代替あるいは追加で、例えば、プロジェクションマッピングのような仮想的な手段を用いて、人物を案内する「通路」が他のエリアと区別して設定されてもよい。
【0142】
また、通過判定対象の通路の長さは、任意でよい。例えば、通路の長さは、改札40あるいはゲートにおいて一般的に想定される長さよりも長くてもよい。例えば、通路へ侵入する人物の顔を含む領域が撮影範囲に収まる場所に顔認証用カメラ11が設置され、当該通路から人物が退場するエリアに既述の通過判定エリアが設定されてよい。
【0143】
また、通過判定対象の通路は、直線状に限られず、図30に示すように、一部又は全部に湾曲する部分があってもよく、また、一部又は全部に高低差(例えば、階段のような段差)があってもよい。また、通路は、静止した通路でもよいし、例えば、動く歩道あるいはエスカレータといった動く通路であってもよい。図31には、湾曲部分及び高低差のある通路の非限定的な一例として、螺旋状の可動通路を有するスパイラルエスカレータが示される。
【0144】
通路の長さ、あるいは通路の一部又は全部に湾曲した部分又は高低差があるか否かに依らず、監視カメラ12の上方からの撮影範囲に通路全体を収めることで、例えば、人感センサのような物理的なセンサを通路の通行方向に沿って複数設置せずに、人物が通路を通過したか否かを確実に判定できる。なお、この場合、分割エリアは監視カメラ12から見た通路の形状に合わせて設定してもよい。例えば、湾曲している部分は、その湾曲に合わせた形で分割エリアを設定し、高低差がある部分は、遠近法に従い、監視カメラ12に近いほど広い分割エリアを設定する。
【0145】
なお、監視カメラ12の台数は1台に限られない。例えば、複数の監視カメラ12によって通路全体が撮影されてもよい。複数の監視カメラ12によって撮影された部分的な通路の画像の別に、分割エリアが設定されて、人物の通行状況が判定、管理されてよい。
【0146】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0147】
また、本開示の具体例は例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0148】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に相互に置換されてもよい。
【0149】
また、本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアによって実現可能である。例えば、上述したシステムの機能は、コンピュータプログラムによって実現され得る。
【0150】
図32は、上述した通過管理システム1を構成する各装置の機能をプログラムにより実現するコンピュータ(あるいは情報処理装置)のハードウェア構成を示す図である。図32において、コンピュータ1100は、キーボード又はマウス、タッチパッド等の入力装置1101、ディスプレイ又はスピーカー等の出力装置1102、CPU(Central Processing Unit)1103、GPU(Graphics Processing Unit)1104、ROM(Read Only Memory)1105、RAM(Random Access Memory)1106、ハードディスク装置又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置1107、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体から情報を読み取る読取装置1108、ネットワークを介して通信を行う送受信装置1109を備え、各部はバス1110により接続される。
【0151】
読取装置1108は、例えば、端末PC20の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1107に記憶させる。あるいは、送受信装置1109が、ネットワークに接続されたサーバ装置(サーバ30でもよいし、サーバ30とは異なるサーバ装置でもよい)と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記憶装置1107に記憶させる。
【0152】
CPU1103が、記憶装置1107に記憶されたプログラムをRAM1106にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1106から順次読み出して実行することにより、上述した実施の形態に係る端末PC20の機能が実現される。
【0153】
上述した実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0154】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0155】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0156】
本開示は、通信機能を有するあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、PC(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0157】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0158】
また、近年、IoT(Internet of Things)技術において、フィジカル空間とサイバー空間の情報連携により新たな付加価値を作りだすという新しいコンセプトであるCPS(Cyber Physical Systems)が注目されている。上記の実施の形態においても、このCPSコンセプトを採用することができる。
【0159】
すなわち、CPSの基本構成として、例えば、フィジカル空間に配置されるエッジサーバと、サイバー空間に配置されるクラウドサーバとを、ネットワークを介して接続し、双方のサーバに搭載されたプロセッサにより、処理を分散して処理することが可能である。ここで、エッジサーバまたはクラウドサーバにおいて生成される各処理データは、標準化されたプラットフォーム上で生成されることが好ましく、このような標準化プラットフォームを用いることで、各種多様なセンサ群やIoTアプリケーションソフトウェアを含むシステムを構築する際の効率化を図ることができる。
【0160】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0161】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0162】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本開示の一実施例は、改札のようなゲートにおける通路の通過管理に好適である。
【符号の説明】
【0164】
1 通過管理システム
11 顔認証用カメラ
12 監視カメラ
20 端末PC
30 サーバ
40 改札(ゲート)
41A,41B 側壁
42 支持部
201 認証処理部
202 設定部
203 検出部
204 記憶部
205 判定部
206 通過管理部
1100 コンピュータ
1101 入力装置
1102 出力装置
1103 CPU
1104 GPU(Graphics Processing Unit)
1105 ROM(Read Only Memory)
1106 RAM(Random Access Memory)
1107 記憶装置
1108 読取装置
1109 送受信装置
1110 バス
図1
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