(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055962
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタのローテーション速度
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20230411BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
H04B7/06 954
H04B7/08 802
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023019810
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2020516819の分割
【原出願日】2018-08-30
(31)【優先権主張番号】15/719,435
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】ホー ケアンポ アール
(72)【発明者】
【氏名】スー リン
(57)【要約】
【課題】無線通信システムの構成要素間で指向性波信号を方向付けるための無線通信システムを提供する。
【解決手段】ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理は、異なる無線通信デバイスにおいて異なるセクタローテーション速度を利用することができる。別の無線通信デバイスにおけるアンテナセクタの完全なローテーションについてアンテナアレイの個々のセクタに対して、電力測定値をキャプチャすることができる。電力測定値を評価して、異なる無線通信デバイス間でミリ波ビームを方向付けるためのセクタを特定することができる。一部の実施形態では、第2のパケットは、特定されたセクタを用いて返送されて、異なる無線通信デバイス間でミリ波ビームを方向付けるための別のセクタを決定することができる。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域プロセッサと、少なくとも1つのアンテナアレイと、を備える無線通信デバイスであって、
アンテナアレイの受信セクタの間で1回の完全なローテーションを実行して、別のアンテナアレイを介して送信された、別の無線通信デバイスからのパケットであって、前記別のアンテナアレイの送信セクタの複数回の完全なローテーションのポストアンブル部分を含む、パケットを受信し、
前記送信セクタの前記完全なローテーションのうちの異なるローテーションに対して、前記受信セクタの個々と前記送信セクタとの間のミリ波ビームの少なくとも1つの電力測定値をキャプチャし、
前記個々の受信セクタに対する前記キャプチャされた少なくとも1つの電力測定値を評価して、最大の電力測定値を有する前記受信セクタのうちの1つを選択し、
前記無線通信デバイスにおける送信セクタであって、前記選択された受信セクタに従って特定された送信セクタを用いて、前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイに別のパケットを送信するように構成されている、無線通信デバイス。
【請求項2】
前記別のパケットを送信するために使用される前記無線通信デバイスにおける前記特定された送信セクタは、前記選択された受信セクタとレシプロカルなセクタである、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項3】
前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイの前記送信セクタの前記完全なローテーションを実行するローテーション速度を示す、前記他の無線通信デバイスとの設定オペレーションを実行するように更に構成されている、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項4】
前記別のパケットは、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間で最適なミリ波ビームを確立するために、前記他のアンテナアレイの前記送信セクタのうちの1つ及び前記アンテナアレイの前記選択された受信セクタを特定する、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項5】
前記アンテナアレイにおける前記特定された送信セクタと前記他のアンテナアレイにおける前記1つの受信セクタとの間でキャプチャされた最大電力測定値を有する、前記他のアンテナアレイの受信セクタのうちの1つを特定するために、前記別のパケットは、前記他の無線通信デバイスが前記他のアンテナアレイの異なる受信セクタにおいて受信するポストアンブル部分を含み、前記他のアンテナアレイにおける、前記特定された1つの受信セクタとレシプロカルな送信セクタと、前記アンテナアレイの前記選択された受信セクタとが、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間に最適なミリ波ビームを確立するために使用される、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項6】
前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイの前記送信セクタの完全なローテーションを実行するためのローテーション速度が、前記パケットの一部として受信される、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項7】
前記パケットは、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間の無線信号強度が強度閾値未満であるという判定に応じて、前記他の無線通信デバイスから送信される、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項8】
方法であって、
1つ以上の無線通信デバイスにより、
第1のローテーション速度で前記セクタ間をローテーションしてパケットを受信する第1のアンテナアレイの複数のセクタの個々のセクタに対し、
前記第1のローテーション速度とは異なる第2のローテーション速度で第2のセクタ間をローテーションする第2のアンテナアレイの複数のセクタに対してミリ波ビームのそれぞれの電力測定値を決定することと、
前記電力測定値を評価して、前記第1のアンテナアレイにおける前記セクタのうち前記それぞれの電力測定値のうち最大電力測定値を有する1つを選択することと、
前記選択されたセクタを使用する前記第1のアンテナアレイ又は前記第2のアンテナアレイからのミリ波ビームの送信を方向付けることと、を実行することを含む、方法。
【請求項9】
前記第2のアンテナアレイから前記パケットを受信することを更に含み、前記パケットは、前記第2のアンテナアレイの前記セクタ間をローテーションさせるためのローテーションパターンに従って送信されるポストアンブル部分を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のアンテナアレイの前記セクタは送信セクタであり、前記第1のアンテナアレイの前記セクタは受信セクタであり、前記選択されたセクタは前記第2のアンテナアレイから送信された前記ミリ波ビームを受信するために使用される前記受信セクタのうちの1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のアンテナアレイによって、
前記第1のアンテナアレイの前記選択された受信セクタに従って特定された前記第2のアンテナアレイにおける送信セクタを用いて、前記第2のアンテナアレイに第2のパケットを送信することと、
前記第2のアンテナアレイの複数の受信セクタと前記第1のアンテナアレイにおける前記特定された送信セクタとの間のミリ波ビームのそれぞれの電力測定値を決定することと、
前記第2のアンテナアレイの前記受信セクタと前記第1のアンテナアレイにおける前記特定された送信セクタとの間の前記ミリ波ビームの前記それぞれの電力測定値を評価して、最大電力測定値を有する前記第2のアンテナアレイにおける前記受信セクタのうちの1つを選択することと、
前記第1のアンテナアレイにおける前記選択された受信セクタに基づいて、前記第2のアンテナアレイにおける前記送信セクタのうちの1つを特定することと、を更に含み、
前記ミリ波ビームの前記方向付けは、前記第1のアンテナアレイの前記特定された送信セクタと前記第2のアンテナアレイの前記特定された受信セクタを使用して、前記ミリ波ビームを送信する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のアンテナアレイの前記セクタは受信セクタであり、前記第1のアンテナアレイの前記セクタは送信セクタであり、前記選択されたセクタは、前記第1のアンテナアレイから前記第2のアンテナアレイに送信される前記ミリ波ビームを送信するために使用される前記送信セクタのうちの1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記パケットは、前記第1のアンテナアレイを実装する第1の無線通信デバイスと、前記第2のアンテナアレイを実装する第2の無線通信デバイスとの間の無線信号強度が強度閾値未満であるとの判定に応じて、前記第2のアンテナアレイから送信される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記判定すること、前記評価すること、及び前記方向付けることは、前記判定すること、前記評価すること、及び前記方向付けることを含むビームフォーミングプロトコルのタイプが、前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイを実装するそれぞれの無線通信デバイスに対して有効になっているとの判定に応じて実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のアンテナアレイを実装する無線通信デバイスに提供された前記第2のアンテナアレイの前記セクタ間をローテーションさせるためのローテーションパターンに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のローテーション速度を決定することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
システムであって、
請求項1に記載の前記無線通信デバイスであって、
前記アンテナアレイの前記受信セクタの間の前記一回の完全なローテーションの実行は第1のローテーション速度に従って実行されることと、
前記他の無線通信デバイスであって、
前記パケットを前記無線通信デバイスに送信するように構成され、前記ポストアンブル部分の前記他のアンテナアレイの前記送信セクタの前記複数回の完全なローテーションは、第2のローテーション速度に基づいて実行され、
前記第2のローテーション速度は、前記第1のローテーション速度とは異なる、
前記他の無線通信デバイスと、
を備える、システム。
【請求項17】
前記別のパケットは、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間に最適なミリ波ビームを確立するために、前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイにおける前記送信セクタのうちの1つと、前記アンテナアレイにおける前記選択された受信セクタを特定する、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記別のパケットは、ポストアンブル部分を含み、
前記他の無線通信デバイスは、
前記他のアンテナアレイの受信セクタ間をローテーションして、前記無線通信デバイスからの前記別のパケットの前記ポストアンブル部分の受信に少なくとも部分的に基づいて、前記他のアンテナアレイの前記受信セクタの個々と前記無線通信デバイスにおける前記特定された1つの送信セクタとの間の電力測定値をキャプチャし、
前記電力測定値を比較して、最大電力測定値を有する前記他のアンテナアレイの前記受信セクタの1つを特定し、
前記他のアンテナアレイの前記特定された受信セクタに従って、前記他のアンテナアレイの前記送信セクタのうちの1つを選択するように更に構成され、前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイの前記選択された送信セクタ及び前記無線通信デバイスにおける前記アンテナアレイの前記特定された受信セクタは、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間に最適なミリ波ビームを確立するために使用可能である、
請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記他の無線通信デバイスであって、
前記他の無線通信デバイスと前記無線通信デバイスとの間の通信リンクの障害又は劣化を検出し、
前記通信リンクの前記障害又は劣化の検出に応じて、前記パケットの前記送信を実行するように更に構成される、
請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
第1のホスト及び第2のホストを更に備え、前記他の無線通信デバイスは、前記第1のホストに無線通信を提供し、前記無線通信デバイスは、前記第2のホストに無線通信を提供し、前記他の無線通信デバイスと前記無線通信デバイスとの間で、前記無線通信デバイスにおける前記選択された受信セクタに少なくとも部分的に基づいて送信されたミリ波ビームを用いて、前記第1のホストと前記第2のホストとの間でデータが送信される、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には、無線通信システムの構成要素間で指向性波信号を方向付けるための無線通信システム及び技法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、ますます広く普及している。加えて、数多くの異なる無線通信技術及び規格が存在する。無線通信規格のいくつかの例としては、IEEE802.11(WLAN又はWi-Fi、例えば、2.4及び/又は5GHzの周波数帯域における802.11 a/b/g/n/ac/ax、及び60GHzの帯域内の802.11ad/ay)、IEEE802.15(WPAN)、IEEE802.16(WiMAX)、及びその他が挙げられる。
【0003】
更に、アプリケーション及びデバイスが、無線通信のためにより高いレベルのスループットを継続的に必要とするにつれて、より多くのデータを送信するためにより周波数の高い高周波が使用されつつある。例えば、IEEE802.11adは、60GHz周波数帯域ミリ波を用いて、毎秒ギガビット速度を提供する。しかし、60GHz波などの高周波は、典型的には、実際上、壁又は他の固体構造体を貫通することができない。また、このような高周波は、かかる波の受信は、より低周波数の波に比べ、実際上、他のアンテナで受信されない場合があるので、大幅に減衰する恐れがあり、結果として、このような高周波を送信する送信機の到達距離は、より低周波数の波を送信する送信機と比較して縮小する場合がある。
【0004】
60GHZ波などの高周波を使用する一部の無線通信システムでは、ビームフォーミング技法を使用して、高周波を意図した受信機に方向付けることができる。明瞭な見通し線が利用できない場合であっても、ビームフォーミング技法は、意図した受信機に向けて反射を介して波を方向付けることができる。加えて、送信機と受信機との間の確立されたリンクの見通し線が突然遮られた場合、そのようなシステムは、新しい方向を検索している間、些細ではない時間にわたって通信を失うことがある。受信機又は送信機の移動及び回転は、信号を方向付けるために更なるビームフォーミング動作を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【0005】
各種実施形態では、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実装することができる。ビームフォーミング技法は、無線コンピューティングデバイス間の通信リンクを確立するために最適な無線ビームを特定するように実施することができる。無線通信デバイス間の性能を向上させるために、より良好な信号強度を得るべく、無線信号を異なる方向に方向付けてもよいし、成形してもよい。無線通信デバイスが移動、又は、妨害物若しくは妨害信号による所与の場所での干渉が変化するにつれて、最適な無線ビームを特定し、無線通信デバイス間の干渉又は妨害状態に適応する、又は別の方法でこれを克服することができる。2つの無線通信デバイス間で障害又は劣化が発生した通信を迅速に回復する上で、最適な無線ビームを決定するビームフォーミングパケットを処理するためのローテーション速度は、単一パケットのポストアンブル部分における情報に従ってアンテナアレイの異なるセクタ間の電力測定値をキャプチャするために、異なる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】一部の実施形態に係る、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を示す。
【
図1B】一部の実施形態に係る、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を示す。
【
図2】一部の実施形態に係る、一部の実施形態に係る、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実装する無線通信デバイスを示す。
【
図3】一部の実施形態に係る、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実装して送信され得る例示的なビームフォーミングパケットを示す。
【
図4】一部の実施形態に係る、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実施するための様々な方法及び技法を示す高レベルのフローチャートである。
【
図5】一部の実施形態に係る、ビームフォーミングプロトコルのパケットを受信するレスポンダでの最適な受信セクタの選択を実施するための様々な方法及び技法を示す高レベルのフローチャートである。
【
図6】一部の実施形態に係る、ビームフォーミングプロトコルのイニシエータのための最適な送信セクタを選択するための様々な方法及び技法を示す高レベルのフローチャートである。
【
図7】一部の実施形態に係る、例示的なコンピュータシステムの論理ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書は、「one embodiment(一実施形態)」又は「an embodiment(実施形態」に対する参照を含む。「in one embodiment(一実施形態において)」又は「in an embodiment(ある実施形態において)」という語句表現は、必ずしも同一の実施形態を指すわけではない。特定の機能、構造、又は特性は、本開示と一貫したいずれかの適切な方式で組み合わされてもよい。
【0008】
「comprising(備える、含む)」。この用語はオープンエンドである。添付の特許請求の範囲で使用されるように、この用語は、追加の構造又はステップを除外しない。「1つ以上のプロセッサユニット...を備えた装置」と記載される請求項を検討する。このような請求項は、装置が追加の構成要素(例えば、ネットワークインタフェースユニット、グラフィック回路など)を含むことを除外しない。
【0009】
「configured to(ように構成されている)」。様々なユニット、回路、又は他の構成要素は、タスク又はタスク(複数)を実行する「ように構成されている」と説明又は請求されてもよい。このような文脈では、「構成されている」は、ユニット/回路/構成要素が、動作の間にそれらのタスク又はタスク(複数)を実行する構造(例えば、回路)を含むことを示すことによって構造を暗示するときに使用される。そのように、ユニット/回路/構成要素は、指定されたユニット/回路/構成要素が現在動作可能でない(例えば、オンの状態でない)ときでさえ、タスクを実行するように構成されていると言うことができる。「~するように構成される」という文言と共に使用されるユニット/回路/構成要素は、ハードウェア、例えば、回路、動作を実施するために実行可能なプログラム命令を記憶するメモリなどを含む。ユニット/回路/構成要素が1つ以上のタスクを実行する「ように構成される」との記載は、そのユニット/回路/構成要素について、米国特許法第112条(f)が発動されないことを明示的に意図している。更に、「構成されている」は、ソフトウェア及び/又はファームウェア(例えば、FPGA又はソフトウェアを実行する汎用プロセッサ)によって操作され、問題のタスク(単数又は複数)を実行可能な方式で動作する汎用的な構造(例えば、汎用回路)を含むことができる。「構成されている」はまた、1つ以上のタスクを実施又は実行するように適合されたデバイス(例えば、集積回路)を組み立てるように製造工程(例えば、半導体組み立て設備)を適合させることを含んでもよい。
【0010】
「第1」、「第2」など。本明細書で使用されるように、これらの用語は、続く名詞の標識として使用され、いかなるタイプの順序付け(例えば、空間的、時間的、論理的など)も意味しない。例えば、バッファ回路は、「第1」及び「第2」の値に対する書き込み演算を実行するものとして本明細書で説明されてもよい。用語「第1」及び「第2」は、必ずしも第1の値が第2の値の前に書き込まれなければならないことを含意していない。
【0011】
「基づく」。本明細書で使用されるように、この用語は、判定に影響を及ぼす1つ以上の要因を記述するために使用される。この用語は、判定に影響を及ぼすことがある追加要因を除外しない。すなわち、判定はそれらの要因のみに基づいているか、又は少なくとも部分的にそれらの要因に基づいていることがある。「Bに基づいてAを判定する」というフレーズを検討する。このケースでは、BはAの判定に影響を及ぼす要因であるが、このようなフレーズは、Aの判定がCにも基づいていることを除外しない。他の例では、AはBのみに基づいて判定されてもよい。
【0012】
高周波を用いた無線通信システムは、デバイス間で大量のデータを通信することができる。例えば、1ミリメートル~10ミリメートルの波長(例えば、30-300GHz波)を有するミリ波は、毎秒1ギガビット以上の速度でデータを通信することができる。しかし、そのような波は、一部の状況において、実際上、壁又は固体構造体を貫通することができない場合がある。また、このような高周波を送信又は受信するデバイスのユーザは、波の送信機と受信機との間にユーザの身体又はユーザの身体の一部を置くことで波を遮る場合がある。送信機と受信機との間の物体、人間、及びペットは、例えば、信号を遮るか、又は別の方法で中断する場合がある。加えて、このような波を送信又は受信するデバイスのユーザは、固体構造体が送信機と受信機との間の現在のリンクを遮るように、デバイスを移動する場合がある。加えて、マルチユーザシステムでは、他のユーザが、このような高周波の送信機と受信機との間のリンク内にユーザ自身又は他の物体を置くことで、高周波が他のユーザ又は他の物体によって遮られる。
【0013】
ユーザデバイスと基地局との間のように、ミリ波を用いて送信機と受信機との間に通信リンクが確立される場合の多くは、送信機及び受信機が、スキャン又はスイープ動作を実行し、受信機宛のミリ波を方向付けるための送信機の最良の方向(例えば、最良のリンク)を決定する。例えば、ミリ波は、壁又は他の固体構造体を実際上貫通できないが、ミリ波は壁、床、天井などから反射され得る。したがって、ミリ波の送信機と受信機との間で直接的な見通し線が利用できない場合、表面の反射を使用するリンクなど、他のリンクを、明瞭な見通し線のリンクへの代替リンクとして選択することができる。
また、ミリ波の送信機は、ミリ波信号を送受信するためのアンテナアレイを含むことができる。このようなシステムでは、送信アンテナ要素と受信アンテナ要素の様々な組み合わせ、及びこのようなアンテナ要素の構成可能なパラメータを調整し、(例えば、位相シフト又は振幅重みベクトル(AWV)を適用して、波信号が送信される方向を整形するように波の送信をリダイレクトすることによって)送信機と受信機との間の指向性波信号を形成することができる。また、このようなシステムは、アンテナ要素とアンテナ要素の構成可能なパラメータとの異なる組み合わせを試験して、基地局とユーザデバイスとの間のリンクなど、送信機から受信機への最良のリンクを決定することができる。例えば、送信機は、他の方向と比較して、受信機がミリ波をより良好に受信する結果をもたらすミリ波の送信方向を決定することができる。このようなスキャン又はスイープは、ミリ波の送信機とミリ波の受信機との間のリンクを最初に確立するために実行されてもよい。また、このようなスキャン又はスイープは、現在のリンクが妨害され、新しいリンクが確立されるたびに、少なくとも部分的に繰り返されてもよい。多くの場合、かかるスキャン又はスイープは、実行するのに些細ではない時間を要する場合があり、また、多くのアプリケーションでは、そのようなスキャン又はスイープが実行されている間、通信が中断することにより、アプリケーションが適切に機能しない場合がある。例えば、リンクが妨害されると、ユーザデバイスと基地局との間など、送信機と受信機との間のデータ交換は、スキャン又はスイープが完了し、新しいリンクが送信機と受信機との間に確立されるまで、中断される場合がある。そのような中断は、ユーザデバイス上で動作するアプリケーションの性能を低下させる恐れがあり、ユーザエクスペリエンスに悪影響を及ぼす恐れがある。例えば、ストリーミングビデオ又はオーディオアプリケーションでは、そのような中断がネガティブなユーザエクスペリエンスを引き起こす恐れがある。ストリーミングビデオ又はオーディオにおいて、ビデオ表示のバッファは、コストを低減するために限定されることがある。中断がバッファの持続時間よりも長い場合、ビデオ表示はフリーズすることがある。特定の対話型ゲームアプリケーションでは、中断は、対話時間のごく一部であることが必要である。そうでないと、ビデオ表示が応答しなくなる恐れがある。
【0014】
ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度の各種実施形態を、本明細書に説明する。デバイス間の通信リンクを確立又は再確立するためにデバイスが経験するダウンタイム又は待ち時間は、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実行することによって、著しく削減することができ、それにより、特定された送信セクタと受信セクタを介して送受信されるミリ波信号を介して通信リンクの最適な方向を決定するための、デバイス間の送信(例えば、パケット)数を減らすことができる。ポストアンブル処理は、各種実施形態では、パケットのペイロードの後に存在するデータパケットの一部分に含まれるデータの処理であってもよい。例えば、パケットのポストアンブル部分は、例えば、パケットの自動利得制御(AGC)部分で送信された信号に基づいて情報を判定するために受信アンテナに対するフィードバックを可能にし得る、ペイロード部分に付加されるAGC部分であってもよい。アンテナアレイは、アンテナアレイの送信又は受信要素が向けられた方向を特定できるセクタを介して信号を送信又は受信することができる。各種実施形態では、セクタは、アンテナを介して(例えば、アンテナアレイ内の複数のアンテナを用いて)波放射(例えば、ミリ波のような無線周波数(RF)信号)を送信又は受信するために、パターン、形状、又は他の方向を特定することができる。通信リンクの最適な方向を決定するために、無線通信デバイスの送信セクタと他の無線通信デバイスの受信セクタの両方を決定することができる。
【0015】
図1Aは、一部の実施形態に係る、最適な送信(TX)セクタと受信(RX)セクタの決定を開始するための例示的な送信を示す。無線通信デバイス110、送信機(TX)は、TXセクタ及びRXセクタを決定するためのパケットの送信を開始するように準備することができる。セクタローテーションパターン130を、無線通信デバイス(RX)120に提供でき、その結果、無線通信デバイス120は、
図1B及び
図3~
図6に関して以下で論じるように、異なるローテーション速度でのセクタローテーションパターンに従う、異なる送信セクタの電力測定値をキャプチャすることができる。セクタローテーションパターン130は、(例えば、
図3に関して以下に論じる、プリアンブル、ヘッダ又はペイロードを介して)セクタローテーションパターン130に従うポストアンブル送信140を含む同じパケットの一部として提供されてもよいし、
図5に関して以下に論じるように、設定オペレーションの一部として提供されてもよい。例えば、セクタローテーションパターンのいくつかのパラメータは、対応付けプロセスにおける無線通信デバイスの能力として提供されてもよい。
【0016】
図1Bは、一部の実施形態に係る、ビームフォーミングパケットのポストアンブル送信のための異なるローテーション速度の例を示す。アンテナアレイセクタ150は、無線通信デバイス(TX)110のための異なるアンテナアレイTXセクタの論理的説明を提供することができる。アンテナアレイセクタ160は、無線通信デバイス(RX)120のためのアンテナアレイセクタの論理的説明を提供することができる。各種実施形態では、各アンテナアレイのセクタローテーション速度は異なってもよい。例えば、送信機セクタローテーション速度170は、全てのアンテナアレイセクタ150を通した完全なローテーション(完全なローテーション172a,172b,172cから172yまで)を示す。しかし、受信セクタローテーション速度180は、同じ期間(又は重複期間)において、一回の完全なローテーション182を実行してもよい。このようにして、一部の実施形態では、1つの受信アンテナアレイセクタ160の電力測定値190を、各アンテナアレイセクタ150に対してキャプチャすることができる。例えば、電力測定値190aは、アンテナアレイセクタ150が送信機セクタローテーション速度170によりローテーションする際に、各アンテナアレイセクタ150に対してキャプチャされてもよく、アンテナアレイセクタ160の第1のセクタはそのままである。
【0017】
アンテナアレイセクタ160の次のアンテナアレイセクタへのローテーションが発生する時に、アンテナアレイセクタ150のローテーションが再び開始され得る。このような異なるローテーション速度により、電力測定値190b及び190cから190yまでなどの同様の電力測定値をキャプチャ可能にし、それによって、無線通信デバイス120における最適な受信機セクタを、キャプチャされた電力測定値に基づいて選択することができる。
図1Bは、完全なローテーション172がアンテナアレイセクタ160内における新しいセクタへのローテーションと整合している、同期されたローテーションを示しているが、他の実施形態では、ローテーション間で同期している必要はないことに留意されたい。アンテナアレイセクタ160は、例えば、アンテナアレイセクタ150の完全なローテーション172の途中までローテーションすることができ、それでも各アンテナアレイセクタ150に対する電力測定値をキャプチャすることができる。したがって、
図1Bにおいて提供される論理的な説明は、異なる無線デバイスにおけるセクタローテーションの同期に関して制限的であることを意図するものではなく、単に異なるローテーション速度の例を示すにすぎない。
図1Bは、例として、1つの受信アンテナアレイのみを示す。複数のアンテナアレイを有する無線デバイスの場合、一部の実施形態では、無線通信デバイス(RX)120内の全てのアレイは、対応するセクタを同時にローテーションさせて、全てのアンテナアレイ内の全てのセクタについての電力測定値をキャプチャすることができる。
【0018】
図2は、一部の実施形態に係る、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実装する無線通信デバイスを示す。無線通信デバイス200は、一部の実施形態では、ホスト210に(例えば、ミリ波無線周波数を介して)無線通信を提供するように実装されてもよい。
図7に関して以下に論じるように、ホスト210は、無線通信デバイス300によって確立され維持される確立された無線通信リンクであってよい、異なるネットワーキングプロトコルを用いてネットワーク上でデータを生成、送信、及び受信することができるネットワークインタフェース(例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC))を実装することができる。
【0019】
無線通信デバイス200は、ホスト210又は構成要素のためのより大きな回路の一部として実装されてもよいし、ホスト210に接続された別個の回路又はハードウェア構成要素であってもよい。例えば、無線通信デバイス200の一部又は全部は、専用回路又はハードウェア上に実装されてもよく、これには、特に、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が挙げられるが、これらに限定されない。無線通信デバイス200は、広帯域処理部220を実施することができ、これは、一部の実施形態では、プロセッサ(例えば、
図7のプロセッサ1010など)及びメモリ(例えば、
図7のメモリ1020など)並びに/又は、アンテナアレイ230を介して受信した無線周波数(RF)信号のデジタル処理を実行する専用回路、を含むことができる。広帯域処理部220は、(例えば、
図7のネットワークインタフェース1040のようなネットワークインタフェースを介して)ホスト210への通信及びホスト210からの通信を実施するための様々な管理又は要求対処動作を実行することができる。
【0020】
広帯域処理部220は、一部の実施形態では、ビームフォーミング処理222を実施することができる。ビームフォーミング処理部222は、指向性RF通信(例えば、ミリ波ビーム)を用いて、他の無線通信デバイスとの通信リンクを確立するためにビームフォーミング処理を管理することができる。ミリ波ビームの場合、広帯域処理部220は、通信リンクを確立、維持、及び回復するための異なる技法を実施することができる。一部の実施形態では、ビームフォーミング部222は、例えば、セクタレベルのスイープを実行して、ミリ波ビームを別の無線通信に送受信するために利用する最適なセクタを特定することができる。複数の短いパケット、セクタスイープ(SSW)フレームは、個々のセクタから、全方向性アンテナパターンを利用してパケットを受信できる別の無線通信デバイスにおけるアンテナアレイに送信することができる。ビームフォーミング部222は、一部の実施形態では、最適な送信機セクタが特定された後に、最適な受信機振幅重みベクトル(AWV)を見つけるためにビームトラッキングを実施することができる。
【0021】
ビームフォーミング部222は、一部の実施形態では、BRP(beam refinement protocol:ビーム精密化プロトコル)技法を実施することができる。BRP技法は、イニシエータからレスポンダ(アンテナアレイを実装する別の無線通信デバイス)に送信されるパケットのポストアンブル部分を利用することができる。いくつかのBRP技法では、ポストアンブル部分は、イニシエータの送信セクタ又はAWVのうちの1つを介して送信されるトレーニングフィールドを提供する情報を含むことができる。パケットのポストアンブルにおけるチャネル測定値に基づいて、イニシエータとレスポンダとの間でミリ波ビームを受信するために、最適な受信機セクタ又はAWVを決定することができる。いくつかのBRP技法では、ポストアンブル部分は、チャネル測定を行うために、送信されたAWVを変化させて様々な向きを試験することができる。受信機から送信機への応答に基づいて、イニシエータとレスポンダとの間でミリ波ビームを方向付けるために、最適な送信機セクタ又はAWVを決定することができる。いくつかのBRP技法では、受信したトレーニングのみを使用してもよく、同じ局の対応する送信機のAWVは、レシプロシティによって決定されてもよい。
【0022】
セクタレベルスイープ及びBRP技法は、(例えば、ビームの最適な方向を達成するために送信及び受信を成形するための、最適な位相ベクトルの対又はAWVを決定することによって)ミリ波ビームの最適な方向を決定する異なる方法を提供することができるが、レイテンシセンシティブアプリケーションは、上記のように、このような技法がミリ波ビームの最適な方向を決定するのを待機できない場合がある。各種実施形態では、ビームフォーミング部222は、
図3~
図6に関連して以下で論じる技法により、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実施し、パケットの数(例えば、
図3に示すような2つのパケットまで)を著しく低減させることができる。上記に論じた他のBRP及びセクタスイープ技法と同様の、多くのパケットのやりとりの代わりに、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のために異なるセクタローテーション速度を実装するビームフォーミング技法は、2つの無線通信デバイス間のミリ波ビームの最適な方向を決定するための待ち時間を大幅に縮小することができる(例えば、待ち時間の≒75%縮小)。
【0023】
無線通信デバイス200は、各種実施形態でアンテナアレイ(単数又は複数)230を実装することができ、それは、RF信号(例えば、ミリ波)を送信及び受信するための送信機240及び受信機250の両方を含むことができる。送信機240は、デジタルアナログ変換器(DAC)241を実装することができる。DAC241は、広帯域処理部220からデジタル信号を受信し、デジタル信号をアナログ信号に変換することができる。ミキサ243及びスプリッタ245は、別個のアンテナを介する送信のためにアナログ信号を分割することができる。位相シフタ247は、(例えば、特定のセクタを介して無線ビームを送信するために)所望のビーム方向又は形状を作成するため、異なるアンテナを介したアナログ信号の送信の時間を定めるための位相ベクトルを実装することができる。電力増幅器(PA)249は、アンテナを介した送信前に信号電力を増幅することができる。一実施形態では、位相シフタ247は、振幅及び位相の両方におけるAWVの完全な実装のための振幅調整で構成されることができる。同様に、一部の実施形態において、アンテナアレイ(単数又は複数)230は、アンテナを介してRF信号を受信することができる受信機250を実装し、信号の電力を低雑音増幅器(LNA)259を介して増大させ、位相シフタ257を介して信号のタイミング(例えば、位相ベクトルにより指定された特定の受信機セクタを用いて信号の受信を指示する位相ベクトルに従って)を成形し、結合器255及びミキサ243を用いて信号を結合し、かつ、アナログデジタル変換器(ADC)241を介してアナログ信号をデジタル信号に変換することができる。
【0024】
無線通信デバイス200を実装又はそれに接続することができるホスト210は、より大きい回路、チップ、又は他のホストハードウェアの部分として無線通信デバイスを実装してもよいし、無線通信デバイスに連結されてもよい。ホスト210は、一部の実施形態では、以下で論じるように、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を利用するBRP技法を有効化又は無効化することを含む、様々な種類のビームフォーミング技法を有効化するなど、無線通信デバイス200のための制御設定又は構成をプログラミングするか、又は他の方法で指定することができる。少なくとも一部の実施形態では、ホスト210は、とりわけ、複数の異なるリレードック又はステーション、ユーザデバイス(例えば、ウェアラブルモバイルコンピューティングデバイス)、及び基地局を利用する無線通信システムの部分として実装されてもよい。
【0025】
図3は、一部の実施形態に係る、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実装して送信され得る例示的なビームフォーミングパケットを示す。イニシエータ310は、
図2の無線通信デバイス200のような無線通信デバイスであってもよく、レスポンダ320とのビームフォーミングを開始することができ、レスポンダ320は、レスポンダとしての(例えば、通信デバイス200と類似の、又は異なる)別の無線通信デバイスであってもよい。例えば、イニシエータ310は、ルータ、リレーデバイス、又は他のネットワーキングデバイスなどの無線アクセスデバイスであってもよく、レスポンダ320は、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、ラップトップ、携帯電話、又はウェアラブル技術機器)であってもよいし、その逆であってもよい。
【0026】
イニシエータ310は、パケット340を生成することができ、パケット340は、一部の実施形態では、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実施するためのフィールド、部分、又はセクションを含むビームフォーミングパケットであることができる。例えば、パケット340は、プリアンブル342、ヘッダ344及びペイロード346を含んでもよく、それらは、イニシエータ310におけるセクタから送信するためのローテーション速度及びパターン、並びに他の機能のために使用可能な、又は他のデバイスにより使用可能な他の情報など、イニシエータ310及び実行されるビームフォーミングに関する各種情報を通信することができる。例えば、他のデバイスは、パケットを傍受することができ、ペイロード346の情報を使用して(例えば、無線三角測量技法のため)ナビゲーションを実行することができる。一部の実施形態では、プリアンブル342、ヘッダ344及びペイロード346は、単に、空中でのパケット衝突を回避するためにパケット340の持続時間を伝える、ネットワーク内の他のデバイスへのインジケータとして機能することができる。
【0027】
パケット340の送信は、ポストアンブル部分を含んでもよく、ポストアンブル部分はペイロード送信346の終了後すぐに生じ得る。したがって、一部の実施形態では、ポストアンブル期間の前のパケット340のデータは、所定の最適な送信セクタによって送信され得る。ポストアンブル処理が開始されると、パケット340の送信は、
図1A~
図1Bに関して上記に論じたローテーションパターン及びローテーション速度により実行され得る。パケット340のポストアンブル期間は、電力測定を実行するための試験フィールドを含み得る自動利得制御(AGC)部分348を含んでもよい。送信機(TX)セクタ352は、一部の実施形態では、レスポンダの受信機(RX)セクタ354の数(例えば、1~Mで示される)に従って繰り返され得る、ローテーションパターン(例えば、セクタ1,2,3、~セクタNまで)に従って送信されてもよい。
【0028】
図4~
図6に関連して以下で詳細に論じるように、レスポンダ320は、受信したパケット340を処理して、各RXセクタにおけるTXセクタのそれぞれの電力測定値を次のRXセクタにローテーションする前にキャプチャするよう、RXセクタをローテーションしてもよい。一部の実施形態では、TXセクタのローテーションの同期は、キャプチャされた電力測定値に基づいて、レスポンダ320における最適なRXセクタ及びイニシエータ310における最適なTXセクタの両方を決定するために、(例えば、信頼閾値を越えることで、又はプリアンブル342、ヘッダ344及びペイロード346のAGC348に先立つ受信に応じることで)十分に正確であってよい。そのようなシナリオでは、レスポンダ320は、パケット340に対する応答として、パケット通信(図示せず)において最適なTX及びRXセクタを示してイニシエータ310に応答することができる。
【0029】
TXセクタのローテーションの同期が十分に正確ではないシナリオでは、レスポンダ320は、イニシエータ310とレスポンダ320との間の通信に最適なイニシエータにおけるTXセクタを決定するために、イニシエータ310と更なるビームフォーミングを実行するためにパケット360を生成することができる。前と同様に、パケット360は、プリアンブル362、ヘッダ354、及びペイロード366を含んでもよく、それらの一部又は全部は、レスポンダ320からのセクタ(例えば、1セクタ、最適なRXセクタ372)の送信のローテーション速度及びパターン、並びに他の機能に使用可能な、又は他のデバイスによって使用可能な他の情報を示してもよい。一部の実施形態では、プリアンブル362、ヘッダ354及びペイロード366は、空中のパケット衝突を回避するため、パケット360の持続時間を伝えるための、ネットワーク内の他のデバイスへのインジケータとして機能することができる。
【0030】
少なくとも一部の実施形態では、パケット360は、(イニシエータ310からの最大電力測定値を有する信号を受信したレスポンダ320におけるRXセクタとレシプロカルなセクタを用いて応答器320によって決定される)最適なTXセクタを用いた試験フィールドを含み得るAGC部分368を含んでもよい。レスポンダ320内に複数のアンテナアレイを有する一部の実施形態では、そのセクタのうちの1つの最大電力測定値を有する最適なアンテナアレイを使用して、パケット360を送信することができる。
図6に関して以下に論じるように、イニシエータ310は、その後、イニシエータ310のRXセクタをスイープする又は別の方法でローテーションさせて電力測定値を収集し、最大電力測定値を有するセクタを特定し、レシプロシティを実行し、最適なTXセクタを決定することができ、その結果、一部の実施形態では、イニシエータ310は、ミリ波ビームをレスポンダ320に送信するために使用する最適なTXセクタを決定し、レスポンダ320は、イニシエータ310からミリ波ビームを受信するために使用する最適なTXセクタを決定する。イニシエータ310内に複数のアンテナアレイを有する一部の実施形態では、最高の性能を有するアンテナアレイを決定することもできる。
【0031】
図2~
図3は例示的な無線通信デバイス及びビームフォーミングパケットのやりとりを説明し図示してきたが、
図2~
図3に図示し説明した様々な技法及び構成要素は無線通信デバイスに容易に適用することができる。例えば、単一のアンテナアレイ又は異なる広帯域処理又は無線周波数チャネル構成を有する無線通信デバイスは、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実施することができる。したがって、
図2~
図3は、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実施し得る無線通信デバイスの他の実施形態について限定することを意図するものではない。
【0032】
図4は、一部の実施形態に係る、ビームフォーミングパケットのポストアンブル処理のための異なるセクタローテーション速度を実施するための様々な方法及び技法を示す高レベルのフローチャートである。様々な異なる無線通信デバイスは、単独で又は一緒に作用する、
図5及び
図6を含む、以下に説明する様々な方法及び技法を実施することができる。したがって、上記の実施例及び又は図示した方法を実行するものとして参照される任意の他のシステム若しくはデバイスは、他の異なる構成要素、モジュール、システム、又は無線周波数信号を送信もしくは受信するシステム及びデバイスの構成について限定することを意図するものではない。
【0033】
異なるイベントがビームフォーミング評価をトリガすることができる。例えば、一部の実施形態では、無線通信デバイス間のリンクの信号強度は、閾値を下回ってもよいし、無線デバイス間の信号若しくは通信リンクの障害が検出されてもよい。一部の実施形態では、複数の種類のビームフォーミング評価又はプロトコルが無線デバイスに実装されてもよい。ビームフォーミングプロトコルのタイプのインテリジェントな選択は、ビームフォーミング評価をトリガするイベントに少なくとも部分的に基づいて実行されてもよい。例えば、無線通信デバイスの構成設定又は他のモードがセットされてもよく、それにより、
図4~
図6に関して以下に論じるものなどのビームフォーミング評価技法がビームフォーミング評価の場合に実行されるかどうか、又は他のビームフォーミング精密化プロトコルが利用されるかどうか(例えば、802.11ad又は802.11ayなどのIEEE802.11規格に指定されたBRPプロトコル)を決定する。
【0034】
ビームフォーミング評価は、一部の実施形態では、ビームフォーミングプロトコルパケットの送信の結果として開始することができる。410に示すように、第1のローテーション速度でローテーションしてパケット(例えば、BRPパケット)を受信する第1のアンテナアレイのセクタと、第2のローテーション速度でローテーションする第2のアンテナアレイのセクタとの間で、ミリ波ビームのそれぞれの電力測定値が決定され得る。アンテナアレイのセクタ間のローテーション速度の差は、第2のアンテナアレイのローテーションパターンに従って決定することができる。例えば、第2のアンテナアレイのローテーションパターンが、時間X内で第2のアンテナアレイの全てのセクタを通るローテーションサイクルを完了することを示す場合、第1のアンテナのローテーション速度は、第1のアンテナのセクタの各ローテーションが第2のアンテナアレイのセクタの全てをカバーできるように、決定することができる。
図3に示すような一実施形態では、Xの持続時間は、
図3のパケット340内の1~N個のセクタのローテーションを含み得る。したがって、少なくとも一部の実施形態では、第1のローテーション速度は、第2のローテーション速度より遅くてもよい(例えば、セクタ当たりの第1のローテーション速度≒時間Yであり、これは、全てのセクタに対する第2のローテーション速度≒Xよりも長くてもよく、これにより、第1のローテーションは、第2のローテーションの全ての変動をキャプチャすることができる(
図1Bの190a、...、190yの例を参照)。一実施形態では、
図3に示すように、Yの持続時間は、パケット340に対するセクタ1~M間のローテーションと等しくてもよい。一部の実施形態では、ミリ波ビームの電力測定値をキャプチャし、それを後続する分析のために記憶することができる。一部の実施形態では、決定された電力測定値の一部のみが保持されてもよい。例えば、
図5及び
図6に関連して以下に論じるように、あるセクタに対する複数の電力測定値を決定してもよく、他のセクタの電力測定値と比較するための、最大電力測定値のみを保持してもよい。
【0035】
電力測定値が決定されると、第1のアンテナは、420からの出口NOで示されるように、第1のアンテナアレイにおけるセクタが最後のセクタではない場合は、422に示されるように、第1のアンテナアレイの次のセクタまでローテーションすることができる。しかし、第1のアレイのセクタが最後のセクタである場合、430に示されるように、電力測定値を評価して、第1のアンテナアレイにおける最大電力測定値を有するセクタのうちの1つを選択することができる。例えば、電力測定値は記憶され、第1のアレイにおける個々のセクタに関連付けられてもよい。記憶された測定値は、最大電力測定値に関連付けられたセクタを捜し出すようにスキャンされてもよい。
【0036】
440に示すように、一部の実施形態では、選択されたセクタを使用する第1のアンテナアレイ又は第2のアンテナアレイから、ミリ波ビームを方向付けることができる。例えば、上記のビームフォーミング評価技法は、開始する無線通信デバイスと応答する無線通信デバイスとの間で実施されてもよい。開始する無線通信デバイスは、一度実行されるTXセクタのローテーションパターンを示すパケットを送信してもよく、このパケットは、X時間で全てのTXセクタを循環する。単一サイクルの実行のパターン表示に基づいて、応答する無線通信デバイスは、一部の実施形態では、イニシエータにおいて1つの送信セクタを完了するのに要する時間に、受信セクタの全サイクルを完了するほど高速であるローテーション速度を決定することができる(例えば、レスポンダのローテーション速度=(X/イニシエータにおけるTXセクタの数)/レスポンダにおけるセクタ数)。あるいは、
図5及び
図6に関連して以下に論じるように、イニシエータは、X時間にTXセクタの複数の完全なサイクルを実行するローテーションパターンを示すことができ、それを、イニシエータは単一サイクルで各RXセクタ間をローテーションする速度を決定するのに使用することができる。ミリ波ビームは、ミリビームを特定されたセクタに方向付けることができる位相ベクトルに従って、それぞれのアンテナアレイからの信号を送信及び受信するように、プログラミング又は構成位相シフトによって方向付けられてもよい。
【0037】
一部のシナリオでは、上述のように、イニシエータ又はレスポンダのいずれかは、他方がセクタの完全なローテーションに送信すること又はそれから受信することを可能にするローテーション速度に従って、セクタのローテーションを実行することができ、それにより、1つのアンテナアレイにおけるセクタのセットと他のアンテナアレイのセクタのうちの1つとの間のミリ波ビームの電力測定値を決定することができる。一実施形態では、ビームフォーミングのイニシエータである無線通信デバイスが、レスポンダである無線通信デバイスの各セクタについて測定を行う速度で、セクタの完全なローテーションを実行することができる。
図5は、一部の実施形態に係る、ビームフォーミングプロトコルのパケットを受信するレスポンダにおいて最適な受信セクタを選択するための様々な方法及び技法を示す高レベルのフローチャートである。
【0038】
510及び512に示されるように、イニシエータ502及びレスポンダ504は、ビームフォーミングを達成するために設定オペレーションを実行することができる。例えば、設定は、イニシエータからレスポンダ504へ、又はレスポンダ504からイニシエータへのいずれかに制御PHYパケットを送信することなどによって、イニシエータ502とレスポンダ504との間の通信を確立することを含むことができる。一部の実施形態では、設定は、リンク劣化、リンク損失、又はイニシエータ502にレスポンダ504とのビームフォーミングを開始させる他のトリガイベントの前に実行されてもよい。設定オペレーションは、定期的に、又は他のイベント(例えば、イニシエータ502若しくはレスポンダ504のいずれかによりブロードキャストされたビーコンの完了、又は非BRPパケットがある期間内に受信されない場合)に応じて実行されてもよい。レスポンダ504がRXセクタ間をローテーションするためのローテーション速度(例えば、セクタローテーションがTμs毎に発生する)を決定できるように、設定はイニシエータ502のローテーションパターン及び/又は速度を示し得る情報の交換を含んでもよい。一実施形態では、設定オペレーションは、特定の事前規定されたアンカーポイントに規定されてもよい。パケットがアンカーポイントで、又はアンカーポイントの直前で検出されない場合、一部の実施形態では、設定オペレーションは暗黙的に確立されてもよい。
【0039】
520に示すように、一部の実施形態では、イニシエータ502は、パケットをレスポンダ504に送信し、セクタローテーションパターン及び第1のローテーション速度に従って、ポストアンブル内のTXセクタ間をローテーションさせてもよい。例えば、
図3に関して上記に論じたように、一部の実施形態では、イニシエータ502のアンテナアレイのポストアンブルローテーションは、AGCフィールド内にそれぞれのトレーニングフィールドを含んでもよい。一部の実施形態では、イニシエータ520のポストアンブル送信のためのローテーションパターン及び/又は速度を示す、パケットのプリアンブル、ヘッダ及び/又はペイロードは、(例えば、それぞれ要素510及び512において)セットアップを実行する際に得られ得るかかる情報の代わりに、又はそれを置換するために、一部の実施形態では、レスポンダ504で受信されてもよい。522に示すように、レスポンダ504は、ポストアンブルの初めにパケットを受信するように第1のRXセクタを設定してもよい。
【0040】
530に示すように、一部の実施形態では、期間Tの電力測定値がレスポンダ504によって決定されてもよい。期間Tは、イニシエータ502のTXセクタのために取得する所望の電力測定値に従って設定されてもよく(例えば、より多くの電力測定値にはより長い時間、及びより少ない電力測定値には短い期間)、したがって、Tは、ポストアンブル内のイニシエータ502において次のTXセクタにローテーションされる前に単一のTXセクタが送信される時間以下であってもよい。決定された電力測定値は、RXセクタの他の電力測定値と比較してもよい。542に示すように、電力測定値がRXセクタに対して決定された最大電力測定値でない場合、電力測定を前に進めてもよい。しかし、540からの出口YESが示すように、電力測定値がRXセクタに対して決定された最大電力測定値である場合、電力測定値は、550に示すように保存されてもよい。
【0041】
560に示すように、現在のRXセクタが設定されてからの経過時間が、イニシエータ520におけるTXセクタのローテーションを完了する時間よりも長くなるまで、電力測定値の決定を継続し、レスポンダ504における現在のRXセクタに対する他の電力測定値と比較してもよい。570からの出口NOが示すように、現在のRXセクタが最後のRXセクタではない場合、パケット562を受信する次のRXセクタが、イニシエータ502から受信したパケットのポストアンブル処理を継続するようにレスポンダにおいて設定されることができる。RXセクタが最後のRXセクタである場合、一部の実施形態では、580に示すように、保存された電力測定値を評価して、最大電力測定値を有するRXセクタを特定することができる。レスポンダが複数のアンテナアレイを有する一部の実施形態では、全てのアンテナアレイは、そのセクタを同時にローテーションさせ、最大測定電力を有するRXセクタ及び対応するアレイの両方を決定することができる。
【0042】
図4及び
図5に関連して上記に論じたように、一部のシナリオでは、イニシエータから別の無線通信デバイスに送信されたBRPパケットのプリアンブル、ヘッダ及び/又はペイロードの一部又は全部は、レスポンダで受信されなくてもよいし、検出されなくてもよい。しかし、ビームフォーミングは、応答パケットをイニシエータに送信することによって継続することができ、それにより、イニシエータはイニシエータのどのセクタをミリ波ビームを用いて標的とするかを決定することができる。
図6は、一部の実施形態に係る、ビームフォーミングプロトコルのイニシエータのための最適な送信セクタを選択するための様々な方法及び技法を示す高レベルのフローチャートである。
【0043】
一部の実施形態では、610に示すように、レスポンダ504の送信(TX)セクタのうちの一つのセクタが、最大電力測定値を有すると決定されたレスポンダ504のRXセクタに基づいて選択され得る。例えば、レスポンダ504におけるレシプロカルなTXセクタは、選択されたRXセクタによって特定されてもよい。620に示すように、選択されたTXセクタを示すパケットは、選択されたTXセクタを用いて送信されてもよい。一部の実施形態では、ビームフォーミングパケットの送信の一部として、レスポンダ504は、時間T1持続するポストアンブル送信を実行することができる。
図3で上述したように、ビームフォーミングパケットはAGCフィールドを含んでもよく、その異なる部分は、イニシエータ502のRXセクタのローテーションを可能にする。ポストアンブル送信は、期間T1で完了するレスポンダ504の異なるTXセクタ間のローテーションを実行してもよい。
【0044】
図6には示されていないが、一部の実施形態では、イニシエータ502は、レスポンダ504からパケットを受信しない場合がある。ビームフォーミングプロセス中に障害が発生する場合には、エラーハンドリングを実施してもよい。例えば、経過時間閾値をイニシエータ502で評価してもよい。レスポンダ504からのパケットが経過時間閾値内に受信されない場合、イニシエータ502は、最初のパケットの受信が失敗したとみなし、パケットを再送信することによって(例えば、
図5の要素520に関して上記で論じたパケット送信技法によって)再試行することができる。
【0045】
一部の実施形態では、イニシエータ502は、第1のRXセクタを、ポストアンブルフェーズの初めにパケットを受信するように設定することができる。630に示すように、期間T2の電力測定値を決定することができる。時間T2は、セクタに対する所望の電力測定値に従って設定されてもよい。例えば、複数回の電力測定が所望される場合、T2とセクタローテーションを実行する総時間(例えば、以下で論じる時間T3)との差を増加させることができる。あるいは、例えば、各RXセクタに対して単一回の電力測定が所望される場合、時間T2は、RXセクタのローテーションを実行する総時間にほぼ等しいように設定されてもよい(例えば、T2≒T3とする)。決定された電力測定値の方が大きくない場合、642に示すように、電力測定値は無視されてもよい。決定された電力測定値が、設定されたRXセクタに対して決定されたあらゆる他の値よりも大きい場合、電力測定値は、650に示すように、更なる評価のために(例えば、メモリ、レジスタ、又は他の場所に)保存されてもよい。
【0046】
660に示すように、現在のRXセクタに対する電力測定値の決定(単数又は複数)は、RXセクタが設定されてからの経過時間が、レスポンダ504でRXセクタをローテーションする時間T3よりも長くなるまで継続してもよい。時間T3は様々な方法で決定することができる。例えば、時間T3は、ポストアンブルの総時間をイニシエータ502におけるRXセクタの数で割ったものにほぼ等しくてもよい(例えば、T3≒T1/Nセクタ)。時間が経過していない場合、660からの出口NOが示すように、更なる電力測定を決定することができる。時間が経過した場合、現在のRXセクタがイニシエータ502で最後のRXセクタであるかどうかについての判定を行うことができる。最後のRXセクタでない場合、662に示すように、次のRXセクタを選択し、パケットを受信することができる。最後のRXセクタである場合、680に示すように、保存された電力測定値を評価して、最大電力測定値を有するRXセクタを特定することができる。
【0047】
図7は一部の実施形態に係る例示的なコンピュータシステムの論理ブロック図である。コンピュータシステム1000は、ホスト、無線コンピューティングデバイスを実行する、含む、若しくは実装するか、又は上記の実施形態のいずれか若しくは全てを実行するように構成されてもよい。異なる実施形態では、コンピュータシステム1000は、様々なタイプのデバイスのいずれかであってもよく、それは、パーソナルコンピュータシステム、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、ノートブック、タブレット、スレート、パッド、若しくはネットブックコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ハンドヘルドコンピュータ、ワークステーション、ネットワークコンピュータ、カメラ、セットトップボックス、モバイルデバイス、消費者デバイス、ビデオゲームコンソール、ハンドヘルドビデオゲームデバイス、アプリケーションサーバ、記憶デバイス、テレビ、ディスプレイデバイス、ビデオ録画デバイス、スイッチ、モデム、ルータなどの周辺デバイス、又は概して任意のタイプのコンピューティングデバイス、コンピューティングノード若しくは電子デバイスを含むが、それらに限定されない。
【0048】
コンピュータシステム1000は、入力/出力(I/O)インタフェース1030を介してシステムメモリ1020に連結される1つ以上のプロセッサ1010を含む。コンピュータシステム1000は、(
図2に関して上記に論じたように)無線通信デバイス1042及び/又は有線通信デバイス1044上でネットワーク接続を確立することができるI/Oインタフェース1030に連結されたネットワークインタフェース1040と、カーソル制御デバイス1060、キーボード1070及びディスプレイ(単数又は複数)1080などの1つ以上の入出力デバイス1050と、を更に含む。いくつかのケースでは、実施形態は、コンピュータシステム1000の単一のインスタンスを用いて実装される場合があり、他の実施形態では、複数のこのようなシステム、又はコンピュータシステム1000を構成する複数のノードが、実施形態の異なる部分若しくはインスタンスをホストするように構成される場合があることが考えられる。例えば、一実施形態では、いくつかの要素は、他の要素を実施するノードと別個であるコンピュータシステム1000の1つ以上のノード(例えば、別の無線通信デバイスを実装する別のデバイス)を介して実施されてもよい。
【0049】
各種実施形態では、コンピュータシステム1000は、1つのプロセッサ1010を含むユニプロセッサシステムであってもよいし、いくつかのプロセッサ1010(例えば、2つ、4つ、8つ、又はその他の好適な個数)を含むマルチプロセッサシステムであってもよい。プロセッサ1010は、命令を実行可能な任意の好適なプロセッサであってもよい。例えば、各種実施形態では、プロセッサ1010は、x86、PowerPC、SPARC、若しくはMIPS ISAなどの、命令セットアーキテクチャ(instruction set architectures、ISA)のいずれか、又は任意の他の好適なISAを実行する汎用プロセッサ又は組み込みプロセッサであってもよい。マルチプロセッサシステムでは、プロセッサ1010の各々は同一のISAを共通に実行してもよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0050】
システムメモリ1020は、プログラム命令1022及び/又はプロセッサ1010によってアクセス可能な他のデータを記憶するように構成されてもよい。各種実施形態では、システムメモリ1020は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、同期ダイナミックRAM(SDRAM)、不揮発性/フラッシュ型メモリ、又はいずれかの他のタイプのメモリなど、任意の好適なメモリ技術を用いて実装されてもよい。図示された実施形態では、プログラム命令1022は、上記した機能性のいずれかを組み込んだ画像センサ制御アプリケーションを実行するように構成されてもよい。一部の実施形態では、プログラム命令及び/又はデータは、異なる種類のコンピュータアクセス可能媒体上、又はシステムメモリ1020若しくはコンピュータシステム1000とは別個の類似の媒体上で受信、送信、又は記憶されてもよい。コンピュータシステム1000は、前の図の機能的ブロックの機能を(例えば、無線通信デバイス又は類似の特徴若しくは構成要素を介して)実施するものとして説明されるが、本明細書で説明される機能のいずれかは、そのようなコンピュータシステムを介して実施されてもよい。
【0051】
一実施形態では、I/Oインタフェース1030は、プロセッサ1010と、システムメモリ1020と、ネットワークインタフェース1040、又は入力/出力デバイス1050などの他の周辺インタフェースを含む、デバイスのうちのいずれかの周辺デバイスとの間のI/Oトラフィックを調和するように構成されてもよい。一部の実施形態では、I/Oインタフェース1030は、1つの構成要素(例えば、システムメモリ1020)からのデータ信号を、別の構成要素(例えば、プロセッサ1010)による利用に適したフォーマットに変換するために、任意の必要なプロトコル、タイミング又は他のデータ変換を実行することができる。一部の実施形態では、I/Oインタフェース1030は、例えば、周辺装置相互接続(Peripheral Component Interconnect、PCI)バス規格又はユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)規格の変形例などの、様々な種類の周辺バスを介して取り付けられるデバイスのためのサポートを含んでもよい。一部の実施形態では、I/Oインタフェース1030の機能は、例えばノースブリッジ及びサウスブリッジなどの2つ以上の別個の構成要素に分割されてもよい。また、一部の実施形態では、システムメモリ1020へのインタフェースなどの、I/Oインタフェース1030の機能の一部又は全部は、プロセッサ1010に直接組み込まれてもよい。
【0052】
ネットワークインタフェース1040は、コンピュータシステム1000と、ネットワーク1085に取り付けられた他のデバイス(例えば、キャリアデバイス又はエージェントデバイス)との間、又はコンピュータシステム1000のノード間でデータを交換することが可能になるように構成されてもよい。ネットワーク1085は、各種実施形態では、1つ以上のネットワークを含んでもよく、これは、ローカルエリアネットワーク(LAN)(例えば、イーサネット(登録商標)若しくは企業ネットワーク)、ワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)、無線データネットワーク、いくつかの他の電子データネットワーク、又はこれらのうちのいずれかの組み合わせを含むが、それらに限定されない。各種実施形態では、ネットワークインタフェース1040は、有線又は無線汎用データネットワークを介した通信をサポートすることができ、それは、例えば、任意の好適なタイプのイーサネットネットワークを介した通信、アナログ音声ネットワーク若しくはデジタルファイバー通信ネットワークなどの電気通信/電話ネットワークを介した通信、ファイバーチャネルSANなどのストレージエリアネットワークを介した通信、又は任意の他の好適なタイプのネットワーク及び/又はプロトコルを介した通信である。有線通信デバイス1044は、コンピューティングシステム1000を、ケーブル(例えば、同軸ケーブル、ツイストペアケーブル、又は光ファイバーリンク)を介して、別のネットワークデバイス(例えば、ルータ、スイッチ、ハブなど)に接続することができ、ネットワークデバイスは、1つ又は複数の有線又は無線通信経路のコースにわたって、コンピューティングシステム1000をネットワーク1085に接続することができる。
図3に関して上記に論じたような無線通信デバイス1042は、電波通信を実施し、ネットワーク通信を提供するために、他の無線対応デバイスと通信チャネルを確立することができる。
【0053】
入力/出力デバイス1050は、一部の実施形態では、1つ以上の表示端末、キーボード、キーパッド、タッチパッド、スキャニングデバイス、音声若しくは光学認識デバイス、又は1つ以上のコンピュータシステム1000によるデータの入力若しくはアクセスに適した任意の他のデバイスを含んでもよい。複数の入力/出力デバイス1050がコンピュータシステム1000内に存在してもよいし、コンピュータシステム1000の様々なノード上に分散されてもよい。一部の実施形態では、同様の入力/出力デバイスは、コンピュータシステム1000から分離してもよく、ネットワークインタフェース1040を介してなど、有線又は無線接続を介してコンピュータシステム1000のうちの1つ以上のノードと相互作用してもよい。
【0054】
図7に示すように、メモリ1020は、上記で説明した任意の要素又はアクションを実行するようにプロセッサで実行可能とすることができる、プログラム命令1022を含んでもよい。一実施形態では、プログラム命令は、上記で説明された方法を実行することができる。他の実施形態では、異なる要素及びデータが含まれてもよい。データは、上記で説明されたいずれかのデータ又は情報を含むことができることに留意されたい。
【0055】
当業者は、コンピュータシステム1000は単なる例示にすぎず、実施形態の範囲に制限を加えることを意図していないことを認識するであろう。特に、コンピュータシステム及びデバイスは、コンピュータ、ネットワークデバイス、インターネット装置、PDA、無線電話、ページャ、ディスプレイデバイスなどを含む、示された機能を実行し得るハードウェア又はソフトウェアのいずれかの組み合わせを含んでもよい。コンピュータシステム1000はまた、図示されない他のデバイスに接続されてもよく、又はその代わりに独立型のシステムとして動作してもよい。加えて、例示される構成要素によって提供される機能は、いくつかの実施形態では、より少ない構成要素で組み合わされてもよく、又は追加の構成要素において分散されてもよい。同様に、いくつかの実施形態では、図示されている構成要素のうちのいくつかの機能性は提供されなくてもよく、及び/又は他の追加の機能性が利用可能であってもよい。
【0056】
当業者はまた、様々な項目は、使用されている間にメモリ内、又は記憶装置上に記憶されるように示されているが、これらの項目又はそれらの部分はメモリ管理及びデータ完全性の目的のためにメモリと他の記憶デバイスとの間で転送されてもよいことを理解するであろう。代わりに、他の実施形態では、ソフトウェア構成要素の一部又は全ては、別のデバイス上のメモリ内で実行し、コンピュータ間通信を介して、図示されているコンピュータシステムと通信してもよい。システム構成要素又はデータ構造のいくつか又は全てはまた、以上において様々な例が説明された、適当なドライブによって読み取られるべきコンピュータアクセス可能媒体又はポータブル物品上に(例えば、命令又は構造化データ)として記憶されてもよい。一部の実施形態では、コンピュータシステム1000とは別個のコンピュータアクセス可能媒体上に記憶された命令は、伝送媒体、又はネットワーク及び/若しくは無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される、電気信号、電磁信号、又はデジタル信号などの信号を介してコンピュータシステム1000へ伝送されてもよい。各種実施形態は、前の説明に従ってコンピュータアクセス可能媒体上に実行される命令及び/又はデータを受信、送信、又は記憶することを更に含んでもよい。一般的に言えば、コンピュータアクセス可能媒体は、磁気媒体又は光媒体、例えば、ディスク若しくはDVD/CD-ROM、RAM(例えばSDRAM、DDR、RDRAM、SRAMなど)、ROMなどの揮発性又は不揮発性媒体などの、非一時的コンピュータ可読記憶媒体又はメモリ媒体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータアクセス可能媒体は、ネットワーク及び/若しくは無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される、電気信号、電磁信号、若しくはデジタル信号などの伝送媒体又は信号を含んでもよい。
【0057】
本明細書に説明する方法は、異なる実施形態では、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせで実施されてもよい。加えて、方法のブロックの順序は変更されてもよく、様々な要素の追加、再順序付け、組み合わせ、省略、修正などが行われてもよい。本開示の利益を得る当業者にとって明白であるような、様々な修正及び変更が行われてもよい。本明細書で説明された各種実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではない。多くの変形、修正、追加、及び改善が可能である。したがって、単一の事例として本明細書で説明した構成要素について、複数の事例を提供することができる。種々の構成要素、動作及びデータストアの間の境界は、ある程度任意のものであり、特定の動作は、特定の例示的な構成の文脈において示される。機能性の他の割り当てが想定され、以下に続く請求項の範囲内に含まれてもよい。最後に、例示的な構成における別個の構成要素として提示された構造及び機能性は、組み合わされた構造又は構成要素として実施されてもよい。それらの及び他の変形例、修正、追加、及び改善は、以下に続く請求項で定義されるように、実施形態の範囲内に含まれてもよい。
【0058】
本開示の実施形態は、以下の項目を考慮して説明することができる。
項目1 広帯域プロセッサ及び1つ以上のアンテナアレイをそれぞれ備える第1及び第2の無線通信デバイスを備え、
第1の無線通信デバイスは、
パケットを第2の無線通信デバイスに送信するように構成され、パケットのポストアンブル部分の送信は、第1の無線通信デバイスにおける1つ以上のアンテナアレイの複数の送信セクタ間の第1のローテーション速度及びローテーションパターンに従って実行され、
第2の無線通信デバイスは、
第1のローテーション速度とは異なる第2のローテーション速度に従って、第2の無線通信デバイスにおける1つ以上のアンテナアレイの受信セクタ間でローテーションし、第1の無線通信デバイスからのパケットのポストアンブル部分の受信に基づいて、受信セクタの個々と送信セクタとの間の電力測定値をキャプチャし、
電力測定値を比較して、最大電力測定値を有する第2の無線通信デバイスにおける1つ以上のアンテナアレイのうちの1つにおける受信セクタのうちの1つを特定し、
特定された受信セクタに基づいて選択された第2のアンテナアレイにおける1つ以上のアンテナアレイのうちの1つにおける送信セクタを用いて、第1の無線通信デバイスに第2のパケットを送信するように構成されている、システム。
項目2 第2のパケットは、第1及び第2の無線通信デバイス間で最適なミリ波ビームを確立するために、第1の無線通信デバイスにおける1つ以上のアンテナアレイのうちの1つにおける送信セクタのうちの1つと、第2の無線通信デバイスにおける1つのアンテナアレイにおける特定された受信セクタを特定する、項目1に記載のシステム。
項目3 第2のパケットはポストアンブル部分を含み、
第1の無線通信デバイスは、
第1の無線通信デバイスにおける前記1つ以上のアンテナアレイの受信セクタ間をローテーションし、第2の無線通信デバイスからの第2のパケットのポストアンブル部分の受信に少なくとも部分的に基づいて、第1の無線通信デバイスにおける1つ以上のアンテナアレイの受信セクタの個々と、第2の無線通信デバイスの送信セクタとの間の電力測定値をキャプチャし、
電力測定値を比較して、最大電力測定値を有する第1のアンテナアレイの受信セクタのうちの1つを特定し、
第1のアンテナアレイの特定された受信セクタに従って、第1のアンテナアレイの送信セクタのうちの1つを選択するように更に構成され、
第1のアンテナアレイの選択された送信セクタ及び第2のアンテナアレイの特定された受信セクタは、第1及び第2の無線通信デバイスとの間に最適なミリ波ビームを確立するために使用可能である、
項目1に記載のシステム。
項目4 第1の無線通信デバイスは、第1及び第2の無線通信デバイスとの間の通信リンクの障害又は劣化を検出し、通信リンクの障害又は劣化の検出に応じて、パケットの送信を実行するように更に構成される、項目1に記載のシステム。
項目5 第1のホスト及び第2のホストを更に備え、第1の無線通信デバイスは第1のホストに無線通信を提供し、第2の無線通信デバイスは第2のホストに無線通信を提供し、第2の無線通信デバイスにおける特定された受信セクタに少なくとも部分的に基づいて送信された第1及び第2の無線通信デバイス間のミリ波ビームを用いて、第1のホストと第2のホストとの間でデータが送信される、項目1に記載のシステム。
項目6 方法であって、1つ以上の無線通信デバイスにより、第1のローテーション速度でセクタ間をローテーションしてパケットを受信する第1のアンテナアレイの複数のセクタの個々のセクタに対し、第1のローテーション速度とは異なる第2のローテーション速度で第2のセクタ間をローテーションする第2のアンテナアレイの複数のセクタに対してミリ波ビームのそれぞれの電力測定値を決定することと、
電力測定値を評価して、第1のアンテナアレイにおけるセクタのうちそれぞれの電力測定値のうち最大電力測定値を有する1つを選択することと、
選択されたセクタを使用する第1のアンテナアレイ又は第2のアンテナアレイからのミリ波ビームの送信を方向付けることと、を実行することを含む、方法。
項目7 第2のアンテナアレイからパケットを受信することを更に含み、パケットは、第2のアンテナアレイのセクタ間をローテーションさせるためのローテーションパターンに従って送信されるポストアンブル部分を含む、項目6に記載の方法。
項目8 第2のアンテナアレイのセクタは送信セクタであり第1のアンテナアレイのセクタは受信セクタであり、選択されたセクタは、第2のアンテナアレイから送信されるミリ波ビームを受信するために使用される受信セクタのうちの1つである、項目7に記載の方法。
項目9 第1のアンテナアレイによって、第1のアンテナアレイの選択された受信セクタに従って特定された第2のアンテナアレイにおける送信セクタを用いて、第2のアンテナアレイに第2のパケットを送信することと、
第2のアンテナアレイの複数の受信セクタと第1のアンテナアレイにおける特定された送信セクタとの間のミリ波ビームのそれぞれの電力測定値を決定することと、
第2のアンテナアレイの受信セクタと第1のアンテナアレイにおける特定された送信セクタとの間のミリ波ビームのそれぞれの電力測定値を評価して、最大電力測定値を有する第2のアンテナアレイにおける受信セクタのうちの1つを選択することと、
第1のアンテナアレイにおける選択された受信セクタに基づいて、第2のアンテナアレイにおける送信セクタのうちの1つを特定することと、を更に含み、
ミリ波ビームの方向付けは、第1のアンテナアレイの特定された送信セクタと第2のアンテナアレイの特定された受信セクタを使用して、ミリ波ビームを送信する、項目8に記載の方法。
項目10 前記第2のアンテナアレイの前記セクタが受信セクタであり、前記第1のアンテナアレイの前記セクタは送信セクタであり、前記選択されたセクタは、前記第1のアンテナアレイから前記第2のアンテナアレイに送信される前記ミリ波ビームを送信するために使用される前記送信セクタのうちの1つである、項目7に記載の方法。
項目11 パケットは、第1のアンテナアレイを実装する第1の無線通信デバイスと、第2のアンテナアレイを実装する第2の無線通信デバイスとの間の無線信号強度が強度閾値未満であるという判定に応じて、第2のアンテナアレイから送信される、項目7に記載の方法。
項目12 判定すること、評価すること、及び方向付けることは、判定すること、評価すること、及び方向付けることを含むビームフォーミングプロトコルのタイプが、第1のアンテナアレイ及び第2のアンテナアレイを実装するそれぞれの無線通信デバイスに対して有効であるとの判定に応じて行われる、項目6に記載の方法。
項目13 第1のアンテナアレイを実装する無線通信デバイスに提供された第2のアンテナアレイのセクタ間をローテーションさせるためのローテーションパターンに少なくとも部分的に基づいて、第1のローテーション数を決定することを更に含む、項目5に記載の方法。
項目14 広帯域プロセッサと、少なくとも1つのアンテナアレイと、を備える無線通信デバイスであって、
アンテナアレイの受信セクタの間で1回の完全なローテーションを実行して、別のアンテナアレイを介して送信された、別の無線通信デバイスからのパケットであって、別のアンテナアレイの送信セクタの複数回の完全なローテーションのポストアンブル部分を含む、パケットを受信し、
送信セクタの完全なローテーションのうちの異なるローテーションに対して、受信セクタの個々と送信セクタとの間のミリ波ビームの少なくとも1つの電力測定値をキャプチャし、
個々の受信セクタに対するキャプチャされた少なくとも1つの電力測定値を評価して、最大の電力測定値を有する受信セクタのうちの1つを選択し、
無線通信デバイスにおける送信セクタであって、選択された受信セクタに従って特定された送信セクタを用いて、他の無線通信デバイスにおける他のアンテナアレイに別のパケットを送信するように構成されている、無線通信デバイス。
項目15 別のパケットを送信するために使用される無線通信デバイスにおける特定された送信セクタは、選択された受信セクタとレシプロカルなセクタである、項目14に記載の無線通信デバイス。
項目16 他の無線通信デバイスにおける他のアンテナアレイの送信セクタの完全なローテーションを実行するローテーション速度を示す、他の無線通信デバイスとの設定オペレーションを実行するように更に構成されている、項目14に記載の無線通信デバイス。
項目17 別のパケットは、無線通信デバイスと他の無線通信デバイスとの間で最適なミリ波ビームを確立するために、他のアンテナアレイの送信セクタのうちの1つ及びアンテナアレイの選択された受信セクタを特定する、項目14に記載の無線通信デバイス。
項目18 アンテナアレイにおける特定された送信セクタと他のアンテナアレイにおける1つの受信セクタとの間でキャプチャされた最大電力測定値を有する、他のアンテナアレイの受信セクタのうちの1つを特定するために、別のパケットは、他の無線通信デバイスが他のアンテナアレイの異なる受信セクタにおいて受信するポストアンブル部分を含み、他のアンテナアレイにおける、特定された1つの受信セクタとレシプロカルな送信セクタと、アンテナアレイの選択された受信セクタとが、無線通信デバイスと他の無線通信デバイスとの間に最適なミリ波ビームを確立するために使用される、項目14に記載の無線通信デバイス。
項目19 他の無線通信デバイスにおける他のアンテナアレイの送信セクタの完全なローテーションを実行するためのローテーション速度が、パケットの一部として受信される、項目14に記載の無線通信デバイス。
項目20 パケットは、無線通信デバイスと他の無線通信デバイスとの間の無線信号強度が強度閾値未満であるという判定に応じて、他の無線通信デバイスから送信される、項目14に記載の無線通信デバイス。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、少なくとも1つのアンテナアレイと、を備える無線通信デバイスであって、
アンテナアレイの受信セクタの間で、第1のローテーション速度で1回の完全なローテーションを実行して、別のアンテナアレイを介して送信された、別の無線通信デバイスからのパケットであって、前記別のアンテナアレイの送信セクタの複数回の完全なローテーションのポストアンブル部分を含む、パケットを受信し、
前記第1のローテーション速度と異なる第2のローテーション速度で実行された前記送信セクタの前記完全なローテーションのうちの異なるローテーションに対して、前記受信セクタの個々と前記送信セクタの個々との間のミリ波ビームの少なくとも1つの電力測定値をキャプチャし、前記送信セクタの複数回の完全なローテーションの個々は、前記受信セクタの前記1回の完全なローテーションと同期せず、
前記個々の受信セクタに対する前記キャプチャされた少なくとも1つの電力測定値を評価して、最大の電力測定値を有する前記受信セクタのうちの1つを選択し、
前記無線通信デバイスにおける送信セクタであって、前記選択された受信セクタに従って特定された送信セクタを用いて、前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイに別のパケットを送信するように構成されている、無線通信デバイス。
【請求項2】
前記別のパケットを送信するために使用される前記無線通信デバイスにおける前記特定された送信セクタは、前記選択された受信セクタとレシプロカルなセクタである、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項3】
前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイの前記送信セクタの前記完全なローテーションを実行する前記第2のローテーション速度を示す、前記他の無線通信デバイスとの設定オペレーションを実行するように更に構成されている、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項4】
前記別のパケットは、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間で最適なミリ波ビームを確立するために、前記他のアンテナアレイの前記送信セクタのうちの1つ及び前記アンテナアレイの前記選択された受信セクタを特定する、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項5】
前記アンテナアレイにおける前記特定された送信セクタと前記他のアンテナアレイにおける前記1つの受信セクタとの間でキャプチャされた最大電力測定値を有する、前記他のアンテナアレイの受信セクタのうちの1つを特定するために、前記別のパケットは、前記他の無線通信デバイスが前記他のアンテナアレイの異なる受信セクタにおいて受信するポストアンブル部分を含み、前記他のアンテナアレイにおける、前記特定された1つの受信セクタとレシプロカルな送信セクタと、前記アンテナアレイの前記選択された受信セクタとが、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間に最適なミリ波ビームを確立するために使用される、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項6】
前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイの前記送信セクタの完全なローテーションを実行するための前記第2のローテーション速度が、前記パケットの一部として受信される、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項7】
前記パケットは、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間の無線信号強度が強度閾値未満であるという判定に応じて、前記他の無線通信デバイスから送信される、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項8】
方法であって、
1つ以上の無線通信デバイスにより、
第1のローテーション速度で第1の複数のセクタ間をローテーションする第1のアンテナアレイの前記第1の複数のセクタの個々によって受信されたミリ波ビームの複数の電力測定値を収集することであって、第1の複数のセクタの個々に対する前記複数の電力測定値の個々の測定値は、前記第1のローテーション速度とは異なる第2のローテーション速度で第2の複数のセクタ間でローテーションする第2のアンテナアレイの第2の複数のセクタの1つにそれぞれ対応し、前記第1のアンテナアレイの前記第1の複数のセクタ間のローテーションは、送信アンテナアレイの前記第2の複数のセクタ間のローテーションとは同期しない、ことと、
前記複数の電力測定値を評価して、前記第1のアンテナアレイにおける前記第1のセクタのうち前記それぞれの電力測定値のうち最大電力測定値を有するセクタを選択することと、
前記選択されたセクタを使用する前記第1のアンテナアレイ又は前記第2のアンテナアレイからのミリ波ビームの送信を方向付けることと、を実行することを含む、方法。
【請求項9】
前記送信アンテナアレイから前記パケットを受信することを更に含み、前記パケットは、前記送信アンテナアレイの前記第2の複数のセクタ間をローテーションさせるためのローテーションパターンに従って送信されるポストアンブル部分を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のアンテナアレイの前記第2の複数のセクタは送信セクタであり、前記第1のアンテナアレイの前記セクタは受信セクタであり、前記選択されたセクタは前記送信アンテナアレイから送信された前記ミリ波ビームを受信するために使用される前記受信セクタのうちの1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のアンテナアレイによって、前記第1のアンテナアレイの前記選択されたセクタに従って特定された送信セクタを用いて、前記第2のアンテナアレイに第2のパケットを送信することと、
前記第2のアンテナアレイの複数の受信セクタと前記第1のアンテナアレイにおける前記特定された送信セクタとの間のミリ波ビームのそれぞれの電力測定値を決定することと、
前記第2のアンテナアレイの前記複数の受信セクタと前記第1のアンテナアレイにおける前記特定された送信セクタとの間の前記ミリ波ビームの前記それぞれの電力測定値を評価して、最大電力測定値を有する前記第2のアンテナアレイにおける前記複数の受信セクタのうちの受信セクタを選択することと、
前記第1のアンテナアレイにおける前記選択されたセクタに基づいて、前記第2のアンテナアレイにおける前記送信セクタのうちの1つを特定することと、を更に含み、
前記ミリ波ビームの前記送信は、前記第1のアンテナアレイの前記特定された送信セクタと前記第2のアンテナアレイの前記特定された受信セクタを使用して、前記ミリ波ビームを送信する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のアンテナアレイの前記第2の複数のセクタは受信セクタであり、前記第1のアンテナアレイの前記第1の複数のセクタは送信セクタであり、前記選択されたセクタは、前記第1のアンテナアレイから前記送信アンテナアレイに送信される前記ミリ波ビームを送信するために使用される前記送信セクタのうちの1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記パケットは、前記第1のアンテナアレイを実装する第1の無線通信デバイスと、前記第2のアンテナアレイを実装する第2の無線通信デバイスとの間の無線信号強度が強度閾値未満であるとの判定に応じて、前記第2のアンテナアレイから送信される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記収集すること、前記評価すること、及び前記方向付けることは、前記収集すること、前記評価すること、及び前記方向付けることを含むビームフォーミングプロトコルのタイプが、前記第1のアンテナアレイ及び前記送信アンテナアレイを実装するそれぞれの無線通信デバイスに対して有効になっているとの判定に応じて実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のアンテナアレイを実装する無線通信デバイスに提供された前記第2のアンテナアレイの前記セクタ間をローテーションさせるためのローテーションパターンに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のローテーション速度を決定することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の無線通信デバイスを備えるシステムであって、
前記アンテナアレイの前記受信セクタの間の前記1回の完全なローテーションの実行は前記第1のローテーション速度に従って実行され、
前記他の無線通信デバイスは、前記パケットを前記無線通信デバイスに送信するように構成され、前記ポストアンブル部分の前記他のアンテナアレイの前記送信セクタの前記複数回の完全なローテーションは、前記第2のローテーション速度に基づいて実行され、前記第2のローテーション速度は、前記第1のローテーション速度とは異なる、システム。
【請求項17】
前記別のパケットは、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間に最適なミリ波ビームを確立するために、前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイにおける前記送信セクタのうちの1つと、前記アンテナアレイにおける前記選択された受信セクタを特定する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記別のパケットは、ポストアンブル部分を含み、
前記他の無線通信デバイスは、
前記他のアンテナアレイの受信セクタ間をローテーションして、前記無線通信デバイスからの前記別のパケットの前記ポストアンブル部分の受信に少なくとも部分的に基づいて、前記他のアンテナアレイの前記受信セクタの個々と前記無線通信デバイスにおける前記特定された1つの送信セクタとの間の電力測定値をキャプチャし、
前記電力測定値を比較して、最大電力測定値を有する前記他のアンテナアレイの前記受信セクタの1つを特定し、
前記他のアンテナアレイの前記特定された受信セクタに従って、前記他のアンテナアレイの前記送信セクタのうちの1つを選択するように更に構成され、前記他の無線通信デバイスにおける前記他のアンテナアレイの前記選択された送信セクタ及び前記無線通信デバイスにおける前記アンテナアレイの前記特定された受信セクタは、前記無線通信デバイスと前記他の無線通信デバイスとの間に最適なミリ波ビームを確立するために使用可能である、
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記他の無線通信デバイスは、
前記他の無線通信デバイスと前記無線通信デバイスとの間の通信リンクの障害又は劣化を検出し、
前記通信リンクの前記障害又は劣化の検出に応じて、前記パケットの前記送信を実行するように更に構成される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
第1のホスト及び第2のホストを更に備え、前記他の無線通信デバイスは、前記第1のホストに無線通信を提供し、前記無線通信デバイスは、前記第2のホストに無線通信を提供し、前記他の無線通信デバイスと前記無線通信デバイスとの間で、前記無線通信デバイスにおける前記選択された受信セクタに少なくとも部分的に基づいて送信されたミリ波ビームを用いて、前記第1のホストと前記第2のホストとの間でデータが送信される、請求項16に記載のシステム。
【外国語明細書】