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  • 特開-炭化木材薄板を用いる測定方法 図1
  • 特開-炭化木材薄板を用いる測定方法 図2
  • 特開-炭化木材薄板を用いる測定方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056982
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】炭化木材薄板を用いる測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/00 20060101AFI20230413BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20230413BHJP
   G01N 15/08 20060101ALN20230413BHJP
【FI】
G01N33/00 D
G01N1/28 M
G01N15/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166536
(22)【出願日】2021-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】397003079
【氏名又は名称】佐藤 正倫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正倫
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA22
2G052DA06
2G052EA03
2G052GA11
2G052JA09
2G052JA13
(57)【要約】
【課題】
炭化木材薄板の仮道管内に被検出物質を含む液体を供給し、この液体を仮道管形状を維持して受容部材上に転写することは困難であった。これを解決する方法を提供すること。
【解決手段】
炭化薄板と受容部材が密着される時点で軟質である受容部材を用いることにより解決した。水系液体の受容部材用軟質材料としてゲル状ゼラチン、ゲル状ポリビニルアルコールが、油系液体の受容部材用軟質材料として熱溶融性フィルムが用いられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
400℃以上の温度で炭化して得られる炭化樹木の仮道管、道管或いは木部繊維方向に対して90±15度の角度を有する炭化薄板の片面を、軟質材料表面層を有する受容部材の軟質材料表面に密着させた後前記炭化薄板の反対面に被検出物質を含む液体を供給して仮道管内に液体を進入させるか、或いは前記軟質材料表面に密着させる前に前記炭化薄板の仮道管内に被検出物質を含む液体を進入させてから前記軟質材料表面に密着させ、該仮道管内の液体の少なくとも一部を前記受容部材に転写させた後、該受容部材を前記炭化薄板から分離し、該転写された液体中の被検出物質を測定するか或いは被検出物質を含む仮道管の数を計数することを特徴とする炭化薄板を用いる測定方法。
【請求項2】
炭化薄板と受容部材が密着された状態で液体の外側を減圧することを特徴とする請求項1に記載の炭化薄板を用いる測定方法。
【請求項3】
軟質材料がゲル状ゼラチン、ゲル状ポリビニルアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の炭化薄板を用いる測定方法。
【請求項4】
炭化薄板がゼラチン或いはポリビニルアルコールの0.01~0.1重量%水溶液により親水化されていることを特徴とする請求項1或いは請求項3に記載の炭化薄板を用いる測定方法。
【請求項5】
炭化薄板がウェルを有し、被検出物質を含む液体が該ウェル内或いは該ウェルの底壁の仮道管内に供給されることを特徴とする請求項1ないし請求項4にのいずれかに記載の炭化薄板を用いる測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な多孔質構造を有する針葉樹の仮道管あるいは広葉樹の道管と木部繊維(以後これらを代表して仮道管と称する)の炭化物からなる炭化木材薄板(以後炭化薄板と称する)を用いる測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は先に特願2021-111849(特許文献1)の出願を行った。特許文献1に記載された発明の概要は、400℃以上の高温で炭化された針葉樹材の仮導管方向に対して75~90度の角度を有し、厚さが1.9mm以下の炭化薄板の仮道管内に、複数の物質の反応により、励起光によって発光する能力を有するか或いは失う被検出物質を含む液体を導入し、発光する仮道管の数を測定することを特徴とする液体中に存在する被検出物質を検出する方法である。
【0003】
特許文献1に記載の方法では、仮道管内に存在する液体から発する光を計測することにより反応が起こっている仮道管の数を測定することができる。しかしながら、反応により形成された被検出物質が励起によって発光しない場合、仮道管が黒色であるため光学測定が困難である。被検出物質が発光しない物質であっても有色であれば光学測定は可能な筈であるが、実際には仮道管のアスペクト比(仮道管長/仮道管径)が非常に大きいので黒い仮道管壁で光が吸収されること、及び仮道管内の液体表面のメニスカスによる光の屈折と反射があることにより測定光量が極端に減少するため顕微鏡撮影は困難である。
【0004】
そこで紙、フィルムその他の受容部材に仮道管内の液体の少なくとも一部を移行させ、受容部材に移行した被検出物質を測定することが出来れば上記の問題は解決される筈である。図2は、この考えに基づいて仮道管内の液体を受容部材に移行させる方法の具体例の側断面図である。図2において、1は炭化薄板でその一部にウェル2が形成されている。ウェル2についての詳細は特許文献2(特願2020-116631)に記載されており、特許文献2に記載のウェルと同様に製作される。ウェル2に液体を供給するとウェル2の底に鉛直方向に存在する仮道管束3内に、毛細管現象により液体が瞬時に進入する。ウェル2内に残っている液体に濾紙、ガーゼ等の親水性吸水部材を接触させるとウェル2内の液体は、吸水部材に吸い取られて仮道管内部にのみ液体が存在するようになる。図2はその状態を示している。ウェル2内の液体に吸水部材を接触させる代わりに炭化薄板1の下面に接触させてもウェル2内の液体を吸い取ることができる。
【0005】
図3は、図2の状態の仮道管内の液体を受容するための受容部材4の上に炭化薄板1を置き、炭化薄板1のウェル2を塞ぐように粘着テープ5を貼りウェル2内部を気密にした状態の側断面図である。図3では炭化薄板1の下面と受容部材4との間に故意に間隙が設けられているが、実際には両者を接触させても両者の表面に微小な凹凸が存在するので、微小な間隙が散在している。この状態でウェル2の上部の粘着テープに綿棒、爪楊枝の頭、マッチ棒等の先端を当て、他端をピンセット、鉛筆等で軽く叩くとウェル2の内部が加圧され、炭化薄板1の下面の仮道管開口部から液体が少量押し出されることが確認できた。しかし各仮道管開口部から押し出された液体は、炭化薄板1の下面と受容部材4との間に存在する微小間隙内で毛細管現象により面内方向に移行し、それらが繋がって全体としてウェル2の下面全体に広がってしまい、個々の仮道管形状に応じた液体の受容部材への移行(転写)が行われないことが判った。即ち、受容部材に転写された液体のパターンが仮道管形状を再現していないのである。
【0006】
受容部材上の液体転写パターンが仮道管形状を再現していれば、目的としている発光しない被検出物質が存在する仮道管の数を計測することにより、液体中に存在する被検出物質の濃度を測定することが可能になる。仮道管の数を計数する以外に、被検出物質を直接測定することも可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2021-111849
【特許文献2】特願2020-116631
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、仮道管内の被検出物質を含む液体を仮道管の形状を維持したまま受容部材に転写する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
400℃以上の温度で炭化して得られる炭化樹木の仮道管、道管或いは木部繊維方向に対して90±15度の角度を有する炭化薄板の片面を、軟質材料表面層を有する受容部材の軟質材料表面に密着させた後前記炭化薄板の反対面に被検出物質を含む液体を供給して仮道管内に液体を進入させるか、或いは前記軟質材料表面に密着させる前に前記炭化薄板の仮道管内に被検出物質を含む液体を進入させてから前記軟質材料表面に密着させ、該仮道管内の液体の少なくとも一部を前記受容部材に転写させた後、該受容部材を前記炭化薄板から分離し、該転写された液体中の被検出物質を測定するか或いは被検出物質を含む仮道管の数を計数することにより達成される。
【0010】
被検出物質を含む液体が水系の場合は該液体の外側を減圧することにより達成される。液体が水系の場合は液体の外側を減圧することにより、仮道管内に存在する気体は速やかに液体の外側に移行し、仮道管の内部は液体で満たされる。炭化薄板が親水化処理されている場合は減圧操作は不要である。各仮道管内の液体の少なくも一部が受容部材の表面に転写される。仮道管内の液体が乾燥した後或いは乾燥する前に炭化薄板から受容部材を分離し、受容部材上に転写された被検出物質を含む仮道管の数を計数するか或いは被検出物質を直接測定することができる。
【発明の効果】
【0011】
仮道管単位で各仮道管内の液体の少なくとも一部を受容部材に転写することが可能になり、液体中に含まれる被検出物質を含む仮道管の数を計数することが可能になるばかりでなく、受容部材に転写された被検出物質に光学測定をはじめ各種の測定方法を適用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の原理を示す模式的な説明図である。
図2】ウェル部の仮道管内に液体が存在する状態の側断面図を示す。
図3】ウェルの空間を加圧する具体例の側断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者は炭化薄板と受容部材を接触させた際に、両者が完全に密着されていないと仮道管形状が正確に再現されないことに着目し、受容部材の受容面が軟質であれば炭化薄板と受容部材との間に微視的な間隙さえも存在しないようにすることができた。然るにこの状態で炭化薄板の反対面に液体を供給すると、液体が水溶液或いは水に微粒子が分散されている懸濁液のような水系の場合、仮道管が親油性であるため仮道管内に存在する空気の逃げ場が無いので液体は仮道管内に進入できないことが判った。図1はこの状態を示している。液体が有機溶剤、オイル等であれば仮道管内に容易に進入することが確認された。水と相溶する有機溶剤との混合液でも有機溶剤の割合が多ければ進入することを確認した。
【0014】
本発明において軟質とは、炭化薄板を接触させるだけで、或いは接触させて軽く押さえつけることにより炭化薄板との間に微小な間隙さえも完全に無くなる程度の柔らかさを有することを意味している。本発明には使用できないがこんにゃく、ところてんのような柔らかさと弾力性をゆうしているものである。具体的には柔らかい寒天、柔らかいゲル状ゼラチン、柔らかいゲル状ポリビニルアルコール(スライムとして知られている)が本発明に好適である。
【0015】
図1において1は炭化薄板、2はウェル、3は仮道管、4は受容部材である。ウェル2には被検出物質を含む液体が供給されている。受容部材4は、例えば支持体上に乾燥していない水溶性物質、ゲル状物質等が設けられ、これらが乾燥していない柔らかい状態で炭化薄板に密着される。受容部材として支持体が不要の熱溶融性フィルムを用いることができる。熱溶融性フィルムは室温で軟質部材ではないが、炭化薄板との密着操作時に加熱されて軟化ないし溶融状態になる。密着後、室温に戻されてもフィルムは炭化薄板との密着を保っている。これらにより炭化薄板と受容部材との間には微視的な間隙も存在しないようにできる。次いでウェル2に被検出物質を含む水系の液体を供給すると図1の状態になる。液体が水系の場合、仮道管径が非常に小さいので仮道管内に存在する空気は、液体の表面張力に逆らって仮道管外に出ることができない。受容部材が存在しなければ仮道管内の空気は下方に逃げることができ、液体は毛細管現象により瞬時に仮道管内に進入し図2の状態になる。
【0016】
図1の状態を保ったまま、全体を密閉容器に入れ容器内を眞空ポンプにより減圧すると、仮道管内の空気は泡となって液体の表面に移行し、液体は仮道管内に進入する。泡が出終わると仮道管内に完全に液体が充満する。液体を減圧すると内部に含まれている気体が泡となって現れることは知られており、本発明の上述の現象もそれに類似している。本発明は、この現象と軟質表面を有する受容部材を組み合わせたことが一つの特徴である。
【0017】
炭化薄板が親水化処理されていれば前述のような減圧操作が不要になる。炭化薄板の親水化方法として、ゼラチンの0.01~0.1重量%水溶液に浸漬し、仮道管内部に完全に水溶液が浸透した後、水溶液から取り出して乾燥すると親水性になることを発見した。
【0018】
親水化の別の方法として、炭化薄板をポリビニルアルコールの0.01~0.1重量%水溶液に浸漬し、仮道管内部に完全に水溶液が浸透した後、水溶液から取り出して乾燥し更に高温で数分間加熱することにより親水化されることを発見した。ポリビニルアルコールは水溶性なので、好ましくは150℃以上の温度で加熱して室温で水不溶性にすることが重要である。温度は必ずしも150℃以上である必要はなく、室温で水不溶性になればよい。
【0019】
本発明に適した受容部材の一つは、適当な支持体の上に軟質材料層が設けられたものである。支持体としては紙、合成紙、樹脂フィルム、樹脂板、金属板、ガラス板、これらの組み合わせ等があげられる。熱溶融性フィルムを用いる場合、支持体は不要である。軟質材料としては溶剤により溶解され乾燥していない状態の高分子物質、熱溶融性高分子、ゲル状物質、弱い粘着剤があげられる。具体的には寒天、ゼラチン、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、熱溶融性樹脂フィルム等があげられる。これらの中でもゲル状ゼラチン、ゲル状ポリビニルアルコール(本発明においてゲル状ポリビニルアルコールとはスライムとして知られているもので、ポリビニルアルコール水溶液にホウ砂水溶液を加えてできるゲル状物質のことである。)は液体が水系の場合特に本発明に好適である。液体が油系の場合熱溶融性フィルムが好適である。軟質材料は、液体が水系か油系かにより選択することができる。
【0020】
水系液体を供給後、減圧操作により仮道管内に液体を充満させたのち減圧状態で放置するか、減圧を解除してから放置することにより仮道管内の液体が緩やかに蒸発して、仮道管内の液体を濃縮させることもできる。これにより被検出物質の濃度を上げることが可能になる。仮道管内の液体を完全に蒸発させてもよい。受容部材を炭化薄板からはく離することにより、受容部材上に転写された液体或いは被検出物質を測定することができる。
【0021】
液体が油性の場合、減圧操作は不要である。液体が蒸発した後或いは蒸発により仮道管内の液体が減少してから更に液体を追加供給してもよい。この操作により受容部材に転写される被検出物質の量を増加させることができる。水系液体の場合も同様である。
【0022】
本発明に用いられる熱溶融性フィルムは、ラップフィルムとして市販されている膜厚9~15μmのポリエチレン、ポリ袋に使用されている厚さ30~80μmのポリエチレン、食品の真空パックに使われているポリエチレンとポリアミドを重層にしたもの、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、その他が使用可能である。厚さは更に小さくても大きくてもよい。
【0023】
熱溶融性フィルムをを炭化薄板から分離する際、厚さが10μm程度だと破損することもあるので、30~40μm程度の厚さの方が安全である。40μm程度の厚さでも分離したフィルムにカールや波うちが発生することもあるので、分離する前に熱溶融性フィルムを補強しておくことができる。例えば熱溶融性フィルムに粘着テープを貼り粘着テープごと分離することができる。また熱溶融性フィルムに塗料を塗布して塗膜ごと分離すると平坦性が維持でき、ハンドリングも容易になる。
【実施例0024】
断面が30mm×30mm、長さ(仮道管方向)150mmのヒノキ角材を、セラミック円筒容器に入れ空気が入らないようにセラミックの蓋をし、クラックが発生しないように温度調節しながら700℃まで昇温し、700℃で30分加熱炭化した。得られた炭化物を仮道管とほぼ直角に市販のダイアモンドバンドソーマシンを用い、厚さ1.3mmにスライスし、両面を超微粒子研磨シートを用いて平滑に研磨した後、研磨面に付着している研磨粉をエアスプレーで除去した。更にイソプロピルアルコール中で超音波洗浄した後乾燥した。得られた炭化薄板の片面に厚さ40μmのポリエチレンフィルムを熱溶着して炭化薄板を得た。
【0025】
かくして得られた炭化薄板の熱溶着されたフィルムが無い面に、試料溶液としてオイルレッドの1.1重量%トルエン溶液の5μLを滴下した。トルエンが蒸発後、ポリエチレンフィルムをはく離したところ破損することなく、またフィルムに仮道管が付着することなくはく離できた。はく離されたフィルムは少し反っていたがガラス板を乗せて平坦にして顕微鏡で観察すると仮道管形状のレプリカが明瞭に得られ、さらに溶液を滴下した部分と同じサイズにフィルム上にオイルレッドが転写されていた。
【実施例0026】
実施例1と同様にして得られた炭化物を1.2mm厚にスライスし、その片面を超微粒子研磨シートを用いて鏡面研磨した後、実施例1と同様にして研磨粉を除去した。次いで非研磨面に厚さ10μmのポリエチレンフィルムを熱溶着した。次に直径2mmのフラットドリルを用いて熱溶着されたフィルム面に、底壁の厚さが約0.3mmのウェルを、ウェルの中心間の距離が5mmになるように1列に3個、1行に3個、合計9個形成した。切粉を実施例1と同様にして除去して9個のウェルを有する炭化薄板を得た。
【0027】
5重量%のポリビニルアルコール水溶液に4重量%のホウ砂水溶液を数滴ずつ攪拌しながら加え、柔らかいゲル状になるまで加え、更に十分に撹拌した後真空脱泡により気泡を除去した。このゲルをの約1gを厚さ1.7mmのガラス板上にとり、数時間放置してほぼ完全に水平になったものを受容部材とした。上記の炭化薄板のウェルが無い方の全面に、試料溶液として食用色素M105の2.3重量%水溶液を含侵させたガーゼを接触させて離すと、すべてのウェルの底壁の仮道管に試料溶液が充填された。次いでウェルが無い面を下にして上記の受容部材の上に置いて軽く押し付けた。次いでこの状態で真空容器に入れ約30Torrに減圧した後直ぐに取り出した。受容部材から炭化薄板をはく離したら肉眼で色素が9個のスポット状に転写されていた。スポット状の部分を顕微鏡で拡大観察したら色素は仮道管形状に転写されていた。
【実施例0028】
ゼラチンの13重量%温水溶液を厚さ1.7mmのガラス板上に垂らして液だまりを形成した後、室温で放置してゲル状ゼラチンを形成した。実施例2と同様の炭化薄板をポリビニルアルコールの0.02重量%水溶液に浸漬してウェルの底の仮道管内部に水溶液が完全に浸透した後、取り出して乾燥した。この炭化薄板の非研磨面に厚さ10μmのポリエチレンフィルムを熱溶着した。熱溶着の過程でポリビニルアルコールは高温にさらされ、室温で水不溶性になった。次に実施例2と同様にして熱溶着フィルム側にウェルを形成した後、切粉を洗浄除去した。次いで実施例2と同様にしてウェルの底の仮道管内に食用色素水溶液を充填した。これを上記ゼラチン面に接触させた後、はく離したところゼラチン中に仮道管形状の色素パターンが形成されていた。しかし数秒後には色素がゼラチン中を拡散し、次第に広がって数時間後には完全に均一な色になった。食用色素水溶液に替えて墨汁希釈水溶液を用いたところ、カーボン粒子の拡散は全くなかった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明による測定方法により、産業上および研究・技術開発上きわめて有用な再生医療をはじめとするバイオエンジニアリングの開発速度を加速できる。バイオエンジニアリング以外に炭化薄板の厚さを非常に小さくできるので光学分野への応用が可能である。その他に先端技術開発等に利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 炭化薄板
2 ウェル
3 仮道管
4 受容部材
5 粘着テープ
図1
図2
図3