IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-包装体 図1
  • 特開-包装体 図2
  • 特開-包装体 図3
  • 特開-包装体 図4
  • 特開-包装体 図5
  • 特開-包装体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057335
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20230414BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D77/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166813
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村木 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E013
3E067
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BB09
3E013BC04
3E013BE01
3E013BF13
3E013BF36
3E013BG15
3E067AB01
3E067BA07A
3E067BA10A
3E067BB14A
3E067BC02A
3E067BC07A
3E067EA05
3E067EB02
3E067EB17
3E067FA01
3E067FC01
3E067GB02
(57)【要約】
【課題】一旦開封した後にも開口部の再封止が可能な包装体であって、再封止後は、容器ごと電子レンジによる加熱を可能とする包装体を提案するものである。
【解決手段】電子レンジ加熱が可能な容器本体2と、容器本体の開口部を封止する蓋材3とを有する包装体1であって、蓋材は内容物の取出口となるU字型の切込み4を有し、蓋材には、前記U字形の切込み全体を覆う再封止用粘着シート部材6が貼り付けられており、蓋材に設けられた前記U字形の切込みの直線部分の片側が他方より短くなっており、この短い直線部分5の延長線上に相当する部分の、前記再封止用粘着シート部材に貫通孔7が形成されていることを特徴とする包装体である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれも電子レンジ加熱が可能な容器本体と、容器本体の開口部を封止する蓋材とを有する包装体であって、
蓋材は内容物の取出口となるU字形の切込みを有し、蓋材には、前記U字形の切込み全体を覆う再封止用粘着シート部材が貼り付けられており、
蓋材に設けられた前記U字形の切込みの直線部分の片側が他方より短くなっており、この短い直線部分の延長線上に相当する部分の、前記再封止用粘着シート部材に貫通孔が形成されており、
前記U字形の切込みの底部から上方に向かって、前記再封止用粘着シート部材を引き剥がすことにより、蓋材のU字形の切込みの短い直線部分が裂けて、前記再封止用粘着シート部材に形成した貫通孔に到達することにより、
再封止後に包装体を電子レンジ加熱した際に、前記貫通孔が蒸気抜き孔として作用することを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記蓋材の切込みの短い直線部分の終点から、前記再封止用粘着シート部材の貫通孔までの距離(d)が、5mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記再封止用粘着シート部材の粘着強度は、剥離速度300mm/分、180°剥離において、5N/15mm以上、15N/15mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に食品を収納した包装体に関し、開口部を再封止可能であり、再封止後は、電子レンジで容器ごと加熱することができる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を収納した包装体においては、冷蔵庫から取り出した後に、容器ごと電子レンジで加熱して調理することができる包装体が種々提案されている。特許文献1に記載された蓋材は、容器ごと電子レンジで加熱した場合に、自動的に蒸気が抜ける機能を有する密封蓋材である。
【0003】
特許文献1に記載された蓋材は、蒸気抜き孔と、これを封止する蒸気抜きラベルとを有し、蒸気抜きラベルは、蒸気抜き孔を覆う非粘着領域と、非粘着領域からラベル端部に達する蒸気通路を形成する弱粘着領域と、前記非粘着領域と弱粘着領域の外側に隣接する強粘着領域とを有し、前記非粘着領域は、蒸気抜きラベルの全面に塗工した強粘着層の上に非粘着コート層を塗工面積率100%で塗工したものであり、前記弱粘着領域は、全面に塗工した強粘着領域の上に非粘着コート層を塗工面積率10%以上90%以下で塗工したものであることを特徴とする蓋材である。
【0004】
特許文献2に記載されたマイクロ波処理用包装体、及び通蒸ラベルは、マイクロ波処理(電子レンジ加熱)前には通蒸ラベルによって容器の密封性が担保され、マイクロ波処理時には内圧が非常に高くなる前に容器内の蒸気を逃がすことができる包装体である。
【0005】
特許文献2に記載された包装体は、蒸気抜き用開口部を有するマイクロ波処理用容器と、非貼着面及び非貼着面を取り囲む貼着面がラベル基材に設けられた通蒸ラベルとを有し、前記通蒸ラベルが前記非貼着面にて前記蒸気抜き用開口部を覆うようにして、前記貼着面を介して前記容器に貼付されている包装体において、前記貼着面が、ラベル基材の裏面側に設けられた貼着剤層の裏面から構成されており、前記貼着剤層の一部分または全部に熱膨張性微粒子が含有されていることを特徴とするマイクロ波処理用包装体である。
【0006】
特許文献1に記載された蓋材も、特許文献2に記載された包装体も、いずれも容器ごと電子レンジで加熱することができる包装体に関するものである。しかし一方、一度に使い切らないような食品類を収納する包装容器においては、開封後にも再封止ができると利便性が高いが、特許文献1および2に記載された包装体においては、再封止に関する記述が見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-20781号公報
【特許文献2】特開2018-52513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、一旦開封した後にも開口部の再封止が可能な包装体であって、再封止後は、容器ごと電子レンジによる加熱を可能とする包装体を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、いずれも電子レンジ加熱が可能な容器本体と、容器本体の開口部を封止する蓋材とを有する包装体であって、蓋材は内容物の取出口となるU字形の切込みを有し、蓋材には、前記U字形の切込み全体を覆う再封止用粘着シート部材が貼り付けられており、蓋材に設けられた前記U字形の切込みの直線部分の片側が他方より短くなっており、この短い直線部分の延長線上に相当する部分の、前記再封止用粘着シート部材に貫通孔が形成されており、前記U字形の切込みの底部から上方に向かって、前記再封止用粘着シート部材を引き剥がすことにより、蓋材のU字形の切込みの短い直線部分が裂けて、前記再封止用粘着シート部材に形成した貫通孔に到達することにより、再封止後に包装体を電子レンジ加熱した際に、前記貫通孔が蒸気抜き孔として作用することを特徴とする包装体である。
【0010】
本発明に係る包装体は、開封後の再封止が可能であり、再封止後に容器ごと電子レンジで加熱することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記蓋材の切込みの短い直線部分の終点から、前記再封止用粘着シート部材の貫通孔までの距離が、5mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装体である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記再封止用粘着シート部材の粘着強度が、剥離速度300mm/分、180°剥離において、5N/15mm以上、15N/15mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る包装体は、取出口を再封止することが可能な再封止用粘着シート部材を有するので、内容物を一度に使い切らない用途にも使用することができる。また、再封止後には、容器ごと電子レンジで加熱しても、蒸気抜き孔が形成されているため、容器が爆発したりすることがない。
【0014】
請求項2に記載の発明のように、蓋材に設けた切込みの短い直線部分の終点と再封止用粘着シート部材に設けた貫通孔との距離(d)を適切に管理することにより、より安定した通蒸動作を得ることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明のように、再封止用粘着シート部材の粘着力を適切な範囲とすることにより、より円滑な開封性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る包装体の一実施態様を示した斜視図である。
図2図2は、再封止用粘着シート部材の平面模式図である。
図3図3は、蓋材に再封止用粘着シート部材を貼り付けた状態を示した平面説明図である。
図4図4は、図3の状態から再封止用粘着シート部材を剥離して、再封止した状態を示した平面説明図である。
図5図5は、再封止後の包装体を電子レンジ加熱する状態を示した斜視説明図である。
図6図6は、蓋材のU字形の切込みの短い直線部分の終点から再封止用粘着シート部材の貫通孔までの距離(d)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら、本発明に係る包装体1について詳細に説明する。図1は、本発明に係る包装体1の一実施態様を示した斜視図である。図2は、再封止用粘着シート部材6の平面模式図である。図3は、蓋材3に再封止用粘着シート部材6を貼り付けた状態を示した平面説明図である。図4は、図3の状態から再封止用粘着シート部材6を剥離して、再封止した状態を示した平面説明図である。以下これらの図面を参照しながら、本発明に係る包装体1について説明する。
【0018】
本発明に係る包装体1は、電子レンジ加熱が可能な容器本体2と、容器本体2の開口部を封止する、同様に電子レンジ加熱が可能な蓋材3とを有する包装体である。蓋材3は内容物の取出口となるU字型の切込み4を有し、蓋材3には、前記U字形の切込み4の全体を覆う再封止用粘着シート部材6が貼り付けられている。
【0019】
蓋材3に設けられた前記U字形の切込み4は、直線部分の片側が他方より短くなっており、この短い直線部分5の延長線上に相当する部分の、前記再封止用粘着シート部材6に貫通孔7が形成されている。
【0020】
前記U字形の切込み4の底部から上方に向かって、前記再封止用粘着シート部材6を引き剥がすことにより、蓋材3のU字形の切込み4の短い直線部分5が裂けて、前記再封止用粘着シート部材6に形成した貫通孔7に到達することにより、再封止後に包装体1を電子レンジ加熱した際に、前記貫通孔7が蒸気抜き孔として作用する。
【0021】
蓋材3に設けられたU字形の切込み4は、蓋材3を貫通するものであっても良いし、半貫通でも良い。但し、半貫通の場合には、U字形の切込み4の上に貼られた再封止用粘着シート部材6を剥離した時に、蓋材が裂けて、取出口が開かなければならない。
【0022】
再封止用粘着シート部材6には、剥がし始める時に手で持ち易いように、つまみ部9を設けるのが一般的である。つまみ部9は、粘着性を有しないかあるいは弱粘着として、剥がし始めのきっかけを付け易いようにする。つまみ部9は、全面に形成された粘着剤層の上から、非粘着剤層を形成しても良いし、基材にはじめから粘着剤を塗工しないことによって、形成しても良い。
【0023】
貫通孔7の形状は、図2では剥離方向に対して直角方向が長辺となる楕円形であるが、貫通孔7の形状については、特に制約はない。但し、再封止用粘着シート部材6を剥がした時の蓋材3の裂け目は、必ずしもU字形の切込み4の短い直線部分5の延長上に正確に進む訳ではないので、裂け目がそれてしまうことのないように、ある程度横方向の幅が広いことが望ましい。
【0024】
図3は、蓋材3に再封止用粘着シート部材6を貼り付けた状態を示した平面説明図である。蓋材3に設けられたU字形の切込み4は、再封止用粘着シート部材6によって完全に覆われている。図4は、図3の状態から再封止用粘着シート部材6を剥離して、次いで再封止した状態を示した平面説明図である。
【0025】
再封止用粘着シート部材6を剥離することにより、U字形の切込み4の内側の蓋材が再封止用粘着シート部材6と共に開かれて開口部が形成される。再封止用粘着シート部材6をさらに剥離することにより、蓋材3のU字形の切込み4の短い直線部分5は、その終点8から裂け目10を生じ、貫通孔7に到達し、さらに貫通孔7を通り過ぎて、U字形の切込み4の長い方の直線部分と同程度の高さまで到達する。
【0026】
包装体1を再封止した状態で、電子レンジで加熱すると、図5に示したように、蓋材の裂け目10から噴出した水蒸気11は、再封止用粘着シート部材6の貫通孔7から包装体の外部に噴出するため、容器が破裂したりすることはない。
【0027】
図6は、蓋材3のU字形の切込み4の短い直線部分5の終点8から再封止用粘着シート部材6の貫通孔7までの距離(d)の説明図である。蓋材3に対する再封止用粘着シート部材6の貼着位置には、どうしても多少のばらつきが生じるため、距離(d)が短すぎると、蓋材3のU字形の切込み4の短い直線部分の終点8が貫通孔7から露出してしまう恐れがある。
【0028】
一方、蓋材3の裂け目10は、必ずしもU字形の切込み4の短い直線部分5から正確に直線状に進行するとは限らないため、距離(d)が長すぎると蓋材の裂け目10が貫通孔7から外れてしまう恐れがある。
【0029】
距離(d)の値については、5mm以上、50mm以下であると、より安定した通蒸動作が期待できることが判明している。
【0030】
再封止用粘着シート部材6の粘着力については、粘着力が強すぎると剥離が困難となる一方、粘着力が弱すぎると蓋材の開封や、U字形の切込み4の延長線上に裂け目を進行させることができなくなる恐れがある。
【0031】
再封止用粘着シート部材6の粘着力については、剥離速度300mm/分、180°剥離において、5N/15mm以上、15N/15mm以下であることが、より望ましいことが判明している。
【0032】
容器本体2の材質や形状、成形方法等については、蓋材3で密閉シールできるように、フランジ部を有する形状でさえあれば、特に制約はない。一例を挙げれば、合成樹脂シートを真空圧空成形したトレー状の形状や、合成樹脂のインジェクション成形によるカップ状の形状、あるいは、トレー状またはカップ状に成形した紙容器でも良い。但し、蓋材3をシールできるように、フランジ面は熱シール可能な材質であることが必要である。
【0033】
蓋材3については、容器本体2のフランジ部に熱シールするために、内面にシーラント層を有するものであれば、その層構成には特に制約はない。各種合成樹脂シートや紙を複合して用いることができる。
【0034】
再封止用粘着シート部材6の層構成については、基材層と粘着剤層は必須であるが、基材層の層構成については、特に制約はない。各種合成樹脂シートや紙を複合して用いることができる。
【0035】
容器本体2や蓋材3、再封止用粘着シート部材6には、ガスバリア層を設けることもできる。ガスバリア層を設けることで、内容物の保存性が高まる。但し、容器ごと電子レンジで加熱する必要性から、アルミニウム箔等の金属箔は使用することができない。
以下実施例に基づいて、本発明に係る包装体についてさらに具体的に説明する。
【実施例0036】
容器本体として、図1に示したような形状のポリプロピレン樹脂/エチレンビニルアルコール共重合樹脂/ポリプロピレン樹脂の3層構成のシートを真空圧空成形してなる容器を用いた。容器寸法は、外寸130mm×250mm×50mmであり、底面の外寸は、120mm×240mmである。
【0037】
蓋材としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(厚さ12μm)と無延伸ポリプロピレン樹脂(厚さ50μm)のラミネートシートを用いた。蓋材には、図2に示したような片側の直線部分が短いU字形状の切込みを設けた。U字の幅は80mmである。
【0038】
再封止用粘着シート部材としては、図2に示したような形状の、ポリ塩化ビニリデンコート(Kコート)延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(厚さ20μm)/接着剤/延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(厚さ50μm)/粘着剤の層構成からなる粘着シートを用いた。寸法は、105mm×200mmである。楕円形の貫通孔の寸法は、長径30mm短径10mmである。
【0039】
蓋材の切込みの短い直線部分の終点から、再封止用粘着シート部材の貫通孔までの距離(d)を2mmから60mmまで変えて、実施例1~実施例8のサンプルを各10個作成した。各サンプルには、50gのカレーを封入し、一旦開封して再封止した後、600Wの電子レンジで加熱して通蒸性を確認した。結果を表1にまとめた。
【0040】
【表1】
【0041】
表1の結果から、距離(d)が5mm~50mmである場合には、より安定した通蒸性が期待できることが分かる。
【符号の説明】
【0042】
1・・・包装体
2・・・容器本体
3・・・蓋材
4・・・U字形の切込み
5・・・短い直線部分
6・・・再封止用粘着シート部材
7・・・貫通孔
8・・・短い直線部分の終点
9・・・つまみ部
10・・・蓋材の裂け目
11・・・水蒸気
d・・・短い直線部分の終点から貫通孔までの距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6