(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005734
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】可変動弁装置
(51)【国際特許分類】
F01L 13/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
F01L13/00 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107873
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】尾関 久志
【テーマコード(参考)】
3G018
【Fターム(参考)】
3G018AB05
3G018BA13
3G018BA36
3G018CA19
3G018CB03
3G018DA08
3G018DA14
3G018DA18
3G018DA24
3G018DA28
3G018DA70
3G018FA03
3G018GA14
(57)【要約】
【課題】ロッカーアームに反発バネを配置しない場合でも、簡易な構成によって複数のロッカーアームの連結状態及び解除状態を切り替える。
【解決手段】可変動弁装置(20)が、ロッカーシャフト(27)の軸回りに揺動可能な複数のロッカーアーム(31、41)と、一方寄りのロッカーアームの収容穴(33)内の連結ピン(36)と、他方寄りのロッカーアームの収容穴(43)内の解除ピン(46)と、一方寄りのロッカーアームよりも一方側の押圧部材(55)と、他方寄りのロッカーアームよりも他方側の伝達部材(58)と、伝達部材を他方側から押し返す押返部材(59)と、を備えている。押圧部材は、連結ピンを他方寄りのロッカーアームの収容穴に押し込んで複数のロッカーアームを連結させ、伝達部材は、連結ピンを一方寄りのロッカーアームの収容穴に押し戻して複数のロッカーアームの連結を解除する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドにおいてバルブ動作を変更可能な可変動弁装置であって、
前記シリンダヘッド内で一方から他方に延在するロッカーシャフトと、
前記ロッカーシャフトの軸回りに揺動可能な複数のロッカーアームと、
軸方向の一方寄りのロッカーアームの収容穴に配置された連結ピンと、
軸方向の他方寄りのロッカーアームの収容穴に配置された解除ピンと、
前記一方寄りのロッカーアームよりも一方側に配置された押圧部材と、
前記他方寄りのロッカーアームよりも他方側に配置された伝達部材と、
前記伝達部材を他方側から押し返すように配置された押返部材と、を備え、
前記押圧部材は、前記解除ピンを他方側に押し出しながら、前記連結ピンを前記他方寄りのロッカーアームの収容穴に押し込んで前記複数のロッカーアームを連結させ、
前記伝達部材は、前記押返部材によって押し返されて、前記解除ピンを介して前記連結ピンを前記一方寄りのロッカーアームの収容穴に押し戻して前記複数のロッカーアームの連結を解除することを特徴とする可変動弁装置。
【請求項2】
前記押返部材は、前記伝達部材に対して他方側から接するように配置された反発バネであり、
前記押圧部材は、前記反発バネのバネ力に抗して前記解除ピンを他方側に押し出しながら、前記連結ピンを前記他方寄りのロッカーアームの収容穴に押し込んで前記複数のロッカーアームを連結させ、
前記伝達部材は、前記反発バネの反発力によって押し返されて、前記解除ピンを介して前記連結ピンを前記一方寄りのロッカーアームの収容穴に押し戻して前記複数のロッカーアームの連結を解除することを特徴とする請求項1に記載の可変動弁装置。
【請求項3】
前記伝達部材及び前記押返部材は、前記シリンダヘッド又はカムシャフトを支持するカムハウジングに配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変動弁装置。
【請求項4】
前記連結ピン及び前記解除ピンの中心軸が、前記押圧部材及び前記伝達部材の中心軸よりも前記ロッカーシャフトに近づけられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可変動弁装置。
【請求項5】
前記複数のロッカーアームの解除状態では、前記連結ピン及び前記押圧部材が離間していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の可変動弁装置。
【請求項6】
前記押返部材よりも他方側に配置されたセンサを備え、
前記センサが前記複数のロッカーアームの連結状態と解除状態を検出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の可変動弁装置。
【請求項7】
前記伝達部材には前記センサに向かって延びるロッドが形成され、
前記センサが前記ロッドの動きから前記複数のロッカーアームの連結状態と解除状態を検出することを特徴とする請求項6に記載の可変動弁装置。
【請求項8】
前記押返部材がコイル状の反発バネであり、
前記ロッドが前記反発バネの内側を通って他方側に延びていることを特徴とする請求項7に記載の可変動弁装置。
【請求項9】
シリンダヘッドにおいてバルブ動作を変更可能な可変動弁装置であって、
前記シリンダヘッド内で一方から他方に延在するロッカーシャフトと、
前記ロッカーシャフトの軸回りに揺動可能な複数のロッカーアームと、
軸方向の一方寄りのロッカーアームの収容穴に配置された連結ピンと、
軸方向の他方寄りのロッカーアームの収容穴に配置された解除ピンと、
前記他方寄りのロッカーアームよりも他方側に配置された伝達部材と、
前記伝達部材を他方側から押し返すように配置された押返部材と、を備え、
前記一方寄りのロッカーアームには前記連結ピンを他方側に押し込む油圧シリンダが形成されており、
前記油圧シリンダは、前記解除ピンを他方側に押し出しながら、前記連結ピンを前記他方寄りのロッカーアームの収容穴に押し込んで前記複数のロッカーアームを連結させ、
前記伝達部材は、前記押返部材によって押し返されて、前記解除ピンを介して前記連結ピンを前記一方寄りのロッカーアームの収容穴に押し戻して前記複数のロッカーアームの連結を解除することを特徴とする可変動弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変動弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可変動弁装置として複数のロッカーアームを連結させてバルブ動作を切り替えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の可変動弁装置には一対のロッカーアームが隣接して配置されており、一方のロッカーアームの収容穴には連結ピンが挿し込まれている。連結ピンの一部が他方のロッカーアームの収容穴に入り込むことで、一対のロッカーアームが連結されて一対のバルブが同時に作動される。連結ピンの一部が他方のロッカーアームの収容穴から抜け出すことで、一対のロッカーアームの連結状態が解除されて片側のバルブだけが作動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の他方のロッカーアームの収容穴には、連結ピンを押し返すための反発バネが配置されている。しかしながら、エンジンの種類等によってはロッカーアーム内に反発バネを配置できない場合があり、このような場合でも複数のロッカーアームの連結状態及び解除状態を簡易に切り替え可能な構成が求められている。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ロッカーアームに反発バネを配置しない場合でも、簡易な構成によって複数のロッカーアームの連結状態及び解除状態を切り替えることができる可変動弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の可変動弁装置は、シリンダヘッドにおいてバルブ動作を変更可能な可変動弁装置であって、前記シリンダヘッド内で一方から他方に延在するロッカーシャフトと、前記ロッカーシャフトの軸回りに揺動可能な複数のロッカーアームと、軸方向の一方寄りのロッカーアームの収容穴に配置された連結ピンと、軸方向の他方寄りのロッカーアームの収容穴に配置された解除ピンと、前記一方寄りのロッカーアームよりも一方側に配置された押圧部材と、前記他方寄りのロッカーアームよりも他方側に配置された伝達部材と、前記伝達部材を他方側から押し返すように配置された押返部材と、を備え、前記押圧部材は、前記解除ピンを他方側に押し出しながら、前記連結ピンを前記他方寄りのロッカーアームの収容穴に押し込んで前記複数のロッカーアームを連結させ、前記伝達部材は、前記押返部材によって押し返されて、前記解除ピンを介して前記連結ピンを前記一方寄りのロッカーアームの収容穴に押し戻して前記複数のロッカーアームの連結を解除することで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の可変動弁装置によれば、連結ピンが他方側に押し込まれると、一方寄りのロッカーアームの収容穴から他方寄りのロッカーアームの収容穴に連結ピンが部分的に入り込み、連結ピンを介して複数のロッカーアームが連結される。連結ピンの押し込みが解除されると、押返部材によって伝達部材及び解除ピンを介して連結ピンが一方側に押し戻されて複数のロッカーアームの連結が解除される。このように、ロッカーアームに反発バネを配置しない場合でも、簡易な構成によって複数のロッカーアームの連結状態及び解除状態を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例のシリンダヘッド及びヘッドカバーの断面模式図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿って切断した断面模式図である。
【
図3】第1実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。
【
図4】第2実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。
【
図5】第3実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。
【
図6】第4実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。
【
図7】第5実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。
【
図8】第6実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。
【
図9】第7実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の可変動弁装置は、シリンダヘッドにおいてバルブ動作を変更している。シリンダヘッド内には一方から他方にロッカーシャフトが延在しており、このロッカーシャフトには軸回りに揺動可能に複数のロッカーアームが支持されている。軸方向の一方寄りのロッカーアームの収容穴には連結ピンが配置され、軸方向の他方寄りのロッカーアームの収容穴には解除ピンが配置されている。一方寄りのロッカーアームよりも一方側には押圧部材が配置され、他方寄りのロッカーアームよりも他方側には伝達部材が配置されている。また、伝達部材に対して他方側から押し返すように押返部材が配置されている。解除ピンが他方側に押し出されながら、押圧部材によって連結ピンが他方寄りのロッカーアームの収容穴に押し込まれる。一方寄りのロッカーアームの収容穴から他方寄りのロッカーアームの収容穴に連結ピンが部分的に入り込み、連結ピンを介して複数のロッカーアームが連結される。押返部材によって伝達部材が押し返されて、解除ピンを介して連結ピンが一方寄りのロッカーアームの収容穴に押し戻されて複数のロッカーアームの連結が解除される。このように、ロッカーアームに反発バネを配置しない場合でも、簡易な構成によって複数のロッカーアームの連結状態及び解除状態を切り替えることができる。
【実施例0010】
<第1実施例>
以下、添付図面を参照して、第1実施例の可変動弁装置について説明する。
図1は第1実施例のシリンダヘッド及びヘッドカバーの断面模式図である。
図2は
図1のA-A線に沿って切断した断面模式図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、シリンダヘッド10には、吸気ポート11を開閉する一対(1つのみ図示)の吸気バルブ12と、排気ポート14を開閉する単一の排気バルブ15と、が設けられている。一対の吸気バルブ12は弁バネ13によって閉弁方向に押し付けられており、排気バルブ15は弁バネ16によって閉弁方向に押し付けられている。シリンダヘッド10の上面にはシリンダヘッドカバー17が取り付けられて、シリンダヘッド10及びシリンダヘッドカバー17によって動弁室18が形成されている。動弁室18には、シリンダヘッド10においてバルブ動作を可変する可変動弁装置20が搭載されている。
【0012】
可変動弁装置20には、吸気側及び排気側で共通のカムシャフト21と、カムシャフト21に平行な吸気側及び排気側のロッカーシャフト27、28と、が設けられている。カムシャフト21はシリンダヘッド10内の軸受22、23に回転可能に支持されている。カムシャフト21は吸気バルブ12及び排気バルブ15の間に配置されており、カムシャフト21の外周面には休止カム24、吸気カム25、排気カム26が取り付けられている。休止カム24はベース円のみの略円板状に形成されており、吸気カム25及び排気カム26はベース円の一部からカム山が突出した板状に形成されている。
【0013】
吸気側及び排気側のロッカーシャフト27、28は、カムシャフト21の上方でシリンダヘッド10に取り付けられている。吸気側のロッカーシャフト27には一対のロッカーアーム31、41が揺動可能に支持され、排気側のロッカーシャフト28には単一のロッカーアーム51が揺動可能に支持されている。吸気側の一対のロッカーアーム31、41及び排気側のロッカーアーム51は、それぞれシーソー式のロッカーアームである。各ロッカーアーム31、41、51の一端がカムシャフト21から入力を受ける力点、各ロッカーアーム31、41、51の他端がバルブを作動させる作用点になっている。
【0014】
ロッカーアーム31の一端には休止カム24に転接するローラ32が回転可能に支持され、ロッカーアーム31の他端には吸気バルブ12が連結されている。ロッカーアーム41の一端には吸気カム25に転接するローラ(不図示)が回転可能に支持され、ロッカーアーム41の他端には吸気バルブ(不図示)が連結されている。ロッカーアーム51の一端には排気カム26に転接するローラ52が回転可能に支持され、ロッカーアーム51の他端には排気バルブ15が連結されている。一対のロッカーアーム31、41は隣接しており、ロッカーアーム31、41は連結可能に形成されている。
【0015】
エンジンの低回転時及び中回転時には、吸気側の一対のロッカーアーム31、41が連結されない。休止カム24のカムプロフィルが略円形であるため、休止カム24が回転してもロッカーアーム31が揺動せず吸気バルブ12の作動が休止されている。ロッカーアーム41が吸気カム25の回転に応じて揺動されて、片側の吸気バルブ(不図示)だけが開閉される。エンジンの高回転時には、吸気側の一対のロッカーアーム31、41が連結される。一対のロッカーアーム31、41が吸気カム25の回転に応じて一体的に揺動されて、一対の吸気バルブ12が同時に開閉される。
【0016】
可変動弁装置20には、一対のロッカーアーム31、41の連結状態及び解除状態を切替可能な構造が形成されている。一対のロッカーアーム31、41には収容穴が形成されており、ロッカーアーム31の収容穴に連結ピン36が配置されている。ロッカーアーム31の収容穴からロッカーアーム41の収容穴に連結ピン36の一部が突き出すことで、連結ピン36を介して一対のロッカーアーム31、41が連結される。ロッカーアーム41の収容穴からロッカーアーム31の収容穴に連結ピン36の一部が押し戻されることで、一対のロッカーアーム31、41の連結が解除される。
【0017】
可変動弁装置20では、連結ピン36をロッカーアーム31の収容穴に押し戻すために、バネの反発力を利用している。この場合、ロッカーアーム41の収容穴にバネが配置されると、ロッカーアーム41と共にバネが揺動して様々な不具合が生じる。例えば、エンジン作動中の共振によるバネの破損や、バネの周辺部材の摩耗等が生じるおそれがある。また、ロッカーアーム41内にバネが配置されると、動弁系の運動部の質量が大きくなって高回転のエンジンに適さなくなる場合がある。さらに、ロッカーアーム41自体も大きくなって可変動弁装置20の大型化及び重量化を招く場合がある。
【0018】
そこで、本実施例の可変動弁装置20は、ロッカーアーム41の外側にバネを配置して、ロッカーアーム41の外側からバネの反発力を連結ピン36に伝えるように構成されている。このとき、可変動弁装置20の構造が複雑にならず、可変動弁装置20が大型化しないように、シリンダヘッド10におけるバネの配置箇所等が工夫されている。これにより、ロッカーアーム41にバネが配置されない場合でも、簡易な構成によってロッカーアーム31、41の連結状態及び解除状態が切替可能になっている。ロッカーアーム41と共にバネが揺動しないため、上記したような不具合が生じることもない。
【0019】
以下、
図3を参照して、第1実施例の一対のロッカーアームの連結構造について説明する。
図3は第1実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。なお、
図3(A)は一対のロッカーアームの解除状態を示し、
図3(B)は一対のロッカーアームの連結状態を示している。
【0020】
図3(A)に示すように、シリンダヘッド10の内側には一方から他方にロッカーシャフト27が延在している。ロッカーシャフト27には一対のロッカーアーム31、41が支持されており、一対のロッカーアーム31、41がロッカーシャフト27の軸回りに揺動可能になっている。一対のロッカーアーム31、41は互いに隣接してロッカーシャフト27に配置されているが、一対のロッカーアーム31、41の上部は僅かな隙間C1を空けて対向している。一対のロッカーアーム31、41の上部には、ロッカーシャフト27に平行な収容穴33、43が形成されている。
【0021】
ロッカーアーム31の収容穴33の一端部には、収容穴33の穴径を狭めたストッパ34が形成されている。収容穴33の内周面にはストッパ34の他端側に環状溝35が形成されている。ロッカーアーム41の収容穴43の一方側の略半部には、収容穴43の穴径を狭めてストッパ44が形成されている。収容穴43の内周面にはストッパ44の他端側に環状溝45が形成されている。収容穴33の他端側の穴径と収容穴43の一端側の穴径が一致しており、一対の吸気バルブ12(
図1参照)の閉弁状態で連通するように同軸に形成されている。
【0022】
ロッカーアーム31の収容穴33には連結ピン36が軸方向に移動可能に配置されている。連結ピン36は大径部分と小径部分からなる段付きピンであり、連結ピン36の小径部分がロッカーアーム31から一方に突き出している。連結ピン36の外周面には大径部分と小径部分の境界に段差37が形成されており、連結ピン36の段差37がロッカーアーム31のストッパ34に突き当たることで連結ピン36の一方側への移動が規制される。一対のロッカーアーム31、41の解除状態では、段差37とストッパ34が接する初期位置(解除位置)に連結ピン36が位置付けられている。
【0023】
ロッカーアーム41の収容穴43には解除ピン46が軸方向に移動可能に配置されている。解除ピン46は大径部分と小径部分からなる段付きピンであり、解除ピン46の大径部分の他端部がロッカーアーム41から他端側に突き出している。解除ピン46の外周面には大径部分と小径部分の境界に段差47が形成されており、解除ピン46の段差47がロッカーアーム41のストッパ44に突き当たることで解除ピン46の一方側への移動が規制される。一対のロッカーアーム31、41の解除状態では、段差47とストッパ44が接する初期位置に解除ピン46が位置付けられている。
【0024】
シリンダヘッド10には、ロッカーアーム31よりも一方側に押圧部材55が配置されている。押圧部材55は、ソレノイドピン、プッシュロッド、油圧プランジャ等で形成されている。押圧部材55の他端は連結ピン36に接しており、押圧部材55によって連結ピン36が他方側に押し込まれる。シリンダヘッド10には、ロッカーアーム41よりも他方側にガイド穴57が形成されている。ガイド穴57には伝達部材58が配置されている。伝達部材58としてはストレートピンが用いられている。伝達部材58の一端は解除ピン46に接しており、伝達部材58によって解除ピン46が一方側に押し戻される。
【0025】
シリンダヘッド10のガイド穴57には、伝達部材58に対して他方側から接するように反発バネ(押返部材)59が配置されている。反発バネ59としては、伝達部材58と同軸に配置されたコイルスプリングが用いられている。反発バネ59の一端が伝達部材58に接しており、反発バネ59の他端がガイド穴57の底壁に接している。伝達部材58がガイド穴57に一方側から押し込まれることで反発バネ59に反発力が蓄えられ、伝達部材58に対する押し込みが解除されることで反発バネ59の反発力によって伝達部材58が一方側に押し返される。反発バネ59の反発力によって伝達部材58を介して各ピン36、46が自動復帰される。
【0026】
反発バネ59がシリンダヘッド10に配置されているため、反発バネ59がロッカーアーム41と共に揺動することがない。よって、エンジン作動中に共振による反発バネ59の破損や反発バネ59の周辺部材の摩耗等が抑えられる。ロッカーアーム41周りの動弁系の運動部が小型化及び軽量化されて、従来のエンジンと比較して高いエンジン回転数に対応可能になっている。また、ロッカーアーム41が大きくなることがなく、さらに反発バネ59の配置のために新たな部品を追加する必要がない。よって、可変動弁装置20の大型化及び重量化が抑えられている。
【0027】
連結ピン36及び解除ピン46の中心軸O1が、押圧部材55及び伝達部材58の中心軸O2、O3よりもロッカーシャフト27に近づけられており、複数のロッカーアーム31、41の上部が小型化されている。なお、連結ピン36と押圧部材55の中心軸O1、O2のオフセット量は、連結ピン36と押圧部材55の接触面積が確保されて連結ピン36の軸ブレが抑えられる程度であることが好ましい。解除ピン46と伝達部材58の中心軸O1、O3のオフセット量は、解除ピン46と伝達部材58の接触面積が確保されて解除ピン46の軸ブレが抑えられる程度であることが好ましい。
【0028】
この一対のロッカーアーム31、41の解除状態では、押圧部材55から連結ピン36に押圧力が作用されておらず、反発バネ59のバネ力が伝達部材58を介して解除ピン46に作用している。連結ピン36の段差37がロッカーアーム31のストッパ34に突き当てられ、解除ピン46の段差47がロッカーアーム41のストッパ44に突き当てられている。このとき、連結ピン36の他端38が一対のロッカーアーム31、41の隙間C1の非連結位置P1で解除ピン46の一端48に接している。連結ピン36の他端38がロッカーアーム41外に位置しており、一対のロッカーアーム31、41が分離している。
【0029】
図3(B)に示すように、押圧部材55によって連結ピン36が押し込まれると、連結ピン36によって解除ピン46を介して伝達部材58が他方側に動かされる。伝達部材58がシリンダヘッド10のガイド穴57に押し込まれて、伝達部材58によって反発バネ59が収縮されて反発バネ59に反発力が蓄積される。連結ピン36の他端38が非連結位置P1からロッカーアーム41の収容穴43内の連結位置P2まで他方側に移動される。ロッカーアーム41の収容穴43に連結ピン36の一部が入り込むことで、連結ピン36を介して一対のロッカーアーム31、41が連結される。
【0030】
図3(A)に示すように、押圧部材55による連結ピン36の押し込みが解除されると、反発バネ59の反発力によって伝達部材58が押し返される。伝達部材58によって解除ピン46が押し込まれ、解除ピン46によって連結ピン36が一方側に押し戻される。連結ピン36の他端38が連結位置P2から非連結位置P1まで一方側に移動され、解除ピン46及び連結ピン36がそれぞれ元の位置に戻される。ロッカーアーム41の収容穴43から連結ピン36の一部が抜け出すことで、一対のロッカーアーム31、41の連結が解除される。
【0031】
一対のロッカーアーム31、41の連結時には、反発バネ59の反発力に抗して解除ピン46が他方側に押し出されながら、押圧部材55によって連結ピン36がロッカーアーム41の収容穴43に押し込まれる。一対のロッカーアーム31、41の連結解除時には、反発バネ59の反発力によって伝達部材58が押し返されて、伝達部材58によって解除ピン46を介して連結ピン36がロッカーアーム31の収容穴33に押し戻される。連結ピン36が非連結位置P1と連結位置P2の間で動かされて、一対のロッカーアーム31、41の連結状態と解除状態が切り替えられている。
【0032】
以上、第1実施例の可変動弁装置20によれば、シリンダヘッド10に反発バネ59を配置した場合でも、簡易な構成によって一対のロッカーアーム31、41の連結状態及び解除状態が切り替えられる。また、エンジン作動中に共振による反発バネ59の破損や反発バネ59の周辺部材の摩耗等が抑えられると共に、比較的高いエンジン回転数に対応可能になっている。また、可変動弁装置20の大型化及び重量化が抑えられている。
【0033】
<第2実施例>
次に、
図4を参照して、第2実施例の可変動弁装置について説明する。第2実施例の可変動弁装置は、押圧部材として一方側のロッカーアームに油圧シリンダを形成し、押返部材としてシリンダヘッドに油圧シリンダを形成した点で第1実施例の可変動弁装置と相違している。したがって、第2実施例については第1実施例と同様な構成については説明を省略する。
図4は第2実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。なお、
図4(A)は一対のロッカーアームの解除状態を示し、
図4(B)は一対のロッカーアームの連結状態を示している。
【0034】
図4(A)に示すように、シリンダヘッド61の内側には一方から他方にロッカーシャフト62が延在しており、ロッカーシャフト62には一対のロッカーアーム71、81が揺動可能に支持されている。ロッカーシャフト62の内側にはオイル通路63が形成されており、ロッカーアーム71の一端側には油圧室73が形成されている。ロッカーシャフト62の周壁及びロッカーアーム71にはオイル通路63と油圧室73を連ねるオイル穴64が形成され、オイル穴64を介してオイル通路63から油圧室73にオイルが供給される。このように、ロッカーアーム71には連結ピン75を他方側に押し込む油圧シリンダが形成されている。
【0035】
一対のロッカーアーム71、81には、ロッカーシャフト62に平行な収容穴72、82が形成されている。ロッカーアーム71の収容穴72の一端側はオイルが入り込む油圧室73になっており、収容穴72に配置された連結ピン75が駆動プランジャとして機能している。ロッカーアーム71の収容穴72(油圧室73)は有底筒状に形成されており、連結ピン75の一端には突起76が形成されている。連結ピン75の突起76が油圧室73の内底面に突き当たることで、連結ピン75の一方側への移動が規制されて油圧室73の最小容積が確保されている。
【0036】
シリンダヘッド61には、ロッカーアーム81よりも他方側に油圧シリンダが形成されている。シリンダヘッド61のガイド穴95には伝達部材96が配置されており、ガイド穴95の底面にはオイル通路97が連なっている。すなわち、シリンダヘッド61のガイド穴95の他端側はオイルが入り込む油圧室98になっており、ガイド穴95に配置された伝達部材96が戻しプランジャとして機能している。伝達部材96の他端には突起99が形成されている。伝達部材96の突起99が油圧室98の内底面に突き当たることで、伝達部材96の他方側への移動が規制されて油圧室98の最小容積が確保されている。
【0037】
この一対のロッカーアーム71、81の解除状態では、ロッカーアーム71の油圧室73から連結ピン75に油圧が作用されておらず、シリンダヘッド61の油圧室98から伝達部材96に油圧が作用していない。連結ピン75の突起76が油圧室73の内底面に突き当てられ、解除ピン85の段差86がロッカーアーム81のストッパ83に突き当てられている。このとき、連結ピン75の他端77が一対のロッカーアーム71、81の隙間C1の非連結位置P1で解除ピン85の一端87に接している。連結ピン75の他端77がロッカーアーム81外に位置しており、一対のロッカーアーム71、81が分離している。
【0038】
図4(B)に示すように、ロッカーアーム71の油圧室73から連結ピン75に油圧が作用されると、連結ピン75によって解除ピン85を介して伝達部材96が他方側に動かされる。伝達部材96がシリンダヘッド61のガイド穴95に押し込まれ、伝達部材96の突起99が油圧室98の内底面に突き当てられる。連結ピン75の他端77が非連結位置P1からロッカーアーム81の連結位置P2まで他方側に移動される。ロッカーアーム81の収容穴82に連結ピン75の一部が入り込むことで、連結ピン75を介して一対のロッカーアーム71、81が連結される。
【0039】
図4(A)に示すように、連結ピン75に対する油圧が解除されると、シリンダヘッド61の油圧室98の油圧によって伝達部材96が押し返される。伝達部材96によって解除ピン85が押し込まれ、解除ピン85によって連結ピン75が一方側に押し戻される。連結ピン75の他端77が連結位置P2から非連結位置P1まで一方側に移動されて、解除ピン85及び連結ピン75がそれぞれ元の位置に戻される。ロッカーアーム81の収容穴82から連結ピン75の一部が抜け出すことで、一対のロッカーアーム71、81の連結が解除される。
【0040】
以上、第2実施例の可変動弁装置60によれば、油圧を利用した簡易な構成によって、一対のロッカーアーム71、81の連結状態及び解除状態が切り替えられる。また、反発バネを用いないため、反発バネの破損等の不具合が生じることもない。
【0041】
なお、第2実施例では、一方のロッカーアームに押圧用の油圧シリンダが形成され、シリンダヘッドに押返用の油圧シリンダが形成されているが、少なくとも一方に油圧シリンダが形成されていればよい。すなわち、押圧部材の代わりに一方のロッカーアームに油圧シリンダが形成され、押返部材としてシリンダヘッドのガイド穴に反発バネが配置されていてもよい。また、押圧部材としてソレノイドピン等が用いられ、押返部材としてシリンダヘッドに油圧シリンダが形成されていてもよい。
【0042】
<第3実施例>
次に、
図5を参照して、第3実施例の可変動弁装置について説明する。第3実施例の可変動弁装置は、一対のロッカーアームの連結状態及び解除状態を検出可能なセンサを設けた点で第1実施例の可変動弁装置と相違している。したがって、第3実施例については第1実施例と同様な構成については説明を省略する。
図5は第3実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。なお、
図5(A)は一対のロッカーアームの解除状態を示し、
図5(B)は一対のロッカーアームの連結状態を示している。
【0043】
図5(A)に示すように、シリンダヘッド101の内側には一方から他方にロッカーシャフト102が延在しており、ロッカーシャフト102には一対のロッカーアーム111、121が揺動可能に支持されている。ロッカーアーム111の収容穴112には連結ピン115が配置され、ロッカーアーム121の収容穴122には解除ピン125が配置されている。ロッカーアーム111よりも一方側には押圧部材131が配置され、ロッカーアーム121よりも他方側にはシリンダヘッド101にガイド穴135が形成されている。ガイド穴135には伝達部材136及び反発バネ137が配置されている。反発バネ137よりも他方側にはセンサ138が配置されている。
【0044】
伝達部材136の他端にはセンサ138に向かって延びるロッド139が形成されている。ロッド139は、コイル状の反発バネ137の内側を通って他方側に延びて、シリンダヘッド101のガイド穴135の形成箇所を貫通している。ロッド139の先端付近にセンサ138が配置されており、センサ138の検出方向とロッド139の延在方向が直交している。センサ138によってロッド139の先端の動きからロッカーアーム111、121の連結状態と解除状態が検出される。制御ユニット(不図示)から可変動弁装置100への指令信号とセンサ138の検出信号が比較されて可変動弁装置100の故障が検出される。
【0045】
この一対のロッカーアーム111、121の解除状態では、押圧部材131から連結ピン115に押圧力が作用されておらず、反発バネ137のバネ力が伝達部材136を介して解除ピン125に作用している。連結ピン115の段差116がロッカーアーム111のストッパ113に突き当てられ、解除ピン125の段差126がロッカーアーム121のストッパ123に突き当てられている。このとき、連結ピン115の他端117が一対のロッカーアーム111、121の隙間C1の非連結位置P1で解除ピン125の一端127に接している。連結ピン115の他端117がロッカーアーム121外に位置しており、一対のロッカーアーム111、121が分離している。
【0046】
図5(B)に示すように、押圧部材131によって連結ピン115が押し込まれると、連結ピン115によって解除ピン125を介して伝達部材136が他方側に動かされる。伝達部材136がシリンダヘッド101のガイド穴135に押し込まれて、伝達部材136によって反発バネ137が収縮されて反発バネ137に反発力が蓄積される。連結ピン115の他端117が非連結位置P1からロッカーアーム121の連結位置P2まで他方側に移動される。ロッカーアーム121の収容穴122に連結ピン115の一部が入り込むことで、連結ピン115を介して一対のロッカーアーム111、121が連結される。
【0047】
このとき、伝達部材136の他方側への移動に伴って、ロッド139の先端がセンサ138の検出位置に位置付けられる。センサ138によってロッド139の先端が検出されると、可変動弁装置100が連結指令通りに動作していると制御ユニットに判定される。一方、センサ138によってロッド139の先端が未検出の場合には、可変動弁装置100が連結指令通りに動作していないと制御ユニットに判定される。連結ピン115や解除ピン125のロック等の可変動弁装置100の故障が検出されて、故障警告灯(MIL)が点灯されて運転者に故障が知らされる。
【0048】
図5(A)に示すように、押圧部材131による連結ピン115の押し込みが解除されると、反発バネ137の反発力によって伝達部材136が押し返される。伝達部材136によって解除ピン125が押し込まれ、解除ピン125によって連結ピン115が一方側に押し戻される。連結ピン115の他端117が連結位置P2から非連結位置P1まで一方側に移動されて、解除ピン125及び連結ピン115がそれぞれ元の位置に戻される。ロッカーアーム121の収容穴122から連結ピン115の一部が抜け出すことで、一対のロッカーアーム111、121の連結が解除される。
【0049】
このとき、伝達部材136の一方側への移動に伴って、ロッド139の先端がセンサ138の検出位置から外される。センサ138によってロッド139の先端が未検出になると、可変動弁装置100が解除指令通りに動作していると制御ユニットに判定される。一方、センサ138によってロッド139の先端が検出されている場合には、可変動弁装置100が解除指令通りに動作していないと制御ユニットに判定される。連結ピン115や解除ピン125のロック等の可変動弁装置100の故障が検出されて、故障警告灯が点灯されて運転者に故障が知らされる。
【0050】
以上、第3実施例の可変動弁装置100によれば、簡易な構成によって一対のロッカーアーム111、121の連結状態及び解除状態が切り替えられる。第1実施例と同様に反発バネ137の破損等の不具合が生じることもない。また、反発バネ137とセンサ138がコンパクトに配置されて、可変動弁装置100の大型化が抑えられている。さらに、故障警告灯によって運転者に可変動弁装置100の故障が知らされ、排気ガスが悪化した状態で走行し続けることが防止される。
【0051】
また、第3実施例では、押圧部材としてソレノイドピン等が用いられたが、センサが設けられていれば、押圧部材の代わりに一方のロッカーアームに油圧シリンダが形成されていてもよい。
【0052】
また、第3実施例では、ロッドの先端側の外周面がストレートに形成されているが、ロッドの先端側の外周面の形状は特に限定されない。例えば、ロッドの先端側の外周面が先細りのテーパ状に形成されていてもよいし、ロッドの先端側の外周面が先細りの階段状に形成されていてもよい。
【0053】
また、第3実施例では、センサの種類は特に限定されず、例えば、ギャップセンサ、接触式スイッチ、非接触式スイッチで構成されていてもよい。また、センサの検出方向は、ロッドの延在方向と平行でもよい。
【0054】
<第4実施例>
次に、
図6を参照して、第4実施例の可変動弁装置について説明する。第4実施例の可変動弁装置は、一対のロッカーアームの解除状態で、連結ピンと押圧部材が離間している点で第1実施例の可変動弁装置と相違している。したがって、第4実施例については第1実施例と同様な構成については説明を省略する。
図6は第4実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。なお、
図6(A)は一対のロッカーアームの解除状態を示し、
図6(B)は一対のロッカーアームの連結状態を示している。
【0055】
図6(A)に示すように、シリンダヘッド141の内側には一方から他方にロッカーシャフト142が延在しており、ロッカーシャフト142には一対のロッカーアーム151、161が揺動可能に支持されている。ロッカーアーム151の収容穴152には連結ピン155が配置され、ロッカーアーム161の収容穴162には解除ピン165が配置されている。ロッカーアーム151よりも一方側には押圧部材171が配置され、ロッカーアーム161よりも他方側にはシリンダヘッド141にガイド穴185が形成されている。ガイド穴185には伝達部材186及び反発バネ187が配置されている。
【0056】
押圧部材171は油圧プランジャによって形成されており、シリンダヘッド141に形成された収容空間に押圧部材171の一端側が配置されている。一対のロッカーアーム151、161の解除状態で、連結ピン155と押圧部材171に隙間C2が空けられている。押圧部材171の一端部にはフランジ172が形成されており、フランジ172によってシリンダヘッド141内の収容空間が第1、第2の油圧室173、174に仕切られている。押圧部材171の一端には突起175が形成されており、突起175が第1の油圧室173の内底面に突き当たることで、押圧部材171の一方側への移動が規制されて第1の油圧室173の最小容積が確保されている。
【0057】
第1の油圧室173は第1のオイル通路176を介してオイルコントロールバルブ179に接続され、第2の油圧室174は第2のオイル通路177を介してオイルコントロールバルブ179に接続されている。オイルコントロールバルブ179には、第3のオイル通路178を介してオイルが供給されている。オイルコントロールバルブ179から第1の油圧室173にオイルが供給されると、第1の油圧室173の油圧によって押圧部材171が連結ピン155に向かって飛び出される。オイルコントロールバルブ179から第2の油圧室174にオイルが供給されると、第2の油圧室174の油圧によって押圧部材171が連結ピン155から退避される。
【0058】
この一対のロッカーアーム151、161の解除状態では、押圧部材171と連結ピン155が隙間C2を空けて離間しており、反発バネ187に押し出された伝達部材186が解除ピン165に接触している。連結ピン155の段差156がロッカーアーム151のストッパ153に突き当てられ、解除ピン165の段差166がロッカーアーム161のストッパ163に突き当てられている。このとき、連結ピン155の他端157が一対のロッカーアーム151、161の隙間C1の非連結位置P1で解除ピン165の一端167に接している。連結ピン155の他端157がロッカーアーム161外に位置しており、一対のロッカーアーム151、161が分離している。
【0059】
図6(B)に示すように、オイルコントロールバルブ179から第1の油圧室173にオイルが供給されると、押圧部材171が隙間C2を挟んで対向する連結ピン155に向けて飛び出される。押圧部材171が連結ピン155に衝突すると、衝撃によって解除ピン165を介して伝達部材186が他方側に素早く動かされる。伝達部材186がシリンダヘッド141のガイド穴185に押し込まれて、押圧部材171と連結ピン155の衝撃が伝達部材186を介して反発バネ187に吸収される。このように、反発バネ187は、伝達部材186の押し返しだけでなく、緩衝材としても機能している。
【0060】
そして、連結ピン155の他端157が非連結位置P1からロッカーアーム161の連結位置P2まで他方側に移動される。ロッカーアーム161の収容穴162に連結ピン155の一部が入り込むことで、連結ピン155を介して一対のロッカーアーム151、161が連結される。押圧部材171と連結ピン155の衝撃によって、一対のロッカーアーム151、161が素早く連結されることでエンジンの高回転化に対応することができる。なお、押圧部材171と連結ピン155の隙間C2は、連結ピン155のストロークの25%以上の大きさに設定されていることが好ましい。
【0061】
図6(A)に示すように、オイルコントロールバルブ179から第2の油圧室174にオイルが供給されると、押圧部材171が連結ピン155から退避されて、反発バネ187の反発力によって伝達部材186が押し返される。伝達部材186によって解除ピン165が押し込まれ、解除ピン165によって連結ピン155が一方側に押し戻される。連結ピン155の他端157が連結位置P2から非連結位置P1まで一方側に移動されて、解除ピン165及び連結ピン155がそれぞれ元の位置に戻される。ロッカーアーム161の収容穴162から連結ピン155の一部が抜け出すことで、一対のロッカーアーム151、161の連結が解除される。
【0062】
以上、第4実施例の可変動弁装置140によれば、簡易な構成によって一対のロッカーアーム151、161の連結状態及び解除状態が切り替えられる。第1実施例と同様に反発バネ187の破損等の不具合が生じることもない。また、複数のロッカーアーム151、161が素早く連結されることでエンジンの高回転化に対応することができる。
【0063】
また、第4実施例では、押圧部材としてオイルコントロールバルブに接続された油圧プランジャが用いられているが、押圧部材と連結ピンの隙間が空けられていれば、押圧部材としてソレノイドピン等が用いられてもよい。
【0064】
<第5実施例>
次に、
図7を参照して、第5実施例の可変動弁装置について説明する。第5実施例の可変動弁装置は、連結ピンと解除ピンがストレートピンである点で第1実施例の可変動弁装置と相違している。したがって、第5実施例については第1実施例と同様な構成については説明を省略する。
図7は第5実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。なお、
図7(A)は一対のロッカーアームの解除状態を示し、
図7(B)は一対のロッカーアームの連結状態を示している。
【0065】
図7(A)に示すように、シリンダヘッド181の内側には一方から他方にロッカーシャフト182が延在しており、ロッカーシャフト182には一対のロッカーアーム191、201が揺動可能に支持されている。ロッカーアーム191の収容穴192には連結ピン195が配置され、ロッカーアーム201の収容穴202には解除ピン205が配置されている。ロッカーアーム191よりも一方側には押圧部材211が配置され、ロッカーアーム201よりも他方側にはシリンダヘッド181にガイド穴215が形成されている。ガイド穴215には伝達部材216及び反発バネ217が配置されている。
【0066】
一対のロッカーアーム191、201の収容穴192、202がストレートに形成されており、連結ピン195及び解除ピン205としてはストレートピンが用いられている。連結ピン195はロッカーアーム191の収容穴192よりも長く形成されているが、解除ピン205はロッカーアーム201の収容穴202と略同じ長さに形成されている。この場合、伝達部材216がロッカーアーム201に突き当てられており、伝達部材216と押圧部材211によって連結ピン195及び解除ピン205が挟み込まれることで、連結ピン195及び解除ピン205が初期位置に位置付けられている。
【0067】
この一対のロッカーアーム191、201の解除状態では、押圧部材211から連結ピン195に押圧力が作用されておらず、反発バネ217のバネ力が伝達部材216を介して解除ピン205に作用している。伝達部材216がロッカーアーム201に突き当てられ、解除ピン205がロッカーアーム201の収容穴202に完全に収容されている。このとき、連結ピン195の他端197が一対のロッカーアーム191、201の隙間C1の非連結位置P1で解除ピン205の一端207に接している。連結ピン195の他端197がロッカーアーム201外に位置しており、一対のロッカーアーム191、201が分離している。
【0068】
図7(B)に示すように、押圧部材211によって連結ピン195が押し込まれると、連結ピン195によって解除ピン205を介して伝達部材216が他方側に動かされる。伝達部材216がシリンダヘッド181のガイド穴215に押し込まれて、伝達部材216によって反発バネ217が収縮されて反発バネ217に反発力が蓄積される。連結ピン195の他端197が非連結位置P1からロッカーアーム201の連結位置P2まで他方側に移動される。ロッカーアーム201の収容穴202に連結ピン195の一部が入り込むことで、連結ピン195を介して一対のロッカーアーム191、201が連結される。
【0069】
図7(A)に示すように、押圧部材211による連結ピン195の押し込みが解除されると、反発バネ217の反発力によって伝達部材216が押し返される。伝達部材216によって解除ピン205が押し込まれ、解除ピン205によって連結ピン195が一方側に押し戻される。連結ピン195の他端197が連結位置P2から非連結位置P1まで一方側に移動されて、伝達部材216がロッカーアーム201に突き当たって解除ピン205及び連結ピン195がそれぞれ元の位置に戻される。ロッカーアーム201の収容穴202から連結ピン195の一部が抜け出すことで、一対のロッカーアーム191、201の連結が解除される。
【0070】
以上、第5実施例の可変動弁装置180によれば、より簡易な構成によって一対のロッカーアーム191、201の連結状態及び解除状態が切り替えられる。第1実施例と同様に反発バネ217の破損等の不具合が生じることもない。また、連結ピン195及び解除ピン205のピン形状がシンプルになってコストを低減することができる。
【0071】
また、第5実施例では、連結ピン及び解除ピンがストレートピンである構成について例示したが、連結ピン及び解除ピンの少なくとも一方がストレートピンであればよい。例えば、連結ピンとしてストレートピンが用いられ、解除ピンとして段付きピンが用いられてもよいし、連結ピンとして段付きピンが用いられ、解除ピンとしてストレートピンが用いられてもよい。
【0072】
<第6実施例>
次に、
図8を参照して、第6実施例の可変動弁装置について説明する。第6実施例の可変動弁装置は、連結ピン、解除ピン、押圧部材、伝達部材、反発バネが同軸に配置されている点で第1実施例の可変動弁装置と相違している。したがって、第6実施例については第1実施例と同様な構成については説明を省略する。
図8は第6実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。なお、
図8(A)は一対のロッカーアームの解除状態を示し、
図8(B)は一対のロッカーアームの連結状態を示している。
【0073】
図8(A)に示すように、シリンダヘッド221の内側には一方から他方にロッカーシャフト222が延在しており、ロッカーシャフト222には一対のロッカーアーム231、241が揺動可能に支持されている。ロッカーアーム231の収容穴232には連結ピン235が配置され、ロッカーアーム241の収容穴242には解除ピン245が配置されている。ロッカーアーム231よりも一方側には押圧部材251が配置され、ロッカーアーム241よりも他方側にはシリンダヘッド221にガイド穴255が形成されている。ガイド穴255には伝達部材256及び反発バネ257が配置されている。
【0074】
一対のロッカーアーム231、241の収容穴232、242がストレートに形成されており、連結ピン235及び解除ピン245としてはストレートピンが用いられている。連結ピン235はロッカーアーム231の収容穴232よりも長く形成されているが、解除ピン245はロッカーアーム241の収容穴242と略同じ長さに形成されている。この場合、伝達部材256がロッカーアーム241に突き当てられており、伝達部材256と押圧部材251によって連結ピン235及び解除ピン245が挟み込まれることで、連結ピン235及び解除ピン245が初期位置に位置付けられている。
【0075】
押圧部材251の外径は連結ピン235の外径よりも大きく形成されており、伝達部材256の外径は解除ピン245の外径よりも大きく形成されている。一対の吸気バルブ12(
図1参照)の閉弁状態では、押圧部材251及び伝達部材256の中心軸O2、O3と連結ピン235及び解除ピン245の中心軸O1が同軸に配置されて、連結ピン235及び解除ピン245の移動時の軸ブレが抑えられている。伝達部材256は有底筒状に形成されており、反発バネ257の一端側が伝達部材256の内側に入り込んでいる。伝達部材256の内側に反発バネ257が入り込むことで、伝達部材256及び反発バネ257の設置スペースの省スペース化が図られている。
【0076】
この一対のロッカーアーム231、241の解除状態では、押圧部材251から連結ピン235に押圧力が作用されておらず、反発バネ257のバネ力が伝達部材256を介して解除ピン245に作用している。伝達部材256がロッカーアーム241に突き当てられ、解除ピン245がロッカーアーム241の収容穴242に完全に収容されている。このとき、連結ピン235の他端237が一対のロッカーアーム231、241の隙間C1の非連結位置P1で解除ピン245の一端247に接している。連結ピン235の他端237がロッカーアーム241外に位置しており、一対のロッカーアーム231、241が分離している。
【0077】
図8(B)に示すように、押圧部材251によって連結ピン235が押し込まれると、連結ピン235によって解除ピン245を介して伝達部材256が他方側に動かされる。伝達部材256がシリンダヘッド221のガイド穴255に押し込まれて、伝達部材256によって反発バネ257が収縮されて反発バネ257に反発力が蓄積される。連結ピン235の他端237が非連結位置P1からロッカーアーム241の連結位置P2まで他方側に移動される。ロッカーアーム241の収容穴242に連結ピン235の一部が入り込むことで、連結ピン235を介して一対のロッカーアーム231、241が連結される。
【0078】
図8(A)に示すように、押圧部材251による連結ピン235の押し込みが解除されると、反発バネ257の反発力によって伝達部材256が押し返される。伝達部材256によって解除ピン245が押し込まれ、解除ピン245によって連結ピン235が一方側に押し戻される。連結ピン235の他端237が連結位置P2から非連結位置P1まで一方側に移動されて、伝達部材256がロッカーアーム241に突き当たって解除ピン245及び連結ピン235がそれぞれ元の位置に戻される。ロッカーアーム241の収容穴242から連結ピン235の一部が抜け出すことで、一対のロッカーアーム231、241の連結が解除される。
【0079】
以上、第6実施例の可変動弁装置220によれば、より簡易な構成によって一対のロッカーアーム231、241の連結状態及び解除状態が切り替えられる。第1実施例と同様に反発バネ257の破損等の不具合が生じることもない。また、連結ピン235及び解除ピン245のピン形状がシンプルになってコストを低減することができる。さらに、連結ピン235及び解除ピン245の移動時の軸ブレが抑えられて、連結ピン235及び解除ピン245のロックが抑えられている。
【0080】
また、第6実施例では、有底筒状の伝達部材に反発バネの一部が入り込む構成を例示したが、連結ピン、解除ピン、押圧部材、伝達部材、反発バネが同軸に配置されていれば、伝達部材の形状は特に限定されない。例えば、伝達部材はストレートのピン形状に形成されていてもよい。
【0081】
<第7実施例>
次に、
図9を参照して、第7実施例の可変動弁装置について説明する。第7実施例の可変動弁装置は、連結ピン、解除ピン、押圧部材、伝達部材にフランジが形成されている点で第1実施例の可変動弁装置と相違している。したがって、第7実施例については第1実施例と同様な構成については説明を省略する。
図9は第7実施例の一対のロッカーアームの連結構造の模式図である。なお、
図9(A)は一対のロッカーアームの解除状態を示し、
図9(B)は一対のロッカーアームの連結状態を示している。
【0082】
図9(A)に示すように、シリンダヘッド261の内側には一方から他方にロッカーシャフト262が延在しており、ロッカーシャフト262には一対のロッカーアーム271、281が揺動可能に支持されている。ロッカーアーム271の収容穴272には連結ピン275が配置され、ロッカーアーム281の収容穴282には解除ピン285が配置されている。ロッカーアーム271よりも一方側には押圧部材291が配置され、ロッカーアーム281よりも他方側にはシリンダヘッド261にガイド穴295が形成されている。ガイド穴295には伝達部材296及び反発バネ297が配置されている。
【0083】
一対のロッカーアーム271、281の収容穴272、282がストレートに形成されており、連結ピン275及び解除ピン285としてはフランジピンが用いられている。ロッカーアーム271から一方側に突出した連結ピン275の一端部にフランジ276が形成され、ロッカーアーム281から他方側に突出した解除ピン285の他端部にフランジ286が形成されている。この場合、連結ピン275のフランジ276がロッカーアーム271に突き当たることで連結ピン275の押し込みが規制され、解除ピン285のフランジ286がロッカーアーム281に突き当たることで解除ピン285の押し戻しが規制される。
【0084】
押圧部材291及び伝達部材296にもフランジピンが用いられている。連結ピン275に接する押圧部材291の他端部にフランジ292が形成され、解除ピン285に接する伝達部材296の一端部にフランジ298が形成されている。連結ピン275及び押圧部材291にフランジ276、292が形成されているため、連結ピン275と押圧部材291の接触面積が増えている。解除ピン285及び伝達部材296にフランジ286、298が形成されているため、解除ピン285と伝達部材296の接触面積が増えている。接触面積の増加によって連結ピン275及び解除ピン285の移動時の軸ブレが抑えられている。
【0085】
この一対のロッカーアーム271、281の解除状態では、押圧部材291から連結ピン275に押圧力が作用されておらず、反発バネ297のバネ力が伝達部材296を介して解除ピン285に作用している。解除ピン285のフランジ286がロッカーアーム281に突き当てられ、解除ピン285が初期位置に位置付けられている。このとき、連結ピン275の他端277が一対のロッカーアーム271、281の隙間C1の非連結位置P1で解除ピン285の一端287に接している。連結ピン275の他端277がロッカーアーム281外に位置しており、一対のロッカーアーム271、281が分離している。
【0086】
図9(B)に示すように、押圧部材291によって連結ピン275が押し込まれると、連結ピン275によって解除ピン285を介して伝達部材296が他方側に動かされる。伝達部材296がシリンダヘッド261のガイド穴295に押し込まれ、伝達部材296によって反発バネ297が収縮される。連結ピン275の他端277が非連結位置P1からロッカーアーム281の連結位置P2まで他方側に移動され、連結ピン275のフランジ276がロッカーアーム271に突き当って連結ピン275の移動が規制される。ロッカーアーム281の収容穴282に連結ピン275の一部が入り込むことで、連結ピン275を介して一対のロッカーアーム271、281が連結される。
【0087】
図9(A)に示すように、押圧部材291による連結ピン275の押し込みが解除されると、反発バネ297の反発力によって伝達部材296が押し返される。伝達部材296によって解除ピン285が押し込まれ、解除ピン285によって連結ピン275が一方側に押し戻される。連結ピン275の他端277が連結位置P2から非連結位置P1まで一方側に移動されて、解除ピン285のフランジ286がロッカーアーム281に突き当たって解除ピン285及び連結ピン275がそれぞれ元の位置に戻される。ロッカーアーム281の収容穴282から連結ピン275の一部が抜け出すことで、一対のロッカーアーム271、281の連結が解除される。
【0088】
以上、第7実施例の可変動弁装置260によれば、簡易な構成によって一対のロッカーアーム271、281の連結状態及び解除状態が切り替えられる。第1実施例と同様に反発バネ297の破損等の不具合が生じることもない。さらに、連結ピン275及び解除ピン285の移動時の軸ブレが抑えられて、連結ピン275及び解除ピン285のロックが抑えられている。
【0089】
なお、第7実施例では、連結ピン、解除ピン、押圧部材、伝達部材がフランジピンである構成について例示したが、連結ピン、解除ピン、押圧部材、伝達部材の少なくとも1つがフランジピンであってもよい。例えば、連結ピンとしてフランジピンが用いられ、解除ピン、押圧部材、伝達部材としてストレートピンが用いられてもよい。
【0090】
また、第7実施例において、連結ピンとして段付きピンが用いられ、解除ピンとしてフランジピンが用いられ、押圧部材及び伝達部材としてストレートピンが用いられてもよい。
【0091】
また、第7実施例において、連結ピン及び解除ピンとして段付きピンが用いられ、押圧部材としてストレートピンが用いられ、伝達部材としてフランジピンが用いられてもよい。
【0092】
また、第7実施例では、連結ピンとして段付きピンが用いられ、解除ピン及び伝達部材としてフランジピンが用いられ、押圧部材としてストレートピンが用いられてもよい。
【0093】
また、第7実施例において、連結ピン、押圧部材、伝達部材としてストレートピンが用いられ、解除ピンとしてフランジピンが用いられてもよい。
【0094】
また、第7実施例において、連結ピン、解除ピン、押圧部材としてストレートピンが用いられ、伝達部材としてフランジピンが用いられてもよい。
【0095】
なお、上記各実施例では、シリンダヘッドに伝達部材や反発バネが配置されたが、カムシャフトを支持するカムハウジングに伝達部材や反発バネが配置されてもよい。シリンダヘッド及びカムハウジングに固定された部材に伝達部材や反発バネが配置されてもよい。
【0096】
また、上記各実施例では、シーソー式のロッカーアームを例示したが、ロッカーアームの種類は特に限定されず、フィンガーフォロアー式のロッカーアームでもよい。
【0097】
また、上記各実施例では、可変動弁装置の吸気側に一対のロッカーアームが備えられているが、可変動弁装置の吸気側に複数のロッカーアームが備えられていればよい。例えば、可変動弁装置の吸気側に3つ以上のロッカーアームが備えられていてもよい。
【0098】
また、上記各実施例では、可変動弁装置の排気側に単一のロッカーアームが備えられているが、可変動弁装置の排気側に複数のロッカーアームが備えられていてもよい。このとき、排気側の複数のロッカーアームについても連結状態と解除状態が切り替え可能に構成されていてもよい。
【0099】
また、上記各実施例では、複数のロッカーアームが隣接しているが、複数のロッカーアームが離間していてもよい。
【0100】
また、一部実施例では、押圧部材及び伝達部材の中心軸と連結ピン及び解除ピンの中心軸が位置ズレしている構成を例示したが、押圧部材及び伝達部材の中心軸と連結ピン及び解除ピンの中心軸が同軸に配置されてもよい。
【0101】
また、一部実施例では、押返部材として反発バネや油圧シリンダを例示したが、押返部材は伝達部材を他方側から押し返すように配置された部材であればよい。例えば、押返部材は、ゴム等の弾性部材によって形成されていてもよい。
【0102】
また、本実施例の排気装置は上記の鞍乗型車両のエンジンに限らず、他の乗り物のエンジンに採用されてもよい。また、鞍乗型車両は自動二輪車に限定されず、エンジンが搭載された乗り物であればよい。なお、鞍乗型車両とは、運転者がシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、運転者がシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0103】
以上の通り、可変動弁装置(20)は、シリンダヘッド(10)においてバルブ動作を変更可能な可変動弁装置であって、シリンダヘッド内で一方から他方に延在するロッカーシャフト(27)と、ロッカーシャフトの軸回りに揺動可能な複数のロッカーアーム(31、41)と、軸方向の一方寄りのロッカーアームの収容穴(33)に配置された連結ピン(36)と、軸方向の他方寄りのロッカーアームの収容穴(43)に配置された解除ピン(46)と、一方寄りのロッカーアームよりも一方側に配置された押圧部材(55)と、他方寄りのロッカーアームよりも他方側に配置された伝達部材(58)と、伝達部材を他方側から押し返すように配置された押返部材(反発バネ59)と、を備え、押圧部材は、解除ピンを他方側に押し出しながら、連結ピンを他方寄りのロッカーアームの収容穴に押し込んで複数のロッカーアームを連結させ、伝達部材は、押返部材によって押し返されて、解除ピンを介して連結ピンを一方寄りのロッカーアームの収容穴に押し戻して複数のロッカーアームの連結を解除する。この構成によれば、連結ピンが他方側に押し込まれると、一方寄りのロッカーアームの収容穴から他方寄りのロッカーアームの収容穴に連結ピンが部分的に入り込み、連結ピンを介して複数のロッカーアームが連結される。連結ピンの押し込みが解除されると、押返部材によって伝達部材及び解除ピンを介して連結ピンが一方側に押し戻されて複数のロッカーアームの連結が解除される。このように、ロッカーアームに反発バネを配置しない場合でも、簡易な構成によって複数のロッカーアームの連結状態及び解除状態を切り替えることができる。
【0104】
可変動弁装置において、押返部材は、伝達部材に対して他方側から接するように配置された反発バネであり、押圧部材は、反発バネのバネ力に抗して解除ピンを他方側に押し出しながら、連結ピンを他方寄りのロッカーアームの収容穴に押し込んで複数のロッカーアームを連結させ、伝達部材は、反発バネの反発力によって押し返されて、解除ピンを介して連結ピンを一方寄りのロッカーアームの収容穴に押し戻して複数のロッカーアームの連結を解除する。この構成によれば、連結ピンが他方側に押し込まれると、一方寄りのロッカーアームの収容穴から他方寄りのロッカーアームの収容穴に連結ピンが部分的に入り込み、連結ピンを介して複数のロッカーアームが連結される。連結ピンの押し込みが解除されると、反発バネの反発力によって伝達部材及び解除ピンを介して連結ピンが一方側に押し戻されて複数のロッカーアームの連結が解除される。また、反発バネがロッカーアームと共に揺動することがなく、エンジン作動中に共振による反発バネの破損や反発バネの周辺部材の摩耗等が抑えられる。
【0105】
可変動弁装置において、伝達部材及び押返部材は、シリンダヘッド又はカムシャフトを支持するカムハウジングに配置されている。この構成によれば、反発バネの配置のために新たに部品を追加する必要がなく、可変動弁装置の大型化を抑えることができる。
【0106】
可変動弁装置において、連結ピン及び解除ピンの中心軸(O1)が、押圧部材及び伝達部材の中心軸(O1、O2)よりもロッカーシャフトに近づけられている。この構成によれば、連結ピン及び解除ピンの中心軸がロッカーシャフトに近づけられることで、複数のロッカーアームを小型化することができる。
【0107】
可変動弁装置において、複数のロッカーアームの解除状態では、連結ピン及び押圧部材が離間している。この構成によれば、押圧部材が連結ピンの衝撃によって、複数のロッカーアームが素早く連結されることでエンジンの高回転化に対応することができる。
【0108】
可変動弁装置において、押返部材よりも他方側に配置されたセンサ(138)を備え、センサが複数のロッカーアームの連結状態と解除状態を検出する。この構成によれば、連結ピンのロック等の可変動弁装置の故障を検出することができる。また、押返部材よりも他方側にセンサが配置されるため、動弁部品をコンパクトにまとめることができる。
【0109】
可変動弁装置において、伝達部材にはセンサに向かって延びるロッド(139)が形成され、センサがロッドの動きから複数のロッカーアームの連結状態と解除状態を検出する。この構成によれば、伝達部材からロッドを延ばすことで、押返部材の他方側においてセンサの配置自由度を向上させることができる。
【0110】
可変動弁装置において、反発バネがコイルスプリングであり、ロッドが反発バネの内側を通って他方側に延びている。この構成によれば、反発バネと伝達部材をコンパクトに配置して、可変動弁装置の大型化を抑えることができる。
【0111】
他の可変動弁装置において、シリンダヘッドにおいてバルブ動作を変更可能な可変動弁装置(60)であって、シリンダヘッド内で一方から他方に延在するロッカーシャフト(62)と、ロッカーシャフトの軸回りに揺動可能な複数のロッカーアーム(71、81)と、軸方向の一方寄りのロッカーアームの収容穴(72)に配置された連結ピン(75)と、軸方向の他方寄りのロッカーアームの収容穴(82)に配置された解除ピン(85)と、他方寄りのロッカーアームよりも他方側に配置された伝達部材(96)と、伝達部材に対して他方側から押し返すように配置された押返部材(98)と、を備え、一方寄りのロッカーアームには連結ピンを他方側に押し込む油圧シリンダが形成されており、油圧シリンダは、解除ピンを他方側に押し出しながら、連結ピンを他方寄りのロッカーアームの収容穴に押し込んで複数のロッカーアームを連結させ、伝達部材は、押返部材によって押し返されて、解除ピンを介して連結ピンを一方寄りのロッカーアームの収容穴に押し戻して複数のロッカーアームの連結を解除する。この構成によれば、油圧シリンダによって連結ピンが他方側に押し込まれると、一方寄りのロッカーアームの収容穴から他方寄りのロッカーアームの収容穴に連結ピンが部分的に入り込み、連結ピンを介して複数のロッカーアームが連結される。連結ピンの押し込みが解除されると、押返部材によって伝達部材及び解除ピンを介して連結ピンが一方側に押し戻されて複数のロッカーアームの連結が解除される。このように、ロッカーアームに反発バネを配置しない場合でも、簡易な構成によって複数のロッカーアームの連結状態及び解除状態を切り替えることができる。
【0112】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0113】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。