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特開2023-57984ストレーナカバー、サクションストレーナ及びタンク装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057984
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】ストレーナカバー、サクションストレーナ及びタンク装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/027 20060101AFI20230417BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20230417BHJP
   B65D 90/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B01D35/02 F
B01D35/02 E
B65D90/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184885
(22)【出願日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】P 2021167753
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
(72)【発明者】
【氏名】中岡 英雄
【テーマコード(参考)】
3E170
4D116
【Fターム(参考)】
3E170AA02
3E170AB01
3E170GB01
3E170GB04
3E170GB05
3E170VA20
4D116AA06
4D116BB01
4D116BC13
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC47
4D116DD05
4D116FF12B
4D116FF16B
4D116GG02
4D116GG12
4D116GG13
4D116KK06
4D116QA33D
4D116QA33E
4D116QB48
4D116TT02
4D116UU09
4D116UU10
4D116VV05
(57)【要約】
【課題】油圧ポンプに気泡が吸引され難い。
【解決手段】液体を貯留するタンクの内部に、サクションストレーナを囲むようにストレーナカバーが設けられている。タンクの底面近傍に、液体の流路となる流入部が設けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するタンクの内部に、サクションストレーナを囲むように設けられたストレーナカバーであって、
前記タンクの底面近傍に、前記液体の流路となる流入部が設けられていることを特徴とするストレーナカバー。
【請求項2】
前記ストレーナカバーは筒状であり、前記サクションストレーナの側面全体を囲むことを特徴とする請求項1に記載のストレーナカバー。
【請求項3】
前記流入部は、1又は複数の開口を有し、
前記開口のうちの少なくとも1つは、複数の微細孔で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のストレーナカバー。
【請求項4】
前記開口は、前記タンクの底面に隣接する位置に設けられた孔であり、当該孔に網状部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のストレーナカバー。
【請求項5】
作動油を貯留するタンクと、
前記タンクの内部に設けられたサクションストレーナ及びリターンフィルタと、
請求項1から4のいずれか一項に記載のストレーナカバーと、
を備え、
前記ストレーナカバーの高さは、前記作動油の油面の高さより高いことを特徴とするタンク装置。
【請求項6】
前記ストレーナカバーの内側に設けられたフロートを備え、
前記フロートは、前記作動油に浮くように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のタンク装置。
【請求項7】
前記リターンフィルタと前記ストレーナカバーとの間に設けられた仕切板を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載のタンク装置。
【請求項8】
前記孔の高さは、前記サクションストレーナの下側の位置より低いことを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載のタンク装置。
【請求項9】
前記タンクの側面が前記ストレーナカバーの側面の一部を構成することを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載のタンク装置。
【請求項10】
液体を貯留するタンクの内部に設けられたサクションストレーナであって、
筒状の濾過部と、
前記濾過部に設けられたプレートと、を備え、
前記プレートは、前記濾過部の上端面を覆う板状部と、前記濾過部の側面を囲む筒状の外筒とを有し、
前記外筒は、上端が前記板状部に設けられている
ことを特徴とするサクションストレーナ。
【請求項11】
前記外筒の中心線に沿った方向の長さは、前記濾過部の中心軸に沿った方向の長さより長いことを特徴とする請求項10に記載のサクションストレーナ。
【請求項12】
前記外筒には、前記濾過部と重ならない位置に孔が設けられていることを特徴とする請求項10又は11に記載のサクションストレーナ。
【請求項13】
作動油を貯留するタンクと、
前記タンクの内部に設けられたリターンフィルタと、
請求項10から12のいずれか一項に記載のサクションストレーナと、
を備え、
前記濾過部及び前記外筒は、中心軸が鉛直方向に沿うように設けられており、
前記外筒の下端の高さは前記濾過部の下端の高さより低いことを特徴とするタンク装置。
【請求項14】
前記外筒の下端と前記タンクの底面との間に隙間を有し、当該隙間が前記外筒の内部に前記液体を流入させる流入部であることを特徴とする請求項13に記載のタンク装置。
【請求項15】
前記リターンフィルタと前記サクションストレーナとの間に設けられた仕切板を備えたことを特徴とする請求項13又は14に記載のタンク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレーナカバー、サクションストレーナ及びタンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薄板をプリーツ状に折り曲げて形成された略筒状の濾過部の上端全面を覆う上プレートに空気抜き孔が形成されたサクションストレーナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6830987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、サクションストレーナをタンク内部に設置するときにサクションストレーナの内部にあった空気(イニシャルエア)や、サクションストレーナの内部へ作動油と共に吸い込まれた気泡が大きくなって上プレートの下側に溜まった場合には、この溜まった空気をサクションストレーナ内部からタンクへと空気を放出することができる。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、作動油と共にサクションストレーナに吸い込まれた小さな気泡については、空気抜き孔から排出されずに油圧ポンプに吸引されるおそれがある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、油圧ポンプに気泡が吸引され難いストレーナカバー、サクションストレーナ及びタンク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るストレーナカバーは、例えば、液体を貯留するタンクの内部に、サクションストレーナを囲むように設けられたストレーナカバーであって、前記タンクの底面近傍に、前記液体の流路となる流入部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他態様に係るタンク装置は、例えば、作動油を貯留するタンクと、前記タンクの内部に設けられたサクションストレーナ及びリターンフィルタと、ストレーナカバーと、を備え、前記ストレーナカバーの高さは、前記作動油の油面の高さより高いことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他態様に係るサクションストレーナは、例えば、液体を貯留するタンクの内部に設けられたサクションストレーナであって、筒状の濾過部と、前記濾過部に設けられたプレートと、を備え、前記プレートは、前記濾過部の上端面を覆う板状部と、前記濾過部の側面を囲む筒状の外筒とを有し、前記外筒は、上端が前記板状部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他態様に係るタンク装置は、例えば、作動油を貯留するタンクと、前記タンクの内部に設けられたリターンフィルタと、サクションストレーナと、を備え、前記濾過部及び前記外筒は、中心軸が鉛直方向に沿うように設けられており、前記外筒の下端の高さは前記濾過部の下端の高さより低いことを特徴とする。
【0010】
本発明の上記いずれかの態様では、ストレーナカバーがサクションストレーナを囲む又は外筒が濾過部を囲むため、ストレーナカバー又は外筒が気泡を遮り、油圧ポンプに気泡が吸引され難い。
【0011】
前記ストレーナカバーは筒状であり、前記サクションストレーナの側面全体を囲んでてもよい。また、前記外筒の中心線に沿った方向の長さは、前記濾過部の中心軸に沿った方向の長さより長くてもよい。これにより、ストレーナカバー又は外筒の内部に気泡がより流入し難く、油圧ポンプへの気泡の吸引を効果的に防ぐことができる。
【0012】
前記流入部は、1又は複数の開口を有し、前記開口のうちの少なくとも1つは、複数の微細孔で構成されてもよい。また、前記開口は、前記タンクの底面に隣接する位置に設けられた孔であり、当該孔に網状部材が設けられていていてもよい。これにより、流入部からの気泡の流入を効果的に防ぐことができる。
【0013】
前記ストレーナカバーの内側に設けられたフロートを備え、前記フロートは、前記作動油に浮くように構成されていてもよい。これにより、ストレーナカバーの内部で、油面が泡立つことによる気泡の発生を抑えることができる。
【0014】
前記リターンフィルタと前記ストレーナカバーとの間に設けられた仕切板を備えてもよい。また、前記リターンフィルタと前記サクションストレーナとの間に設けられた仕切板を備えてもよい。これにより、リターンフィルタから流出した作動油が直接ストレーナカバー又は外筒の内部に流入せず、ストレーナ、すなわち油圧ポンプに気泡が吸引され難い。
【0015】
前記孔の高さは、前記サクションストレーナの下側の位置より低くてもよい。これにより、ストレーナカバーの内部に流入した作動油をサクションストレーナが直接吸い込まず、サクションストレーナへの気泡の吸い込みが抑止される。
【0016】
前記タンクの側面が前記ストレーナカバーの側面の一部を構成してもよい。これにより、タンク装置をシンプルな形状とすることができる。
【0017】
前記外筒には、前記濾過部と重ならない位置に孔が設けられていてもよい。これにより、外筒の内部に作動油が流入しやすい。また、孔から流入した作動油(気泡を含む)が直接濾過部に吸い込まれないようにすることができる。
【0018】
前記外筒の下端と前記タンクの底面との間に隙間を有し、当該隙間が前記外筒の内部に前記液体を流入させる流入部であってもよい。これにより、流入部を濾過部の下端より低い位置に配置することができる。したがって、仮に気泡が流入部から外筒の内部に流入したとしても、直接濾過部が気泡を吸い込むことが抑止される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、油圧ポンプに気泡が吸引され難い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ストレーナカバー1及びタンク装置2の概略を示す図であり、ストレーナカバー1及びタンク装置2を正面から見た断面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】ストレーナカバー1及びタンク装置2の概略を示す平面図である。
図4】ストレーナカバー1の概略を示す斜視図である。
図5】ストレーナカバー1の概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図であり、(C)は平面図である。
図6】変形例に係るストレーナカバー1Aの概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
図7】フロート26を有するタンク装置2Aの概略を示す断面図である。
図8】ストレーナカバー1B及びタンク装置2Bの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のB-B断面図であり、(C)は平面図である。
図9】ストレーナカバー1C及びタンク装置2Cの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のC-C断面図であり、(C)は平面図である。
図10】ストレーナカバー1D及びタンク装置2Dの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のD-D断面図であり、(C)は平面図である。
図11】(A)~(D)は変形例に係るストレーナカバー1E~1Hの概略を示す平面図である。
図12】サクションストレーナ20A及びタンク装置2Eの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のE-E断面図であり、(C)は平面図である。
図13】サクションストレーナ20Aの概略を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は正面図であり、(C)は+z方向から見たときの要部透視図である。
図14】変形例に係るサクションストレーナ20Bの概略を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は正面図であり、(C)は+z方向から見たときの要部透視図である。
図15】ストレーナカバー1I及びタンク装置2Fの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のF-F断面図であり、(C)は平面図である。
図16】変形例に係るタンク装置2Gの概略を示す斜視図(要部透視)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の一実施形態であるストレーナカバー1及びタンク装置2の概略を示す図であり、ストレーナカバー1及びタンク装置2を正面から見た断面図である。図2は、図1のA-A断面図である。図3は、ストレーナカバー1及びタンク装置2の概略を示す平面図(鉛直方向上側から見た図)である。ストレーナカバー1は、タンク装置2の内部に設けられている。図1、2では、断面を示すハッチングを一部省略している。
【0022】
以下、鉛直方向をz方向とし、水平方向をx方向及びy方向とする。本実施の形態では、タンク装置2が水平方向に沿った面に載置されているが、タンク装置2は水平方向に対して傾いた面に沿って載置されていてもよい。
【0023】
タンク装置2は、主として、ストレーナカバー1と、タンク10と、サクションストレーナ20と、リターンフィルタ30とを備える。タンク10は、図示しない作業機械(例えば、油圧装置)に設置されるものであり、この油圧装置へ供給する作動油の油圧回路内に設けられ、作動油を貯留する。油圧回路において、作動油は、油圧装置を通ってタンク10へ導入される。タンク10は、内部が空洞となっており、サクションストレーナ20、リターンフィルタ30等が設けられる。
【0024】
タンク10の側面には流入口(図示省略)が設けられている。流入口から流入した作動油は、リターンフィルタ30に導かれる。作動油は、リターンフィルタ30により濾過されて、タンク10内に貯留される。
【0025】
タンク10の上端の開口を覆うように、蓋11が設けられている。蓋11には、リターンフィルタ30のメンテナンス等に利用する開口部11aが形成される。開口部11aには、蓋体12が取り付けられる。蓋体12は蓋11に設けられる。
【0026】
タンク10の下端部近傍(本実施の形態では、タンク10の側面の底面10aに近い位置)には、取付部材13が設けられている。取付部材13の中空部は、タンク10内の作動油を油圧ポンプ(図示省略)へ流出させる流出口13aが形成される。取付部材13には、タンク10の外側から、油圧ポンプの吸い込みポートへ繋がるパイプ(図示省略)が設けられる。
【0027】
また、取付部材13には、タンク10の内側からサクションパイプ14が設けられている。サクションパイプ14の上端(タンク10の内側)には、サクションパイプ14への異物の進入を防ぐためにサクションストレーナ20が設けられる。タンク10内に貯留された作動油は、油圧ポンプ(図示せず)に吸引されて、サクションストレーナ20を介してサクションパイプ14へ流出し、再度油圧装置へ供給される。
【0028】
なお、流出口13aは、タンク10の下端部近傍であれば、図1、2に示す位置に限定されない。例えば、流出口13aをタンク10の底面10aに形成してもよい。
【0029】
タンク10には、仕切板15が設けられている。仕切板15は、リターンフィルタ30とストレーナカバー1との間に設けられており、サクションストレーナ20が設けられる空間と、リターンフィルタ30が設けられる空間とを分割する。なお、仕切板15は必須ではない。
【0030】
サクションストレーナ20は、主として、ストレーナ部21と、ストレーナ部21に接続されるロッド22とを有する。
【0031】
ストレーナ部21は、円筒形状の部材である。ストレーナ部21は、主として、濾過部23と、プレート24、25とを有する。
【0032】
濾過部23は、略全域に孔が形成されたシート状の薄板をプリーツ状に折り曲げて、折り曲げた薄板の両端を連結して円筒形状に丸めることによって形成されている。なお、濾過部は、細線がメッシュ状に編みこまれた目の細かな金属(例えば、ステンレス)製の金網により形成されているが、合成樹脂や紙等を用いた濾紙を用いてもよい。濾過部は作動油を濾過するためのものである。
【0033】
プレート24は、濾過部23の上端面に設けられている。プレート24は、濾過部23の上端面を覆う板状部24cを有し、板状部24cには、ストレーナ部21の内部に溜まった空気をストレーナ部21から排出する空気抜き部24aが設けられている。また、プレート24は、濾過部23の側面を囲む筒状部24bを有する。なお、筒状部24bは、濾過部23の側面のうち、濾過部23の上端面に隣接する領域のみを囲めばよい。
【0034】
プレート25は、濾過部23の下端面を覆う。プレート25には、サクションパイプ14が設けられている。
【0035】
ロッド22は、ストレーナ部21から上方に向かって延びるように配置されており、一端がストレーナ部21に設けられており、他端が蓋11に設けられている。蓋11をタンク10から取り外し、ロッド22の上端部を引っ張ることで、メンテナンス時等にサクションストレーナ20をタンク10から引き出すことができる。
【0036】
ストレーナカバー1は、筒状であり、サクションストレーナ20を囲むように設けられている。また、ストレーナカバー1は、タンク10の底面10aに設けられている。なお、サクションストレーナ20の配置(x方向、y方向、z方向の位置)は任意である。
【0037】
ストレーナカバー1は、タンク10の底面10a近傍に設けられた流入部52を有する。流入部52は、作動油の流路であり、作動油をストレーナカバー1の内部に導く。流入部52は、複数の開口を有する。本実施の形態では、開口は孔52a、52b、52c、52dである。
【0038】
図4は、ストレーナカバー1の概略を示す斜視図である。図5は、ストレーナカバー1の概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図であり、(C)は平面図である。本実施の形態では、ストレーナカバー1は、4つの側面51a、51b、51c、51dを有する。側面51a、51b、51c、51dには、それぞれ、孔52a、52b、52c、52dが形成されている。
【0039】
なお、孔52a、52b、52c、52dの位置及び形状はこれに限られない。また、孔52a、52b、52c、52dは必須ではなく、流入部52は孔52a、52b、52c、52dの少なくとも1つを有していればよい。
【0040】
図1~3の説明に戻る。流入部52、すなわち孔52a、52b、52c、52dの高さは、サクションストレーナ20の下側の位置より低い。また、孔52a、52b、52c、52dは、タンク10の底面10aに接するように設けられている。ただし、孔52a、52b、52c、52dは、底面10aに隣接する位置に設けられていればよく、底面10aから少し(例えば、数mm)離れて流入部52が設けられていてもよい。
【0041】
ストレーナカバー1の高さは、タンク10に貯留される作動油の油面Sの高さより高い。したがって、流入部51以外から作動油がストレーナカバー1の内部に流入しない。また、油面Sが揺れることにより作動油が泡立ったとしても、その気泡がストレーナカバー1の内部に流入しない。
【0042】
仕切板15は、ストレーナカバー1に隣接して設けられている。仕切板15の高さは、ストレーナカバー1の高さより低く、かつ、油面Sの高さより低い。また、仕切板15の高さは、リターンフィルタ30からの作動油の出口である流出部31の高さより高い。仕切板15と底面10aとは当接していてもよいし、仕切板15と底面10aとの間に隙間が形成されていてもよい。
【0043】
次に、このように構成されたストレーナカバー1及びタンク装置2の機能について説明する。
【0044】
タンク装置2に流入した作動油は、リターンフィルタ30で濾過されて、流出部31から流出し、タンク10の内部に貯留される。流出部31から流出する作動油には、気泡が含まれている。仕切板15が設けられているため、作動油は直接ストレーナカバー1に向かって流れず、上向きの流れが形成される。したがって、作動油に含まれている気泡も上向きに流れ、油面Sの近くに溜まる。
【0045】
タンク10に貯蔵された作動油は、油圧ポンプ(図示せず)に吸引されると、流入部52からストレーナカバー1の内部に流入し、サクションストレーナ20で濾過されて、サクションパイプ14から流出する。
【0046】
ストレーナカバー1の高さが油面Sより高いため、油面Sの近くに溜まった気泡はストレーナカバー1の内部に流入しない。また、仕切板15により作動油の流れが遮られるため、直接ストレーナカバー1に向かって流れず、ストレーナカバー1の内部への気泡の流入が防止される。
【0047】
流入部52の高さがサクションストレーナ20の下側の位置より低いため、仮に気泡が流入部52からストレーナカバー1内部に流入したとしても、直接サクションストレーナ20が気泡を吸い込むことが抑止される。
【0048】
また、流入部52の高さがサクションストレーナ20の下側の位置より低いため、ストレーナカバー1の内部で作動油が上向きに流れる。したがって、ストレーナカバー1の内部に作動油と共に気泡が流入したとしても、サクションストレーナ20とストレーナカバー1との間の空間を通って気泡が油面Sへと上昇し、サクションストレーナ20への気泡の吸い込みが抑止される。
【0049】
本実施の形態によれば、サクションストレーナ20の側面全体を囲むようにストレーナカバー1を設けることで、ストレーナカバー1の内部に気泡が流入し難く、それによりサクションストレーナ20を介して油圧ポンプに気泡が吸引され難い。特に、ストレーナカバー1を油面Sより高くすることで、油面S近傍の気泡が流入しなくなるため、油圧ポンプに気泡が吸引されないようにする効果を高めることができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、流入部52が複数の開口を有したが、開口は1つでもよい。例えば、開口は孔52aのみであってもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、流入部52は開口(孔52a、52b、52c、52d)からなるが、流入部の形態はこれに限られない。図6は、変形例に係るストレーナカバー1Aの概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。開口である孔52a、52b、52c、52dのうちの少なくとも1つ、ここでは孔52a、52c、52dに網状部材53が設けられている。網状部材53は、例えば、金網である。孔52a、52c、52dに網状部材53を設けることで、開口が複数の微細孔で構成される。これにより、気泡が網状部材53により遮られ、ストレーナカバー1の内部に気泡が流入することをより効果的に防ぐことができる。
【0052】
なお、図6に示すストレーナカバー1Aでは、流出部31から最も遠い孔52bをサクションパイプ14が貫通するため、孔52bには網状部材53を設けていないが、孔52bに網状部材53を設けてもよい。また、仕切板15に隣接する孔52aは、気泡が流入し難いため、網状部材53を設けなくてもよい。
【0053】
また、ストレーナカバー1Aでは、孔52a、52c、52dに網状部材53を設けることで、複数の微細孔で流入部52Aを構成したが、複数の微細孔で流入部を構成する形態はこれに限られない。例えば、孔52a、52b、52c、52dにパンチングメタル、樹脂製の網等を設けてもよい。パンチングメタルを孔52a、52b、52c、52dに設ける場合には、パンチングメタルの孔径を小さく、例えば1mm以下とすることで、複数の微細孔で流入部を構成することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、サクションストレーナ20を囲むようにストレーナカバー1を設けたが、ストレーナカバー1の内側にフロートを設けてもよい。図7は、フロート26を有するタンク装置2Aの概略を示す断面図である。フロート26は作動油に浮くように構成されているため、ストレーナカバー1の内側でフロート26が油面Sに浮いている。したがって、振動等により油面Sが暴れたとしても、ストレーナカバー1の内側で気泡が生成されることを抑えることができる。なお、図7では、平面視においてストレーナカバー1の形状とフロート26の形状とが略同一であるが、フロートの形状は任意であり、例えば、円板形状でもよいし、矩形形状でもよい。
【0055】
また、平面視におけるストレーナカバー1の形状(長手方向と略直交する方向に沿った面で切断したときの断面形状)は、図示した形態に限られない。例えば、平面視におけるストレーナカバーの形状は、円形状でもよいし、楕円形状でもよいし、矩形形状でもよい。また、ストレーナカバー1の側面にスリット等が形成されていてもよい。この場合も、本発明の筒状に含まれる。
【0056】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態のストレーナカバー1が4つの側面51a、51b、51c、51dにより筒状に構成されていたが、タンクの側面がストレーナカバーの側面の一部を構成してもよい。
【0057】
本発明の第2の実施の形態は、タンクの側面がストレーナカバーの側面の一面を構成する形態である。以下、第2の実施の形態にかかるストレーナカバー1B及びタンク装置2Bについて説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
図8は、第2の実施の形態にかかるストレーナカバー1B及びタンク装置2Bの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のB-B断面図であり、(C)は平面図である。図8では、断面を示すハッチングを省略する。タンク装置2Bは、主として、ストレーナカバー1Bと、タンク10と、サクションストレーナ20と、リターンフィルタ30とを備える。ストレーナカバー1Bは、筒状であり、サクションストレーナ20の側面全体を囲むように設けられている。ストレーナカバー1Bの高さは、タンク10に貯留される作動油の油面Sの高さより高い。
【0059】
ストレーナカバー1Bは、タンク10の底面10a及び正面(-y側)の側面10bに設けられている。ストレーナカバー1Bは、3つの側面51e、51f、51gを有し、3つの側面51e、51f、51gが平面視(+z方向から見たときに)コの字形状に形成されている。側面51e、51fは、側面10bに取り付けられている。側面51e、51f、51g及び側面10bにより、ストレーナカバー1Bが筒状に形成される。
【0060】
側面51e、51f、51gには、それぞれ、孔52e、52f、52gが形成されている。孔52e、52f、52gは、タンク10の底面10aに隣接する位置に設けられている。孔52e、52f、52gは、作動油の流路であり、作動油をストレーナカバー1Bの内部に導く流入部52Bの開口である。孔52e、52f、52gの高さは、サクションストレーナ20の下側の位置より低い。
【0061】
本実施の形態では、ストレーナカバー1Bを設けるため、流出部31からの気泡や油面Sが揺れることにより発生する気泡がストレーナカバー1Bの内部に流入し難く、サクションストレーナ20を介して油圧ポンプに気泡が吸引され難い。
【0062】
また、本実施の形態では、タンク10の側面10bがストレーナカバー1Bの側面の一部を構成するため、ストレーナカバー1B及びタンク装置2Bをシンプルな形状とすることができる。
【0063】
なお、ストレーナカバー1Bはタンク10の1つの側面10bがストレーナカバー1Bの側面の一面を構成したが、タンクの複数の側面がストレーナカバーの側面のうちの複数面を構成してもよい。
【0064】
図9は、変形例にかかるストレーナカバー1C及びタンク装置2Cの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のC-C断面図であり、(C)は平面図である。図9では、断面を示すハッチングを省略する。タンク装置2Cは、主として、ストレーナカバー1Cと、タンク10と、サクションストレーナ20と、リターンフィルタ30とを備える。ストレーナカバー1Cは、筒状であり、サクションストレーナ20を囲むように設けられている。ストレーナカバー1Cの高さは、タンク10に貯留される作動油の油面Sの高さより高い。
【0065】
ストレーナカバー1Cは、タンク10の底面10a及び正面(-y側)の側面10b及び左(-x側)の側面10cに設けられている。ストレーナカバー1Cは、2つの側面51e、51hを有し、2つの側面51e、51hが平面視L字形状に形成されている。側面51e、51hには、流入部の開口となる孔52e、52hが設けられている。側面51eは側面10bに取り付けられており、側面51hは側面10cに取り付けられている。側面51e、51h及び側面10b、10cにより、ストレーナカバー1Cが筒状に形成される。これにより、ストレーナカバー1C及びタンク装置2Cをよりシンプルな形状とすることができる。
【0066】
なお、本実施の形態及び変形例では、流入部が複数の開口を有したが、開口は1つでもよい。例えば、ストレーナカバー1B、1Cの-z側の端面と底面10aとを離し、ストレーナカバー1B、1Cの-z側の端面を流入部52B、52Cの開口としてもよい。この場合、開口としての孔は無くてもよい。
【0067】
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態のストレーナカバー1は4つの側面51a、51b、51c、51dにより筒状に構成されており、サクションストレーナ20の側面全体を囲んだが、ストレーナカバーは筒状でなくてもよい。
【0068】
本発明の第3の実施の形態は、タンクの側面の一部が無い形態である。以下、第3の実施の形態にかかるストレーナカバー1D及びタンク装置2Dについて説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
図10は、第3の実施の形態にかかるストレーナカバー1D及びタンク装置2Dの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のD-D断面図であり、(C)は平面図である。図10では、断面を示すハッチングを省略する。タンク装置2Dは、主として、ストレーナカバー1Dと、タンク10と、サクションストレーナ20と、リターンフィルタ30とを備える。ストレーナカバー1Dは、サクションストレーナ20を囲むように設けられている。ストレーナカバー1Dの高さは、タンク10に貯留される作動油の油面Sの高さより高い。
【0070】
ストレーナカバー1Dは、タンク10の底面10aに設けられている。ストレーナカバー1Dは、3つの側面51g、51i、51jを有し、3つの側面51g、51i、51jが平面視コの字形状に形成されている。
【0071】
本実施の形態によれば、ストレーナカバー1Dがサクションストレーナ20を囲むため、サクションストレーナ20への気泡の流入が防止される。また、ストレーナカバー1Dの開口面(側面51g、51i、51jでない面)がリターンフィルタ30から最も遠い位置に配置されているため、気泡がストレーナカバー1Dの内部に流入し難く、サクションストレーナ20を介して油圧ポンプに気泡が吸引され難い。
【0072】
なお、本実施の形態では、ストレーナカバー1Dが開口となる孔52g、52jを有したが、ストレーナカバー1Dの開口面から作動油が流入可能であるため、開口となる孔は必須ではない。
【0073】
また、本実施の形態では、ストレーナカバー1Dは平面視コの字形状であったが、筒状でないストレーナカバーの形態はこれに限られない。図11(A)~(D)は変形例に係るストレーナカバー1E~1Hの概略を示す平面図である。
【0074】
ストレーナカバー1Eは、側面51g、51h、51j、51k、51lを有する。側面51k、51lは同一平面状に位置し、ストレーナカバー1Eは51k、51lとの間で帯状に切断されている。ストレーナカバー1Fは、側面51g、51j、51h、51mを有する。ストレーナカバー1Fは側面51mと側面51hとの間で帯状に切断されている。ストレーナカバー1Gは、略円筒形状であり、側面51nの一部が帯状に切断されている。
【0075】
ストレーナカバー1Hは、側面51g、51jを有し、2つの側面51g、51jが平面視L字形状に形成されている。側面51jと側面10b(図9参照)との間及び側面51gと側面10c(図9参照)との間に隙間が形成されている。これらの変形例であっても、ストレーナカバー1E~1Hがサクションストレーナ20を囲んで気泡を遮るため、油圧ポンプに気泡が吸引され難い。
【0076】
<第4の実施の形態>
第1の実施の形態は、サクションストレーナ20を囲むように筒状のストレーナカバー1を設けてサクションストレーナ20が気泡を吸い込みにくくしたが、ストレーナが気泡を吸い込みにくくする方法はこれに限られない。
【0077】
本発明の第4の実施の形態は、サクションストレーナが外筒を有する形態である。以下、第4の実施の形態にかかるサクションストレーナ20A及びタンク装置2Eについて説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0078】
図12は、サクションストレーナ20A及びタンク装置2Eの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のE-E断面図であり、(C)は平面図である。図12では、断面を示すハッチングを省略する。タンク装置2Eは、主として、タンク10と、サクションストレーナ20Aと、リターンフィルタ30とを有する。サクションストレーナ20Aは、主として、ストレーナ部21Aと、ストレーナ部21Aに接続されるロッド22とを有する。
【0079】
ストレーナ部21Aは、筒状の部材である。ストレーナ部21は、主として、筒状の濾過部23と、プレート24A、25とを有する。
【0080】
プレート24Aは、濾過部23に設けられており、濾過部23の上端面を覆う板状部24cと、濾過部23の側面を囲む筒状の外筒24dとを有する。外筒24dは筒状であり、上端が板状部24cに設けられている。
【0081】
なお、本実施の形態では、ストレーナ部21A、濾過部23及び外筒24dは円筒形状であるが、円筒形状に限られず、例えば多角筒形状や楕円筒形状であってもよい。また、外筒24dの一部がスリット等により離間している場合も本発明の筒状に含まれる。
【0082】
外筒24dの中心軸axに沿った方向の長さは、濾過部23の中心軸axに沿った方向の長さより長い。タンク10の内部において、濾過部23及び外筒24dは中心軸axが鉛直方向(z方向)に沿うように設けられているため、外筒24dの下端の高さは濾過部23の下端の高さより低く、濾過部23の下端より外筒24dの下端の方が底面10aに近い。
【0083】
図12において、作動油の流れを矢印で示す。外筒24dの下端とタンク10の底面10aとの間に隙間を有し、この隙間が外筒24dの内部に作動油を流入させる流入部である。なお、気泡の流入防止の観点からは、外筒24dの下端が底面10aにできるだけ近いことが望ましい。
【0084】
図13は、サクションストレーナ20Aの概略を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は正面図であり、(C)は+z方向から見たときの要部透視図である。濾過部23の外流面と外筒24dの内周面との間には、作動油が流れる隙間Gが形成されている。濾過部23の外流面と外筒24dの内周面とが当接したり、濾過部23の外流面と外筒24dの内周面との間の距離が小さすぎたりすると、作動油が濾過部23に流入しなくなってしまうため、濾過部23の外流面と外筒24dの内周面との間の距離dを1mm~2mm以上とすることが望ましい。なお、最適な隙間Gの大きさ(距離d)は、油圧ポンプの負圧、濾過部23の大きさ、濾過部23の通過抵抗、油の粘度等により異なる。
【0085】
外筒24dには、サクションパイプ14等の障害物を避ける孔24eが設けられている。孔24eは、外筒24dの下端に沿って形成された切り欠きである。ただし、孔24eは必須ではない。
【0086】
図12の説明に戻る。タンク装置2Eに流入した作動油は、矢印で示すように、リターンフィルタ30で濾過されて、流出部31から流出し、タンク10の内部に貯留される。タンク10に貯蔵された作動油は、油圧ポンプ(図示せず)に吸引されると、流入部52から外筒24dの内部に流入し、サクションストレーナ20Aで濾過されて、サクションパイプ14から流出する。
【0087】
リターンフィルタ30とサクションストレーナ20Aとの間に仕切板15が設けられているため、流出部31から流出する気泡を含む作動油は直接サクションストレーナ20Aに向かって流れず、外筒24dの内部への気泡の流入が防止される。
【0088】
また、仕切板15により、作動油の上向きの流れが形成される。したがって、作動油に含まれている気泡も上向きに流れ、油面Sの近くに溜まる。サクションストレーナ20Aの上端を板状部24cで覆い、かつ、外筒24dの下端と底面10aとの間を流入部とすることで、油面Sの近くに溜まった気泡はサクションストレーナ20Aの内部に流入しない。
【0089】
流入部が濾過部23の下端より低い位置にあるため、仮に気泡が流入部からサクションストレーナ20Aの内部に流入したとしても、直接濾過部23が気泡を吸い込むことが抑止される。
【0090】
本実施の形態によれば、濾過部23の側面全体を囲むように外筒24dを設けることで、外筒24dの内部に気泡が流入し難く、それによりサクションストレーナ20Aを介して油圧ポンプに気泡が吸引され難い。
【0091】
なお、本実施の形態では、流入部(外筒24dの下端)が底面10aに隣接しているが、外筒24dの下端位置はこれに限られない。本実施の形態では、リターンフィルタ30とサクションストレーナ20Aとの間に仕切板15が設けられているため、図13に示す形態より外筒24dが短くてもよく、外筒24dの下端(流入部の高さ)を濾過部23の下端より低くすることで外筒24dの内部に気泡が流入することを防ぐことができる。
【0092】
また、本実施の形態では、板状部24cに空気抜き部24aが設けられているが、空気抜き部24a以外の空気抜き部がプレート24Aに設けられていてもよい。例えば、濾過部23の内部に溜まった空気を排出する空気抜き部24aと、濾過部23と外筒24dの間に溜まった空気を排出する空気抜き部24h(図13の点線参照)とがプレートに設けられていてもよい。これらの空気抜き部24a、24hは、空気圧でフロート等の弁体を押し上げる逆止弁等の様々な形態の弁であってもよいし、単なる孔であってもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、外筒24dの下端とタンク10の底面10aとの間に隙間が外筒24dの内部に作動油を流入させる流入部であったが、流入部の形態はこれに限られない。例えば、外筒が孔を有していてもよい。
【0094】
図14は、変形例に係るサクションストレーナ20Bの概略を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は正面図であり、(C)は+z方向から見たときの要部透視図である。サクションストレーナ20Bは、主として、ストレーナ部21Bと、ストレーナ部21Bに接続されるロッド22とを有する。ストレーナ部21Bは、主として、筒状(ここでは、円筒形状)の濾過部23と、プレート24B、25とを有する。
【0095】
プレート24Bは、濾過部23に設けられており、濾過部23の上端面を覆う板状部24cと、濾過部23の側面を囲む筒状の外筒24gとを有する。外筒24dと外筒24gとの差異は、孔の有無である。
【0096】
外筒24gは、濾過部23と重ならない位置に孔24e、24fが設けられている。外筒24gの下端と底面10a(図13等参照)との間の隙間及び孔24fは、外筒24gの内部に作動油を流入させる流入部である。孔24fを設けることで、外筒24gの内側に作動油が流入しやすくなり、外筒24gの下端と底面10aとの間の隙間を狭くすることができる。また、濾過部23と重ならない位置に孔24e、24fを設けることで、孔24e、24fから流入した作動油及び気泡が直接濾過部23に吸い込まれないようにすることができる。
【0097】
本実施の形態では、孔24e、24fは、外筒24gの下端に沿って形成された切り欠きであるが、孔24e、24fの位置及び形状はこれに限られない。例えば、外筒24gの下端近傍に丸孔、楕円形状の孔や多角形状の孔を設けてもよい。また、外筒24gに設けられる孔の位置は、下端近傍に限られず、濾過部23と重ならない位置であればよい。さらに、外筒24gに設けられる孔の数も図示した形態に限られない。
【0098】
<第5の実施の形態>
第1の実施の形態は、サクションストレーナ20が縦置き(中心軸がz方向に沿っている)であったがサクションストレーナの配置はこれに限られない。
【0099】
本発明の第5の実施の形態は、サクションストレーナを横置きにする形態である。以下、第5の実施の形態にかかるストレーナカバー1I及びタンク装置2Fについて説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0100】
図15は、ストレーナカバー1I及びタンク装置2Fの概略を示す図であり、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は(A)のF-F断面図であり、(C)は平面図である。図15では、断面を示すハッチングを省略する。タンク装置2Fは、主として、ストレーナカバー1Iと、タンク10と、サクションストレーナ20Cと、リターンフィルタ30とを有する。
【0101】
ストレーナカバー1Iは、筒状であり、サクションストレーナ20Cを囲むように設けられている。ストレーナカバー1Iの高さは、タンク10に貯留される作動油の油面Sの高さより高い。
【0102】
ストレーナカバー1Iは、タンク10の底面10a及び側面10b、10cに設けられている。ストレーナカバー1Cは、2つの側面51o、51pを有し、2つの側面51o、51pが平面視L字形状に形成されている。側面51o、51pには、流入部の開口となる孔52o、52pが設けられている。側面51oが側面10bに取り付けられ、側面51pが側面10cに取り付けられることで、側面51o、51p及び側面10b、10cによりストレーナカバー1Iが筒状に形成される。
【0103】
サクションストレーナ20Cは、主として、主として、筒状の濾過部23Aと、プレート24B、25Aとを有する。濾過部23Aは濾過部23と大きさのみ異なる。プレート24Bは、濾過部23A及び側面10cに設けられている。プレート25Aは濾過部23Aの一端を覆う。
【0104】
本実施の形態によれば、ストレーナカバー1Iがサクションストレーナ20Cを囲むため、サクションストレーナ20Cへの気泡の流入が抑止される。
【0105】
なお、図15では、流入部(孔52o、52p)が濾過部23Aの下端より高い位置にあるが、52o、52pを濾過部23Aの下端より低くしてもよい。
【0106】
なお、上記実施の形態では、タンク10が直方体の箱状であったが、タンクの形状は直方体に限られない。また、リターンフィルタの形状もこれに限られない。例えば、図16に示すようなタンク10A、仕切板15A、サクションストレーナ20及びリターンフィルタ30Aを有するタンク装置2Gとしてもよい。また、上記実施の形態では、ストレーナカバー1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hや外筒24d、24gを濾過部23より長く(高く)して濾過部23全体を囲んだが、ストレーナカバーや外筒が濾過部23の一部を囲むようにしても、ストレーナカバー又は外筒が気泡を遮る効果は得られる。ただし、油圧ポンプへの気泡の吸引を防止するためには、ストレーナカバー又は外筒の長さ(高さ)を濾過部の長さ(高さ)より長く(高く)することが望ましい。
【0107】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0108】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略直交」とは、厳密に直交の場合には限られず、例えば数度程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。
【0109】
また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0110】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I:ストレーナカバー
2、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G:タンク装置
10、10A、10B:タンク
10a :底面
10b、10c:側面
11 :蓋
11a :開口部
12 :蓋体
13 :取付部材
13a :流出口
14 :サクションパイプ
15 :仕切板
20、20A、20B、20C:サクションストレーナ
21 :ストレーナ部
21a :プレート
21b :空気抜き部
22 :ロッド
23、23A:濾過部
24、24A、24B:プレート
24a、24h:空気抜き部
24b :筒状部
24c :板状部
24d、24g:外筒
24e、24f:孔
25、25A:プレート
26 :フロート
30 :リターンフィルタ
31 :流出部
51 :流入部
51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、51h、51i、51j、51k、51l:側面
52、52A、52B、52C:流入部
52a、52b、52c、52d、52e、52f、52g:孔
53 :網状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16