(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058196
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】飲料容器ホルダー
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
B65D81/38 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168039
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】恵良 宏
(72)【発明者】
【氏名】加納 博明
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA22
3E067AB26
3E067AC01
3E067BA20A
3E067BB17A
3E067BB30A
3E067BC04A
3E067CA18
3E067EB17
3E067EB20
3E067EB23
3E067EE41
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA11
3E067GD01
3E067GD02
(57)【要約】
【課題】断熱効果が高く、缶などの飲料容器に取り付けるまではかさばらず、飲料容器に取り付ける際は筒状にして嵌め込むだけで簡単に装着でき、かつ、構成が単純でコストも安い飲料容器ホルダーを提供する。
【解決手段】帯状で可撓性を有する断熱性材料からなり、帯の長手方向の長さが飲料容器の外周長より長く、帯の短手方向の幅が飲料容器の高さより短く、長手方向の一端部近傍にスリット11が設けられ、長手方向の他端部に前記スリットに挿入可能な挿入片12を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部を有する飲料容器に装着する飲料容器ホルダーであって、帯状で可撓性を有する断熱性材料からなり、帯の長手方向の長さが飲料容器の筒状部の外周長より長く、帯の短手方向の幅が飲料容器の高さより短く、長手方向の一端部近傍にスリットが設けられ、長手方向の他端部に前記スリットに挿入可能な挿入片を有することを特徴とする飲料容器ホルダー。
【請求項2】
前記挿入片の先端が、筒の外側から内側に入るように挿入されて筒状とされることを特徴とする請求項1に記載の飲料容器ホルダー。
【請求項3】
前記挿入片を前記スリットに挿入して、飲料容器ホルダーを筒状としたときの内径が、飲料容器の筒状部の外径に対して-2mm以上0mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の飲料容器ホルダー。
【請求項4】
前記スリットが、前記断熱性材料の長手方向で位置が異なる複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の飲料容器ホルダー。
【請求項5】
前記可撓性を有する断熱性材料がコルクであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の飲料容器ホルダー。
【請求項6】
前記コルクが、コルク栓をリサイクルしたコルクであることを特徴とする請求項5に記載の飲料容器ホルダー。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の飲料容器ホルダーを筒状にして側面に被せたホルダー付き飲料容器であって、飲料容器ホルダーの前記挿入片の先端が、筒の外側から内側に入るように挿入されていることを特徴とするホルダー付き飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料、ビールなどの飲料容器に巻き付けて使用し、内容液の保冷効果または保温効果を発揮する飲料容器ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
スチール缶またはアルミ缶などの金属製の容器に飲料や液体状の食品などを充填した缶飲料が広く流通している。これらの缶に充填される飲料は、冷却した状態で喫される清涼飲料水やビール、また加温された状態で喫されるコーヒーやスープなどであって、広く利用されている。しかし、このような用途に使用される金属製の缶は、断熱性に乏しいため、缶を携行しているうちに外気や体温により冷たい内容物が温まりやすく、また温かい内容物は冷めてしまいやすいという問題点があった。
【0003】
この問題を解決するため、製造時に断熱材を捲きつけた態様とした金属缶などもあるが、そのような缶は製造の工程が複雑になりコスト高になりやすく、一方で金属缶の特徴である製造時や保管時の冷やしやすさ、温めやすさが失われてしまうという問題があった。そのため、消費者が携行する時に着脱可能とした、保温のための断熱性のホルダーが提案されている。
【0004】
例えば引用文献1には、発泡性樹脂による弾性断熱材料で構成され、缶飲料を載置する底壁の外周に立ち上がった側壁に割溝が設けられ、底壁の直径は缶の直径よりも大きく、側壁上端の直径は缶飲料の直径よりも小さくした保持具が開示され、割溝で側壁が外側に弾性的に変異することで、直径が異なる缶飲料でも収容可能としている。
【0005】
しかし引用文献1の保持具は、例えばその直径が缶飲料よりも大きくかさばるもので、携帯に不便であり、また形状も複雑で製造の手間もコストも大きくなりやすいという問題があった。
【0006】
また、引用文献2には、紙筒の内面にコルクシートが巻装された断熱ホルダーが開示され、高い断熱効果が得られるとしている。しかし、引用文献2に開示されている断熱性のホルダーは、筒状であり形状がかさばるものであることは同様で携帯に不便であり、また紙筒は耐水性が乏しいうえ、バッグなどに入れておくと潰れやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-71750号公報
【特許文献2】特開平11-267043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、断熱効果が高く、消費者が缶などの飲料容器に取り付けるまではかさばらず、飲料容器に取り付ける際は筒状にして嵌め込むだけで簡単に装着でき、かつ、構成が単純でコストも安い飲料容器ホルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、
筒状部を有する飲料容器に装着する飲料容器ホルダーであって、帯状で可撓性を有する断
熱性材料からなり、帯の長手方向の長さが飲料容器の筒状部の外周長より長く、帯の短手方向の幅が飲料容器の高さより短く、長手方向の一端部近傍にスリットが設けられ、長手方向の他端部に前記スリットに挿入可能な挿入片を有することを特徴とする飲料容器ホルダーである。
【0010】
上記飲料容器ホルダーにおいて、
前記挿入片の先端が、筒の外側から内側に入るように挿入されて筒状とされるものであって良い。
【0011】
上記飲料容器ホルダーにおいて、
前記挿入片を前記スリットに挿入して、飲料容器ホルダーを筒状としたときの内径が、飲料容器の筒状部の外径に対して-2mm以上0mm以下の範囲であって良い。
【0012】
上記飲料容器ホルダーにおいて、
前記スリットが、前記断熱性材料の長手方向で位置が異なる複数箇所に設けられていて良い。
【0013】
上記飲料容器ホルダーにおいて、
前記可撓性を有する断熱性材料がコルクであって良い。
【0014】
上記飲料容器ホルダーにおいて、
前記コルクが、コルク栓をリサイクルしたコルクであって良い。
【0015】
また本発明の別側面は、
上記のいずれか一つの飲料容器ホルダーを筒状にして側面に被せたホルダー付き飲料容器であって、飲料容器ホルダーの前記挿入片の先端が、筒の外側から内側に入るように挿入されていることを特徴とするホルダー付き飲料容器である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の飲料容器ホルダーによれば、帯状で単純な形状であるため製造が容易で低コストであり、飲料容器に取り付けない状態では簡単に折りたためて軽く、かさばらないため携行が容易であり、飲料容器に取り付ける際には側面に被せるだけで容易に装着でき、挿入片をスリットから挿入することで飲料容器側面に容易に固定できる飲料容器ホルダーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の飲料容器ホルダーの一形態の概略平面図である。
【
図2】本発明の飲料容器ホルダーを飲料容器に装着する様子を説明する概要図である。
【
図3】本発明の飲料容器ホルダーの挿入片をスリット(切れ目)に挿入する様子の説明図である。
【
図4】本発明の飲料容器ホルダーの挿入片をスリット(貫通孔)に挿入する様子の説明図である。
【
図5】本発明の飲料容器ホルダーの別形態の例の概略平面図である。
【
図6】本発明の飲料容器ホルダーのスリットの別形態の例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
【0019】
図1は、本発明の飲料容器ホルダーの一形態の概略平面図である。本実施形態の飲料容器ホルダー(以下、単に「ホルダー」とも称する)10は、可燒性を有する断熱性材料である薄いコルク製の帯状のシートであって、概略の形状としては細長い矩形状である。飲料容器ホルダー10の長手方向の辺(長辺とも称する)の長さは、装着する飲料容器である飲料缶の筒状部となっている側面の外周長よりも長くなっている。また短手方向の長さ(幅とも称する)は、装着する飲料缶の高さよりも短くなっているため、飲料缶の上下にはみ出さない様になっている。
【0020】
具体的には、例えば一般的な缶ビールの缶であれば、高さが約122mm、外径約66mm、容量350mlであるので、ホルダー10の長辺の長さは、缶の周長約207mmよりも長く、例えば220mmであるが、これに限定されない。また幅は、缶の高さよりも小さく、上下端の直径を絞った部分を除いた部分の高さに合わせて90mmであるが、これに限定されない。缶のサイズとしては、これ以外にも例えば外径53mmのものなど複数種類のものが用いられており、ホルダー10のサイズは適用する缶のサイズに合わせ適宜設定できる。
【0021】
ホルダー10の厚みは、シート状としたときに十分な断熱性と可撓性と強度を有する厚みとすればよく、特に限定するものではないが、コルクを材料とする場合、例えば1mm~4mm程度であり、典型的には2mmである。コルクは断熱性が高く、飲料缶が冷たい場合や、逆に熱い場合であっても消費者が持ったときに支障が生じない。さらにコルクは吸水性があるので、結露などによって缶の表面に水滴が生じても、これを効果的に吸収することができる。
【0022】
長手方向の端部の辺(短辺とも称する)のうち一端部の短辺の近傍に、ホルダー10を貫通するスリット11が設けられている。また、長手方向の他端部の短辺には、スリット11に挿入される挿入片12が突出する様に設けられている。スリットおよび挿入片の個数は、特に制限はなく、
図1の様に2個でも良く、また1個でも、3個以上でも良い。
【0023】
飲料缶の側面に被せる際は、
図2に示す様に、ホルダー10を筒状に丸めて挿入片12をスリット11に挿入して全体を筒の形状とし、飲料缶20に嵌め込み、側面に被せる様に装着する。その際に、挿入片は筒状となったホルダーの外側から内側に入り込む様にスリットに挿入される。この様な方向に挿入することで、挿入片12が飲料容器20の側面とホルダー10に挟み込まれ、ずれたり緩んだりし難くなり、安定して装着することが可能になる。
【0024】
挿入片12の短辺からの突出長は5mm以上20mm以下が好ましいが、これに限定されない。また挿入片12が設けられている短辺とスリット11の間隔は、飲料缶20の側面の周長と同等であって良いが、筒状とされて飲料缶20に装着されたときに、ホルダー10と飲料缶20の側面の間に隙間が生ぜずに密着して断熱効果が高くなる様に、飲料缶20の側面の周長と同等か、それよりも若干短く、具体的には最大で2mm短く設定するとより好ましい。飲料缶20の側面の周長よりも短くしても、ホルダー10が可撓性を有し、またスリット11への挿入片12の挿入のマージンがあるため、装着に支障は生じない。逆に周長よりも長くなってしまうと、ホルダー10の飲料缶20への密着が緩くなってしまう恐れがあり、飲料缶20が抜け落ちやすくなったり、断熱性が弱くなったりする恐れがある。
【0025】
スリットの形状は、
図3に示すスリット111の様に単なる切れ目でも良く、または
図4に示すスリット112の様に細長い貫通孔の形状であっても良い。スリット111の様に切れ目の形状の場合、その幅L1は挿入片12の幅よりも若干広く、少なくともホルダ
ーの厚み分、両側に広くなっていると、挿入片12を挿入しやすく、また切れ目がさらに広がってしまうことがなく好ましい。またその両端に割れ止めの小孔を設けても良い。一方、スリット112の様に細長い貫通孔の形状である場合、その幅L2は挿入片12が挿入できるだけの幅であれば良く、すなわち挿入片12の幅とほぼ同等でよい。
【0026】
図5は本発明の飲料容器ホルダーの別形態の例の概略平面図である。
図5(a)に示す例では、ホルダー10aの長辺に対して短辺が斜めに形成されており、全体が平行四辺形状となっている。スリット11aも短辺に平行に斜めに設けられ、挿入片12aも平行四辺形状に突出している。また
図5(b)に示す例では、ホルダー10bの他端部は全体が矢印状に突出して挿入片12bとなっており、スリット11bに挿入されるようになっている。
図5の例はいずれも挿入片、スリットが1個ずつであるが、複数個ずつ設けられても良いこと言うまでもない。
【0027】
図6は本発明の飲料容器ホルダーのスリットの別形態の例を示す概略平面図である。
図6のホルダー10cでは、スリット11c、11dがホルダー10cの長手方向の異なる2カ所に設けられている。前述の様に、飲料缶のサイズには種々のものがあるが、直径が66mmのものと53mmのものが代表的なものとして多く使用されている。これらの缶の側面の周長の差は約38mmであるため、上記の2カ所のスリットの間隔L3を38mmとして設ければ、どちらの缶に対しても、特に缶の高さが同等であれば支障なく適用できる。スリットの間隔は上記の値以外にも適宜設定し得る。また、スリットを長手方向の異なる3カ所以上に設けても良い。
【0028】
ホルダーに使用する可撓性を有する断熱性材料としては、コルクに限定されず、発泡樹脂シート、発泡ゴムシート、発泡パルプシートなども適用できるが、近年の環境保全や資源保護に対する意識や要求の高まりに鑑み、できるだけ自然由来の材料であると好ましく、特に再生材料を使用すると好ましい。この様な可燒性を有する断熱性材料として、料飲店などから回収したコルク栓を洗浄後、粉砕し、接着剤と混錬したものをローラーで圧延した再生コルク材料が挙げられる。
【0029】
シート状に圧延した再生コルクを、適用する缶のサイズに合わせて抜型で打ち抜いて本発明のホルダーとすることができる。抜型は、長辺の一端部近傍に短辺と平行なスリットを設けられるようにし、長辺の他端部にスリットに挿入可能な凸状の挿入片が設けられるように構成する。なお本発明のホルダーに使用したコルクもまた、再生利用可能であることは言うまでもない。
【実施例0030】
(ホルダーの作成)
・料飲店から回収したコルク栓を洗浄後、粉砕し、接着剤と混錬したものをローラーで厚さ2mmに圧延した。
・圧延したコルクのシートを、外径が66mmの缶ビールの缶に装着できるように、長辺220mm、短辺90mmとして、
図1と同様の形状の抜型で打ち抜いた。抜型には長辺の一端部から13mmの部位にスリットとして短辺と平行な切れ目(幅29mm)を二カ所設けた。また長辺の他端部に該スリットに挿入可能な位置に凸状の挿入片(幅25mm、突出長10mm)を二カ所設けた。
【0031】
(試験方法)
2本のアルミ缶入りビール(内容量350ml)を試料として冷蔵庫で24時間以上冷蔵した。試料のうち1本を、上記のホルダーに入れ、他の1本は、ホルダーに入れず、共に開封して温度センサ(シース熱電対:JIS C 1605-1995、CLASS2準拠)を缶の中央付近に来るようにセットし、共に室温(25℃)の環境に30分間放置し
た。
【0032】
(評価)
試験開始時と30分経過後に、それぞれの温度センサの値を記録した。結果を表1に示す。表1から判るように、本発明に係るホルダーを装着したアルミ缶入りビールは温度上昇が小さく、本発明に係るホルダーには保冷効果があることが確認できた。
【0033】