(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058243
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】動画配信システム、サーバ装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/238 20110101AFI20230418BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230418BHJP
【FI】
H04N21/238
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168138
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】520168055
【氏名又は名称】avatarin株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】深堀 昂
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 ケビン
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド チャリス ラサンサ
(72)【発明者】
【氏名】苅田 龍太朗
(72)【発明者】
【氏名】筒 雅博
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 覚
【テーマコード(参考)】
5C164
5L049
【Fターム(参考)】
5C164SA21S
5C164SB01S
5C164SB21P
5C164SB41S
5C164YA11
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】ロボットを活用したリアルタイムな動画配信技術を提供する。
【解決手段】操作者は、操作者端末20aを利用してロボット30をリモート操作する。管理サーバ10は、操作者端末20aからリモート操作に応じた操作情報を受信すると、これをロボット30に送信する。ロボット30及び操作者端末20aは、操作者の操作に従って対象物を撮像して動画(音声を含む)を生成し、管理サーバ10に送信する。管理サーバ10は、ロボット30及び操作者端末20aから各動画を受信すると、これらを視聴者端末20bにライブ配信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットによって取得される第1動画を受信する第1受信部と、
操作者の端末から前記ロボットの操作情報を受信する第2受信部と、
前記操作者の端末によって取得される第2動画を受信する第3受信部と、
前記ロボットの操作情報を前記ロボットに送信する送信部と、
視聴者の端末に前記第1動画及び第2動画を配信する配信部と、
を具備する動画配信システム。
【請求項2】
前記ロボットに対する操作権限を規定した操作権限情報に基づき、前記ロボットの操作情報の受け付けを制御する制御部をさらに具備する、請求項1に記載の動画配信システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作者による前記操作権限情報の設定操作を受け付けた場合に、前記設定操作に従って新たな操作権限情報を設定し、設定した新たな操作権限情報に基づき、前記ロボットの操作情報の受け付けを許可するか否かを判断する、請求項2に記載の動画配信システム。
【請求項4】
前記配信部は、前記操作者によるポインタの表示操作を受け付けた場合に、前記表示操作に従って前記第1動画に前記ポインタが重畳された重畳動画を生成し、前記視聴者の端末に配信する、請求項1から3のいずれか一項に記載の動画配信システム。
【請求項5】
前記配信部は、前記視聴者から配信対象動画のリクエストを受け付けた場合に、前記リクエストに基づき、前記第1動画及び前記第2動画を加工し、加工後の動画を前記視聴者の端末に配信する、請求項1から3のいずれか一項に記載の動画配信システム。
【請求項6】
前記視聴者の端末は、触覚フィードバック機能を備え、
前記配信部は、前記ロボットによって取得される触覚データを、前記視聴者の端末に伝送する、請求項1から5のいずれか一項に記載の動画配信システム。
【請求項7】
ロボットによって取得される第1動画を受信する第1受信部と、
操作者の端末から前記ロボットの操作情報を受信する第2受信部と、
前記操作者の端末によって取得される第2動画を受信する第3受信部と、
前記ロボットの操作情報を前記ロボットに送信する送信部と、
視聴者の端末に前記第1動画及び第2動画を配信する配信部と、
を具備するサーバ装置。
【請求項8】
コンピュータを、
ロボットによって取得される第1動画を受信する第1受信部と、
操作者の端末から前記ロボットの操作情報を受信する第2受信部と、
前記操作者の端末によって取得される第2動画を受信する第3受信部と、
前記ロボットの操作情報を前記ロボットに送信する送信部と、
視聴者の端末に前記第1動画及び第2動画を配信する配信部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画配信システム、サーバ装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを用いたテレビ会議システムが普及し、顔を見ながら話すだけでなく、遠隔地にいるユーザがカメラの向きや位置を操作することができるロボット(例えば、テレプレゼンスロボット)が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ロボットは、様々な分野での活用が期待されている。例えば、美術館や博物館、水族館などの施設にロボットを設置し、遠隔地に住むユーザがロボットを遠隔操作して分身として使うことで、あたかも施設内にいるような感覚で様々な展示品などを鑑賞することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の電子デバイスの高機能化に伴い、スマートフォンなどを使ってテレビの生中継のような動画データをリアルタイムに配信すること(いわゆるライブ配信)が注目されている。
【0006】
このようなライブ配信をロボットに適用することで、例えば施設内のロボットを操作する操作者が、ロボットに搭載されたカメラを利用して施設内の動画データを取得し、これを視聴者に向けてライブ配信することが考えられるが、このような考えに応える技術は未だ提案されていない。
【0007】
本発明は以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、ロボットを活用したリアルタイムな動画配信技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る動画配信システムは、ロボットによって取得される第1動画を受信する第1受信部と、操作者の端末からロボットの操作情報を受信する第2受信部と、操作者の端末によって取得される第2動画を受信する第3受信部と、ロボットの操作情報をロボットに送信する送信部と、視聴者の端末に第1動画及び第2動画を配信する配信部と、を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロボットを活用したリアルタイムな動画配信技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る動画配信システムのネットワーク構成を示す図である。
【
図2】動画配信システムの概要を説明するためのイメージ図である。
【
図3】広告サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【
図6】管理サーバ、操作者端末及び視聴者端末に実装されているコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【
図7】ロボットに実装されているコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【
図8】管理サーバによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】変形例に係るポインタが重畳された重畳動画の画面を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。また、以下においては、理解を容易にするために、情報処理装置(又はコンピュータ)を利用して本発明が実現される実施の形態を例にとって説明するが、本発明はそれに限定されない。
【0012】
A.本実施形態
図1は、本実施形態に係る動画配信システム1のネットワーク構成を示す図である。動画配信システム1は、固定されていない複数のロボット30と、各ロボット30を操作可能な操作者端末20aと、ロボット30や操作者端末20aが取得した動画データ(以下、動画と略称する。)をライブ配信する管理サーバ10と、ライブ配信される動画を受信・視聴が可能な視聴者端末20bとを備えている。各ロボット30と、操作者端末20aと、視聴者端末20bと、管理サーバ10とは、通信ネットワークNを介して相互通信可能となっている。なお、
図1では1台のロボット30と、1台の操作者端末20aと、2台の視聴者端末20bと、1台の管理サーバ10を例示しているが、ロボット30、操作者端末20a、視聴者端末20b及び管理サーバ10の台数はそれぞれ任意である。
【0013】
通信ネットワークNのうちの1つまたは複数の部分は、有線ネットワークや無線ネットワークであってもよい。通信ネットワークNは、限定でなく例として、アドホック・ネットワーク(Ad Hoc Network)、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、大都市圏ネットワーク(Metropolitan Area Network:MAN)、インターネットの一部、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、無線LANs、LTE(Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの近距離無線通信、衛星通信など、または、これらの2つ以上の組合せを含むことができる。
【0014】
<動画配信システム1の概要>
図2は、動画配信システム1の概要を説明するためのイメージ図である。
ロボット30は、例えば水族館などの施設に設置されている。操作者は、操作者端末20aを利用してロボット30をリモート操作する。管理サーバ10は、操作者端末20aからリモート操作に応じた操作情報を受信すると(S1)、これをロボット30に送信する(S2)。
【0015】
ロボット30及び操作者端末20aには、カメラやマイクが搭載されている。ロボット30及び操作者端末20aは、操作者の操作に従って対象物(例えば、水槽内を回遊する魚など)を撮像して動画(音声を含む)を生成し、管理サーバ10に送信する。
【0016】
一例を挙げて説明すると、ロボット30であれば、水槽内を回遊する魚をあらわす動画(第1動画)などを生成する一方、操作者端末20aであれば、操作者の顔をあらわす動画(第2動画)などを生成する。なお、以下では、動画に音声を含む場合を想定するが、音声を含まない構成でもよい。管理サーバ10は、ロボット30及び操作者端末20aから各動画を受信すると(S3、S4)、これらを視聴者端末20bにライブ配信する(S5)。
【0017】
かかる動画配信システム1によれば、施設内のロボットを操作する操作者が、ロボット30や操作者端末20aに搭載されたカメラなどを利用して様々な角度から見た対象物の動画を取得し、これを視聴者に向けてライブ配信することが可能となる。以下、管理サーバ10、操作者端末20a、視聴者端末20b、ロボット30の構成について説明する。
【0018】
<構成>
管理サーバ10は、サーバコンピュータなどの情報処理装置により構成され、ロボット30の操作を制御する機能や、ロボット30や操作者端末20aによって取得される動画を視聴者端末20bにライブ配信する機能などを備える。管理サーバ10は、1つの情報処理装置により構成されてもよいし、例えばクラウドコンピューティングやエッジコンピューティングなど、複数の情報処理装置により構成されてもよい。なお、管理サーバ10の詳細な機能については後述する。
【0019】
操作者端末20aは、ロボット30の操作などのために、操作者が使用する情報処理装置である。操作者端末20aは、操作者による操作情報の入力を受け付ける入力部と、ロボット30などによって取得された動画などを表示する表示部と、通信ネットワークNを介して管理サーバ10やロボット30との間で種々のデータを送受信する通信部と、を有する。
【0020】
操作者端末20aは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistants)、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、特定用途の操作系などの汎用または専用の情報処理装置である。操作者端末20aは、ロボット30の操作のための専用の情報処理装置により構成されてもよい。なお、ロボット30を遠隔操作するために、操作者端末20aとしてVRデバイスや触覚グローブなどを利用してもよい。
【0021】
視聴者端末20bは、管理サーバ10によってライブ配信される動画を視聴する視聴者が使用する情報処理装置であり、管理サーバ10によってライブ配信される動画などの視聴が可能となっている。視聴者端末20bは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistants)、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、特定用途の操作系などの汎用または専用の情報処理装置である。
【0022】
ロボット30は、例えばテレプレゼンスロボット又はアバターロボットで構成され、車輪等の移動部を有していてもよい。ロボット30は、カメラやマイクなどを含む画像・音声入力部と、操作者端末20aによる遠隔操作が可能な駆動部と、通信ネットワークNを介して管理サーバ10や操作者端末20aとの間で種々のデータを送受信する通信部と、を有する。ロボット30は、様々な場所に配置され、例えば水族館などの施設内に1台または複数台設置される。これらロボット30は、固定されていないロボットであり、固定されていないとは、ロボット30が車輪等の移動のための駆動部を有する移動型である場合と、人が装着でき、マニピュレータ等の動作のための駆動部を有する装着型である場合とを含む。
【0023】
移動型のロボットは、例えば特許文献1に示されている。移動型ロボットの移動部は、一輪、二輪又は多輪により走行するもの、キャタピラにより走行するもの、レールの上を走行するもの、飛び跳ねて移動するもの、二足歩行、四足歩行又は多足歩行するもの、スクリューにより水上又は水中を航行するもの及びプロペラ等により飛行するものを含む。装着型のロボットは、例えばMHD Yamen Saraiji, Tomoya Sasaki, Reo Matsumura, Kouta Minamizawa and Masahiko Inami, "Fusion: full body surrogacy for collaborative communication," Proceeding SIGGRAPH '18 ACM SIGGRAPH 2018 Emerging Technologies Article No. 7.にて公開されている。さらに、ロボット30は、自動走行又は半自動走行可能な車両や重機であったり、ドローンや飛行機であったりを含む。また、ロボット30は、スポーツスタジアム等に設置され、レールの上を移動可能なカメラを備えたロボットを含む。また、ロボット30は、宇宙空間に打ち上げられる衛星型ロボットであって、姿勢制御やカメラの撮影方向の制御が可能なロボットを含む。なお、これらロボット30は、対象物を把持したり吸着したりすることができるロボットハンドやロボットアームを備えるものであってもよい。
【0024】
ロボット30は、ユーザ認証に成功した操作者端末20aからの指令に基づいて動作する。ここで、ユーザ認証は、公知の手法で行われてよく、ユーザ認証のための情報は、事前に登録されていてよい。
【0025】
(管理サーバ10の機能的構成)
図3は、管理サーバ(サーバ装置)10の機能的構成を示すブロック図である。
管理サーバ10は、主な機能の構成として、記憶部11、制御部12、受信部13、送信部14、配信部15を有する。管理サーバ10が有する機能は、管理サーバ10のプロセッサが、記憶部11に記憶されたプログラムなどを実行することよって実現れる。
【0026】
記憶部11には、ユーザ情報IF1や、操作権限情報IF2などが記憶されている。
ユーザ情報IF1は、ユーザID、ユーザ属性などを含む。ユーザIDは、各ユーザ(操作者や視聴者など)を識別するための情報である。ユーザ属性は、ユーザ名や性別、年齢や家族構成、住所、連絡先、勤務先、年収、趣味、嗜好など、ユーザの属性に関わる情報を含む。
【0027】
操作権限情報IF2は、ロボット30の操作権限に関する情報である。
具体的には、操作権限情報IF2には、操作対象となるロボット30を識別するためのロボットIDや、ロボット30の操作権限を有するユーザ(すなわち、操作者)を識別するための操作者ID、操作者が操作可能な範囲(例えば、操作時間、操作内容など;以下、操作可能範囲)を規定した情報などが対応づけて登録されている。
なお、操作権限情報IF2は、予め設定された固定的なものでもよいが、操作者等が任意に設定・変更可能な構成としてもよい。
【0028】
図4Aは、操作者端末20aに表示される操作権限設定画面P1を例示した図である。
操作者は、操作権限設定画面P1の表示に従って適宜操作することで、新たな操作権限情報IF2を設定する。
【0029】
例えば、操作者は、特定の視聴者(例えば、所定量以上の投げ銭をした視聴者など)に3分間のロボット操作を許可する操作権限を付与することができる。もちろん、これに限る趣旨ではなく、例えば数名の視聴者に操作権限を付与する場合には、数分間隔で操作権限を移行させ、各視聴者にロボット操作を体験させることも可能である。
【0030】
図4Bは、操作権限を付与する場合の説明図である。
図4Bは、最初に操作権限を有するユーザ(以下、ホスト操作者)Hoと、操作権限を付与(委譲)してもらうことが可能な6人のユーザ(以下、参加者)Paと、ライブ配信される動画の視聴のみが可能なユーザ(すなわち、視聴者)Viがいる場合を想定している。参加者Paは、例えばロボット30を利用したオンライン体験(水族館のオンラインツアーなど)を企画する企画者が決定してもよい。企画者は、オンライン体験を企画し、参加枠を販売する。ユーザは、参加枠を購入することで、一視聴者としてではなく、参加者としてオンライン体験に参加することが可能となる。ホスト操作者Hoは、オンライン体験中に各参加者Paと音声通話(
図4Bに示すA、F参照)をしたり、各参加者Paに操作権限を付与したりすることが可能となっている。操作者Hoは、例えば
図4Aに示すような操作画面P1を利用することで、操作権限を各参加者Paに設定したり、管理したりすることができる。
【0031】
なお、参加者Paを決定する方法は、上記例に限られず、例えばホスト操作者Hoが自ら決定してもよい。また、視聴者Viが所定条件を満たした場合に、参加者Paとしてオンライン体験に参加できるようにしてもよい。例えば、ランダム抽選に当選した視聴者Viや、特定のポイントが所定以上溜まった視聴者Viなどが、参加者Paとしてオンライン体験に参加できるようにしてもよい。
【0032】
制御部12は、上記のように設定されたロボット30の操作権限情報に従い、ロボットの操作情報の受け付けを制御する。具体的には、制御部12は、操作者端末20a等からロボット30の操作情報を受信すると、操作権限情報IF2を参照することで、当該操作情報の受け付けを許可するか否かを判断する。例えば、制御部12は、操作情報と操作権限情報IF2との比較結果に基づき、当該操作者が正当な操作権限を有していないと判断した場合には、操作情報の受け付けを拒否する。一方、制御部12は、操作情報と操作権限情報との比較結果に基づき、当該操作者が正当な操作権限を有していると判断した場合には、操作情報の受け付けを許可する。
【0033】
受信部(第1~第3受信部)13は、ロボット30、操作者端末20a、視聴者端末20bから送信される各種データなどを受信する。
例えば、受信部13は、ロボット30によって取得される動画(第1動画)や、操作者端末20aによって取得される動画(第2動画)、操作者端末20aから送信されるロボット30の操作情報などを受信する。
【0034】
送信部14は、操作者端末20aから受信したロボット30の操作情報を、該当するロボット30に送信する。
【0035】
配信部15は、各視聴者端末20bに、ロボット30及び操作者端末20aから受信する動画をライブ配信する。視聴者端末20bは、ライブ配信される動画(ライブ動画)を表示装置に表示する。
【0036】
図5は、視聴者端末20bに表示されるライブ動画の画面P2を例示した図である。
図5に示すように、ライブ動画の画面P2には、操作者の顔動画P21が表示されるとともに、ロボット30の第1カメラによって取得される施設内を映し出す施設動画P22や、ロボット30の第2カメラによって取得されるロボット30の足元を映し出す足元動画P23、所定量以上の投げ銭をした視聴者(または、
図4Bに示す参加者など)の顔画像P24などが表示される。
【0037】
なお、ライブ動画の画面P2には、例えば視聴者数やライブ配信に対する各視聴者等のコメント、リアクション(「いいね」や「拍手」など)、質問、さらには視聴者向けクイズに対する投票(四択など)の受け付けや、投票結果などを表示してもよい。
【0038】
このような動画が視聴者端末20bにリアルタイムに配信されることで、各視聴者は、あたかも施設内にいるかのような臨場感溢れる雰囲気でライブ動画を楽しむことができる。
【0039】
(管理サーバ10、操作者端末20a及び視聴者端末20bの物理的構成)
図6は、管理サーバ10、操作者端末20a及び視聴者端末20bに実装されているコンピュータ(情報処理装置)200のハードウェア構成を示す図である。
【0040】
コンピュータ200は、演算部に相当するCPU(Central Processing Unit)210aと、記憶部に相当するRAM(Random Access Memory)210bと、記憶部に相当するROM(Read only Memory)210cと、通信装置210dと、入力装置210eと、表示装置210fと、音響装置210gと、カメラ210hと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例ではコンピュータ200が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、コンピュータ200は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、
図6で示す構成は一例であり、コンピュータ200はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
【0041】
CPU210aは、RAM210b又はROM210cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU210aは、ロボット30を利用して動画をライブ配信したり、ライブ配信される動画を表示したりするためのプログラムを実行する演算部である。CPU210aは、入力装置0eや通信装置210dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示装置210fに表示したり、音響装置210gから音声出力したり、RAM210bに格納したりする。
【0042】
RAM210bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM210bは、CPU210aが実行する各種のプログラムといったデータを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM210bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
【0043】
ROM210cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM210cは、例えば書き換えが行われないプログラムやデータを記憶してよい。
【0044】
通信装置210dは、通信ネットワークNを介してコンピュータ200を他の機器に接続するインターフェースである。
【0045】
入力装置210eは、データの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びタッチパネルを含んでよい。また、入力装置210eは、音声入力のためのマイクを含んでよい。
【0046】
表示装置210fは、CPU210aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。表示装置210fは、ロボット30のカメラで撮影された動画や、コンピュータ200に搭載されたカメラで撮影された動画などを表示してよい。
【0047】
音響装置210gは、音声を出力するためのものであり、例えば音声デコーダやスピーカを含んでよい。
【0048】
カメラ210hは、静止画又は動画を撮像する撮像素子を含み、撮像した動画を表示装置210fやロボット30に送信する。なお、動画は、静止画や音声などが含まれていてもよい。
【0049】
(ロボット30の物理的構成)
図7は、ロボット30に実装されているコンピュータ(情報処理装置)300のハードウェア構成を示す図である。
【0050】
コンピュータ300は、演算部に相当するCPU310aと、記憶部に相当するRAM310bと、記憶部に相当するROM310cと、通信装置310dと、入力装置310eと、表示装置310fと、駆動装置310gと、カメラ310hと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、
図7で示す構成は一例であり、コンピュータ300はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
【0051】
CPU310aは、RAM310b又はROM310cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU310aは、ロボット30を利用して動画を取得したりするためのプログラムを実行する演算部である。CPU310aは、入力装置310eや通信装置310dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示装置310fに表示したり、RAM310bに格納したりする。また、CPU310aは、駆動装置310gを制御し、ロボット30の動作を制御する。
【0052】
RAM310bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM310bは、CPU310aが実行する各種のプログラムを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM310bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
【0053】
ROM310cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM310cは、例えば書き換えが行われないプログラムやデータを記憶してよい。
【0054】
通信装置310dは、通信ネットワークNを介してロボット30を他の機器に接続するインターフェースである。
【0055】
入力装置310eは、データの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びタッチパネルを含んでよい。また、入力装置310eは、音声入力のためのマイクを含んでよい。
【0056】
表示装置310fは、CPU310aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCDにより構成されてよい。表示装置310fは、ロボット30のカメラで撮影された動画などを表示してもよい。
【0057】
駆動装置310gは、遠隔操作可能なアクチュエータを含み、車輪等の移動部やマニピュレータ等を含む。ロボット30が移動型のロボットである場合、駆動装置310gは、少なくとも車輪等の移動部を含むが、マニピュレータを含んでもよい。ロボット30が装着型である場合、駆動装置310gは、少なくともマニピュレータを含む。
【0058】
カメラ310hは、ロボット30の前方(すなわち、施設内)を映し出す第1カメラと、ロボット30の足元を映し出す第2カメラとを含んで構成される。カメラ310hは、静止画又は動画を撮像する撮像素子を含み、撮像した動画を表示装置310fや管理サーバ10などに送信する。なお、動画は、静止画や音声などが含まれていてもよい。
【0059】
以上説明したコンピュータ200、300の物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、コンピュータ200、300は、CPU20aとRAM20bやROM20cが一体化したLSIを備えていてもよい。
【0060】
<処理フロー>
図8は、本実施形態に係る管理サーバ10によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。前提として、操作者は、操作者端末20aを利用することで、施設内に設置されているロボット30をリモート操作することが許可されており、かつ、
図5に示すような動画が視聴者端末20b等にライブ配信される場合を想定する。
【0061】
操作者は、視聴者に施設内の様子をライブ配信するために、操作者端末20aを操作してロボット30の遠隔操作を開始する。操作者端末20aは、操作者による操作を受け付けると、操作者IDなどを含む操作情報を管理サーバ10へ送信する。管理サーバ10は、操作者端末20aから操作情報を受信すると(ステップSa1)、操作権限情報IF2を参照することで、正当な操作権限を有しているか否かを判断する(ステップSa2)。
【0062】
管理サーバ10は、例えば、操作情報に示される操作内容(ロボットハンドの把持操作など)が、操作権限情報に示される操作許可範囲を超えていることから、正当な操作権限を有していないと判断すると(ステップSa2;NO)、操作情報の受け付けを拒否し(ステップSa3)、ステップSa6に進む。この場合、管理サーバ10は、操作情報が受け付けらない理由とともに、操作情報は受け付けられない旨のメッセージを操作者端末20aに返信してもよい。
【0063】
一方、管理サーバ10は、操作情報と操作権限情報との比較結果に基づき、正当な操作権限を有していると判断すると(ステップSa2;YES)、操作情報の受け付けを許可する(ステップSa4)。この場合、管理サーバ10は、受け付けた操作情報をロボット30に送信する(ステップSa5)。
【0064】
ロボット30は、管理サーバ10から操作情報を受信すると、かかる操作情報(ここでは、施設内の様子をライブ配信すべき旨のコマンド)に従って動作を開始する。具体的には、ロボット30は、カメラによって撮影される施設動画などを、管理サーバ10に順次送信する。操作者端末20aも同様、カメラによって撮影される操作者の顔動画などを、管理サーバ10に順次送信する。
【0065】
管理サーバ10は、ロボット30によって取得される施設動画や操作者端末20aによって取得される操作者の顔動画などを受信すると、これらの動画を視聴者端末20bにライブ配信する(ステップSa6)。
【0066】
その後、管理サーバ10は、ライブ配信の終了タイミングが到来したか否かを判断する(ステップSa7)。一例として、管理サーバ10は、操作者端末20aから、ライブ配信の終了コマンドを受信した場合に、ライブ配信の終了タイミングが到来したと判断する(ステップSa7;YES)。この場合、管理サーバ10は、視聴者端末20b等へのライブ配信を終了し(ステップSa8)、処理を終了する。
【0067】
一方、管理サーバ10は、ライブ配信の終了タイミングが到来していないと判断すると(ステップSa7;NO)、ステップSa9に進み、ロボット30の操作権限を新たに設定すべきか否かを判断する。一例として、管理サーバ10は、操作者端末20aから、操作権限情報の設定要求を受け取ると、ロボット30の操作権限を新たに設定すべきと判断する(ステップSa9;YES)。この場合、管理サーバ10は、操作者端末20aに操作権限設定画面P1(
図4参照)を表示し、操作権限情報の設定を促す。なお、操作権限情報の設定には、既存の操作権限情報の変更(追加・修正など)も含む。
【0068】
管理サーバ10は、操作者による操作情報に基づき、ロボット30の操作権限情報を新たに設定し(ステップSa10)、ステップSa2に戻る。そして、管理サーバ10は、変更後のロボット30の操作権限情報に基づき、正当な操作権限を有しているか否かを判断する。なお、この後の処理については既に説明したため、割愛する。
【0069】
一方、管理サーバ10は、ロボット30の操作権限情報を新たに設定すべきでないと判断すると(ステップSa9;NO)、ステップSa2に戻り、正当な操作権限を有しているか否かを判断する。なお、この後の処理については既に説明したため、割愛する。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作者が、ロボット30や操作者端末20aに搭載されたカメラなどを利用して施設内の様子をあらわす動画を取得し、これを視聴者に向けてリアルタイムに配信することが可能となる。一方、視聴者は、リアルタイムに配信される動画を視聴することで、あたかも施設内にいるかのような臨場感溢れるライブ動画を楽しむことができる。
【0071】
B.変形例
上述した本実施形態では特に言及しなかったが、操作者端末20aや視聴者端末20bに触覚フィードバック機能(振動モータや共振アクチュエータなど)が搭載されている場合には、ロボット30から取得される触覚データを、操作者端末20aや視聴者端末20bにフィードバックしてもよい。
【0072】
一例として、ロボット30は、搭載されている触覚センサ等を利用して人間の手などに備わっている触覚が感じとる情報を検出する。ロボット30は、検出した情報を触覚データとして管理サーバ10に送信する。管理サーバ(配信部)10は、ロボット30によって取得された触覚データを、触覚フィードバック機能が搭載された操作者端末20aや視聴者端末20bに伝送する。かかる構成によれば、操作者や視聴者などは、ロボット30が対象物(例えば、生き物など)に触れたときの感覚をリアルに体感することができる。
【0073】
また、上述した本実施形態では、操作者端末20a及び視聴者端末20bに同じ動画が配信される態様を例示したが、これに限る趣旨ではない。例えば、視聴者端末20bについては、視聴者が配信すべき動画の種類を事前に選択(設定)できるようにしてもよい。
【0074】
視聴者は、視聴者端末20bを操作することで、配信すべき動画(以下、配信対象動画ともいう。)としてロボット30によって取得される施設動画P22のみを選択する。視聴者端末20bは、かかる選択操作に応じて、管理サーバ10に配信対象動画のリクエストを送る。管理サーバ(配信部)10は、視聴者端末20bから配信対象動画のリクエストを受信すると、受信した配信対象動画のリクエストに基づき、ロボット30や操作者端末20aから取得される動画を加工し、加工後の動画を配信対象動画として視聴者端末20bに配信する。かかる構成によれば、より満足度の高い動画(コンテンツ)を視聴者等に提供することが可能となる。
【0075】
また、視聴者端末20b等に配信される動画の任意箇所に、ポインタを重畳できるように構成してもよい。操作者は、操作者端末20aを操作することで、ポインタを表示すべき箇所などを特定する。操作者端末20aは、かかる表示操作を管理サーバ10に送る。管理サーバ(配信部)10は、操作者端末20aから表示操作を受け付けると、動画の任意箇所に、ポインタが重畳された動画(以下、重畳動画ともいう。)を生成し、視聴者端末20b等に配信する。この結果、視聴者端末20b等の表示装置には、任意箇所にポインタPoが重畳された重畳動画の画面P3が表示される(
図9参照)。
【0076】
かかる構成によれば、操作者は、ポインタを利用することで、例えば滅多に見れない希少動物の生態などを視聴者等にわかりやすく紹介することができる。なお、ポインタだけでなく、操作者によるコメントなどを重畳できるように構成してもよい。
【0077】
C.その他
以上説明した本実施形態及び変形例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各要素同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0078】
さらに、本実施形態及び変形例において、「部」や「装置」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「装置」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や「装置」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や「装置」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【符号の説明】
【0079】
1…動画配信システム、10…管理サーバ、11…記憶部、12…制御部、13…受信部、14…送信部、15…配信部、20a…操作者端末、20b…視聴者端末、30…ロボット、IF1…ユーザ情報、IF2…操作権限情報。