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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023058311
(43)【公開日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/18 20060101AFI20230418BHJP
   H01H 9/44 20060101ALI20230418BHJP
   H02B 13/035 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H01H33/18
H01H9/44
H02B13/035 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168258
(22)【出願日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 豪
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕太
(72)【発明者】
【氏名】岡成 信明
(72)【発明者】
【氏名】椎木 元晴
【テーマコード(参考)】
5G017
5G027
【Fターム(参考)】
5G017BB01
5G017DD01
5G027AA03
5G027AA26
5G027BA10
5G027BB09
5G027BC20
(57)【要約】
【課題】構造の複雑化を抑制することができる磁界消弧形のガス絶縁開閉装置を提供することである。
【解決手段】実施形態のガス絶縁開閉装置は、接触子部と、アーク接触子と、通電経路部材と、磁束発生部材と、を持つ。接触子部は、絶縁ガスが封入された密閉容器内に配置されている。アーク接触子は、閉極状態で接触子部に接触する。アーク接触子は、開極動作時に接触子部から開離して、接触子部との間にアーク放電を発弧させる。通電経路部材は、通電接触子を持つ。通電接触子は、開極動作時にアーク接触子よりも早く接触子部から開離する。通電経路部材は、閉極状態で通電接触子を通る通電経路を形成する。磁束発生部材は、アーク接触子および通電経路部材とは別体に設けられている。磁束発生部材は、アーク接触子および通電経路部材に結合して電気的に接続されている。磁束発生部材は、通電時にアークに鎖交する磁束を発生させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスが封入された密閉容器内に配置された接触子部と、
前記密閉容器内に配置され、閉極状態で前記接触子部に接触するとともに、開極動作時に前記接触子部から開離して、前記接触子部との間にアーク放電を発弧させるアーク接触子と、
前記密閉容器内に配置され、前記アーク接触子とは別体に設けられ、前記閉極状態で前記接触子部に接触するとともに前記開極動作時に前記アーク接触子よりも早く前記接触子部から開離する通電接触子を含むとともに、前記閉極状態で前記通電接触子を通る通電経路を形成する通電経路部材と、
前記アーク接触子および前記通電経路部材とは別体に設けられ、前記アーク接触子および前記通電経路部材に結合して電気的に接続され、通電時にアークに鎖交する磁束を発生させる磁束発生部材と、
を備えるガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
前記アーク接触子および前記通電経路部材が相互に固定された、前記磁束発生部材とは異なる固定部を備える、
請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
前記開極動作時に前記接触子部に対して前記アーク接触子および前記通電経路部材が変位する方向を開離方向と定義した場合に、
前記通電経路部材は、
前記接触子部との接触部から前記開離方向に延びる円筒状の周壁部と、
前記周壁部から径方向の内側に延びる底部と、
を有し、
前記アーク接触子は、
前記周壁部の内側に配置されているとともに、前記接触子部に接触する先端部と、
前記先端部から前記開離方向に延びて前記底部に当接し、前記底部に固定される脚部と、
を有する、
請求項2に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
前記先端部は、環状に形成され、
前記磁束発生部材は、前記先端部に接続され、かつ前記先端部に対する前記開離方向で前記先端部の中心軸線回りを延び、
前記脚部は、前記磁束発生部材の内側を延びている、
請求項3に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項5】
前記通電経路部材は、前記アーク接触子を囲うように形成され、前記固定部において前記アーク接触子の外側面を支持する、
請求項2に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項6】
前記通電経路部材の内側面には、めねじが形成され、
前記アーク接触子の外側面には、前記めねじに螺合するおねじが形成されている、
請求項5に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項7】
前記固定部は、前記通電経路部材と前記アーク接触子との間に介在し、前記磁束発生部材よりも電気抵抗率の高い中間部材を備え、
前記通電経路部材の内側面には、第1のめねじが形成され、
前記中間部材の外側面には、前記第1のめねじに螺合する第1のおねじが形成され、
前記中間部材の内側面には、第2のめねじが形成され、
前記アーク接触子の外側面には、前記第2のめねじに螺合する第2のおねじが形成されている、
請求項6に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項8】
前記固定部は、前記通電経路部材と前記アーク接触子との間に介在し、前記磁束発生部材よりも電気抵抗率の高い中間部材を備える、
請求項4または請求項5に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項9】
前記固定部は、前記通電経路部材と前記アーク接触子との間に介在し、前記磁束発生部材よりも電気抵抗率の高い抵抗膜を備える、
請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項10】
前記固定部は、前記磁束発生部材よりも電気抵抗率が高く、前記通電経路部材および前記アーク接触子を締結する締結部材を備える、
請求項8または請求項9に記載のガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガス絶縁開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統の電力供給線に流れる電流を遮断するためにガス絶縁開閉装置が使用されている。ガス絶縁開閉装置は、系統事故時において事故の生じた系統を切り離す際や系統の切換時等に流れる電流を遮断するために電力供給線に配置される。ガス絶縁開閉装置は、絶縁ガスが充填された密閉容器内に、対向し合うように配置された一対の電極を有する。これらの一対の電極が、ガス絶縁開閉装置の外部に配置された駆動装置により駆動されて開閉する。ガス絶縁開閉装置が開極状態とされる時には、一対の電極が駆動装置により駆動され、機械的に切り離される。しかしながら、電力系統における電圧は高電圧であるため、一対の電極が機械的に切り離された後もアーク放電によって遮断電流が流れ続ける。
【0003】
ガス絶縁開閉装置として、アークに鎖交する磁束を発生させて、アークを回転させて冷却することにより消弧する磁界消弧形のガス絶縁開閉装置がある。ここで、一般にガス絶縁開閉装置の各電極には、互いに導通した通電接触子およびアーク接触子が設けられている。一対の電極の各通電接触子は、閉極状態で互いに接触し合い、一対の電極間を通電する。一対の電極の各アーク接触子は、閉極状態から開極動作時の初期に亘って互いに接触し合い、一対の電極間を通電する。そして、開極動作時に一対のアーク接触子の開離が一対の通電接触子の開離よりも遅れることで、アーク接触子間には開極動作時のアーク放電が発生する。例えば、磁界消弧形のガス絶縁開閉装置では、アーク接触子に流れる電流を用いて磁束を発生させる。具体的には、アーク接触子にコイル等の磁界発生部を設け、アーク放電に伴ってアーク接触子に流れる遮断電流を磁界発生部に流すことで磁束を発生させる。この場合、磁界発生部に遮断電流が流れるようにするため、絶縁部を設ける等してアーク接触子の構造が複雑化する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平1-24334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、構造の複雑化を抑制することができる磁界消弧形のガス絶縁開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のガス絶縁開閉装置は、接触子部と、アーク接触子と、通電経路部材と、磁束発生部材と、を持つ。接触子部は、絶縁ガスが封入された密閉容器内に配置されている。アーク接触子は、密閉容器内に配置されている。アーク接触子は、閉極状態で接触子部に接触する。アーク接触子は、開極動作時に接触子部から開離して、接触子部との間にアーク放電を発弧させる。通電経路部材は、密閉容器内に配置されている。通電経路部材は、アーク接触子とは別体に設けられている。通電経路部材は、通電接触子を持つ。通電接触子は、閉極状態で接触子部に接触する。通電接触子は、開極動作時にアーク接触子よりも早く接触子部から開離する。通電経路部材は、閉極状態で通電接触子を通る通電経路を形成する。磁束発生部材は、アーク接触子および通電経路部材とは別体に設けられている。磁束発生部材は、アーク接触子および通電経路部材に結合して電気的に接続されている。磁束発生部材は、通電時にアークに鎖交する磁束を発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態のガス絶縁開閉装置を示す縦断面図。
図2】第1の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図。
図3】第1の実施形態の可動接触子部を開離方向に見た図。
図4】開極動作時の第1の実施形態のガス絶縁開閉装置を示す縦断面図。
図5】開極動作時の第1の実施形態のガス絶縁開閉装置を示す縦断面図。
図6】第1の実施形態に係る変形例の可動接触子部を示す縦断面図。
図7】第1の実施形態に係る変形例の可動接触子部を開離方向に見た図。
図8】第2の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図。
図9】第2の実施形態の可動接触子部を開離方向に見た図。
図10】第2の実施形態に係る第1変形例の可動接触子部を示す縦断面図。
図11】第2の実施形態に係る第2変形例の可動接触子部を示す縦断面図。
図12】第3の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図。
図13】第3の実施形態に係る変形例の可動接触子部を示す縦断面図。
図14】第4の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図。
図15】第5の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図。
図16】第5の実施形態に係る第1変形例の可動接触子部を示す縦断面図。
図17】第5の実施形態に係る第2変形例の可動接触子部を示す縦断面図。
図18】第6の実施形態のガス絶縁開閉装置の要部を示す縦断面図。
図19】第7の実施形態のガス絶縁開閉装置の要部を示す縦断面図。
図20】第8の実施形態のガス絶縁開閉装置の要部を示す縦断面図。
図21】第9の実施形態のガス絶縁開閉装置の要部を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態のガス絶縁開閉装置を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置を示す縦断面図である。
図1に示すように、ガス絶縁開閉装置1は、電力系統の電気回路を開閉する開閉装置である。ガス絶縁開閉装置1は、絶縁ガスが封入された密閉容器10と、密閉容器10内に配置された固定ユニット20および可動ユニット40と、を備えている。
【0010】
密閉容器10は、電気回路を流れる電流の遮断が行われる内部空間を有する。密閉容器10は、両端が開口した金属筒11と、金属筒11の両端開口縁にそれぞれ接合された絶縁スペーサ12と、を備える。金属筒11は、接地されている。
【0011】
絶縁スペーサ12は、それぞれ金属筒11の開口縁に全周にわたって気密に接合されている。絶縁スペーサ12は、密閉容器10の内部を封止している。絶縁スペーサ12は、中心部を除いて絶縁材料によって形成されている。絶縁スペーサ12は、その中心部に密閉容器10内の導体3,4と接続する電極を有している。導体3,4は、絶縁スペーサ12の電極を介して、例えば送電線にそれぞれ接続される。
【0012】
絶縁ガスは、消弧性能および絶縁性能に優れたガスであり、例えば六フッ化硫黄(SF)ガスである。ただし、絶縁ガスは、六フッ化硫黄よりも地球温暖化係数の小さい物質であってもよい。六フッ化硫黄よりも地球温暖化係数の小さい物質は、例えば空気や、二酸化炭素、酸素、窒素およびその混合ガス等である。
【0013】
固定ユニット20および可動ユニット40は、電気回路の一部を構成している。固定ユニット20は、第1導体3に導通した固定接触子部23を備えている。可動ユニット40は、第2導体4に導通した可動接触子部43を備えている。ガス絶縁開閉装置1は、固定接触子部23および可動接触子部43を互いに接触または開離させることで、電気回路を開閉し、電流を導通または遮断する。以下の説明では、固定接触子部23および可動接触子部43が互いに接触した状態を閉極状態といい、固定接触子部23および可動接触子部43が互いに開離した状態を開極状態という。また、閉極状態のうち、定常時に適用される状態を特に投入状態という。また、開極状態のうち、電流の遮断動作が完了した状態を特に遮断状態という。また、投入状態から遮断状態に向けて固定接触子部23および可動接触子部43を互いに開離させる動作を開極動作という。なお、以下の固定接触子部23および可動接触子部43に関する説明では、特に記載のない限り、投入状態における固定接触子部23および可動接触子部43について述べる。
【0014】
固定ユニット20および可動ユニット40は、それぞれ複数の円筒状の部材を備える。円筒状の各部材は、所定の軸線Cを共通の中心軸線として配置されている。固定ユニット20および可動ユニット40は、軸線Cの軸方向で互いに対向するように配置されている。なお以下の説明では、軸線Cの軸方向を単に軸方向と称する。また、軸線C回りを周回する方向を周方向と称する。また、軸線Cに直交する方向を径方向と称する。また、軸方向のうち、固定ユニット20に対して可動ユニット40が開極動作時に変位する方向を開離方向と定義する。
【0015】
固定ユニット20は、シールド21と、固定接触子部23と、を備える。シールド21および固定接触子部23は、軸線Cを中心として線対称に形成されている。
【0016】
シールド21は、円筒状に形成されている。シールド21は、有底円筒状に形成され、開離方向に開口している。シールド21は、金属材料により形成されている。シールド21は、第1導体3に導通している。図示の例では、シールド21の底部は、第1導体3に直接結合している。
【0017】
固定接触子部23は、固定通電接触子30と、固定アーク接触子35と、を備える。
固定通電接触子30は、周方向に沿って配置されている。例えば、固定通電接触子30は、シールド21と同軸の円環状に形成されている。固定通電接触子30は、金属材料により形成されている。固定通電接触子30は、シールド21に導通している。本実施形態では、固定通電接触子30は、シールド21に直接結合している。さらに本実施形態では、固定通電接触子30は、シールド21の内周面における開口端寄りの部分に結合している。この場合、固定通電接触子30は、例えばシールド21の内周面から径方向の内側に突出して、後述する可動通電接触子50に接触可能とされている。固定通電接触子30は、シールド21を介して第1導体3に導通している。
【0018】
固定アーク接触子35は、固定通電接触子30と同軸の円筒状に形成されている。固定アーク接触子35は、シールド21の内側に配置されている。固定アーク接触子35は、シールド21の底部よりも開離方向に配置されている。固定アーク接触子35は、金属材料により形成されている。固定アーク接触子35は、シールド21に導通している。本実施形態では、固定アーク接触子35におけるシールド21の底部側の端部は、シールド21の底部に直接結合している。固定アーク接触子35は、シールド21を介して第1導体3に導通している。固定アーク接触子35における開離方向の端部は、径方向の外側に突出している。
【0019】
可動ユニット40は、固定ユニット20に対して開離方向に配置されている。可動ユニット40は、シールド41と、可動接触子部43と、操作ロッド70と、操作機構80と、を備える。シールド41、可動接触子部43および操作ロッド70は、軸線Cを中心として線対称に形成されている。
【0020】
シールド41は、円筒状に形成されている。シールド41は、有底円筒状に形成され、開離方向とは反対側に開口している。シールド41の開口縁は、固定ユニット20のシールド21の開口縁に対して軸方向に間隔をあけ、かつ対向するように配置されている。シールド41は、金属材料により形成されている。シールド41は、第2導体4に導通している。図示の例では、シールド41の底部は、第2導体4に直接結合している。
【0021】
シールド41の内周面には、可動接触子部43に摺接する摺動子42が設けられている。摺動子42は、金属材料により形成されている。摺動子42は、シールド41の本体に導通している。摺動子42は、周方向に沿って配置されている。例えば、摺動子42は、シールド41と同軸の円環状に形成されている。摺動子42は、シールド41の内周面における開口端寄りの部分に設けられている。例えば、摺動子42は、シールド41の内周面から径方向の内側に突出している。
【0022】
図2は、第1の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図である。図3は、第1の実施形態の可動接触子部を開離方向に見た図である。
図2および図3に示すように、可動接触子部43は、可動通電接触子50と、可動アーク接触子55と、通電コイル60と、を備える。
【0023】
可動通電接触子50は、開離方向とは反対側に開口した円筒状に形成されている。可動通電接触子50は、軸方向に延在する周壁部50aと、周壁部50aから径方向の内側に延びる底部50bと、を備える。周壁部50aは、可動通電接触子50における開離方向とは反対側の開口端部50cから開離方向に延びている。底部50bは、開口端部50cに対して開離方向に間隔をあけて配置されている。可動通電接触子50は、金属材料により形成されている。可動通電接触子50は、少なくとも開離方向の端部がシールド41の内側に常時配置されるように、シールド41に挿入されている。可動通電接触子50は、シールド41の内側を軸方向に沿って変位可能とされている。可動通電接触子50の外周面は、シールド41の摺動子42に摺接している。これにより、可動通電接触子50は、シールド41に常時導通している。可動通電接触子50は、シールド41を介して第2導体4に導通している。
【0024】
可動通電接触子50は、開口端部50cを固定通電接触子30の内側に挿入可能に形成されている。可動通電接触子50の周壁部50aの外径は、固定通電接触子30の内径に略一致している。可動通電接触子50は、固定通電接触子30に接触して、固定通電接触子30に導通している。
【0025】
可動アーク接触子55は、可動通電接触子50と同軸の円筒状に形成されている。可動アーク接触子55の両端は、軸方向に開口している。可動アーク接触子55の外径は、可動通電接触子50の開口端部50cの内径よりも小さい。可動アーク接触子55は、軸方向から見て可動通電接触子50の開口端部50cの内側に配置されている。可動アーク接触子55は、径方向から見て可動通電接触子50の開口端部50cに重なっている。可動アーク接触子55は、可動通電接触子50に囲まれている。可動アーク接触子55は、可動通電接触子50に対して全周にわたって径方向に間隔をあけて配置されている。可動アーク接触子55は、金属材料により形成されている。可動アーク接触子55は、可動通電接触子50に導通している。可動アーク接触子55は、可動通電接触子50とは別体に設けられ、通電コイル60を介して可動通電接触子50に支持されている。
【0026】
可動アーク接触子55は、開離方向とは反対側の先端を固定ユニット20のシールド21の内側に挿入可能に形成されている。可動アーク接触子55の内径は、固定アーク接触子35の外径に略一致している。可動アーク接触子55は、シールド21の内側に挿入された状態で、固定アーク接触子35に外挿されて接触する。可動アーク接触子55は、固定アーク接触子35に接触して、固定アーク接触子35に導通している。
【0027】
通電コイル60は、可動通電接触子50および可動アーク接触子55とは別体に設けられている。通電コイル60は、可動通電接触子50の周壁部50aの内側に配置されている。通電コイル60は、可動アーク接触子55と可動通電接触子50の底部50bとの間に配置されている。通電コイル60は、軸線C回りを延びている。通電コイル60は、軸線Cを中心として螺旋状に延びている。通電コイル60は、金属材料等の導電材料によって形成されている。通電コイル60は、可動アーク接触子55および可動通電接触子50に結合して電気的に接続されている。これにより、通電コイル60は、可動アーク接触子55および可動通電接触子50を電気的に接続している。
【0028】
通電コイル60は、開離方向とは反対側の第1端部61と、開離方向の第2端部62と、を有する。第1端部61は、可動アーク接触子55における開離方向の端縁に直接結合している。第1端部61は、締結部材63によって可動アーク接触子55に締結されている。第2端部62は、可動通電接触子50の底部50bにおける開離方向とは反対側を向く面に直接結合している。第2端部62は、締結部材64によって可動通電接触子50の底部50bに締結されている。本実施形態では、通電コイル60は、軸線C回りを360°未満延びている。これにより、通電コイル60は、軸方向から見て重なり合わないように円弧状に延びている。通電コイル60は、通電時に磁束を発生させる。通電コイル60の外径は、可動通電接触子50の周壁部50aの内径よりも小さい。通電コイル60の全体は、軸方向から見て可動アーク接触子55に重なっている。通電コイル60は、可動アーク接触子55、可動通電接触子50の底部50b、および締結部材63,64以外の部材に非接触とされている。
【0029】
操作ロッド70は、金属材料により形成されている。操作ロッド70は、シールド41の内側に配置されている。操作ロッド70は、可動通電接触子50に結合している。操作ロッド70は、可動通電接触子50への結合部から開離方向に延びている。
【0030】
操作機構80は、操作ロッド70を軸方向に変位させる。操作機構80は、操作ロッド70に接続された駆動部81と、駆動部81を駆動する電動機82と、を備える。駆動部81は、軸状に形成されている。駆動部81は、シールド41の内側で操作ロッド70に接続されている。駆動部81は、回転することで操作ロッド70を軸方向に変位させる。駆動部81は、シールド41の貫通孔に挿通されているとともに、密閉容器10の貫通孔に気密に挿通されている。駆動部81は、密閉容器10の外側で電動機82に接続されている。電動機82は、密閉容器10の外側で、密閉容器10に対して固定的に配置されている。ただし、操作機構80はこの構成に限定されず、例えば電磁反発機構であってもよい。
【0031】
続いて、ガス絶縁開閉装置1の遮断動作について説明する。
図1に示すように、投入状態では、可動通電接触子50が固定通電接触子30の内側に挿入されて接触し、固定アーク接触子35が可動アーク接触子55の内側に挿入されて接触している。これにより、固定ユニット20と可動ユニット40とが導通し、一対の導体3,4間に通電経路を形成する。固定ユニット20内の通電経路のうち固定通電接触子30を通る通電経路は、固定通電接触子30およびシールド21に形成される。可動ユニット40内の通電経路のうち可動通電接触子50を通る通電経路は、可動通電接触子50およびシールド41に形成される。
【0032】
ガス絶縁開閉装置1は、電流を遮断する場合、操作ロッド70を開離方向に変位させ、固定接触子部23および可動接触子部43を互いに開離させる。操作ロッド70を開離方向に変位させると、可動接触子部43が操作ロッド70に連動して開離方向に変位する。
【0033】
図4および図5は、開極動作時の第1の実施形態のガス絶縁開閉装置を示す縦断面図である。
図4に示すように、投入状態から操作ロッド70を開離方向に変位させると、可動通電接触子50が可動アーク接触子55よりも早く固定接触子部23から開離する。これにより、固定ユニット20内の固定通電接触子30を通る通電経路が遮断されるとともに、可動ユニット40内の可動通電接触子50を通る通電経路が遮断される。一方で、固定アーク接触子35と可動アーク接触子55とが互いに接触して導通しているので、一対の導体3,4間に遮断電流の通電経路が形成されている。この状態では、一対の導体3,4間の唯一の通電経路は、固定アーク接触子35、可動アーク接触子55および通電コイル60を通る。
【0034】
図5に示すように、操作ロッド70をさらに開離方向に変位させると、固定アーク接触子35と可動アーク接触子55とが開離し、閉極状態から開極状態に移行する。固定アーク接触子35と可動アーク接触子55とが開離すると、固定アーク接触子35と可動アーク接触子55との間で、アーク放電が発弧する。この状態では、一対の導体3,4間の唯一の通電経路が維持され、通電コイル60に遮断電流が流れ続ける。
【0035】
通電コイル60に電流が流れると、通電コイル60が空芯コイルとして機能する。通電コイル60は、遮断電流によって通電コイル60の内側から延びる磁力線が固定アーク接触子35と可動アーク接触子55との間を通るように磁束を発生させる。磁束は、固定アーク接触子35と可動アーク接触子55との間に発弧したアークに鎖交する。アーク放電路上のプラズマは、電磁力を受けて周方向に回転する。すなわち、アークが固定アーク接触子35と可動アーク接触子55との間で周方向に回転し、周囲の絶縁ガスにより冷却される。これにより、アーク放電が消弧に至り、電流が遮断される。そして、ガス絶縁開閉装置1は、完全開極状態に至り、遮断動作を完了する。
【0036】
以上に説明したように、本実施形態のガス絶縁開閉装置1は、固定アーク接触子35と可動アーク接触子55との間に発弧したアークに鎖交する磁束を発生させる通電コイル60を備える。通電コイル60は、可動通電接触子50および可動アーク接触子55とは別体に設けられ、可動通電接触子50および可動アーク接触子55に結合して電気的に接続されている。この構成によれば、通電コイル60が可動通電接触子50および可動アーク接触子55を導通するので、アーク放電が発弧した状態で通電コイル60に遮断電流が流れる。これにより通電コイル60は磁束を発生させることができるので、磁束がアークに鎖交することでアーク放電を消弧することができる。ここで、通電コイル60が可動通電接触子50および可動アーク接触子55に結合しているので、磁束を発生させる手段を可動アーク接触子内に設ける構成と比較して、可動アーク接触子55の構造が複雑化することを抑制できる。すなわち、可動アーク接触子の両端部が通電コイルを介して互いに接続され、かつ可動アーク接触子の中途部に両端部を絶縁する絶縁部材が設けられた構成と比較して、可動アーク接触子の周辺における機械的結合部を削減できるとともに、可動アーク接触子の構造を簡素化できる。また、可動アーク接触子自体をコイル状に形成する構成と比較して、可動アーク接触子の構造を簡素化できる。したがって、磁界消弧形のガス絶縁開閉装置1において、その構造の複雑化を抑制することができる。
【0037】
なお、通電コイル60の表面は、可動アーク接触子55および可動通電接触子50との結合部を除き、絶縁塗装や絶縁チューブの装着等によって絶縁被覆されていてもよい。これにより、開極動作時等における振動による自己接触時の通電を防止できる。なお、仮に通電コイル60の絶縁被膜上に炭化された導電路(トラッキング)が形成されても、通電コイル60の巻線間は絶縁ガスによって絶縁されているので、沿面通電は抑制される。
【0038】
また、各接触子の形状は上述した形状に限定されない。例えば、各接触子は周方向に沿って配置されていればよい。すなわち、円柱状の接触子が含まれてもよいし、先端にスリットが形成された円筒状の接触子が含まれてもよい。また、周方向に分割された接触子が含まれてもよい。
【0039】
第1の実施形態の変形例について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る変形例の可動接触子部を示す縦断面図である。図7は、第1の実施形態に係る変形例の可動接触子部を開離方向に見た図である。
図6および図7に示すように、可動接触子部43は、通電コイル60に代えて、軸線C回りを360°以上延びる通電コイル60Aを備えていてもよい。これにより、通電コイル60Aが発生させる磁束が増大するので、消弧能力を向上させることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図である。図9は、第2の実施形態の可動接触子部を開離方向に見た図である。
図8および図9に示す第2の実施形態は、可動通電接触子50Aおよび可動アーク接触子55Aが相互に固定された固定部45Aが可動接触子部43Aに設けられている点で、第1の実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0041】
図8および図9に示すように、可動通電接触子50Aにおける開離方向とは反対側の端部には、径方向の内側に膨出した膨出部51が設けられている。膨出部51は、通電コイル60よりも開離方向とは反対側に位置し、通電コイル60に非接触とされている。膨出部51の内周面は、一定の曲率半径で軸方向に延びている。膨出部51の内周面には、可動アーク接触子55Aの内周面が密接している。可動通電接触子50Aは、固定部45Aにおいて可動アーク接触子55Aの外周面を直接支持している。
【0042】
固定部45Aは、可動通電接触子50Aおよび可動アーク接触子55Aを締結する締結部材46を備える。すなわち可動通電接触子50Aおよび可動アーク接触子55Aは、固定部45Aにおいて締結部材46の締結力によって互いに固定されている。これにより、固定部45Aは、通電コイル60とは異なる構造によって可動通電接触子50Aおよび可動アーク接触子55Aを固定している。締結部材46は、可動通電接触子50Aの外周面に形成された凹部に頭部が収まるように配置されている。締結部材46は、軸部が可動アーク接触子55Aの内側に突出しないように配置されている。締結部材46は、軸線C回りに等角度間隔(本実施形態では90°間隔)で配置されている。
【0043】
以上に説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のガス絶縁開閉装置1は、可動アーク接触子55Aおよび可動通電接触子50Aが相互に固定された、通電コイル60とは異なる固定部45Aを備える。この構成によれば、可動通電接触子50Aに対する可動アーク接触子55Aの固定強度を向上させることができるので、可動アーク接触子55Aが固定アーク接触子35に電気的に接続した際の衝撃に対する耐久性をより一層向上させることができる。
【0044】
また、可動通電接触子50Aは、固定部45Aにおいて可動アーク接触子55Aの外周面を直接支持している。これにより、可動通電接触子50Aに対する可動アーク接触子55Aの径方向の固定強度を向上させることができる。
【0045】
第2の実施形態の第1変形例について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る第1変形例の可動接触子部を示す縦断面図である。
図10に示す第1変形例は、固定部45Bが可動通電接触子50Aと可動アーク接触子55Aとの間に介在する抵抗膜47を備える点で、第2の実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0046】
図10に示すように、抵抗膜47は、可動通電接触子50Aの膨出部51の内周面、および可動アーク接触子55Aの外周面に接触している。ただし、抵抗膜47は全周にわたって隙間なく配置されていなくてもよく、可動通電接触子50Aおよび可動アーク接触子55Aの相互の直接的な接触を規制していればよい。抵抗膜47は、通電コイル60を形成する材料よりも電気抵抗率の高い材料によって形成されている。抵抗膜47の電気抵抗は、通電コイル60の電気抵抗よりも大きい。抵抗膜47は、可動通電接触子50Aの膨出部51の内周面、および可動アーク接触子55Aの外周面の少なくともいずれか一方に材料を塗布することで形成されている。例えば、抵抗膜47を形成する材料は、エポキシ樹脂である。
【0047】
本変形例によれば、固定部45Bにおける可動通電接触子50Aと可動アーク接触子55Aとの間の通電を抵抗膜47によって抑制できる。これにより、通電コイル60に遮断電流をより一層積極的に流して通電コイル60が発生させる磁束の増大を図ることができる。
【0048】
なお本変形例では、締結部材46は、通電コイル60を形成する材料よりも電気抵抗率の高い材料によって形成されていることが望ましい。これにより、締結部材46を通じた可動通電接触子50Aと可動アーク接触子55Aとの間の通電を抑制できる。
【0049】
第2の実施形態の第2変形例について説明する。
図11は、第2の実施形態に係る第2変形例の可動接触子部を示す縦断面図である。
図11に示す第2変形例は、固定部45Cが可動通電接触子50Aと可動アーク接触子55Aとの間に介在する中間部材48を備える点で、第2の実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0050】
図11に示すように、中間部材48は、可動通電接触子50Aおよび可動アーク接触子55Aと同軸の円筒状に形成されている。中間部材48は、可動通電接触子50Aの膨出部51の内周面、および可動アーク接触子55Aの外周面に接触している。中間部材48には、締結部材46が貫通している。中間部材48は、締結部材46の締結力によって可動通電接触子50Aおよび可動アーク接触子55Aに挟まれて固定されている。ただし、中間部材48は全周にわたって隙間なく配置されていなくてもよく、可動通電接触子50Aおよび可動アーク接触子55Aの相互の直接的な接触を規制していればよい。中間部材48は、通電コイル60を形成する材料よりも電気抵抗率の高い材料によって形成されている。中間部材48の電気抵抗は、通電コイル60の電気抵抗よりも大きい。
【0051】
本変形例によれば、固定部45Cにおける可動通電接触子50Aと可動アーク接触子55Aとの間の通電を中間部材48によって抑制できる。これにより、通電コイル60に遮断電流をより一層積極的に流して通電コイル60が発生させる磁束の増大を図ることができる。
【0052】
なお本変形例において、締結部材46が通電コイル60を形成する材料よりも電気抵抗率の高い材料によって形成されていることが望ましいことは、第2の実施形態の第1変形例と同様である。
【0053】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図である。
図8に示す第2の実施形態では、可動通電接触子50Aおよび可動アーク接触子55Aが固定部45Aにおいて締結部材46の締結力によって互いに固定されている。これに対して図12に示す第3の実施形態では、可動通電接触子50Dおよび可動アーク接触子55Dが固定部45Dにおいて互いに螺合することによって固定されている点で、第2の実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0054】
図12に示すように、可動通電接触子50Dの内周面には、めねじ52が形成されている。可動アーク接触子55Dの外周面には、おねじ56が形成されている。可動アーク接触子55Dのおねじ56は、可動通電接触子50Dのめねじ52に螺合する。これにより、可動通電接触子50Dは、固定部45Dにおいて可動アーク接触子55Dの外周面を直接支持して固定している。
【0055】
以上に説明した本実施形態によれば、第2の実施形態と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、可動通電接触子50Dの内周面にはめねじ52が形成され、可動アーク接触子55Dの外周面にはめねじ52に螺合するおねじ56が形成されている。この構成によれば、可動通電接触子50Dに対する可動アーク接触子55Dの軸方向の固定強度を向上させることができる。
【0056】
第3の実施形態の変形例について説明する。
図13は、第3の実施形態に係る変形例の可動接触子部を示す縦断面図である。
図13に示すように、固定部45Eは、第2の実施形態の第1変形例と同様に、可動通電接触子50Dと可動アーク接触子55Dとの間に介在する抵抗膜47Eを備えていてもよい。抵抗膜47Eは、可動通電接触子50Dのめねじ52、および可動アーク接触子55Dのおねじ56に接触している。ただし、抵抗膜47Eは全周にわたって隙間なく配置されていなくてもよく、可動通電接触子50Dおよび可動アーク接触子55Dの相互の直接的な接触を規制していればよい。
【0057】
本変形例によれば、固定部45Eにおける可動通電接触子50Dと可動アーク接触子55Dとの間の通電を抵抗膜47Eによって抑制できる。これにより、通電コイル60に遮断電流をより一層積極的に流して通電コイル60が発生させる磁束の増大を図ることができる。
【0058】
(第4の実施形態)
図14は、第4の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図である。
図12に示す第3の実施形態では、可動通電接触子50Dおよび可動アーク接触子55Dが固定部45Dにおいて互いに螺合することによって固定されている。これに対して図14に示す第4の実施形態では、可動通電接触子50Dおよび可動アーク接触子55Dが固定部45Fにおいてそれぞれ中間部材48Fに螺合することによって互いに固定されている点で第3の実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0059】
図14に示すように、固定部45Fは、可動通電接触子50Dと可動アーク接触子との間に介在する中間部材48Fを備える。中間部材48Fは、可動通電接触子50Dおよび可動アーク接触子55Dと同軸の円筒状に形成されている。中間部材48Fの外周面には、おねじ48aが形成されている。中間部材48Fの内周面には、めねじ48bが形成されている。中間部材48Fのおねじ48aは、可動通電接触子50Dのめねじ52に螺合する。中間部材48Fのめねじ48bは、可動アーク接触子55Dのおねじ56に螺合する。これにより、可動通電接触子50Dおよび可動アーク接触子55Dは、固定部45Fにおいて互いに固定されている。中間部材48Fは、通電コイル60を形成する材料よりも電気抵抗率の高い材料によって形成されている。中間部材48Fの電気抵抗は、通電コイル60の電気抵抗よりも大きい。
【0060】
以上に説明した本実施形態によれば、第3の実施形態と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、可動通電接触子50Dと可動アーク接触子55Dとの間に中間部材48Fが介在するので、固定部45Fにおける可動通電接触子50Dと可動アーク接触子55Dとの間の通電を中間部材48Fによって抑制できる。これにより、通電コイル60に遮断電流をより一層積極的に流して通電コイル60が発生させる磁束の増大を図ることができる。
【0061】
さらに、可動通電接触子50Dが中間部材48Fに螺着し、中間部材48Fが可動接触子55Dに螺着しているので、可動通電接触子50Dに対する可動アーク接触子55Dの軸方向の固定強度を向上させることができる。
【0062】
(第5の実施形態)
図15は、第5の実施形態の可動接触子部を示す縦断面図である。
図15に示す第5の実施形態では、可動通電接触子50および可動アーク接触子55Gが相互に固定された固定部45Gが可動接触子部43Gに設けられている点で、第1の実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0063】
図15に示すように、可動アーク接触子55Gは、可動アーク接触子55Gにおける開離方向とは反対側の端部に位置し、固定アーク接触子35に接触する先端部57と、先端部57から開離方向に延びる脚部58と、を備える。可動アーク接触子55Gは、先端部57および脚部58が連続的に一体化された単一の部材である。ただし、可動アーク接触子55Gは、互いに別個に設けられた先端部57および脚部58が締結された構成を有していてもよい。先端部57は、第1の実施形態における可動アーク接触子55と同様に形成されている。先端部57における開離方向の端縁には、通電コイル60の第1端部61が結合している。
【0064】
脚部58は、通電コイル60の内側を延びている。脚部58は、通電コイル60に対して非接触とされている。脚部58は、可動通電接触子50に固定されるフランジ58aと、フランジ58aおよび先端部57を連結する連結部58bと、を備える。連結部58bは、通電コイル60の内側に配置されている。連結部58bは、軸方向に延びている。連結部58bは、先端部57と同軸の円筒状に形成されている。連結部58bにおける開離方向とは反対側の端部は、先端部57における開離方向の端面の内周部に接続している。フランジ58aは、連結部58bにおける開離方向の端部から径方向の内側に延びている。フランジ58aは、連結部58bの開口を閉塞する円板状に形成されている。フランジ58aは、可動通電接触子50の底部50bに開離方向とは反対側から当接している。
【0065】
固定部45Gは、可動通電接触子50の底部50bおよび可動アーク接触子55Gのフランジ58aを締結する締結部材46Gを備える。すなわち可動通電接触子50および可動アーク接触子55Gは、固定部45Gにおいて締結部材46Gの締結力によって互いに固定されている。締結部材46Gは、軸線Cに沿って配置されている。締結部材46Gは、可動アーク接触子55Gの脚部58の内側に頭部が収まるように配置されている。
【0066】
以上に説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のガス絶縁開閉装置1は、可動アーク接触子55Gおよび可動通電接触子50が相互に固定された、通電コイル60とは異なる固定部45Gを備える。この構成によれば、可動通電接触子50に対する可動アーク接触子55Gの固定強度を向上させることができるので、可動アーク接触子55Gが固定アーク接触子35に電気的に接続した際の衝撃に対する耐久性をより一層向上させることができる。
【0067】
また、可動アーク接触子55Gは、可動通電接触子50の周壁部50aの内側に配置されているとともに固定アーク接触子35に接触する先端部57と、先端部57から開離方向に延びて可動通電接触子50の底部50bに当接し、底部50bに固定される脚部58と、を有する。この構成によれば、可動アーク接触子55Gが可動通電接触子50の底部50bによって開離方向から支持される。よって、可動通電接触子50に対する可動アーク接触子55Gの開離方向の固定強度を向上させることができる。
【0068】
しかも、脚部58は、通電コイル60の内側を延びている。これにより、脚部58を通電コイル60の鉄芯として機能させることができる。したがって、通電コイル60が発生させる磁束の増大を図ることができる。
【0069】
なお、可動アーク接触子55Gの脚部58の形状は、上記形状に限定されるものではない。脚部は、先端部57から開離方向に延びて可動通電接触子50の底部50bに固定されていればよい。
【0070】
第5の実施形態の第1変形例について説明する。
図16は、第5の実施形態に係る第1変形例の可動接触子部を示す縦断面図である。
図16に示す第1変形例は、固定部45Hが可動通電接触子50と可動アーク接触子55Gとの間に介在する抵抗膜47Hを備える点で、第5の実施形態と異なる。抵抗膜47Hは、第2の実施形態の第1変形例の抵抗膜47と同様に形成されている。なお、その他の構成は、第5の実施形態と同様である。
【0071】
本変形例によれば、固定部45Hにおける可動通電接触子50と可動アーク接触子55Gとの間の通電を抵抗膜47Hによって抑制できる。これにより、通電コイル60に遮断電流をより一層積極的に流して通電コイル60が発生させる磁束の増大を図ることができる。
【0072】
なお本変形例では、締結部材46Gは、通電コイル60を形成する材料よりも電気抵抗率の高い材料によって形成されていることが望ましい。これにより、締結部材46Gを通じた可動通電接触子50と可動アーク接触子55Gとの間の通電を抑制できる。
【0073】
第5の実施形態の第2変形例について説明する。
図17は、第5の実施形態に係る第2変形例の可動接触子部を示す縦断面図である。
図17に示す第2変形例は、固定部45Iが可動通電接触子50と可動アーク接触子55Gとの間に介在する中間部材48Iを備える点で、第5の実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第5の実施形態と同様である。
【0074】
図17に示すように、中間部材48Iは、平板状に形成されている。中間部材48Iは、可動アーク接触子55Gのフランジ58aと略同径の円板状に形成されている。中間部材48Iは、通電コイル60を形成する材料よりも電気抵抗率の高い材料によって形成されている。中間部材48Iは、可動通電接触子50の底部50b、および可動アーク接触子55Gのフランジ58aに接触している。中間部材48Iには、締結部材46Gが貫通している。中間部材48Iは、締結部材46Gの締結力によって可動通電接触子50および可動アーク接触子55Gに挟まれている。
【0075】
本変形例によれば、固定部45Iにおける可動通電接触子50と可動アーク接触子55Gとの間の通電を中間部材48Iによって抑制できる。これにより、通電コイル60に遮断電流をより一層積極的に流して通電コイル60が発生させる磁束の増大を図ることができる。
なお本変形例において、締結部材46Gが通電コイル60を形成する材料よりも電気抵抗率の高い材料によって形成されていることが望ましいことは、第5の実施形態の第1変形例と同様である。
【0076】
(第6の実施形態)
図18は、第6の実施形態のガス絶縁開閉装置の要部を示す縦断面図である。
図1に示す第1の実施形態では、可動接触子部43が通電コイル60を備えている。これに対して図18に示す第6の実施形態では、固定接触子部123が通電コイル160を備えている点で、第1の実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0077】
図18に示すように、ガス絶縁開閉装置101は、密閉容器10(図1参照)内に配置された固定ユニット120および可動ユニット140を備える。
【0078】
固定ユニット120は、シールド121と、固定接触子部123と、を備える。
シールド121は、円筒状に形成されている。シールド121は、開離方向に開口している。シールド121は、軸方向に延在する周壁121aと、周壁121aから径方向の内側に延びる底壁121bと、を備える。底壁121bは、周壁121aにおける開離方向の開口縁に対して開離方向とは反対側に間隔をあけて配置されている。
【0079】
固定接触子部123は、固定通電接触子130と、固定アーク接触子135と、通電コイル160と、を備える。
固定通電接触子130は、周方向に沿って配置されている。例えば、固定通電接触子130は、シールド121と同軸の円環状に形成されている。固定通電接触子130は、金属材料により形成されている。固定通電接触子130は、シールド121に導通している。本実施形態では、固定通電接触子130は、シールド121に直接結合している。さらに本実施形態では、固定通電接触子130は、シールド121の内周面における開口端寄りの部分に結合している。この場合、固定通電接触子130は、例えばシールド121の内周面から径方向の内側に突出して、可動通電接触子150に接触可能とされている。固定通電接触子130は、シールド121を介して第1導体3(図1参照)に導通している。
【0080】
固定アーク接触子135は、円筒状に形成されている。固定アーク接触子135の両端は、軸方向に開口している。固定アーク接触子135は、シールド121の内側に配置されている。固定アーク接触子135は、シールド121の底壁121bよりも開離方向に配置されている。固定アーク接触子135の外径は、固定通電接触子130の内径よりも小さい。固定アーク接触子135は、軸方向から見て固定通電接触子130の内側に配置されている。固定アーク接触子135は、径方向から見て固定通電接触子130に重なっている。固定アーク接触子135は、シールド121の周壁121aおよび固定通電接触子130に囲まれている。固定アーク接触子135は、シールド121の周壁121aおよび固定通電接触子130に対して全周にわたって径方向に間隔をあけて配置されている。固定アーク接触子135は、金属材料により形成されている。固定アーク接触子135は、固定通電接触子130に導通している。固定アーク接触子135は、固定通電接触子130とは別体に設けられ、通電コイル160を介してシールド121に支持されている。
【0081】
通電コイル160は、固定通電接触子130、固定アーク接触子135およびシールド121とは別体に設けられている。通電コイル160は、シールド121の周壁121aの内側に配置されている。通電コイル160は、固定アーク接触子135とシールド121の底壁121bとの間に配置されている。通電コイル160は、軸線C回りを延びている。通電コイル160は、軸線Cを中心として螺旋状に延びている。通電コイル160は、金属材料等の導電材料によって形成されている。通電コイル160は、固定アーク接触子135およびシールド121に結合して電気的に接続されている。これにより、通電コイル160は、固定アーク接触子135およびシールド121を電気的に接続している。
【0082】
通電コイル160は、開離方向の第1端部161と、開離方向とは反対側の第2端部162と、を有する。第1端部161は、固定アーク接触子135における開離方向とは反対側の端縁に直接結合している。第1端部161は、締結部材163によって固定アーク接触子135に締結されている。第2端部162は、シールド121の底壁121bにおける開離方向を向く面に直接結合している。第2端部162は、締結部材164によって底壁121bに締結されている。本実施形態では、通電コイル160は、軸線C回りを360°未満延びている。通電コイル160は、通電時に磁束を発生させる。通電コイル160の外径は、シールド121の周壁121aの内径よりも小さい。通電コイル160は、固定アーク接触子135、シールド121の底壁121b、および締結部材163,164以外の部材に非接触とされている。
【0083】
可動ユニット140は、シールド41と、可動接触子部143と、操作ロッド70と、を備える。操作ロッド70は、第1の実施形態と同様に、図示しない操作機構に接続されている。
【0084】
可動接触子部143は、可動通電接触子150と、可動アーク接触子155と、を備える。
可動通電接触子150は、円筒状に形成されている。可動通電接触子150は、軸方向に延在する周壁部150aと、周壁部150aから径方向の内側に延びる底部150bと、を備える。底部150bは、周壁部150aにおける開離方向とは反対側の開口端部150cに対して開離方向に間隔をあけて配置されている。可動通電接触子150の外周面は、シールド41の摺動子42に摺接している。可動通電接触子150は、シールド41に常時導通している。
【0085】
可動通電接触子150は、開口端部150cを固定通電接触子130の内側に挿入可能に形成されている。可動通電接触子150の周壁部150aの外径は、固定通電接触子130の内径に略一致している。可動通電接触子150は、固定通電接触子130に接触して、固定通電接触子130に導通している。
【0086】
可動アーク接触子155は、可動通電接触子150と同軸の円筒状に形成されている。可動アーク接触子155は、可動通電接触子150の内側に配置されている。可動アーク接触子155は、可動通電接触子150の底部150bよりも開離方向とは反対側に配置されている。可動アーク接触子155は、可動通電接触子150に対して全周にわたって径方向に間隔をあけて配置されている。可動アーク接触子155は、可動通電接触子150に導通している。本実施形態では、可動アーク接触子155における開離方向の端部は、可動通電接触子150の底部150bに直接結合している。可動アーク接触子155における開離方向とは反対側の端部は、径方向の外側に突出している。
【0087】
可動アーク接触子155は、開離方向とは反対側の先端を固定ユニット120のシールド121の内側に挿入可能に形成されている。可動アーク接触子155の外径は、固定アーク接触子135の内径に略一致している。可動アーク接触子155は、シールド121の内側に挿入された状態で、固定アーク接触子135の内側に挿入されて接触する。可動アーク接触子155は、固定アーク接触子135に接触して、固定アーク接触子135に導通している。
【0088】
続いて、ガス絶縁開閉装置101の遮断動作について説明する。
投入状態では、可動通電接触子150が固定通電接触子130の内側に挿入されて接触し、可動アーク接触子155が固定アーク接触子135の内側に挿入されて接触している。これにより、固定ユニット120と可動ユニット140とが導通し、一対の導体3,4(図1参照)間に通電経路を形成する。固定ユニット120内の通電経路のうち固定通電接触子130を通る通電経路は、固定通電接触子130およびシールド121に形成される。可動ユニット140内の通電経路のうち可動通電接触子150を通る通電経路は、可動通電接触子150およびシールド41に形成される。
【0089】
投入状態から可動ユニット140を開離方向に変位させると、固定通電接触子130が固定アーク接触子135よりも早く可動接触子部143から開離する。これにより、固定ユニット120内の固定通電接触子130を通る通電経路が遮断されるとともに、可動ユニット140内の可動通電接触子150を通る通電経路が遮断される。一方で、固定アーク接触子135と可動アーク接触子155とが互いに接触して導通しているので、一対の導体3,4間に遮断電流の通電経路が形成されている。この状態では、一対の導体3,4間の唯一の通電経路は、通電コイル160、固定アーク接触子135および可動アーク接触子155を通る。
【0090】
可動ユニット140をさらに開離方向に変位させると、固定アーク接触子135と可動アーク接触子155とが開離し、閉極状態から開極状態に移行する。固定アーク接触子135と可動アーク接触子155とが開離すると、固定アーク接触子135と可動アーク接触子155との間で、アーク放電が発弧する。この状態では、一対の導体3,4間の唯一の通電経路は、通電コイル160、固定アーク接触子135および可動アーク接触子155を通る。このため、アーク放電が発弧している状態では、通電コイル160に遮断電流が流れる。
【0091】
通電コイル160に電流が流れると、通電コイル160がコイルとして機能する。本実施形態では、通電コイル160は、空芯コイルとして機能する。通電コイル160は、遮断電流によって通電コイル160の内側から延びる磁力線が固定アーク接触子135と可動アーク接触子155との間を通るように磁束を発生させる。磁束は、固定アーク接触子135と可動アーク接触子155との間に発弧したアークに鎖交する。これにより第1の実施形態と同様に、アーク放電が消弧に至り、電流が遮断される。そして、ガス絶縁開閉装置101は、遮断動作を完了する。
【0092】
以上に説明したように、本実施形態のガス絶縁開閉装置101は、固定アーク接触子135と可動アーク接触子155との間に発弧したアークに鎖交する磁束を発生させる通電コイル160を備える。通電コイル160は、シールド121、固定通電接触子130および固定アーク接触子135とは別体に設けられ、シールド121および固定アーク接触子135に結合して電気的に接続されている。この構成によれば、通電コイル160がシールド121および固定アーク接触子135を導通するので、アーク放電が発弧した状態で通電コイル160に遮断電流が流れる。これにより通電コイル160は磁束を発生させることができるので、磁束がアークに鎖交することでアーク放電を消弧することができる。ここで、通電コイル160がシールド121および固定アーク接触子135に結合しているので、磁束を発生させる手段を固定アーク接触子内に設ける構成と比較して、固定アーク接触子135の構造が複雑化することを抑制できる。すなわち、固定アーク接触子の両端部が通電コイルを介して互いに接続され、かつ固定アーク接触子の中途部に両端部を絶縁する絶縁部材が設けられた構成と比較して、固定アーク接触子の周辺における機械的結合部を削減できるとともに、固定アーク接触子の構造を簡素化できる。また、固定アーク接触子自体をコイル状に形成する構成と比較して、固定アーク接触子の構造を簡素化できる。したがって、磁界消弧形のガス絶縁開閉装置101において、その構造の複雑化を抑制することができる。
【0093】
(第7の実施形態)
図19は、第7の実施形態のガス絶縁開閉装置の要部を示す縦断面図である。
図19に示す第7の実施形態は、シールド121および固定アーク接触子135Aが相互に固定された固定部145Aが固定接触子部123Aに設けられている点で、第6の実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第6の実施形態と同様である。
【0094】
固定アーク接触子135Aは、固定アーク接触子135Aにおける開離方向の端部に位置し、可動アーク接触子155に接触する先端部136と、先端部136よりも径方向の外側に位置する嵌合部137と、を備える。固定アーク接触子135Aは、先端部136および嵌合部137が連続的に一体化された単一の部材である。先端部136は、第6の実施形態における固定アーク接触子135と同様に形成されている。先端部136における開離方向とは反対側の端縁には、通電コイル160の第1端部161が結合している。
【0095】
嵌合部137は、先端部136に連続的に接続している。嵌合部137は、先端部136の外周面における開離方向とは反対側の端部に接続している。嵌合部137は、先端部136との接続部から開離方向とは反対側に延びている。これにより、嵌合部137は、先端部136と固定通電接触子130との間に隙間を形成している。嵌合部137は、通電コイル160の径方向外側を延びている。嵌合部137は、通電コイル160に対して非接触とされている。嵌合部137は、先端部136と同軸の円筒状に形成されている。嵌合部137の外周面は、一定の曲率半径で軸方向に延びている。嵌合部137の外径は、シールド121の周壁121aの内径と略一致している。嵌合部137の外周面は、シールド121の周壁121aの内周面に密接している。シールド121は、固定部145Aにおいて固定アーク接触子135Aの外周面を直接支持している。また、嵌合部137における開離方向とは反対側の端縁は、シールド121の底壁121bに当接している。
【0096】
固定部145Aは、シールド121の周壁121aと固定アーク接触子135Aの嵌合部137とを締結する締結部材146を備える。すなわちシールド121および固定アーク接触子135Aは、固定部145Aにおいて締結部材146の締結力によって互いに固定されている。これにより、固定部145Aは、通電コイル160とは異なる構造によってシールド121および固定アーク接触子135Aを固定している。締結部材146は、シールド121の外周面に形成された凹部に頭部が収まるように配置されている。締結部材146は、軸線C回りに等角度間隔で配置されている。
【0097】
以上に説明した本実施形態によれば、第6の実施形態と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のガス絶縁開閉装置101は、固定アーク接触子135Aおよびシールド121が相互に固定された、通電コイル160とは異なる固定部145Aを備える。この構成によれば、シールド121に対する固定アーク接触子135Aの固定強度を向上させることができるので、固定アーク接触子135Aが可動アーク接触子155に電気的に接続した際の衝撃に対する耐久性をより一層向上させることができる。
【0098】
また、シールド121は、固定部145Aにおいて固定アーク接触子135Aの外周面を直接支持している。これにより、シールド121に対する固定アーク接触子135Aの径方向の固定強度を向上させることができる。
【0099】
なお、本実施形態において、第2の実施形態の変形例のように、固定部に抵抗膜または中間部材を設けてもよい。
【0100】
(第8の実施形態)
図20は、第8の実施形態のガス絶縁開閉装置の要部を示す縦断面図である。
図19に示す第7の実施形態では、シールド121および固定アーク接触子135Aが固定部145Aにおいて締結部材146の締結力によって互いに固定されている。これに対して図20に示す第8の実施形態では、シールド121Bおよび固定アーク接触子135Bが固定部145Bにおいて互いに螺合することによって固定されている点で、第7の実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第7の実施形態と同様である。
【0101】
図20に示すように、シールド121Bの周壁121Baの内周面には、めねじ122が形成されている。固定アーク接触子135Bの嵌合部137Bの外周面には、おねじ138が形成されている。固定アーク接触子135Bのおねじ138は、シールド121Bのめねじ122に螺合する。これにより、シールド121Bおよび固定アーク接触子135Bは、固定部145Bにおいて互いに固定されている。
【0102】
以上に説明した本実施形態によれば、第7の実施形態と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、シールド121Bの内周面にはめねじ122が形成され、固定アーク接触子135Bの外周面にはめねじ122に螺合するおねじ138が形成されている。この構成によれば、シールド121Bに対する固定アーク接触子135Bの軸方向の固定強度を向上させることができる。
【0103】
なお、本実施形態において、第3の実施形態の変形例または第4の実施形態のように、固定部に抵抗膜または中間部材を設けてもよい。
【0104】
(第9の実施形態)
図21は、第9の実施形態のガス絶縁開閉装置の要部を示す縦断面図である。
図21に示す第9の実施形態では、シールド121および固定アーク接触子135Cが相互に固定された固定部145Cが固定接触子部123Cに設けられている点で、第6の実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第6の実施形態と同様である。
【0105】
図21に示すように、固定アーク接触子135Cは、固定アーク接触子135Cにおける開離方向の端部に位置し、可動アーク接触子155に接触する開離方向の先端部136Cと、先端部136Cから開離方向とは反対側に延びる脚部137Cと、を備える。固定アーク接触子135Cは、先端部136Cおよび脚部137Cが連続的に一体化された単一の部材である。先端部136Cは、第6の実施形態における固定アーク接触子135と同様に形成されている。先端部136Cにおける開離方向とは反対側の端縁には、通電コイル160の第1端部161が結合している。
【0106】
脚部137Cは、通電コイル160の内側を延びている。脚部137Cは、通電コイル160に対して非接触とされている。脚部137Cは、シールド121の底壁121bに固定されるフランジ137Caと、フランジ137Caおよび先端部136Cを連結する連結部137Cbと、を備える。連結部137Cbは、通電コイル160の内側に配置されている。連結部137Cbは、軸方向に延びている。連結部137Cbは、先端部136Cと同軸の円筒状に形成されている。連結部137Cbにおける開離方向の端部は、先端部136Cにおける開離方向とは反対側の端面の内周部に接続している。フランジ137Caは、連結部137Cbにおける開離方向の端部から径方向の内側に延びている。フランジ137Caは、連結部137Cbの開口を閉塞する円板状に形成されている。フランジ137Caは、シールド121の底壁121bに開離方向から当接している。
【0107】
固定部145Cは、シールド121の底壁121bおよび固定アーク接触子135Cのフランジ137Caを締結する締結部材146Cを備える。すなわちシールド121および固定アーク接触子135Cは、固定部145Cにおいて締結部材146Cの締結力によって互いに固定されている。締結部材146Cは、軸線Cに沿って配置されている。締結部材146Cは、固定アーク接触子135Cの脚部137Cの内側に頭部が収まるように配置されている。
【0108】
以上に説明した本実施形態によれば、第6の実施形態と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のガス絶縁開閉装置101は、シールド121および固定アーク接触子135Cが相互に固定された、通電コイル160とは異なる固定部145Cを備える。この構成によれば、シールド121に対する固定アーク接触子135Cの固定強度を向上させることができるので、固定アーク接触子135Cが可動アーク接触子155に電気的に接続した際の衝撃に対する耐久性をより一層向上させることができる。
【0109】
また、固定アーク接触子135Cは、シールド121の周壁121aの内側に配置されているとともに可動アーク接触子155に接触する先端部136Cと、先端部136Cから開離方向とは反対方向に延びてシールド121の底壁121bに当接し、底壁121bに固定される脚部137Cと、を有する。この構成によれば、固定アーク接触子135Cがシールド121の底壁121bによって開離方向とは反対側から支持される。よって、シールド121に対する固定アーク接触子135Cの開離方向とは反対方向の固定強度を向上させることができる。
【0110】
しかも、脚部137Cは、通電コイル160の内側を延びている。これにより、脚部137Cを通電コイル160の鉄芯として機能させることができる。したがって、通電コイル160が発生させる磁束の増大を図ることができる。
【0111】
なお、本実施形態において、第5の実施形態の変形例のように、固定部に抵抗膜または中間部材を設けてもよい。
【0112】
上記各実施形態およびその変形例では、通電コイル60,60A,160が3次元的に螺旋状に延びるソレノイドであるが、この構成に限定されない。通電コイルは、2次元的に渦巻状に延びるコイルであってもよい。また、通電コイルは、円弧状に延びていなくてもよく、折曲しながら軸線C回りを延びていてもよい。
【0113】
上記各実施形態およびその変形例では、通電コイル60,60A,160が他の部材に対して締結されているが、この構成に限定されない。例えば、通電コイルは他の部材に対して溶接されていてもよい。
【0114】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、アーク接触子、並びに通電接触子およびシールドを含む通電経路部材とは別体に設けられ、アーク接触子および通電経路部材に結合して電気的に接続され、アークに鎖交する磁束を発生させる通電コイルを持つことにより、磁束を発生させる手段をアーク接触子内に設ける構成と比較して、アーク接触子の構造が複雑化することを抑制できる。したがって、磁界消弧形のガス絶縁開閉装置において、その構造の複雑化を抑制することができる。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0116】
1,101…ガス絶縁開閉装置、10…密閉容器、45A,45B,45C,45D,45E,45F,45G,45H,45I,145A,145B,145C…固定部、46,46G,146,146C…締結部材、47,47E,47H…抵抗膜、48,48F,48I…中間部材、48a…おねじ(第1のおねじ)、48b…めねじ(第2のめねじ)、50,50A,50D…可動通電接触子(通電経路部材)、50a…周壁部、50b…底部、52…めねじ(第1のめねじ)、56…おねじ(第2のおねじ)、57,136C…先端部、58,137C…脚部、60,60A,160…通電コイル(磁束発生部材)、121,121B…シールド(通電経路部材)、122…めねじ、130…固定通電接触子(通電経路部材)、138…おねじ、C…軸線
図1
図2
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図21