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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059044
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20230419BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20230419BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20230419BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20230419BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/22
B60N2/56
B60N3/00 Z
A47C27/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168919
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】521452902
【氏名又は名称】アディエント ユーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】乗越 理俊
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ミンホ
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
3B096
【Fターム(参考)】
3B087BD03
3B087DE09
3B088CA09
3B096AC14
(57)【要約】
【課題】リクライニング動作で、シートバックとシートクッションとの間に配策されたケーブルによる不具合が生じにくい車両用シートを提供する。
【解決手段】車両用シート(ST)は、シートクッション(91)とシートクッション(91)の後部に設けられた回動装置(3)とそれに連結するシートバックフレーム(22)とを有しシートクッション(91)に対し回動軸線(CL3)まわりに回動するリクライニング動作が可能なシートバック(92)と、シートバック(92)に収められたヒータ(83)と、回動装置(3)を覆い回動装置(3)及びシートバックフレーム(22)との間に空間(V31)を形成するよう取り付けられ回動軸線(CL3)に対応した部位に開口部(31c)を有するカバー(31)と、ヒータ(83)に対し電源を供給するケーブル(77)と、を備える。ケーブル(77)は車両(F)の側からカバー(31)の縁部(31b)を回り込んで空間(V31)に入り開口部(31c)から出てヒータ(83)に接続されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられたシートクッションと、
前記シートクッションの後部に設けられた回動装置と、
前記回動装置に連結するシートバックフレームを有し、前記シートクッションに対し回動軸線まわりの所定の角度範囲で回動するリクライニング動作が可能なシートバックと、
前記シートバックに収められたヒータと、
前記回動装置を覆うと共に前記回動装置及び前記シートバックフレームとの間に空間を形成するよう取り付けられ、前記回動軸線に対応した部位に開口部を有するカバーと、
前記ヒータに対し前記車両から電源を供給するケーブルと、
を備え
前記ケーブルは、前記車両の側から前記カバーの縁部を回り込んで前記空間に入り、前記開口部から引き出されて前記ヒータに接続されている車両用シート。
【請求項2】
前記開口部の近傍に設けられ、前記開口部から引き出された前記ケーブルを支持するケーブルクランプを備えている請求項1記載の車両用シート。
【請求項3】
前記縁部は、前記回動軸線を中心とする円弧状に形成されている請求項1又は請求項2記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、シートクッション及びシートバックと、幅方向の一方の側部に設けられ、シートバックをシートクッションに対してリクライニングさせる回動装置と、シートクッションとシートバックとの間で配策された通電用のケーブルとを備えた車両用シートが記載されている。
この車両用シートにおいて、ケーブルは、シートバック側から側部の回動装置を通してシートクッション側に引き込まれ、かつシートバックのフレーム又はシートクッションのフレームに突設されたケーブル支持具で支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5245429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された車両用シートにおいて、ケーブルは、シートバックのリクライニング動作で突っ張らないように弛みを持たせて配策される。
しかしながら、ケーブル支持具の突設位置が回動装置の回動中心から離れるほど、リクライニング動作で弛んだ部分が他部材と接触して異音が生じるなどのケーブルの配策に起因する不具合が生じ易くなる。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、リクライニング動作において、シートバックとシートクッションとの間に配策されたケーブルに起因する不具合が生じにくい車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は次の構成を有する。
1) 車両に取り付けられたシートクッションと、
前記シートクッションの後部に設けられた回動装置と、
前記回動装置に連結するシートバックフレームを有し、前記シートクッションに対し回動軸線まわりの所定の角度範囲で回動するリクライニング動作が可能なシートバックと、
前記シートバックに収められたヒータと、
前記回動装置を覆うと共に前記回動装置及び前記シートバックフレームとの間に空間を形成するよう取り付けられ、前記回動軸線に対応した部位に開口部を有するカバーと、
前記ヒータに対し前記車両からの電源を供給するケーブルと、
を備え
前記ケーブルは、前記車両の側から前記カバーの縁部を回り込んで前記空間に入り、前記開口部から引き出されて前記ヒータに接続されている車両用シートである。
2) 前記開口部の近傍に設けられ、前記開口部から引き出された前記ケーブルを支持するケーブルクランプを備えている1)に記載の車両用シートである。
3) 前記縁部は、前記回動軸線を中心とする円弧状に形成されている1)又は2)に記載の車両用シートである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リクライニング動作において、シートバックとシートクッションとの間に配策されたケーブルに起因する不具合が生じにくい、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両用シートの実施例である車両用シートSTを示す左前斜め上方からみた斜視図である。
図2図2は、車両用シートSTにおける給電経路ECを示す図である。
図3図3は、車両用シートSTにおけるケーブル配策構造HKを示す左後斜め上方から見た斜視図である。
図4図4は、シートバックをリクライニングさせる回動装置3を、カバー31及びケーブル77を取り外した状態で示す左方視の平面図である。
図5図5は、回動装置3を、カバー31及びケーブル77を取り付けた状態で示す左方視の平面図である。
図6図6は、リクライニング動作でのシートバック92の3つの位置におけるカバー31及びケーブル77の状態を示した左方視の平面図であり、図6(a)は前倒位置、図6(b)は基準位置、図6(c)は後倒位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る車両用シートを、実施例の車両用シートSTによって説明する。以下の説明における上下左右前後の各方向は、図1において矢印で規定した方向とする。
【0010】
図1は、車両用シートSTを示す左前斜め上方から見た斜視図である。
車両Fは例えば自動車である。車両Fの床FLには、前後に延び左右に平行に離隔して、一対のレール81L,81Rが敷設されている。また、レール81Lの近傍に給電ボックス82が設置されている。給電ボックス82は車両側の電源と接続されている。
【0011】
車両用シートSTは、シートクッション91,シートバック92,及びヘッドレスト93を備えている。
シートクッション91は、下部に、レール81L,81Rそれぞれに対しスライド可能に連結したシートスライダ(不図示)を有する。
シートクッション91は、レール81L,81Rに対し、前後方向に移動し任意位置でロック可能なように取り付けられている。
【0012】
シートクッション91の後部の左右一方側には、回動装置3が備えられている。この例において、回動装置3は、シートクッション91の後部の右側にある。
シートバック92は、シートクッション91が有するフレーム(不図示)の後部及び回動装置3に連結されて、矢印DR1に示されるように回動軸線CL3まわりの所定の角度範囲で回動可能、かつロック可能となっている。
所定の回動範囲は、シートバック92が直立姿勢にあるときを0°として、前方回動を負値、後方回動を正値で示すと、例えば-22°~+93°の範囲である。
【0013】
車両用シートSTは、ヒータ83及びコントロールスイッチ11を備えている。ヒータ83は、シートクッション91の内部に収容された面状の座部ヒータ831と、シートバック92の内部に収容された面状の背部ヒータ832と、座部ヒータ831と背部ヒータ832とを電気的及び機械的に連結するフレキシブルな連結部833とを含んで構成されている。
ヒータ83には、車両の床FLに配設された給電ボックス82から給電される。コントロールスイッチ11は、シートクッション91の左右の側部に設けられたサイドパネル1L,1Rの内のサイドパネル1Rに取り付けられている。車両用シートSTの着座者は、コントロールスイッチ11によってヒータ83の電源のオン/オフ及び温度調節が可能である。
【0014】
図2は、車両用シートSTにおけるヒータ83への給電経路ECを説明するためのケーブル配線図である。
図2に示されるように、車両Fの電源とヒータ83とは、給電ボックス82及び中継ボックス84を介して電気的に接続されている。具体的には、給電ボックス82と中継ボックス84との間は、ケーブル70,72,74により直列に接続されている。中継ボックス84とヒータとの間は、ケーブル75,77,79により直列に接続されている。中継ボックス84とコントロールスイッチ11との間は、ケーブル111で電気的に接続されている。
【0015】
ケーブル70とケーブル72とは、連結部71で着脱可能に接続され、ケーブル72とケーブル74とは、連結部73で着脱可能に接続されている。ケーブル75とケーブル77とは、連結部76で着脱可能に接続され、ケーブル77とケーブル79とは連結部78で着脱可能に接続されている。
連結部71は、装着及び抜去可能なレセプタクル711とプラグ712とにより接続され、連結部73は、装着及び抜去可能なレセプタクル731とプラグ732とにより接続されている。連結部76は、装着及び抜去可能なレセプタクル761とプラグ762とにより接続され、連結部78は、装着及び抜去可能なレセプタクル781とプラグ782とにより接続されている。
これにより、ヒータ83は、車両側から給電ボックス82及び中継ボックス84を介して供給される電源によって動作する。
【0016】
次に、図1図3図5とを参照して、図2で示される給電経路ECにおけるケーブルの具体的な配策構造について説明する。
【0017】
図3は、車両用シートSTにおけるケーブル配策構造HKを示す左後斜め上方から見た斜視図である。具体的には、シートクッション91とシートバック92とが連結された後方下部の概ね右半分を、斜め上左方から見た斜視図である。
図4は、シートバックをリクライニングさせる回動装置3のカバー31を取り外した状態を示す左方視の平面図であり、図5は、回動装置3を、カバー31及びケーブル77を取り付けた状態で示す左方視の平面図である。
【0018】
図1に示されるように、給電ボックス82に接続されたケーブル70と、コントロールスイッチ11に接続されたケーブル111とは、シートクッション91の下方で左右中央位置にまとめられ、座部ヒータ831の下方を通して後方側に引き出される。
【0019】
図3図5に示されるように、シートクッション91は、右側部に骨格となるサイドフレーム体15を備えている。左側部にも同様のサイドフレーム体(不図示)を備えている。
サイドフレーム体15は、外側のアウタフレーム151と内側のインナフレーム152とが重ね合わされて一体化された金属部材である。
シートクッション91の後部において、アウタフレーム151は、インナフレーム152に対して上方に延出している。この延出した部分に回動装置3が取り付けられている。
右側のサイドフレーム体15と不図示の左側のサイドフレーム体とは、左右方向に延びる管状部材である後部バー12で連結固定されている。後部バー12は、サイドフレーム体15に対し固定部12aにおいて固定されている。
【0020】
一方、シートバック92は、骨格としてシートバックフレーム22を有する。
シートバックフレーム22は、下方が開放されたコ字状に形成されている。シートバックフレーム22は、コ字状の一対の腕の下部が回動装置3の回動機構3a(図4及び図5参照)によって回動軸線CL3まわりに回動可能に支持されている。
また、図3及び図5に示されるように、シートバックフレーム22の回動装置3に連結した部分には、シートバックフレーム22の内面22aの下部を覆うように樹脂製のカバー31が取り付けられている。
【0021】
カバー31は、図3及び図5において下方側となる略半体が、扁平の椀状に形成された椀状部31dとされ、上方側となる部分が、椀状部31dに接続してシートバックフレーム22に沿って延びる直状部31eとされている。
カバー31は、直状部31eの上部に形成されシートバックフレーム22を抱え込む腕部31e1(図3参照)と、不図示の係合部とによって、シートバックフレーム22に対し嵌め込み装着されている。
【0022】
カバー31は、椀状部31dの内面側(左面側)における回動軸線CL3に対応した部分に、略円形の開口部31c(図5参照)を有する。開口部31cから直状部31eの先端部31e2まで、切込みとしてスリット31aが形成されている。
図5に示されるように、スリット31aにおける開口部31cの近傍において、開口部31cの開口縁部が延ばされた一対の狭幅部31a1が形成されている。これにより、スリット31aの幅は、一対の狭幅部31a1において狭くなっている。スリット31aの狭幅部31a1以外の部分の幅は一定である。
【0023】
また、カバー31は、その内面31f(図3参照)と、シートバックフレーム22の内面22a及び回動機構3aの突出部材3a1(図4及び図5参照)との間に、少なくともケーブル77が自由な姿勢で収容可能な空間V31が形成されるように、形状及び厚さが設定されている。
また、カバー31の椀状部31dにおける円弧状の縁部31bと、シートバックフレーム22の内面22a及び回動機構3aの突出部材3a1との間には、ケーブル77が抵抗なく通過可能なように幅方向(左右方向)の間隙H31が形成されている。
【0024】
図3及び図5に示されるように、カバー31は、開口部31cに隣接した後方側に、内側(左側)に向け筒状に突出した突出部312を有する。
突出部312には、不図示の孔が形成され、この孔には、ケーブルを保持するためのケーブルクランプ311がスナップフィットなどにより取り付けられている。
【0025】
図3に示されるように、シートクッション91は、後部バー12の後方やや下側に、左右それぞれに設けられたインナフレーム152を繋ぐ板状の後部ロアパネル14を有する。後部ロアパネル14には、板状のブラケット13が固定されている。
シートバック92は、回動軸線CL3に対しシートバック92の先端側に向かって離隔した位置に、コ字状のシートバックフレーム22の一対の腕部同士を連結する管状部材であるシートバックバー23を有する。
シートバックバー23は、左右方向の中央部位に、2段曲げで下方に向かって突出するよう形成された折り曲げ部23aを有する。
折り曲げ部23aには、板状の保持パネル231が取り付けられている。
【0026】
車両用シートSTにおける上述の構造に対し、図2に示された給電経路ECは、以下のケーブル配策構造HKによって搭載される。
図1において、座部ヒータ831の下方を通じて後方に引き出されたケーブル70は、連結部71でケーブル72に繋がれており、そのケーブル72が図3に示されている。
ケーブル72は、ケーブル74に連結部73で接続され、ケーブル74は中継ボックス84に繋がれている。中継ボックス84には、ケーブル111も繋がれている。
【0027】
中継ボックス84からは、ケーブル75が引き出され、連結部73によってケーブル77に接続されている。ケーブル77は、ブラケット13の右端部に取り付けられたケーブルクランプ131によって支持されている。
ケーブルクランプ131に支持されたケーブル77は、さらに右方に延び、カバー31における椀状部31dの円弧状の端部となる縁部31bから回り込んでカバー31の内側に通されている。
【0028】
カバー31の内側に通されたケーブル77は、カバー31の内部の空間V31を通って開口部31cから外側に延出している。開口部31cから延出したケーブル77は、開口部31cに近接した位置でケーブルクランプ311に支持されて開口部31cからの引き出し姿勢が維持される。
また、開口部31cに通されたケーブル77は、一対の狭幅部31a1によってスリット31aの幅が狭く通過しにくくなっていることにより、スリット31a側に移動しにくく、開口部31c内で位置が維持される。
【0029】
ケーブル77は、ケーブルクランプ311からさらに左方向に延び、連結部78においてケーブル79に接続している。
ケーブル79は、保持パネル231に取り付けられたケーブルクランプ232に支持されてヒータ83に対し背部ヒータ832の接続部832aで接続される。
【0030】
このケーブル配策構造HKにおける、リクライニング動作でのカバー31とケーブル77の姿勢について、図6を参照して説明する。図6は、リクライニング動作でのシートバック92の3つの位置におけるカバー31とケーブル77の状態を示した左方視の平面図であり、図6(a)は前倒位置、図6(b)は基準位置、図6(c)は後倒位置を示す図である。
【0031】
図6において、角度θa~角度θcは、シートバック92のリクライニング動作での鉛直方向に対する傾斜角度を示している。既述のように、鉛直方向となる直立姿勢に対し前側を負値、後方側を正値とする。図6(a)は、シートバック92を最前に倒した位置を示しており、角度θaは-22°である。図6(b)はシートバック92の通常状態となる基準位置を示しており、角度θbは+25°である。図6(c)は、シートバック92を最も後方に倒した位置を示しており、角度θcは+93°である。
ケーブル77の一端に取り付けられたプラグ762の近傍部位は、ケーブルクランプ131で支持されている。
【0032】
図6(a)~図6(c)に示されるように、ケーブル77の、ケーブルクランプ131からカバー31の縁部31bから内部に引き込まれるまでの部分は、ケーブルクランプ131で支持されていることから実質的に位置及び姿勢は変わらない。
リクライニング動作に伴って、カバー31が回動軸線CL3まわりに回動することにより、ケーブル77における開口部31cからケーブルクランプ311までの部分が回動軸線CL3まわりに回動する。すなわち、ケーブル77において開口部31cを通る部分は実質的に捩れるのみであり、開口部31cから出てケーブルクランプ311で支持されるまでの部分が小さい半径の円内で回動する。
【0033】
このように、車両用シートSTのケーブル配策構造HKおいて、ケーブル77における、中継ボックス84からカバー31の内部に引き込まれる部分は、カバー31の下側の、回動軸線CL3を概ね中心位置とする円弧状の縁部31bから回り混んで内側に入り込んでいる。そのため、シートバック92をリクライニング動作させて回動軸線CL3まわりに回動させても、ケーブル77は回動するカバー31の縁部31bを滑るのみであって、その姿勢自体に変化はほとんど生じない。
これにより、シートバック92をリクライニング動作させて回動軸線CL3まわりに回動させても、ケーブル77におけるカバー31から中継ボックス84側の部分が他部材に接触して異音が出るというような不具合は生じない。
【0034】
ケーブル77においてカバー31からヒータ83に向けて引き出された部分は、回動軸線CL3を中心とする開口部31cから引き出されている。
これにより、シートバック92をリクライニング動作させて回動軸線CL3まわりに回動させても、ケーブル77の開口部31cを通る部分は捩じれるだけで実質的に位置はかわらず、ケーブルクランプ311で支持された部分がわずかに回動するのみで姿勢自体に変化はほとんど生じない。これにより、ケーブル77が他部材に接触して異音が出るというような不具合は生じない。
【0035】
このように、シートバック92のリクライニング動作において、ケーブル77は、カバー31の内部に縁部31bを回り込んで引き込まれるまでの中継ボックス84側の部分の姿勢に変化がなく、カバー31から開口部31cを通って外部に引き出された後の部分の姿勢に大きな変化はない。
そのため、リクライニング動作中、ケーブル77におけるカバー31の内部の部分の姿勢にも変化はほとんど生じない。仮に姿勢変化が生じてもカバー31の内部で動くのみに抑えられる。
従って、車両用シートSTにおけるケーブル配策構造HKは、リクライニング動作において、シートバックとシートクッションとの間に配策されたケーブルに起因する不具合が生じにくい。
【0036】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形可能である。
カバー31は、突出部312を備えていなくてもよい。その場合、ケーブルクランプ311は、カバー31の椀状部31dにおける開口部31cの近傍部位に取り付けられていればよい。
リクライニング動作の回動角度範囲は、上述の-22°~+93°に限定されない。特に前倒は、-90°程度まで可能であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1L,1R サイドパネル
11 コントロールスイッチ
111 ケーブル
12 後部バー
12a 固定部
13 ブラケット
131 ケーブルクランプ
14 後部ロアパネル
15 サイドフレーム体
151 アウタフレーム
152 インナフレーム
22 シートバックフレーム
22a 内面
23 シートバックバー
23a 折り曲げ部
231 保持パネル
232 ケーブルクランプ
3 回動装置
3a 回動機構
3a1 突出部材
31 カバー
31a スリット
31a1 狭幅部
31b 縁部
31c 開口部
31d 椀状部
31e 直状部
31e1 腕部
31e2 先端部
31f 内面
311 ケーブルクランプ
312 突出部
70,72,74,75,77,79 ケーブル
71,73,76,78 連結部
711,731,761,781 レセプタクル
712,732,762,782 プラグ
81L,81R レール
82 給電ボックス
83 ヒータ
831 座部ヒータ
832 背部ヒータ
832a 接続部
833 連結部
84 中継ボックス
91 シートクッション
92 シートバック
93 ヘッドレスト
CL3 回動軸線
EC 給電経路
F 車両
FL 床
HK ケーブル配策構造
H31 間隙
ST 車両用シート
V31 空間
θa,θb,θc 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6