(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059172
(43)【公開日】2023-04-26
(54)【発明の名称】肌貼付用フィルムの転写シート及び肌貼付用フィルムの転写方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20230419BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230419BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20230419BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20230419BHJP
A45D 44/00 20060101ALI20230419BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20230419BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q19/00
A61K8/85
A45D44/22 Z
A45D44/00 Z
B32B27/12
B32B27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169146
(22)【出願日】2021-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 和代
【テーマコード(参考)】
4C083
4F100
【Fターム(参考)】
4C083AD091
4C083AD092
4C083CC02
4C083DD12
4C083EE05
4C083EE12
4F100AJ04
4F100AK01A
4F100AK41
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA31A
4F100BA31B
4F100DG15
4F100GB66
4F100JA07
4F100JC00A
4F100JK06
4F100JL11
4F100JL11A
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】付着性が早期に発現することで、擦っても肌から剥がれ難くなる肌貼付用フィルムの転写シート及び肌貼付用フィルムの転写方法を提供する。
【解決手段】平均質量が0.1g/m
2以上4.0g/m
2以下である高分子材料から構成される肌貼付用フィルムと肌貼付用フィルムを支持する支持基材とを備える、吸液性を有する転写シートであって、支持基材の目付量は10g/m
2以上200g/m
2以下であり、支持基材の肌貼付用フィルムを支持する側の面のうち、肌貼付用フィルムが設けられていない領域の面積である余白面積が、支持基材面積に対して1%~90%であることを特徴とする転写シート。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均質量が0.1g/m2以上4.0g/m2以下である高分子材料から構成される肌貼付用フィルムと
前記肌貼付用フィルムを支持する支持基材とを備える、吸液性を有する転写シートであって、
前記支持基材の目付量は10g/m2以上200g/m2以下であり、
前記支持基材の前記肌貼付用フィルムを支持する側の面のうち、前記肌貼付用フィルムが設けられていない領域の面積である余白面積が、前記支持基材面積に対して1%~90%であることを特徴とする転写シート。
【請求項2】
前記支持基材の目付量は20g/m2以上50g/m2以下であり、
前記余白面積が、前記支持基材の前記肌貼付用フィルムを支持する側の面の面積に対して5%~60%であることを特徴とする、請求項1に係る転写シート。
【請求項3】
前記支持基材の構成材料には、吸液性フィルム、織物、編物、および、不織布の少なくとも1つが含まれる、請求項1または2に記載の転写シート。
【請求項4】
前記肌貼付用フィルムは、主成分が生体適合性樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の転写シート。
【請求項5】
前記肌貼付用フィルムは前記支持基材よりも面積が小さく、前記肌貼付用フィルムの端縁が前記支持基材の端縁と接していないことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の転写シート。
【請求項6】
前記肌貼付用フィルムは前記支持基材よりも面積が小さく、前記肌貼付用フィルムの端縁が前記支持基材の端縁と部分的に接していることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の転写シート。
【請求項7】
前記肌貼付用フィルムと接する部分の前記支持基材の目付量は、前記肌貼付用フィルムと接していない部分の前記支持基材の目付量より小さいことを特徴とする請求項1~6に記載の転写シート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の転写シートを用いた肌貼付用フィルムの転写方法であって
前記肌貼付用フィルムにおける前記支持基材に接する面とは反対側の面を被転写体に接触させることと、
前記被転写体上に配置された前記転写シートに吸液させることと、
前記転写シートが吸液した状態で、前記肌貼付用フィルムから前記支持基材を剥離することと、を含む肌貼付用フィルムの転写方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌貼付用フィルムを肌に貼り付けるための転写シート及び肌貼付用フィルム転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数nm~数μm程度の厚さを有した肌貼付用フィルムは、生体器官の表面に対する密着性を有するため、肌貼付用フィルムを臓器や皮膚等に貼り付けて利用することが試みられている。例えば、非特許文献1では、肌貼付用フィルムを創傷の被覆材として利用可能であることが報告されている。またスキンケアやメイクアップの補助のために肌に貼り付けることも提案されている。さらに、特許文献1では、肌貼付用フィルムを肌に貼り付けた後に、肌貼付用フィルムの上から化粧料を塗布する美容方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T.Fujie et al.,Adv.Funct.Mater .,2009年,19巻,2560~2568頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルムは薄膜のため、肌にフィルムを転写すると肌のキメにフィルムが追従し、接着剤なしで貼付することができる。フィルム上に化粧料を塗布してもフィルムの形状が目立たず、自然な仕上がりとなる。フィルムを肌に貼付する際に液体等、例えば水や化粧水が必要になる。そのため、液体が乾くまで、フィルムは肌に対して十分な付着性を発現するまでに時間を要する。付着性が不十分な時に、化粧料を塗布するために指や化粧パフなどで擦るとフィルムが肌から浮いたり、剥がれたりする現象が生じることがある。
【0006】
本発明によれば、付着性が早期に発現することで、擦っても肌から剥がれ難くなる肌貼付用フィルムの転写シート及び肌貼付用フィルムの転写方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る転写シートは、平均質量が0.1g/m2以上4.0g/m2以下である高分子材料から構成される肌貼付用フィルムと肌貼付用フィルムを支持する支持基材とを備える、吸液性を有する転写シートであって、支持基材の目付量は10g/m2以上200g/m2以下であり、支持基材の肌貼付用フィルムを支持する側の面のうち、肌貼付用フィルムが設けられていない領域の面積である余白面積が、支持基材面積に対して1%~90%であることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、貼付後に肌貼付用フィルム周辺の水分を早くなくすことで、肌貼付用フィルムの貼付対象の付着性を早期に高めることができ、かつ支持基材が肌貼付用フィルムから剥離しやすくなる。支持基材の目付量を増やすことで貼付後に存在する水をより吸液し、付着性が早く発現する。一方で、目付量を大き過ぎると不織布にコシがでて、支持基材が剥がしにくくなる。また、余白を設けることで肌貼付用フィルム周辺に存在する水を肌貼付用フィルムのサイドから早く吸収し、被転写体と肌貼付用フィルムに介在する水をより早く除去することができる。一方で、余白面積が大きいと肌貼付用フィルムと接していない支持基材部が吸液により大きく変形し、その影響で肌貼付フィルムが引っ張られ、貼付時にシワが入り転写性が低下することがある。以上から、周辺の水を早く除去するためには、上記条件に該当する目付量と余白の両方を兼ね備えることで、貼付対象への転写性を低下させることなく、付着性を早期に発現させることができる。
【0009】
支持基材の目付量は20g/m2以上50g/m2以下であり、余白面積が、支持基材の肌貼付用フィルムを支持する側の面の面積に対して5%超~60%であることを特徴とする
【0010】
上記構成によれば、貼付後に肌貼付用フィルム周辺の水分を早くなくすことで、肌貼付用フィルムの貼付対象の付着性をより早期に高めることができ、かつ支持基材が肌貼付用フィルムからより剥離しやすくなる。
【0011】
上記構成において、支持基材の構成材料には、吸液性フィルム、織物、編物、および、不織布の少なくとも1つが含まれてもよい。
【0012】
上記構成によれば、吸液性を有する支持基材が好適に実現される。
【0013】
上記構成において、肌貼付用フィルムは主成分が生体適合性樹脂であってもよい。
【0014】
上記構成において、肌貼付用フィルムは支持基材よりも面積が小さく、肌貼付用フィルムの端縁が支持基材の端縁と接していない。
【0015】
上記構成によれば、貼付後にある肌貼付用フィルム周辺に存在する水を肌貼付用フィルムのサイドから更に効率的に吸収することができ、被転写体と肌貼付用フィルムとの間に介在する水をより早く除去することができる。
【0016】
上記構成において、肌貼付用フィルムは支持基材よりも面積が小さく、肌貼付用フィルムの端縁が支持基材の端縁と部分的に接している。
【0017】
上記構成によれば、貼付後にある肌貼付用フィルム周辺に存在する水を肌貼付用フィルムのサイドから水を早く吸収し、被転写体と肌貼付用フィルムとの間に介在する水をより早く除去することができ、かつ部分的に接していることで肌貼付用フィルムと支持基材の乖離を防ぎ肌に貼付する際の転写不良を軽減することができる。
【0018】
上記構成において、肌貼付用フィルムと接する部分の支持基材の目付量は、肌貼付用フィルムと接していない部分の支持基材の目付量より小さい。
【0019】
上記構成によれば、貼付後に肌貼付用フィルム周辺に存在する水の吸液性をより高めることができる。
【0020】
上記課題を解決する肌貼付用フィルムの転写方法は、上記転写シートを用いた肌貼付用フィルムの転写方法であって、肌貼付用フィルムにおける支持基材に接する面とは反対側の面を被転写体に接触させることと、被転写体上に配置された転写シートに吸液させることと、転写シートが吸液した状態で、肌貼付用フィルムから支持基材を剥離することと、を含む。
【0021】
上記方法によれば、吸液状態で支持基材が肌貼付用フィルムから剥離されるため、吸液による肌貼付用フィルムと支持基材との変形の程度の差に起因して、支持基材の肌貼付用フィルムからの剥離が容易になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、付着性が早期に発現することで、擦っても肌から剥がれ難くなる貼付用フィルムの転写シート及び肌貼付用フィルムの転写方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図である。
【
図3】第1形態の肌貼付用フィルムの平面構造の他の例を示す図。
【
図5】第2形態の肌貼付用フィルムの平面構造の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0025】
(肌貼付用フィルム)
図1は、一実施形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図である。
図1に示すように、肌貼付用フィルム10は、第1面11Fおよび第2面11Rを備えている。便宜上、第1面11Fを後述する支持部20Aと接する面、第2面11Rを肌と接触する面とする。
【0026】
肌貼付用フィルム10を質量で表すと、肌貼付用フィルム10の単位面積あたりの平均質量は、0.1g/m2以上4.0g/m2以下である。このときの肌貼付用フィルム10の密度は、例えば1g/cm3以上3g/cm3以下である。平均質量は、例えば、肌貼付用フィルム10における任意の三箇所の各々を、平面視にて一辺が100mmの正方形形状の膜片に切り出し、精密天秤で測定した三つの膜片の質量の平均値を100倍することにより求められる。
【0027】
平均質量が0.1g/m2以上であることにより、肌貼付用フィルム10の強度が十分に確保されるため、肌への貼り付けに際して肌貼付用フィルム10が破れることが抑えられる。また、平均質量が4.0g/m2以下であることにより、肌貼付用フィルム10の肌に対する密着性が十分に得られる。そして、肌貼付用フィルム10を肌に貼り付けたときに、肌貼付用フィルム10に皺が発生することや使用者に違和感が生じることが抑えられる。なお、平均質量は、肌貼付用フィルム10が、添加剤として、例えばオイル等の可塑剤として機能する成分や、各種の樹脂成分や、粒子等を含有している場合に大きくなる。添加剤を含有しない場合には、肌貼付用フィルム10の単位面積あたりの平均質量は、0.1g/m2以上2.0g/m2以下であることが好ましい。
【0028】
肌貼付用フィルム10の主成分としては、生体適合性樹脂が用いられてもよく、例えばポリ乳酸、ポリカプロラクトン、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の高分子材料、これらの高分子材料の共重合体、アクリルウレタン共重合体等が挙げられる。肌貼付用フィルム10の材料における分子量の制限は特になく、肌貼付用フィルム10は、所定の平均分子量を有する一種類の材料から構成されていてもよいし、互いに異なる平均分子量を有する複数種類の材料から構成されてもよい。
【0029】
以下、上述した肌貼付用フィルム10、および、肌貼付用フィルム10を備える転写シート30の具体的な構造の例として、第1形態、第2形態を順に説明する。なお、図面においては、肌貼付用フィルム10の厚さを誇張して示している。
【0030】
[第1形態]
(転写シートの構成)
図2は、第1形態の転写シートの断面構造を示す図であり、
図3は、第1形態の肌貼付用フィルムの平面構造の他の例を示す図である。第1形態の転写シート30Aは、支持基材20Aと、支持基材20Aの一方の面に設けられた肌貼付用フィルム10Aと、を備える。
【0031】
吸液性を有する支持基材20Aを構成可能であれば、支持基材20Aの材料は限定されない。吸液性の的確な発現のためには、支持基材20Aは、その少なくとも一部が、吸液性フィルム、織物、編物、および、不織布のいずれかから構成されていることが好ましい。
【0032】
吸液性フィルムの材料としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリシロキサン類、セルロース、カゼイン等の各種のたんぱく質、ゴム、これらの高分子化合物の変性体や共重合体や混合物が挙げられる。吸液性フィルムは、エンボス加工、穴あけ加工、発泡等による多孔質化等の加工が施されたフィルムであってもよい。
【0033】
織物、編物、および、不織布は、天然繊維もしくは化学繊維から構成される。天然繊維としては、綿、麻、パルプ、毛、絹等を用いることができる。化学繊維としては、ポリエステル、ポリオレフィン、キュプラ、レーヨン、リヨセル、アセテート、ジアセテート、ナイロン、アラミド、アクリル等からなる繊維を用いることができる。また、支持基材20Aは、天然繊維と化学繊維とが混合された繊維材料から構成されていてもよい。こうした繊維からなる支持基材20Aは、エンボス加工、穴あけ加工、発泡等による繊維の多孔質化等の加工が施されていてもよい。また、支持基材20は紙であってもよい。
【0034】
支持基材20Aの目付けは、10g/m2以上200g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上60g/m2以下、あるいは20g/m2以上50g/m2以下であることがより好ましい。支持基材20Aの目付けが上記下限値以上であれば、静電気や気流に起因して縒れ等の変形が生じ難くなる程度の剛性を支持基材20が有する。そのため、肌貼付用フィルム10Aを対象基材(例えば肌等)に貼付する際に、その剛性(コシ)のため支持基材20Aが肌貼付用フィルム10Aから剥離しやすくなる。また、支持基材20Aの目付けが上記上限値以下であれば、支持基材20Aにおいて繊維が詰まりすぎないため、支持基材20Aの吸液とこれに伴う形状の変化とが円滑に進む。なお、肌貼付用フィルムと接する部分の支持基材の目付量は、肌貼付用フィルムと接していない部分の支持基材の目付量より小さいことが好ましい。これにより、転写シート30を被転写体に貼付した後に、肌貼付用フィルム10Aの周辺に存在する水の吸液性をより高めることができる。
【0035】
また、転写シート30A内において肌貼付用フィルム10Aの端縁と支持基材20Aの端縁は接していない。そして、支持基材20Aの肌貼付用フィルム10Aを支持する側の面において、肌貼付用フィルム10Aが設けられていない領域21Aが、支持基材20Aの縁に沿って形成される。すなわち、支持基材20Aは、その一方の面のうち、周縁部を除いた部分以外に肌貼付用フィルム10A設けられる。このとき、領域21Aの面積(余白面積)は支持部材20Aの一方の面の面積に対して1%~90%が好ましく、5%~60%、あるいは10%~55%であることがより好ましい。1%未満の場合は吸液性の効果が発現しにくく、90%を超える場合は肌貼付用フィルム10Aと接していない支持基材20Aが吸液により膨張して、波打つようなシワが多数発生し大きく変形する。肌貼付用フィルム10Aと支持基材20Aとが接触しているため、支持基材の変形影響を受け、肌貼付用フィルム10Aが引っ張られ、貼付時にシワが入り転写性が低下することがある。より好適なのは、領域21Aの面積が支持部材20Aの一方の面の面積に対して20%~55%である。この範囲であれば、吸液も十分に行われ、支持基材20Aの変形影響による肌貼付性フィルム10Aの転写性は低下しにくい。
【0036】
なお、
図3のように、転写シート30Aは、肌貼付用フィルム10Aの第2面11Rを覆う保護層40を備えていてもよい。保護層40は、第2面11Rを保護する機能を有する。保護層40は、例えば、支持基材20Aの材料として例示した上述の材料から構成されればよい。保護層40と支持基材20Aとの材料は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0037】
[第2形態]
第2形態の肌貼付用フィルム10Bおよび転写シート30Bについて、第1形態との相違点を中心に
図4をもとに説明する。
図4は、第2形態の転写シートの断面構造を示す図であり、
図5は、第2形態の肌貼付用フィルムの平面構造の他の例を示す図である。第2形態の転写シート30Bは、支持基材20Bと、支持基材20Bの一方の面に設けられた肌貼付用フィルム10Bと、を備える。なお、支持基材20Bを構成する材料は第1形態の支持基材20Aと同様のものを用いることができるため、説明を省略する。
【0038】
転写シート30B内において肌貼付用フィルム10Bの端縁と支持基材20Bの端縁は部分的に接している。そして、支持基材20Bの肌貼付用フィルム10Bを支持する側の面において、肌貼付用フィルム10Bが設けられていない領域21Bが、支持基材20Bの縁に沿って部分的に形成される。すなわち、支持基材20Bは、その一方の面のうち、周縁部の一部を除いた部分以外に肌貼付用フィルム10Bが形成される。このとき、領域21Bの面積(余白面積)は支持部材20Bの一方の面の面積に対して1%~90%が好ましく、5%~60%、あるいは10%~55%であることがより好ましい。1%未満の場合は吸液性の効果が発現しにくく、90%を超える場合は肌貼付用フィルムと接していない支持基材20Bが吸液により膨張して、波打つようなシワが多数発生し大きく変形する。肌貼付用フィルム10Bと支持基材20Bとが接触しているため、支持基材の変形影響を受け、肌貼付用フィルム10Bが引っ張られ、貼付時にシワが入り転写性が低下することがある。より好適なのは、肌貼付用フィルム10Bが無く支持基材20Bのみの箇所21Bの面積が支持部材20Aの一方の面の面積に対して20~55%である。この範囲であれば、吸液も十分に行われ、支持基材20Bの変形影響による肌貼付性フィルム10Aの転写性は低下しにくい。肌貼付用フィルム10Bの周辺の縁と支持基材20Bの周辺の縁が部分的に接していることで、肌貼付用フィルム10Bと支持基材20Bの乖離を防ぎ肌に貼付する際の転写不良を軽減することができる。
【0039】
なお、
図5のように、転写シート30Bは、肌貼付用フィルム10Bの第2面11Rを覆う保護層40を備えていてもよい。保護層40は、第2面11Rを保護する機能を有する。保護層40は、例えば、支持基材20B材料として例示した上述の材料から構成されればよい。保護層40と支持基材20Bとの材料は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0040】
(肌貼付用フィルム、及び転写シートの製造方法)
肌貼付用フィルム10(10A、10B)、及び転写シート30(30A、30B)の製造方法の一例を説明する。なお、上述した構成の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を形成可能であれば、肌貼付用フィルム10、及び転写シート30は、下記の製造方法とは異なる方法によって製造されてもよい。
【0041】
まず、成膜用基材の表面に、肌貼付用フィルム10を形成する。成膜用基材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、水溶性樹脂、金属酸化物、金属等から構成された基材が用いられる。成膜用基材は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂からなる基材、こうした樹脂基材に対して延伸加工や離型処理やマット加工が施された基材である。あるいは、成膜用基材として、ガラス、石英、アルミニウム等の無機物からなる基材や、こうした無機物からなる基材に対して離型処理やマット加工を施した基材が用いられてもよい。
【0042】
肌貼付用フィルム10の材料が溶媒に溶かされた塗液が、成膜用基材の表面に塗布され、その塗膜が乾燥されることによって、肌貼付用フィルム10が形成される。樹脂を溶解させた溶液に添加剤を混合し目的の濃度の樹脂と添加剤の塗液を作製するが好ましい。肌貼付用フィルム10の生体適合性樹脂に対する添加剤の配合量は、0.01重量%以上30.0重量%以下の範囲であり、1.0重量%以上15.0重量%以下の範囲がより好ましい。上記溶媒としては、肌貼付用フィルム10の材料の特性に応じて、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトンやエチルメチルケトン等のケトン系溶剤、トルエンやヘキサン等の非極性溶剤等が用いられる。溶媒は樹脂及び添加剤に対して相溶性のある溶媒が好ましい。溶媒は単一溶媒でも他種の有機溶剤の混合溶液でもよく特に限定されない。
【0043】
塗液の塗布方法は、塗液の塗布量を精密に制御可能な方法であれば特に限定されない。塗布方法としては、例えばグラビア法、マイクログラビア法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、シルクスクリーン法、ダイコーティング法、及びカーテンコーティング法のいずれかが利用されることが好ましい。
【0044】
成膜用基材を支持基材20(20A、20B)として用いてもよいし、支持基材20とは異なる基材を成膜用基材として用い、成膜用基材上に形成した肌貼付用フィルム10を支持基材20上へ転写してもよい。転写方法としては、吸引による剥離を利用する方法や犠牲膜を利用する方法等、公知の転写方法が用いられればよい。
【0045】
(肌貼付用フィルムの貼付方法)
肌貼付用フィルム10の貼付方法、すなわち、転写シート30を用いた肌貼付用フィルム10の転写方法を説明する。以下では、支持基材20として多孔質基材を用い、支持基材20を湿潤させて肌貼付用フィルム10を肌に転写する方法について説明する。
【0046】
まず、肌における肌貼付用フィルム10の貼付箇所に、水等の液体を供給する。供給される液体である供給液は、転写シート30に湿潤可能な液体であればよく、具体的には、水を含む液体、あるいはマッサージオイル等の油類であればよい。例えば、供給液としては、水や、化粧水等の化粧料を用いることができる。
【0047】
続いて、転写シート30を、肌貼付用フィルム10を貼付箇所に接するように、肌上に配置する。そして、支持基材20の上から、転写シート30を指等で押圧することにより、供給液を支持基材20にまで浸透させる。
【0048】
続いて、肌貼付用フィルム10から支持基材20を剥離する。これにより、肌貼付用フィルム10の肌への貼り付けが完了する。転写シート30が湿潤することによって、多孔質基材である支持基材20が膨張することや、支持基材20と肌貼付用フィルム10との間まで供給液が浸入すること等に起因して、支持基材20が肌貼付用フィルム10から剥がれやすくなると考えられる。
【0049】
なお、上記転写方法においては、肌上に転写シート30を配置する前に、肌に供給液を供給する方法を例示したが、肌上に転写シート30を配置した後に、供給液が転写シート30に対して供給されてもよい。また、転写シート30を湿潤させずに、支持基材20を肌貼付用フィルム10から剥離してもよい。この場合、支持基材20は多孔質基材でなくてもよい。
【0050】
また、肌貼付用フィルム10は、化粧料が塗布された肌に対して化粧料の上から貼り付けられてもよいし、化粧料が塗布されていない肌に貼り付けられてもよい。さらに、肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられた後に、肌貼付用フィルム10の上から化粧料が塗布されてもよい。肌貼付用フィルム10は、肌の保湿等によりスキンケアを補助し、あるいは、化粧下地等としてメイクアップを補助する。
【実施例0051】
上述した肌貼付用フィルム10、及び転写シート30について、具体的な実施例、及び比較例を用いて説明する。
【0052】
(実施例1)
DL-ポリ乳酸(武蔵野化学研究所社製、重量平均分子量10万)を、5質量%となるように酢酸エチルに溶解して、肌貼付用フィルム10の形成のための塗液を生成した。成膜用基材としてシリコーン離型ポリエチレンテレフタレートを用いて、成膜基材上に、ダイレクトグラビア法で、上記塗液を直径30mmの円形のパターンに塗布した。塗膜を熱風乾燥して、乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。以上の工程では、肌貼付用フィルム10を乾燥後の平均質量が0.75g/m2となるように形成した。
【0053】
続いて、支持基材20として不織布(フタムラ化学社製)を肌貼付用フィルム10に積層し、成膜用基材を剥離して、肌貼付用フィルムを成膜用基材から支持基材20に転写した。不織布の主成分はセルロースであり、目付けは20g/m2である。転写シート内において、肌貼付用フィルム10が設けられていない領域21(21A、21B)の面積(以下、余白面積という)が支持部材20の一方の面の面積に対して0%になるように、つまり肌貼付用フィルム10と同形状に支持基材を断裁し、実施例1の肌貼付用フィルム10及び、転写シート30を得た。なお、断裁は型抜き等の方法によって行われ、転写シート30が直径10mmの円形状になるように外形を整えた。
【0054】
(実施例2)
不織布の目付量を35g/m2とした以外は、実施例1と同様の工程を用いて、実施例2の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0055】
(実施例3)
DL-ポリ乳酸(武蔵野化学研究所社製、重量平均分子量10万)を、5質量%となるように酢酸エチルに溶解して、肌貼付用フィルム10の形成のための塗液を生成した。成膜用基材としてシリコーン離型ポリエチレンテレフタレートを用いて、成膜基材上に、ダイレクトグラビア法で、上記塗液を直径30mmの円形のパターンに塗布した。塗膜を熱風乾燥して、乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。以上の工程では、肌貼付用フィルム10を乾燥後の平均質量が0.75g/m2となるように形成した。
【0056】
続いて、支持基材20として不織布(フタムラ化学社製)を肌貼付用フィルム10に積層し、成膜用基材を剥離して、肌貼付用フィルム10を成膜用基材から支持基材20に転写した。不織布の主成分はセルロースであり、目付けは35g/m2である。余白面積が支持部材20の一方の面の面積に対して31%になるように断裁し、実施例3の肌貼付用フィルム10及び、転写シート30を得た。
【0057】
(実施例4)
余白面積が支持部材20の一方の面の面積に対して53.6%になるように断裁した以外は、実施例3と同様の工程を用いて、実施例4の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0058】
(実施例5)
余白面積が支持部材20の一方の面の面積に対して89%になるように断裁した以外は、実施例3と同様の工程を用いて、実施例5の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0059】
(実施例6)
不織布の目付量を40g/m2とした以外は、実施例1と同様の工程を用いて、実施例6の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0060】
(実施例7)
不織布の目付量を40g/m2とし、余白面積が支持部材20の一方の面の面積に対して31%になるように断裁した以外は、実施例3と同様の工程を用いて、実施例7の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0061】
(実施例8)
不織布の目付量を50g/m2とした以外は、実施例1と同様の工程を用いて、実施例8の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0062】
(実施例9)
不織布の目付量を150g/m2とした以外は、実施例1と同様の工程を用いて、実施例9の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0063】
(比較例1)
不織布の目付量を5g/m2とした以外は、実施例1と同様の工程を用いて、比較例1の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0064】
(比較例2)
不織布の目付量を35g/m2とし、余白面積が支持部材20の一方の面の面積に対して95%になるように断裁した以外は、実施例3と同様の工程を用いて、比較例2の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0065】
(比較例3)
不織布の目付量を250g/m2とした以外は、実施例1と同様の工程を用いて、比較例3の肌貼付用フィルム10、及び転写シート30を得た。
【0066】
(評価方法)
<密着性評価、剥がれ抑制までにかかる時間>
人工皮革(イデアテックスジャパン社製:サプラーレ)の表面を液体(化粧水)で湿らせて、実施例1~9および比較例1~3で作製した転写シート30を肌貼付用フィルム10が人工皮革と接するように貼った後、静かに支持基材20を取り除き、肌貼付用フィルム10を人工皮革上に貼付した試料を作製した。一定時間乾燥後、人工皮革上に貼付した肌貼付用フィルム10の端部を化粧パフで一定荷重166gをかけ、肌貼付用フィルム10の端部から一方向に全体を擦るように一度塗擦した。
【0067】
塗擦前後で試料の画像を撮影し、人工皮革上に貼付された試料面積を画像処理から算出し数値化した。塗擦前の肌貼付用フィルム面積に対して塗擦後の肌貼付用フィルムがどのくらいの割合で剥がれたか、を剥がれ割合(%)として算出した。この数値が大きいほど、剥がれ面積が大きいこととなる。剥がれ割合の数値が0以上1.5未満の範囲であれば剥がれが起きにくいとして「〇」、数値が1.5以上~15未満あれば、剥がれがわずかにおきたとして「△」、数値が15以上のものを、剥がれが起きたものとして「×」として評価した。
【0068】
密着性評価が「○」の時は人工皮革と肌貼付用フィルムの密着強度は、この後測定する密着強度の測定方法で250mN以上であった。これ以上の数値であれば、剥がれ難くいことがわかった。この結果から、剥がれが抑制されるのは密着強度が250mN以上の時であり、この数値に早く到達するまでの時間、つまり剥がれ抑制までにかかる時間を評価した。この剥がれ抑制までにかかる時間は、乾燥時間15分、30分、1時間、2時間、3時間での密着強度の測定結果から、250mNになる(乾燥)時間を算出した。時間が1.5時間以下であれば「〇」、1.5時間より大きいと「△」、3時間以上を「×」とした。
【0069】
<密着強度>
密着強度は、下記の方法によって測定した。なお、乾燥した状態とは、温度が-10℃以上45℃以下、湿度が0%以上99%以下の環境下におかれ、かつ、人工皮革上に貼付された肌貼付用フィルム10の表面にべたつきがなく、積極的に水分が供給されていない状態を示す。
【0070】
1)実施例1~9および比較例1~3で作製した転写シートを型抜き等の方法によって直径10mmの円形状に外形を整えた転写シート10を用意する。
2)人工皮革上に液体(化粧水、敏感肌用 さっぱりタイプ、株式会社良品計画製)25μlを滴下し、その上に肌貼付用フィルムが液体側になるように実施例1~9および比較例1~3で作製した転写シートを設置した。その後、液体が支持基材に十分に染み渡ったら支持基材のみを剥離し、3時間乾燥させて評価サンプルを作製した。
3)測定台に評価サンプルを両面テープ(ニチバン社製:ナイスタック スポンジ両面テープ スポンジタイプ,NW-P15)で固定した。
4)卓上圧縮・引張試験機(島津製作所社製:EZ-Test、ロードセル:100N)を利用し、両面テープ(ニチバン社製:ナイスタック スポンジ両面テープ スポンジタイプ,NW-P15)を用いて密着強度を測定した。圧縮速度20mm/min、圧力3Nで、3秒間、上記3)で準備した円柱圧子を、上記3)の測定台上の人工皮革上に貼付された肌貼付フィルム上に押し付けた後、上記円柱圧子を、剥離速度10mm/minで垂直に持ち上げた。
5)肌貼付フィルム10が人工皮革からから剥離したときのピーク強度(mN)のデータを取得し、その値を密着強度とする。
【0071】
<転写性>
人工皮革上に液体(化粧水、敏感肌用 さっぱりタイプ、株式会社良品計画製)25μlを滴下し、その上に肌貼付用フィルムが液体側になるように実施例1~9および比較例1~3で作製した転写シート30を設置した。その後、液体が支持基材20に十分に染み渡ったら支持基材20のみを剥離し、肌貼付用フィルム10を人工皮革上に貼付し試料を作製した。支持基材20を取り除く際に、肌貼付用ナノフィルム10にシワがはいらずきれいに貼付できたら「○」、シワが入った場合を「△」、支持基材20につられて肌貼付用フィルム10が人工皮革上に貼りにくい場合を「×」とした。
【0072】
<コシ>
人工皮革の表面を液体(化粧水)で湿らせて、実施例1~9および比較例1~3で作製した転写シート30を肌貼付用フィルム10が人工皮革と接するように貼った後、静かに支持基材20を取り除き、肌貼付用フィルム10を人工皮革上に貼付し試料を作製した。支持基材がスムーズに肌貼付用フィルム10から剥離すれば「○」、その剛性が高いため支持基材が掴みにくい場合を「△」、支持基材から肌貼付用フィルム10が剥離しにくく人工皮革上に貼りにくい場合を「×」とした。
【0073】
<総合評価>
総合評価は、剥がれ抑制評価、転写性、コシの3つの評価において、全ての評価が「〇」のものを「◎」、「〇」が二つで「△」が一つのものを「〇」、「〇」が一つで「△」が二つのものを「△」、一つでも「×」があるものを「×」とした。
【0074】
【0075】
表1に示すように、実施例1~9及び比較例の評価結果から、余白面積部分を付与することで同じ目付量でも相対的に吸液性高まるため、剥がれが抑制するまでの時間が短縮した、つまり早期に密着が発現されることを確認した。ここで、早期とは、2時間以内とする。また、転写性の評価で支持基材を剥がす際に、余白の有無によって剥がしやすさに違いが出るかを確認したところ、余白面積を付与することで支持基材が剥がしやすくなり、肌貼付用フィルムがきれいに貼付でき、転写性が向上した。
【0076】
一方、比較例1のように目付量が10g/m2より小さいと吸液性が低下し、乾燥に時間がかかり、剥がれ抑制までに時間が必要であった。そして、十分に吸液しないため、支持基材を剥がす際に残存する水分の影響で肌貼付用フィルムと支持基材が一体化し、肌貼付用フィルムの人工皮革上への転写性が低下した。また、比較例3のように目付量が目付量が200g/m2より大きくなると支持基材にコシが出て支持基材が剥がしにくくなり、肌貼付用フィルムを貼付するときにシワが入る等、転写性が低下することを確認した。そして、比較例2のように余白面積が90%より大きいと支持基材の変形の影響により、肌貼付用にフィルムにシワが入り転写性が低下することも確認した。
【0077】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。