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特開2023-59925カプセル化された酵素を含む液体洗浄剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023059925
(43)【公開日】2023-04-27
(54)【発明の名称】カプセル化された酵素を含む液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/386 20060101AFI20230420BHJP
   C11D 17/08 20060101ALN20230420BHJP
   B01J 13/02 20060101ALN20230420BHJP
   C12N 9/20 20060101ALN20230420BHJP
   C12N 9/26 20060101ALN20230420BHJP
   C12N 9/42 20060101ALN20230420BHJP
【FI】
C11D3/386
C11D17/08
B01J13/02
C12N9/20
C12N9/26
C12N9/42
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023380
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2021561952の分割
【原出願日】2020-04-17
(31)【優先権主張番号】62/844,924
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ローザ カサド
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ ウィリアム アンセス
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ギュ パク
(72)【発明者】
【氏名】ダーウィン スコット ブル
(57)【要約】
【課題】 液体洗浄剤組成物を提供すること
【解決手段】 1つまたは1つより多くのシェル-コアカプセル剤タイプを含む液体洗浄剤組成物が開示される。上記コアは、1つまたは1つより多くの酵素を含み、ここで上記シェルを形成する材料は、上記酵素のうちの少なくとも1種によって分解され得る。上記カプセル剤は、上記液体洗浄剤組成物の貯蔵の間に上記酵素の活性特性を保存し、それは、洗浄プロセスにおいて上記液体洗浄剤組成物を使用する間に剪断力を適用する際に、成分を放出する。上記方法論はまた、同じ製品中の不適合性の利益因子の存在および洗浄されている物品上の望ましくない残渣の低減を可能にする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年5月8日出願の米国仮特許出願第62/844,924号(これは、その全体において本明細書に参考として援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、シェル-コアカプセル剤を介して、1つまたは1つより多くのカプセル化された酵素を含む液体洗浄剤組成物であって、ここで上記カプセル化は、上記液体洗浄剤組成物中の酵素の固定化および洗浄プロセスの間のその効果的放出を可能にする液体洗浄剤組成物に関する。より具体的には、1つの局面において、本発明は、酵素がカプセル剤コアの中にある液体洗浄剤組成物であって、ここで上記酵素は、プロテアーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼまたはこれらの混合物である液体洗浄剤組成物に関する。別の局面において、本発明は、シェル-コアカプセル剤を有する洗浄剤組成物であって、ここで上記カプセル剤のシェルは、タンパク質、脂質、ワックス、ポリサッカリドまたはこれらの混合物を含む洗浄剤組成物に関する。別の局面において、本発明は、プロテアーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼまたはこれらの混合物を上記コアの中に含むシェル-コアカプセル剤を作製する方法に関する。別の局面において、本発明は、被包された酵素を含む液体洗浄剤組成物を使用して、生地および他の物品を洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
酵素は、生地および他の物品の汚れを取ってきれいにするための、液体および粉末両方の洗浄剤組成物に一般に使用される成分である。それらは天然に存在するタンパク質生体触媒であり、土汚れおよびシミの分子の構造を分解することによって、生地および他の物品から土汚れおよびシミを除去するにあたって優れた効力を示す。土汚れおよびシミの分子の構造を分解することは、土汚れおよびシミの分子の共有結合のうちの少なくとも1つを、その酵素の作用によって破壊することを意味する。この分解は、土汚れおよびシミの分子をより小さな種へと変換し、結果として、より容易にその土汚れおよびシミを、その生地または他の物品から洗浄用の水へと移す。次いで、これらのより小さな種は、洗浄用の水を排水することによって、次いで、すすぎ用の水を排水することによって除去される。しかし、酵素は、ある種の厳しい環境に曝される場合に、それらの活性特性を失う傾向にある。強力液体洗浄剤は、適度にアルカリ性の水性溶液または分散物であり、酵素にとって、それらを変性させ、結果として、それらの活性を顕著に低減する不利な環境であることが公知である。さらに、酵素は、液体洗浄剤組成物の他の成分と不適合性である場合もある。このような不適合性の成分は、酵素によって分解される場合もある、および/またはそれらは、その酵素の効力を不可逆的に低減する場合もある。従って、貯蔵する間に洗浄剤組成物から酵素を保護し、上記液体洗浄剤組成物を消費者が使用する時に、制御されて再現性のある様式でその酵素の放出をなおも確実にすることは、しばしば望ましい。酵素を保護する1つの方法は、洗浄剤組成物の中に、酵素安定化剤(例えば、ホウ素化合物(すなわち、ホウ酸、ホウ酸塩)をポリオール(すなわち、プロピレングリコール、グリセリン)と組み合わせて含めることによる。しかし、このような添加剤の潜在的な毒性は、新たな固定化方法論(例えば、酵素のカプセル化)に駆り立てている。当該分野は、種々のカプセル剤および同様に、洗浄プロセスの間にその相当するカプセル剤からの酵素の放出を誘発する種々の方法論を開示する。それらとしては、(a)イオン強度、(b)希釈、(c)温度、(d)pH、などにおける変化のような放出誘発因子が挙げられる。しかし、既存のカプセル化方法論は、結果的に、カプセル剤物質が洗浄プロセスの間に実際的に影響を受けず、これは、上記カプセル剤の物質のうちのいくらかが、望ましくない
残渣として生地または他の物品上に沈着し、液体洗浄剤組成物の汚れを取ってきれいにする有効性を低減することを意味する。従って、(a)カプセル剤を使用する液体洗浄剤組成物を貯蔵する間の、酵素の保護、(b)洗浄プロセスの間の酵素の効率的および迅速な放出、ならびに(c)洗浄プロセスの間のカプセル剤物質の分解、を可能にする液体洗浄剤組成物を開発する必要性がある。
【0004】
本発明の発明者らは驚くべきことに、プロテアーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼおよびこれらの混合物からなる群より選択される酵素を含み、ここで上記酵素がタンパク質、脂質、ワックスおよび/またはポリサッカリドを含むカプセル剤シェル中にカプセル化される液体洗浄剤組成物が、これらの要件を達成することを見出した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
1つの局面において、本発明の種々の実施形態は、液体洗浄剤組成物を提供する。上記液体洗浄剤組成物は、(a)上記液体洗浄剤組成物の約90重量%~約99.99重量%の連続相、および(b)上記液体洗浄剤組成物の約0.01重量%~約10重量%のシェル-コアカプセル剤を含む。上記連続相は、(1)上記液体洗浄剤組成物の約1重量%~約50重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤、および(2)上記液体洗浄剤組成物の約40重量%~約99重量%の水を含む。上記シェル-コアカプセル剤の各々は、シェルおよびコアを含む。上記シェルは、タンパク質、ポリサッカリド、脂質、ワックスまたはこれらの混合物によって形成される。上記コアは、有効量の、プロテアーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼまたはこれらの混合物からなる群より選択される1つまたは1つより多くの酵素を含む。上記カプセル剤のシェルは、上記カプセル剤のコアを包む。上記カプセル剤のシェルは、上記液体洗浄剤組成物の連続相の中では不溶性である。上記シェルは、洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力の存在下で破裂し、上記シェル物質は、上記1つまたは1つより多くの酵素の作用によって分解性である。
【0006】
別の局面において、本発明の種々の実施形態は、(a)シェル-コアカプセル剤を作製する工程、ならびに(b)上記シェル-コアカプセル剤と、水および洗浄性界面活性剤とを混合する工程、によってシェル-コアカプセル剤を含む液体洗浄剤組成物を作製する方法を提供する。上記シェル-コアカプセル剤は、(1)水不溶性物質と、有効量の、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼおよびこれらの混合物からなる群より選択される1つまたは1つより多くの酵素とを混合する工程であって、ここで上記水不溶性物質は、室温で固体、ゲル、または液体である工程、(2)工程1からの上記混合物を、粒子または液滴へと分離する工程であって;上記粒子または液滴の最大寸法の平均サイズは、約0.01mm~約5mmである工程、(3)上記粒子または液滴をシェルによってコーティングして、シェル-コアカプセル剤を形成する工程であって、ここでの上記シェルは、タンパク質、ポリサッカリド、脂質、ワックスおよびこれらの混合物からなる群より選択される物質から形成される工程、ならびに(4)上記工程(3)において調製したシェル-コアカプセル剤と、水および洗浄性界面活性剤を含む上記液体洗浄剤組成物の連続相とを混合する工程、によって作製される。上記液体洗浄剤組成物は、(i)上記液体洗浄剤組成物の約90重量%~約99.99重量%の連続相であって、ここで上記連続相は、上記液体洗浄剤組成物の約1重量%~約50重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤、および上記液体洗浄剤組成物の約40重量%~約90重量%の水を含む連続相、ならびに(ii)上記液体洗浄剤組成物の約0.01重量%~約10重量%のシェル-コアカプセル剤であって、ここで上記コア-シェルカプセル剤の各々は、シェルおよびコアを含み、上記シェルは、上記液体洗浄剤組成物の連続相の中では不溶性であり、上記シェルは、洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力の存在下で破裂し、上記シェル物質は、上記1つまたは1つより多くの酵素の作用によって分解性である、シェル-コアカ
プセル剤を含む。
【0007】
別の局面において、本発明の種々の実施形態は、生地または他の物品を洗浄する方法であって、上記方法は、(a)連続相およびシェル-コアカプセル剤を含む液体洗浄剤組成物を提供する工程、(b)上記液体洗浄剤組成物と、水と、洗浄されるべき生地または他の物品とを合わせる工程、(c)工程bからの合わせたものを撹拌する工程、および(d)洗浄用の水を除去する工程を包含する方法を提供する。上記生地または他の物品を洗浄する方法は、工程eをさらに含んでもよく、ここで工程eは、(1)すすぎ用の水を上記洗浄用容器の中に追加する工程、(2)上記洗浄用容器の内容物を撹拌する工程、および(3)上記すすぎ用の水を上記洗浄用容器から除去する工程を包含し、ここで工程eは、工程dの後に続く。上記液体洗浄剤組成物は、上記液体洗浄剤組成物の約90重量%~約99.99重量%の連続相、および上記液体洗浄剤組成物の約0.01重量%~約10重量%のシェル-コアカプセル剤を含み、ここで上記シェル-コアカプセル剤の各々は、シェルおよびコアを含む。上記連続相は、上記液体洗浄剤組成物の約1重量%~約50重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤;および上記液体洗浄剤組成物の約40重量%~約99重量%の水を含む。上記シェル-コアカプセル剤のコアは、(i)有効量の、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼおよびこれらの混合物からなる群より選択される1つまたは1つより多くの酵素、および(ii)室温で固体、液体、またはゲルである水不溶性物質を含む。上記シェル-コアカプセル剤のシェルは、上記カプセル剤のコアを包む。上記シェルは、タンパク質、ポリサッカリド、脂質、ワックスおよびこれらの混合物からなる群より選択される物質から形成される。上記シェルは、上記液体洗浄剤組成物の連続相の中では不溶性である。上記シェルは、洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力の存在下で破裂する。上記シェル物質は、上記1つまたは1つより多くの酵素の作用によって分解性である。
【0008】
本発明の別の局面において、上記液体洗浄剤組成物は、シェル-コアカプセル剤の1タイプのみを含み得る。一例は、上記シェルがタンパク質または架橋されたタンパク質から形成され、上記コアがプロテアーゼを含み;上記コアが、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、またはこれらの混合物をさらに含み得るカプセル剤である。別の例は、上記シェルがポリサッカリドを含み、上記コアがカルボヒドラーゼを含み;上記コアが、プロテアーゼ、リパーゼ、またはこれらの混合物をさらに含み得るカプセル剤である。別の例は、上記シェルが脂質またはワックスを含み、上記コアがリパーゼを含み;上記コアが、カルボヒドラーゼ、プロテアーゼ、またはこれらの混合物をさらに含み得るカプセル剤である。
【0009】
本発明の別の局面において、上記液体洗浄剤組成物は、2つまたは2つより多くのタイプのシェル-コアカプセル剤、第1のカプセル剤タイプおよび第2のカプセル剤タイプを含み得る。上記第1のカプセル剤タイプのシェルは、ポリサッカリドから形成され得、上記第2のカプセル剤タイプのコアは、カルボヒドラーゼを含み得る。
【0010】
本発明の別の局面において、上記液体洗浄剤組成物は、2つまたは2つより多くのタイプのシェル-コアカプセル剤、第1のカプセル剤タイプおよび第2のカプセル剤タイプを含み得る。上記第1のカプセル剤タイプのシェルは、脂質から形成され得、上記第2のカプセル剤タイプのコアは、リパーゼを含み得る。上記第1のカプセル剤タイプのコアは、カルボヒドラーゼをさらに含み得、上記第2のカプセル剤タイプのシェルは、ポリサッカリドから形成され得る。
【0011】
本発明の別の局面において、上記液体洗浄剤組成物は、2つまたは2つより多くのタイプのシェル-コアカプセル剤、第1のカプセル剤タイプおよび第2のカプセル剤タイプを含み得る。上記第1のカプセル剤タイプのシェルは、タンパク質または架橋されたタンパク質から形成され得、上記第2のカプセル剤タイプのコアは、プロテアーゼを含み得る。
上記第1のカプセル剤タイプのコアは、カルボヒドラーゼ(またはリパーゼ)をさらに含み得、上記第2のカプセル剤タイプのシェルは、ポリサッカリド(または脂質)から形成され得る。
【0012】
本発明の別の局面において、上記液体洗浄剤組成物は、3つまたは3つより多くのタイプのシェル-コアカプセル剤、第1のカプセル剤タイプ、第2のカプセル剤タイプおよび第3のカプセル剤タイプを含み得、ここで上記第1のカプセル剤タイプのシェルは、タンパク質または架橋されたタンパク質から形成され得、上記第2のカプセル剤タイプのシェルは、ポリサッカリドから形成され得、上記第3のカプセル剤タイプのシェルは、脂質またはワックスから形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】添付の図面の図1は、本発明の液体洗浄剤組成物において使用され得、シェルが酵素を含む、シェル-コアカプセル剤の一例を図示する。
【0014】
図2図2および3は、シェル-コアカプセル剤の2つの異なるタイプを図示する;各カプセル剤のコアは、異なるクラスの酵素を含み、ここでカプセル剤の両方のタイプは、同じ液体洗浄剤組成物中に存在する。
図3図2および3は、シェル-コアカプセル剤の2つの異なるタイプを図示する;各カプセル剤のコアは、異なるクラスの酵素を含み、ここでカプセル剤の両方のタイプは、同じ液体洗浄剤組成物中に存在する。
【0015】
図4図4は、シェル-コアカプセル剤の一例の図示であり、ここで上記コアは、酵素およびさらなる利益因子(これは酵素ではない)を含む。
【0016】
図5図5は、2つの異なるタイプのシェル-コアカプセル剤の図示である;カプセル剤のうちの一方のタイプのコアは、酵素を含むのに対して、カプセル剤のうちの他方のタイプのコアは、利益因子(これは酵素ではない)を含む。カプセル剤の両方のタイプは、同じ液体洗浄剤組成物に存在する。
【0017】
図6A図6a、6bおよび6cは、シェル-コアカプセル剤を作製するプロセスの一例の図示である。
図6B図6a、6bおよび6cは、シェル-コアカプセル剤を作製するプロセスの一例の図示である。
図6C図6a、6bおよび6cは、シェル-コアカプセル剤を作製するプロセスの一例の図示である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
液体洗浄剤組成物が開示され、上記液体洗浄剤組成物は、シェル-コアカプセル剤であって、それらのコアの中に1つまたは1つより多くの酵素、および上記シェルを形成する物質を含むシェル-コアカプセル剤を含み、ここで上記シェルを形成する材料は、上記1つまたは1つより多くの酵素によって分解性である。上記カプセル剤は、上記液体洗浄剤組成物を貯蔵する間に上記酵素の活性特性を保護し、それらは、洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力の存在下で破裂する。上記シェル-コアカプセル剤のシェルは、上記1つまたは1つより多くの酵素によって分解性である。上記方法論は、貯蔵安定性生成物、洗浄プロセスの間の酵素の迅速放出および活性化、ならびに上記液体洗浄剤組成物中の不適合性の利益因子の存在を可能にする。
【0019】
用語「タンパク質」とは、本明細書で使用される場合、ペプチド結合によって接続され
た少なくとも2個のアミノ酸ユニットを含むポリマーを含む。すなわち、用語「タンパク質」とは、本明細書で使用される場合、ジペプチドおよびオリゴペプチドを含む。その用語はまた、架橋されたタンパク質を含む。プロテアーゼは、タンパク質のペプチド結合を分解してそのタンパク質をより小さな分子に変換する酵素である。
【0020】
用語「ポリサッカリド」とは、本明細書で使用される場合、互いに接続された少なくとも2個のモノサッカリドユニットを含むポリマーおよびオリゴマーを含む。この点において、その用語はまた、2個のモノサッカリドユニットを含むジサッカリド、3~10個のモノサッカリドユニットを含むオリゴサッカリド、および10個より多くのモノサッカリドユニットを含むポリサッカリドを含む。カルボヒドラーゼは、ポリサッカリドをより小さな分子へと分解する酵素である。
【0021】
用語「カルボヒドラーゼ」とは、本明細書で使用される場合、ポリサッカリド(上記で定義されるとおり)の、より小さな種への分解を触媒する任意の酵素を含む。カルボヒドラーゼ(グリコシダーゼともいわれる)は、ポリサッカリドを分解する任意の特殊な酵素(例えば、アミラーゼ、インベルターゼ、グルコアミラーゼ、および炭水化物を分解する他の酵素)であり得る。
【0022】
用語「脂質」とは、水の中で不溶性でありおよび非極性溶媒(例えば、エーテル、クロロホルム、炭化水素溶媒、またはベンゼン)によって抽出可能である脂肪および脂肪様物質の群に属する物質として、本明細書で定義される。脂質としては、不飽和および飽和脂肪酸、飽和および不飽和脂肪エステル、飽和および不飽和脂肪アルコール、飽和および不飽和脂肪アミンおよびアンモニウム塩、不揮発性炭化水素液体およびワックス、ステロイド、リン脂質、ならびに他の脂肪物質が挙げられる。脂質の代表的な分子量は、約100~約10000g/モルである。リパーゼは、脂質をより小さな分子に分解する酵素である。
【0023】
本明細書で使用される場合、「固体」とは、一定の体積および形状を有する物質であり、それはその体積および形状を変化させる傾向にある力に耐える。本明細書で使用される場合、「液体」とは、流れ得る物質であり、拘束する容器の形状に一致するが、それは比較的圧縮できない。用語「液体」はまた、本明細書で使用される場合、半固体(これは、固体と液体との間にある物質である)を含む。半固体の代表的な例は、高い粘性を有する液体である。本明細書で使用される場合、「ゲル」は、液相によって膨潤される固体ネットワーク相から構成される2相システムである。ゲルは、液体媒体が、多かれ少なかれ固体として振る舞うために十分粘性になっているコロイドである。従って、ゲルは、弾性があり、ゼリー様であってもよいし、固体で剛性があってもよい。ゲル中の固体ネットワークの粒子は、代表的には、小さすぎて通常の光学顕微鏡で見えない。
【0024】
「有効量」とは、明確な利益を顕著に誘導するために十分な化合物または組成物の量を意味する。
【0025】
溶媒または組成物中での「不溶性」の化合物または物質は、0.1g未満の化合物または物質が、25℃および1気圧において1Lの溶媒または組成物の中に溶解することを意味する。これは、ある物質が25℃および1気圧において1Lの上記液体洗浄剤組成物の中で0.1gより低い溶解度を有する場合に、上記物質が上記液体洗浄剤組成物の中では不溶性であることを意味する。同様に、ある物質が25℃および1気圧において1Lの蒸留水の中で0.1gより低い溶解度を有する場合に、上記物質は水の中で不溶性である。
【0026】
用語「分子量」または「MW」とは、本明細書で使用される場合、別段述べられなければ、数平均分子量に言及する。その数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによっ
て測定され得る。
【0027】
本明細書で使用される全てのパーセンテージは、別段指定されなければ、全組成物の重量でのパーセント重量含有量を表す。
【0028】
液体洗浄剤組成物
【0029】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。液体洗浄剤組成物は、代表的には、洗濯機および関連デバイスにおいて生地および他の物品の汚れを取ってきれいにするために使用されるが、「手で」洗浄することもまた、世界の多くの地域で実践されている。液体洗浄剤組成物は、液体、ゲルまたはペーストであり得る。それらは、ドラム缶、ボトル、1回分パッケージ(uni-dose packages)または他の容器の中にパッケージされる、水性溶液または分散物として販売される。それらは、より古典的な粉末形態において、または溶解性の固体物品として販売される固形洗浄剤組成物から区別される。
【0030】
液体洗浄剤組成物は、代表的には、洗浄性界面活性剤の水性溶液を含む。洗浄性界面活性剤は、圧倒的に、最も一般に使用される、汚れを取ってきれいにする物質である。このような界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、カチオン性またはこれらの混合物であり得る。洗浄性界面活性剤は、水の表面張力(生地および他の物品から汚れを除去するそれらの能力を提供する特徴)を低減する能力がある。最も一般的な洗浄性界面活性剤は、石油系のまたは天然物系の(naturally-based)出発物質から作製される合成化合物である。天然に存在する生物系界面活性剤も利用可能であるが、市販の洗浄剤組成物におけるそれらの使用は、それらのコストが高いことから希である。
【0031】
本発明の液体洗浄剤組成物は、連続相を含む。上記連続相は、上記液体洗浄剤組成物の約1重量%~約50重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤、および上記液体洗浄剤組成物の約40重量%~約99重量%の水を含む。本発明の液体洗浄剤組成物は、上記液体洗浄剤組成物の約10重量%~約40重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤、または上記液体洗浄剤組成物の約15重量%~約35重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤を含み得る。上記液体洗浄剤組成物は、上記液体洗浄剤組成物の約60重量%~約90重量%の水、または上記液体洗浄剤組成物の約65重量%~約85重量%の水を含み得る。
【0032】
上記液体洗浄剤組成物は、約4~約12のpH値を有する。上記液体洗浄剤組成物は、約6~約10のpH値を有し得る。
【0033】
液体洗浄剤組成物において一般に使用される他の成分としては、香料、漂白剤または他の酸化剤、漂白活性化剤、泡立ち増進剤(lather or suds boosters)、泡立ち抑制剤(lather or suds suppressor)、防錆剤、土汚れ沈殿防止剤または分散剤、土汚れ放出剤(soil release agent)、色素、増白剤(bluing agent)、蛍光増白剤(optical brightener)、充填剤、抗微生物剤、生地用柔軟剤、pH制御剤、ハイドロトロープ、キレート剤および他の成分が挙げられる。
【0034】
酵素カプセル剤
【0035】
上記液体洗浄剤組成物は、カプセル剤であって、ここで上記カプセル剤は、コアおよびシェルを含み、上記シェルは、上記コアを包む、カプセル剤を含む。
【0036】
上記液体洗浄剤組成物は、上記液体洗浄剤組成物の約0.01重量%~約10重量%のカプセル剤を含む。上記液体洗浄剤組成物は、上記液体洗浄剤組成物の約0.05重量%~約5重量%のカプセル剤を含み得る。上記液体洗浄剤組成物は、上記液体洗浄剤組成物の約0.1~約1重量%のカプセル剤を含み得る。
【0037】
上記液体洗浄剤組成物中のカプセル剤は、約0.1mm~約5mmの平均直径を有し得る。上記カプセル剤は、約0.5mm~約5mmの範囲の平均直径を有し得る。上記カプセル剤は、約1mm~約4mmの範囲の平均直径を有し得る。
【0038】
上記液体洗浄剤組成物におけるカプセル剤のシェルは、約0.1μm~約100μmの平均厚を有し得る。上記カプセル剤のシェルは、約1μm~約50μmの平均厚を有し得る。上記カプセル剤のシェルは、約4μm~約20μmの平均厚を有し得る。
【0039】
上記シェル-コアカプセル剤のシェル内容物は、上記シェル-コアカプセル剤の約2重量%~約40重量%、または上記シェル-コアカプセル剤の約4重量%~約30重量%、または上記シェル-コアカプセル剤の約8重量%~約25重量%である。
【0040】
上記カプセル剤のシェルは、タンパク質、ポリサッカリド、脂質、ワックス、およびこれらの混合物からなる群より選択される物質から形成される。
【0041】
本発明の液体洗浄剤組成物のカプセル剤シェルを形成するために適切な上記タンパク質、ポリサッカリド、脂質、およびワックスは、上記液体洗浄剤組成物の連続相の中では不溶性でなければならない。上記シェルは、天然に存在する物質または合成物質から形成され得る。上記物質としては、タンパク質、架橋されたタンパク質、ポリサッカリド、改変されたポリサッカリド、脂質、有機性のワックス、別のポリマー(例えば、アクリレート、ポリエステルなど)が挙げられ得る。上記物質としてはまた、それらの混合物が挙げられ得る。非限定的な例としては、ゼイン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、ガム、セルロース、官能化セルロース、キトサンおよび誘導体、ならびに天然のワックスが挙げられる。
【0042】
上記シェルは、有効量の1つまたは1つより多くの酵素を被包し、ここで上記酵素は、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼおよびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0043】
上記有効量の酵素を含む上記カプセル剤コアはまた、1つまたは1つより多くの水不溶性物質を含む。上記水不溶性物質は、1つまたは1つより多くの疎水性油またはワックスであり得る。疎水性油およびワックスの非限定的な例としては、炭化水素、脂肪酸のグリセリドエステル、他の脂肪酸エステル、脂肪アミド、脂肪酸、脂肪アルコール、シリコーンオイル、および他の疎水性物質が挙げられる。上記カプセル剤コアはまた、上記水不溶性物質および上記酵素の混合物の粘性を増大させるために濃化剤を含み得る。上記カプセル剤のコアが、ほぼ無水環境であるという事実は、上記カプセル剤の内部の酵素の長期安定性に寄与し得る。疎水性の油のための濃化剤の非限定的な例は、ポリマー濃化剤(例えば、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ステアリン酸スクロース、ポリエステルホモポリマーまたはコポリマー、ヒマシ油誘導体(例えば、水素添加ヒマシ油))、または固体(例えば、ワックス、クレイ、オルガノクレイおよびシリカ)である。上記シェル-コア物質のコアは、ずり減粘性であり得、これは、洗浄プロセスの間に上記カプセル剤の破裂を促進し得る。
【0044】
上記プロテアーゼ、リパーゼおよびカルボヒドラーゼ酵素がタンパク質、脂質、油、脂肪、ワックスおよびポリサッカリドを効果的に分解するという事実は、土汚れおよびシミ
を生地および他の物品から除去するそれらの能力に寄与する。汚れた生地および他の物品における代表的な土汚れおよびシミのかなりの部分は、タンパク質、脂質、油、脂肪、ワックスおよびポリサッカリドからなる。土汚れおよびシミの分子の分解は、それら土汚れおよびシミを、洗濯機の中の洗浄用の水の中により溶解性または分散性にし、洗浄用の水によって、およびすすぎ用の水によって汚れを取ってきれいにされるべき品目からのそれらの除去を促進する。
【0045】
酵素を含む液体洗浄剤組成物の上記土汚れおよびシミを除去する能力は、上記液体洗浄剤組成物が製造される時から、汚れを取ってきれいにするために消費者によって上記組成物が使用される時まで、上記酵素の化学的および立体配座的構造の保護を必要とする。従って、上記酵素の活性特性がこの期間の間に保護されることは重要である。酵素が厳しい環境(例えば、適度にアルカリ性の水性強力液体洗浄剤の中)に曝される場合に、それらの活性特性を失う傾向にあることは、概して公知である。このような環境では、多くの有用な酵素は変性され、それらが他の分子を分解する能力は、顕著に低減される。多くの洗浄剤製造業者は、酵素安定化剤(例えば、ホウ素化合物(すなわち、ホウ酸またはホウ酸塩))を、代表的には、ポリオール(例えば、プロピレングリコールおよびグリセリン)と組み合わせて含めることによって、液体洗浄剤組成物中の酵素を安定化する。しかし、それら添加剤の毒性は、この技術的アプローチを余り望ましくないものにしており、他の技術的アプローチ(例えば、酵素のカプセル化)が使用されつつある。
【0046】
上記で言及されるように、上記酵素が上記液体洗浄剤組成物を貯蔵する間に保護されることは、重要である。これは、次に、上記カプセル剤が、上記液体洗浄剤組成物の環境の中で水に溶解性でないまたは透過性でないことを必要とする。さらに、上記カプセル剤のコアの内容物は、貯蔵する間に、上記カプセル剤から上記液体洗浄剤組成物の連続相へと漏れてはならない。
【0047】
上記液体洗浄剤組成物中のカプセル剤の、その貯蔵の間の完全性は、上記シェル物質の選択、上記カプセル剤の平均厚および平均直径によって保護され得る。上記シェル物質の架橋は、上記カプセル剤の完全性を改善し得る。この架橋は、物理的(分子間の非共有結合的相互作用)または化学的(分子間共有結合の形成)であり得る。例えば、タンパク質の場合、二官能性試薬(例えば、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドまたは他のジアルデヒド)との架橋は、貯蔵下での上記カプセル剤の完全性を改善する。代表的には、カプセル剤の平均サイズが大きいほど、平均厚がより大きく、架橋がより多くなり、上記液体洗浄剤組成物中での上記カプセル剤の改善された完全性を示す。
【0048】
上記で言及されるように、種々の方法論が、洗浄プロセスの間に、その相当するカプセル剤からの上記酵素の放出を誘発するために、当該分野で使用される。それらは、(a)イオン強度、(b)水での希釈、(c)温度、(d)pH、および他のものにおける変化を含む。しかし、このような誘発機構は、上記シェルの物質に影響を及ぼさず、上記シェルの物質は、洗浄されている生地および他の物品上に沈着し得、望ましくない残渣をそれらの上に残し、洗浄をそれほど効果的でないものにする。
【0049】
本発明は、上記カプセル剤シェルの物質が、上記酵素が洗浄用の水の中に放出された後に、上記被包された酵素によって分解されることから、この問題を解決する。従って、上記酵素は、土汚れおよびシミを、生地および他の物品から分解および除去することに寄与するのみならず、上記シェル物質の分解および除去にも寄与する。結果として、洗浄プロセスは、より効果的になる。なぜなら生地および他の物品上に沈着される上記カプセル剤シェルからの残渣が低減されることが可能になるからである。
【0050】
本発明から得られる別の利益は、洗浄プロセスの間に上記カプセル剤から迅速および効
率的に上記酵素が放出されることである。上記カプセル剤は、上記カプセル化された酵素のうちの少なくともいくらかを最初に放出する。なぜならそれらのうちの多くは、洗浄されている物品が動くことで、洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力の増大から破裂するからである。しかし、上記カプセル剤の組成が原因で、上記放出は、この破裂が不完全であり、剪断応力によって全てのカプセル剤が破裂するわけではないとしても、効果的である。剪断応力誘導性の破裂からの小さな最初の放出は、いくらかの酵素が洗浄用の水の中に放出されることを誘発するために十分であり得る。これは、さらなるカプセル剤が分解され、それらの内容物を放出することを誘発し得る。これは、上記カプセル剤シェルの物質が、上記酵素が洗浄用の水の中に放出された後に、上記酵素によって分解されるという事実の結果である。当業者は、酵素反応が迅速および特異的であり、それらが生体触媒を消費しないという事実を考慮すれば、少量の最初に放出された酵素が、剪断応力誘導性の破裂を切り抜けて残った可能性がある多くのカプセル剤シェルの相当するシェル物質の迅速な分解を引きおこし、洗浄用の水へとより多くの酵素を放出し、酵素放出のプロセスを促進することを理解する。上記プロセスは、自己触媒プロセスに似ていると説明され得る。
【0051】
上記液体洗浄剤組成物は、シェル-コアカプセル剤の1タイプのみを含み得る。添付の図面の図1は、このようなシナリオの一例の図示であり、ここで上記カプセル剤シェル100は、シェル101を含み、上記カプセル剤コア102は、酵素(および水不溶性物質)を含み、これは、シェル101の材料を分解し得る。具体例は、シェル101がタンパク質から作製され、コア102がプロテアーゼを含むカプセル剤である。コア102はまた、この例において、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、またはこれらの混合物を含み得る。コア102は、固体、粘性の液体またはゲルであり得る。
【0052】
別の例は、シェル101がポリサッカリドによって形成され、コア102がカルボヒドラーゼを含み;コア102が、プロテアーゼ、リパーゼ、またはこれらの混合物をさらに含み得るカプセル剤である。別の例は、シェル101が脂質から形成され、コア102がリパーゼを含み;コア102が、カルボヒドラーゼ、プロテアーゼ、またはこれらの混合物をさらに含み得るカプセル剤である。コア102は、固体、粘性の液体またはゲルであり得る。
【0053】
上記液体洗浄剤組成物は、2つまたは2つより多くのタイプのシェル-コアカプセル剤を含み得る。2タイプのカプセル剤を含む液体洗浄剤組成物の1つの例は、図2に図示される。その相当する液体洗浄剤組成物は、第1のカプセル剤タイプ210および第2のカプセル剤タイプ220を含む。第1のカプセル剤タイプ210のシェル211は、物質S1から作製され;第1のカプセル剤タイプ210のコア212は、酵素E1を含み、この酵素は、第1のカプセル剤タイプ210のシェル211の物質S1を分解し得る。第1のカプセル剤タイプ210のコア211は、固体、粘性の液体またはゲルであり得る。第2のカプセル剤タイプ220のシェル221は、物質S1とは異なる物質S2から形成される。第2のカプセル剤タイプ220のコア222は、酵素E1とは異なり、そして第2のカプセル剤タイプ220のシェル211の物質S2を分解し得る酵素E2を含む。第2のカプセル剤タイプ220のコア222は、固体、粘性の液体またはゲルであり得る。このシナリオの一例において、S1はタンパク質であり、E1はプロテアーゼであるのに対して、S2はポリサッカリドであり、E2はカルボヒドラーゼである。
【0054】
2タイプのカプセル剤を含む液体洗浄剤組成物の別の例は、図3に図示される。その相当する液体洗浄剤組成物は、第1のカプセル剤タイプ310および第2のカプセル剤タイプ320を含む。第1のカプセル剤タイプ310のシェル211は、物質S2から形成され;第1のカプセル剤タイプ310のコア222は、酵素E1を含む。第1のカプセル剤タイプ310のコア222は、固体、液体またはゲルであり得る。第2のカプセル剤タイ
プ320のシェル221は、物質S1を含み、第2のカプセル剤タイプ320のコア212は、酵素E2を含む。第2のカプセル剤タイプ320のコア212は、固体、液体またはゲルであり得る。酵素E1(第1のカプセル剤タイプ310のコア222中にある)は、物質S1(第2のカプセル剤タイプ320のシェル221の物質)を分解し得る。また、酵素E2(第2のカプセル剤タイプ320のコア212の中にある)は、物質S2(第1のカプセル剤タイプ310のシェル211の物質)を分解し得る。このシナリオの一例では、S1はタンパク質であり、E1はプロテアーゼであるのに対して、S2はポリサッカリドであり、E2はカルボヒドラーゼである。少なくともいくらかのカプセル剤の剪断応力誘導性の破裂は、上記酵素分子(E1、E2)のうちの少なくともいくらかを、洗浄用の水の中に放出させる。これは、必要であれば、より多くのカプセル剤310および320の破裂を加速させ得る。それはまた、上記シェルのタンパク質およびポリサッカリドを分解し、その結果、洗浄されている生地および他の物品上に沈着されるこれらの物質が低減されることになる。類似のシナリオにおいて、液体洗浄剤組成物中にカプセル剤の複数のタイプを含めると、上記カプセル剤のうちの1タイプのみが、全てのカプセル剤タイプの全ての被包された酵素を放出し得るように、剪断応力によって破裂される必要があり得ることを理解することは容易である。
【0055】
洗浄プロセスによって生成される剪断応力を介して上記酵素の最初の有効量を放出するために必要とされる時間は、上記カプセル剤の平均直径および/または上記カプセル剤の平均シェル厚によって制御され得る。代表的には、より小さな平均シェル厚を有するより大きな平均直径は、上記カプセル剤に対して適用される剪断力によってより迅速に開かれる。
【0056】
洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力を介した上記カプセル剤の破裂は、上記カプセル剤シェルの機械的特性を制御することによってより有利になり得る。理想的には、上記カプセル剤は、ゼロ(または非常に低い剪断速度)にある上記液体洗浄剤組成物の輸送および貯蔵の間には無傷のままであるべきである。次いで、より高い剪断力の下(洗浄プロセス)では、上記カプセル剤のうちの少なくともいくらかは、破裂するべきである。上記シェルは、100mNより大きい力の存在下で、または500mNより大きい力の存在下で、または1,000mNより大きい力の存在下で、または10,000mNより大きい力の存在下で、破裂し得る。上記シェルはまた、その寸法のうちのいずれか一方を8%より大きく伸長させる力の存在下で破裂し得る。
【0057】
本発明の組成物は、(a)タンパク質または架橋されたタンパク質から作製されるシェル、および(b)水不溶性油(これは、水素添加ヒマシ油によって濃化される)の中でプロテアーゼを含むコアを含むカプセル剤を含み得る。上記油は、テルペン(例えば、リモネン)であり得る。
【0058】
本発明の組成物は、2タイプのカプセル剤AおよびBを含み得る。カプセル剤Aは、(a)タンパク質または架橋されたタンパク質から作製されたシェル、および(b)水不溶性油(これは、水素添加ヒマシ油によって濃化される)中にポリサッカリドを含むコアを含み得る。カプセル剤Bは、(a)ポリサッカリドまたは架橋されたポリサッカリドから作製されたシェル、および(b)水不溶性油(これは、水素添加ヒマシ油によって濃化される)中にプロテアーゼを含むコアを含み得る。上記油は、テルペン(例えば、リモネン)であり得る。
【0059】
上記液体洗浄剤組成物のカプセル剤コアの組成は、酵素以外の1つまたは1つより多くの利益因子または他の成分(例えば、酸化剤、色素、ホワイトニング剤、キレート剤、助剤(builder)、香料、抗微生物剤、生地用柔軟剤、pH制御剤、または他の利益因子)を含み得る。
【0060】
上記カプセル剤コア中に上記1つまたは1つより多くの利益因子(酵素以外)を含めることは、互いと不適合である成分が存在し、それらのうちの少なくとも1種が、生成物の貯蔵の間に分解されるかまたは不活性化される場合に、特に有用であり得る。一例は、図4に図示される。利益因子431および利益因子432が不適合性である場合、431を上記カプセル剤のコアの中に含め、および上記液体洗浄剤組成物400の連続相の中に432を含めることで、その不適合性の問題が軽減される。図4の例では、カプセル剤450のカプセル剤シェル411は、物質S1から形成される。コア421は、酵素E1および利益因子431を含む。利益因子432(これは、利益因子431と不適合性である)は、上記液体洗浄剤組成物400の連続相の中に含められる。洗浄プロセスの撹拌工程において生成される剪断応力は、E1および431を、上記シェル-コアカプセル剤450から、上記液体洗浄剤組成物400の連続相へと放出する。これは、シェル411の物質S1の分解および利益因子431の有益な作用を可能にする。この方法論は、同じ生成物の中で不適合性の利益因子431および432を使用することを、生成物の貯蔵の間にその2つの利益因子間での有害な相互作用なしに、可能にする。
【0061】
上記さらなる不適合性の利益因子は、(a)前段落において記載されるように、上記酵素を含むカプセル剤のコアの中に含まれ得るか、または(b)それらは、いかなる酵素をも含まない別個のカプセル剤のコアの中に含まれ得るか、のいずれかである。後者のシナリオの一例は、図5に図示される。上記例の液体洗浄剤組成物500は、2つのカプセル剤タイプ、第1のカプセル剤タイプ550および第2のカプセル剤タイプ560を含む。第1のカプセル剤タイプ550のシェル511は物質S1から形成され、第1のカプセル剤タイプ511のコア521は酵素E1を含む。第2のカプセル剤タイプ560のシェル561は、物質S1から形成され、第2のカプセル剤タイプ560のコア571は、利益因子532(これは、上記液体洗浄剤組成物500の連続相の中に含まれる)と不適合性である利益因子531を含む。酵素E1はまた、カプセル剤タイプ550のシェル511の物質およびカプセル剤タイプ560のシェル561の物質を分解し得る。このシナリオでは、望ましい結果(貯蔵の間の酵素E1および利益因子531の保護、洗浄プロセスの間の酵素E1および利益因子531の放出、ならびにシェル511および561の物質の分解)は、第2のカプセル剤タイプ560が、たとえ洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力から破裂されないとしても、可能である。これは、第1のカプセル剤タイプ550から放出される酵素E1が、第2のカプセル剤タイプ560のシェル561を分解するおよび分解機構を介してそれを破裂させることが可能であり得ることから、実行可能である。図5によっても表され得る別の例では、第1のカプセル剤タイプ550のシェル511は、物質S1から形成され、第1のカプセル剤タイプ511のコア521は、酵素E2を含む。第2のカプセル剤タイプ560のシェル561は、物質S2から形成され、第2のカプセル剤タイプ560のコア571は、利益因子531および酵素E2を含む。利益因子531は、液体洗浄剤組成物500の連続相の中に含まれる利益因子532とともに存在し得る。酵素E1は、カプセル剤タイプ550のシェル511の物質を分解し得、酵素E2は、カプセル剤タイプ560のシェル561の物質を分解し得る。このシナリオでは、所望の結果(貯蔵の間の酵素E1、E2、および利益因子531の保護、洗浄プロセスの間の酵素E1、E2、および利益因子531の放出、ならびにシェル511および561の物質の分解)は、可能である。
【0062】
生地および他の物品を洗浄する方法
【0063】
別の局面において、本発明の種々の実施形態は、生地または他の物品を洗浄する方法であって、上記方法は、(a)連続相およびシェル-コアカプセル剤を含む液体洗浄剤組成物を提供する工程、(b)上記液体洗浄剤組成物と、水と、洗浄されるべき生地または他の物品とを合わせる工程、(c)上記工程bからの合わせたものを撹拌する工程、および
(d)洗浄用の水を除去する工程を包含する方法を提供する。上記生地または他の物品を洗浄する方法は、工程eをさらに含んでもよく、ここで工程eは、(1)すすぎ用の水を上記洗浄用容器の中に追加する工程、(2)上記洗浄用容器の内容物を撹拌する工程、および(3)上記すすぎ用の水を上記洗浄用容器から除去する工程を包含し、ここで工程eは、工程dの後に続く。上記液体洗浄剤組成物は、上記液体洗浄剤組成物の約90重量%~約99.99重量%の連続相、および上記液体洗浄剤組成物の約0.01重量%~約10重量%のシェル-コアカプセル剤を含み、ここで上記シェル-コアカプセル剤の各々は、シェルおよびコアを含む。上記連続相は、上記液体洗浄剤組成物の約1重量%~約50重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤;および上記液体洗浄剤組成物の約40重量%~約99重量%の水を含む。上記シェル-コアカプセル剤のコアは、(i)有効量の、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼおよびこれらの混合物からなる群より選択される1つまたは1つより多くの酵素、および(ii)室温で固体、液体、またはゲルである水不溶性物質を含む。上記シェル-コアカプセル剤のシェルは、上記カプセル剤のコアを包む。上記シェルは、タンパク質、ポリサッカリド、脂質、ワックスおよびこれらの混合物からなる群より選択される物質から形成される。上記シェルは、上記液体洗浄剤組成物の連続相の中では不溶性である。上記シェルは、洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力の存在下で破裂する。上記シェル物質は、上記1つまたは1つより多くの酵素の作用によって分解性である。
【0064】
酵素カプセル剤を作製するプロセス
【0065】
本発明の酵素カプセル剤は、酵素および水不溶性物質を有するコアを含む。上記酵素は、代表的には、室温においてまたは高温において、上記水不溶性物質とともに高速ミキサーの中で混合される。必要であれば、濃化剤がまた、追加される。次いで、その得られた混合物(これは、室温で固体または液体またはゲルである)は、所望のサイズの粒子(または液滴)へと分配される。上記粒子または液滴は、上記粒子または液滴の最大寸法の平均サイズ約0.01mm~約5mm、または約0.1mm~約5mmを有し得る。刃を備えた押し出し装置または他の適切な装置が、この工程のために使用され得る。次いで、上記粒子(または液滴)は、シェルとして役立つ物質でコーティングされる。この工程は、上記シェル物質を上記粒子上に沈殿させることによって行われ得る。種々のプロセスが、この工程のために使用され得る(例えば、(a)上記粒子を、上記シェル物質の溶液で処理し、上記溶媒をエバポレートする工程、(b)上記粒子を、上記シェル物質の溶液で処理し、次いで、上記シェル物質が不溶性である媒体で処理する工程、(c)上記粒子を、上記シェル物質の溶液で処理し、次いで、上記シェル物質を沈殿させる錯化剤を添加する工程、(d)上記粒子に、上記シェル物質の溶融物を噴霧する工程、(d)上記シェル物質を、重合または共重合によって、上記粒子の分散物中に沈殿させる工程、または(e)当該分野で公知の他の関連する方法論)。
【0066】
上記カプセル化プロセスの一例は、タンパク質を含むシェルを使用して、プロテアーゼカプセル剤を作製するために、以下に提供される。その例は、3つの主要な工程(a)ゲル前駆体調製、(b)ゲル作製およびペレット化、ならびに(c)酵素ペレットのカプセル化を含む。図6A、6B、および6Cは、その3つの主要な工程に相当する模式的な説明を提供する。第1の工程では、水不溶性物質610および濃化剤を容器の中で混合して、図6Aに示されるように、ゲル前駆体630を調製する。ゲル前駆体630を、酵素(または酵素溶液)640と混合して、酵素ゲル650を形成する。酵素ゲル650を、押し出し機670を使用して押し出す。その押し出し機の穴に、図6Bに示されるように、酵素ペレット660を集める。酵素ペレット660を、撹拌下でポリマー溶液630(例えば、プロピレングリコール中のタンパク質溶液)と合わせて、タンパク質溶液680中の酵素ペレットの分散物を形成する。最後に、タンパク質溶液680中の酵素ペレットの分散物を水と混合して、図6Cに示されるように、シェル-コアカプセル剤695の水分
散物を形成する。シェル-コアカプセル剤695の形成した分散物を、洗浄剤の連続相の中に添加して、液体洗浄剤組成物を形成し得る(工程は示さず)。
【0067】
酵素カプセル剤を作製するプロセスの例
9.6gの量のリモネン(Florida Chemical Company(Winter Haven, FL)によって供給される)を、0.8gの水素添加ヒマシ油(Thixcin R(登録商標)、Elements Specialties(East Windsor, NJ)によって供給される)と、10,000rpmで10分間、温度60℃において、IKA Ultra-Turraxを使用して混合した。この溶液に、0.08g量の固体プロテアーゼ(Protamex(登録商標)、Millipore-Sigmaによって供給される; P0029)を添加し、2分間、同じ条件下で混合した。上記の混合物はなお流体である間に、それを、シングルスクリュー押し出し機を使用して、直径がおよそ3mmのロッドへと押し出した。そのロッドを、室温で冷却してゲル構造を提供し、これを、ペレットへと切断した(これらの各々は、4mmのおおよそのサイズを有した)。ペレットの機械的特性を、0.2Nの力を適用することによって試験した。そのペレットは、その物理的形態を維持したが、そのペレットは、4Nの力を適用することによって破断した。
【0068】
水不溶性シェルを、以下のプロセスを使用して、上記のペレット上に沈着させた: プロピレングリコール(Aldrichによって供給される; 81380)中のゼイン(Millipore-Sigmaによって供給される; W555025)の溶液を、98gのプロピレングリコールと2gのゼインとを混合することによって作製し、室温で3分間、高速ミキサーを使用して激しく混合した。上記ゲルペレットを、ゼイン-プロピレングリコール溶液の中に浸漬し、続いて、100mLの水を含むビーカーに移したところ、上記酵素ペレット上にゼインタンパク質の沈降が引きおこされ、シェル-コアカプセル剤が調製された。
【0069】
架橋されたゼインタンパク質のフィルム特性の評価
【0070】
以下の2段落の中で記載される評価を、架橋されたタンパク質物質のフィルム特性が、液体洗浄剤組成物のための酵素カプセル剤におけるシェルとしての使用に適しているか否かを決定するために行った。60gのエタノール/水(80/20 重量%)中の3gのゼインの溶液を、ペトリ皿に添加し、室温で乾燥させた。そのフィルム(これは、およそ150μの厚みを有する)を、グルタルアルデヒドの50% 水性溶液450μLの添加によって架橋し、50℃に設定したホットプレート上で2時間置いた。上記グルタルアルデヒド-架橋されたゼインフィルムの不溶性を、そのフィルムを(およそのサイズ 1cm)を、20mlのOrange House Laundry Detergent
Liquid(Yuen Foong Yu Consumer Products Co., LTD)を含むバイアルの中に浸漬することによって試験し、45℃のオーブンに入れた。7日後、そのフィルムは、そのバイアルの中になお存在した。
【0071】
その架橋されたゼインフィルムの分解性を、およそ0.03gの上記フィルムを、10mLの洗浄用の水(250ppm 水の硬度、 pH=8.6)、0.05gのOrange House Laundry Detergent Liquid(Yuen Foong Yu Consumer Products Co., LTD)、および0.05gの固体プロテアーゼ(Protamex(登録商標)、Millipore-Sigmaによって供給される; P0029)を含むバイアルの中に入れることによって試験した。上記バイアルを、室温においてオービタルミキサーの中で混合し、上記フィルムの完全性を、視覚的に経時的にモニターした。上記フィルムは、時間を経るとサイズが低減することが観察された。210分後、上記溶液の中にフィルムは残っていなかった。
これは、フィルム全体が崩壊したことを示す。同じ組成を有するが、プロテアーゼを含まないコントロールサンプルを、並行して実行した。その場合、上記フィルムは無傷のまま残った。
【0072】
ゼインタンパク質フィルムの破断時の伸長は、ASTM D-882を介して測定して9%である。
【0073】
多くの変更および改変が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記で記載される本発明の具体的実施形態において行われ得ることは、当業者に明らかである。よって、前述の説明全体は、例証の意味で解釈されるべきであり、限定の意味で解釈されるべきではない。
【0074】
洗浄用の水は、上記液体洗浄剤組成物の存在下で撹拌プロセスの終了の間に、洗浄用容器に存在する液体混合物である。
【0075】
別段注記されなければ、全ての構成要素または組成レベルは、その構成要素または組成の活性部分を参照した状態にあり、このような構成要素または組成の市販されている供給源の中に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒または副生成物は含まない。
【0076】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
液体洗浄剤組成物であって、
a.前記液体洗浄剤組成物の約90重量%~約99.99重量%の、以下:
(1)前記液体洗浄剤組成物の約1重量%~約50重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤;および
(2)前記液体洗浄剤組成物の約40重量%~約99重量%の水、
を含む連続相;
b.前記液体洗浄剤組成物の約0.01重量%~約10重量%のシェル-コアカプセル剤であって、ここで前記シェル-コアカプセル剤の各々は、シェルおよびコアを含み、
(1)前記コアは、
(a)有効量の、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼおよびこれらの混合物からなる群より選択される1つまたは1つより多くの酵素;ならびに
(b)室温で固体、液体、またはゲルである水不溶性物質、
を含み;
(2)前記シェルは、タンパク質、ポリサッカリド、脂質、ワックスおよびこれらの混合物からなる群より選択される物質から形成され、ここで前記シェルは、前記コアを包み、前記シェルは、前記液体洗浄剤組成物の前記連続相の中では不溶性であり、そして前記シェルは、洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力の存在下で破裂し、そして前記シェル物質は、前記1つまたは1つより多くの酵素の作用によって分解性である、シェル-コアカプセル剤、
を含む液体洗浄剤組成物。
(項2)
前記連続相は、前記1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤以外の少なくとも1つの利益因子をさらに含む、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項3)
前記1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤以外の前記少なくとも1つの利益因子は、酸化剤、色素、ホワイトニング剤、キレート剤、助剤、香料、抗微生物剤、生地用柔軟剤、およびpH制御剤から選択される、上記項2に記載の液体洗浄剤組成物。
(項4)
前記コアは、前記1つまたは1つより多くの酵素以外の少なくとも1つの利益因子をさらに含む、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項5)
前記1つまたは1つより多くの酵素以外の前記少なくとも1つの利益因子は、酸化剤、色素、ホワイトニング剤、キレート剤、助剤、香料、抗微生物剤、生地用柔軟剤、およびpH制御剤から選択される、上記項4に記載の液体洗浄剤組成物。
(項6)
前記シェルは、100mNより大きい力の存在下で破裂する、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項7)
前記コアは、濃化剤をさらに含む、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項8)
前記シェル-コアカプセル剤のシェル内容物は、前記シェル-コアカプセル剤の約2重量%~約40重量%である、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項9)
前記液体洗浄剤組成物は、2つまたは2つより多くのシェル-コアカプセル剤タイプ、第1のカプセル剤タイプおよび第2のカプセル剤タイプを含み、ここで前記第1のカプセル剤タイプのシェルは、ポリサッカリドから形成され、そして前記第2のカプセル剤タイプのコアは、カルボヒドラーゼを含む、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項10)
前記液体洗浄剤組成物は、2つまたは2つより多くのシェル-コアカプセル剤タイプ、第1のカプセル剤タイプおよび第2のカプセル剤タイプを含み、ここで前記第1のカプセル剤タイプのシェルは、脂質から形成され、そして前記第2のカプセル剤タイプのコアは、リパーゼを含む、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項11)
前記第1のカプセル剤タイプのコアは、カルボヒドラーゼをさらに含み、そして前記第2のカプセル剤タイプのシェルは、ポリサッカリドから形成される、上記項10に記載の液体洗浄剤組成物。
(項12)
前記液体洗浄剤組成物は、2つまたは2つより多くのシェル-コアカプセル剤タイプ、第1のカプセル剤タイプおよび第2のカプセル剤タイプを含み、ここで前記第1のカプセル剤タイプのシェルは、タンパク質から形成され、そして前記第2のカプセル剤タイプのコアは、プロテアーゼを含む、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項13)
前記第1のカプセル剤タイプのコアは、カルボヒドラーゼをさらに含み、そして前記第2のカプセル剤タイプのシェルは、ポリサッカリドから形成される、上記項12に記載の液体洗浄剤組成物。
(項14)
前記第1のカプセル剤タイプのコアは、リパーゼをさらに含み、そして前記第2のカプセル剤タイプのシェルは、脂質から形成される、上記項12に記載の体洗浄剤組成物。
(項15)
前記液体洗浄剤組成物は、3つのシェル-コアカプセル剤タイプ、第1のカプセル剤タイプ、第2のカプセル剤タイプおよび第3のカプセル剤タイプを含み、ここで前記第1のカプセル剤タイプのシェルは、タンパク質を含み、前記第2のカプセル剤タイプのシェルは、ポリサッカリドを含み、そして前記第3のカプセル剤タイプのシェルは、脂質を含む、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項16)
前記シェル-コアカプセル剤は、約0.1mm~約5mmの平均直径を有する、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項17)
前記シェル-コアカプセル剤のシェルは、約0.1μm~約100μmの平均厚を有する、上記項1に記載の液体洗浄剤組成物。
(項18)
洗浄剤組成物を使用して、生地および他の物品を洗浄する方法であって、前記方法は、
a.以下:
(1)前記液体洗浄剤組成物の約90重量%~約99.99重量%の、以下:
(a)前記液体洗浄剤組成物の約1重量%~約50重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤;および
(b)前記液体洗浄剤組成物の約40重量%~約99重量%の水、
を含む連続相;
(2)前記液体洗浄剤組成物の約0.01重量%~約10重量%のシェル-コアカプセル剤であって、ここで前記シェル-コアカプセル剤の各々は、シェルおよびコアを含み、
(a)前記コアは、
i.有効量の、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼおよびこれらの混合物からなる群より選択される1つまたは1つより多くの酵素;ならびに
ii.室温で固体、液体、またはゲルである水不溶性物質、
を含み;
(b)前記シェルは、タンパク質、ポリサッカリド、脂質、ワックスおよびこれらの混合物からなる群より選択される物質から形成され、ここで前記シェルは、前記コアを包み、前記シェルは、前記液体洗浄剤組成物の連続相の中では不溶性であり、前記シェルは、洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力の存在下で破裂し、前記シェル物質は、前記1つまたは1つより多くの酵素の作用によって分解性である、
シェル-コアカプセル剤、
を含む液体洗浄剤組成物を提供する工程;
b.前記液体洗浄剤組成物と、水と、洗浄されるべき生地または他の物品とを、洗浄用容器の中に入れて合わせる工程;
c.工程bからの合わせたものを撹拌する工程;および
d.前記洗浄用の水を前記洗浄用容器から除去する工程、
を包含する方法。
(項19)
前記方法は、工程eをさらに含み、ここで工程eは、(1)すすぎ用の水を前記洗浄用容器の中に追加する工程、(2)前記洗浄用容器の内容物を撹拌する工程、および(3)前記すすぎ用の水を前記洗浄用容器から除去する工程を包含し、工程eは、工程dの後に続く、上記項17に記載の生地および他の物品を洗浄する方法。
(項20)
液体洗浄剤組成物を作製する方法であって、前記方法は、
a.シェル-コアカプセル剤を、
(1)水不溶性物質と、有効量の、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼおよびこれらの混合物からなる群より選択される1つまたは1つより多くの酵素とを混合する工程であって、ここで前記水不溶性物質は、室温で固体、液体、またはゲルである工程;
(2)前記工程(1)からの混合物を、粒子の最大直径の平均サイズ約0.01mm~約5mmを有する粒子へと分離する工程;
(3)前記粒子をシェル物質によってコーティングして、シェル-コアカプセル剤を形成する工程であって、前記シェルは、タンパク質、ポリサッカリド、脂質、ワックスおよびこれらの混合物からなる群より選択される物質を含む工程、
によって作製する工程;
b.工程aにおいて調製した前記シェル-コアカプセル剤と、水および洗浄性界面活性剤とを混合する工程;
を包含し、
ここで前記液体洗浄剤組成物は、(i)前記液体洗浄剤組成物の約90重量%~約99.99重量%の連続相であって、ここで前記連続相は、前記液体洗浄剤組成物の約1重量%~約50重量%の1つまたは1つより多くの洗浄性界面活性剤、および前記液体洗浄剤組成物の約40重量%~約90重量%の水を含む連続相、ならびに(ii)前記液体洗浄剤組成物の約0.01重量%~約10重量%のシェル-コアカプセル剤であって、ここで前記コア-シェルカプセル剤の各々は、シェルおよびコアを含み、前記シェルは、前記液体洗浄剤組成物の連続相の中では不溶性であり、前記シェルは、洗浄プロセスの撹拌工程の間に生成される剪断応力の存在下で破裂し、そして前記シェル物質は、前記1つまたは1つより多くの酵素の作用によって分解性である、シェル-コアカプセル剤、
を含む、
方法。

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
【外国語明細書】