IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-支援装置及び支援プログラム 図1
  • 特開-支援装置及び支援プログラム 図2
  • 特開-支援装置及び支援プログラム 図3
  • 特開-支援装置及び支援プログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005998
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】支援装置及び支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230111BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108352
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 進
(72)【発明者】
【氏名】菊原 啓明
(72)【発明者】
【氏名】山地 裕子
(72)【発明者】
【氏名】松田 大輔
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】居住者の利便性を向上させる支援装置及び支援プログラムを提供する。
【解決手段】支援装置50において、居住空間情報取得部61は、過去又は現在の居住空間に関する居住空間情報を取得する。理想空間情報取得部62は、居住者にとって理想の状態となる居住空間に関する理想空間情報を取得する。検知情報取得部63は、居住空間に設置されたセンサ5により検知された検知情報を取得する。診断部66は、居住空間情報、理想空間情報、検知情報などを参照して、居住空間の現在状態を診断し、居住空間の現在状態の課題を発見する。提案部67は、居住空間情報及び理想空間情報、検知情報、および、居住空間の現在状態の課題に基づいて、居住空間の改善案を提案する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去又は現在の居住空間に関する居住空間情報を取得する居住空間情報取得部と、
居住者にとって理想の状態となる居住空間に関する理想空間情報を取得する理想空間情報取得部と、
前記居住空間情報及び前記理想空間情報に基づいて、居住空間の改善案を提案する提案部と、
を備える支援装置。
【請求項2】
前記居住空間に設置されたセンサにより検知された検知情報を取得する検知情報取得部を更に備え、
前記提案部は、前記検知情報に更に基づいて、居住空間の改善案を提案する
請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記検知情報、又は前記居住者から取得した情報に基づいて、前記居住空間情報を更新する居住空間情報更新部を更に備える
請求項2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記居住空間情報更新部は、居住空間が改善されたときに、改善後の居住空間に関する居住空間情報を取得して前記居住空間情報を更新する
請求項3に記載の支援装置。
【請求項5】
前記検知情報、又は前記居住者から取得した情報に基づいて、前記理想空間情報を更新する理想空間情報更新部を更に備える
請求項2から4のいずれかに記載の支援装置。
【請求項6】
前記理想空間情報更新部は、居住空間が改善されたときに、前記居住者にとって理想の状態となる居住空間に関する理想空間情報を取得して前記理想空間情報を更新する
請求項5に記載の支援装置。
【請求項7】
前記提案部は、居住空間の改善案を第三者から取得し、取得した改善案を提案する
請求項1から6のいずれかに記載の支援装置。
【請求項8】
前記提案部は、前記居住空間情報、前記検知情報、及び前記理想空間情報のうち少なくとも1つを入力し、前記改善案を出力するアルゴリズムを使用して前記改善案を提案する
請求項2から7のいずれかに記載の支援装置。
【請求項9】
前記居住空間情報、前記検知情報、前記理想空間情報、前記改善案の提案履歴、及び前記改善案の実現履歴のうち少なくとも1つに基づいて前記アルゴリズムを学習する学習部を更に備える
請求項8に記載の支援装置。
【請求項10】
コンピュータを、
過去又は現在の居住空間に関する居住空間情報を取得する居住空間情報取得部と、
居住者にとって理想の状態となる居住空間に関する理想空間情報を取得する理想空間情報取得部と、
前記居住空間情報及び前記理想空間情報に基づいて、居住空間の改善案を提案する提案部と、
として機能させるための支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、居住空間の居住者を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅は、人が生活するための重要な基盤である。住宅における暮らしの利便性や快適性を向上させるための様々な技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、居住空間に設置される対象物に関する情報と、居住空間に設置されたセンサにより過去に検知された検知情報の履歴に基づいて、対象物をリフォーム、修繕、又は製作する方法の候補を生成して提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-033550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、居住者の利便性を更に向上させるために居住者を支援する技術を提供することを課題として認識し、本開示の技術に想到した。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、居住者の利便性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の支援装置は、過去又は現在の居住空間に関する居住空間情報を取得する居住空間情報取得部と、居住者にとって理想の状態となる居住空間に関する理想空間情報を取得する理想空間情報取得部と、居住空間情報及び理想空間情報に基づいて、居住空間の改善案を提案する提案部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る支援技術の概要を模式的に示す図である。
図2】住宅の例を示す図である。
図3】実施の形態に係る支援装置の手順を示すシーケンス図である。
図4】実施の形態に係る支援装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施の形態に係る支援装置は、現在又は過去の居住空間と、居住者にとって理想の状態となる居住空間とを把握し、それらに基づいて居住空間の改善案を居住者に提案する。ある時点において、居住者が理想とする居住空間が構築されていたとしても、その後の暮らしの中で、居住空間が経年変化したり、居住者の状態、嗜好、生活環境などが変化したりして、現実の居住空間と理想の居住空間との間にずれが生じることがある。また、ある時点においては、時間的又は経済的な理由などにより、理想とする居住空間が構築できなくても、その後、居住空間を改善するための時間的又は経済的な余裕が生じることがある。実施の形態に係る支援装置は、居住空間に設置された各種のセンサにより検知された情報や、居住者から取得した情報などに基づいて、居住空間や居住者の変化を把握し、居住空間の現在状態と理想状態を更新する。支援装置は、適宜のタイミングで、居住空間の現在状態と理想状態に基づいて、居住空間を理想状態に近づけるための改善案を居住者に提案する。これにより、居住者にとって理想の状態となる居住空間を構築できるように適切に支援することができるので、居住者の利便性を向上させることができる。また、居住者自身が気づいていないような居住空間の理想状態を各種の情報などから推定し、推定された理想状態に居住空間を近づけるための改善案を提案することもできるので、居住者の利便性を向上させることができる。
【0011】
居住空間の改善案は、例えば、居住空間に設置された設備、機器、装置、家具、建材、内装、外装などの追加、変更、移動、修繕、保守、設定変更、リフォーム、DIYなどの提案であってもよいし、居住空間の間取りの変更や居住空間の住み替えなどの提案であってもよいし、暮らし全般に関する提案であってもよい。本実施の形態の技術は、住宅に限らず、宿泊施設、住宅や宿泊施設などに併設された駐車場や庭などの敷地、乳幼児や高齢者などを滞在させる施設など、人が居住、宿泊、又は滞在するための建築物又は敷地を含む任意の居住空間に適用可能である。本実施の形態では、主に、住宅のリフォームを支援する例について説明する。
【0012】
図1は、本開示に係る支援技術の概要を模式的に示す。本実施の形態の支援装置50は、まず、過去又は現在の居住空間に関する居住空間情報を、居住者が使用する居住者端末3や居住空間に設置されたセンサ5などから取得して、居住空間の初期状態を把握する。支援装置50は、居住空間の間取りや、居住空間に設置された設備、機器、装置、家具、建材、内装などに関する情報を保存してもよいし、これらの情報に基づいて居住空間のデジタルツインを生成してもよい。支援装置50は、居住者にとって理想の状態となる居住空間に関する理想空間情報を居住者端末3から取得して、居住空間の理想状態を把握する。支援装置50は、理想の居住空間の間取りや、居住空間に設置することを居住者が希望する設備、機器、装置、家具、建材、内装などに関する情報を保存してもよいし、これらの情報に基づいて理想の居住空間のデジタルツインを生成してもよい。
【0013】
居住者端末3は、居住者から居住空間情報や理想空間情報などを受け付けるための入力装置及び表示装置や、受け付けた情報を支援装置50に送信するための通信装置や、それらの処理を制御するための処理装置などを備える。居住者端末3は、PC、タブレットPC、スマートフォンなどの任意の種類の端末装置であってもよい。居住者端末3は、撮像装置や位置検知装置など、センサ5として機能する装置を備えてもよい。居住者端末3は、居住者の体温、脈拍、血圧、血中酸素濃度、睡眠状態など、居住者の生体情報や居住者の生活に関する情報などを検知又は取得するための構成を備えてもよい。居住者端末3は、居住者が装着するウェアラブルセンサなどから検知情報を取得して支援装置50に送信してもよい。
【0014】
支援装置50は、居住空間に設置されたセンサ5や居住者端末3などにより検知された検知情報を継続的に取得する。また、支援装置50は、居住者端末3から居住者の状態、嗜好、生活環境などの情報を継続的に取得する。支援装置50は、これらの情報に基づいて、居住空間の現在状態を表す情報やデジタルツインを更新する。また、支援装置50は、これらの情報に基づいて、居住空間の理想状態を表す情報やデジタルツインを更新する。支援装置50は、居住空間情報と理想空間情報を居住者端末3に随時提示してもよい。
【0015】
支援装置50は、適宜のタイミングで、居住空間情報、理想空間情報、検知情報、居住者端末3から取得した情報などに基づいて、居住空間の現在状態の課題を発見し、発見した課題を改善して居住空間を理想状態に近づけることができるような改善案を居住者端末3に提案する。支援装置50は、居住空間の設計者、住宅、家具、建材、内装などのメーカーの開発担当者、営業担当者、デザイナーなどの、住宅、設備、機器、装置、家具、建材、内装、外装、リフォームなどに詳しい専門家や、睡眠アドバイザー、生活アドバイザー、ライフスタイルコーディネーター、管理栄養士、データサイエンティストなどの、生活や暮らしに関する専門家などの支援者の支援者端末4から改善案を取得してもよい。また、支援装置50は、居住空間情報、理想空間情報、検知情報などを入力し、改善案を出力するアルゴリズムを使用して改善案を提案してもよい。
【0016】
改善案を受けた居住者が居住空間を改善すると、支援装置50は、改善後の居住空間に関する情報を居住者端末3やセンサ5から取得して居住空間情報を更新する。また、支援装置50は、居住者が理想とする居住空間に関する情報を居住者端末3から取得して理想空間情報を更新する。この状態を初期状態として、以上のサイクルが繰り返される。
【0017】
これにより、居住空間の経年劣化したり、居住者の状態、嗜好、生活環境などが変化したりしても、居住者の理想に合った居住空間の改善案を継続的に提案することができる。より具体的には、居住者の身体能力、疾病、家族、同居人の構成、家族の年齢、ライフスタイル、仕事、時間の使い方、価値観、生活導線、家電機器や家具などの所有物、居住空間に導入したスマートフォン、スマートスピーカー、ウェアラブルセンサなどのテクノロジーなどの変化に合わせて、適切な改善案を適時に提案することができる。
【0018】
図2は、住宅の例を示す。住宅2には、センサ5の例として、画像センサ30、荷重センサ31、開閉センサ32、3Dセンサ33などが設置される。これらのセンサ5は、住宅2内に設置された設備、機器、家具、建材、内装などに設置され、住宅2に居住する居住者の状態や、住宅2内に設置された設備、機器、装置、家具、建材、内装などの位置や状態などを検知する。これらのセンサ5により検知された情報は、通信網40を介して支援装置50に送信される。
【0019】
図3は、実施の形態に係る支援装置の手順を示すシーケンス図である。居住者端末3は、過去又は現在の居住空間に関する居住空間情報を支援装置50に送信する(S10)。支援装置50は、居住空間情報を記録し、必要に応じて居住空間のデジタルツインを生成する(S12)。居住者端末3は、居住者が理想とする居住空間に関する理想空間情報を支援装置50に送信する(S14)。支援装置50は、理想空間情報を記録し、必要に応じて理想の居住空間のデジタルツインを生成する(S16)。
【0020】
居住空間に設置されたセンサ5は、検知情報を支援装置50に送信する(S20)。居住者端末3は、居住者の状態、嗜好、生活環境などの居住者情報を支援装置50に送信する(S22)。支援装置50は、これらの情報に基づいて、居住空間の現在状態を表す情報やデジタルツインを更新する(S24)。また、支援装置50は、これらの情報に基づいて、居住空間の理想状態を表す情報やデジタルツインを更新する(S26)。
【0021】
支援装置50は、適宜のタイミングで、居住空間情報、理想空間情報、検知情報、居住者端末3から取得した情報などに基づいて、居住空間を理想状態に近づけることができるような改善案を生成し(S30)、生成した改善案を居住者端末3に提案する(S32)。
【0022】
図4は、実施の形態に係る支援装置の構成を示す。支援装置50は、通信装置51、表示装置52、入力装置53、制御装置60、及び記憶装置70を備える。支援装置50は、サーバ装置であってもよいし、パーソナルコンピューターなどの装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0023】
通信装置51は、通信網40などを介した他の装置との通信を制御する。通信装置51は、有線又は無線の任意の通信方式により通信を行ってもよい。表示装置52は、制御装置60により生成される画面を表示する。表示装置52は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置53は、支援装置50の使用者又は管理者による指示入力を制御装置60に伝達する。入力装置53は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置52及び入力装置53は、タッチパネルとして実装されてもよい。
【0024】
記憶装置70は、制御装置60により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置70は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。記憶装置70は、居住者情報保持部71、居住空間情報保持部72、理想空間情報保持部73、検知情報保持部74、リフォーム情報保持部75、及び改善案生成アルゴリズム76を備える。
【0025】
居住者情報保持部71は、居住空間の居住者に関する情報を格納する。居住者情報保持部71は、例えば、居住者の人数、家族構成、性別、年齢、血液型、職業、生活パターンなどの属性情報や、身長、体重、健康状態、運動能力などの生体情報や、趣味、好きな飲食物、デザインの好み、飼養している動物の種類などの嗜好情報などを格納する。居住者情報保持部71は、居住空間の理想状態や改善案を検討する際に考慮される情報として、居住者の価値観や考え方などを示す情報などを格納してもよい。例えば、家事の無駄を省きたい/家事を積極的にやりたい、子どもに自立して欲しい/子どもと一緒にいたい、ミニマルに暮らしたい/モノに囲まれて便利に暮らしたい、人を招きたい/家は家族だけのものにしたい、ずっと住み続けたい/売れる又は貸せるようにしたい、などの居住空間に関する価値観や、大切なものの優先順位、例えば、家族、家、時間などの優先順位を示す情報などを居住者情報保持部71に格納してもよい。
【0026】
居住空間情報保持部72は、居住空間情報を保持する。居住空間情報保持部72は、居住空間の間取り、面積、工法、モジュール、図面、撮像画像、居住空間に設置された設備、機器、装置、家具、建材、内装などの種類、メーカー、位置、形状、大きさ、色、材質、外観、特性、機能、価格、設置日時、撮像画像などの情報を格納する。
【0027】
理想空間情報保持部73は、理想空間情報を保持する。理想空間情報保持部73は、居住者が理想とする居住空間の間取り、面積、図面、イメージ、居住者が居住空間に設置を希望する設備、機器、装置、家具、建材、内装などの種類、位置、形状、大きさ、色、材質、外観、特性、機能、価格帯、テイスト、イメージなどの情報を格納する。
【0028】
検知情報保持部74は、センサ5により検知された情報を保持する。検知情報保持部74は、温湿度、振動、日射、風力、風向、太陽高度などの環境情報や、花粉、埃、粉塵、PM2.5、菌、ウイルス、黄砂、放射線量などの空気に関する情報や、居住者の滞在時間、移動時間、移動経路、滞在人数、睡眠時間、就寝時間、入浴時間、排泄時間、排泄回数、食事時間、出勤時間、帰宅時間、予定などの居住者の行動情報や、窓、ドア、門扉などの住宅設備の開閉情報や、住宅設備や機器などの居住者ごとの使用時間や使用履歴や、居住者の身長、体重、血圧、脈拍、排泄量、発汗量、身体能力、疾病、ADL(日常生活動作)などの身体情報や、電気使用量、ガス使用量、水使用量、エネルギー使用量などの設備情報などを格納する。
【0029】
リフォーム情報保持部75は、住宅2のリフォームに関する情報を保持する。リフォーム情報保持部75は、住宅2に設置可能な設備、機器、装置、家具、建材、内装などの種類、メーカー、位置、形状、大きさ、色、材質、外観、特性、機能、価格、画像などの情報や、リフォームの施工業者、費用、納期、料金体系、評判などの情報を格納する。
【0030】
改善案生成アルゴリズム76は、住宅2の改善案を生成するためのアルゴリズムである。改善案生成アルゴリズム76は、居住空間情報、理想空間情報、検知情報、居住者情報などを入力層に入力し、入力された情報に応じた改善案を出力層から出力するニューラルネットワークなどであってもよい。改善案生成アルゴリズム76は、これらの情報に関する条件と、その条件が充足されたときに推奨される改善案とを対応づけたルールベースのアルゴリズムであってもよい。改善案生成アルゴリズム76は、これらの情報に基づいて、複数の改善案をスコアリングするためのアルゴリズムであってもよい。改善案生成アルゴリズム76は、居住者の年齢、性別、職業などの属性ごとに設けられてもよいし、居住者ごとに設けられてもよい。
【0031】
制御装置60は、居住空間情報取得部61、理想空間情報取得部62、検知情報取得部63、居住空間情報更新部64、理想空間情報更新部65、診断部66、提案部67、リフォーム管理部68、及び学習部69を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0032】
居住空間情報取得部61は、居住者端末3から居住空間情報を取得して居住空間情報保持部72に格納する。居住空間情報取得部61は、居住者端末3から居住者情報を取得して居住者情報保持部71に格納する。
【0033】
理想空間情報取得部62は、居住者端末3から理想空間情報を取得して理想空間情報保持部73に格納する。理想空間情報取得部62は、居住空間情報や居住者情報に基づいて、居住者の理想とする居住空間を居住者に提案してもよい。理想空間情報取得部62は、設計者などの支援者と居住者との間の対話などにおいて、居住者にとって理想の状態となる居住空間を構築してもよい。
【0034】
検知情報取得部63は、居住空間に設置されたセンサ5により検知された検知情報を取得して、検知情報保持部74に格納する。
【0035】
居住空間情報更新部64は、センサ5や居住者端末3などから取得した情報に基づいて、居住空間情報保持部72に格納された居住空間情報を更新する。居住空間情報更新部64は、例えば、居住空間の撮像画像から居住空間に設置された設備、機器、装置、家具、建材、内装などが変更されたことを検知し、居住空間情報保持部72を更新してもよい。また、居住空間情報更新部64は、居住空間がリフォームされた場合に、リフォーム後の居住空間情報を取得して居住空間情報保持部72を更新してもよい。
【0036】
理想空間情報更新部65は、センサ5や居住者端末3などから取得した情報に基づいて、理想空間情報保持部73に格納された理想空間情報を更新する。理想空間情報更新部65は、例えば、居住空間に新たに設置された設備、機器、装置、家具、建材、内装などの撮像画像から居住者の嗜好や生活パターンなどを分析し、理想空間情報保持部73を更新してもよい。
【0037】
診断部66は、居住空間情報、理想空間情報、検知情報、居住者情報などを参照して、居住空間の現在状態を診断し、居住空間の現在状態の課題を発見する。診断部66は、居住空間の間取り、設備、機器、装置、家具、建材などの設置位置、居住者の移動時間、移動距離、滞在時間などに基づいて、居住者の動線を診断してもよい。診断部66は、居住空間に設置されている設備、機器、装置、家具、建材、内装などの特性、機能、デザイン、色、サイズなどに基づいて、それらの必要性、安全性、満足度、危険度などを診断してもよい。診断部66は、電気使用量、ガス使用量、水使用量、エネルギー使用量に基づいて、居住空間に設置されている設備、機器、装置、家具、建材、内装などの特性、機能、性能、保守や交換の必要性、時期、費用などを診断してもよい。診断部66は、支援者端末4に居住空間情報、理想空間情報、検知情報、居住者情報などを提供し、支援者による診断結果を支援者端末4から取得してもよい。
【0038】
提案部67は、居住空間情報、理想空間情報、検知情報、居住者情報、診断部66による診断結果などに基づいて、居住空間を改善するための改善案を居住者に提案する。提案部67は、支援者端末4に居住空間情報、理想空間情報、検知情報、居住者情報、診断部66による診断結果などを提供し、改善案を支援者端末4から取得してもよい。提案部67は、支援者端末4から取得した改善案を居住者端末3に提示し、居住者端末3と支援者端末4との間で対話する場を提供してもよい。これにより、居住者は、専門家による温かみのある提案を受けることができるとともに、専門家との対話を通して納得感のあるリフォームを実施することができるので、居住者の利便性を向上させることができる。また、支援者は、居住空間の現在状態や理想状態などを事前に把握することができるので、商機を増やすことができるとともに、リフォームをスムーズに進めることができるので、支援者の利便性も向上させることができる。
【0039】
提案部67は、改善案生成アルゴリズム76を使用して改善案を生成してもよい。この場合、提案部67は、改善案生成アルゴリズム76に、居住空間情報、理想空間情報、検知情報、居住者情報、診断部66による診断結果などを入力し、改善案を出力させる。
【0040】
リフォーム管理部68は、居住者が住宅2をリフォームする際に、リフォームの見積もり、発注、施工、保守などを管理する。リフォーム管理部68は、提案部67により提案された改善案のうち居住者が実施を決定したリフォームの内容を取得し、見積もり、発注、施工、保守などを管理する。これにより、リフォームに要する工程をワンストップで行うことができるので、手戻りなくスムーズにリフォームを進めることができる。
【0041】
学習部69は、改善案生成アルゴリズム76を機械学習により学習する。学習部69は、居住者情報や検知情報の履歴などから推定される居住者の嗜好などと合致する改善案が候補として選択されやすくなるように、ニューラルネットワークの中間層の重みや数式の係数などを調整することにより、改善案生成アルゴリズム76を学習してもよい。学習部69は、居住者に提案した改善案を居住者が実際に実行したか否か、居住者が実行した場合はその改善案の実行結果又は居住者による評価などの情報を取得し、取得した情報を教師データとして改善案生成アルゴリズム76を再学習してもよい。また、学習部69は、居住者に提案した改善案で居住空間がリフォームされた後に検知情報取得部63により取得された検知情報の履歴を解析した結果を教師データとして改善案生成アルゴリズム76を再学習してもよい。例えば、改善案が実際に実行された場合や、その改善案の実行結果又は評価が肯定的である場合や、候補が実際に実行された後に良好な検知情報が取得された場合は、学習部69は、その改善案を選択したときに入力層に入力されていた情報がニューラルネットワークの入力層に入力されたときに、その改善案がより選択されやすくなるように中間層の重みを調整してもよい。また、改善案が実行されなかった場合や、その改善案の実行結果又は評価が否定的である場合や、改善案が実際に実行された後に良好でない検知情報が取得された場合は、学習部69は、その改善案を選択したときに入力層に入力されていた情報がニューラルネットワークの入力層に入力されたときに、その改善案が選択されにくくなるように中間層の重みを調整してもよい。これにより、改善案生成アルゴリズム76を実際に居住者が実行した結果を改善案生成アルゴリズム76にフィードバックすることができるので、より的確な改善案を提示し、居住者を支援することができる。
【0042】
本実施の形態では、複数の居住者に対する支援を統括的に管理する支援装置50を設ける例を説明したが、居住者ごとに支援装置50が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0043】
2 住宅、3 居住者端末、4 支援者端末、5 センサ、30 画像センサ、31 荷重センサ、32 開閉センサ、33 3Dセンサ、40 通信網、50 支援装置、61 居住空間情報取得部、62 理想空間情報取得部、63 検知情報取得部、64 居住空間情報更新部、65 理想空間情報更新部、66 診断部、67 提案部、68 リフォーム管理部、69 学習部、71 居住者情報保持部、72 居住空間情報保持部、73 理想空間情報保持部、74 検知情報保持部、75 リフォーム情報保持部、76 改善案生成アルゴリズム。
図1
図2
図3
図4