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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006008
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】加圧タンク
(51)【国際特許分類】
   F16J 12/00 20060101AFI20230111BHJP
   B05B 7/24 20060101ALN20230111BHJP
   B05B 15/00 20180101ALN20230111BHJP
【FI】
F16J12/00 Z
B05B7/24
B05B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108365
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】木村 航太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 洋一
【テーマコード(参考)】
3J046
4D073
4F033
【Fターム(参考)】
3J046AA01
3J046BA05
3J046CA03
3J046DA10
4D073BB01
4D073BB03
4D073CA01
4D073CA20
4D073CB16
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB15X
4F033QB17
4F033QD02
4F033QD11
4F033QF02X
4F033QF07X
4F033QF07Y
(57)【要約】
【課題】変形しにくい加圧タンクを提供する。
【解決手段】空気圧縮機に接続され、内部に液体を収容する加圧タンク200は、上壁部310と、下壁部410と、上壁部310及び下壁部410に連続する側壁部(第一側壁部320、第二側壁部420)と、上壁部310、下壁部410及び側壁部に囲まれた空間内に配置され、上壁部310及び下壁部410の少なくとも一方と側壁部とに連続する第一補強壁(第一上部補強壁350及び第一下部補強壁450)と、空間内に配置され、上壁部310及び下壁部410の少なくとも一方と側壁部とに連続するとともに、第一補強壁に接続された第二補強壁(第二上部補強壁360及び第二下部補強壁460)と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧縮機に接続され、内部に液体を収容する加圧タンクであって、
上壁部と、
下壁部と、
前記上壁部及び前記下壁部に連続する側壁部と、
前記上壁部、前記下壁部及び前記側壁部に囲まれた空間内に配置され、前記上壁部及び下壁部の少なくとも一方と、前記側壁部とに連続する第一補強壁と、
前記空間内に配置され、前記上壁部及び下壁部の少なくとも一方と、前記側壁部とに連続するとともに、前記第一補強壁に接続された第二補強壁とを有する
加圧タンク。
【請求項2】
前記第一補強壁と、前記第二補強壁とは、互いに交差するように配置されている
請求項1に記載の加圧タンク。
【請求項3】
前記第一補強壁と前記第二補強壁との交点に、前記第一補強壁と前記第二補強壁とで区切られた複数の空間を連通する連通口が形成されている
請求項2に記載の加圧タンク。
【請求項4】
前記第一補強壁は、前記上壁部及び前記側壁部に連続しており、
前記第二補強壁は、前記上壁部及び前記側壁部に連続しており、
前記上壁部には、外部から前記液体が供給される供給口が形成されており、
前記連通口は、前記供給口に設けられている
請求項3に記載の加圧タンク。
【請求項5】
前記第一補強壁は、前記下壁部及び前記側壁部に連続しており、
前記第二補強壁は、前記下壁部及び前記側壁部に連続しており、
前記下壁部には、前記液体が排出される排出口が形成されており、
前記連通口は、前記排出口に設けられている
請求項3または4に記載の加圧タンク。
【請求項6】
前記上壁部には、外部から前記液体が供給される供給口が形成されており、
前記下壁部には、前記液体が排出される排出口が形成されており、
前記供給口と前記排出口とは、上面視で離れた位置に配置されている
請求項1~5のいずれか一項に記載の加圧タンク。
【請求項7】
前記第一補強壁及び前記第二補強壁の少なくとも一方は、先端部に凹部を有する
請求項1~6のいずれか一項に記載の加圧タンク。
【請求項8】
前記上壁部及び当該上壁部の全周に連続する前記側壁部の一部を有する第一収容部と、
前記下壁部及び当該下壁部の全周に連続する前記側壁部の一部を有する第二収容部とを備え、
前記第一収容部と第二収容部とのそれぞれは、前記第一補強壁と前記第二補強壁とを有する
請求項1~7のいずれか一項に記載の加圧タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加圧タンクに貯留された液体を、加圧して二流体ノズルに供給するとともに、圧縮空気を二流体ノズルに供給することで、液体と気体とを混合して、液体を霧化する噴霧装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-188290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加圧タンクの内圧を均等に分散させるために、円柱状に形成された加圧タンクが噴霧装置に採用される場合がある。しかしながら円柱状の加圧タンクであると、噴霧装置に搭載した際に余剰空間が発生し、スペース効率が低下してしまう。一方、噴霧装置における加圧タンクの設置スペースに対応した形状に、加圧タンクを形成することも検討されている。例えば、設置スペースが直方体状の空間である場合には、加圧タンクの外形も直方体状とすることで余剰空間の削減が図られる。しかしながら、円柱状、球状以外の加圧タンクでは、内圧が均等に分散されないので、応力集中により加圧タンクが変形しうる。
【0005】
本発明の目的は、変形しにくい加圧タンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る加圧タンクは、空気圧縮機に接続され、内部に液体を収容する加圧タンクであって、上壁部と、下壁部と、前記上壁部及び前記下壁部に連続する側壁部と、前記上壁部、前記下壁部及び前記側壁部に囲まれた空間内に配置され、前記上壁部及び下壁部の少なくとも一方と、前記側壁部とに連続する第一補強壁と、前記空間内に配置され、前記上壁部及び下壁部の少なくとも一方と、前記側壁部とに連続するとともに、前記第一補強壁に接続された第二補強壁とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、変形しにくい加圧タンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る噴霧装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る加圧タンクの概略構成を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係る加圧タンクを上方から見た分解斜視図である。
図4】実施の形態に係る加圧タンクを下方から見た分解斜視図である。
図5】実施の形態に係る第一収容部の概略構成を示す上面図である。
図6図3のVI-VI切断線を含むXY平面に平行な切断面を見た、第一収容部の断面斜視図である。
図7】実施の形態に係る第二収容部の概略構成を示す下面図である。
図8図3及び図4のVIII-VIII切断線を含むXY平面に平行な切断面を見た、第二収容部の断面斜視図である。
図9】変形例1に係る第二収容部を示す下面図である。
図10】変形例2に係る加圧タンク200Bの概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明に係る加圧タンクの実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0010】
なお、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0012】
以下の説明及び図面中において、加圧タンクに備わる第一収容部及び第二収容部の並び方向をZ軸方向、Z軸方向視における加圧タンクの短手方向をX軸方向、長手方向をY軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0013】
また、以下の実施の形態においては、略直方体状等の「略」を用いた表現を用いている。例えば、略直方体状とは、完全な直方体であることを意味するだけでなく、実質的に直方体である。すなわち、例えば表面に多少の凹凸等も含んだ直方体も含むことも意味する。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0014】
(実施の形態)
[噴霧装置]
まず、実施の形態に係る加圧タンクを備えた噴霧装置100について説明する。図1は、実施の形態に係る噴霧装置100の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、噴霧装置100は、直方体状の本体部110と、本体部110の上部側面に取り付けられた噴霧ユニット120とを備えている。本体部110には、水または除菌液などの液体を貯留する加圧タンク200と、加圧タンク200及び噴霧ユニット120に連通され、加圧源となる空気圧縮機(コンプレッサ:図示省略)と、空気圧縮機を制御するための制御部などが内蔵されている。噴霧ユニット120内には、空気圧縮機から供給された高圧空気と、加圧タンク200から供給された高圧な液体とを混合し、噴霧する複数の二流体ノズル121が備えられている。
【0015】
[加圧タンク]
次に加圧タンク200について詳細に説明する。図2は、実施の形態に係る加圧タンク200の概略構成を示す斜視図である。図3は、実施の形態に係る加圧タンク200を上方から見た分解斜視図である。図4は、実施の形態に係る加圧タンク200を下方から見た分解斜視図である。
【0016】
図2図4に示すように、加圧タンク200は、第一収容部300と、第二収容部400とが組み立てられることで略直方体状となっている。第一収容部300は、加圧タンク200の上側半分をなしており、第二収容部400は加圧タンク200の下側半分をなしている。第一収容部300及び第二収容部400は、例えばPPSなどの樹脂材料により形成されている。
【0017】
[第一収容部]
次に第一収容部300について説明する。図5は、実施の形態に係る第一収容部300の概略構成を示す上面図である。図6は、図3のVI-VI切断線を含むXY平面に平行な切断面を見た、第一収容部300の断面斜視図である。
【0018】
図2図6に示すように、第一収容部300は、下方が開放された椀状に形成されている。具体的には、第一収容部300は、上壁部310と、上壁部310に連続する第一側壁部320とを有している。第一側壁部320は、上壁部310の全周にわたって下方に連続した側壁部の一例である。第一側壁部320の下端部には、第一フランジ部321が全周にわたって連続的に形成されている。第一フランジ部321には、Z軸方向に貫通した複数の貫通孔322が周方向に所定の間隔をあけて配列されている。
【0019】
上壁部310は、加圧タンク200の天面をなす壁部であり、外部から液体が供給される供給口311と、一対の封止口312、313と、一対の通気口314、315が設けられている。供給口311と、一対の封止口312、313とは、Y軸方向に沿って配列されるように、上壁部310のX軸方向の中央部に配置されている。具体的には、Y軸マイナス方向から封止口312、封止口313、供給口311と言う順で並んでいる。
【0020】
供給口311は、上壁部310から上方に向けて円筒状に突出しており、キャップ330(図2参照)が着脱自在に装着されるようになっている。例えば、供給口311の外周面には雄ネジが形成されており、当該雄ネジに、キャップ330の内周面に形成された雌ネジが螺合するようになっている。加圧タンク200に液体が供給される際には、作業者がキャップ330を取り外し供給口311から液体を加圧タンク200内に注ぐようになっている。
【0021】
一対の封止口312、313は、上壁部310から上方に向けて円筒状に突出している。一対の封止口312、313のそれぞれの内方には、射出成形時に連通口370(後述:図6参照)を形成するために型(金型内の突起)が存在した部位である。つまり、一対の封止口312、313は、製造後には不要な開口となる。このため一対の封止口312、313には、栓部材331が取り外せないように封入され閉塞されている。
【0022】
一対の通気口314、315は、封止口313よりもY軸マイナス方向に配置されており、Y軸方向視で封止口313を挟むようにX軸方向に配列されている。一対の通気口314、315は、上壁部310から上方に向けて円筒状に突出しており、それぞれL字状のワンタッチ継手管340(図2参照)が取り付けられている。ワンタッチ継手管340は、各通気口314、315に対してワンタッチ操作で連結されるだけでなく、取り付けるだけで各通気口314、315との気密性も確保できる部材である。つまり、気密性を確保するためのシールテープやシール剤が不要となる。シールテープやシール剤の破片が加圧タンク200内に侵入してしまうと二流体ノズル121をつまらせてしまうが、これらが不要となるので二流体ノズル121のつまりを抑制することが可能である。なお、一対の通気口314、315には、ネジ式の継手管が取り付けられてもよい。
【0023】
通気口314に取り付けられたワンタッチ継手管340には、空気圧縮機まで繋がる配管が連結されている。つまり、通気口314からは、空気圧縮機からの圧縮空気が加圧タンク200内に供給される。一方、通気口315に取り付けられたワンタッチ継手管340には、加圧タンク200内の水位を計測するための水位計まで繋がる配管が連結されている。このため、水位計の内圧は、加圧タンク200の内圧と均等化される。
【0024】
また、図4図6に示すように、第一収容部300には、第一上部補強壁350と、複数の第二上部補強壁360とが設けられている。第一上部補強壁350は、上壁部310及び第一側壁部320に連続するように、第一収容部300の内方に形成された第一補強壁の一例である。第一上部補強壁350は、第一収容部300のX軸方向の中央部に配置されており、Y軸方向に沿って延設された平板状の壁部である。第一上部補強壁350の先端部(下端部)には、Y軸方向の中央部に略台形状の凹部351が形成されている。このため、第一上部補強壁350は、上壁部310からの長さ(Z軸方向の長さ)がY軸方向の両端部で最も長くなっている。つまり、第一上部補強壁350は、Y軸方向の中央部が抉られた形状となっている。
【0025】
複数の第二上部補強壁360は、上壁部310及び第一側壁部320に連続するとともに、第一上部補強壁350に接続するように、第一収容部300内方に形成された第二補強壁の一例である。複数の第二上部補強壁360は、第一収容部300内をY軸方向で概ね均等に分割する位置に配置されており、それぞれX軸方向に沿って延設された平板状の壁部である。このため、各第二上部補強壁360と第一上部補強壁350とは、下面視において互いに交差するように配置されている。各第二上部補強壁360の先端部(下端部)には、X軸方向の中央部に略台形状の凹部361が形成されている。このため、第二上部補強壁360は、上壁部310からの長さ(Z軸方向の長さ)がX軸方向の両端部で最も長くなっている。つまり、第二上部補強壁360は、X軸方向の中央部が抉られた形状となっている。
【0026】
各第二上部補強壁360と第一上部補強壁350との交点P11、P12、P13では、各第二上部補強壁360と第一上部補強壁350との下縁部が面一に形成されている(図4参照)。ここで、封止口312は交点P11を中心とする位置に配置されており、封止口313は交点P12を中心とする位置に配置されており、供給口311は交点P13を中心とする位置に配置されている(図5参照)。また、交点P11、P12、P13において上壁部310の近傍には、各第二上部補強壁360と第一上部補強壁350とのそれぞれに切欠が形成されている(図6参照)。これらの切欠は、各第二上部補強壁360と第一上部補強壁350とで区切られた複数の空間を連通する連通口370をなしている。各交点P11、P12、P13に連通口370が設けられているので、各第二上部補強壁360と第一上部補強壁350とで区切られた複数の空間を連通させることができ、当該複数の空間の内圧を均等化することが可能である。
【0027】
[第二収容部]
次に第二収容部400について説明する。図7は、実施の形態に係る第二収容部400の概略構成を示す下面図である。図8は、図3及び図4のVIII-VIII切断線を含むXY平面に平行な切断面を見た、第二収容部400の断面斜視図である。
【0028】
図2図4図7図8に示すように、第二収容部400は、上方が開放された椀状に形成されている。具体的には、第二収容部400は、下壁部410と、下壁部410に連続する第二側壁部420とを有している。第二側壁部420は、下壁部410の全周にわたって上方に連続した側壁部の一例である。第二側壁部420の上端部には、第二フランジ部421が全周にわたって連続的に形成されている。第二フランジ部421には、Z軸方向に貫通した複数の貫通孔422が周方向に所定の間隔をあけて配列されている。第二フランジ部421を第一フランジ部321に重ね合わせて、各貫通孔322、422に挿通されたボルトにナットを螺合することで、第二収容部400と第一収容部300とが組み立てられる。また、第二フランジ部421の上面には、全周にわたって連続した環状の溝423が形成されており、この溝423内にOリング(図示省略)が嵌合されている。このOリングは、第一フランジ部321と第二フランジ部421とにより挟まれて圧縮されるので、第一フランジ部321と第二フランジ部421との間の密閉性が確保されている。
【0029】
下壁部410は、加圧タンク200の底面をなす壁部であり、液体が排出される排出口411と、3つの封止口412~414と、本体部110に固定される固定部490とが設けられている。排出口411と、3つの封止口412~414とは、Y軸方向に沿って配列されるように、下壁部410のX軸方向の中央部に配置されている。具体的には、Y軸マイナス方向から封止口412、排出口411、封止口413、封止口414と言う順で並んでいる。
【0030】
排出口411は、下壁部410から下方に向けて円筒状に突出しており、L字状のワンタッチ継手管(図示省略)が取り付けられている。このため排出口411においても、気密性を確保するためのシールテープやシール剤が不要となるので、二流体ノズル121のつまりを抑制することが可能である。なお、排出口411には、ネジ式の継手管が取り付けられてもよい。
【0031】
各封止口412~414は、下壁部410から下方に向けて円筒状に突出している。各封止口412~414のそれぞれの内方には、射出成形時に連通口470(後述:図8参照)を形成するために型(金型内の突起)が存在した部位である。つまり、各封止口412~414は、製造後には不要な開口となる。このため各封止口412~414には、栓部材(図示省略)が取り外せないように封入され閉塞されている。
【0032】
固定部490は、下壁部410から下方に向けて突出しており、全体として平面視H字状に形成されている。具体的には、固定部490は、Y軸方向に長尺で、X軸方向に間隔をあけて配置された一対の長尺部491と、X軸方向に延設されて一対の長尺部491間をつなぐ連結部492とを有している。
【0033】
また、第二収容部400には、第一下部補強壁450と、複数の第二下部補強壁460とが設けられている。第一下部補強壁450は、下壁部410及び第二側壁部420に連続するように、第二収容部400の内方に形成された第一補強壁の一例である。第一下部補強壁450は、第二収容部400のX軸方向の中央部に配置されており、Y軸方向に沿って延設された平板状の壁部である。第一下部補強壁450の先端部(上端部)には、Y軸方向の中央部に略台形状の凹部451が形成されている。このため、第一下部補強壁450は、下壁部410からの長さ(Z軸方向の長さ)がY軸方向の両端部で最も長くなっている。つまり、第一下部補強壁450は、Y軸方向の中央部が抉られた形状となっている。
【0034】
複数の第二下部補強壁460は、下壁部410及び第二側壁部420に連続するとともに、第一下部補強壁450に接続するように、第二収容部400内方に形成された第二補強壁の一例である。複数の第二下部補強壁460は、第二収容部400内をY軸方向で概ね均等に分割する位置に配置されており、それぞれX軸方向に沿って延設された平板状の壁部である。このため、各第二下部補強壁460と第一下部補強壁450とは、上面視において互いに交差するように配置されている。各第二下部補強壁460の先端部(上端部)には、X軸方向の中央部に略台形状の凹部461が形成されている。このため、第二下部補強壁460は、下壁部410からの長さ(Z軸方向の長さ)がX軸方向の両端部で最も長くなっている。つまり、第二下部補強壁460は、X軸方向の中央部が抉られた形状となっている。
【0035】
各第二下部補強壁460と第一下部補強壁450との交点P21、P22、P23、P24のうち、交点P22、P23においては、各第二下部補強壁460と第一下部補強壁450との上縁部が面一に形成されている(図3参照)。一方、交点P21、交点P24においては、第一下部補強壁450の方が各第二下部補強壁460よりも上方に突出している(図3参照)。
【0036】
ここで、封止口412は交点P21を中心とする位置に配置されており、排出口411は交点P22を中心とする位置に配置されており、封止口413は交点P23を中心とする位置に配置されており、封止口414は交点P24を中心とする位置に配置されている(図7参照)。図7では、供給口311の配置箇所を二点鎖線で示している。図7に示すように、供給口311と排出口411とは、上面視で離れた位置に配置されている。
【0037】
また、交点P21~P24において下壁部410の近傍には、各第二下部補強壁460と第一下部補強壁450とのそれぞれに切欠が形成されている(図8参照)。これらの切欠は、各第二下部補強壁460と第一下部補強壁450とで区切られた複数の空間を連通する連通口470をなしている。各交点P21~P24に連通口470が設けられているので、各第二下部補強壁460と第一下部補強壁450とで区切られた複数の空間を連通させることができ、当該複数の空間に溜まった液体を排出口411まで案内することができる。
【0038】
[効果等]
以上のように、実施の形態に係る加圧タンクは、空気圧縮機に接続され、内部に液体を収容する加圧タンク200である。加圧タンク200は、上壁部310と、下壁部410と、上壁部310及び下壁部410に連続する側壁部(第一側壁部320、第二側壁部420)と、上壁部310、下壁部410及び側壁部に囲まれた空間内に配置され、上壁部310及び下壁部410の少なくとも一方と側壁部とに連続する第一補強壁(第一上部補強壁350及び第一下部補強壁450)と、空間内に配置され、上壁部310及び下壁部410の少なくとも一方と側壁部とに連続するとともに、第一補強壁に接続された第二補強壁(第二上部補強壁360及び第二下部補強壁460)と、を有する。
【0039】
これによれば、加圧タンク200内では、上壁部310及び下壁部410の少なくとも一方と側壁部とに連続する第一補強壁と、上壁部310及び下壁部410の少なくとも一方と側壁部とに連続する第二補強壁とが接続されている。このため、第一補強壁と第二補強壁とが、上壁部310及び下壁部410の少なくとも一方と側壁部とを補強する。加圧タンク200に作用する内圧は、上壁部310、下壁部410及び側壁部に加えて、第一補強壁と第二補強壁とにも分散されるため、加圧タンク200を変形しにくくすることができる。これにより、加圧タンク200の外形の自由度を高めることができ、例えば噴霧装置100の設置スペースに対応した外形を有する加圧タンク200としたとしても、変形しにくくすることが可能である。
【0040】
第一補強壁(第一上部補強壁350及び第一下部補強壁450)と第二補強壁(第二上部補強壁360及び第二下部補強壁460)とは、互いに交差するように配置されている。
【0041】
これによれば、第一補強壁と第二補強壁とが互いに交差しているので、より強固に加圧タンク200を補強することができる。したがって、加圧タンク200をより変形しにくくすることができる。
【0042】
第一補強壁と第二補強壁との交点P11、P12、P13、P21、P22、P23、P24に、第一補強壁と第二補強壁とで区切られた複数の空間を連通する連通口370、470が形成されている。
【0043】
これによれば、各連通口370、470により第一補強壁と第二補強壁とで区切られた複数の空間が連通される。例えば、第一収容部300においては、各連通口370により、各第二上部補強壁360と第一上部補強壁350とで区切られた複数の空間が連通されているので、当該複数の空間の内圧を均等化することが可能である。また、第二収容部400においては、各連通口470により、各第二下部補強壁460と第一下部補強壁450とで区切られた複数の空間が連通されているので、当該複数の空間同士で液体を往来させることができる。このように、第一補強壁と第二補強壁とにより変形しにくくなった加圧タンク200においても、気体及び液体の流動性を各連通口370、470により確保することが可能である。
【0044】
第一上部補強壁350は、上壁部310及び第一側壁部320に連続しており、第二上部補強壁360は、上壁部310及び第一側壁部320に連続しており、上壁部310には、外部から液体が供給される供給口311が形成されており、連通口370は、供給口311に設けられている。
【0045】
これによれば、連通口370に供給口311が設けられているので、製造時においては、金型内の1つの突起で連通口370と供給口311とを型取ることができる。つまり、金型内の突起の共通化を図ることができるので、金型の複雑化を抑制することができ、製造効率を高めることが可能である。
【0046】
第一下部補強壁450は、下壁部410及び第二側壁部420に連続しており、第二下部補強壁460は、下壁部410及び第二側壁部420に連続しており、下壁部410には、液体が排出される排出口411が形成されており、連通口470は、排出口411に設けられている。
【0047】
これによれば、連通口470に排出口411が設けられているので、製造時においては、金型内の1つの突起で連通口470と排出口411とを型取ることができる。つまり、金型内の突起の共通化を図ることができるので、金型の複雑化を抑制することができ、製造効率を高めることが可能である。
【0048】
上壁部310には、外部から液体が供給される供給口311が形成されており、下壁部410には、液体が排出される排出口411が形成されており、供給口311と排出口411とは、上面視で離れた位置に配置されている。
【0049】
ここで、次亜塩素酸水などのように時間が経つにつれて濃度が低下する液体は、加圧タンク200内に長期にわたって留まることは好ましくない。例えば、供給口311の直下に排出口411が配置されていると、供給口311から排出口411までの流れが単純化されてしまう。この場合、排出口411から遠い箇所の液体はなかなか排出されずに、加圧タンク200内で長期にわたって留まるおそれがある。本形態では、供給口311と排出口411とが上面視で離れた位置に配置されているので、供給口311から排出口411までの経路が長くなり、加圧タンク200内を撹拌するような流れも生じうる。したがって、長期にわたって留まる液体を低減することが可能である。
【0050】
第一補強壁(第一上部補強壁350、第一下部補強壁450)及び第二補強壁(第二上部補強壁360、第二下部補強壁460)の少なくとも一方は、先端部に凹部351、361、451、461を有する。
【0051】
これによれば、第一補強壁及び第二補強壁のそれぞれが先端部に凹部351、361、451、461を有しているので、樹脂材料の使用量を抑制することができ、加圧タンク200の液体容量も高めることが可能である。
【0052】
加圧タンク200は、上壁部310及び当該上壁部310の全周に連続する側壁部の一部(第一側壁部320)を有する第一収容部300と、下壁部410及び当該下壁部410の全周に連続する側壁部の一部(第二側壁部420)を有する第二収容部400とを備え、第一収容部300と第二収容部400とのそれぞれは、第一補強壁(第一上部補強壁350、第一下部補強壁450)と第二補強壁(第二上部補強壁360、第二下部補強壁460)とを有する。
【0053】
これによれば、第一収容部300と第二収容部400とのそれぞれが第一補強壁と第二補強壁とを有しているので、第一収容部300と第二収容部400とのそれぞれを変形しにくくすることができる。したがって、加圧タンク200自体の変形しにくさをより高めることができる。
【0054】
(変形例)
以下に、上記実施の形態の各変形例について説明する。以降の説明において上記実施の形態と同一の部分においては同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0055】
[変形例1]
上記実施の形態では、第一補強壁と第二補強壁とが交差している場合を例示した。しかしながら、第一補強壁と第二補強壁とは交差しなくとも接合されていればよい。図9は、変形例1に係る第二収容部400aを示す下面図である。図9は、図7に対応する図である。図9に示すように、各第二下部補強壁460aのX軸方向の端部は、第一下部補強壁450に対して突出しないように接合されている。具体的には、Y軸マイナス方向から奇数番目の各第二下部補強壁460aは、X軸プラス方向の端部が第一下部補強壁450に突出しないように接合されている。Y軸マイナス方向から偶数番目の各第二下部補強壁460aは、X軸マイナス方向の端部が第一下部補強壁450に突出しないように接合されている。この場合においても、第二収容部400aに作用する内圧は、下壁部410及び第二側壁部420に加えて、第一下部補強壁450と各第二下部補強壁460aとにも分散されるため、加圧タンクを変形しにくくすることができる。なお、第一収容部においても、第一上部補強壁と第二上部補強壁とが交差せずに接合されていてもよい。
【0056】
[変形例2]
上記実施の形態では、第一収容部300及び第二収容部400を有する加圧タンク200を例示したが、加圧タンクは、第一収容部及び第二収容部の少なくとも一方を有していればよい。図10は、変形例2に係る加圧タンク200Bの概略構成を示す斜視図である。図10は、図2に対応する図である。
【0057】
図10に示すように、加圧タンク200Bは、第一収容部300を閉塞する板状の底蓋500bを有している。底蓋500bは下壁部の一例である。底蓋500bの外周縁には、第一収容部300の第一フランジ部321に接合されるフランジ部521bが全周にわたって形成されている。また、底蓋500bには、排出口(図示省略)が設けられている。この場合においても、加圧タンク200Bに作用する内圧は、上壁部310、下壁部(底蓋500b)及び第一側壁部320に加えて、第一上部補強壁350と第二上部補強壁360とにも分散されるため、加圧タンク200Bを変形しにくくすることができる。
【0058】
(その他)
以上、本発明に係る加圧タンクについて、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0059】
例えば、上記実施の形態では、略直方体状の加圧タンク200を例示したが、加圧タンクの外形は如何様でもよい。その他の加圧タンクの外形としては、例えば円柱形状、球形状、四角以外の多角柱形状などが挙げられる。
【0060】
上記実施の形態では、第一収容部300及び第二収容部400がPPSなどの樹脂材料により形成されている場合を例示したが、FRPなどの繊維強化プラスチックや、樹脂材料と金属などとの複合材料から、第一収容部300及び第二収容部400が形成されていてもよい。
【0061】
上記実施の形態での第一上部補強壁350、第二上部補強壁360、第一下部補強壁450及び第二下部補強壁460の設置個数は一例であり、これらの設置個数は如何様でもよい。また、第一上部補強壁350と第二上部補強壁360とは直交するように接合されているが、直交以外の角度で接合されていてもよい。これは、第一下部補強壁450と第二下部補強壁460においても同様である。
【0062】
その他、実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば噴霧装置などに備わる加圧タンクとして広く利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
100 噴霧装置
110 本体部
120 噴霧ユニット
121 二流体ノズル
200、200B 加圧タンク
300 第一収容部
310 上壁部
311 供給口
312、313、412、413、414封止口
314、315 通気口
320 第一側壁部(側壁部)
321 第一フランジ部
322、422 貫通孔
330 キャップ
331 栓部材
340 ワンタッチ継手管
350 第一上部補強壁(第一補強壁)
351、361、451、461 凹部
360 第二上部補強壁(第二補強壁)
370、470 連通口
400、400a 第二収容部
410 下壁部
411 排出口
420 第二側壁部(側壁部)
421 第二フランジ部
423 溝
450 第一下部補強壁(第一補強壁)
460、460a 第二下部補強壁(第二補強壁)
490 固定部
491 長尺部
492 連結部
500b 底蓋(下壁部)
521b フランジ部
P11、P12、P13、P21、P22、P23、P24 交点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10