(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060463
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】動力発生装置
(51)【国際特許分類】
F01K 13/00 20060101AFI20230421BHJP
F01K 21/00 20060101ALI20230421BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20230421BHJP
F01D 17/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
F01K13/00 B
F01K21/00 Z
F01D25/00 P
F01D17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170092
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰
(72)【発明者】
【氏名】粟井 祐樹
【テーマコード(参考)】
3G071
【Fターム(参考)】
3G071AA02
3G071AB01
3G071BA00
3G071CA00
(57)【要約】
【課題】キャビテーションの発生を防止すると共に、全体の大きさを小型化することを実現可能な動力発生装置を提供する。
【解決手段】実施形態の動力発生装置は、気化器とタービンと液化器と循環ポンプとジェットポンプとを備える。気化器は、液体を気化させることによって気体を生じさせる。タービンは、気化器で生じた気体が作動媒体として流入することによって駆動する。液化器は、タービンから排気された気体を冷却して液化させることによって、液体が生ずる。循環ポンプは、液化器で生じた液体を気化器へ送る。ジェットポンプは、液化器で生じた液体を昇圧して循環ポンプへ吐出するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を気化させることによって気体を生じさせる気化器と、
前記気化器で生じた気体が作動媒体として流入することによって駆動するタービンと、
前記タービンから排気された気体を冷却して液化させることによって、液体が生ずる液化器と、
前記液化器で生じた液体を前記気化器へ送るための循環ポンプと
を備える動力発生装置であって、
前記液化器で生じた液体を昇圧して前記循環ポンプへ吐出するように構成されたジェットポンプ
を有する
動力発生装置。
【請求項2】
前記ジェットポンプは、前記循環ポンプから前記気化器へ吐出された液体を用いて駆動し、前記液化器で生じた液体を昇圧するように構成されている、
請求項1に記載の動力発生装置。
【請求項3】
前記気化器で生じた気体に含まれる液体を分離するための気液分離器
を有し、
前記タービンは、前記気液分離器において液体が分離された気体が作動媒体として流入することによって駆動し、
前記ジェットポンプは、前記気液分離器において分離された液体を用いて、前記液化器で生じた液体を昇圧するように構成されている、
請求項1に記載の動力発生装置。
【請求項4】
前記循環ポンプから前記気化器へ流れる液体を用いて、前記気液分離器から前記ジェットポンプへ流れる液体を冷却する中間熱交換器と、
前記中間熱交換器において冷却された液体を更に冷却する第1の冷却熱交換器と
を有し、
前記ジェットポンプは、前記第1の冷却熱交換器において冷却された液体を用いて、前記液化器で生じた液体を昇圧するように構成されている、
請求項3に記載の動力発生装置。
【請求項5】
前記ジェットポンプが昇圧した液体の一部をさらに昇圧するための副循環ポンプ
を有し、
前記液化器は、前記副循環ポンプにより駆動される液体の一部を用いて、前記タービンから排気された気体を冷却して液化させ、
前記ジェットポンプは、前記副循環ポンプにより駆動される液体の残りを用いて、前記液化器で生じた液体を昇圧するように構成されている、
請求項1に記載の動力発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、動力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、関連技術に係る動力発生装置1Jの要部を模式的に示す図である。
【0003】
動力発生装置1Jは、
図4に示すように、気化器10とタービン30と液化器40と循環ポンプ50とを備える。動力発生装置1Jにおいては、媒体(水、低沸点媒体、溶液等を含む)が循環して各部を流れるサイクルを構成するように、各部の間に流路が介在している。
【0004】
具体的には、動力発生装置1Jにおいては、気化器10で生じた気体F10がタービン30に作動媒体として流入し、タービン30で膨張して仕事を行う。ここでは、タービン30の駆動によって、発電機31において発電が行われる。そして、動力発生装置1Jでは、タービン30から排気された気体F30が液化器40で液体F40に液化される。その後、その液化された液体F40は、循環ポンプ50で昇圧される。循環ポンプ50で昇圧された液体F50は、気化器10へ戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液化器40で液化された液体F40は、圧力が低く、飽和状態に近い。このため、その液化された液体F40を循環するための循環ポンプ50では、吸込み側(入口側)の圧力が飽和状態に近いために、循環ポンプ50において液体F40の一部が気化して、キャビテーションが発生する場合がある。その結果、循環ポンプ50を構成する部品(例えば、インペラ)等において破損が生ずる可能性がある。
【0007】
キャビテーションの発生を防止するために、循環ポンプ50については、NPSHa(available NPSH(Net Positive Suction Head))を大きくする必要があり、これを実現するためには、NPSHr((required NPSH)よりも循環ポンプ50の吸込み側の水位を高くする必要がある(NPSHa>NPSHr)。このため、動力発生装置1Jは、全体の高さが高くなり、全体が大型になる場合があるので設置スペースに制約が生ずる。
【0008】
上記のように、動力発生装置では、循環ポンプにおいてキャビテーションが発生することを効果的に防止すると共に、全体の大きさを小型化することが容易でない。動力発生装置が、ランキンサイクルを構成する場合以外に、カリーナサイクル等の別のサイクルを構成する場合においても同様な課題がある。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、キャビテーションの発生を防止すると共に、全体の大きさを小型化することを実現可能な動力発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の動力発生装置は、気化器とタービンと液化器と循環ポンプとジェットポンプとを備える。気化器は、液体を気化させることによって気体を生じさせる。タービンは、気化器で生じた気体が作動媒体として流入することによって駆動する。液化器は、タービンから排気された気体を冷却して液化させることによって、液体が生ずる。液化の形態としては、相変化による気体の凝縮に加え、気体の液体への吸収等がある。循環ポンプは、液化器で生じた液体を気化器へ送る。ジェットポンプは、液化器で生じた液体を昇圧して循環ポンプへ吐出するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る動力発生装置1の要部を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態にかかる動力発生装置1bの要部を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、第3実施形態にかかる動力発生装置1cの要部を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、関連技術に係る動力発生装置1Jの要部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
[A]構成等
図1は、第1実施形態に係る動力発生装置1の要部を模式的に示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の動力発生装置1は、関連技術の場合(
図4参照)と同様に、気化器10とタービン30と液化器40と循環ポンプ50とを備える。この他に、本実施形態の動力発生装置1は、ジェットポンプ60を更に備えている。動力発生装置1においては、媒体(水、低沸点媒体、混合媒体、溶液等を含む)が循環して各部を流れるサイクルを構成するように、各部の間に流路が介在している。
【0014】
本実施形態の動力発生装置1を構成する各部について順次説明する。
【0015】
気化器10は、例えば、貫流型の蒸発器であって、気体F10を生じさせるように構成されている。
【0016】
タービン30は、気化器10で生じた気体F10が作動媒体として流入することによって駆動するように構成されている。タービン30に作動媒体として流入した気体F10は、タービン30の内部において膨張して仕事を行うことで、タービン30の回転軸を回転させる。タービン30の回転軸が回転するに伴って、タービン30の回転軸に連結された発電機31の回転軸が回転し、発電機31において発電が行われる。
【0017】
液化器40は、例えば、間接接触式の凝縮器であって、タービン30から排気された気体F30を冷却して液化させることによって、液体F40が生ずるように構成されている。液化器40は、例えば、外部から流入した冷却媒体CFを用いて気体F30の冷却を行い、冷却で使用した冷却媒体CF40を外部へ排出する。なお、動力発生装置が、例えば、カリーナサイクルを構成する場合には、液化器40は、タービン30から排気された気体を液体に吸収させて液化させる吸収器であってもよい。その他、液化器40は、凝縮器と吸収器との両者として機能するように構成されていてもよい。
【0018】
循環ポンプ50は、液化器40で生じた液体F40を気化器10へ送るために設けられている。本実施形態では、液化器40で生じた液体F40は、ジェットポンプ60を介して、循環ポンプ50に流入する。つまり、循環ポンプ50は、ジェットポンプ60から流入した液体F60を昇圧し、昇圧した液体F50を気化器10へ向けて吐出する。
【0019】
本実施形態では、循環ポンプ50から気化器10へ向けて吐出された液体F50は、分岐部J50において、気化器10の側とジェットポンプ60の側とに分岐して流れる。気化器10の側に分岐して流れる液体F50aは、上述したように、気化器10において加熱されることで、気体F10として気化器10から流出する。これに対して、ジェットポンプ60の側に分岐して流れる液体F50bは、流量調整バルブV60を介して、ジェットポンプ60に駆動流体として流入する。
【0020】
ジェットポンプ60は、駆動流体として流入した液体F50bを用いて駆動し、液化器40で生じた液体F40を昇圧して循環ポンプ50へ吐出する。
【0021】
具体的には、ジェットポンプ60は、駆動流体として流入した液体F50bによって、液化器40で生じた液体F40を吸い込む。ジェットポンプ60では、液化器40から吸い込み流体として吸い込んだ液体F40と、駆動流体として流入した液体F50bとが混合し、両者の間において運動量の交換が行われる。その結果、液化器40から吸い込んだ液体F40は、駆動流体として流入した液体F50bの運動量に応じて、ディフューザ(図示省略)によって圧力が増加する。そして、液体F40と液体F50bとの混合媒体は、昇圧された液体F60として、ジェットポンプ60から循環ポンプ50へ吐出される。
【0022】
[B]まとめ
以上のように、本実施形態の動力発生装置1では、液化器40で生じた液体F40をジェットポンプ60が昇圧して循環ポンプ50へ吐出する。このため、循環ポンプ50の入口においては、ジェットポンプ60が設置されていない場合(
図4参照)よりも、圧力が高い液体F60が流入する。その結果、本実施形態では、循環ポンプ50についてNPSHaをNPSHrよりも大きい状態(NPSHa>NPSHr)に確保可能であって、キャビテーションの発生を容易に抑制することができる。そして、これに伴い、本実施形態では、ジェットポンプ60が設置されていない場合(
図4参照)よりも循環ポンプ50の吸込み側水位を高くする必要がないため、動力発生装置1の全体の高さが低くなり、全体を小型化することができる。
【0023】
なお、上記の実施形態では、気化器10が貫流型の蒸発器である場合について説明したが、これに限らない。
【0024】
また、上記の実施形態では、流量調整バルブV60の開度について制御を行うように構成されていてもよい。例えば、ジェットポンプ60から循環ポンプ50へ流入する媒体の圧力を圧力センサ(図示省略)で検知し、その検知した圧力データに応じて制御装置(図示省略)が流量調整バルブV60の開度を制御してもよい。具体的には、検知した圧力データが予め定めた設定範囲より高い場合には、流量調整バルブV60の開度を狭くする。この一方で、検知した圧力データが予め定めた設定範囲より低い場合には、流量調整バルブV60の開度を広くする。これにより、ジェットポンプ60から循環ポンプ50へ流入する媒体の圧力が設定範囲になるように制御することができる。
【0025】
<第2実施形態>
[A]構成等
図2は、第2実施形態にかかる動力発生装置1bの要部を模式的に示す図である。
【0026】
図2に示すように、本実施形態の動力発生装置1bは、第1実施形態の場合(
図1参照)と異なり、気液分離器110と中間熱交換器120と冷却熱交換器130(第1の冷却熱交換器)とを更に有する。これらの点および関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様である。このため、重複する事項に関しては、適宜、説明を省略する。
本実施形態の動力発生装置1bにおいて、気液分離器110は、気化器10で生じた気体F10に混在して含まれる液体F110bを分離するために設置されている。
【0027】
気液分離器110において液体F110bが分離された気体F110aは、作動媒体としてタービン30に流入する。これに対して、気液分離器110において気体F110aから分離された液体F110bは、中間熱交換器120と冷却熱交換器130とを経由して、ジェットポンプ60に駆動流体として流入する。
【0028】
中間熱交換器120は、循環ポンプ50から気化器10へ流れる液体F50を用いて、気液分離器110から冷却熱交換器130を経由してジェットポンプ60へ流れる液体F110bを冷却するために設置されている。
【0029】
中間熱交換器120では、循環ポンプ50から流入する液体F50と、気液分離器110から流入する液体F110bとの間において熱交換が行われる。中間熱交換器120は、例えば、対向流式の熱交換器であって、循環ポンプ50から流入する液体F50の流れ方向と、気液分離器110から流入する液体F110bの流れ方向とが、反対である。
【0030】
中間熱交換器120においては、循環ポンプ50から流入する液体F50の温度が、気液分離器110から流入する液体F110bの温度よりも低い。このため、気液分離器110から流入した液体F110bは、中間熱交換器120での熱交換によって冷却され、その中間熱交換器120で冷却された液体F120aが冷却熱交換器130へ流出する。
【0031】
これに対して、循環ポンプ50から流入した液体F50は、中間熱交換器120での熱交換によって加熱され、その中間熱交換器120で加熱された液体F120bが気化器10へ流出する。
【0032】
冷却熱交換器130は、中間熱交換器120において冷却された液体F120aを更に冷却するために設置されている。
【0033】
冷却熱交換器130では、中間熱交換器120で冷却された液体F120aと、外部から流入する冷却媒体CFとの間において、熱交換が行われる。
【0034】
冷却熱交換器130においては、中間熱交換器120で冷却された液体F120aの温度が、外部から流入する冷却媒体CFの温度よりも高い。このため、外部から流入した冷却媒体CFは、冷却熱交換器130での熱交換によって加熱される。そして、その冷却熱交換器130で加熱された冷却媒体CF130は、液化器40へ流出する。液化器40では、冷却熱交換器130から流入した冷却媒体CF130を用いて、気体F30の冷却を行い、冷却で使用した冷却媒体CF40が外部へ排出される。
【0035】
これに対して、中間熱交換器120で冷却された液体F120aは、冷却熱交換器130での熱交換によって更に冷却される。そして、その冷却熱交換器130で更に冷却された液体F130は、流量調整バルブV60を介して、ジェットポンプ60へ流出する。ジェットポンプ60は、冷却熱交換器130で更に冷却された液体F130を駆動流体として用いて、液化器40で生じた液体F40を吸い込み流体として吸い込んで昇圧する。
【0036】
[B]まとめ
以上のように、本実施形態の動力発生装置1bにおいて、ジェットポンプ60は、気液分離器110で分離された液体F110bであって、中間熱交換器120と冷却熱交換器130とを経由して供給された液体F130を駆動流体として用いて、液化器40で生じた液体F40を昇圧する。そして、ジェットポンプ60で昇圧された液体F60が循環ポンプ50に流入する。このため、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、循環ポンプ50の入口では、ジェットポンプ60が設置されていない場合(
図4参照)よりも、圧力が高い液体F60が流入する。その結果、循環ポンプ50についてNPSHaをNPSHrよりも大きい状態(NPSHa>NPSHr)に確保可能であって、キャビテーションの発生を容易に抑制することができる。そして、これに伴い、本実施形態においても、ジェットポンプ60が設置されていない場合(
図4参照)よりも循環ポンプ50の吸込み側水位を高くする必要がないため、動力発生装置1の全体の高さが低くなり、全体を小型化することができる。
【0037】
本実施形態では、第1実施形態の場合と異なり、循環ポンプ50が気化器10へ吐出する液体F50のうちの一部の液体F50bをジェットポンプ60へ駆動流体として供給していない。このため、本実施形態では、循環ポンプ50が吐出する液体F50の流量について、循環ポンプ50がジェットポンプ60へ供給する液体F50bに相当する流量を増加させる必要がない。
【0038】
<第3実施形態>
[A]構成等
図3は、第3実施形態にかかる動力発生装置1cの要部を模式的に示す図である。
【0039】
図3に示すように、本実施形態の動力発生装置1cは、第1実施形態の場合(
図1参照)と異なり、副循環ポンプ210と冷却熱交換器220(第2の冷却熱交換器)とを更に有する。これらの点および関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様である。このため、重複する事項に関しては、適宜、説明を省略する。
【0040】
副循環ポンプ210は、ジェットポンプ60が昇圧した液体F60のうち一部の液体F60bを昇圧するように構成されている。
【0041】
冷却熱交換器220は、副循環ポンプ210が昇圧した液体F210を冷却するように構成されている。
【0042】
具体的には、冷却熱交換器220では、副循環ポンプ210から流入する液体F210と、外部から流入する冷却媒体CFとの間において、熱交換が行われる。
【0043】
冷却熱交換器220においては、副循環ポンプ210から流入する液体F210の温度が、外部から流入する冷却媒体CFの温度よりも高い。このため、外部から流入した冷却媒体CFは、冷却熱交換器220での熱交換によって加熱され、その冷却熱交換器220で加熱された冷却媒体CF220が外部へ流出する。
【0044】
この一方で、副循環ポンプ210から流入した液体F210は、冷却熱交換器220での熱交換によって冷却される。そして、冷却熱交換器220で冷却された液体F220は、分岐部J220において、液化器40の側とジェットポンプ60の側とに分岐して流れる。
【0045】
液化器40の側に分岐して流れる液体F220aは、液化器40において、タービン30から排気された気体F30を冷却して液化するために用いられる。本実施形態では、液化器40は、例えば、直接接触式であって、液化器40の側に分岐して流れる液体F220aを噴霧することによって、タービン30から排気された気体F30の液化を実行するように構成されている。そして、液化器40で液化された液体F40は、ジェットポンプ60へ供給される。
【0046】
これに対して、ジェットポンプ60の側に分岐して流れる液体F220bは、流量調整バルブV60を介して、ジェットポンプ60に駆動流体として流入する。ジェットポンプ60は、冷却熱交換器220において冷却された液体F220bを駆動流体として用いて、液化器40で生じた液体F40を吸い込み流体として吸い込んで昇圧する。
【0047】
その後、ジェットポンプ60が昇圧して吐出した液体F60は、分岐部J60において、循環ポンプ50の側と副循環ポンプ210の側とに分岐して流れる。副循環ポンプ210の側に分岐して流れる液体F60bは、上述したように、副循環ポンプ210を経由して、液化器40へ供給される。これに対して、気化器10の側に分岐して流れる液体F60aは、循環ポンプ50で昇圧されて気化器10に流入後、気化器10で加熱されることで気化し、気体F10として気化器10から流出する。
【0048】
[B]まとめ
以上のように、本実施形態の動力発生装置1cでは、液化器40は、冷却熱交換器220において冷却された液体F220の一部の液体F220aを用いて、タービン30から排気された気体F30を冷却して液化させる。そして、ジェットポンプ60は、冷却熱交換器220において冷却された液体F220bの残りの液体F220bを駆動流体として用いて、液化器40で生じた液体F40を吸い込んで昇圧する。そして、ジェットポンプ60で昇圧された液体F60(F60a)が循環ポンプ50に流入する。このため、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、循環ポンプ50の入口では、ジェットポンプ60が設置されていない場合(
図4参照)よりも、圧力が高い液体F60(F60a)が流入する。その結果、循環ポンプ50についてNPSHaをNPSHrよりも大きい状態(NPSHa>NPSHr)に確保可能であって、キャビテーションの発生を容易に抑制することができる。そして、これに伴い、本実施形態においても、ジェットポンプ60が設置されていない場合(
図4参照)よりも循環ポンプ50の吸込み側水位を高くする必要がないため、動力発生装置1の全体の高さが低くなり、全体を小型化することができる。
【0049】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1:動力発生装置、1J:動力発生装置、1b:動力発生装置、1c:動力発生装置、10:気化器、30:タービン、31:発電機、40:液化器、50:循環ポンプ、60:ジェットポンプ、110:気液分離器、120:中間熱交換器、130:冷却熱交換器、210:副循環ポンプ、220:冷却熱交換器、CF:冷却媒体、CF130:冷却媒体、CF220:冷却媒体、CF40:冷却媒体、F10:気体、F110a:気体、F110b:液体、F120a:液体、F120b:液体、F130:液体、F210:液体、F220:液体、F220a:液体、F220b:液体、F30:気体、F40:液体、F50:液体、F50a:液体、F50b:液体、F60:液体、F60a:液体、F60b:液体、J220:分岐部、J50:分岐部、J60:分岐部、V60:流量調整バルブ