(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060466
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】自動算定システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20230421BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170095
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】721007157
【氏名又は名称】前場 良太
(72)【発明者】
【氏名】前場 良太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】在宅講師のフランチャイズ契約による雇用に伴い、オンライン学習の運営・管理を担う事務局の負担軽減に資するための自動算定システムを提供する。
【解決手段】自動算定システムは、フランチャイズ契約に基づく在宅講師のオンライン学習指導における講師への学習指導料の支払いや、学習資源などから構成されるプラットフォームの利用対価としてのフランチャイズ料を、オンライン講師とプラットフォーム提供者間でのフランチャイズ契約に基づき、オンライン講師への支払い額とフランチャイズ料が、毎月のオンライン学習実施履歴から自動計算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンライン講師とプラットフォーム提供者間でのフランチャイズ契約に基づき、オンライン講師への支払い額とフランチャイズ料が、毎月のオンライン学習実施履歴から自動計算される、オンライン講師への支払いとフランチャイズ料の自動算定システム。
【請求項2】
毎月のオンライン学習実施履歴は、受講者と講師の組合せリストを基に自動作成され、該組合せリストの受講日時タブに対象月を入力し、さらに講師番号タブに対象講師の講師番号を入力すると、対象月の対象講師のオンライン学習実施履歴が提示される、請求項1に記載のオンライン講師への支払いとフランチャイズ料の自動算定システム。
【請求項3】
オンライン講師は、決められた期日までの個別のオンライン学習実施履歴を基に、あらかじめ設定された評価基準にしたがってランク付けされ、決定したランクは講師番号に紐付けられ、ランクにより適用される各講師単価と共に講師リストに表示される、請求項1に記載のオンライン講師への支払いとフランチャイズ料の自動算定システム。
【請求項4】
各講師単価と学習指導回数から支払い合計額が決定され、支払い合計額から学習指導回数に相当するプラットフォームの利用回数に見合うフランチャイズ料が徴収され、支払い合計額からフランチャイズ料を差し引いた額がオンライン講師に支払われる、請求項1に記載のオンライン講師への支払いとフランチャイズ料の自動算定システム。
【請求項5】
学習サービス提供企業などが保有する学習資源やブランド力、さらにクラウドサービスと事務局運営が、プラットフォームとしてオンライン講師に提供され、オンライン講師はプラットフォームの利用対価としてフランチャイズ料を支払う、請求項1に記載のオンライン講師への支払いとフランチャイズ料の自動算定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンライン学習支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
対人接触による感染症の蔓延や、世情不安の世の中で、オンライン学習は安心・安全な自宅学習の場を提供してくれる。また、特にオンラインによるマンツーマン学習指導は、人が人を教えるという教育の基本に立脚し、個別最適化された学びの提供手段としてきわめて有効である。
【0003】
しかし、マンツーマン学習指導は経営的にコストパフォーマンスが低く、受講者数に対して講師数が相対的に不足するため、集団学習指導と比べて受講料が割高となる傾向がある。
【0004】
オンラインによるマンツーマン学習指導において、汎用型オンラインツール(無料で使用できるZoomやSkype、lineなど)の利用や、在宅講師の活用は時間的・空間的制約から今まで講師として参入できなかった人材や、隙間時間の副業として社会人・主婦層からの参入も見込めることから、潜在的に有能な講師陣の確保・拡大が期待できる。
【0005】
経営的にコストパフォーマンスが低いマンツーマン学習指導を、外部講師をフランチャイズ契約により雇用することで、安定的に収益が得られる事業にすることができる。学習サービス提供企業が保有する学習資源やブランド力、さらにクラウドサービスと事務局運営を、プラットフォームとして外部講師に提供し、フランチャイズ契約により講師が得た受講料からプラットフォームの利用料を徴収するというビジネスモデルである。さらに、このビジネスモデルの利点は、プラットフォーム提供者が保有する学習資源の活用範囲を拡げ有効利用することで、付加的な収益を得ることができる点である。
【0006】
特許文献1は、良質の教育手法を普及させる等のビジネスを、小資本で全国展開させ、広く普及させる手法として、生徒管理、授業の予約方法、出席管理の方法を含むフランチャイズシステムが提示されているが、本願が提案する外部講師の活用やプラットフォームの提供といったフランチャイズ形式ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
外部講師のフランチャイズ化に伴い、オンライン学習の運営・管理を担う事務局の負担軽減に資するシステムの導入が望まれる。本願発明者は先に、オンライン学習における受講者と講師の組合せリストの自動作成・更新を可能とする、オンライン学習予約システム(特願2021-166962号公報)を提案した。このオンライン学習予約システムに連動して、受講者と講師の組合せリストを基に、受講料やオンライン講師への支払い、フランチャイズ料が自動算定されるシステムの構築が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フランチャイズ契約に基づく在宅講師のオンライン学習指導において、講師への学習指導料の支払いや、プラットフォームの利用対価としてのフランチャイズ料の徴収を、事務局が円滑で効率よく進める上で有用な、オンライン講師への支払い額とフランチャイズ料の自動算定システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、オンライン学習予約システムと連動することで、オンライン学習の運営・管理の多くのプロセスが自動化され、事務局の運営・管理にかかる人件費を削減できることから、受講料の軽減や講師への支払い額の増加を実現し、オンラインによる個別学習ビジネスの隆盛に寄与する効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】フランチャイズ契約に基づくプラットフォームと在宅講師の関係を示す図
【
図2】本システムの運営・管理事務局ホームページを示す図
【
図7】受講者への課金、講師への支払い、およびフランチャイズ料の算定を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[在宅オンライン講師のフランチャイズ化]
プラットフォームの提供者と在宅オンライン講師は直接雇用契約ではなく、プラットフォーム(学習資源、クラウドサービス、事務局運営など)の使用に対して、対価を支払うフランチャイズ契約とする。
図1には、学習サービス提供企業が保有する学習資源やブランド力、さらにクラウドサービスと事務局運営を、プラットフォームとして在宅講師に提供し、在宅講師はプラットフォームを利用して受講者に学習指導を行なう関係が示されている。
【0013】
在宅オンライン講師はフランチャイズ契約により学習指導の機会や収入が保証されるわけではなく、個人経営の塾講師のように、あくまで自己努力により収益を上げる必要がある。
【0014】
受講者からの評価が高い講師は、学習指導の機会が増え、講師単価も上がり、講師の収入が増えると共にフランチャイズ料も多く支払うことになる。一方、評価の低い講師は学習指導の機会が減り、講師単価は上がらず、講師の収入は減ると共にフランチャイズ料の支払いも少なくなる。但し、講師に収入が無い場合はフランチャイズ料を支払う必要はない(講師が負債を抱えることはない)。全体として、オンライン学習による収益の分配は講師間では均等でなくなるが、プラットフォームの提供者にはフランチャイズ料として安定的に収益が配分されることになる。
【0015】
講師のフランチャイズ化により、最終的に評価の高い講師が淘汰され、さらに常に新しい人材の流入により、講師間の競争は維持され、その結果、講師の質は相対的に向上し、受講者の満足度も上昇する。
【0016】
[プラットフォーム]
プラットフォームはクラウド上に構築され、受講者や講師は事務局ホームページからクラウド上の学習資源にアクセスすることができる。
【0017】
学習資源には、デジタル教材、学習課題の理解度確認テスト、コンピュータを使った試験(CBT)などがある。
【0018】
[運営・管理事務局とホームページ]
本システムの運営・管理事務局は、受講者の会員登録(会員番号の付与)、講師の採用と登録(講師番号とID番号の付与)、コンテンツ別の講師リストの作成・更新、講師カレンダーの管理、受講者と講師の組み合わせリストの作成・更新、オンラインツールの招待URLの発行と受講者と講師への招待URLの送付、受講者および講師の個別の実施履歴の作成・更新、各実施履歴に基づく受講者への課金、講師への支払い、およびフランチャイズ料の徴収などの運営・管理を行なう。
【0019】
本システムの運営・管理事務局ホームページには、本システムの紹介、受講登録サイト、講師登録サイト、会員限定サイト(受講予約受付、デジタル学習教材へのアクセス)、講師限定サイト(講師カレンダーへの学習指導可能日時(時間帯)の設定、講師専用デジタル教材へのアクセス)などが設けられている(
図2)。
【0020】
[受講登録]
受講希望者は、本システムの事務局ホームページにアクセスし、受講登録を行なう。事務局は、受講者からの所定の入会手続き(入金)を確認後、受講者に会員番号を付与し、以降、会員番号により受講者の受講は管理される。受講者は、事務局ホームページの会員限定サイトから、会員番号によりクラウド上の受講予約受付にアクセスし、オンライン学習を希望する受講日時、担当講師、および受講内容(1つの大きなカテゴリーをここではコンテンツと称す。例えば、中学2年数学や英会話中級など)を予約することができる。また、デジタル学習教材にアクセスすることができる(
図3)。
【0021】
[講師登録]
講師に応募する場合は本システムの事務局ホームページにアクセスし、講師登録を行なう。登録内容は講師情報(氏名、年齢、性、連絡先、学歴、職歴、職業、資格、TOEIC点数)などで、採用後に講師名(ニックネームなどでもよい)と入金先情報を記入する。採用講師には講師番号と共に、担当するコンテンツごとにID番号が付与される。ID番号を構成する一部の記号あるいは/および数字は、講師ならびにコンテンツの識別に用いられ、同一講師であっても複数のコンテンツを担当する場合は、コンテンツごとにID番号が付与される(
図4)。ID番号は、講師番号に紐付けられ、講師番号は講師カレンダーに紐付けられる。
【0022】
[講師カレンダー]
講師は、事務局ホームページの講師限定サイトから、講師番号によりクラウド上の講師カレンダーにアクセスし、自身の学習指導可能日時(時間帯)を設定する(
図4)。学習指導可能日時(時間帯)の設定は、基本、毎月単位で行ない、予約未済日時(時間帯)に関しては当日を含め、いつでも変更できる。
【0023】
[講師ランクとランク付け講師リスト]
講師は、あらかじめ設定された評価基準、例えば受講者からのリピート回数あるいは成績向上度などによりランク付けされる。リピート回数とは同一受講者から担当講師として繰り返し選択された回数で、講師が担当した各受講者の担当回数から初回を除いた回数の総計である。例えば、リピート回数が100回を超えた場合にAランク、50回を超えた場合にBランク、50回未満の場合はCランクとしてもよい。一方、成績向上度は定期的に実施される試験において、前回の成績(素点でも偏差値でもよい)から今回担当時の成績が10%以上上昇した場合は+1点、±10%の場合は0点、10%以上低下した場合は-1点とし、担当した受講者の成績向上度の総計が+5点以上の場合はAランク、+3点以上の場合はBランク、その他をCランクとしてもよい。リピート回数の場合は講師のランクが下がることはないが、成績向上度の場合はその都度ランクは変動する。リピート回数の算出は、毎月末までに積算された講師の個別のオンライン学習実施履歴(詳細は後述)を基に、受講者別の並べ替えにより各受講者のリピート回数が求められ、設定基準にしたがってランクが決定される(
図5)。決定したランクは講師番号に紐付けられ、講師リストに表示される。例えば、講師名ケンタ(講師番号14)の場合、オンライン学習実施履歴から担当した受講者別のリピート回数が算出され、それらの合計値が52になることから、講師名ケンタはBランクに位置付けられる。一方、成績向上度では講師名ケンタの合計値は+1になることから、Cランクに位置付けられる。リピート回数と成績向上度のいずれか高い方のランクが採用され、講師名ケンタはBランクに位置付けられる。すべての登録講師は、上記の手順でランク付けされ、ランク付け講師リストが作成される(
図5)。このランク付け講師リストを基に、コンテンツ別の講師リストが作成される。
【0024】
[コンテンツ別講師リスト]
ID番号が付与された講師は、担当するコンテンツごとに作成された講師リストに、講師名(ニックネームなど)で掲載され、同時に一部の講師情報(年齢、性、学歴、職業、資格など)が開示される。また、講師リストには講師ランクと共に講師単価が表示される。各コンテンツには識別記号が付与され、受講者が予約受付時にコンテンツ記号を入力すると、該コンテンツ担当の講師リストが表示される。
【0025】
[講師単価]
講師単価は講師ランクにより異なる単価(1回当たりの受講料)が設定され、講師ランクにリンクして適用される。講師単価は初回受講時の単価が適用され、前回担当講師のリピート時には、たとえ担当講師の講師単価が変動していたとしても、前回時の単価に据え置かれる。
【0026】
[受講予約]
受講の予約には、受講者が希望する受講日時から予約する方法や、受講者が希望する講師から予約する方法があり、いずれの方法を選択してもよい。
【0027】
[受講者と講師の組合せリストの作成・更新]
受講者の担当講師が確定した時点で、受講日時、受講者番号、担当講師の講師番号とID番号、受講者と担当講師の各メールアドレス、コンテンツ記号、講師ランク、および講師単価がセットで記載された、受講者と講師の組合せリストが作成・更新される。
【0028】
[受講履歴と講師の実施履歴]
受講者と講師の組合せリストを基に、受講者および講師の個別の実施履歴が作成される。例えば、受講者と講師の組合せリストの受講日時のタブに6月を入力すると、6月度の受講者と講師の組合せリストが表示され、さらに受講者番号のタブにⓀを入力すると受講者Kの6月度の受講履歴が表示される。また、講師番号のタブに14を入力すると講師名ケンタの6月度の実施履歴が表示される(
図6)。
【0029】
[受講者への課金、講師への支払い、およびフランチャイズ料の算定]
受講者および講師の個別の実施履歴に基づき、月単位で受講者への課金、講師への支払い、およびフランチャイズ料の算定が行なわれる。受講者への請求額(受講料)は各担当講師の講師単価と講義回数から、フランチャイズ料は担当講師によらずプラットフォームの利用回数(講義回数)から、講師への支払いは受講料からフランチャイズ料を差し引いた額としてそれぞれ自動計算され、請求および支払いの処理が行われる。例えば、受講者Kの6月度の請求額(受講料)は、各受講日の各講師単価の合計額となる。また、講師名ケンタ(講師番号14)への6月度の支払いは、月内に講師ランクがBからAにアップしたことによる講師単価の変動を加味した各受講日の講師単価の合計額(但し、受講者Kはリピートであるため、講師単価は前回の講師単価に据え置かれている)から、フランチャイズ料(1回当たりのプラットフォーム利用料に利用回数に相当する講義回数をかけた値)を差し引いた金額となる(
図7)。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、オンラインによるマンツーマン学習において、在宅講師をフランチャイズ契約により雇用することで、経営的に安定な収益が得られるビジネスモデルを提案するもので、新しい教育ビジネスの形として産業上の利用可能性が高い。