(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023060619
(43)【公開日】2023-04-28
(54)【発明の名称】電子レンジ調理用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170312
(22)【出願日】2021-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青木 和美
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA30
3E013BB06
3E013BB09
3E013BC01
3E013BC04
3E013BC13
3E013BC14
3E013BD20
3E013BE01
3E013BF04
3E013BF26
3E013BF36
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、簡単な操作で開封および再封止が可能であり、一旦開封した後に具材等を投入し、再封止後にはそのまま電子レンジによる加熱が可能な電子レンジ調理用容器を提案するものである。
【解決手段】フランジ部4を有する容器本体2と、フランジ部に熱シールされた蓋材5とを有し、蓋材には、その外面に再封止可能なラベル7が貼着されており、蓋材の内面側から、蓋材を貫通し、前記ラベルを貫通しない開口カット部6が設けられ、前記開口カット部は、前記ラベルによって密封されており、前記フランジ部は、その一部にシール幅を狭くした異形シール加工部8を有し、異形シール加工部は、未開封の状態あるいは前記ラベルを一旦開封した後に再封止した状態において電子レンジで加熱した場合に、発生する水蒸気の放出口となることを特徴とする電子レンジ調理用容器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ部を有する容器本体と、フランジ部に熱シールされた蓋材とを有し、
蓋材には、その外面に再封止可能なラベルが貼着されており、
蓋材の内面側から、蓋材を貫通し、前記ラベルを貫通しない開口カット部が設けられ、
前記開口カット部は、前記ラベルによって密封されており、
前記フランジ部は、その一部にシール幅を狭くした異形シール加工部を有し、
異形シール加工部は、未開封の状態あるいは前記ラベルを一旦開封した後に再封止した状態において電子レンジで加熱した場合に、発生する水蒸気の放出口となることを特徴とする電子レンジ調理用容器。
【請求項2】
前記異形シール加工部は、フランジ部の幅をa、狭くしたシール部の幅をbとした時,a>b>0であり、より好ましくはa/2>bであり、
異形シール加工部の間口をcとした場合に、c>aまたは、c>2bであることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項3】
前記蓋材は、フランジ部から蓋材を剥離除去する際に使用する蓋開封タブを有し、前記異形シール加工部は、蓋開封タブから最も離れた場所に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項4】
容器本体および蓋材およびラベルは、いずれも水蒸気および酸素の透過を抑制するガスバリア層を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電子レンジ料理用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を収納して店頭で販売される容器に関し、特に一旦開封し、何らかの添加物を添加して再封止した後に、電子レンジによる加熱調理が可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店頭で販売される容器入りの食品において、容器ごと電子レンジで加熱調理することが可能な商品が散見される。これらの商品は、電子レンジで加熱した際に発生する水蒸気によって容器が破裂したり爆発したりしないように、水蒸気を適切に放出する機構を備えていなければならない。
【0003】
一方で、単に加熱するだけでなく、加熱前に何らかの添加物を添加した上で加熱調理をしたいという要望がある。例えば予め混ぜておけない具材であるとか、調味料などを加熱直前に添加して、その上で加熱したい場合などである。
【0004】
最も簡単な容器の構造としては、容器本体に蓋材を被せ、全体を外装フィルムで密閉したものや、フランジ付きの容器本体に蓋材を熱シールしただけの単純な構造が挙げられる。一旦開封した後の再封止はできないので、蓋の上に重しを乗せるなど何らかの手立てが必要であり、液こぼれの恐れもある。また、開封しないでそのまま加熱した場合には爆発の危険性もある。
【0005】
スタンディングパウチ形状の容器が用いられている例もある。この場合、追加具材が大きく形のあるものの場合、液に十分浸らない可能性がある。また縦長で重心が高いため、ターンテーブル式の電子レンジなどでは倒れやすい危険性がある。
【0006】
電子レンジで加熱する際に、完全に開放した状態で加熱すると、温度は100℃以上には上がらないが、発生する水蒸気の放出を制限することで容器内部の圧力を高めると、100℃以上に加熱することが可能となる。再封止に当たっては、この点を考慮することも必要となる。
【0007】
特許文献1に記載されたリクローズ容器は、易開封性を有するとともに、再封することが可能な、リクローズ容器である。しかしこの容器は、単に再封することができるというだけで、密封することはできないし、そもそも電子レンジによる加熱を前提としていないものである。
【0008】
特許文献2に記載された再封用蓋材は、電子レンジによる加熱を前提とした蓋材であるが、その目的とするところは、蒸気抜き孔を簡単に形成できるようにしたことであり、従来蒸気抜きラベルを別体で貼着させていたものを外層と内層とからなる蓋材だけで済むようにしたものである。
【0009】
特許文献2に記載された再封用蓋材においては、再封の目的が加熱後の液こぼれ防止であって、加熱に先立って蒸気抜き孔を出現させることが必須であり、加熱時には蒸気抜き孔は開放されている。再封止は、加熱後に行うことが前提となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-147589号公報
【特許文献2】特開2021-66464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は、簡単な操作で開封および再封止が可能であり、一旦開封した後に具材等を投入し、再封止後にはそのまま電子レンジによる加熱が可能な電子レンジ調理用容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、フランジ部を有する容器本体と、フランジ部に熱シールされた蓋材とを有し、蓋材には、その外面に再封止可能なラベルが貼着されており、蓋材の内面側から、蓋材を貫通し、前記ラベルを貫通しない開口カット部が設けられ、前記開口カット部は、前記ラベルによって密封されており、前記フランジ部は、その一部にシール幅を狭くした異形シール加工部を有し、異形シール加工部は、未開封の状態あるいは前記ラベルを一旦開封した後に再封止した状態において電子レンジで加熱した場合に、発生する水蒸気の放出口となることを特徴とする電子レンジ調理用容器である。
【0013】
本発明に係る電子レンジ調理用容器は、一旦開封して具材等を投入し、再度密封して電子レンジで加熱調理することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、前記異形シール加工部が、フランジ部の幅をa、狭くしたシール部の幅をbとした時,a>b>0であり、より好ましくはa/2>bであり、異形シール加工部の間口をcとした場合に、c>aまたは、c>2bであることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理用容器である。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、前記蓋材が、フランジ部から蓋材を剥離除去する際に使用する蓋開封タブを有し、前記異形シール加工部は、蓋開封タブから最も離れた場所に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンジ調理用容器である。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、容器本体および蓋材およびラベルが、いずれも水蒸気および酸素の透過を抑制するガスバリア層を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電子レンジ料理用容器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電子レンジ調理用容器は、蓋材に粘着シールラベルを貼着し、蓋材を貫通する開口部を設けたので、ラベルを一旦開封して具材等を投入し、再度密封して電子レンジで加熱調理することができる。
【0018】
電子レンジで加熱する際に発生する水蒸気を放出する機構として、蓋材とは独立して、フランジ部に異形シール加工部を設けたので、仮に一旦開封しないでそのまま加熱した場合であっても容器が爆発したりする恐れはない。
【0019】
請求項2に記載の発明のように、異形シール加工部を、フランジ部の幅をa、狭くしたシール部の幅をbとした時,a>b>0であり、より好ましくはa/2>bであり、異形シール加工部の間口をcとした時に、c>aまたは、c>2bとした場合には、電子レンジ加熱時の水蒸気放出がより安定して行われる。
【0020】
請求項3に記載の発明のように、異形シール加工部を、蓋開封タブから最も離れた場所に設けた場合には、蓋を除去する際に火傷をする危険性が少なくなる。
【0021】
請求項4に記載の発明のように、容器本体および蓋材およびラベルを、いずれも水蒸気および酸素の透過を抑制するガスバリア層を含むものとした場合には、内容物の食品の長期保存が可能な包装容器とすることができる。
【0022】
また容器本体は、開口部を広くとれる形状とすることが可能であるため、蓋を除去後は、そのまま食器として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明に係る電子レンジ調理用容器の一実施態様を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のA-A´断面を示した断面模式図である。
【
図3】
図3は、異形シール加工部の一例を示した拡大説明図である。
【
図4】
図4~8は、本発明に係る電子レンジ調理用容器の使用手順を説明した斜視図であり、
図4は、ラベルを開封した状態を示した斜視説明図である。
【
図5】
図5は、開封した電子レンジ調理用容器に具材を添加する様子を示した斜視説明図である。
【
図6】
図6は、
図5の状態から、ラベルを再封止した状態を示した斜視説明図である。
【
図7】
図7は、
図6の状態から、電子レンジで加熱する状態を示した斜視説明図である。
【
図8】
図8は、加熱が終了して蓋を除去した状態を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照しながら、本発明に係る電子レンジ調理用容器について詳細に説明する。
図1は本発明に係る電子レンジ調理用容器1の一実施態様を示した斜視図である。
【0025】
本発明に係る電子レンジ調理用容器1は、フランジ部4を有する容器本体2と、フランジ部4に熱シールされた蓋材5とを有し、蓋材5には、その外面に再封止可能なラベル7が貼着されている。
【0026】
蓋材5の内面側から、蓋材5を貫通し、ラベル7を貫通しない開口カット部6が設けられ、開口カット部6は、ラベル7によって密封されている。
【0027】
フランジ部4には、その一部にシール幅を狭くした異形シール加工部8が設けられており、異形シール加工部8は、未開封の状態あるいはラベル7を一旦開封した後に再封止した状態において電子レンジで加熱した場合に、発生する水蒸気の放出口となることを特徴とする。
【0028】
図1に示した例では、容器本体2の形状は、角の丸い逆台形形状であり、上面図では角の丸い長方形状であるが、容器本体2の形状については特に制約はなく、正方形状、楕円形状、円形状等任意である。
【0029】
蓋材5の形状は、容器本体2の形状に合わせて決定される。
図1の例では、角の丸い長方形形状であり、フランジ部4から蓋材5を剥離除去する際に使用する蓋開封タブ5tを備えている。
【0030】
蓋材5に開封カット部6を設ける方法としては、蓋材5にラベル7を貼着した後に、蓋材の内面側からハーフカット加工を行う方法が効率的である。こうすることで、開封カット部6の内側の蓋材が脱落することもなく、安定して作業することができる。
【0031】
開口カット部6の形状についても、
図1の例では角の丸い長方形状であるが、特に制約はない。
図1の例のように閉じた形状である必要もなく、例えばラベル開封タブ7tの反対側がカットされていなくて、蓋材5がつながった状態でも良い。
【0032】
ラベル7は、粘着ラベルであり一旦開封した後に再封止が可能である。ラベル7の形状についても、特に制約はなく、開口カット部6の形状に合わせて設計すればよい。
【0033】
図3は、異形シール加工部8の一例を示した拡大説明図である。異形シール加工部8は、フランジ部4の一部に設けられ、未シール部9を設けることにより、フランジ部4の幅aよりもシール幅を狭くしたものである。異形シール加工部8は、未開封の状態あるいはラベル7を一旦開封した後に再封止した状態において電子レンジで加熱した場合に、発生する水蒸気の放出口となる。この例では未シール部9の形状は台形形状であるが、未シール部9の形状については特に制約はなく、長方形状、半円形状、半楕円形状等任意である。
【0034】
異形シール加工部8において、フランジ部の幅をa、狭くした異形シール部の幅をbとした時,a>b>0であり、さらには、a/2>bであることがより好ましい。また、異形シール加工部8の間口幅をcとした場合に、c>aまたは、c>2bであることが好ましい。
【0035】
このようにすることで、電子レンジ加熱時に発生する水蒸気をより安全にまたより確実に逃がすことが可能となる。異形シール加工部8は、過熱水蒸気の放出口となることから、異形シール加工部8は、蓋開封タブ5tから離れた位置に設けることが望ましい。こうすることで、加熱終了後に蓋材5を剥離除去する際に、手に火傷をする危険性が小さくなる。
【0036】
図4~8は、本発明に係る電子レンジ調理用容器1の使用手順を説明した斜視図である。まず
図4に示したように、ラベル7を開封する。この時、開口カット部6によって囲まれた蓋材5の部分は、ラベル7に付着して、ラベル7と一緒に開封するので、投入口が開口する。
【0037】
次に
図5に示したように、投入口が開口した電子レンジ調理用容器に具材等を投入し、
図6に示したようにラベル7を再封止する。次いで
図7に示したように、電子レンジでマイクロウェーブ13を照射して加熱すると、発生した水蒸気12は、異形シール加工部8から放出される。
【0038】
図8は、加熱が終了して蓋を除去した状態を示した斜視説明図である。本発明に係る電子レンジ調理用容器1は、容器本体2が複雑な構造ではなく、単純な形状であるため、容器本体2をそのまま食器として使用することができる。
【0039】
容器本体2に使用する材料としては、電子レンジの加熱に耐える耐熱性を有するものであれば、特に限定されない。合成樹脂単体であれば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等が使用できる。この場合の成形法としては、射出成形法や真空圧空成形法を用いることができる。
【0040】
容器本体にガスバリア性を持たせるために、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)層を加えることもできる。
【0041】
紙も耐熱性が高いので、シーラント層としてPPフィルムやPETフィルムを積層し、成形法を工夫することで容器本体として使用することができる。この場合、金属酸化物を蒸着したガスバリア性フィルムを積層することで、容器本体にガスバリア性を持たせることもできる。
【0042】
蓋材5としては、容器本体2のフランジ部4と熱シール可能な材料であることが必要である。蓋材5の内面には、シーラント層として耐熱性の高いPPフィルムやPETフィルムを積層した積層体を使用する。紙が含まれていても良い。また同様にガスバリア性フィルムを積層することで、蓋材にガスバリア性を持たせることができる。
【0043】
ラベル7については、蓋材5と同様の層構成で、内面に粘着層を有するものであれば良い。但し粘着層としては、耐熱性が高く、食品対応グレードであることは当然必要である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・電子レンジ調理用容器
2・・・容器本体
3・・・収納部
4・・・フランジ部
5・・・蓋材
5t・・・蓋開封タブ
6・・・開口カット部
7・・・ラベル
7t・・・ラベル開封タブ
8・・・異形シール加工部
9・・・未シール部
a・・・フランジ部の幅
b・・・異形シール幅
c・・・異形加工部の間口幅
10・・・内容物
11・・・添加物
12・・・水蒸気
13・・・マイクロウェーブ