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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006127
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230111BHJP
   F21V 21/116 20060101ALI20230111BHJP
   F21V 21/26 20060101ALI20230111BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230111BHJP
【FI】
F21S2/00 365
F21V21/116 100
F21V21/26 370
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108549
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 竜也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取付部材の使用数の削減を図ることができる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具A1は、LEDユニットと、LEDユニットを保持する本体1と、本体1を支持するアーム3と、を備える。アーム3は、長尺の板状に形成された固定部30と、固定部30の長手方向の両端から固定部30の厚み方向に突出する一対の突出部と、を有する。一対の突出部のそれぞれの先端が本体1と結合されている。固定部30は、建物の造営材(はり8)に取り付けるための取付部材7が第1の向きで取り付けられる第1の取付部31と、第1の向きと交差する第2の向きで取付部材7が取り付けられる第2の取付部と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を保持する本体と、
前記本体を支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、
長尺の板状に形成された固定部と、
前記固定部の長手方向の両端から突出する一対の突出部と、
を有し、
前記一対の突出部のそれぞれの先端が前記本体と結合されており、
前記固定部は、
建物の造営材に取り付けるための取付部材が第1の向きで取り付けられる第1の取付部と、
前記第1の向きと交差する第2の向きで前記取付部材が取り付けられる第2の取付部と、
を有する
照明器具。
【請求項2】
前記第1の取付部は、前記固定部を前記固定部の厚み方向に貫通する複数の第1取付穴を含み、
前記複数の第1取付穴は、前記固定部の長手方向の中央を挟んで配置され、
前記第2の取付部は、前記固定部を前記厚み方向に貫通する複数の第2取付穴を含み、
前記複数の第2取付穴は、前記中央を挟み、かつ、前記複数の第1取付穴よりも前記中央の近くに配置される
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記第1の取付部は、長穴からなる2つの前記第1取付穴を含み、
2つの前記第1取付穴は、互いの長手方向を交差させるように前記固定部に設けられる
請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記第2の取付部は、長穴からなる2つの前記第2取付穴を含み、
2つの前記第2取付穴は、互いの長手方向を平行させるように前記固定部に設けられる
請求項3記載の照明器具。
【請求項5】
前記第2の取付部は、長穴からなる2つの前記第2取付穴を含み、
2つの前記第2取付穴は、互いの長手方向を交差させるように前記固定部に設けられる
請求項3記載の照明器具。
【請求項6】
前記固定部は、前記複数の第1取付穴が配置される部位の幅寸法に対して、前記複数の第2取付穴が配置される部位の幅寸法が大きい
請求項2-5のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記固定部は、前記複数の第2取付穴が配置される前記部位の縁が弧状に形成されている
請求項6記載の照明器具。
【請求項8】
前記一対の突出部はそれぞれ、前記本体に対して回転可能に結合されている
請求項1-7のいずれか1項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、より詳細には、屋内の高所に設置される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の照明器具を例示する。特許文献1記載の照明器具(以下、従来例と呼ぶ。)は、アームと、電源ユニットと、天板と、支柱枠組と、光源ユニットと、カバーとを有する。アームは、照明器具を、天井又ははり(梁)に取り付けるものである。アームの両端部は、照明器具の両側面の中央に取り付けられている。アームは、コ字状又はU字形状をしている。アームの両端部には、上下に弧状穴と軸穴がある。アームは、軸穴に挿通されるボルトを支点として照明器具に対して回転可能に保持される。
【0003】
アームの取付け面における長手方向の両端に、長穴状の取付穴が1つずつ設けられている。アームは、これら2つの取付穴に挿通されるボルトによって、天井又ははりに直接、あるいは、別の取付部材を介して間接的に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-41326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来例では、アームの取付場所によって、アームを取付場所に取り付けるために必要な取付部材の数が異なっていた。
【0006】
本開示の目的は、取付部材の使用数の削減を図ることができる照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る照明器具は、光源と、前記光源を保持する本体と、前記本体を支持する支持部材と、を備える。前記支持部材は、長尺の板状に形成された固定部と、前記固定部の長手方向の両端から突出する一対の突出部と、を有する。前記一対の突出部のそれぞれの先端が前記本体と結合されている。前記固定部は、建物の造営材に取り付けるための取付部材が第1の向きで取り付けられる第1の取付部と、前記第1の向きと交差する第2の向きで前記取付部材が取り付けられる第2の取付部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の照明器具は、取付部材の使用数の削減を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態に係る照明器具の斜視図である。
図2図2は、同上の照明器具の分解斜視図である。
図3図3は、同上の照明器具の正面図である。
図4図4は、同上の照明器具の右側面図である。
図5図5は、同上の照明器具の平面図である。
図6図6は、同上の照明器具の下面図である。
図7図7は、同上の照明器具が設置される建物の一部省略した側面図である。
図8図8は、同上の照明器具の第1の向きの取付状態を示す斜視図である。
図9図9は、同上の照明器具の第2の向きの取付状態を示す斜視図である。
図10図10は、同上の照明器具を傾斜したはりに取り付けた状態の正面図である。
図11図11は、同上の照明器具を傾斜したはりに取り付けた状態の正面図である。
図12図12Aは、同上の照明器具の変形例1における固定部の平面図である。図12Bは、同上の照明器具の変形例2における固定部の平面図である。図12Cは、同上の照明器具の変形例3における固定部の平面図である。図12Dは、同上の照明器具の変形例4における固定部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る照明器具について図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)実施形態に係る照明器具の概要
実施形態に係る照明器具A1は、いわゆる高天井照明のための照明器具(高天井用器具とも呼ばれる。)である。高天井用器具とは、住宅及びオフィスビルなどの天井高(2m~3m)よりも高い天井高(10m以上)の建物、例えば、体育館及び倉庫などにおいて、天井のはり(梁)などに取り付けられて床面を照明するための照明器具である。
【0012】
実施形態に係る照明器具A1は、光源であるLEDユニット2と、LEDユニット2を保持する本体1と、本体1を支持する支持部材(アーム3)と、を備える(図1及び図2参照)。
【0013】
アーム3は、長尺の板状に形成された固定部30と、固定部30の長手方向の両端から突出する一対の突出部33と、を有する。一対の突出部33のそれぞれの先端が本体1と結合されている(図1参照)。
【0014】
固定部30は、第1の取付部31と、第2の取付部32と、を有する。第1の取付部31は、建物の造営材(例えば、天井のはり8)に取り付けるための取付部材7が第1の向きで取り付けられる。第2の取付部32は、第1の向きと交差する第2の向きで取付部材7が取り付けられる。
【0015】
建物は、例えば、山形ラーメン構造の骨組みを採用した工場・倉庫・体育館などの建物である(図7参照)。取付部材7は、例えば、H形鋼で構成された建物の天井のはり8に取り付けられる(図8参照)。
【0016】
取付部材7は、アーム3が取り付けられるハンガー70、一対の引掛金具71、一対のボルト72、などを有する。ハンガー70は、リップ溝形鋼(C形鋼又はCチャンネル鋼とも呼ばれる。)で形成されている。ハンガー70の底板には、複数のボルト挿通穴が設けられている。これら複数のボルト挿通穴は、ハンガー70の長手方向に沿って一列に並んでいる。
【0017】
一対の引掛金具71は、ハンガー70の溝から露出する部分が鉤形に形成されている。なお、一対の引掛金具71はそれぞれ、ハンガー70の長手方向に沿って移動可能となるようにハンガー70の溝の縁(リップ)に係止される。一対のボルト72はそれぞれ、一対の引掛金具71の先端に設けられているねじ穴に上からねじ込まれている。
【0018】
取付部材7は、一対の引掛金具71のそれぞれの先端とハンガー70の間に差し込まれたはり8(H形鋼)のフランジを一対のボルト72で締め付けることによって、はり8に取り付けられる。
【0019】
しかして、実施形態に係る照明器具A1は、固定部30の第1の取付部31によって取付部材7が第1の向きで取り付け可能である(図8参照)。また、実施形態に係る照明器具A1は、固定部30の第2の取付部32によって取付部材7が第2の向きで取り付け可能である(図9参照)。つまり、実施形態に係る照明器具A1は、1つの取付部材7に対して、異なる2つの向き(第1の向き、第2の向き)でアーム3の固定部30に取付部材7を取り付けることができる。その結果、実施形態に係る照明器具A1は、取付部材7の使用数の削減を図ることができる。また、実施形態に係る照明器具A1は、取付部材7の使用数を削減することによって、施工作業の作業性の向上を図ることもできる。
【0020】
(2)実施形態に係る照明器具の詳細
実施形態に係る照明器具A1(以下、照明器具A1と略す)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、図1に矢印で示す上下、前後及び左右の各方向を、照明器具A1の上下、前後及び左右の各方向と定義する。
【0021】
照明器具A1は、本体1と、LEDユニット2と、アーム3と、を備える。照明器具A1は、パネル4と、電源ユニット5と、を更に備える(図1図6参照)。
【0022】
(2-1)LEDユニット
LEDユニット2は、複数個のLED(Light Emitting Diode)20と、これら複数個のLED20が実装される基板21と、を有する(図2参照)。複数個のLED20はそれぞれ、パッケージ型の照明用白色LEDであり、長方形の基板21の下面に、縦横に並べて実装されている。
【0023】
(2-2)本体
本体1は、ベース10と、一対の第1支持板11と、一対の第2支持板12と、複数の放熱板13と、を有する(図1及び図2参照)。
【0024】
ベース10は、アルミ板などの金属板によって長方形の平板状に形成されている(図2参照)。なお、ベース10は、4辺が曲げ起こされることで強度の向上が図られている。ベース10の下面にLEDユニット2がねじ止めされる(図2参照)。
【0025】
一対の第1支持板11はそれぞれ、アルミ板などの金属板によって長方形の平板状に形成されている。一対の第1支持板11のそれぞれの長手方向の一端部(下端部)がほぼ直角に曲げられている。一対の第1支持板11のそれぞれの下端部は、ベース10の短手方向の両端(前端及び後端)における長手方向(左右方向)の中央部分にねじ止めされている(図2参照)。つまり、一対の第1支持板11はそれぞれ、ベース10の短手方向の両端(前端及び後端)における長手方向(左右方向)の中央から上向きに起立している。
【0026】
一対の第2支持板12はそれぞれ、アルミ板などの金属板によって長方形の平板状に形成されている。ただし、一対の第2支持板12はそれぞれ、長手方向(上下方向)の中央よりも上の位置で鈍角に曲げられている。また、一対の第2支持板12のそれぞれの長手方向の一端部(下端部)がほぼ直角に曲げられている。一対の第2支持板12のそれぞれの下端部は、ベース10の長手方向の両端(左端及び右端)における短手方向(前後方向)の中央部分にねじ止めされている(図2参照)。つまり、一対の第2支持板12はそれぞれ、ベース10の長手方向の両端(左端及び右端)における短手方向(前後方向)の中央から上向きに起立している。
【0027】
複数の放熱板13はそれぞれ、アルミ板によってU字形状に形成されている。複数の放熱板13はそれぞれ、ベース10の上面に、前後方向及び左右方向に並べて取り付けられている。すなわち、LEDユニット2が発する熱は、ベース10から複数の放熱板13に伝導され、複数の放熱板13から大気中に放熱される。
【0028】
(2-3)パネル
パネル4は、ポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって長方形のトレイ状に形成されている(図2参照)。パネル4は、LEDユニット2を下から覆うようにベース10の下面にねじ止めされる(図6参照)。パネル4は、LEDユニット2を保護しつつ、LEDユニット2から放射される照明光を透光するように構成されている。
【0029】
(2-4)電源ユニット
電源ユニット5は、電源回路、ユニットカバー50、端子台53、端子カバー51、ユニット取付台52、などを有する(図1図3参照)。
【0030】
不図示の電源回路は、プリント回路基板に多数の回路部品が実装されたプリント回路であって、電力系統(商用の交流電源)から供給される交流電力を直流電力に変換するように構成される。電源回路から出力される直流電力は、電気ケーブル54(図3参照)を介してLEDユニット2に供給されてLEDユニット2を点灯させる。
【0031】
ユニットカバー50は、亜鉛鋼板などの金属製の板材によって、下面が開放された長方形の箱状に形成されている。ユニットカバー50の内底面に電源回路が固定される。
【0032】
端子台53は、ユニットカバー50の左側の外側面に取り付けられる(図3参照)。端子台53は、電力系統の電源線が抜き差し可能に電気的に接続される。また、端子台53は、電線によって電源回路の入力端子と電気的に接続されている。すなわち、端子台53は、電源線と電源回路の入力端子を電気的に接続する役割を担っている。
【0033】
端子カバー51は、端子台53を覆うように、ユニットカバー50の左側面に着脱可能に取り付けられる。端子カバー51の前面には、端子台53と接続される電源線を通すために逆U字形状の切欠510が設けられている(図1及び図3参照)。
【0034】
ユニット取付台52は、金属板によって長方形の平板状に形成されている(図1参照)。なお、ユニット取付台52は、4辺が下向きに曲げ起こされることで強度の向上が図られている。ユニット取付台52の上面にユニットカバー50がねじ止めされている。つまり、ユニットカバー50の下面がユニット取付台52によって塞がれている。
【0035】
ユニット取付台52の長手方向の両端(左端及び右端)における短手方向(前後方向)の中央に、一対の第2支持板12の上端部が1つずつねじ止めされている。また、ユニット取付台52の短手方向の両端(前端及び後端)における長手方向(左右方向)の中央部分が、一対の第1支持板11に1つずつねじ止めされている。すなわち、ユニット取付台52は、一対の第1支持板11及び一対の第2支持板12にねじ止めされることで本体1と結合されている。なお、ユニット取付台52の下面と複数の放熱板13のそれぞれの上端の間に隙間が空けられている(図3参照)。
【0036】
(2-5)アーム
アーム3は、固定部30と、一対の突出部33と、を有している。固定部30と一対の突出部33は、亜鉛鋼板などの金属板によって、U字状に一体に形成されている(図1及び図2参照)。
【0037】
(2-5-1)突出部
一対の突出部33はそれぞれ、ボルト330とナット331によって、一対の第1支持板11に1つずつ結合されている(図1及び図4参照)。ここで、一対の突出部33はそれぞれ、ボルト330を回転軸として一対の第1支持板11に対して回転可能である。ただし、一対の突出部33の各々の下端部に弧状の長穴332が貫通しており、それぞれの長穴332に挿通されたボルト333が、一対の第1支持板11に対してナット334で固定されている(図1及び図4参照)。つまり、一対の突出部33は、ボルト333の軸が長穴332の長手方向の両端に当たることによって、一対の第1支持板11に対する回転可能な範囲を規制されている。
【0038】
(2-5-2)固定部
固定部30は、長方形の平板状に形成されている。固定部30の長手方向の両端(前端及び後端)に、一対の突出部33が1つずつつながっている。
【0039】
固定部30の長手方向(前後方向)の中央部300は、固定部30の短手方向(左右方向)に沿って弧状に突出している(図1及び図5参照)。
【0040】
固定部30は、第1の取付部31と第2の取付部32を有している。固定部30は、第3の取付部34と第4の取付部35を更に有している。
【0041】
第1の取付部31は、長円形の2つの第1取付穴310を含んでいる。言い換えると、2つの第1取付穴310は、第1の取付部31の構成要素の一部である。また、第2の取付部32は、2つの第2取付穴320を含んでいる。言い換えると、2つの第2取付穴320は、第2の取付部32の構成要素の一部である。
【0042】
1つの第1取付穴310は、中央部300よりも前方に設けられ、残り1つの第1取付穴310は、中央部300よりも後方に設けられている。前方の第1取付穴310の長軸は、固定部30の長手方向(前後方向)に一致している。後方の第1取付穴310の長軸は、固定部30の短手方向(左右方向)に一致している。つまり、2つの第1取付穴310の長軸は、略90度の角度で交差している(図5参照)。
【0043】
2つの第2取付穴320は、中央部300に設けられている。2つの第2取付穴320のそれぞれの長軸は、固定部30の短手方向(左右方向)に一致している。2つの第2取付穴320は、中央部300の中心を挟んで一列に並ぶように設けられている。
【0044】
第3の取付部34は、中央部300に設けられている。第3の取付部34は、中央部300において、2つの第2取付穴320に挟まれた中央部300の中心に設けられた丸穴340と、丸穴340の後方に設けられた長穴341と、を含む。なお、長穴341の長軸は、固定部30の長手方向(前後方向)に一致している。
【0045】
第4の取付部35は、4つの長穴350を含む。2つの長穴350は、左側の第2取付穴320の前後両側に1つずつ設けられている。残り2つの長穴350は、右側の第2取付穴320の前後両側に1つずつ設けられている。なお、これら4つの長穴350の長軸は、第3の取付部34の丸穴340を中心とする仮想円の直径と一致している。さらに、4つの長穴350は、第3の取付部34の丸穴340を対称軸として90度の回転対称となっている(図5参照)。
【0046】
(3)実施形態に係る照明器具の設置
次に、照明器具A1を建物の造営材に設置する手順を説明する。
【0047】
照明器具A1が設置される建物の一例を図7に示す。図7に示す建物は、例えば、倉庫である。この建物は、H形鋼によってはり8が構成されている。はり8は、複数の大ばり80及び複数の小ばり81を含む。建物は、いわゆる山形ラーメン構造を有している。したがって、複数の大ばり80は、壁際の柱82から建物の中央の棟つなぎばり83に向かって斜め上に傾斜した登りばり(傾斜ばり)である。
【0048】
(3-1)水平なはりに取り付ける場合(その1)
まず、照明器具A1を水平なはり8(棟つなぎばり83)に取り付ける場合の設置手順を説明する。設置作業を行う作業者(以下、作業者と略す。)は、最初に、取付部材7をはり8に取り付ける。取付部材7は、ハンガー70の長手方向をはり8の長手方向と交差(直交)させるようにはり8に取り付けられる(図8参照)。
【0049】
作業者は、第1の取付部31を利用してアーム3の固定部30を取付部材7に固定する。すなわち、作業者は、ハンガー70の底面に設けられている2つのボルト挿通穴(不図示)に1本ずつボルト311を挿通し、それら2本のボルト311を第1の取付部31の2つの第1取付穴310に1本ずつ挿通する。そして、作業者は、2つの第1取付穴310に挿通した2本のボルト311それぞれにナット312を締め付けることによって、固定部30を取付部材7のハンガー70に固定する(図8参照)。
【0050】
この場合、アーム3の回転軸(ボルト330)が取付部材7のハンガー70の長手方向と平行になる。言い換えると、アーム3の回転軸がはり8の長手方向と交差(直交)する。その結果、照明器具A1の本体1は、はり8の長手方向に沿って回転(首振り)可能となる。
【0051】
(3-2)水平なはりに取り付ける場合(その2)
次に、第2の取付部32を利用して照明器具A1を取付部材7に取り付ける場合の設置手順を説明する。
【0052】
作業者は、ハンガー70の中央付近の底面に設けられている2つのボルト挿通穴(不図示)に1本ずつボルト311を挿通し、それら2本のボルト311を第2の取付部32の2つの第2取付穴320に1本ずつ挿通する。そして、作業者は、2つの第2取付穴320に挿通した2本のボルト311それぞれにナット312を締め付けることによって、固定部30を取付部材7のハンガー70に固定する(図9参照)。
【0053】
この場合、アーム3の回転軸(ボルト330)が取付部材7のハンガー70の長手方向と交差(直交)する。言い換えると、アーム3の回転軸がはり8の長手方向と平行になる。その結果、照明器具A1の本体1は、はり8の長手方向と交差(直交)する方向に沿って回転(首振り)可能となる。
【0054】
(3-3)傾斜はりに取り付ける場合(その1)
次に、照明器具A1を傾斜したはり8(大ばり80)に取り付ける場合の設置手順を説明する。
【0055】
作業者は、(3-1)で説明した手順と同様に、第1の取付部31を利用して固定部30を取付部材7のハンガー70に固定する(図10参照)。
【0056】
この場合、照明器具A1の本体1は、はり8の長手方向に沿って回転(首振り)可能である。したがって、照明器具A1は、はり8(大ばり80)に取り付けられた状態で本体1を水平にして設置することができる。
【0057】
(3-4)傾斜はりに取り付ける場合(その2)
次に、長手方向の軸を中心にして回転させた状態のはり8(小ばり81)に照明器具A1を取り付ける場合の設置手順を説明する。
【0058】
作業者は、(3-2)で説明した手順と同様に、第2の取付部32を利用して固定部30を取付部材7のハンガー70に固定する(図11参照)。
【0059】
この場合、照明器具A1の本体1は、はり8の長手方向と交差(直交)する方向に沿って回転(首振り)可能である。したがって、照明器具A1は、はり8に取り付けられた状態で本体1を水平にして設置することができる。
【0060】
(3-5)第3の取付部を利用した設置
次に、固定部30の第3の取付部34を利用した設置手順を説明する。
【0061】
作業者は、例えば、はり8のフランジに固定部30を直付けする場合、フランジに設けた穴から第3の取付部34の丸穴340にボルトを挿通し、当該ボルトにナットを締め付けて固定部30をフランジに固定する。さらに、作業者は、フランジに設けた別の穴に挿通したボルトを、第3の取付部34の長穴341に挿通してナットを締め付けることにより、アーム3の回り止めを行う。
【0062】
(3-6)第4の取付部を利用した設置
最後に、固定部30の第4の取付部35を利用した設置手順を説明する。
【0063】
第4の取付部35は、金属製の丸形露出ボックス(日本産業規格JIS C8340参照)に対応している。丸形露出ボックスは、電線を収容した電線管と接続されてはり8に取り付けられる。丸形露出ボックスの下面には4つのねじ穴が設けられている。
【0064】
作業者は、第4の取付部35の4つの長穴350のそれぞれにボルトを挿通し、各ボルトを丸形露出ボックスの4つのねじ穴に1本ずつねじ込むことで固定部30を丸形露出ボックスに固定する。なお、作業者は、丸形露出ボックスから引き出した電線を、固定部30の中央の穴(第3の取付部34の丸穴340)に挿通し、照明器具A1の端子台53と電気的に接続すればよい。
【0065】
(4)変形例
実施形態に係る照明器具A1の幾つかの変形例について、図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する各変形例は、アーム3の固定部30に設けられる第1の取付部31及び第2の取付部32の構造に特徴があり、その他の構造については実施形態に係る照明器具A1の構造と共通である。したがって、実施形態に係る照明器具A1と共通の構成要素には同一の符号を付して、図示並びに説明を適宜省略する。
【0066】
(4-1)変形例1
変形例1の照明器具A1は、第2の取付部32に含まれる2つの第2取付穴320のうち、1つの第2取付穴320の長軸を、他の1つの第2取付穴320の長軸と交差(直交)させている。言い換えると、1つの第2取付穴320の長軸は、固定部30の長手方向と平行であり、他の1つの第2取付穴320の長軸は、固定部30の長手方向と交差(直交)している(図12A参照)。
【0067】
変形例1の照明器具A1は、2つの第2取付穴320のそれぞれの長軸を交差(直交)させているので、造営材(はり8)に対する傾きの調整を容易化できるという利点がある。
【0068】
(4-2)変形例2
変形例2の照明器具A1は、第1の取付部31を固定部30の中央部300に設けている(図12B参照)。
【0069】
しかして、変形例2の照明器具A1は、固定部30における中央部300の外側に第1の取付部31を設けている実施形態に比べて、ハンガー70の長さが短い取付部材7にも対応することができる。
【0070】
(4-3)変形例3
変形例3の照明器具A1は、中央部300の縁を台形状に形成している(図12C参照)。
【0071】
しかして、変形例3の照明器具A1は、中央部300の縁が弧状に形成されている実施形態に比べて、造営材(はり8)とアーム3の角度のずれを視認しやすいという利点がある。
【0072】
(4-4)変形例4
変形例4の照明器具A1は、固定部30を長方形状に形成している(図12D参照)。
【0073】
しかして、変形例4の照明器具A1は、中央部300に対して、中央部300の前後両側の部分の幅が狭い実施形態に比べて、中央部300の機械的な強度の向上を図ることができる。
【0074】
なお、上記変形例1~4において、第3の取付部34及び第4の取付部35が中央部300に設けられても構わない。
【0075】
(4-5)その他の変形例
第1の取付部31の第1取付穴310及び第2の取付部32の第2取付穴320はそれぞれ、丸穴、だるま穴及び円弧状の長穴のいずれでも構わない。第1取付穴310及び第2取付穴320がだるま穴である場合、ナットを付けたボルトに固定部30を仮保持させて施工作業の作業性の向上を図ることができる。
【0076】
また、固定部30は、第2の取付部32(2つの第2取付穴320)を有する板材を、第1の取付部31を有する板材と結合して構成されても構わない。
【0077】
(5)実施形態に係る照明器具の利点
上述のように照明器具A1において、アーム3の固定部30は、はり8に取り付けるための取付部材7が第1の向きで取り付けられる第1の取付部31と、第1の向きと交差する第2の向きで取付部材7が取り付けられる第2の取付部32と、を有する。「第1の向き」とは、固定部30の長手方向と取付部材7のハンガー70の長手方向が一致する向きである(図8参照)。「第2の向き」とは、固定部30の長手方向と取付部材7のハンガー70の長手方向が交差(直交)する向きである(図9参照)。
【0078】
例えば、アーム3が第2の取付部32を有していない場合、「第2の向き」に取り付けるには、2つの取付部材7のそれぞれのハンガー70のボルト挿通穴に挿通されたボルトを、第1の取付部31の2つの第1取付穴310に1本ずつ挿通してナットを締め付ける必要がある。つまり、第2の取付部32を有していないアーム3においては、はり8に取り付ける向きによっては、取付部材7が2つ必要になっていた。
【0079】
これに対して照明器具A1は、第1の取付部31に加えて第2の取付部32をアーム3に設けているので、「第1の向き」及び「第2の向き」のいずれの向きに取り付ける場合においても、1つの取付部材7で取り付けることができる。その結果、照明器具A1は、従来例に比べて、取付部材7の使用数の削減を図ることができる。
【0080】
また、照明器具A1において、2つの第1取付穴310が、固定部30の長手方向の中央を挟んで配置され、2つの第2取付穴320が、固定部30の長手方向の中央を挟み、かつ、2つの第1取付穴310よりも中央の近くに配置されている。
【0081】
しかして、照明器具A1は、長尺のハンガー70を有する取付部材7に対して、第1の向きと第2の向きの2つの向きでアーム3の固定部30を固定することができる。その結果、照明器具A1は、取付部材7の小型化を図ることができる。
【0082】
さらに、照明器具A1において、2つの第1取付穴310が、互いの長手方向を交差させるように固定部30に設けられている。そのため、照明器具A1は、取付部材7のハンガー70の長手方向及び短手方向の両方向に対して位置調整を行うことができ、設置作業の作業性の向上を図ることができる。
【0083】
また、照明器具A1において、2つの第2取付穴320が、互いの長手方向を平行させるように固定部30に設けられれば、取付部材7の長手方向に対して位置調整を行うことができ、設置作業の作業性の向上を図ることができる。
【0084】
一方、照明器具A1において、2つの第2取付穴320が、互いの長手方向を交差させるように固定部30に設けられれば、取付部材7のハンガー70の長手方向及び短手方向の両方向に対して位置調整を行うことができ、設置作業の作業性の向上を図ることができる。
【0085】
ここで、照明器具A1において、固定部30は、2つの第1取付穴310が配置される部位の幅寸法に対して、2つの第2取付穴320が配置される中央部300の幅寸法が大きくなっている。しかして、照明器具A1は、第2の取付部32が設けられる中央部300の幅寸法を大きくすることにより、固定部30の大型化を抑えつつ取付強度の向上を図ることができる。
【0086】
また、照明器具A1は、固定部30の中央部300の縁が弧状に形成されているので、固定部30を手で持つときの持ちやすさの向上を図ることができる。
【0087】
(6)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明器具(A1)は、光源(LEDユニット2)と、光源を保持する本体(1)と、本体(1)を支持する支持部材(アーム3)と、を備える。支持部材は、長尺の板状に形成された固定部(30)と、固定部(30)の長手方向の両端から固定部(30)の厚み方向に突出する一対の突出部(33)と、を有する。一対の突出部(33)のそれぞれの先端が本体(1)と結合されている。固定部(30)は、建物の造営材(はり8)に取り付けるための取付部材(7)が第1の向きで取り付けられる第1の取付部(31)と、第1の向きと交差する第2の向きで取付部材(7)が取り付けられる第2の取付部(32)と、を有する。
【0088】
第1の態様に係る照明器具(A1)は、第1の向き及び第2の向きのいずれの向きに取り付ける場合においても、1つの取付部材(7)で造営材に取り付けることができる。その結果、第1の態様に係る照明器具(A1)は、従来例に比べて、取付部材(7)の使用数の削減を図ることができる。
【0089】
本開示の第2の態様に係る照明器具(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明器具(A1)において、第1の取付部(31)は、固定部(30)を厚み方向に貫通する複数の第1取付穴(310)を含むことが好ましい。複数の第1取付穴(310)は、固定部(30)の長手方向の中央を挟んで配置されることが好ましい。第2の取付部(32)は、固定部(30)を固定部(30)の厚み方向に貫通する複数の第2取付穴(320)を含むことが好ましい。複数の第2取付穴(320)は、固定部(30)の長手方向の中央を挟み、かつ、複数の第1取付穴(310)よりも中央の近くに配置されることが好ましい。
【0090】
第2の態様に係る照明器具(A1)は、取付部材(7)の小型化を図ることができる。
【0091】
本開示の第3の態様に係る照明器具(A1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明器具(A1)において、第1の取付部(31)は、長穴からなる2つの第1取付穴(310)を含むことが好ましい。2つの第1取付穴(310)は、互いの長手方向を交差させるように固定部(30)に設けられることが好ましい。
【0092】
第3の態様に係る照明器具(A1)は、取付部材(7)の長手方向及び短手方向の両方向に対して位置調整を行うことができ、設置作業の作業性の向上を図ることができる。
【0093】
本開示の第4の態様に係る照明器具(A1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明器具(A1)において、第2の取付部(32)は、長穴からなる2つの第2取付穴(320)を含むことが好ましい。2つの第2取付穴(320)は、互いの長手方向を平行させるように固定部(30)に設けられることが好ましい。
【0094】
第4の態様に係る照明器具(A1)は、取付部材(7)の長手方向に対して位置調整を行うことができ、設置作業の作業性の向上を図ることができる。
【0095】
本開示の第5の態様に係る照明器具(A1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明器具(A1)において、第2の取付部(32)は、長穴からなる2つの第2取付穴(320)を含むことが好ましい。2つの第2取付穴(320)は、互いの長手方向を交差させるように固定部(30)に設けられることが好ましい。
【0096】
第5の態様に係る照明器具(A1)は、取付部材(7)の長手方向及び短手方向の両方向に対して位置調整を行うことができ、設置作業の作業性の向上を図ることができる。
【0097】
本開示の第6の態様に係る照明器具(A1)は、第2-第5の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第6の態様に係る照明器具(A1)において、固定部(30)は、複数の第1取付穴(310)が配置される部位の幅寸法に対して、複数の第2取付穴(320)が配置される部位(中央部300)の幅寸法が大きいことが好ましい。
【0098】
第6の態様に係る照明器具(A1)は、固定部(30)の大型化を抑えつつ取付強度の向上を図ることができる。
【0099】
本開示の第7の態様に係る照明器具(A1)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る照明器具(A1)において、固定部(30)は、複数の第2取付穴(320)が配置される部位の縁が弧状に形成されていることが好ましい。
【0100】
第7の態様に係る照明器具(A1)は、固定部(30)を手で持つときの持ちやすさの向上を図ることができる。
【0101】
本開示の第8の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第7の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第8の態様に係る照明器具(A1)において、一対の突出部(33)はそれぞれ、本体(1)に対して回転可能に結合されていることが好ましい。
【0102】
第8の態様に係る照明器具(A1)は、支持部材に対して本体(1)を回転させることにより、本体(1)の姿勢(角度)を調節することができる。
【符号の説明】
【0103】
A1 照明器具
1 本体
2 LEDユニット(光源)
3 アーム(支持部材)
5 電源ユニット
7 取付部材
8 はり(造営材)
30 固定部
31 第1の取付部
32 第2の取付部
33 突出部
300 中央部(複数の第2取付穴が配置される部位)
310 第1取付穴
320 第2取付穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12