(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006128
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】実装システム、可動部及び実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230111BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H05K13/04 A
B25J15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108550
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 昌三
(72)【発明者】
【氏名】大田 博
(72)【発明者】
【氏名】羽場 直也
(72)【発明者】
【氏名】中井 伸弘
【テーマコード(参考)】
3C707
5E353
【Fターム(参考)】
3C707AS08
3C707FS01
3C707HS27
3C707KS03
3C707KT01
3C707KT06
3C707NS17
5E353EE29
5E353EE62
5E353EE63
5E353JJ44
5E353JJ48
5E353JJ52
5E353JJ60
5E353KK01
5E353KK11
5E353KK21
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】作業効率の低下を抑制する。
【解決手段】実装システム10は、可動部1と、駆動部2と、エア調整部31と、電力供給部32と、を備える。可動部1は、蓄電池15、蓄圧容器13及び蓄圧容器13のエアを利用して部品を保持する保持部12を含み、保持部12に保持させた部品を対象物の実装面に実装する。駆動部2は、特定平面を有する固定子21を含み、固定子21の特定平面に沿って可動部1が移動するように可動部1を駆動する。保持部12は、可動部1が第1位置に位置していない状態において、蓄圧容器13のエアによって部品を保持可能である。可動部1は、第2位置に位置していない状態において、蓄電池15に蓄えられた電力によって特定平面に沿って移動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池、蓄圧容器及び前記蓄圧容器のエアを利用して部品を保持する保持部を含み、前記保持部に保持させた前記部品を対象物の実装面に実装する可動部と、
特定平面を有する固定子を含み、前記固定子の前記特定平面に沿って前記可動部が移動するように前記可動部を駆動する駆動部と、
前記可動部が第1位置に位置している状態において、前記蓄圧容器の内圧を調整するエア調整部と、
前記可動部が第2位置に位置している状態において、前記蓄電池に電力を供給する電力供給部と、を備え、
前記保持部は、前記可動部が前記第1位置に位置していない状態において、前記蓄圧容器の前記エアによって前記部品を保持可能であり、
前記可動部は、前記第2位置に位置していない状態において、前記蓄電池に蓄えられた前記電力によって前記特定平面に沿って移動可能である、
実装システム。
【請求項2】
前記第1位置と前記第2位置とが同じ位置である、
請求項1に記載の実装システム。
【請求項3】
前記蓄圧容器は、前記エア調整部によって前記内圧が負圧に調整される、
請求項1又は2に記載の実装システム。
【請求項4】
前記可動部は、前記蓄圧容器としての第1蓄圧容器とは異なる第2蓄圧容器を更に含み、
前記第2蓄圧容器は、前記エア調整部によって前記内圧が正圧に調整される、
請求項3に記載の実装システム。
【請求項5】
前記可動部は、前記第1位置において特定動作を行う、
請求項1~4のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項6】
前記特定動作は、前記部品を供給する部品供給部から前記保持部により前記部品を取り出す動作である、
請求項5に記載の実装システム。
【請求項7】
前記可動部は、前記エア調整部に設けられた第1接続面に接続可能な第2接続面が設けられた突出部を更に含み、
前記エア調整部は、前記特定平面の法線方向からの平面視において、前記特定平面の外縁よりも外側に位置し、
前記可動部が前記特定動作を行っている状態では、前記特定平面の前記法線方向からの平面視において、前記突出部の少なくとも一部が前記特定平面の前記外縁よりも外側に位置し、前記第1接続面に設けられている通気口と前記第2接続面に設けられている通気口とが対向している、
請求項6に記載の実装システム。
【請求項8】
前記特定動作は、
前記保持部に保持させた前記部品の廃棄と、
前記保持部の清掃と、の少なくとも一方を含む、
請求項5に記載の実装システム。
【請求項9】
前記可動部を複数備え、
前記駆動部は、前記複数の可動部における複数の前記保持部にそれぞれ保持されている複数の前記部品が前記対象物の前記実装面において互いに異なる複数の実装予定位置に実装されるように、前記複数の可動部のうち少なくとも2つを同時に駆動する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項10】
前記可動部を複数備え、
前記部品をそれぞれ供給する第1部品供給部及び第2部品供給部を更に備え、
前記複数の可動部は、第1可動部及び第2可動部を含み、
前記駆動部は、前記特定平面の法線方向からの平面視において、前記第1可動部が前記第1部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する際に前記第1可動部が移動する第1移動経路と、前記第2可動部が前記第2部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する際に前記第2可動部が移動する第2移動経路とが交差するように、前記第1可動部及び前記第2可動部を駆動する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項11】
前記対象物が載置される載置部を更に備え、
前記第1部品供給部及び前記第2部品供給部は、前記載置部に対して前記対象物が搬入される方向に沿って配置されている、
請求項10に記載の実装システム。
【請求項12】
前記可動部を複数備え、
前記部品をそれぞれ供給する第1部品供給部及び第2部品供給部を更に備え、
前記複数の可動部は、第1可動部及び第2可動部を含み、
前記駆動部は、
前記第1可動部が前記第1部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する動作と、前記第2可動部が前記第2部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する動作と、を実行する第1態様と、
前記第1可動部が前記第2部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する動作と、前記第2可動部が前記第1部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する動作と、を実行する第2態様と、を行うように、前記第1可動部及び前記第2可動部を駆動する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項13】
前記対象物が載置される載置部を更に備え、
前記第1部品供給部及び前記第2部品供給部は、前記載置部に対して前記対象物が搬入される方向である第1方向と交差する第2方向において前記載置部の両側に配置されている、
請求項12に記載の実装システム。
【請求項14】
前記複数の可動部は、第3可動部及び第4可動部を更に含み、
前記第1部品供給部及び前記第2部品供給部とは異なり、前記部品をそれぞれ供給する第3部品供給部及び第4部品供給部を更に備え、
前記駆動部は、
前記第3可動部が前記第3部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する動作と、前記第4可動部が前記第4部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する動作と、を実行する第1態様と、
前記第3可動部が前記第4部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する動作と、前記第4可動部が前記第3部品供給部から取り出した前記部品を前記対象物の前記実装面に実装する動作と、を実行する第2態様と、を行うように、前記第1可動部及び前記第2可動部を駆動する、
請求項10又は11に記載の実装システム。
【請求項15】
前記対象物が載置される載置部を更に備え、
前記第3部品供給部及び前記第4部品供給部は、前記載置部に対して前記対象物が搬入される方向である第1方向と交差する第2方向において前記載置部の両側に配置されている、
請求項14に記載の実装システム。
【請求項16】
蓄電池、蓄圧容器及び前記蓄圧容器のエアを利用して部品を保持する保持部を含む可動部であって、
特定平面を有する固定子を含み、前記固定子の前記特定平面に沿って前記可動部が移動するように前記可動部を駆動する駆動部と、
前記可動部が第1位置に位置している状態において、前記蓄圧容器の内圧を調整するエア調整部と、
前記可動部が第2位置に位置している状態において、前記蓄電池に電力を供給する電力供給部と、を備える実装システムに用いられ、
前記保持部は、前記可動部が前記第1位置に位置していない状態において、前記蓄圧容器の前記エアによって前記部品を保持可能であり、
前記第2位置に位置していない状態において、前記蓄電池に蓄えられた前記電力によって前記特定平面に沿って移動可能である、
可動部。
【請求項17】
蓄電池、蓄圧容器及び前記蓄圧容器のエアを利用して部品を保持する保持部を含む可動部と、
特定平面を有する固定子を含み、前記固定子の前記特定平面に沿って前記可動部が移動するように前記可動部を駆動する駆動部と、を備える実装システムに用いられる実装方法であって、
前記部品を供給する部品供給部から前記保持部により前記部品を取り出す取り出し工程と、
前記取り出し工程で前記保持部に保持させた前記部品を対象物の実装面に実装する実装工程と、
前記可動部が第1位置に位置している状態において、エア調整部によって前記蓄圧容器の内圧を調整する調整工程と、
前記可動部が第2位置に位置している状態において、電力供給部から供給される電力を前記蓄電池に蓄える蓄電工程と、を有し、
前記保持部は、前記可動部が前記第1位置に位置していない状態において、前記蓄圧容器の前記エアによって前記部品を保持可能であり、
前記可動部は、前記取り出し工程の後に、前記第2位置に位置していない状態において、前記蓄電池に蓄えられた前記電力によって前記特定平面に沿って移動可能である、
実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に実装システム、可動部及び実装方法に関し、より詳細には、対象物の実装面に部品を実装する実装システム、可動部及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リニアモータを用いてヘッド部(可動部)を平面内で移動可能とし、ヘッド部に設けられた吸着ノズル(保持部)により吸着した電子部品(部品)をプリント基板(対象物)に実装する電子部品実装装置(実装システム)が記載されている。
【0003】
ヘッド部には、吸着ノズル駆動用の動力を供給する動力供給手段から上記動力を受け入れる動力受入れ手段が設けられている。動力供給手段と動力受入れ手段とは、吸着ノズル駆動用の電気配線、空気配管等のケーブルを介して接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電子部品実装装置では、上述したように、ヘッド部に設けられている動力受入れ手段は、ケーブルを介して動力供給手段に接続されている。そのため、例えば、複数のヘッド部を平面内で相互に移動させようとした場合、ケーブルによりヘッド部の移動経路が阻害されて作業効率が低下する場合がある。
【0006】
本開示の目的は、作業効率の低下を抑制することが可能な実装システム、可動部及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る実装システムは、可動部と、駆動部と、エア調整部と、電力供給部と、を備える。前記可動部は、蓄電池、蓄圧容器及び前記蓄圧容器のエアを利用して部品を保持する保持部を含み、前記保持部に保持させた前記部品を対象物の実装面に実装する。前記駆動部は、特定平面を有する固定子を含み、前記固定子の前記特定平面に沿って前記可動部が移動するように前記可動部を駆動する。前記エア調整部は、前記可動部が第1位置に位置している状態において、前記蓄圧容器の内圧を調整する。前記電力供給部は、前記可動部が第2位置に位置している状態において、前記蓄電池に電力を供給する。前記保持部は、前記可動部が前記第1位置に位置していない状態において、前記蓄圧容器の前記エアによって前記部品を保持可能である。前記可動部は、前記第2位置に位置していない状態において、前記蓄電池に蓄えられた前記電力によって前記特定平面に沿って移動可能である。
【0008】
本開示の一態様に係る可動部は、蓄電池、蓄圧容器及び前記蓄圧容器のエアを利用して部品を保持する保持部を含む可動部である。前記可動部は、駆動部と、エア調整部と、電力供給部と、を備える実装システムに用いられる。前記駆動部は、特定平面を有する固定子を含み、前記固定子の前記特定平面に沿って前記可動部が移動するように前記可動部を駆動する。前記エア調整部は、前記可動部が第1位置に位置している状態において、前記蓄圧容器の内圧を調整する。前記電力変換部は、前記可動部が第2位置に位置している状態において、前記蓄電池に電力を供給する。前記保持部は、前記可動部が前記第1位置に位置していない状態において、前記蓄圧容器の前記エアによって前記部品を保持可能である。前記可動部は、前記第2位置に位置していない状態において、前記蓄電池に蓄えられた前記電力によって前記特定平面に沿って移動可能である。
【0009】
本開示の一態様に係る実装方法は、可動部と、駆動部と、を備える実装システムに用いられる実装方法である。前記可動部は、蓄電池、蓄圧容器及び前記蓄圧容器のエアを利用して部品を保持する保持部を含む。前記駆動部は、特定平面を有する固定子を含み、前記固定子の前記特定平面に沿って前記可動部が移動するように前記可動部を駆動する。前記実装方法は、取り出し工程と、実装工程と、調整工程と、蓄電工程と、を有する。前記取り出し工程は、前記部品を供給する部品供給部から前記保持部により前記部品を取り出す工程である。前記実装工程は、前記取り出し工程で前記保持部に保持させた前記部品を対象物の実装面に実装する工程である。前記調整工程は、前記可動部が第1位置に位置している状態において、エア調整部によって前記蓄圧容器の内圧を調整する工程である。前記蓄電工程は、前記可動部が第2位置に位置している状態において、電力供給部から供給される電力を前記蓄電池に蓄える工程である。前記保持部は、前記可動部が前記第1位置に位置していない状態において、前記蓄圧容器の前記エアによって前記部品を保持可能である。前記可動部は、前記取り出し工程の後に、前記第2位置に位置していない状態において、前記蓄電池に蓄えられた前記電力によって前記特定平面に沿って移動可能である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様に係る実装システム、可動部及び実装方法によれば、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る実装システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の実装システムを前方から見た外観斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の実装システムを後方から見た外観斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の実装システムに関し、
図2のX-X線断面図である。
【
図5】
図5は、同上の実装システムに関し、
図4のA部拡大図である。
【
図6】
図6は、同上の実装システムに関し、
図2のZ-Z線断面図である。
【
図7】
図7A~
図7Dは、同上の実装システムの載置部の動作を説明する説明図である。
【
図8】
図8は、同上の実装システムが実行する実装方法を表すフローチャートである。
【
図9】
図9は、同上の実装システムの動作を表すタイムチャートである。
【
図10】
図10は、同上の実装システムの動作を説明する説明図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例1に係る実装システムの動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
以下、実施形態に係る実装システム、可動部及び実装方法について、図面を参照して説明する。下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(1)実装システムの概要
まず、本実施形態に係る実装システム10の概要について説明する。
【0014】
本実施形態に係る実装システム10は、
図2及び
図3に示すように、部品100を対象物20に実装するための実装装置(実装機)である。実装システム10は、例えば、工場、研究所、事務所及び教育施設等の施設において、電子機器、自動車、衣料品、食料品、医薬品及び工芸品等の種々の製品の製造のための作業に用いられる。
【0015】
本実施形態では、実装システム10が、工場での電子機器の製造に用いられる場合について説明する。一般的な電子機器は、例えば、電源回路及び制御回路等の各種の回路基板を有している。これらの回路基板の製造にあたっては、一例として、はんだ塗布工程、実装工程、及びはんだ付け工程が、この順で行われる。はんだ塗布工程では、基板(プリント配線板を含む)にクリーム状はんだが塗布(又は印刷)される。実装工程では、基板に部品(電子部品を含む)が実装(搭載)される。はんだ付け工程では、例えば、部品が実装された状態の基板を、リフロー炉にて加熱することにより、クリーム状はんだを溶かしてはんだ付けが行われる。実装システム10は、実装工程において、対象物20としての基板200に対して、部品100を実装する作業を行う。
【0016】
このように、対象物20(基板200)への部品100の実装に用いられる実装システム10は、
図1に示すように、可動部1と、駆動部2と、動力部3と、を備える。
【0017】
可動部1は、蓄電池15と、第1蓄圧容器(蓄圧容器)13と、部品100を保持するための保持部12と、を含む。また、可動部1は、第2蓄圧容器14を更に含む。保持部12は、一例として吸着ノズルからなり、解放(つまり保持を解除)可能な状態で部品100を保持する。保持部12は、第1蓄圧容器13のエアを利用して部品100を保持する。より詳細には、保持部12は、第1蓄圧容器13の内圧が負圧に調整されることによって、部品100を保持(吸着)する。実装システム10では、可動部1は、保持部12に部品100を保持させた状態で、保持部12を基板200に近づけるように下降させて、部品100を基板200の実装面201に実装する。
【0018】
駆動部2は、固定子21を含む。固定子21は、Z軸方向からの平面視においてX軸方向に長い矩形の平板状である。固定子21は、特定平面211(
図4参照)を有する。特定平面211は、Z軸方向からの平面視においてX軸方向に長い矩形状である。駆動部2は、固定子21の特定平面211に沿って可動部1が移動するように可動部1を駆動する。
【0019】
動力部3は、エア調整部31と、電力供給部32と、を含む。エア調整部31は、可動部1が第1位置に位置している状態において、可動部1の第1蓄圧容器13の内圧を調整する。より詳細には、エア調整部31は、第1蓄圧容器13内のエアを吸い込む吸気を行うことにより、第1蓄圧容器13の内圧を負圧に調整する。また、エア調整部31は、可動部1が第1位置に位置している状態において、第2蓄圧容器14の内圧を調整する。より詳細には、エア調整部31は、第2蓄圧容器14に対してエアを供給する排気を行うことにより、第2蓄圧容器14の内圧を正圧に調整する。第1位置は、少なくとも第1蓄圧容器13の内圧を調整する内圧調整位置である。
【0020】
電力供給部32は、可動部1が第2位置に位置している状態において、可動部1の蓄電池15に電力を供給する。第2位置は、蓄電池15に電力を供給する給電位置である。本実施形態では、第1位置と第2位置とが同じ位置であり、第1位置及び第2位置は、例えば、可動部1の保持部12に部品100を保持させる保持位置(吸着位置)P1(
図4参照)である。
【0021】
保持部12は、可動部1が第1位置に位置していない状態において、第1蓄圧容器13のエアによって部品100を保持可能である。また、可動部1は、可動部1が第2位置に位置していない状態において、蓄電池15に蓄えられた電力によって固定子21の特定平面211に沿って移動可能である。
【0022】
このような実装システム10では、保持部12は、可動部1が第1位置に位置していない状態において、可動部1が第1位置に位置しているときに第1蓄圧容器13に蓄えられたエアによって部品100を保持可能である。また、可動部1は、可動部1が第2位置に位置していない状態において、可動部1が第2位置に位置しているときに蓄電池15に蓄えられた電力によって移動可能である。そのため、例えば、ケーブルを介して可動部に電力が供給され、かつパイプを介して可動部にエアが供給される場合に比べて、可動部1の移動経路が規制されにくい。その結果、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【0023】
(2)詳細
次に、本実施形態に係る実装システム10の詳細について、
図1~
図7を参照して説明する。
【0024】
(2.1)前提
本実施形態では一例として、表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)による部品100の実装に、実装システム10が用いられる場合について説明する。つまり、部品100は、表面実装用の部品(SMD:Surface Mount Device)であって、対象物20としての基板200の表面(実装面201)上に配置されることをもって実装される。ただし、この例に限らず、挿入実装技術(IMT:Insertion Mount Technology)による部品100の実装に、実装システム10が用いられてもよい。この場合、部品100は、リード端子を有する挿入実装用の部品であり、対象物20としての基板200の孔にリード端子を挿入することをもって、基板200の表面(実装面201)上に実装される。
【0025】
本開示でいう「直交」は、二者間の角度が厳密に90度である状態だけでなく、二者間の角度が、実質的に効果が得られる公差(例えば、±5度)の範囲内で略直交する状態も含む意味である。また、本開示でいう「平行」についても同様に、二者間の角度が厳密に0度である状態だけでなく、二者間の角度が、実質的に効果が得られる公差(例えば、±5度)の範囲内で略平行する状態も含む意味である。
【0026】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、対象物20としての基板200の表面(実装面201)に平行な軸を「X軸」及び「Y軸」とし、基板200の厚み方向に平行な軸を「Z」軸とする。さらに、Z軸に沿う両方向のうち一方向を上方向とし、他方向を下方向とする。例えば、可動部1が基板200の実装面201に対向しているとき、基板200は、可動部1の下方に位置する。なお、X軸、Y軸及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は実装システム10の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0027】
(2.2)実装システムの構成
次に、本実施形態に係る実装システム10の各構成要素について、
図1~
図7を参照して説明する。
【0028】
本実施形態に係る実装システム10は、
図1~
図3に示すように、複数の可動部1と、駆動部2と、複数の動力部3と、制御部4と、複数の部品供給部5と、部品認識部6と、部品廃棄部7と、ノズル交換部8と、載置部9と、を備えている。ただし、制御部4、部品供給部5、部品認識部6、部品廃棄部7、ノズル交換部8及び載置部9は、実装システム10に必須の構成ではない。つまり、制御部4、部品供給部5、部品認識部6、部品廃棄部7、ノズル交換部8及び載置部9の全部又は一部は、実装システム10の構成要素に含まれなくてもよい。本実施形態では、複数の動力部3と複数の部品供給部5とが一対一に対応しているが、複数の動力部3と複数の部品供給部5とは一対一に対応していなくてもよい。すなわち、複数の動力部3は、複数の部品供給部5よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0029】
(2.2.1)可動部
複数の可動部(実装ヘッド)1の各々は、少なくとも1つの保持部12を有している。本実施形態では、各可動部1は、1つの保持部12を有している。各可動部1は、保持部12に部品100を保持させた状態で、保持部12を基板200に近づけるように移動させ、部品100を基板200の実装面201に実装する。つまり、各可動部1は、保持部12を、基板200に向けて移動可能に保持する。
【0030】
本実施形態では、各可動部1は、保持部12に加えて、可動子11と、第1蓄圧容器(蓄圧容器)13と、第2蓄圧容器14と、蓄電池15と、アクチュエータ16と、ヘッド17と、を更に有している。すなわち、各可動部1は、第1蓄圧容器13に加えて、第1蓄圧容器13とは異なる第2蓄圧容器14を更に有している。本実施形態に係る実装システム10では、1つのヘッド17に、可動子11、保持部12、第1蓄圧容器13、第2蓄圧容器14、蓄電池15及びアクチュエータ16を1つずつ保持させている。これにより、各可動部1では、1つの保持部12により1つの部品100を保持可能である。
【0031】
可動子11は、後述の固定子21と共に平面サーボモータを構成する。可動子11は、Z軸方向において固定子21と対向している。可動子11は、後述の制御部4のモータドライバ41によって制御され、固定子21の特定平面211(
図4参照)に沿ってX軸方向及びY軸方向に移動可能である。可動子11は、突出部18を有している。突出部18は、
図5に示すように、可動子11と一体に形成されており、可動子11からL字状に突出している。突出部18は、第2接続面181を有している。第2接続面181は、可動部1が第1位置(
図5に示す位置)に位置している状態において、後述の動力部3の動力部本体33に設けられた第1接続面34に接続可能である。すなわち、可動部1は、エア調整部31に設けられた第1接続面34に接続可能な第2接続面181が設けられた突出部18を更に有している。第2接続面181には、後述のエア調整部31によって第1蓄圧容器13及び第2蓄圧容器14の内圧を調整する際にエア(空気)が通る通気口182が設けられている。通気口182は、突出部18の内部に設けられた流路183に繋がっており、通気口182及び流路183を通るエアによって第1蓄圧容器13及び第2蓄圧容器14の内圧が調整される。ここにおいて、「第1接続面34と第2接続面181とが接続する」とは、第1接続面34に設けられた通気口35に繋がる流路36と第2接続面181に設けられた通気口182に繋がる流路183とが流体的に接続して(繋がって)、流路36と流路183との間にエアの流路を形成することをいう。なお、可動部1が第1位置に位置している状態では、
図5に示すように、第1接続面34と第2接続面181との間に隙間G1が設けられている。隙間G1は、第1接続面34と第2接続面181とを対向させた状態において、エアが漏れない程度の隙間(ギャップ)である。
【0032】
保持部12は、例えば、吸着ノズルである。保持部12は、後述の制御部4により制御され、部品100を保持する保持状態と、部品100を解放(保持を解除)する解放状態と、を切替可能である。保持部12による部品100の保持に関しては、可動部1は、動力としての空圧(真空)の供給を受けて動作する。本実施形態では、可動部1は、第1蓄圧容器13のバルブを開閉することによって、保持部12の保持状態と、解放状態と、を切り替える。すなわち、保持部12は、第1蓄圧容器13のエアを利用して部品100を保持する。なお、第1蓄圧容器13のバルブを開いて部品100を解放する際には、第2蓄圧容器14のバルブも開くことが好ましい。この場合、保持部12から排気されるエアによって保持部12から離れる向きに部品100が押し出されるため、部品100が保持部12から離れやすくなる。
【0033】
第1蓄圧容器(第1蓄圧室)13は、例えば、エアタンクである。第1蓄圧容器13は、エア調整部31によって内圧が調整される。より詳細には、エア調整部31がエアを吸い込む吸気を行うことにより、第1蓄圧容器13の内圧が負圧に調整される。第1蓄圧容器13は、可動部1が第1位置に位置している状態において、エア調整部31によって内圧が負圧に調整される。第1蓄圧容器13の内圧が負圧に調整された状態では、保持部12により部品100が保持(吸着)される。第1蓄圧容器13のバルブが開かれて第1蓄圧容器13内に大気が流れ込むことにより、第1蓄圧容器13の内圧が負圧から大気圧になり、部品100を保持する保持状態が解除される。
【0034】
第2蓄圧容器(第2蓄圧室)14は、第1蓄圧容器13と同様、例えば、エアタンクである。第2蓄圧容器14は、エア調整部31によって内圧が調整される。より詳細には、エア調整部31がエアを供給する排気を行うことにより、第2蓄圧容器14の内圧が正圧に調整される。第2蓄圧容器14は、可動部1が第1位置に位置している状態において、エア調整部31によって内圧が正圧に調整される。第2蓄圧容器14のバルブが開かれて第2蓄圧容器14内のエアが排気されることにより、第2蓄圧容器14の内圧が正圧から大気圧になり、第2蓄圧容器14から排気されるエアによって保持部12から離れる向きに部品100が押し出される。
【0035】
蓄電池15は、例えば、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double-Layer Capacitor)である。蓄電池15は、電力供給部32によって電力が供給される。電力供給部32から蓄電池15への給電は、接触式であってもよいし、非接触式であってもよい。蓄電池15は、可動部1が第2位置に位置している状態において、電力供給部32から電力が供給される。本実施形態では、第1位置と第2位置とが同じ位置であり、一例として、第1位置及び第2位置は、保持部12によって部品100を保持(吸着)する保持位置(吸着位置)P1(
図4参照)である。
【0036】
アクチュエータ16は、保持部12をZ軸方向に直進移動させる。さらに、アクチュエータ16は、保持部12をZ軸方向に沿った軸線を中心とする回転方向(以下、「θ」方向という)に回転移動させる。本実施形態では一例として、Z軸方向への保持部12の移動に関しては、アクチュエータ16は、リニアモータで発生する駆動力にて駆動する。また、θ方向への保持部12の移動に関しては、アクチュエータ16は、回転型モータで発生する駆動力にて駆動する。一方で、後述するように、可動部1は、駆動部2の固定子21の特定平面211に沿ってX軸方向及びY軸方向に直進移動する。結果的に、可動部1に含まれる保持部12は、駆動部2及びアクチュエータ16によって、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ方向に移動することが可能である。
【0037】
上述の第1蓄圧容器13、第2蓄圧容器14、蓄電池15及びアクチュエータ16は、ヘッド17に収納されている。ヘッド17は、一例として、金属製であって、中空の円管状に形成されている。また、ヘッド17は、アクチュエータ16を介して保持部12を保持している。このようなヘッド17は、可動子11に取り付けられており、可動子11がX軸方向及びY軸方向に移動することによって、X軸方向及びY軸方向に移動可能である。
【0038】
上述の可動部1では、保持部12は、可動部1が第1位置(保持位置P1)に位置していない状態において、可動部1が第1位置に位置しているときに第1蓄圧容器13に蓄えられたエアによって、部品100を保持(吸着)可能である。また、可動部1は、可動部1が第2位置(保持位置P1)に位置していない状態において、可動部1が第2位置に位置しているときに蓄電池15に蓄えられた電力によって、固定子21の特定平面211に沿ってX軸方向及びY軸方向に移動可能である。
【0039】
ここで、可動部1は、第1位置において特定動作を行う。本実施形態では、特定動作は、例えば、部品100を供給する部品供給部5から保持部12により部品100を取り出す動作である。すなわち、本実施形態では、可動部1は、可動部1が第1位置に位置している状態において、保持部12により部品供給部5から部品100を取り出す動作を行う。
【0040】
(2.2.2)駆動部
駆動部2は、固定子21を有している。固定子21は、Z軸方向からの平面視において、X軸方向に長い矩形の平板状である。固定子21は、特定平面211を有している。特定平面211は、Z軸方向における固定子21の一面(下面)であって、Z軸方向からの平面視において矩形状である。固定子21は、上述の可動子11と共に平面サーボモータを構成する。駆動部2は、後述の制御部4のモータドライバ41によって制御され、固定子21の特定平面211に沿って可動部1(可動子11)が移動するように可動部1を駆動する。
【0041】
(2.2.3)動力部
複数の動力部3は、
図2に示すように、X軸方向に沿って等間隔に並んでいる。複数の動力部3の各々は、エア調整部31と、電力供給部32と、動力部本体33と、を有している。エア調整部31は、例えば、吸気及び排気の両方が可能なエアーポンプを含む。エア調整部31は、可動部1が第1位置に位置している状態において、エアーポンプにて吸気を行うことにより、第1蓄圧容器(蓄圧容器)13の内圧を負圧に調整する。また、エア調整部31は、可動部1が第1位置に位置している状態において、エアーポンプにて排気を行うことにより、第2蓄圧容器14の内圧を正圧に調整する。電力供給部32は、例えば、AC-DCコンバータを含む。電力供給部32は、可動部1が第2位置に位置している状態において、蓄電池15に電力(直流電力)を供給する。
【0042】
エア調整部31及び電力供給部32は、動力部本体33に収納されている。動力部本体33は、例えば、直方体状であって、第1接続面34(
図5参照)を有している。第1接続面34は、可動部1が第1位置(
図5に示す位置)に位置している状態において、可動部1の突出部18に設けられた第2接続面181との間に隙間G1を空けた状態で第2接続面181と対向している。第1接続面34には、エア調整部31によって第1蓄圧容器13及び第2蓄圧容器14の内圧を調整する際にエアが通る通気口35が設けられている。通気口35は、動力部本体33の内部に設けられた流路36に繋がっており、通気口35及び流路36を通るエアによって第1蓄圧容器13及び第2蓄圧容器14の内圧が調整される。可動部1が第1位置に位置している状態では、第1接続面34の通気口35と第2接続面181の通気口182とがZ軸方向で対向しており、通気口35に繋がる流路36と通気口182に繋がる流路183とが接続される。これにより、エア調整部31によって第1蓄圧容器13及び第2蓄圧容器14の内圧を調整することが可能となる。
【0043】
ここで、動力部3は、
図4及び
図5に示すように、Z軸方向(特定平面211の法線方向)からの平面視において、特定平面211の外縁2111よりも外側に位置している。すなわち、動力部3に含まれるエア調整部31は、特定平面211の法線方向からの平面視において、特定平面211の外縁2111よりも外側に位置している。
【0044】
また、可動部1が第1位置において特定動作を行っている状態では、Z軸方向(特定平面211の法線方向)からの平面視において、突出部18の少なくとも一部が特定平面211の外縁2111よりも外側に位置している。本実施形態では、Z軸方向からの平面視において、突出部18の全部が特定平面211の外縁2111よりも外側に位置している。そして、可動部1が第1位置に位置している状態では、
図5に示すように、動力部3に設けられた第1接続面34と可動部1の突出部18に設けられた第2接続面181とが接続される。ここで、可動部1が第1位置に位置している状態では、
図5に示すように、第1接続面34と第2接続面181との間に隙間G1が設けられている。そのため、可動部1が固定子21の特定平面211に沿って高速で移動して第1位置に向かう場合でも、可動部1と動力部3との衝突を回避することが可能となる。
【0045】
(2.2.4)制御部
制御部4は、実装システム10の各部を制御する。制御部4は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、制御部4として機能する。プログラムは、ここでは制御部4のメモリに予め記録されているが、例えば、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0046】
制御部4は、
図2及び
図3に示すように、複数のモータドライバ41を含む。複数のモータドライバ41は、駆動部2と電気的に接続されている。複数のモータドライバ41は、駆動部2に制御信号を出力し、複数の可動部1が特定平面211に沿ってX軸方向及びY軸方向に移動するように、駆動部2を制御する。
【0047】
また、制御部4は、更に、可動部1、動力部3、部品供給部5、部品認識部6及び載置部9の各々と電気的に接続されている。制御部4は、可動部1に制御信号を出力し、保持部12に保持させた部品100を基板200の実装面201に実装するように、可動部1を制御する。また、制御部4は、可動部1及び動力部3に制御信号を出力し、第1蓄圧容器13及び第2蓄圧容器14の内圧を調整し、かつ蓄電池15に電力を供給するように、可動部1及び動力部3を制御する。さらに、制御部4は、部品認識部6に制御信号を出力し、部品認識部6を制御したり、部品認識部6で撮像された画像を部品認識部6から取得したりする。また、制御部4は、載置部9に制御信号を出力し、載置部9上に載置された基板200の位置を調整するように、載置部9を制御する。
【0048】
(2.2.5)部品供給部
複数の部品供給部5は、上述したように、複数の動力部3と一対一に対応しており、X軸方向に沿って等間隔に並んでいる。複数の部品供給部5の各々は、各可動部1の保持部12により保持される部品100を供給する。各部品供給部5は、一例として、キャリアテープに収容された部品100を供給するテープフィーダを有している。各可動部1は、複数の部品供給部5のいずれかから、保持部12により部品100を保持する。
【0049】
(2.2.6)部品認識部
部品認識部6は、カメラ61を有している。カメラ61は、部品供給部5の上方と、基板200の実装面201における実装予定位置P3(
図4参照)の上方と、の間を移動している可動部1を下方から撮像する。したがって、カメラ61の撮像画像には、保持部12に保持されている部品100が写っている。すなわち、カメラ61の撮像画像には、保持部12と部品100との相互の位置関係の情報、言い換えると保持部12に対する部品100のずれの情報が含まれている。なお、カメラ61は、常時撮像するのではなく、部品100を保持している保持部12がカメラ61の上方を通過するタイミングで撮像することが好ましい。また、カメラ61は、部品供給部5の下方に設置されていてもよい。また、実装システム10は、カメラ61の撮像領域を照明する照明装置を更に備えていてもよい。
図4に示すように、可動部1が部品認識部6の上方に位置しているとき、可動部1は認識位置P2に位置している。また、複数の可動部1のうち後述の復帰工程ST1(
図8参照)において部品認識部6の上方に復帰する可動部1については、認識位置P2は原点位置P0でもある。
【0050】
(2.2.7)部品廃棄部
部品廃棄部7は、保持部12により部品供給部5から取り出された部品100のうち、不具合のある部品100を廃棄するためのスペースである。「不具合のある部品」とは、例えば、表面に傷等が見受けられる部品であって、部品としての機能を果たし得ない可能性がある部品をいう。制御部4は、例えば、部品認識部6のカメラ61により撮像された画像に基づいて部品100に傷があると判断した場合、部品100を部品廃棄部7に廃棄する指示を行う。各可動部1は、部品廃棄部7の上方に位置している状態において、第1蓄圧容器13のバルブ及び第2蓄圧容器14のバルブを開くことで保持部12から排気されるエアによって、保持部12から離れる方向に部品100を吹き飛ばす。これにより、部品100が部品廃棄部7に廃棄される。また、各可動部1は、部品100を廃棄した後に、保持部(ノズル)12の清掃を行ってもよい。例えば、第2蓄圧容器14のバルブを開いて高圧の排気を行うことにより、保持部12の内部の清掃を行うことが可能となる。すなわち、可動部1は、部品廃棄部7の上方に位置しているとき、部品100の廃棄と、保持部12の清掃と、の少なくとも一方を行う。
【0051】
(2.2.8)ノズル交換部
ノズル交換部8は、複数種類の保持部(吸着ノズル)12を有している。複数種類の保持部12は、部品100のサイズ(大きさ)にそれぞれ対応している。各可動部1は、保持部12により保持する部品100のサイズに応じて保持部12を交換する。
【0052】
(2.2.9)載置部
載置部9は、後述の搬送部により実装スペースに搬送された基板200(対象物20)が載置される。載置部9は、
図6に示すように、一対の支持部材91を有している。一対の支持部材91の各々は、X軸方向に長い棒状である。一対の支持部材91は、Y軸方向において所定の間隔を空けて配置されている。所定の間隔は、Y軸方向における基板200の長さよりも短い。一対の支持部材91の各々は、2つの偏心ピン92によってY軸方向に揺動可能である。
【0053】
図7A~
図7Dは、載置部9の動作を説明する説明図である。なお、以下の説明において、一対の支持部材91のうち一方(
図7Aの上側)の支持部材91を「第1支持部材91」と称し、他方(
図7Aの下側)の支持部材91を「第2支持部材91」と称することもある。また、第1支持部材91を保持する2つの偏心ピン92のうち一方(
図7Aの右側)の偏心ピン92を「第1偏心ピン92」と称し、他方(
図7Aの左側)の偏心ピン92を「第2偏心ピン92」と称することもある。さらに、第2支持部材91を保持する2つの偏心ピン92のうち一方(
図7Aの右側)の偏心ピン92を「第3偏心ピン92」と称し、他方(
図7Aの左側)の偏心ピン92を「第4偏心ピン92」と称することもある。
【0054】
図7Aは、載置部9を構成する一対の支持部材91が初期位置にある状態を示している。この状態では、一対の支持部材91の各々はX軸と平行になっており、Y軸方向における一対の支持部材91の間隔はY軸方向における基板200の長さよりも狭い。
【0055】
図7Aに示す初期位置から、第1偏心ピン92及び第3偏心ピン92を第1の向きに回転させると、第1支持部材91は、第2偏心ピン92を回転中心として反時計回りに回転し、第2支持部材91は、第4偏心ピン92を回転中心として反時計回りに回転する。これにより、
図7Bに示すように、第1支持部材91の右端部及び第2支持部材91の右端部がY軸方向に変位した状態になる。
図7Bに示す状態では、一対の支持部材91は、互いに平行である。
【0056】
図7Aに示す初期位置から、第2偏心ピン92及び第4偏心ピン92を第2の向き(第1の向きと逆の向き)に回転させると、第1支持部材91は、第1偏心ピン92を回転中心として時計回りに回転し、第2支持部材91は、第3偏心ピン92を回転中心として時計回りに回転する。これにより、
図7Cに示すように、第1支持部材91の左端部及び第2支持部材91の左端部がY軸方向に変位した状態になる。
図7Cに示す状態では、一対の支持部材91は、互いに平行である。
【0057】
図7Aに示す初期位置から、第1偏心ピン92及び第3偏心ピン92を第1の向きに回転させ、かつ、第2偏心ピン92及び第4偏心ピン92を第2の向きに回転させると、第1支持部材91及び第2支持部材91は、
図7Dに示すように、Y軸方向に平行移動した状態になる。
図7Dに示す状態では、一対の支持部材91の各々は、X軸と平行である。
【0058】
このような載置部9では、4つの偏心ピン92の回転量をそれぞれ調整することにより、一対の支持部材91の変位量を調整することが可能となる。
【0059】
ここで、本実施形態に係る実装システム10による実装工程と後段のはんだ付け工程との間に検査工程が設けられていることが好ましい。この場合、検査工程において基板200に対する部品100のずれ量を計測し、計測結果を実装システム10にフィードバックすることにより、計測結果に基づいて基板200の向きを調整することが可能となる。具体的には、制御部4は、検査工程からフィードバックされた計測結果に基づいて、基板200が載置される載置部9を構成する一対の支持部材91の変位量を調整する。これにより、基板200が載置部9に搬送される前に一対の支持部材91の変位量を調整することが可能となり、実装スペースに搬入された基板200の対角の位置をカメラ等で認識し、認識結果に基づいて基板200の向きを調整する場合に比べて、作業時間を短縮することが可能となる。
【0060】
なお、検査工程は、実装工程とはんだ付け工程との間に限らず、はんだ付け工程の後に設けられていてもよい。この場合、部品100が基板200にはんだ付けされた後において基板200に対する部品100のずれ量を計測し、計測結果を実装システム10にフィードバックする。
【0061】
(2.2.10)筐体
本実施形態に係る実装システム10は、
図2及び
図3に示すように、筐体101を更に備える。筐体101は、複数(図示例では4つ)の支柱1011と、天板1012と、中板1013と、底板1014と、を有している。天板1012、中板1013、底板1014は、複数の支柱1011によって支持されており、Z軸方向における一端側(上側)から天板1012、中板1013、底板1014の順に間隔を空けて並んでいる。
【0062】
上述の複数のモータドライバ41は、中板1013の一面(上面)に取り付けられており、X軸方向に沿って並んでいる。上述の駆動部2は、中板1013の他面(下面)に取り付けられている。上述の部品認識部6、部品廃棄部7、ノズル交換部8及び載置部9は、底板1014の一面(上面)に取り付けられている。部品認識部6、部品廃棄部7及びノズル交換部8は、底板1014の一面において、X軸方向における一端側(
図2における左側)から部品廃棄部7、部品認識部6、ノズル交換部8の順に並んでいる。
【0063】
(2.2.11)その他
実装システム10は、可動部1、駆動部2、動力部3、制御部4、部品供給部5、部品認識部6、部品廃棄部7、ノズル交換部8及び載置部9の他、搬送部及び通信部を備えていてもよい。
【0064】
搬送部は、対象物20としての基板200を載置部9へ搬送する。搬送部は、例えば、ベルトコンベヤ等で実現される。搬送部は、基板200を、例えば、X軸に沿って搬送する。搬送部は、少なくとも可動部1の下方、つまりZ軸方向において保持部12と対向する実装スペースに、基板200を搬送する。そして、搬送部は、可動部1による基板200への部品100の実装が完了するまでは、実装スペースに基板200を停止させる。
【0065】
通信部は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、上位システムと通信するように構成されている。これにより、実装システム10は、上位システムとの間でデータを授受することが可能となる。
【0066】
(3)実装方法
次に、本実施形態に係る実装方法について、
図8及び
図9を参照して説明する。
【0067】
本実施形態に係る実装方法は、実装システム10に用いられる実装方法である。実装システム10は、可動部1と、駆動部2と、を備える。可動部1は、蓄電池15、第1蓄圧容器(蓄圧容器)13及び保持部12を含む。保持部12は、第1蓄圧容器13のエアを利用して部品100を保持する。駆動部2は、特定平面211を有する固定子21を含む。駆動部2は、固定子21の特定平面211に沿って可動部1が移動するように可動部1を駆動する。実装方法は、取り出し工程と、実装工程と、調整工程と、蓄電工程と、を有する。取り出し工程は、部品100を供給する部品供給部5から保持部12により部品100を取り出す工程である。実装工程は、取り出し工程で保持部12に保持させた部品100を対象物20の実装面201に実装する工程である。調整工程は、可動部1が第1位置に位置している状態において、エア調整部31によって第1蓄圧容器13の内圧を調整する工程である。蓄電工程は、可動部1が第2位置に位置している状態において、電力供給部32から供給される電力を蓄電池15に蓄える工程である。保持部12は、可動部1が第1位置に位置していない状態において、第1蓄圧容器13のエアによって部品100を保持可能である。可動部1は、取り出し工程の後に、可動部1が第2位置に位置していない状態において、蓄電池15に蓄えられた電力によって固定子21の特定平面211に沿って移動可能である。
【0068】
すなわち、本実施形態に係る実装方法は、本実施形態に係る実装システム10に用いられる実装方法である。この実装方法では、保持部12は、可動部1が第1位置に位置していない状態において、可動部1が第1位置に位置しているときに第1蓄圧容器13に蓄えられたエアによって部品100を保持可能である。また、可動部1は、可動部1が第2位置に位置していない状態において、可動部1が第2位置に位置しているときに蓄電池15に蓄えられた電力によって、固定子21の特定平面211に沿って移動可能である。そのため、例えば、可動部がケーブルを介して給電され、かつ配管を介してエアが供給される場合に比べて可動部1の移動経路が規制されにくい。その結果、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【0069】
図8は、本実施形態に係る実装方法を含む、実装システム10の全体動作を表すフローチャートである。実装方法は、
図8に示すST1~ST7の各工程を含む。また、
図9は、本実施形態に係る実装システム10の動作を表すタイムチャートである。以下、本実施形態に係る実装システム10の動作について、
図8及び
図9を参照して説明する。
【0070】
まず、実装システム10は、復帰工程ST1を実行する。復帰工程ST1では、実装システム10は、各可動部1を原点位置P01,P02,P03,・・・(
図6参照)に復帰させる。また、復帰工程ST1では、
図9に示すように、第1蓄圧容器13のバルブ及び第2蓄圧容器14のバルブが開いた状態にあり、第1蓄圧容器13の内圧及び第2蓄圧容器14の内圧は大気圧になっている。
【0071】
次に、実装システム10は、調整工程ST2を実行する。調整工程ST2では、実装システム10は、各可動部1を保持位置P1(第1位置、第2位置)に移動させた後、第1蓄圧容器13の内圧及び第2蓄圧容器14の内圧をそれぞれ調整する。より詳細には、調整工程ST2において、
図9に示すように、エア調整部31が第1蓄圧容器13の内圧を負圧に調整し、かつ第2蓄圧容器14の内圧を正圧に調整する。
【0072】
次に、実装システム10は、蓄電工程ST3を実行する。蓄電工程ST3では、実装システム10は、蓄電池15に電力を蓄える。より詳細には、蓄電工程ST3において、
図9に示すように、電力供給部32が蓄電池15に電力を供給する。
【0073】
次に、実装システム10は、保持工程ST4を実行する。保持工程ST4では、実装システム10は、部品供給部5から供給される部品100の上方に位置する保持部12を、部品供給部5に近づく向きに移動(下降)させて、保持部12により部品100を保持する。そして、実装システム10は、部品100を保持した状態の保持部12を、部品供給部5から離れる向きに移動(上昇)させる。その後、実装システム10は、エア調整部31を停止するとともに、第1蓄圧容器13のバルブ及び第2蓄圧容器14のバルブを閉じる。つまり、第1蓄圧容器13の内圧は負圧に調整された状態を維持し、第2蓄圧容器14の内圧は正圧に調整された状態を維持する。本実施形態では、実装システム10が複数の保持部12を備えているため、保持工程ST4では、実装システム10は、複数の保持部12の各々を駆動することにより、複数の保持部12の各々により部品100を保持する。本実施形態では、保持工程ST4が、実装方法における取り出し工程である。
【0074】
次に、実装システム10は、認識工程ST5を実行する。認識工程ST5では、実装システム10は、
図9に示すように、部品認識部6の上方に可動部1を移動させた後、部品認識部6により認識可能な高さまで保持部12を移動(下降)させる。そして、実装システム10は、部品認識部6のカメラ61により保持部12及び部品100を含む領域を撮像する。ここで、可動部1は、保持位置P1から認識位置P2(
図4参照)に移動する際に、実装予定位置P3に対する部品100の実装角度に合わせて保持部12を回転させてる。これにより、部品認識部6は、基板200への実装角度に部品100の角度を合わせた状態で部品100及び保持部12を認識するので、例えば、アクチュエータ16等の寸法精度がよくない場合であっても、部品100の実装精度を向上させることが可能となる。
【0075】
次に、実装システム10は、移動工程ST6を実行する。移動工程ST6では、実装システム10は、複数の可動部1を駆動部2により駆動し、各可動部1が対応する実装予定位置P3(
図4参照)の上方に位置するように、各可動部1を移動させる。
【0076】
次に、実装システム10は、実装工程ST7を実行する。実装工程ST7では、実装システム10は、基板200の実装面201における実装予定位置P3の上方に位置する保持部12を基板200に近づく向きに移動(下降)させて、基板200の実装面201における実装予定位置P3に部品100を実装する。このとき、実装システム10は、保持部12による部品100の保持を解除するために、第1蓄圧容器13のバルブを開いた後、第2蓄圧容器14のバルブを開く(
図9参照)。これにより、保持部12による部品100の保持が解除される。そして、実装システム10は、部品100を解放した保持部12を、基板200から離れる向きに移動(上昇)させる。本実施形態では、実装システム10が複数の保持部12を備えているため、実装工程ST7では、実装システム10は、複数の保持部12の各々を駆動することにより、複数の保持部12の各々により部品100を実装する。また、本実施形態では、実装工程ST7において、実装システム10は、複数の保持部12に保持されている複数の部品100の全てが互いに異なる実装予定位置P3に同時に実装されるように、複数の可動部1の全てが同時に駆動される。ここにおいて、「同時」とは、時間が完全に同じである場合だけでなく、時間が同じであるとみなされる範囲(例えば、±1秒)で異なっている場合も含む。
【0077】
図8のフローチャートは、実装システム10の全体動作の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。例えば、原点位置P0と保持位置P1とが同じ位置である場合には、復帰工程ST1が省略されてもよい。また、例えば、調整工程ST2は、蓄電工程ST3と保持工程ST4との間で実行されてもよい。
【0078】
(4)可動部の動作
次に、本実施形態に係る実装システム10が備える複数の可動部1の動作について、
図10を参照して説明する。
【0079】
複数の部品供給部5は、
図10に示すように、部品供給部5A(第1部品供給部)と、部品供給部5B(第2部品供給部)と、を含む。部品供給部5A,5Bは、載置部9に対して対象物20が搬入される方向(X軸方向)に沿って配置されている。より詳細には、部品供給部5Aは、X軸方向において、部品供給部5Bよりも搬送部側(
図10の左側)に配置されている。
【0080】
複数の可動部1は、
図10に示すように、可動部1A(第1可動部)と、可動部1B(第2可動部)と、を含む。
図10に示す例では、可動部1Aは、部品供給部5Aから部品100を取り出し、基板200の実装面201における実装予定位置P31に部品100を実装する。可動部1Bは、部品供給部5Bから部品100を取り出し、基板200の実装面201における実装予定位置P32に部品100を実装する。
【0081】
本実施形態に係る実装システム10では、駆動部2は、
図10に示すように、Z軸方向(特定平面211の法線方向)からの平面視において、第1移動経路R1と第2移動経路R2とが交差するように、可動部1A,1Bを駆動している。第1移動経路R1は、可動部1Aが部品供給部5Aから取り出した部品100を対象物20(基板200)の実装面201に実装する際に可動部1Aが移動する経路である。第2移動経路R2は、可動部1Bが部品供給部5Bから取り出した部品100を対象物20(基板200)の実装面201に実装する際に可動部1Bが移動する経路である。
【0082】
本実施形態に係る実装システム10では、上述したように、可動部1に含まれている可動子11と駆動部2に含まれている固定子21とが平面サーボモータを構成している。そのため、上述のように、2つの可動部1A,1Bの移動経路(第1移動経路R1、第2移動経路R2)が交差するように、2つの可動部1A,1Bを移動させることが可能である。また、可動部1A,1Bを含む3つ以上の可動部1についても同様である。
【0083】
(5)効果
実施形態に係る実装システム10では、保持部12は、可動部1が第1位置に位置していない状態において、可動部1が第1位置に位置しているときに第1蓄圧容器13に蓄えられたエアによって部品100を保持可能である。また、可動部1は、可動部1が第2位置に位置していない状態において、可動部1が第2位置に位置しているときに蓄電池15に蓄えられた電力によって固定子21の特定平面211に沿って移動可能である。そのため、例えば、可動部がケーブルを介して給電され、かつ配管を介してエアが供給される場合に比べて可動部1の移動経路が規制されにくい。その結果、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【0084】
また、実施形態に係る実装システム10では、第1位置と第2位置とが同じ位置である。これにより、第1位置と第2位置とが異なる位置である場合に比べて作業時間を短縮することが可能となる。
【0085】
また、実施形態に係る実装システム10では、エア調整部31によって第1蓄圧容器13の内圧が負圧に調整される。これにより、保持部12に部品100を保持させることが可能となる。
【0086】
また、実施形態に係る実装システム10では、エア調整部31によって第2蓄圧容器14の内圧が正圧に設定される。これにより、保持部12による部品100の保持を解除する際に、第2蓄圧容器14からのエアによって解除しやすい。
【0087】
また、実施形態に係る実装システム10では、可動部1は、第1位置において特定動作を行っている。これにより、可動部1が特定動作を行っている間に、少なくとも第1蓄圧容器13の内圧を調整することが可能となる。
【0088】
また、実施形態に係る実装システム10では、駆動部2は、複数の部品100を基板200の実装面201に実装する際に、複数の可動部1の全てを同時に駆動している。これにより、複数の部品100を順番に実装する場合に比べて、複数の部品100の実装に要する時間を短縮することが可能となる。
【0089】
(6)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上述の実施形態に係る実装方法と同様の機能は、実装システム10、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0090】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0091】
(6.1)変形例1
変形例1に係る実装システム10について、
図11を参照して説明する。変形例1に係る実装システム10では、
図11に示すように、部品供給部5C,5Dが第2方向(Y軸方向)において載置部9の両側に配置されている点で、上述の実施形態に係る実装システム10と相違する。なお、変形例1に係る実装システム10では、上述の構成以外については上述の実施形態に係る実装システム10と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
変形例1に係る実装システム10は、
図11に示すように、複数の部品供給部5C(第1部品供給部又は第3部品供給部)と、複数の部品供給部5D(第2部品供給部又は第4部品供給部)と、を備えている。複数の部品供給部5C及び複数の部品供給部5Dは、
図11に示すように、第2方向(Y軸方向)において載置部9の両側に配置されている。第2方向は、載置部9に対して対象物20(基板200)が搬入される方向である第1方向(X軸方向)と交差(直交)する方向である。また、変形例1に係る実装システム10では、
図11に示すように、複数の可動部1は、可動部1C(第1可動部又は第3可動部)と、可動部1D(第1可動部又は第3可動部)と、を含む。
【0093】
変形例1に係る実装システム10では、駆動部2は、
図11に示すように、可動部1Cが部品供給部5Cから取り出した部品100を基板200の実装面201に実装するように、可動部1Cを駆動する。また、駆動部2は、可動部1Dが部品供給部5Dから取り出した部品100を基板200の実装面201に実装するように、可動部1Dを制御する。すなわち、駆動部2は、可動部1Cが部品供給部5Cから取り出した部品100を対象物20の実装面201に実装する動作と、可動部1Dが部品供給部5Dから取り出した部品100を対象物20の実装面201に実装する動作と、を実行する第1態様を行うように、可動部1C,1Dを駆動する。
【0094】
また、変形例1に係る実装システム10では、駆動部2は、
図11に示すように、可動部1Cが部品供給部5Dから取り出した部品100を基板200の実装面201に実装するように、可動部1Cを駆動する。また、駆動部2は、可動部1Dが部品供給部5Cから取り出した部品100を基板200の実装面201に実装するように、可動部1Dを制御する。すなわち、駆動部2は、可動部1Cが部品供給部5Dから取り出した部品100を対象物20の実装面201に実装する動作と、可動部1Dが部品供給部5Cから取り出した部品100を対象物20の実装面201に実装する動作と、を実行する第2態様を行うように、可動部1C,1Dを駆動する。
【0095】
変形例1に係る実装システム10では、上述の実施形態に係る実装システム10と同様、可動部1に含まれている可動子11と駆動部2に含まれている固定子21とで平面サーボモータが構成されている。そのため、上述のように、可動部1C,1Dの各々に、部品供給部5Cから取り出した部品100を対象物20の実装面201に実装する動作、及び、部品供給部5Dから取り出した部品100を対象物20の実装面201に実装する動作を行わせることが可能となる。
【0096】
(6.2)その他の変形例
本開示における実装システム10は、例えば、制御部4に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における実装システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1乃至複数の電子回路で構成される。
【0097】
また、実装システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは実装システム10に必須の構成ではない。実装システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、実装システム10の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0098】
反対に、上述の実施形態において、複数の装置に分散されている実装システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、可動部1と制御部4とに分散されている一部の機能が、全て可動部1に集約されてもよい。
【0099】
上述の実施形態では、蓄電池15が電気二重層キャパシタであるが、蓄電池15は電気二重層キャパシタに限らず、例えば、二次電池であってもよい。
【0100】
上述の実施形態では、可動部1が第1位置において行う特定動作は、保持部12により部品供給部5から部品100を取り出す動作である。これに対して、特定動作は、例えば、保持部12に保持させた部品100の廃棄と保持部12の清掃との少なくとも一方であってもよい。これにより、部品100を廃棄したり、保持部12を清掃したりしている間に第1蓄圧容器13の内圧を調整することが可能となる。
【0101】
また、保持部12は、吸着用のノズルと排気用のノズルとを別々に有していてもよい。この場合、吸着用のノズルに吸着させた部品100に付着している異物(例えば、埃等)を、廃棄用のノズルにより除去することが可能となる。
【0102】
上述の実施形態では、各部品供給部5がテープフィーダを有しているが、各部品供給部5は、例えば、複数の部品100が載せ置かれたトレイを有していてもよい。または、各部品供給部5は、テープフィーダとトレイとの両方を有していてもよい。
【0103】
上述の実施形態では、各可動部1は、1つの保持部12を有しているが、各可動部1は、可動子11に対して取付可能な範囲で2つ以上の保持部12を有していてもよい。
【0104】
上述の実施形態では、第1位置と第2位置とが同じ位置(保持位置P1)であるが、第1位置と第2位置とは異なる位置であってもよい。例えば、第1位置は保持位置P1であり、第2位置は原点位置P0であってもよい。
【0105】
上述の実施形態では、第1蓄圧容器13に対する吸気、第2蓄圧容器14に対する排気、及び蓄電池15の充電を保持位置P1で行っているが、第2蓄圧容器14に対する排気、及び蓄電池15の充電については保持位置P1に限らない。第2蓄圧容器14に対する排気については、例えば、可動部1が部品認識部6、部品廃棄部7又はノズル交換部8の上方に位置している状態で行ってもよい。つまり、第2蓄圧容器14に対する排気については、部品100の保持、部品100の認識、部品100の廃棄又は保持部(ノズル)12の交換を実行するために停止している状態で行われる。また、第1蓄圧容器13に対する吸気についても、部品100の保持を実行するために停止している状態で行われる。一方、蓄電池15の充電については、上述のいずれかの位置で停止している状態で行ってもよいし、停止していない状態で行ってもよい。すなわち、蓄電池15の充電については、可動部1を移動させながら行ってもよい。
【0106】
上述の実施形態では、駆動部2は、基板200の実装面201に部品100を実装する際に複数の可動部1の全部を同時に駆動しているが、複数の可動部1の一部を駆動してもよい。すなわち、駆動部2は、複数の部品100が対象物20の実装面201において互いに異なる複数の実装予定位置P3に実装されるように、複数の可動部1のうち少なくとも2つを同時に駆動するように構成されていればよい。
【0107】
上述の実施形態及び変形例1では、1枚の基板200に対して複数の部品100を実装しているが、例えば、複数枚の基板200に対して複数の部品100を実装してもよい。この場合において、複数枚の基板200は、載置部9に対する基板200の搬入方向である第1方向(X軸方向)に並んでいてもよいし、第1方向と交差(直交)する第2方向(Y軸方向)に並んでいてもよいし、第1方向及び第2方向の両方に並んでいてもよい。
【0108】
上述の実施形態では、固定子21は1つであるが、固定子21は複数の部分に分割されていてもよい。この場合において、固定子21は、X軸方向において2以上の部分に分割されていてもよいし、Y軸方向において2以上の部分に分割されていてもよいし、X軸方向及びY軸方向の両方においてそれぞれ2以上の部分に分割されていてもよい。
【0109】
上述の実施形態では、可動部1は、保持位置P1から認識位置P2(
図4参照)に移動する際に、実装予定位置P3に対する部品100の実装角度に合わせて保持部12を回転させている。これに対して、可動部1は、認識位置P2から実装予定位置P3に移動する際に、部品100の実装角度に合わせて保持部12を回転させてもよい。
【0110】
上述の実施形態では、基板200の実装面201に複数の部品100を実装する際に、複数の可動部1の全てを同時に駆動して、複数の部品100の全てを同時に実装しているが、複数の部品100を順番に実装してもよい。
【0111】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0112】
第1の態様に係る実装システム(10)は、可動部(1)と、駆動部(2)と、エア調整部(31)と、電力供給部(32)と、を備える。可動部(1)は、蓄電池(15)、蓄圧容器(13)及び蓄圧容器(13)のエアを利用して部品(100)を保持する保持部(12)を含み、保持部(12)に保持させた部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する。駆動部(2)は、特定平面(211)を有する固定子(21)を含み、固定子(21)の特定平面(211)に沿って可動部(1)が移動するように可動部(1)を駆動する。エア調整部(31)は、可動部(1)が第1位置に位置している状態において、蓄圧容器(13)の内圧を調整する。電力供給部(32)は、可動部(1)が第2位置に位置している状態において、蓄電池(15)に電力を供給する。保持部(12)は、可動部(1)が第1位置に位置していない状態において、蓄圧容器(13)のエアによって部品(100)を保持可能である。可動部(1)は、第2位置に位置していない状態において、蓄電池(15)に蓄えられた電力によって特定平面(211)に沿って移動可能である。
【0113】
この態様によれば、保持部(12)は、可動部(1)が第1位置に位置しているときに蓄圧容器(13)に蓄えられたエアによって部品(100)を保持可能である。また、可動部(1)は、可動部(1)が第2位置に位置しているときに蓄電池(15)に蓄えられた電力によって移動可能である。そのため、例えば、ケーブルを介して可動部に電力が供給され、かつパイプを介して可動部にエアが供給される場合に比べて、可動部(1)の移動経路が規制されにくい。その結果、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【0114】
第2の態様に係る実装システム(10)では、第1の態様において、第1位置と第2位置とが同じ位置である。
【0115】
この態様によれば、第1位置と第2位置とが異なる位置である場合に比べて、部品(100)の実装に要する時間を短縮することが可能となる。
【0116】
第3の態様に係る実装システム(10)では、第1又は第2の態様において、蓄圧容器(13)は、エア調整部(31)によって内圧が負圧に調整される。
【0117】
この態様によれば、蓄圧容器(13)の内圧を負圧に調整することにより保持部(12)に部品(100)を保持させることが可能となる。
【0118】
第4の態様に係る実装システム(10)では、第3の態様において、可動部(1)は、第2蓄圧容器(14)を更に含む。第2蓄圧容器(14)は、蓄圧容器(13)としての第1蓄圧容器(13)とは異なる。第2蓄圧容器(14)は、エア調整部(31)によって内圧が正圧に調整される。
【0119】
この態様によれば、第2蓄圧容器(14)の内圧を正圧に調整することにより保持部(12)による部品(100)の保持を解除しやすい。
【0120】
第5の態様に係る実装システム(10)では、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、可動部(1)は、第1位置において特定動作を行う。
【0121】
この態様によれば、可動部(1)が特定動作を行っている間に蓄圧容器(13)の内圧を調整することが可能となる。
【0122】
第6の態様に係る実装システム(10)では、第5の態様において、特定動作は、部品(100)を供給する部品供給部(5)から保持部(12)により部品(100)を取り出す動作である。
【0123】
この態様によれば、保持部(12)により部品供給部(5)から部品(100)を取り出している間に蓄圧容器(13)の内圧を調整することが可能となる。
【0124】
第7の態様に係る実装システム(10)では、第6の態様において、可動部(1)は、突出部(18)を更に含む。突出部(18)には、エア調整部(31)に設けられた第1接続面(34)に接続可能な第2接続面(181)が設けられている。エア調整部(31)は、特定平面(211)の法線方向からの平面視において、特定平面(211)の外縁(2111)よりも外側に位置している。可動部(1)が特定動作を行っている状態では、特定平面(211)の法線方向からの平面視において、突出部(18)の少なくとも一部が特定平面(211)の外縁(2111)よりも外側に位置し、第1接続面(34)に設けられている通気口(35)と第2接続面(181)に設けられている通気口(182)とが対向している。
【0125】
この態様によれば、例えば、可動部(1)の移動速度が速い場合でも、可動部(1)とエア調整部(31)との衝突を抑制することが可能となる。
【0126】
第8の態様に係る実装システム(10)では、第5の態様において、特定動作は、保持部(12)に保持させた部品(100)の廃棄と、保持部(12)の清掃と、の少なくとも一方を含む。
【0127】
この態様によれば、部品(100)を廃棄したり、保持部(12)を清掃したりしている間に蓄圧容器(13)の内圧を調整することが可能となる。
【0128】
第9の態様に係る実装システム(10)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、可動部(1)を複数備える。駆動部(2)は、複数の可動部(1)における複数の保持部(12)にそれぞれ保持されている複数の部品(100)が対象物(20)の実装面(201)において互いに異なる複数の実装予定位置(P3)に実装されるように、複数の可動部(1)のうち少なくとも2つを同時に駆動する。
【0129】
この態様によれば、複数の部品(100)を順番に実装する場合に比べて、部品(100)の実装に要する時間を短縮することが可能となる。
【0130】
第10の態様に係る実装システム(10)は、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、可動部(1)を複数備える。実装システム(10)は、部品(100)をそれぞれ供給する第1部品供給部(5A)及び第2部品供給部(5B)を更に備える。複数の可動部(1)は、第1可動部(1A)及び第2可動部(1B)を含む。駆動部(2)は、特定平面(211)の法線方向からの平面視において、第1移動経路(R1)と第2移動経路(R2)とが交差するように、第1可動部(1A)及び第2可動部(1B)を駆動する。第1移動経路(R1)は、第1可動部(1A)が第1部品供給部(5A)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する際に第1可動部(1A)が移動する経路である。第2移動経路(R2)は、第2可動部(1B)が第2部品供給部(5B)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する際に第2可動部(1B)が移動する経路である。
【0131】
この態様によれば、第1移動経路(R1)と第2移動経路(R2)とが交差するように、第1可動部(1A)及び第2可動部(1B)を移動させることが可能となる。
【0132】
第11の態様に係る実装システム(10)は、第10の態様において、対象物(20)が載置される載置部(9)を更に備える。第1部品供給部(5A)及び第2部品供給部(5B)は、載置部(9)に対して対象物(20)が搬入される方向(例えば、X軸方向)に沿って配置されている。
【0133】
この態様によれば、第1移動経路(R1)と第2移動経路(R2)とが交差するように、第1可動部(1A)及び第2可動部(1B)を移動させることが可能となる。
【0134】
第12の態様に係る実装システム(10)は、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、可動部(1)を複数備える。実装システム(10)は、部品(100)をそれぞれ供給する第1部品供給部(5C)及び第2部品供給部(5D)を更に備える。複数の可動部(1)は、第1可動部(1C)及び第2可動部(1D)を含む。駆動部(2)は、第1態様と第2態様とを行うように、第1可動部(1C)及び第2可動部(1D)を駆動する。第1態様は、第1可動部(1C)が第1部品供給部(5C)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作と、第2可動部(1D)が第2部品供給部(5D)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作と、を実行する態様である。第2態様は、第1可動部(1C)が第2部品供給部(5D)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作と、第2可動部(1D)が第1部品供給部(5C)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作と、を実行する態様である。
【0135】
この態様によれば、第1可動部(1C)及び第2可動部(1D)の各々に、第1部品供給部(5C)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作、及び、第2部品供給部(5D)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作を行わせることが可能となる。
【0136】
第13の態様に係る実装システム(10)は、第12の態様において、対象物(20)が載置される載置部(9)を更に備える。第1部品供給部(5C)及び第2部品供給部(5D)は、載置部(9)に対して対象物(20)が搬入される方向である第1方向(例えば、X軸方向)と交差する第2方向(例えば、Y軸方向)において載置部(9)の両側に配置されている。
【0137】
この態様によれば、第1可動部(1C)及び第2可動部(1D)の各々に、第1部品供給部(5C)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作、及び、第2部品供給部(5D)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作を行わせることが可能となる。
【0138】
第14の態様に係る実装システム(10)では、第10又は第11の態様において、複数の可動部(1)は、第3可動部(1C)及び第4可動部(1D)を含む。実装システム(10)は、部品(100)をそれぞれ供給する第3部品供給部(5C)及び第4部品供給部(5D)を更に備える。第3部品供給部(5C)及び第4部品供給部(5D)は、第1部品供給部(5A)及び第2部品供給部(5B)とは異なる。駆動部(2)は、第1態様と第2態様とを行うように、第3可動部(1C)及び第4可動部(1D)を駆動する。第1態様は、第3可動部(1C)が第3部品供給部(5C)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作と、第4可動部(1D)が第4部品供給部(5D)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作と、を実行する態様である。第2態様は、第3可動部(1C)が第4部品供給部(5D)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作と、第4可動部(1D)が第3部品供給部(5C)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作と、を実行する態様である。
【0139】
この態様によれば、第3可動部(1C)及び第4可動部(1D)の各々に、第3部品供給部(5C)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作、及び、第4部品供給部(5D)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作を行わせることが可能となる。
【0140】
第15の態様に係る実装システム(10)は、第14の態様において、対象物(20)が載置される載置部(9)を更に備える。第3部品供給部(5C)及び第4部品供給部(5D)は、載置部(9)に対して対象物(20)が搬入される方向である第1方向(例えば、X軸方向)と交差する第2方向(例えば、Y軸方向)において載置部(9)の両側に配置されている。
【0141】
この態様によれば、第3可動部(1C)及び第4可動部(1D)の各々に、第3部品供給部(5C)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作、及び、第4部品供給部(5D)から取り出した部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する動作を行わせることが可能となる。
【0142】
第16の態様に係る可動部(1)は、蓄電池(15)、蓄圧容器(13)及び蓄圧容器(13)のエアを利用して部品(100)を保持する保持部(12)を含む可動部(1)である。可動部(1)は、駆動部(2)と、エア調整部(31)と、電力供給部(32)と、を備える実装システム(10)に用いられる。駆動部(2)は、特定平面(211)を有する固定子(21)を含み、固定子(21)の特定平面(211)に沿って可動部(1)が移動するように可動部(1)を駆動する。エア調整部(31)は、可動部(1)が第1位置に位置している状態において、蓄圧容器(13)の内圧を調整する。電力供給部(32)は、可動部(1)が第2位置に位置している状態において、蓄電池(15)に電力を供給する。保持部(12)は、可動部(1)が第1位置に位置していない状態において、蓄圧容器(13)のエアによって部品(100)を保持可能である。可動部(1)は、可動部(1)が第2位置に位置していない状態において、蓄電池(15)に蓄えられた電力によって特定平面(211)に沿って移動可能である。
【0143】
この態様によれば、保持部(12)は、可動部(1)が第1位置に位置しているときに蓄圧容器(13)に蓄えられたエアによって部品(100)を保持可能である。また、可動部(1)は、可動部(1)が第2位置に位置しているときに蓄電池(15)に蓄えられた電力によって移動可能である。そのため、例えば、ケーブルを介して可動部に電力が供給され、かつパイプを介して可動部にエアが供給される場合に比べて、可動部(1)の移動経路が規制されにくい。その結果、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【0144】
第17の態様に係る実装方法は、実装システム(10)に用いられる実装方法である。実装システム(10)は、可動部(1)と、駆動部(2)と、を備える。可動部(1)は、蓄電池(15)、蓄圧容器(13)及び蓄圧容器(13)のエアを利用して部品(100)を保持する保持部(12)を含む。駆動部(2)は、特定平面(211)を有する固定子(21)を含み、固定子(21)の特定平面(211)に沿って可動部(1)が移動するように可動部(1)を駆動する。実装方法は、取り出し工程(ST4)と、実装工程(ST7)と、調整工程(ST2)と、蓄電工程(ST3)と、を有する。取り出し工程(ST4)は、部品(100)を供給する部品供給部(5)から保持部(12)により部品(100)を取り出す工程である。実装工程(ST7)は、取り出し工程(ST4)で保持部(12)に保持させた部品(100)を対象物(20)の実装面(201)に実装する工程である。調整工程(ST2)は、可動部(1)が第1位置に位置している状態において、エア調整部(31)によって蓄圧容器(13)の内圧を調整する工程である。蓄電工程(ST3)は、可動部(1)が第2位置に位置している状態において、電力供給部(32)から供給される電力を蓄電池(15)に蓄える工程である。保持部(12)は、可動部(1)が第1位置に位置していない状態において、蓄圧容器(13)のエアによって部品(100)を保持可能である。可動部(1)は、取り出し工程の後に、第2位置に位置していない状態において、蓄電池(15)に蓄えられた電力によって特定平面(211)に沿って移動可能である。
【0145】
この態様によれば、保持部(12)は、可動部(1)が第1位置に位置しているときに蓄圧容器(13)に蓄えられたエアによって部品(100)を保持可能である。また、可動部(1)は、可動部(1)が第2位置に位置しているときに蓄電池(15)に蓄えられた電力によって移動可能である。そのため、例えば、ケーブルを介して可動部に電力が供給され、かつパイプを介して可動部にエアが供給される場合に比べて、可動部(1)の移動経路が規制されにくい。その結果、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【0146】
第2~第15の態様に係る構成については、実装システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 可動部
1A 可動部(第1可動部)
1B 可動部(第2可動部)
1C 可動部(第1可動部、第3可動部)
1D 可動部(第2可動部、第4可動部)
2 駆動部
5 部品供給部
5A 部品供給部(第1部品供給部)
5B 部品供給部(第2部品供給部)
5C 部品供給部(第1部品供給部、第3部品供給部)
5D 部品供給部(第2部品供給部、第4部品供給部)
9 載置部
10 実装システム
12 保持部
13 第1蓄圧容器(蓄圧容器)
14 第2蓄圧容器
15 蓄電池
18 突出部
20 対象物
21 固定子
31 エア調整部
32 電力供給部
34 第1接続面
35 通気口
100 部品
181 第2接続面
182 通気口
200 基板
201 実装面
211 特定平面
2111 外縁
P1 保持位置(第1位置、第2位置)
P3 実装予定位置
R1 第1移動経路
R2 第2移動経路
ST2 調整工程
ST3 蓄電工程
ST4 保持工程(取り出し工程)
ST7 実装工程