(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061625
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】インセル位相差膜付きカラーフィルタ基板及び液晶ディスプレイパネル
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13363 20060101AFI20230425BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20230425BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230425BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230425BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
G02F1/13363
G02F1/1335
G02B5/20 101
G02B5/30
G02B5/22
G02F1/1335 500
G02F1/1335 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171664
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 貴浩
【テーマコード(参考)】
2H148
2H149
2H291
【Fターム(参考)】
2H148BB01
2H148BD14
2H148BF04
2H148BG02
2H148BH03
2H148CA13
2H148CA19
2H148CA24
2H149AA02
2H149AB05
2H149BA02
2H149DA02
2H149DA12
2H149FD03
2H291FA02Y
2H291FA13Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Y
2H291FA40X
2H291FA94Y
2H291FC33
2H291FD12
2H291FD19
2H291FD22
2H291FD26
2H291GA01
2H291HA11
2H291HA15
2H291KA10
2H291LA22
2H291NA12
2H291NA17
2H291NA19
2H291NA27
2H291NA35
2H291PA08
2H291PA44
2H291PA63
2H291PA82
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インセル位相差膜を用いた液晶ディスプレイにおいて生じていたインセル位相差膜の膜厚の不均一による暗表示時の漏光を低減させ、表示コントラスト改善するとともに、インセル位相差膜を持つ液晶ディスプレイの持つ機能を有する液晶ディスプレイを提供する。
【解決手段】インセル位相差膜を有するカラーフィルタ基板であって、透明基材上に、インセル位相差膜、第1オーバーコート層、ブラックマトリクス、RGB層、第2オーバーコート層、スペーサ構造体がこの順に積層されたカラーフィルタ基板である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インセル位相差膜を有するカラーフィルタ基板であって、透明基材上に、インセル位相差膜、第1オーバーコート層、ブラックマトリクス、RGB層、第2オーバーコート層がこの順に積層されたカラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記第1オーバーコート層がUV吸収性を有する請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項3】
インセル位相差膜の屈折率を nl,第1オーバーコート層の屈折率をn2,ブラックマトリクスの屈折率をn3、およびRGBの屈折率をn4とした場合、nl<n2<n3,かつnl<n2<n4である請求項1もしくは請求項2に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項4】
バックライトユニット、第1偏光子、薄膜トランジスタ基板、液晶層、カラーフィルタ基板、第2偏光子を少なくとも含む液晶ディスプレイパネルにおいて、カラーフィルタ基板が、請求項1~3のいずれかであることを特徴とする液晶ディスプレイパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インセル位相差膜付きカラーフィルタ基板及び液晶ディスプレイパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイパネルは、表示のために液晶組成物を利用する表示装置であり、その代表的な表示方式は、一対の基板間に液晶組成物を封入した液晶パネルに対してバックライトから光を照射し、液晶組成物に電圧を印加して液晶分子の配向を変化させることにより、液晶パネルを透過する光の量を制御するものである。
【0003】
このような液晶ディスプレイパネルは、薄型、軽量及び低消費電力といった特長を有することから、テレビジョン、スマートフォン、タブレット端末、カーナビゲーション等の電子機器に利用されている。
【0004】
偏光板と1/4波長の位相差膜を組み合わせた円偏光板をディスプレイパネルの前面に配置し、屋外など外光のディスプレイパネルの各層での反射を防止する構成はよく知られている。
【0005】
円偏光板を用いた液晶ディスプレイパネルが文献1に示されている。その構成は
図2に示すように、偏光板とアウトセルの1/4波長板の組み合わせで形成される円偏光板が、多層からなる液晶ディスプレイの各界面での反射を往復することで吸収する機能を利用する。一方一対の対向する基板の間に1/4波長インセル位相差膜を設けることで、液晶組成物に電圧を印加して液晶分子の配向を変化させることによる光の量の制御が可能となる。
【0006】
インセル位相差膜は、カラーフィルタ基板に設けることができ、透明基材/ブラックマトリクス/カラーフィルタ(RGB層)/インセル位相差膜の順に形成される。しかしこの構成では、
図3のように、ブラックマトリクスとRGB層に重なりが生じるため平坦性が悪く、インセル位相差膜の層厚の均一性が確保できず、液晶ディスプレイとして暗表示の時の光漏れの原因となりコントラストを落としていた。
【0007】
また、画素を決定する液晶層と色を決定するRGB層の間に、インセル位相差膜層厚分のスペースが入ることになる。このスペースによる斜め光の漏れが生じるため、色特性および解像性が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の背景技術や課題に鑑みてなされたものであって、高精細化がさらに要求される液晶ディスプレイにおいて、インセル位相差膜の膜厚の不均一による暗表示時の漏光を低減させ、表示コントラストの高い液晶ディスプレイパネルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、
インセル位相差膜を有するカラーフィルタ基板であって、透明基材上に、インセル位相差膜、第1オーバーコート層、ブラックマトリクス、RGB層、第2オーバーコート層がこの順に積層されたカラーフィルタ基板である。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、
前記第1オーバーコート層がUV吸収性を有する請求項1に記載のカラーフィルタ基板である。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、
インセル位相差膜の屈折率を nl,第1オーバーコート層の屈折率をn2,ブラックマトリクスの屈折率をn3、およびRGBの屈折率をn4とした場合、nl<n2<n3,かつnl<n2<n4である請求項1もしくは請求項2に記載のカラーフィルタ基板である。
【0013】
本発明の請求項4に係る発明は、
バックライトユニット、第1偏光子、薄膜トランジスタ基板、液晶層、カラーフィルタ基板、第2偏光子を少なくとも含む液晶ディスプレイパネルにおいて、カラーフィルタ基板が、請求項1~3のいずれかであることを特徴とする液晶ディスプレイパネルである。
【発明の効果】
【0014】
インセル位相差膜を透明基材上に直接設けることにより、膜厚が均一で表面の平坦性が高くなることで、位相差の面内の均一性の高いインセル位相差層が形成され、暗時の漏光が減少し液晶ディスプレイとしてコントラストの高い表示が可能となる。
ブラックマトリクスおよびRGB層を形成する工程で、UV照射によるインセル位相差膜への影響を防止し、変色を低下させコントラストの高い表示が可能となる。
インセル位相差膜以下の界面反射を低下させることができるため、コントラストの高い表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】カラーフィルタ上にインセル位相差膜を設けた概念断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の液晶ディスプレイの各実施態様を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、円偏光板による反射防止機能を持つIPSモードの液晶ディスプレイパネルの断面図である。液晶ディスプレイパネルは、観察者側から順に、第一偏光子11とアウトセル位相差膜12からなる円偏光板、透明基板14とインセル位相差膜16と第1オーバーコート層17とカラーフィルタ(ブラックマトリクス18、RGB19)及び第2オーバーコート層20からなるカラーフィルタ基板、液晶23、画素電極24と絶縁層26と共通電極26及び透明基板27からなる薄膜トランジスタ基板、第2偏光子、およびバックライトユニットからなる。インセル位相差膜16、アウトセル位相差膜12ともにその位相差は1/4波長である。液晶23の位相差は1/2波長である。
【0017】
電圧印加で液晶の遅相軸が回転し、バックライトから出射した光のうち第2偏光子を通過した直線偏光の角度が90度回転する。さらにその光が位相差膜16と17を通過することで偏光角がさらに90度回転して180度回転し両偏光子をパラレルニコルに配置した場合第1偏光子を通過し明表示になる。電圧無印加の場合には、液晶の遅相軸は偏光板と並行に配向しており、第2偏光子を通過した直線偏光は液晶層では変化せず、1/4波長のインセル位相差膜と1/4波長アウトセル位相差膜を通過することで、90度回転した直宣偏光となり、パラレルニコルの第1偏光子で吸収されて、暗表示となる。
【0018】
液晶ディスプレイパネルの観察者側表面には、偏光子と位相差膜からなる円偏光板が設けられているために、外光のインセル位相差膜16までの各層での反射光は第1偏光子で吸収される。このように、本発明の構成の液晶ディスプレイパネルは通常の駆動で画像表示が可能なディスプレイ機能と、円偏光板による反射防止機能をともに保持できる。
【0019】
図2は、従来の構成で、インセル位相差膜16とカラーフィルタ(ブラックマトリクス18、RGB19)の位置が逆になっている。すなわち、従来の構成では、透明基板14上にカラーフィルタ18、19がまず設けられ、その上にインセル位相差膜16が設けられる。
図3はその断面を示している。カラーフィルタのRGBはブラックマトリクスとオーバラップ部分を設けている。それはプロセスの位置精度のマージンのためである。このオーバラップ部分の段差が、インセル位相差膜16の膜厚の不均一の原因となっている。位相差は膜厚に比例するため、1/4波長の位相差膜として設計された膜厚からずれた部分が生じることになる。この領域では、インセル位相差膜とアウトセル位相差膜の組み合わせでの本来の位相差1/2波長からずれが生じてしまい、暗表示で第1偏光子が光を完全に吸収できずにコントラストが低下していた。
【0020】
本発明では、
図1のように、まず透明基板上に、配向膜15を介してインセル位相差膜16を設けることで、インセル位相差膜の膜厚均一性が確保され、位相差が均一となり、暗表示時の漏れ光が減少しコントラストが向上する。
【0021】
各層について説明する。
【0022】
(透明基板)
透明基板は、特に限定するものではなく、透明性などの光学特性を満たすものであれば公知の材料を用いることができる。透過率が高く、光学的な異方性が小さい光学特性が好ましい。例えばガラス基板や、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂などのプラスチック基材を用いてもかまわない。膜厚も特に限定するものではないが一般的には、ガラス基材では100~2000μm、プラスチック基材では50~100μmの範囲内である。
【0023】
(インセル位相差膜層)
本発明のインセル位相差膜層の形成方法としては、例えば、配向処理を施した基材上に液晶化合物を含む液晶材料を塗布し、配向固定する方法等を用いることができる。上記液晶化合物としては、重合性液晶が使用できる。重合性液晶とは、重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。重合性基は、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。なかでも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0024】
また、インセル位相差膜層として文献4に記載されているリオトロピック液晶性化合物を用いることができる。リオトロピック液晶性化合物としては、クロモニック色素のように、耐熱性に優れ、せん断流動により容易に配向を制御できる液晶を用いることが望ましい。クロモニック色素の一例としてクロモグリケイトナトリウム塩やアセナフトキノキサリンスルホン酸塩などがあげられる。溶媒としては、水、アセトン、イソプロピルアルコール、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノールなどを用いることができ、リオトロピック液晶性化合物及び溶媒を含む塗布液をせん断をかけながら塗布することによりリオトロピック液晶性化合物を配向させ、その後乾燥固化させることにより、固体化したインセル位相差膜層とすることができる。この場合、配向膜塗布、ラビングなどの配向処理をする必要がないため好ましい。
【0025】
(オーバーコート層)
第1及び第2オーバーコート層は、耐熱性、耐溶剤性、耐湿性、耐薬品性等が良好で、透明基板やカラーフィルタとの密着性がよいことが要求され、熱硬化あるいは紫外線硬化の、アクリル系、エポキシ系、メラミン系の官能基を持つ樹脂組成物が用いることができる。さらに体質顔料やシランカップリング材を添加することができる。また酸化ケイ素などの無機薄膜もオーバーコート層として用いることができる。
【0026】
(カラーフィルタ基板形成工程)
図4に、インセル位相差膜層上にカラーフィルタ層(ブラックマトリクス、RGB)および、第2オーバーコート層を設けるプロセスを示す。インセル位相差膜材料として重合性液晶を用いる場合には、透明基板上に配向膜を塗布、乾燥、加熱、ラビングによる配向処理後、インセル位相差膜材料を塗布乾燥、紫外線露光による硬化する。リオトロピック液晶性化合物を用いる場合は、配向膜は必要がなく、透明基板にインセル位相差膜材料を塗布乾燥する。その後第1オーバーコート層を塗布し乾燥、加熱を行う(a)。図中には、配向膜と第一オーバーコート層は省略している。ブラックマトリクス用レジスト43を塗布し乾燥する(b)。フォトマスク45を介して、UVの平行光44でパターン露光をおこなう(c)。現像処理で未露光部を除去しブラックマトリクス46を形成し加熱する(d)。次にR(赤)レジスト47を塗布、乾燥する(e)。フォトマスクを介してUVパターン露光を行う(f)。現像処理してRを形成、加熱処理を行う。その後、G(緑)、B(青)についても、(e)~(g)の工程を繰り返し、インセル位相差膜上にブラックマトリクス46、R48、G49、B50を形成する(h)。次に、平坦化と不純物の液晶への侵入を防止する第2オーバーコート層51を塗布し、加熱乾燥する(i)。
【0027】
この工程で、インセル位相差膜は(c)と3回の(f)工程で、4回のUVの露光にさらされることになる。材料によっては、UV露光によりダメージを受け黄変するものがある。
【0028】
第1オーバーコート層にはUV吸収性を持たせることができ、UV吸収性は、樹脂系のオーバーコート用材料に、UV吸収材を添加することにより行う。UV吸収材としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系の紫外線吸収剤を使用することができる。
【0029】
(反射防止機能)
図1の第1偏光子と45度回転の1/4波長アウトセル位相差膜の積層で形成される吸収型円偏光板は内面反射防止機能を持つ。観察者側から入射した光は吸収型円偏光板を通過すると円偏光に変換され、左回りか右回りのいずれかの円偏光となる。この円偏光は、シールド層13の両界面、透明基板14と配向膜15、配向膜15とインセル位相差膜16界面で円偏光は反射すると、入射した円偏光とは逆回りとなるため、通過した円偏光板によって吸収され、内面反射防止機能を発揮する。インセル位相差膜16以降では、円偏光は崩れるので吸収型円偏光板による内面反射防止効果はない。
【0030】
図5に外光が液晶ディスプレイ内部に侵入した場合の、各界面での反射を模式的に図示した。入射した光61のうちシールド層13の両界面、透明基板14と配向膜15、配向膜15とインセル位相差膜16界面で反射する光62は第1偏光子で吸収される。一方インセル位相差膜と第2オーバーコート界面、第2オーバーコート層とカラーフィルタ層(ブラックマトリクスとRGB)の界面での反射63は第1偏光子では吸収されないためコントラスト低下の原因となる。
【0031】
界面での反射は、両者の屈折率の差異に応じた反射率(フレネルの反射則)が発生する。インセル位相差膜の屈折率をnl,第1オーバーコート層の屈折率をn2,ブラックマトリクスの屈折率をn3、およびRGBの屈折率をn4とした場合、両界面からの反射率は、ほぼ以下の式で表すことができる。ブラックマトリクス部分の場合、
R=(n2-n1)^2/(n2+n1)^2
+(n3-n2)^2/(n3+n2)^2
と表せる。前半が、屈折率n1と屈折率n2の物質の界面の反射率であり、後半は屈折率n2と屈折率n3の物質の界面の反射率である。反射率は屈折率の差の二乗に比例しており、この式からn1とn3が決まっている場合、n2が両者の間にある方が、外側にあるよりも反射率の合計が小さくなることは明らかである。位相差膜は、面内の屈折率異方性を持たせるために分子構造により遅相軸の屈折率が高くなっている。位相差膜の屈折率としては遅相軸と進相軸の平均を用いるのが妥当と考えられが、この平均値も高めで、n1=1.55以上のものが用いられる。ブラックマトリクスの屈折率n3は1.70以上である。カラーフィルタ層は、波長依存性があり、RGBによっても差があるものの、平均では1.62以上のものが一般的である。第1オーバーコート層としては、透明性、平滑化性、バリア性等に関しての特性を満たしていれば、屈折率n2に関しては材料選択により選ぶことができる。すなわち、位相差膜と第1オーバーコート層との界面、および第1オーバーコート層とブラックマトリクス層またはカラーフィルタ層の界面での反射の合計は、n1<n2<n3かつ、n1<n2<n4であることが好ましい。
【0032】
第1オーバーコート層17の屈折率を制御できることは重要である。アクリル系樹脂組成物は、アクリルモノマーの共重合体を用いるため、高屈折率モノマー、例えばo-フェニルフェノールエチルアクリレートやビスフェノールフルオレンジアクリレートを共重合として添加することにより高屈折率化できる。オーバーコート層として使用できる材料の平均屈折率としては、1.52程度の脂肪族系の高分子のものから1.63程度の高屈折率を持つものが存在し、適切な屈折率を有するものを選択することができる。
【0033】
(カラーフィルタ層)
ブラックマトリクスとRGBは、通常のものが使用できるが、アクリル系樹脂と多官能モノマー、顔料、および光重合開始剤を含む感光性組成物を用いて、フォトリソ法で形成することができる。
(第2オーバーコート層)
第2オーバーコート層は、ブラックマトリクスとRGBでできる段差の解消と各層からの液晶層への不純物の混入を防止するために設けることができる。アクリル系、エポキシ系、メラミン系などの材料が使用でき、感光性を持たせてパターン状に形成させることができ、また熱硬化性を持たせてバリア性を高めることができる。
【0034】
(スペーサ構造体)
第2オーバーコート層上に、駆動用液晶の膜厚を規定するためのスペーサ構造体を設けることができる(j)。高さの均一性やパターンの位置精度、機械的強度等から感光性を
持たせた樹脂を用いて、フォトリソ法で形成することが好ましい。材料は特に限定するものではなく、すでに使用されているものが本発明でも使用できる。
【0035】
以上、例としてIPSモードの液晶ディスプレイパネルを用いて説明したが、本発明のカラーフィルタ基板は、VA、TN、OCBなど他の液晶モードにも適用することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、アウトセル位相差膜を用いた、円偏光板による反射防止機能を付与したインセル位相差膜を有するカラーフィルタ基板とそれを用いた液晶ディスプレイパネルを示したが、本発明のカラーフィルタ基板は、インセル位相差膜を有する半透過型液晶ディスプレイパネルにも適用できる。
【0036】
図6には、半透過型液晶ディスプレイの断面図を示す。反射部のカラーフィルタ基板に1/4波長のインセル位相差膜16を設け、液晶層は、電圧無印加状態で反射部は1/4波長、透過部は1/2波長となるようセルギャップを設定し、第2偏光子は第1偏光子と垂直にすることにより、電圧無印加時は反射部、透過部ともに暗表示、電圧無印加時には、ともに暗表示にすることができる。
【0037】
文献3は、インセル位相差膜を有する半透過型液晶ディスプレイパネルを示しているが、カラーフィルタ層とインセル位相差膜の位置関係は従来通りであり、
図3のようにブラックマトリクスとRGB層の重なり段差による、位相差膜の膜厚の不均一が生じていた。(第3実施形態)
本発明のカラーフィルタ基板は、インセル位相差膜を光学補償層として機能させる広視野角のディスプレイパネルにも適用できる。
【0038】
図7は、垂直配向モードの透過型液晶ディスプレイで、第1偏光子11と第2偏光子29が垂直に配置され、インセル位相差膜16としては、ネガティブCを用い光学補償を行う構成の断面図である。光学補償がない場合、電圧無印加状態すなわち暗表示状態では液晶23は垂直に配向し、ディスプレイに垂直方向の観察では位相差は生じないので暗表示ができるが、斜めからの観察では位相差が生じ、光漏れが生じコントラスト低下が生じる。これを補償するため、面内の位相差はなく、垂直方向の屈折率が、XYの屈折率より小さい、ネガティブCのインセル位相差膜を配置する、具体的にはディスコティック液晶といわれるものや、コレスティック液晶といわれているものが使用できる。
【0039】
また駆動用の垂直配向液晶も、電圧印加時に配向する方向を規定するために界面近傍でプレチルトさせることがあり、この光学補償のために、第2偏光子側にXY方向の位相差を持つ膜12をアウトセルで設けることができる。
【0040】
文献2に、インセル位相差膜を光学補償層として機能させる広視野角のディスプレイパネルが示されているが、カラーフィルタ層とインセル位相差膜の位置関係は従来通りであり、
図3のようにブラックマトリクスとRGB層の重なり段差による、位相差膜の膜厚の不均一が生じていた。
【符号の説明】
【0041】
11:第1偏光子
12:アウトセル位相差膜
13:シールド層
14:透明基板
15:配向膜
16:インセル位相差膜
17:第1オーバーコート層
18:ブラックマトリクス
19、19R,19G、19B:RGB層
20:第2オーバーコート層
21:スペーサ構造体
22、24:配向膜
23:液晶
25:画素電極
26:絶縁層
27:共通電極
28:透明基板
29:第2偏光子
30:バックライトユニット
31:カラーフィルタ基板
32:薄膜トランジスタ基板
33:スペーサ
34:反射層
41:インセル位相差膜
42:透明基板
43:ブラックマトリクスレジスト
44:UV平行光
45:フォトマスク
46:ブラックマトリクス
47:カラーフィルタR(赤)レジスト
48:R
49:G
50:B
51:第2オーバーコート層
52:スペーサ構造体
61:外光
62:インセル位相差膜より手前で反射される光
63:インセル位相差膜以降で反射される光