(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062214
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】磁気装置
(51)【国際特許分類】
H10B 61/00 20230101AFI20230426BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20230426BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H01L27/105 447
H01L43/08 Z
H01L29/82 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020051703
(22)【出願日】2020-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】519373833
【氏名又は名称】YODA-S株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】加藤 侑志
(72)【発明者】
【氏名】與田 博明
(72)【発明者】
【氏名】大沢 裕一
(72)【発明者】
【氏名】與田 朋美
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA03
4M119BB01
4M119CC05
4M119CC10
4M119DD09
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4M119EE01
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4M119GG01
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4M119HH01
4M119HH04
5F092AA04
5F092AB06
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5F092AD24
5F092AD25
5F092BB22
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5F092BB36
5F092BB42
5F092BB43
5F092BC03
5F092BC08
5F092BC22
(57)【要約】
【課題】安定した動作が可能な磁気装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、磁気装置は、第1導電部材及び第1積層体を含む。第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含む。第1部分から第2部分への方向は、第1方向に沿う。第1積層体は、第1磁性層、第1対向磁性層、第1非磁性層、第1中間磁性層及び第1中間非磁性層を含む。第1中間磁性層は、第1方向と交差する第2方向において第3部分と第1対向磁性層との間にある。第1磁性層は、第2方向において、第1中間磁性層と第1対向磁性層との間にある。第1中間非磁性層は、第1中間磁性層と第1磁性層との間にある。第1非磁性層は、前記第1磁性層と第1対向磁性層との間にある。前記第1中間磁性層の総磁化量は、第1磁性層の総磁化量よりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部材と、
第1積層体と、
を備え、
前記第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み、前記第1部分から前記第2部分への方向は、第1方向に沿い、
前記第1積層体は、
第1磁性層と、
第1対向磁性層と、
第1非磁性層と、
第1中間磁性層と、
第1中間非磁性層と、
を含み、
前記第1中間磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、前記第1中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の総磁化量は、前記第1磁性層の総磁化量よりも小さい、磁気装置。
【請求項2】
第1導電部材と、
第1積層体と、
を備え、
前記第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み、前記第1部分から前記第2部分への方向は、第1方向に沿い、
前記第1積層体は、
第1磁性層と、
第1対向磁性層と、
第1非磁性層と、
第1中間磁性層と、
第1中間非磁性層と、
を含み、
前記第1中間磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、前記第1中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の異方性磁界の絶対値は、前記第1磁性層の異方性磁界の絶対値よりも小さい、磁気装置。
【請求項3】
第1導電部材と、
第1積層体と、
を備え、
前記第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み、前記第1部分から前記第2部分への方向は、第1方向に沿い、
前記第1積層体は、
第1磁性層と、
第1対向磁性層と、
第1非磁性層と、
第1中間磁性層と、
第1中間非磁性層と、
を含み、
前記第1中間磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、前記第1中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の総磁化量と前記第1中間磁性層の異方性磁界の絶対値との積は、前記第1磁性層の総磁化量と前記第1磁性層の異方性磁界の絶対値との積よりも小さい、磁気装置。
【請求項4】
前記第1中間磁性層及び前記第1磁性層は、強磁性結合している、請求項1~3のいずれか1つに記載の磁気装置。
【請求項5】
前記第1積層体は、第2中間磁性層及び第2中間非磁性層を含み、
前記第2中間磁性層は、前記第1中間非磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第2中間非磁性層は、前記第2中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の前記総磁化量は、前記第2中間磁性層の総磁化量よりも小さい、請求項1記載の磁気装置。
【請求項6】
前記第1積層体は、第2中間磁性層及び第2中間非磁性層を含み、
前記第2中間磁性層は、前記第1中間非磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第2中間非磁性層は、前記第2中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の前記異方性磁界の前記絶対値は、前記第2中間磁性層の異方性磁界の絶対値よりも小さい、請求項2記載の磁気装置。
【請求項7】
前記第1積層体は、第2中間磁性層及び第2中間非磁性層を含み、
前記第2中間磁性層は、前記第1中間非磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第2中間非磁性層は、前記第2中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の前記総磁化量と前記第1中間磁性層の前記異方性磁界の前記絶対値との前記積は、前記第2中間磁性層の総磁化量と前記第2中間磁性層の異方性磁界の絶対値との積よりも小さい、請求項3記載の磁気装置。
【請求項8】
前記第1中間磁性層及び前記第2中間磁性層は、強磁性結合しており、
前記第2中間磁性層及び前記第1磁性層は、反強磁性結合している、請求項5~7のいずれか1つに記載の磁気装置。
【請求項9】
前記第1中間非磁性層は、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素(B)と、を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の磁気装置。
【請求項10】
前記第1中間磁性層及び前記第2中間磁性層は、反強磁性結合しており、
前記第2中間磁性層及び前記第1磁性層は、強磁性結合している、請求項5~7のいずれか1つに記載の磁気装置。
【請求項11】
第1導電部材と、
第1積層体と、
を備え、
前記第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み、前記第1部分から前記第2部分への方向は、第1方向に沿い、
前記第1積層体は、
第1磁性層と、
第1対向磁性層と、
第1非磁性層と、
第1中間磁性層と、
第1中間非磁性層と、
を含み、
前記第1中間磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、前記第1中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素(B)と、を含む、磁気装置。
【請求項12】
前期第1積層体は、第2中間磁性層及び第2中間非磁性層を含み、
前記第2中間磁性層は、前記第1中間非磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第2中間非磁性層は、前記第2中間磁性層と前記第1磁性層との間にある、
請求項11記載の磁気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気装置が、記憶装置または演算装置などに応用される。磁気装置において、安定した動作が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、安定した動作が可能な磁気装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、磁気装置は、第1導電部材及び第1積層体を含む。前記第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含む。前記第1部分から前記第2部分への方向は、第1方向に沿う。前記第1積層体は、第1磁性層、第1対向磁性層、第1非磁性層、第1中間磁性層及び第1中間非磁性層を含む。前記第1中間磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第1対向磁性層との間にある。前記第1磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間磁性層と前記第1対向磁性層との間にある。前記第1中間非磁性層は、前記第1中間磁性層と前記第1磁性層との間にある。前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間にある。前記第1中間磁性層の総磁化量は、前記第1磁性層の総磁化量よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る磁気装置を例示する模式的断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る磁気装置を例示する模式的断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る磁気装置を例示する模式的断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る磁気装置を例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6は、磁気装置に関する試料の特性の測定結果を例示するグラフ図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(c)は、磁気装置に関する試料の特性の測定結果を例示するグラフ図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、磁気装置に関する試料の特性の測定結果を例示するグラフ図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、磁気装置に関する試料の特性の測定結果を例示するグラフ図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、磁気装置に関する試料の特性の測定結果を例示するグラフ図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
【
図14】
図14(a)~
図14(d)は、第3実施形態に係る磁気装置を例示する模式的断面図である。
【
図15】
図15(a)及び
図15(b)は、第3実施形態に係る磁気装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【
図16】
図16(a)~
図16(c)は、第4実施形態に係る磁気装置の動作を例示する模式的斜視図である。
【
図17】
図17は、実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
【
図18】
図18は、実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
【
図19】
図19は、実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
【
図20】
図20は、実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
図1に示すように、磁気装置110は、第1導電部材21及び第1積層体SB1を含む。磁気装置110は、制御部70をさらに含んでも良い。
【0009】
第1導電部材21は、第1部分21a、第2部分21b及び第3部分21cを含む。第3部分21cは、第1部分21aと第2部分21bとの間にある。第1部分21aから第2部分21bへの方向は、第1方向に沿う。
【0010】
第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向と交差する方向をY軸方向とする。
【0011】
第1積層体SB1は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o、第1非磁性層11n、第1中間磁性層15a及び第1中間非磁性層16aを含む。
【0012】
第1中間磁性層15aは、第2方向において、第3部分21cと第1対向磁性層11oとの間にある。第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。第1中間磁性層15aは、例えば、第3部分21cと接する。
【0013】
第1磁性層11は、第2方向(例えば、Z軸方向)において、第1中間磁性層15aと第1対向磁性層11oとの間にある。
【0014】
第1中間非磁性層16aは、第1中間磁性層15aと第1磁性層11との間にある。第1非磁性層11nは、第1磁性層11と第1対向磁性層11oとの間にある。
【0015】
第1中間磁性層15aは、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1中間磁性層15aは、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つと、Bと、を含んでも良い。第1磁性層11は、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1磁性層11は、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つと、Bと、を含んでも良い。
【0016】
第1中間磁性層15aが、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つと、Bと、を含む場合、第1中間磁性層15aにおけるBの濃度がZ軸方向に沿って変化しても良い。例えば、第1中間磁性層15aは、第1導電部材21側の部分と、第1中間非磁性層16a側の部分を含む。第1導電部材21側の部分におけるBの濃度は、第1中間非磁性層16a側の部分におけるBの濃度よりも高い。
【0017】
実施形態においては、例えば、第1中間磁性層15aの総磁化量は、第1磁性層11の総磁化量よりも小さい。総磁化量は、磁性層の飽和磁化と、磁性層の体積との積に対応する。第1中間磁性層15aの総磁化量は、第1中間磁性層15aの飽和磁化と、第1中間磁性層15aの厚さと、第1中間磁性層15aの面積と、の積に対応する。第1磁性層11の総磁化量は、第1磁性層11の飽和磁化と、第1磁性層11の厚さと、第1磁性層11の面積と、の積に対応する。厚さは、Z軸方向に長さに対応する。
【0018】
例えば、第1導電部材21に電流が供給可能である。電流は、例えば、制御部70から供給される。例えば、電流は、第1部分21aから第2部分21bへの向きに流れることが可能である。例えば、電流は、第2部分21bから第1部分21aへの向きに流れることが可能である。
【0019】
第1積層体SB1の電気抵抗は、第1部分21aと第2部分21bとの間に流れる電流により変更可能である。例えば、第1導電部材21を流れる電流により、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きが制御できる。これは、例えば、スピンホール効果に基づく。磁化15aMの向きの変化に連動して、第1磁性層11の磁化11Mの向きが変化する。例えば、第1中間磁性層15a及び第1磁性層11は、強磁性結合している。例えば、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きは、第1磁性層11の磁化11Mの向きの成分を有する。例えば、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きは、第1磁性層11の磁化11Mの向きに対して実質的に平行である。
【0020】
一方、第1対向磁性層11oの磁化11oMの向きは、実質的に変化しない。第1磁性層11の磁化11Mの向きと、第1対向磁性層11oの磁化11oMの向きと、の間の角度の変化に応じて、第1積層体SB1の電気抵抗が変化する。これは、例えば、磁気抵抗効果に基づく。第1対向磁性層11oの磁化11oMの向きは、例えば、Y軸方向に沿う。
【0021】
第1積層膜15Laは、例えば、磁化自由層として機能する。第1対向磁性層11oは、例えば、磁化参照層として機能する。第1積層体SB1は、例えば、1つのメモリセルとして機能する。第1積層体SB1は、1つの演算要素として機能しても良い。
【0022】
実施形態においては、例えば、第1中間磁性層15aの総磁化量は、第1磁性層11の総磁化量よりも小さい。これにより、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きが、第1導電部材21に流れる電流により、容易に制御できる。これにより、例えば、小さい電流(書き込み電流)により、磁化15aMの向きを制御できる。一方、第1磁性層11の総磁化量が大きいことにより、大きな磁化保持力を得ることができる。これにより、安定した記憶状態が得やすい。例えば、安定したリテンション特性が得やすい。
【0023】
実施形態においては、例えば、第1中間磁性層15aは、書き込み電流を小さくする層として機能する。例えば、第1磁性層11は、良好なリテンション特性を得る層として機能する。
【0024】
実施形態においては、上記のような第1積層膜15Laが設けられることで、安定した磁化の方向が得やすくなる。安定した動作が可能な磁気装置を提供できる。
【0025】
例えば、磁気装置において、磁性層を含む積層体のサイズが小さいことが望まれる。これにより、例えば、記憶密度などが向上する。積層体のサイズが小さくなり、磁性層の体積が小さくなると、例えば、リテンション特性が低下し易い。例えば、記憶された状態が不安定になる場合がある。
【0026】
これに対して、実施形態においては、第1積層膜15Laは、上記のような、第1中間磁性層15a及び第1磁性層11を含む。例えば、積層体のサイズが小さくなった場合でも、安定した記憶状態が得られる。例えば、小さいサイズで安定した演算素子が得られる。実施形態においては、サイズが小さくても安定した動作が得られるため、消費電流(例えば書き込み電流)が低減できる。実施形態によれば、例えば、高記憶保持力(例えば、高信頼性)が得られる。実施形態によれば、例えば、低消費電力の磁気装置が提供できる。
【0027】
実施形態において、第1中間磁性層15aの異方性磁界(Hk:例えば垂直異方性磁界)の絶対値は、第1磁性層11の異方性磁界(Hk:例えば垂直異方性磁界)の絶対値よりも小さくても良い。この場合も、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きが、第1導電部材21に流れる電流により容易に制御できる。一方、第1磁性層11の異方性磁界が大きいことにより、大きな磁化保持力を得ることができる。これにより、安定した記憶状態が得やすい。例えば、安定したリテンション特性が得やすい。
【0028】
実施形態において、第1中間磁性層15aの総磁化量と第1中間磁性層15aの異方性磁界の絶対値との積が、第1磁性層11の総磁化量と第1磁性層11の異方性磁界の絶対値との積よりも小さくても良い。この場合も、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きが、第1導電部材21に流れる電流により容易に制御できる。一方、第1磁性層11の総磁化量と異方性磁界の絶対値との積が大きいことにより、大きな磁化保持力を得ることができる。これにより、安定した記憶状態が得やすい。例えば、安定したリテンション特性が得やすい。
【0029】
リテンション特性は、磁性層の飽和磁化Msと、磁性層の実効的な厚さteffと、磁性層の実効的な面積と、の積(例えば、磁化総量)と関係がある。上記のような第1積層膜15Laの構成を適用することで、高いリテンション特性が得られる。
【0030】
例えば、書き込み電流に寄与するスイッチングエネルギーEswは、MstとHk/2との積で与えられる。「Hk」は、異方性磁界(例えば、垂直異方性磁界)である。磁性層の厚さtを薄くすることで、書き込みエネルギーを低くすることができる。磁性層の厚さtを薄くすると、Mstと、Hkの絶対値と、を小さくできる。しかしながら、Hkの絶対値を小さくすると、垂直磁化膜となり、良好なリテンション特性が得難くなる。従って、小さい書き込みエネルギーと良好なリテンション特性は、二律背反の関係にある。
【0031】
実施形態においては、第1積層膜15Laの構成を提供することで、書き込み電流を小さくする層と、良好なリテンション特性を得る層と、機能が分けることが可能である。実施形態によれば、例えば、良好なリテンション特性と、小さい書き込みエネルギーと、が得られる。
【0032】
第1中間非磁性層16aは、例えば、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素(B)と、を含む。第1中間非磁性層16aにおけるホウ素の濃度は、例えば、20atm%以上50atm%以下である。
【0033】
第1中間非磁性層16aの厚さ(Z軸方向に沿う長さ)は、例えば、0.1nm以上0.5nm以下である。
【0034】
第1中間非磁性層16aは、例えば、積層構造を有しても良い。第1中間非磁性層16aの少なくとも一部は、アモルファスでも良い。
【0035】
図1に示すように、第3部分21cは、第1領域21p及び第2領域21qを含んでも良い。第1領域21pの少なくとも一部は、第2方向(例えば、Z軸方向において)、第2領域21qと第1積層体SB1との間にある。例えば、第1領域21pの第2方向(Z軸方向)における位置は、第2領域21qの第2方向における位置と、第1積層体SB1の第2方向における位置と、の間にある。この例では、第1積層体SB1と重ならない領域にも第1領域21pが設けられる。
【0036】
例えば、第1領域21pの少なくとも一部は、アモルファスであることが好ましい。または、第1領域21pの少なくとも一部の結晶性は、第2領域21qの結晶性よりも低いことが好ましい。これにより、第1積層膜15Laは、高い平坦性を有する。第1積層膜15Laは、例えば、熱的に高い安定性を有する。例えば、記憶状態について、高いリテンション特性が得られる。例えば、消費電流(例えば書き込み電流)を小さくできる。
【0037】
実施形態に係る1つの例において、第1導電部材21は、例えば、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Pd及びBiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Bと、を含む。例えば、このような材料により、大きなスピンホール効果が得られる。例えば、効率的な動作が得られる。第1導電部材21がBを含むことで、第1導電部材21の少なくも一部(例えば第1領域21p)は、アモルファスになり易い。第1導電部材21は、これらの材料を含む、1つの層、または、積層された複数の層を含んでも良い。
【0038】
図1に示すように、制御部70は、制御回路75を含んでも良い。例えば、制御回路75は、スイッチSc1を介して第1導電部材21と電気的に接続されても良い。スイッチSc1のゲートは、配線78eにより制御回路75に接続される。スイッチSc1の一端は、配線78aにより、制御回路75と電気的に接続される。スイッチSc1の他端は、配線78dにより、第1部分21aと電気的に接続される。第2部分21bは、配線78bにより、制御回路75と電気的に接続される。
【0039】
例えば、制御回路75は、スイッチSw1を介して第1対向磁性層11oと電気的に接続されても良い。スイッチSw1のゲートは、配線78fにより制御回路75に接続される。スイッチSw1の一端は、配線78cにより、制御回路75と電気的に接続される。スイッチSw1の他端は、配線78gにより、第1対向磁性層11oと電気的に接続される。スイッチSc1及びスイッチSw1の少なくともいずれかは、制御部70に含まれても良い。
【0040】
後述するように、第1対向磁性層11oに印加される電圧により、第1積層膜15Laに含まれる磁性層の磁化の向きの変化し易さが変化しても良い。
【0041】
図2は、第1実施形態に係る磁気装置を例示する模式的断面図である。
図2に示すように、第1対向磁性層11oは、磁性膜11r、磁性膜11t及び磁性部材11uを含んでも良い。磁性膜11rは、第1非磁性層11nと磁性部材11uとの間にある。磁性膜11tは、磁性膜11rと磁性部材11uとの間にある。磁性膜11rと磁性膜11tとの間に金属膜11sが設けられても良い。磁性膜11rは、例えば、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つと、Bと、を含む。磁性膜11tは、例えば、Fe、Co及びBよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。磁性部材11uは、例えば、InMn及びPtMnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。金属膜11sは、例えばRuなどを含む。このような構成より、第1対向磁性層11oにおいて、安定した磁化が得られる。磁性部材11uは、例えば、反強磁性層である。
【0042】
図3は、第1実施形態に係る磁気装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、第1中間磁性層15aのX軸方向の長さが、Z軸方向に沿って変化しても良い。例えば、第1中間磁性層15aは、第1部分領域15ap及び第2部分領域15aqを含む。第1部分領域15apは、Z軸方向において、第2部分領域15aqと第1中間非磁性層16aとの間にある。第2部分領域15aqの第1方向(X軸方向)に沿う長さL2は、第1部分領域15apの第1方向(X軸方向)に沿う長さL1よりも長い。このような構成により、例えば、高い記憶保持力が得られる。
【0043】
図4及び
図5は、第1実施形態に係る磁気装置を例示する模式的断面図である。
図4及び
図5に示すように、第1導電部材21の第3部分21cの厚さは、第1導電部材21の第3部分21cを除く部分の厚さよりも厚くても良い。例えば、高い記憶保持力が得られる。
【0044】
以下、磁気装置の特性の測定結果の例について、説明する。
【0045】
試料の第1構造において、基板の上に設けられた第1導電部材21の上に、FeB層(第1中間磁性層15aに対応)、Ta層(第1中間非磁性層16aに対応)、FeB層(第1磁性層11に対応)、MgO層(第1非磁性層11nに対応)、及び、Ta層(キャップ層)が、この順で設けられる。
【0046】
試料の第2構造においては、第1構造におけるTa層がTaB層に変更される。第2構造におけるこれ以外の構成は、第1構造と同じである。
【0047】
試料の第3構造においては、第1中間磁性層15aに対応する層、及び、第1中間非磁性層16aに対応する層が設けられない。第3構造においては、FeB層(第1磁性層11に対応)は、第1導電部材21と接する。
【0048】
第1~第3構造に含まれる上記の層が室温スパッタリングにより形成され、400℃で1時間の熱処理が行われる。これにより、第1~第3構造の試料が得られる。
【0049】
第1構造においてTa層の厚さは、0.15nmである。第2構造においてTaB層の厚さは、0.15nmである。第1構造及び第2構造において、FeB層(第1中間磁性層15aに対応)の厚さ、及び、FeB層(第1磁性層11に対応)の厚さが変更される。第3構造において、FeB層(第1磁性層11に対応)の厚さが変更される。これらの試料の磁気特性が測定される。
【0050】
図6は、磁気装置に関する試料の特性の測定結果を例示するグラフ図である。
図6には、上記の第1~第3構造SP1~SP3の試料の評価結果が例示されている。
図6の横軸は、総磁化量M0である。
図6の縦軸は、異方性磁界Hk(垂直異方性磁界)である。磁性層の厚さが変更されることで、総磁化量M0及び異方性磁界Hkが変化する。
【0051】
図6に示すように、第3構造SP3と比べて、第1構造SP1及び第2構造SP2においては、同じ異方性磁界Hkのときの総磁化量M0が大きい。例えば、特性は、
図6中において、右方向にシフトする。第3構造SP3と比べて、第1構造SP1及び第2構造SP2においては、同じ総磁化量M0のときの異方性磁界Hkの絶対値は小さい。
図6中において、特性は、上方向にシフトする。
【0052】
第1構造SP1及び第2構造SP2においては、第3構造SP3と比べて、同じ異方性磁界Hk(垂直異方性磁界)を維持しながら、総磁化量(例えば、磁化の保持力)を大きくできる。例えば、低消費書き込み電力と高い記録保持力とが得られる。
【0053】
図7(a)~
図7(c)は、磁気装置に関する試料の特性の測定結果を例示するグラフ図である。
これらの図は、上記の第1構造SP1の試料及び第2構造SP2の試料の特性を例示している。
【0054】
図7(a)に示すように、Ta層(第1中間非磁性層16aに対応)を含む第1構造SP1において、TaB層(第1中間非磁性層16aに対応)を含む第2構造SP2と比べて、飽和磁化Msが大きい。
【0055】
図7(b)に示すように、Ta層(第1中間非磁性層16aに対応)を含む第1構造SP1において、TaB層(第1中間非磁性層16aに対応)を含む第2構造SP2と比べて、磁気的なDead Layerの厚さtDLが大きい。
【0056】
図7(c)に示すように、Ta層(第1中間非磁性層16aに対応)を含む第1構造SP1において、TaB層(第1中間非磁性層16aに対応)を含む第2構造SP2と比べて、界面磁気異方性エネルギーKsが小さい。
【0057】
図8(a)、
図8(b)、
図9(a)及び
図9(b)は、磁気装置に関する試料の特性の測定結果を例示するグラフ図である。
図8(a)及び
図8(b)は、上記の第1構造SP1に対応する。
図9(a)及び
図9(b)は、上記の第2構造SP2に対応する。
図8(a)及び
図9(a)において、印加される外部磁界は、磁性層に対して平行である。
図8(b)及び
図9(b)において、印加される外部磁界は、磁性層に対して垂直(例えばZ軸方向)である。これらの図の横軸は、印加される外部磁界の強度H1である。これらの図の縦軸は、磁化M1である。
【0058】
これらの図から分かるように、第1構造SP1及び第2構造SP2において、FeB層(第1中間磁性層15aに対応)、及び、FeB層(第1磁性層11に対応)は、互いに強磁性結合している。
【0059】
図10(a)及び
図10(b)は、磁気装置に関する試料の特性の測定結果を例示するグラフ図である。
これらの図は、上記の第1~第3構造の試料の特性の測定結果を例示している。
図10(a)に示すように、第1構造SP1のリテンション特性RTNは、第3構造SP3のリテンション特性RTNよりも高い。第2構造SP2のリテンション特性RTNは、第1構造SP1のリテンション特性RTNよりも高い。
【0060】
図10(b)に示すように、第1構造SP1及び第2構造SP2の書き込みに関するパラメータWPは、第3構造SP3の書き込みに関するパラメータWPよりも低い。パラメータWPは、(書き込み電流)/(リテンション特性RTN)に対応する。パラメータWPの値が小さいほど、書き込み効率が高いことを意味する。第1構造SP1及び第2構造SP2の書き込み効率は、第3構造SP3の書き込み効率よりも高い。
【0061】
総磁化量に関する情報は、例えば、磁性層試料をVSM(振動試料型磁力計)測定し、印可磁界に対し磁化量が飽和する値を検出することで得られる。異方性磁界に関する情報は、例えば、磁性層試料をVSM測定する。その場合、磁性層の磁化困難軸方向(面内磁化膜の場合は垂直方向)に平行に磁界を印可し、磁化量が飽和するときの印可磁界の値を検出することで得られる。
【0062】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
図11に示すように、磁気装置120は、第1導電部材21及び第1積層体SB1を含む。第2実施形態においては、第1積層体SB1は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o、第1非磁性層11n、第1中間磁性層15a及び第1中間非磁性層16aに加えて、第2中間磁性層15b及び第2中間非磁性層16bを含む。第2中間磁性層15bは、第1中間非磁性層16aと第1磁性層11との間にある。第2中間非磁性層16bは、第2中間磁性層15bと第1磁性層11との間にある。
【0063】
1つの例において、第1中間磁性層15aの総磁化量は、第2中間磁性層15bの総磁化量よりも小さい。例えば、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きが、第1導電部材21に流れる電流により容易に制御できる。例えば、小さい書き込み電流により、磁化15aMの向きを制御できる。一方、第2中間磁性層15bの総磁化量が大きいことにより、大きな磁化保持力を得ることができる。これにより、安定した記憶状態が得やすい。例えば、安定したリテンション特性が得やすい。
【0064】
例えば、第1中間磁性層15aの異方性磁界の絶対値は、第2中間磁性層15bの異方性磁界の絶対値よりも小さくても良い。例えば、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きが、第1導電部材21に流れる電流により容易に制御できる。例えば、小さい書き込み電流により、磁化15aMの向きを制御できる。一方、第2中間磁性層15bの異方性磁界の絶対値が大きいことにより、大きな磁化保持力を得ることができる。これにより、安定した記憶状態が得やすい。例えば、安定したリテンション特性が得やすい。
【0065】
例えば、第1中間磁性層15aの総磁化量と第1中間磁性層15aの異方性磁界の絶対値との積は、第2中間磁性層15bの総磁化量と第2中間磁性層15bの異方性磁界の絶対値との積よりも小さくても良い。例えば、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きが、第1導電部材21に流れる電流により容易に制御できる。例えば、小さい書き込み電流により、磁化15aMの向きを制御できる。一方、第2中間磁性層15bの総磁化量と第2中間磁性層15bの異方性磁界の絶対値との積が大きいことにより、大きな磁化保持力を得ることができる。これにより、安定した記憶状態が得やすい。例えば、安定したリテンション特性が得やすい。
【0066】
他の1つの例において、第1中間磁性層15aの総磁化量は、第1磁性層11の総磁化量よりも小さい。例えば、第1中間磁性層15aの異方性磁界の絶対値は、第1磁性層11の異方性磁界の絶対値よりも小さくても良い。例えば、第1中間磁性層15aの総磁化量と第1中間磁性層15aの異方性磁界の絶対値との積は、第1磁性層11の総磁化量と第1磁性層11の異方性磁界の絶対値との積よりも小さくても良い。
【0067】
この例において、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きが、第1導電部材21に流れる電流により容易に制御できる。例えば、小さい書き込み電流により、磁化15aMの向きを制御できる。一方、第1磁性層11の磁化11Mは、大きな磁化保持力を得ることができる。これにより、安定した記憶状態が得やすい。例えば、安定したリテンション特性が得やすい。
【0068】
この例では、第2中間磁性層15bの磁化15bMの向きは、第1中間磁性層15aの磁化15aMの向きと実質的に平行である。例えば、第1中間磁性層15a及び第2中間磁性層15bは、強磁性結合している。一方、例えば、第2中間磁性層15b及び第1磁性層11は、反強磁性結合している。
【0069】
例えば、第2中間磁性層15b、第2中間非磁性層16b、第1中間磁性層15a、第1中間非磁性層16a及び第1磁性層11は、第1積層膜15Laに含まれる。第1積層膜15Laは、磁化自由層として機能する。このような第1積層膜15Laにおいて、安定した磁化が得られる。例えば、サイズを小さくした場合も、良好なリテンション特性が得られる、高い耐熱性が得られる。例えば、記憶密度を向上させ隣り合う積層体の距離が短くなった場合にも、漏洩磁界の影響を軽減でき、安定した磁化が得られる。
【0070】
磁気装置120において、例えば、第1導電部材21は、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Pd及びBiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Bと、を含む。磁気装置120において、例えば、第1中間非磁性層16aは、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素(B)と、を含む。磁気装置120において、例えば、第2中間磁性層15bは、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2中間磁性層15bは、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つと、Bと、を含んでも良い。
【0071】
磁気装置120において、例えば、第2中間非磁性層16bは、例えば、Ru及びIrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0072】
第2中間非磁性層16bは、第1元素を含む。第1元素は、Ru及びIrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2中間非磁性層16bは、Ruを含み、第2中間非磁性層16bの厚さは、0.3nm以上1.1nm以下である。例えば、第2中間非磁性層16bは、Ruを含み、第2中間非磁性層16bの厚さは、0.3nm以上0.5nm以下、または、0.7nm以上1.1nm以下である。または、第2中間非磁性層16bは、Irを含み、第2中間非磁性層16bの厚さは、0.3nm以上0.6nm以下である。厚さは、Z軸方向に沿う長さである。
【0073】
第2中間非磁性層16bは、第1元素及び第2元素を含んでも良い。第2元素は、Rh、Pd、Pt、Au、Ag及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0074】
図12は、第2実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
図12に示すように、磁気装置121においては、第2中間磁性層15bの磁化15bMは、第1中間磁性層15aの磁化15aMに対して反平行である。第1磁性層11の磁化11Mは、第2中間磁性層15bの磁化15bMに対して平行である。これを除く磁気装置121の構成は、磁気装置120の構成と同様である。
【0075】
例えば、第2中間磁性層15b及び第1中間磁性層15aは、反強磁性結合している。第2中間磁性層15b及び第1磁性層11は、強磁性結合している。
【0076】
磁気装置121において、例えば、第1中間非磁性層16aは、Ru及びIrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2中間非磁性層16bは、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素(B)と、を含む。
【0077】
磁気装置121においても、例えば、小さい書き込み電流により、磁化15aMの向きを制御できる。一方、第1磁性層11または第2中間磁性層15bにおいて、大きな磁化保持力を得ることができる。良好なリテンション特性が得やすい。第2中間磁性層15b及び第1中間磁性層15aが反強磁性結合していることで、記憶密度を向上させ隣り合う積層体の距離が短くなった場合にも、漏洩磁界の影響を軽減でき、安定した磁化が得られる。安定した動作が可能な磁気装置を提供できる。
【0078】
図13は、第2実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
図13に示すように、磁気装置122においては、第2中間磁性層15bの磁化15bMは、第1中間磁性層15aの磁化15aMに対して反平行である。第1磁性層11の磁化11Mは、第2中間磁性層15bの磁化15bMに対して反平行である。これを除く磁気装置122の構成は、磁気装置120の構成と同様である。
【0079】
例えば、第1中間磁性層15a及び第2中間磁性層15bは、反強磁性結合している。第2中間磁性層15b及び第1磁性層11は、反強磁性結合している。
【0080】
磁気装置122において、例えば、第1中間非磁性層16aは、Ru及びIrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2中間非磁性層16bは、Ru及びIrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0081】
磁気装置122においても、例えば、小さい書き込み電流により、磁化15aMの向きを制御できる。一方、第1磁性層11または第2中間磁性層15bにおいて、大きな磁化保持力を得ることができる。良好なリテンション特性が得やすい。第1中間磁性層15aと第2中間磁性層15b、及び、第2中間磁性層15bと第1中間磁性層15a、が反強磁性結合していることで、記憶密度を向上させ隣り合う積層体の距離が短くなった場合にも、漏洩磁界の影響を軽減でき、安定した磁化が得られる。安定した動作が可能な磁気装置を提供できる。
【0082】
磁気装置121または磁気装置122に関する1つの例において、第1導電部材21は、例えば、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Pd及びBiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Bと、を含む。第1導電部材21がBを含むことで、第1導電部材21の少なくも一部(例えば第1領域21p)は、アモルファスになり易い。
【0083】
この例において、第1中間非磁性層16aの少なくとも一部は、hcp構造(六方晶構造)を有することが好ましい。これにより、第1中間磁性層15aと第2中間磁性層15bとの間の磁気的結合の程度が高くなる。例えば、安定した反強磁性結合が得やすくなる。
【0084】
この例において、第1中間磁性層15aの少なくとも一部は、fcc構造(面心立方晶構造)またはhcp構造(六方晶構造)を有することが好ましい。これにより、第1中間非磁性層16aの少なくとも一部がhcp構造を有し易くなる。
【0085】
第1導電部材21の少なくとも一部がアモルファスであると、第1中間磁性層15aの少なくとも一部は、fcc構造またはhcp構造を有し易くなる。これにより、第1中間非磁性層16aの少なくとも一部がhcp構造を有し易くなる。
【0086】
磁気装置121または磁気装置122に関する別の1つの例において、例えば、第1導電部材21は、Hf、Ir、Au、Rh、Pd、Ag及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つと、Ptと、を含む。例えば、このような材料により、大きなスピンホール効果が得られる。例えば、効率的な動作が得られる。例えば、Hf、Ir、Au、Rh、Pd、Ag及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つと、Ptと、を含む層は、fcc構造またはhcp構造を有する。このような材料により、例えば、第1中間磁性層15aと第2中間磁性層15bとの安定した反強磁性結合が得られる。第1導電部材21におけるPtの比率は、例えば、50atm%以上であることが好ましい。これにより、第1中間磁性層15aと第2中間磁性層15bとの安定した反強磁性結合が得易くなる。
【0087】
この例において、第1導電部材21は、例えば、fcc構造、または、hcp構造を有することが好ましい。第1導電部材21の少なくとも一部がfcc構造またはhcp構造を有すると、第1中間磁性層15aの少なくとも一部は、fcc構造またはhcp構造を有し易くなる。これにより、第1中間非磁性層16aの少なくとも一部がhcp構造を有し易くなる。
【0088】
(第3実施形態)
図14(a)~
図14(d)は、第3実施形態に係る磁気装置を例示する模式的断面図である。
図15(a)及び
図15(b)は、第3実施形態に係る磁気装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図14(a)~
図14(d)に示すように、実施形態に係る磁気装置130は、第1積層体SB1に加えて、第2積層体SB2をさらに含む。第1導電部材21は、第1部分21a、第2部分21b及び第3部分21cに加えて、第4部分21d、第5部分21e及び第6部分21fを含む。この例では、第2部分21bは、第1部分21aと第5部分21eとの間にある。第4部分21dは、第2部分21bと第5部分21eとの間にある。第6部分21fは、第4部分21dと第5部分21eとの間にある。第4部分21dは、第2部分21bと連続している。第4部分21dは、第2部分21bと電気的に接続される。
【0089】
図15(a)に示すように、第2積層体SB2は、第2磁性層12、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nを含む。第2磁性層12は、第2方向(例えば、Z軸方向)において、第6部分21fと第2対向磁性層12oとの間にある。第2非磁性層12nは、第2磁性層12と第2対向磁性層12oとの間にある。この例では、第2積層体SB2は、第3中間磁性層15c及び第3中間非磁性層16cを含む。第3中間磁性層15cは、第2方向(例えばZ軸方向)において、第6部分21fと第2磁性層12との間にある。第3中間非磁性層16cは、第3中間磁性層15cと第2磁性層12との間にある。
【0090】
図15(b)に示す磁気装置131のように、第2積層体SB2は、第4中間磁性層15d及び第4中間非磁性層16dを含んでも良い。第4中間磁性層15dは、第3中間非磁性層16cと第2磁性層12との間にある。第4中間非磁性層16dは、第4中間磁性層15dと第2磁性層12との間にある。
【0091】
第2磁性層12、第2対向磁性層12o、第2非磁性層12n、第3中間磁性層15c、第3中間非磁性層16c、第4中間磁性層15d及び第4中間非磁性層16dは、第1磁性層11、第1対向磁性層11o、第1非磁性層11n、第1中間磁性層15a、第1中間非磁性層16a、第2中間磁性層15b及び第2中間非磁性層16bの構成及び材料などがそれぞれ適用できる。
【0092】
例えば、第4中間磁性層15dの磁化15dMの向きは、第3中間磁性層15cの磁化15cMの向きに対して「平行」である。第2磁性層12の磁化12Mの向きは、第3中間磁性層15cの磁化15cMの向きに対して「反平行」である。第2対向磁性層12oの磁化12oMの向きは、磁化15dM、磁化15cM及び磁化12Mと比べて変化しにくい。
【0093】
第2磁性層12、第3中間磁性層15c、第3中間非磁性層16c、第4中間磁性層15d及び第4中間非磁性層16dは、第2積層膜15Lbに含まれる。第2積層体SB2は、例えば、1つのメモリセルとして機能する。第2積層体SB2は、1つの演算要素として機能しても良い。
【0094】
図15(a)及び
図15(b)に示すように、第6部分21fは、第3領域21r及び第4領域21sを含んでも良い。第3領域21rの少なくとも一部は、第2方向(例えば、Z軸方向において)、第4領域21sと第2積層体SB2との間にある。例えば、第3領域21rの第2方向(Z軸方向)における位置は、第4領域21sの第2方向における位置と、第2積層体SB2の第2方向における位置と、の間にある。この例では、第2積層体SB2と重ならない領域にも第3領域21rが設けられる。例えば、第3領域21rの少なくとも一部は、アモルファスであることが好ましい。または、第3領域21rの少なくとも一部の結晶性は、第4領域21sの結晶性よりも低いことが好ましい。
【0095】
図15(a)及び
図15(b)に示すように、例えば、制御部70は、スイッチSc2を介して第4部分21d及び第5部分21eと電気的に接続される。制御部70は、例えば、スイッチSw2を介して第2対向磁性層12oと電気的に接続される。
【0096】
図14(a)~
図14(d)においては、第1磁性層11、第1非磁性層11n、第1対向磁性層11o、第2磁性層12、第2非磁性層12n及び第2対向磁性層12oが描かれ、他の層は省略されている。
【0097】
図14(a)~
図14(d)に示すように、制御部70は、第1部分21a及び第2部分21bと電気的に接続される。この例では、制御部70は、第1部分21a及び第5部分21eと電気的に接続される。制御部70は、第1対向磁性層11o及び第2対向磁性層12oと電気的に接続される。制御部70は、少なくとも第1動作QP1及び第2動作QP2を実施可能である。制御部70は、第1~第4動作QP1~QP4を実施可能でも良い。
【0098】
図14(a)に示すように、第1動作QP1において、制御部70は、第1部分21aから第2部分21bへの第1電流Iw1を第1導電部材21に供給する。
図14(b)に示すように、第2動作QP2において、第2部分21bから第1部分21aへの第2電流Iw2を第1導電部材21に供給する。
【0099】
このような第1電流Iw1と第2電流Iw2により、第1積層体SB1の電気抵抗を変化させることができる。
図14(a)の例では、第1動作QP1において、第1磁性層11の磁化11Mの向きは、第1対向磁性層11oの磁化11oMの向きと「平行」である。
図14(b)の例では、第2動作QP2において、第1磁性層11の磁化11Mの向きは、第1対向磁性層11oの磁化11oMの向きと「反平行」である。
図14(a)の状態における電気抵抗は、
図14(b)における電気抵抗よりも低い。
【0100】
第1磁性層11(及び第2磁性層12)の磁化の変化のし易さは、第1対向磁性層11o(及び第2対向磁性層12o)への印加電圧により変化しても良い。
図14(a)の例では、第1対向磁性層11oに第1電圧V1が印加され、第2対向磁性層12oに第2電圧V2が印加される。第1電圧V1は、例えば、活性化電圧である。第2電圧V2は、例えば、非活性化電圧である。例えば、第2電圧V2の極性は、第1電圧V1の極性と異なる。例えば、第1電圧V1は負及び正の一方(例えば負)であり、第2電圧V2は、負及正の他方(例えば正)である。
【0101】
図14(a)に示すように、例えば、第1動作QP1において、第1部分21aと第1対向磁性層11oとの間の第1電位差を第1電圧V1とし、第1部分21aから第2部分21bへの第1電流Iw1を第1導電部材21に供給する。
図14(b)に示すように、第2動作QP2において、第1電位差を第1電圧V1とし、第2部分21bから第1部分21aへの第2電流Iw2を第1導電部材21に供給する。このような第1動作QP1及び第2動作OP2において、電気抵抗が変化する。
【0102】
図14(c)及び
図14(d)に示すように、制御部70は、第3動作QP3及び第4動作QP4をさらに実施しても良い。
図14(c)に示すように、第3動作QP3において、制御部70は、第1電位差を第1電圧V1とは異なる第2電圧V2とし、第1電流Iw1を第1導電部材21に供給する。
図14(d)に示すように、第4動作QP4において、第1電位差を第2電圧V2とし、第2電流Iw2を第1導電部材21に供給する。
図14(c)及び
図14(d)の例では、第3動作QP3及び第4動作QP4において、電気抵抗は変化しない。第3動作QP3及び第4動作QP4において、電気抵抗は実質的に変化しない。第1磁性層11の磁化11Mの向きは、実質的に変化しない。
【0103】
第1動作QP1後における第1対向磁性層11oと第1導電部材21との間の第1電気抵抗は、第2動作QP2の後における第1対向磁性層11oと第1導電部材21との間の第2電気抵抗とは異なる。第1電気抵抗と第2電気抵抗との差の絶対値は、第3動作QP3後における第1対向磁性層11oと第1導電部材21との間の電気抵抗と、第4動作QP4後における第1対向磁性層11oと第1導電部材21との間の電気抵抗と、の差の絶対値よりも大きい。
【0104】
(第4実施形態)
図16(a)~
図16(c)は、第4実施形態に係る磁気装置の動作を例示する模式的斜視図である。
図16(a)~
図16(c)に示すように、磁気装置140は、磁気装置130と同様の構成を有して良い。磁気装置140は、第1~第5端子T1~T5を含んでも良い。第1端子T1は、第1部分21aと電気的に接続される。第2端子T2は、第5部分21eと電気的に接続される。第3端子T3は、第2部分21b及び第4部分21dと電気的に接続される。第4端子T4は、第1対向磁性層11oと電気的に接続される。第5端子T5は、第2対向磁性層12oと電気的に接続される。第4部分21dは、第2部分21bと連続しても不連続でも良い。
【0105】
図16(a)~
図16(c)において、制御部70は省略されている。制御部70は、第1~第3動作OP1~OP3を実施可能である。
【0106】
図16(a)に示すように、第1動作OP1において、制御部70は、第1部分21aから第2部分21bへの電流I1を第1部分21aと第2部分21bとの間に供給しつつ、第5部分21eから第4部分21dへの電流I3を第4部分21dと第5部分21eとの間に供給する。例えば、電流I1は、第1端子T1から第3端子T3に向けて流れる。電流I2は、第2端子T2から第3端子T3に向けて流れる。
【0107】
図16(b)に示すように、第2動作OP2において、制御部70は、第2部分21bから第1部分21aへの電流I2を第1部分21aと第2部分21bとの間に供給しつつ、第4部分21dから第5部分21eでの電流I4を第4部分21dと第5部分21eとの間に供給する。例えば、電流I2は、第3端子T3から第1端子T1に向けて流れる。電流I4は、第3端子T3から第2端子T2に向けて流れる。
【0108】
図16(c)に示すように、第3動作OP3において、制御部70は、第1対向磁性層11oと第2対向磁性層12oとの間に電圧Vaを印加する。例えば、制御部70は、第4端子T4と第5端子T5との間に電圧Vaを印加する。制御部70は、このときの、第2部分21bと第4部分21dとの接続点CN(第3端子T3)の電位を検出する。
【0109】
接続点CNの電位は、第1積層体SB1の電気抵抗と、第2積層体SB2の電気抵抗と、の相対的な関係に応じる。第1積層体SB1の電気抵抗と、第2積層体SB2の電気抵抗と、の相対的な関係を例えば記憶状態に対応させることができる。接続点CNの電位を検出することで、記憶状態を読み出すことができる。
【0110】
図17~
図20は、実施形態に係る磁気装置を例示する模式的斜視図である。
図17及び
図18に示すように、磁気装置110a及び120aにおいては、第1導電部材21は、第1領域21p及び第2領域21qを含む。第1領域21pは、第2方向(例えば、Z軸方向において)、第2領域21qと第1積層体SB1との間にある。磁気装置110aにおけるこれ以外の構成は、磁気装置110の構成と同じである。磁気装置120aにおけるこれ以外の構成は、磁気装置120の構成と同じである。
【0111】
図19及び
図20に示すように、磁気装置130a及び131aにおいては、第1導電部材21は、第3領域21r及び第4領域21sを含む。第3領域21rは、第2方向(例えば、Z軸方向において)、第4領域21sと第2積層体SB2との間にある。磁気装置130aにおけるこれ以外の構成は、磁気装置130の構成と同じである。磁気装置131aにおけるこれ以外の構成は、磁気装置131の構成と同じである。
【0112】
実施形態は、例えば、以下の構成(例えば技術案)を含む。
(構成1)
第1導電部材と、
第1積層体と、
を備え、
前記第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み、前記第1部分から前記第2部分への方向は、第1方向に沿い、
前記第1積層体は、
第1磁性層と、
第1対向磁性層と、
第1非磁性層と、
第1中間磁性層と、
第1中間非磁性層と、
を含み、
前記第1中間磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、前記第1中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の総磁化量は、前記第1磁性層の総磁化量よりも小さい、磁気装置。
【0113】
(構成2)
第1導電部材と、
第1積層体と、
を備え、
前記第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み、前記第1部分から前記第2部分への方向は、第1方向に沿い、
前記第1積層体は、
第1磁性層と、
第1対向磁性層と、
第1非磁性層と、
第1中間磁性層と、
第1中間非磁性層と、
を含み、
前記第1中間磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、前記第1中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の異方性磁界の絶対値は、前記第1磁性層の異方性磁界の絶対値よりも小さい、磁気装置。
【0114】
(構成3)
第1導電部材と、
第1積層体と、
を備え、
前記第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み、前記第1部分から前記第2部分への方向は、第1方向に沿い、
前記第1積層体は、
第1磁性層と、
第1対向磁性層と、
第1非磁性層と、
第1中間磁性層と、
第1中間非磁性層と、
を含み、
前記第1中間磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、前記第1中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の総磁化量と前記第1中間磁性層の異方性磁界の絶対値との積は、前記第1磁性層の総磁化量と前記第1磁性層の異方性磁界の絶対値との積よりも小さい、磁気装置。
【0115】
(構成4)
前記第1中間磁性層及び前記第1磁性層は、強磁性結合している、構成1~3のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0116】
(構成5)
前記第1積層体は、第2中間磁性層及び第2中間非磁性層を含み、
前記第2中間磁性層は、前記第1中間非磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第2中間非磁性層は、前記第2中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の前記総磁化量は、前記第2中間磁性層の総磁化量よりも小さい、構成1記載の磁気装置。
【0117】
(構成6)
前記第1積層体は、第2中間磁性層及び第2中間非磁性層を含み、
前記第2中間磁性層は、前記第1中間非磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第2中間非磁性層は、前記第2中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の前記異方性磁界の前記絶対値は、前記第2中間磁性層の異方性磁界の絶対値よりも小さい、構成2記載の磁気装置。
【0118】
(構成7)
前記第1積層体は、第2中間磁性層及び第2中間非磁性層を含み、
前記第2中間磁性層は、前記第1中間非磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第2中間非磁性層は、前記第2中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1中間磁性層の前記総磁化量と前記第1中間磁性層の前記異方性磁界の前記絶対値との前記積は、前記第2中間磁性層の総磁化量と前記第2中間磁性層の異方性磁界の絶対値との積よりも小さい、構成3記載の磁気装置。
【0119】
(構成8)
前記第1中間磁性層及び前記第2中間磁性層は、強磁性結合しており、
前記第2中間磁性層及び前記第1磁性層は、反強磁性結合している、構成5~7のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0120】
(構成9)
前記第1中間非磁性層は、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素(B)と、を含み、
前記第2中間非磁性層は、Ru及びIrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成5~8記載の磁気装置。
【0121】
(構成10)
前記第1中間非磁性層は、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素(B)と、を含む、構成1~3のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0122】
(構成11)
前記第1中間磁性層及び前記第2中間磁性層は、反強磁性結合しており、
前記第2中間磁性層及び前記第1磁性層は、強磁性結合している、構成5~7のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0123】
(構成12)
前記第1中間非磁性層は、Ru及びIrよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2中間非磁性層は、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素(B)と、を含む、構成5~7、11記載の磁気装置。
【0124】
(構成13)
前記第1中間磁性層及び前記第2中間磁性層は、反強磁性結合しており、
前記第2中間磁性層及び前記第1磁性層は、反強磁性結合している、構成5~7のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0125】
(構成14)
前記第1中間非磁性層は、Ru及びIrよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2中間非磁性層は、Ru及びIrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成5~7、13記載の磁気装置。
【0126】
(構成15)
前記第1中間磁性層の少なくとも一部は、fcc構造を有する、構成11~14のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0127】
(構成16)
前記第1中間非磁性層の少なくとも一部は、hcp構造を有する、構成11~15のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0128】
(構成17)
第1導電部材と、
第1積層体と、
を備え、
前記第1導電部材は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み、前記第1部分から前記第2部分への方向は、第1方向に沿い、
前記第1積層体は、
第1磁性層と、
第1対向磁性層と、
第1非磁性層と、
第1中間磁性層と、
第1中間非磁性層と、
を含み、
前記第1中間磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、前記第1中間磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1中間非磁性層は、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素(B)と、を含む、磁気装置。
【0129】
(構成18)
前期第1積層体は、第2中間磁性層及び第2中間非磁性層を含み、
前記第2中間磁性層は、前記第1中間非磁性層と前記第1磁性層との間にあり、
前記第2中間非磁性層は、前記第2中間磁性層と前記第1磁性層との間にある、
構成17記載の磁気装置。
【0130】
(構成19)
前記第3部分は、第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第2領域と前記第1積層体との間にあり、
前記第1領域の前記少なくとも一部は、アモルファスである、または、前記第1領域の前記少なくとも一部の結晶性は、前記第2領域の結晶性よりも低い、構成1~18のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0131】
(構成20)
前記第1導電部材は、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Pd及びBiよりなる群から選択された少なくとも1つと、Bと、を含む、構成1~19のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0132】
(構成21)
前記第1導電部材の少なくとも一部は、アモルファスである、構成20記載の磁気装置。
【0133】
(構成22)
前記第1導電部材は、Hf、Ir、Au、Rh、Pd、Ag及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つと、Ptと、を含む、構成1~21のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0134】
(構成23)
前記第1導電部材は、fcc構造、または、hcp構造を有する、構成22記載の磁気装置。
【0135】
(構成24)
前記第1中間磁性層は、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1磁性層は、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1~22のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0136】
(構成25)
前記第1中間磁性層は、ホウ素をさらに含み、
前記第1磁性層は、ホウ素をさらに含む、構成1~24のいずれか1つに記載の磁気装置。
【0137】
実施形態によれば、安定した動作が可能な磁気装置が提供できる。
【0138】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0139】
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、磁気装置に含まれる磁性層、非磁性層、導電部材及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0140】
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0141】
本発明の実施の形態として上述した磁気装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0142】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
11、12…第1、第2磁性層、 11M、12M…磁化、 11n、12n…第1、第2非磁性層、 11o、12o…第1、第2対向磁性層、 11oM、12oM…磁化、 11r…磁性膜、 11s…金属膜、 11t…磁性膜、 11u…磁性部材、 15La、15Lb…第1、第2積層膜、 15a~15d…第1~第4中間磁性層、 15aM~15dM…磁化、 15ap、15aq…第1、第2部分領域、 16a~16d…第1~第4中間非磁性層、 21…第1導電部材、 21a~21f…第1~第6部分、 21p、21q、21r、21s…第1~第4領域、 70…制御部、 75…制御回路、 78a~78g…配線、 110、110a、120、120a、121、122、130、130a、131、131a、140…磁気装置、 CN…接続点、 H1…強度、 Hk…異方性磁界、 I1~I4…電流、 Iw1、Iw2…第1、第2電流、 L1、L2…長さ、 M0…総磁化量、 M1…磁化、 Ms…飽和磁化、 OP1~OP3…第1~第3動作、 QP1~QP4…第1~第4動作、 RTN…リテンション特性、 SB1、SB2…第1、第2積層体、 SP1~PS3…第1~第3構造、 Sc1、Sc2、Sw1、Sw2…スイッチ、 T1~T5…第1~第5端子、 V1、V2…第1、第2電圧、 Va…電圧、 WP…パラメータ、 tDL…厚さ