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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063065
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の設計方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/12 20060101AFI20230427BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20230427BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G09F13/12
G09F13/04 D
G09F9/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173330
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】西島 克典
(72)【発明者】
【氏名】原田 隆宏
【テーマコード(参考)】
5C096
5G435
【Fターム(参考)】
5C096AA01
5C096AA14
5C096BA01
5C096BA04
5C096BC11
5C096CA02
5C096CB01
5C096CC06
5C096CC23
5C096FA01
5C096FA02
5C096FA05
5C096FA08
5C096FA09
5G435AA01
5G435AA09
5G435BB04
5G435EE49
5G435FF08
5G435GG43
5G435HH05
(57)【要約】
【課題】発光部が非発光時には周囲に調和した意匠を視認できるようにした表示装置において、発光部が発光していない時に周囲との調和度合が低下することを抑制する。
【解決手段】基材1と、基材1の表面に固定された複数の発光部2と、発光部2及び発光部2が固定された面を覆うように設けられ光透過性を有する表面保護層5と、表面保護層5に、可視光透過率が50%以上となるように形成された印刷層4と、発光部2を駆動する制御部101bと、を備えた表示装置において、基材1の少なくとも発光部2が固定された側の面のISO白色度を30%以上とする。基材1の発光部2が固定された面が黒色である場合、基材1の黒色が印刷層4の絵柄と重なり観察者にくすんだ色として視認される可能性があるが、基材1を白色としたためくすみを抑制し、周囲との調和度合が低下することを抑制することができる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
当該基材の表面に固定されたLED素子からなる複数の発光部と、
前記複数の発光部及び当該複数の発光部が固定された面を覆うように設けられ、光透過性を有する表面保護層と、
当該表面保護層に、可視光透過率が50%以上となるように形成された絵柄印刷層と、
前記発光部を駆動する制御部と、
を備え、
前記基材の少なくとも前記発光部が固定された側の面は、ISO白色度が30%以上であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記発光部が固定された側の面は、ISO白色度が60%以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記LED素子は、LED本体と、当該LED本体を覆う保護部材と、を備え、
前記保護部材は透明又は白濁していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記基材としてのフレームが隙間を開けて複数格子状に配置された表示装置であって、
前記基材の、前記発光部とは逆側の面に前記隙間を塞ぐ白色部材も設けられ、
当該白色部材は、ISO白色度が30%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記白色部材は、ISO白色度が60%以上であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表面保護層は、前記発光部と対向する側とは逆側の面に、凹又は凸形状が付与された光透過性の賦形シートからなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
基材と、
当該基材の表面に固定されたLED素子からなる複数の発光部と、
前記複数の発光部及び当該複数の発光部が固定された面を覆うように設けられ、光透過性を有する表面保護層と、
当該表面保護層に、可視光透過率が50%以上となるように形成された絵柄印刷層と、を備えた表示装置の設計方法であって、
前記表面保護層の前記発光部側の面と対向する領域のISO白色度が、30%以上となるように、前記表面保護層の前記発光部側に位置する構成品を選定することを特徴とする表示装置の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示装置の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光透過性を有すると共に意匠性を有するシートを発光表示体の表面に設けた表示装置は、発光表示体が作動して発光している時には、発光表示体からの光がシートを透過して、発光表示体に表示されている文字や図形や記号等を表示することができる。他方、発光表示体が発光していない時には、シートが発光表示体を覆い隠していることにより、発光表示体を認識させずにシートの絵柄を認識させることになり、周囲と調和した意匠とすることができる(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0003】
このような表示装置としては、例えば、図4に示すように、樹脂等からなるシート状の基材112上に、色味調整層113、模様層114、表面保護層115を順に設け、レーザ光やドリル等で細かい光通過孔110aを多数形成したシートを液晶ディスプレイ等の発光表示体111の表面に設けたものがある。
この表示装置110においては、発光表示体111が作動して発光しているとき、光がシートの光通過孔110aを通過することにより、観察者は発光表示体111の表示を視認することができる。他方、発光表示体111が発光していないとき、シートが発光表示体111を覆い隠していることから、観察者は発光表示体111を視認することはできず、シートを視認することから周囲と調和した意匠とすることができる。
【0004】
また、例えば、図5に示すように、樹脂等からなる光透過性を有するシート状の基材121上に、光を通過させる細かい空隙(孔)120aを多数形成するように、パターン層122、色味調整層123、模様層124、表面保護層125を印刷手法でアレイ状に積層して設けたシートを発光表示体111の表面に設けた表示装置120がある。
この表示装置120においては、発光表示体111が作動して発光しているとき、光がシートの空隙120aを通過することにより、観察者は発光表示体111の表示を認識することができる。他方、発光表示体111が発光していないとき、シートが発光表示体111を覆い隠しているため、観察者は発光表示体111を認識できず、シートを視認することから、周囲と調和した意匠とすることができる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-128581号公報
【特許文献2】特許第6370519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような表示装置110及び120は、光通過孔110aを多数形成したシート或いは、光透過性を有するシート状の基材121上に、光を通過させる細かい空隙(孔)120aを多数形成したシートを発光表示体111の表面に設けている。
ここで、例えば複数のLED光原を含んで発光表示体111が形成されている場合、一般に、LED光源が取り付けられる基材として、色の違いがくっきりと表現された鮮やかな表示となるようにコントラスト比を高くする目的で、黒色系の基材が用いられている。そのため、発光表示体111が発光していない場合には、光通過孔110aを通過して、或いは光透過性を有する基材121を透過して、観察者に、LED光源が取り付けられた基材の色が透けて見える可能性がある。そのため、シートに模様や柄等が設けられている場合には、これら模様や柄等がくすんで見えること等が生じ、シートに周囲と調和した意匠が設けられていても、観察者に十分な意匠感を与えることができないという問題がある。
【0007】
また、LED光源が取り付けられた基材の色が透けて見えないように隠蔽性を確保するために、光通過孔110aや空隙120aの孔径を小さくしたり、光通過孔110aや空隙120aの数を減らしたりすると光透過性が低下し、観察者には、発光表示体111に表示された絵柄等がぼやけて見える可能性がある。
そこで、この発明は、従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、観察者に対し、発光部が発光しているときには発光部により表示されている図柄等を視認させることができ、発光部が発光していないときには木目等の所定の画像を視認させるようにした表示装置において、発光部が発光していないときに木目等の所定の画像がくすんで見えることを抑制し、周囲環境に馴染んだ意匠感を観察者に与えることの可能な表示装置及び表示装置の設計方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、基材と、基材の表面に固定されたLED素子からなる複数の発光部と、複数の発光部及び複数の発光部が固定された面を覆うように設けられ、光透過性を有する表面保護層と、表面保護層に、可視光透過率が50%以上となるように形成された絵柄印刷層と、発光部を駆動する制御部と、を備え、基材の少なくとも発光部が固定された側の面は、ISO白色度が30%以上である表示装置が提供される。
【0009】
また、本発明の他の態様によれば、基材と、基材の表面に固定されたLED素子からなる複数の発光部と、複数の発光部及び複数の発光部が固定された面を覆うように設けられ、光透過性を有する表面保護層と、表面保護層に、可視光透過率が50%以上となるように形成された絵柄印刷層と、を備えた表示装置の設計方法であって、表面保護層の発光部側の面と対向する領域のISO白色度が、30%以上となるように、表面保護層の発光部側に位置する構成品を選定する表示装置の設計方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、発光部が発光している時には発光部により表示されている内容を視認でき、発光部が発光していない時には木目等の所定の意匠を視認できるようにした表示装置において、発光部が発光していない時に周囲との調和度合が低下することを抑制し周囲環境に馴染んだ意匠感を観察者に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る表示装置の一例を示す概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る表示部の一例の概略構成を示す断面図である。
図3】第1実施形態に係る表示部の変形例の概略構成を示す断面図である。
図4】従来の表示装置の要部の一例を示す断面図である。
図5】従来の表示装置の要部の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
【0014】
〔構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置101の一例を示す概略構成図、図2は、図1に示す表示部101aのA-A′断面における断面図である。なお、図1では、わかり易くするために、後述の印刷層4及び表面保護層5を図示していない。また、図2は、わかり易くするために、後述の発光部2の数は、図1と対応していない。
【0015】
図1に示すように表示装置101は、表示部101aと、表示部101aを駆動制御する制御部101bと、を備える。
表示部101aは、図2に示すように、シート状の基材1と、基材1の表面に固定された複数の発光部2と、基材1の表面に固定された発光部2を駆動するための回路配線3と、一方の面に印刷層(絵柄印刷層)4が形成され、印刷層4と基材1上の発光部2及び回路配線3とが対向し、発光部2及び回路配線3を覆うように設けられた表面保護層5と、を備える。
【0016】
基材1は、例えば樹脂製のフィルムから形成される。基材1は、樹脂製のフィルムに限るものではなく任意の部材を適用することができる。例えば基材1としてフィルム等の比較的軽量な部材を用いれば、表示装置101全体を軽量化することができ、そのため、比較的大画面を有する表示装置101を実現することができる。また、表示装置101の設置位置が表示装置101全体の重量によって制約をうけにくくなるため、汎用性が向上する。また、基材1は図1に示すように矩形状であってもよく、任意の形状であってよい。
【0017】
基材1としては、例えば、基板上にLED素子を配置してなるLEDビジョンのように基板を適用してもよいし、透明フィルムLEDビジョンのように、基材1として透明フィルムを適用してもよく、また、ブラインドカーテンのような隙間を開けて格子状に組んだ骨組み(以下フレームともいう。)の上にLED素子を配置してなるシースルー型LEDビジョンのように、基材1としてフレームを適用してもよい。
【0018】
基材1は白色を有する。ここでいう白色とは、ISO白色度が30%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上であり、グレーなども含む。なお、基材1は、必ずしも全体が白色でなくてもよく、少なくとも、基材1の、印刷層4と対向する側の面が白色であればよい。例えば、透明フィルムからなる基材1の場合には、白色の基材1として、東レ株式会社製のルミラーE20 白PETフィルムを適用することができる。また、ISO白色度が30%以上、より好ましくは60%以上となるように、例えば、白色顔料の種類(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)、粒形、配合量を選定し、樹脂練り込みにより基材1を形成してもよく、或いは既存の基材に塗装すること或いは印刷することにより、白色の基材1を形成してもよい。
【0019】
例えば、基板上に発光部2を配置してなるLEDビジョンのように、基材1としての基板上に取り付けた発光部(LED素子)2の周囲を樹脂で覆って固定するようにしている場合には、基材1として白色の基板を用いると共に、さらに発光部2の周囲を白色の樹脂で覆うことで発光部2を基板(基材1)に固定してもよい。
また、基材1として、シースルー型LEDビジョンのフレームを適用した場合には、白色のフレームを基材1として用いると共に、フレームの背面に白色のシート(白色部材)を重ねるかまたは白色の紙(白色部材)を重ねてもよい。白色のシートや白色の紙で、フレーム間の隙間部分を塞ぐことで、隙間部分が暗い色として透けて見えることで後述の印刷層4の絵柄がくすんだ色として観察者に視認されることを抑制してもよい。なお、白色部材として白色のシートや白色の紙を設ける場合には、これら白色部材のISO白色度は、30%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上である。
【0020】
なお、基材1として、シースルー型LEDビジョンのフレームを適用する場合には、フレームが隙間を開けて格子状に配置された部材に替えて、フレームが隙間なく配置された部材を用いてもよい。この場合、隙間なく配置されたフレームに塗装すること等により白色のフレームを実現し、さらに、フレーム間の隙間部分を無くすことにより隙間部分の暗い色が透けて見えることを抑制することができる。
【0021】
発光部2は、例えば、RGBそれぞれに対応する3つのLED素子が一つにまとめられた3in1チップ型の表面実装型のLED素子からなる。発光部2は、行方向及び列方向に複数整列配置されすなわちマトリクス状に配置されている。
発光部2を構成するLED素子としては、マイクロLED等、無機LEDを適用することができる。なお、発光部2は、3in1チップ型の素子に限るものではなく、RGBそれぞれ用のLED素子を設けてもよい。また、表面実装型のLED素子に限るものではなく無機LED素子であれば適用することができる。発光部2を構成する無機LED素子のサイズや形状は、表示部101aの設置位置、表示部101aの表示内容を視認する観察者と表示部101aとの間の距離、表示部101aの大きさ、また、表示装置101に要求される画質や発光画像の明るさ等に応じて設定すればよい。また、発光部2はカラーである必要はなく単色であってもよい。
【0022】
図1では、基材1の全面に発光部2を行方向及び列方向に整列配置しているが、文字等を発光表示させるにあたって必要となる場所のみに発光部2を設けてもよい。また、汎用性や、発光部2の有無によって観察者により視認される表示部101aの色が異なること等を回避するために、基材1の全面に発光部2を整列配置し、文字等を発光表示させるにあたって必要となる発光部2のみを回路配線3と接続し、他の発光部2は回路配線3と接続せずに、ダミーとして配置しておいてもよい。
【0023】
回路配線3は、図1に示すように、整列配置された行方向に並ぶ発光部2の両側それぞれに配置され、各発光部2に含まれる無機LED素子毎の、この無機LED素子に信号又は電力を供給するための配線は制御部101bに接続され、無機LED素子は制御部101bによって駆動制御される。なお、無機LED素子の駆動方式は、これに限るものではなく、例えば、LEDディスプレイの駆動方式として一般に使用されている方法であっても適用することができる。また、回路配線3の配置位置は図1に示す配置位置に限るものではなく、任意の位置に配置することができる。
【0024】
印刷層4は、木目導管や大理石等の各種の模様をインキにより印刷塗布されてなる。印刷層4は、可視光透過率が50%以上となるように形成されている。印刷層4は、発光部2が発光することにより表示される表示内容を、基材1の発光部2が配置されている側から見たときに、観察者が十分認識できる程度に、インキが印刷塗布されていない領域を残したパターン(以下、透過パターンという。)、もしくは印刷層4の可視光透過率が50%以上になるインキ量、またはそれらの組み合わせで絵柄が形成されている。
【0025】
印刷層4は、後述のシート状の表面保護層5の一方の面もしくは両面に印刷塗布して形成される。印刷層4の模様は、表示装置101が設置される場所と調和する意匠となっている。このような意匠を有することにより、発光部2が発光していないときに表示装置101が周囲と調和するようになっている。印刷層4は、印刷塗布されるものに限るものではなく、周囲と調和した意匠を付与することができればどのような方法で形成してもよい。
【0026】
表面保護層5は、例えば、無色透明の樹脂等からなり光透過性を有するシート状の基材で構成され、発光部2、回路配線3及び印刷層4を保護する。表面保護層5は、発光部2及び回路配線3を覆うように、発光部2及び回路配線3との間に隙間を以て配置され、隙間を設けることによって発光部2の放熱を図るようになっている。
なお、表面保護層5への熱の影響を遮るために、発光部2と表面保護層5との間に透明シートを備えていてもよい。
【0027】
また、表面保護層5は、さらにその表面、つまり、発光部2と対向する面とは逆側の最表面に、光沢調整等のコーティング層を備えていてもよい。
【0028】
〔製造方法〕
次に、表示装置101の製造方法を説明する。
まず、白色の基材1を用意する。そして、この基材1の一方の面に、発光部2及び回路配線3を固定し電気的に接続する。発光部2及び回路配線3の固定及び接続方法は特に限定されないが、例えば、回路配線3は銀や銅などの金属を含む導電性インキを用いてパターン状に印刷し、発光部2は所定の位置にハンダなどの導電性材料を用いて熱圧着などの方法により電気的に接続かつ固定を行う。
【0029】
次に、無色透明シートからなる表面保護層5の一方の面にインキを印刷塗布して印刷層4を形成する。
そして、印刷層4と発光部2とが対向し、発光部2及び回路配線3を覆うように、発光部2が固定された側の積層体と印刷層4が形成された側の積層体とを積層する。これによって表示部101aが形成される。そして、回路配線3と制御部101bとを電気的に接続することで、表示装置101を製造することができる。
【0030】
なお、印刷層4及び表面保護層5は、発光部2及び回路配線3の隙間を無色透明の充填材等で埋めた状態で、その上にインキを印刷塗布して印刷層4を形成し、さらに印刷層4を含む全体に樹脂を印刷塗布することで表面保護層5となる塗膜を形成してもよい。
【0031】
〔作用〕
次に、表示装置101の作用を説明する。
観察者が、表示部101aの発光部2が配置された側の面(以後、発光表示面ともいう。)を目視した場合、制御部101bによって発光部2を駆動し発光させると、発光部2の発光光は、印刷層4を通過し、表面保護層5を通過する。発光表示面を視認する観察者の視野内には、発光部2、回路配線3、印刷層4及び表面保護層5が含まれるが、観察者には、発光しない印刷層4に比較して発光部2の発光光をより認識し易く、また、発光部2の発光光によって印刷層4を認識しにくくなることから、発光部2の発光光により形成される発光画像を認識し易く、観察者は、発光部2の発光光により表示される画像を視認することができる。
【0032】
一方、発光部2を発光させない場合には、発光表示面を視認する観察者の視野内には、発光部2、回路配線3、印刷層4、及び表面保護層5が含まれるが、観察者には、発光部2は意味を持たない物として映るか印刷層4のインキが塗布されていない箇所の大きさ等によってはそもそも視認できないため、結果的に、印刷層4の絵柄を視認することになり、表示部101aの周囲に調和した意匠を視認することになる。
【0033】
このとき、仮に、基材1の、印刷層4と対向する側の面が黒色を有している場合には、印刷層4のインキが塗布されていない箇所の面積や、印刷層4による絵柄等にもよるが、観察者には、基材1の黒色が透けて印刷層4の絵柄と重なって視認され、印刷層4の絵柄がくすんだ色として視認される可能性がある。そのため、印刷層4の絵柄によって、周囲に調和した意匠となるようにしたとしても、印刷層4の基材1と重なる部分がくすんでしまい、結果的に周囲にあまり調和していない意匠として観察者に認識される場合がある。
【0034】
本実施形態では、基材1は、少なくとも印刷層4と対向する側の面が白色を有している。そのため、仮に、基材1の色が、印刷層4の絵柄と重なって観察者に認識された場合でも、観察者に、くすんだ色として認識されることを抑制することができ、観察者に与える周囲との調和度合の低下を抑制し、周囲環境に馴染んだ意匠感を観察者に与えることができる。
【0035】
〔効果〕
(1)基材1が黒色であると、発光部2が発光していない時に、基材1の黒色が表面保護層5を透過し、印刷層4の絵柄と基材1の黒色とが重なり、観察者にくすんだ色として視認され、表示装置101と周囲との調和度合が低下する可能性があるが、基材1を白色としたため、周囲との調和度合の低下を抑制することができる。
(2)また、基材1の色自体を調整しているため、調和度合の低下を容易に抑制することができる。
【0036】
〔変形例〕
第1実施形態では、印刷層4の上に表面保護層5を積層した場合について説明したが、表面保護層5に替えて図3に示すように、光透過性を有する無色透明の賦形シート5aを設けてもよい。賦形シート5aの発光部2と対向する面とは逆側の面には複数の凹部又は凸部の少なくともいずれか一方が形成されている。これによって、表示部101aの発光表示面に凹凸形状等の意匠性を持たせることができ、発光部2が発光していないときの表示部101aと周囲との調和をより一層図ることができる。
【0037】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る表示装置を説明する。
この第2実施形態に係る表示装置は、第1実施形態に係る表示装置101において、さらに、発光部2として、RGBそれぞれに対応する3つのLED素子が一つにまとめられた3in1チップ型の表面実装型のLED素子(LED本体)であり、且つ、透明又は白濁した封止材(保護部材)で3つのLED素子が封止されたLEDチップを用いたものである。
【0038】
つまり、発光部2として、LED素子の周囲を黒色の樹脂で覆ったLEDチップを用いた場合、上記基材1が黒色である場合と同様に、発光部2が発光していないときに、発光部2の黒色が印刷層4と重なって観察者に視認され、印刷層4による絵柄がくすんだ絵柄として、観察者に認識される可能性がある。
発光部2として、透明又は白濁した封止材で3つのLED素子が封止されたLEDチップを用いることで、発光部2が発光していない場合に、発光部2の色によって表示装置101の周囲との調和度合が低下することをさらに抑制することができる。
【0039】
RGBそれぞれに対応する3つのLED素子が一つにまとめられた3in1チップ型の表面実装型のLED素子であり、且つ、透明又は白濁した封止材で3つのLED素子が封止されたLEDチップとして、例えば、日亜化学工業株式会社製NESM026D、NSSM313A等を用いることができる。
なお、発光部2は、透明または白濁した封止材で封止されたLEDチップに限るものではなく、白色(ISO白色度が30%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上)の封止材で封止されたLEDチップであれば適用することができる。
【0040】
また、RGBそれぞれに対応するLED素子として3in1チップ型のLED素子でなくともよく、RGBそれぞれに対応するLED素子毎に、白色(ISO白色度が30%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上)の封止材で封止したLED素子を適用すればよい。
【0041】
〔変形例〕
第2実施形態では、基材1及び発光部2として白色の基材1及び白色の発光部2を用いることで、発光部2が消灯しているときの表示装置101の周囲との調和度合の低下を抑制する場合について説明したが、これに限るものではない。
【0042】
さらに、例えば、回路配線3も白色(ISO白色度が30%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上)の配線で形成するようにしてもよい。
また、表面保護層5の発光部2側の面と対向する領域全体のISO白色度が、30%以上、より好ましくは60%以上となるように、表面保護層5の発光部2側に位置する構成品を選定してもよい。つまり、例えば、基材1や発光部2として、少なくとも表面保護層5と対向する側の面が白色である部材を選定したり、表示装置101として、シースルー型LEDビジョンを適用する場合には、フレーム間の隙間を塞ぐ白色シートや白色の紙も構成品と選定してもよい。
【0043】
なお、上述した実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 基材
2 発光部
3 回路配線
4 印刷層
5 表面保護層
5a 賦形シート
101 表示装置
101a 表示部
101b 制御部
図1
図2
図3
図4
図5