(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063489
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】EEPROMコンポーネント及びASICコンポーネントを有する、複合超音波及び電気外科用システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023040596
(22)【出願日】2023-03-15
(62)【分割の表示】P 2019564432の分割
【原出願日】2018-05-21
(31)【優先権主張番号】62/509,351
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/967,764
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・スティーブン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ウィーナー・アイタン・ティー
(57)【要約】
【課題】外科用器具を提供すること。
【解決手段】外科用器具は、(a)本体と、(b)前記本体の外部に配置された超音波トランスデューサと、(c)前記本体から遠位側に延在するシャフトと、(d)前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、超音波エネルギーを用いて組織を治療するように動作可能である、エンドエフェクタと、(e)前記本体と一体化されている第1の電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)であって、前記第1のEEPROMは、前記本体の使用状況を追跡するように動作可能である、第1のEEPROMと、(f)前記本体又は前記超音波トランスデューサのうちの1つと一体化されている特定用途向け集積回路(ASIC)であって、前記ASICは、前記外科用器具の状態に関して発電機と通信するように動作可能である、ASICと、を備える。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
(a)本体と、
(b)前記本体の外部に配置された超音波トランスデューサと、
(c)前記本体から遠位側に延在するシャフトと、
(d)前記シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、超音波エネルギーを用いて組織を治療するように動作可能である、エンドエフェクタと、
(e)前記本体と一体化されている第1の電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)であって、前記第1のEEPROMは、前記本体の使用状況を追跡するように動作可能である、第1のEEPROMと、
(f)前記本体又は前記超音波トランスデューサのうちの1つと一体化されている特定用途向け集積回路(ASIC)であって、前記ASICは、前記外科用器具の状態に関して発電機と通信するように動作可能である、ASICと、を備える、外科用器具。
【請求項2】
前記超音波トランスデューサと一体化されている第2のEEPROMを更に備え、前記第2のEEPROMは、前記超音波トランスデューサの使用状況を追跡するように動作可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記超音波トランスデューサと一体化されている第2のEEPROMを更に備え、前記第2のEEPROMは、前記本体の使用状況から独立して、前記超音波トランスデューサの使用状況を追跡するように動作可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年5月22日に出願された米国特許出願第62/509,351号、名称「Ultrasonic Instrument With Electrosurgical Features」の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
超音波外科用器具は、組織の正確な切断及び凝固の調節の両方の目的で超音波エネルギーを利用する。超音波エネルギーは、組織と接触しているブレードを振動させることによって切断して凝固させる。超音波ブレードは、例えば、約50キロヘルツ(kHz)の周波数で振動させることによって、組織内のタンパク質を変性させて、粘着性の凝塊を形成する。ブレード表面が組織に及ぼす圧力により血管が崩壊され、凝塊が止血封止を形成できるようになる。切断及び凝固の精度は、例えば、外科医の技術、並びに電力レベル、ブレードの刃、組織牽引、及びブレード圧力の調節によって制御され得る。
【0003】
超音波外科用装置の例としては、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及びHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesが挙げられ、これらはいずれもEthicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)製である。かかる装置及び関連する概念の更なる例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1994年6月21日に発行された米国特許第5,322,055号、名称「Clamp Coagulator/Cutting System for Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1999年2月23日に発行された米国特許第5,873,873号、名称「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Mechanism」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1999年11月9日に発行された米国特許第5,980,510号、名称「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Arm Pivot Mount」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年9月4日に発行された米国特許第6,283,981号、名称「Method of Balancing Asymmetric Ultrasonic Surgical Blades」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年10月30日に発行された米国特許第6,309,400号、名称「Curved Ultrasonic Blade having a Trapezoidal Cross Section」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年12月4日に発行された米国特許第6,325,811号、名称「Blades with Functional Balance Asymmetries for use with Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年7月23日に発行された米国特許第6,423,082号、名称「Ultrasonic Surgical Blade with Improved Cutting and Coagulation Features」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月10日に発行された米国特許第6,773,444号、名称「Blades with Functional Balance Asymmetries for Use with Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月31日に発行された米国特許第6,783,524号、名称「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2011年11月15日に発行された米国特許第8,057,498号、名称「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年6月11日に発行された米国特許第8,461,744号、名称「Rotating Transducer Mount for Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年11月26日に発行された米国特許第8,591,536号、名称「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年1月7日に発行された米国特許第8,623,027号、名称「Ergonomic Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年8月4日に発行された米国特許第9,095,367号、名称「Flexible Harmonic Wavegides/Blades for Surgical Instruments」、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年1月28日に公開された米国特許出願公開第2016/0022305号、名称「Ultrasonic Blade Overmold」に開示されている。
【0004】
電気外科用器具は、組織を封止するために電気エネルギーを利用し、両極又は単極動作用に構成可能な遠位側に装着されたエンドエフェクタを一般に含む。両極動作中は、電流が、エンドエフェクタのアクティブ電極及びリターン電極によって組織を通して与えられる。単極動作中は、電流が、エンドエフェクタのアクティブ電極及び患者の身体上に別個に位置するリターン電極(例えば、接地パッド)によって組織を通して与えられる。組織を流れる電流によって生成される熱は、組織内及び/又は組織間の止血封止を形成する場合があり、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用な場合がある。電気外科用装置のエンドエフェクタはまた、組織に対して可動である切断部材、及び組織を横切するための電極を含んでもよい。
【0005】
電気外科用装置によって印加される電気エネルギーを、器具と結合する発電機によって器具へと伝達することができる。電気エネルギーは無線周波数(「RF」)エネルギーの形態であってよく、一般に、約300キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲の電気エネルギーの形態である。使用中、電気外科用デバイスは組織を通して低周波数RFエネルギーを伝送することができ、これによってイオン撹拌又は摩擦、実際には抵抗加熱が生じ、その結果、組織の温度が増加する。罹患組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が形成されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高度な正確性及び制御で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は彫刻しつつ同時に血管を封止する上で有用であり得る。RFエネルギーは、主にコラーゲンから構成され、かつ熱に接触した際に収縮する結合組織に対して特に良好に作用する。
【0006】
RF電気外科用デバイスの一例は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)によるENSEAL(登録商標)Tissue Sealing Deviceである。電気外科用デバイス及び関連する概念の更なる実施例が、以下の文献に開示されている。その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年12月31日付与の「Electrosurgical Systems and Techniques for Sealing Tissue」と題された米国特許第6,500,176号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2006年9月26日付与の「Electrosurgical Instrument and Method of Use」と題された米国特許第7,112,201号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2006年10月24日付与の「Electrosurgical Working End for Controlled Energy Delivery」と題された米国特許第7,125,409号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年1月30日付与の「Electrosurgical Probe and Method of Use」と題された米国特許第7,169,146号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月6日付与の「Electrosurgical Jaw Structure for Controlled Energy Delivery」と題された米国特許第7,186,253号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月13日付与の「Electrosurgical Instrument」と題された米国特許第7,189,233号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年5月22日付与の「Surgical Sealing Surfaces and Methods of Use」と題された米国特許第7,220,951号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年12月18日付与の「Polymer Compositions Exhibiting a PTC Property and Methods of Fabrication」と題された米国特許第7,309,849号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年12月25日付与の「Electrosurgical Instrument and Method of Use」と題された米国特許第7,311,709号;その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年4月8日付与の「Electrosurgical Instrument and Method of Use」と題された米国特許第7,354,440号;その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2008年6月3日付与の「Electrosurgical Instrument」という名称の米国特許第7,381,209号。
【0007】
電気外科用デバイス及び関連する概念の追加の例が、以下の文献に開示されている。米国特許第8,939,974号、発明の名称「Surgical Instrument Comprising First and Second Drive Systems Actuatable by a Common Trigger Mechanism」(2015年1月27日付与)。この文献の開示は参照により本明細書に組み込まれている;その開示が、本明細書に参照により組み込まれる、2015年10月20日付与の「Motor Driven Electrosurgical Device with Mechanical and Electrical Feedback」という名称の米国特許第9,161,803号;米国特許第2012/0078243号、発明の名称「Control Features for Articulating Surgical Device」(2012年3月29日公開)。この文献の開示は本明細書に参照により組み込まれている;米国特許第9,402,682号、発明の名称「Articulation Joint Features for Articulating Surgical Device」(2016年8月2日に付与)。この文献の開示は本明細書に参照により組み込まれている;その開示が、本明細書に参照により組み込まれる、2015年7月28日付与の「Surgical Instrument with Multi-Phase Trigger Bias」という名称の米国特許第9,089,327号;米国特許第9,545,253号、発明の名称「Surgical Instrument with Contained Dual Helix Actuator Assembly」(2017年1月17日付与)、この文献の開示は本明細書に参照により組み込まれている;及び米国特許第9,572,622号、発明の名称「Bipolar Electrosurgical Features for Targeted Hemostasis」(2017年2月21日に付与)。この文献の開示は本明細書に参照により組み込まれている。
【0008】
一部の器具は、単一の外科用装置を介して超音波及びRFエネルギー処置能力を提供し得る。かかる装置並びに関連する方法及び概念の例は、その開示が参照により本願に組み込まれる、2014年3月4日に発行された米国特許第8,663,220号、名称「Ultrasonic Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年5月21日に公開された米国特許出願公開第2015/0141981号、名称「Ultrasonic Surgical Instrument with Electrosurgical Feature」、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年1月5日に公開された米国特許出願公開第2017/0000541号、名称「Surgical Instrument with User Adaptable Techniques」に開示されている。
【0009】
複合超音波外科用器具など様々な種類の超音波外科用器具及び電気外科用器具が作製され、使用されてきたが、本発明者らの以前には、添付の「特許請求の範囲」に記載の発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】発電機と、超音波エネルギー及び双極RFエネルギーを用いて組織を治療するように動作可能な外科用器具と、を有する例示的な外科用システムの斜視図を示す。
【
図2】第1の電極を提供するクランプアームと、第2の電極を提供する超音波ブレードと、を有する、
図1の外科用器具のエンドエフェクタの上面斜視図を示す。
【
図3】
図2のエンドエフェクタの底面斜視図を示す。
【
図5】
図1の外科用器具のシャフトアセンブリの遠位部分及びエンドエフェクタの拡大分解斜視図を示す。
【
図6】
図1の外科用器具のシャフトアセンブリの内管の遠位部分の側面図を示す。
【
図7】内装された超音波トランスデューサと、例示的な電力ケーブルと、アダプタと、発電機と、を有する、
図1の外科用器具を組み込む例示的な外科用システムの部分概略図を示す。
【
図8】外付けの超音波トランスデューサと、電力ケーブルと、アダプタと、発電機と、を有する外科用器具を組み込む、別の例示的な外科用システムの部分概略図を示す。
【
図9】外科用器具と、フィルタ回路と、発電機と、を含む、例示的な外科用システムの概略図を示す。
【
図10】フィルタ回路が外科用システムのアクセサリ内に配置される、
図9の外科用システムの例示的な変形例の概略図を示す。
【
図11】フィルタ回路が外科用システムの発電機内に配置される、
図9の外科用システムの別の例示的な変形例の概略図を示す。
【
図12】フィルタ回路が外科用システムの外科用器具内に配置される、
図9の外科用システムの別の例示的な変形例の概略図を示す。
【
図13】ハンドルアセンブリの側面本体部分を省略した
図7の外科用器具の側面図を示し、外科用器具は、
図12の例示的なシステム構成によるフィルタ回路を含み、フィルタ回路は、ハンドルアセンブリ内のいくつかの任意の位置に配置されて概略的に示されている。
【
図14】
図8の外科用器具の側面図を示し、外科用器具は、
図12の例示的なシステム構成によるフィルタ回路を含み、フィルタ回路は、外付けの超音波トランスデューサ内に配置されて概略的に示されている。
【
図15】外科用器具及び外科用器具に動作可能に関連付けられたアクセサリに対して配置された、少なくとも1つのEEPROM及び少なくとも1つのASICの例示的な構成の概略図を示す。
【
図16】外科用器具及び外科用器具に動作可能に関連付けられたアクセサリに対して配置された、少なくとも1つのEEPROM及び少なくとも1つのASICの別の例示的な構成の概略図を示す。
【
図17】外科用器具及び外科用器具に動作可能に関連付けられたアクセサリに対して配置された、少なくとも1つのEEPROM及び少なくとも1つのASICの別の例示的な構成の概略図を示す。
【
図18】外科用器具及び外科用器具に動作可能に関連付けられたアクセサリに対して配置された、少なくとも1つのEEPROM及び少なくとも1つのASICの別の例示的な構成の概略図を示す。
【
図19】外科用器具及び外科用器具に動作可能に関連付けられたアクセサリに対して配置された、少なくとも1つのEEPROM及び少なくとも1つのASICの別の例示的な構成の概略図を示す。
【
図20】外科用器具及び外科用器具に動作可能に関連付けられたアクセサリに対して配置された、少なくとも1つのEEPROM及び少なくとも1つのASICの別の例示的な構成の概略図を示す。
【
図21】ハンドルアセンブリ及びハンドルアセンブリの外部に配置された超音波トランスデューサを有する外科用器具内に配置された、少なくとも1つのEEPROM及び少なくとも1つのASICの例示的な構成の概略図を示す。
【
図22】ハンドルアセンブリ及びハンドルアセンブリの外部に配置された超音波トランスデューサを有する外科用器具内に配置された、少なくとも1つのEEPROM及び少なくとも1つのASICの別の例示的な構成の概略図を示す。
【
図23】ハンドルアセンブリ及びハンドルアセンブリの外部に配置された超音波トランスデューサを有する外科用器具内に配置された、少なくとも1つのEEPROM及び少なくとも1つのASICの別の例示的な構成の概略図を示す。
【0011】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0013】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医により近く配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないと理解されよう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解される。
【0014】
I.超音波機構及び電気外科用機構を備える外科用器具を有する例示的な外科用システム
図1は、発電機(12)及び外科用器具(14)を含む例示的な外科用システム(10)を示す。外科用器具(14)は、電力ケーブル(16)を介して発電機(12)に動作可能に結合されている。以下により詳細に記載するように、発電機(12)は外科用器具(14)に電力を供給し、組織を切断するための超音波エネルギー、及び組織を封止するための電気外科用双極RFエネルギー(すなわち、治療レベルのRFエネルギー)を送達するように動作可能である。例示的な構成では、発電機(12)は、外科用器具(14)に電力を供給して、超音波エネルギー及び電気外科用双極RFエネルギーを同時に送達するように構成されている。
【0015】
本実施例の外科用器具(14)は、ハンドルアセンブリ(18)と、ハンドルアセンブリ(18)から遠位側に延在するシャフトアセンブリ(20)と、シャフトアセンブリ(20)の遠位端に配置されたエンドエフェクタ(22)と、を備える。ハンドルアセンブリ(18)は、外科医によって操作されるように構成されている、ピストルグリップ(26)と、エネルギー制御ボタン(28、30)と、を含む、本体(24)を備える。トリガ(32)は、本体(24)の下部に結合され、以下により詳細に記載するように、エンドエフェクタ(22)を選択的に作動させるように、ピストルグリップ(26)に向かう及びそこから離れる方向に枢動可能である。外科用器具(14)の他の好適な変形例では、ハンドルアセンブリ(18)は、例えば、はさみグリップ構成を備えてよい。以下により詳細に記載するように、超音波トランスデューサ(34)は、本体(24)の内部に収容され、本体(24)によって支持される。他の構成では、超音波トランスデューサ(34)は、例えば
図14の例示的な構成に示すように、本体(24)の外部に設けられてよい。
【0016】
図2及び
図3に示すように、エンドエフェクタ(22)は、超音波ブレード(36)と、超音波ブレード(36)に向かう及びそこから離れる方向に選択的に枢動して、超音波ブレード(36)との間に組織を挟持するように構成されているクランプアーム(38)と、を含む。超音波ブレード(36)は、超音波ブレード(36)と接触して位置付けられた組織を切断及び/又は封止するために超音波周波数で超音波ブレード(36)を駆動(すなわち振動)させるように構成されている、超音波トランスデューサ(34)と音響的に結合される。クランプアーム(38)はトリガ(32)と動作可能に結合され、それにより、クランプアーム(38)は、ピストルグリップ(26)に向かうトリガ(32)の枢動に応答して、超音波ブレード(36)に向かって閉鎖位置まで枢動するように構成されている。更に、クランプアーム(38)は、ピストルグリップ(26)から離れる方向へのトリガ(32)の枢動に応答して、超音波ブレード(36)から離れる方向に開放位置まで枢動するように構成されている(例えば、
図1~
図3を参照されたい)。本明細書に記載の教示を考慮すると、クランプアーム(38)をトリガ(32)と結合させ得る様々な好適な方法が当業者に明らかとなろう。いくつかの変形例では、クランプアーム(38)及び/又はトリガ(32)を開放位置に向かって付勢するために、1つ以上の弾性部材が組み込まれてよい。
【0017】
クランプパッド(40)は、超音波ブレード(36)に面するクランプアーム(38)のクランプ側に固定され、クランプ側に沿って遠位側に延在する。クランプパッド(40)は、クランプアーム(38)がその閉鎖位置まで作動されたときに、超音波ブレード(36)の対応する組織治療部分に係合して組織を挟持するように構成されている。クランプアーム(38)の少なくともクランプ側は、本明細書ではクランプアーム電極(42)と称される第1の電極(42)を提供する。加えて、超音波ブレード(36)の少なくともクランプ側は、本明細書ではブレード電極(44)と称される第2の電極(44)を提供する。以下により詳細に記載するように、電極(42、44)は、発電機(12)によって提供される電気外科用双極RFエネルギーを、電極(42、44)と電気的に結合された組織に印加するように構成されている。クランプアーム電極(42)は活性電極として機能し、ブレード電極(44)は帰還電極として機能してよい、又はその逆であってよい。外科用器具(14)は、超音波周波数で超音波ブレード(36)を振動させる間に、超音波周波数で超音波ブレード(36)を振動させる前に、及び/又は超音波周波数で超音波ブレード(36)を振動させた後に、電極(42、44)を通して電気外科用双極RFエネルギーを印加するように構成されてよい。
【0018】
図1~
図5に示すように、シャフトアセンブリ(20)は、長手方向軸に沿って延在し、外管(46)と、外管(46)内に受容されている内管(48)と、内管(48)内に支持されている超音波導波管(50)と、を含む。
図2~
図5に最もよく見られるように、クランプアーム(38)は、内管(46)及び外管(48)の遠位端に結合される。具体的には、クランプアーム(38)は、近位側に延在する一対のクレビスアーム(52)を含み、クレビスアーム(52)は、その間に内管(48)の遠位端(54)を受容し、クレビスアーム(52)及び内管(48)の遠位端(54)内に形成された貫通穴内に受容された枢動ピン(56)によって、内管(48)の遠位端(54)に枢動可能に結合される。第1及び第2のクレビスフィンガ(58)は、クレビスアーム(52)から下方に垂下し、外管(46)の遠位端(60)に枢動可能に結合される。具体的には、それぞれのクレビスフィンガ(58)は、外管(46)の遠位端(60)の側壁に形成された、対応する開口部(64)内に回転可能に受容される突出部(62)を含む。
【0019】
本実施例では、内管(48)は、ハンドルアセンブリ(18)に対して長手方向に固定され、外管(46)は、シャフトアセンブリ(20)の長手方向軸に沿って内管(48)及びハンドルアセンブリ(18)に対して並進するように構成されている。外管(46)が遠位側に並進すると、クランプアーム(38)は、その開放位置に向かって枢動ピン(56)の周りを枢動する。外管(46)が近位側に並進すると、クランプアーム(38)は、その閉鎖位置に向かって反対方向に枢動する。外管(46)の近位端は、トリガ(32)と、例えばリンケージアセンブリを介して動作可能に結合され、その結果、トリガ(32)の作動によって内管(48)に対する外管(46)の並進が生じ、それによってクランプアーム(38)が開閉される。本明細書に示さない他の好適な構成では、外管(46)は長手方向に固定されてよく、内管(48)は、並進してクランプアーム(38)をその開放位置と閉鎖位置との間で移動させるように構成されてよい。
【0020】
シャフトアセンブリ(20)及びエンドエフェクタ(22)は、ハンドルアセンブリ(18)に対して長手方向軸を中心として一緒に回転するように構成されている。
図4に示す保持ピン(66)は、外管(46)、内管(48)、及び導波管(50)の近位部分を通って横方向に延在し、それによって、これらの構成要素を互いに対して回転式に結合する。本実施例では、回転ノブ(68)は、シャフトアセンブリ(20)の近位端部分に設けられ、ハンドルアセンブリ(18)に対するシャフトアセンブリ(20)及びエンドエフェクタ(22)の回転を容易にする。回転ノブ(68)は、回転ノブ(68)の近位カラーを通って延在する保持ピン(66)によって、シャフトアセンブリ(20)に回転式に固定される。他の好適な構成では、回転ノブ(68)は省略されてよい、又は別の回転作動構造が代用されてよいことが理解されよう。
【0021】
超音波導波管(50)は、
図5に示すように、例えばねじ式接続部により、その近位端において超音波トランスデューサ(34)と音響的に結合され、その遠位端において超音波ブレード(36)と音響的に結合される。超音波ブレード(36)は、導波管(50)と一体形成されて示されており、したがって、ブレード(36)は、導波管(50)の遠位端から直接遠位側に延在する。このようにして、導波管(50)は、超音波トランスデューサ(34)を超音波ブレード(36)と音響的に結合し、トランスデューサ(34)からブレード(36)に超音波機械振動を伝達するように機能する。したがって、超音波トランスデューサ(34)、導波管(50)、及び超音波ブレード(36)は、共に音響アセンブリ(100)を画定する。使用中、超音波ブレード(36)は、クランプアーム(38)によってもたらされる補助的なクランプ力の有無にかかわらず、組織と直接接触して位置付けられて、組織に超音波振動エネルギーを付与し、それによって組織を切断及び/又は封止し得る。例えば、ブレード(36)は、クランプアーム(38)とブレード(36)の第1の治療側との間に挟持された組織を切断し得、又はブレード(36)は、例えば、「逆切断」動作中に、ブレード(36)の反対側に配設された第2の治療側と接触して位置付けられた組織を切断し得る。いくつかの変形例では、導波管(50)は、ブレード(36)に送達される超音波振動を増幅し得る。更に、導波管(50)は、振動の利得を制御するように動作可能な様々な機構、及び/又は導波管(50)を選択された共振周波数に合わせるのに好適な機構を含み得る。超音波ブレード(36)及び導波管(50)の更なる例示的な機構については、以下により詳細に記載する。
【0022】
導波管(50)は、
図4及び
図5に示すように、導波管(50)の長さに沿って位置付けられた複数のノード支持要素(70)によって内管(48)内に支持される。具体的には、ノード支持要素(70)は、導波管(50)を通って伝達される共振超音波振動によって画定される音響ノードに対応する位置に、導波管(50)に沿って長手方向に位置付けられる。ノード支持要素(70)は、導波管(50)に対する構造的支持、並びに導波管(50)とシャフトアセンブリ(20)の内管(46)及び外管(48)との間の遮音をもたらし得る。例示的な変形例では、ノード支持要素(70)は、Oリングを備えてよい。導波管(50)は、
図5に示すオーバーモールド部材(72)の形態のノード支持要素によって、その最遠位音響ノードで支持される。導波管(50)は、例えば、最近位の音響ノードなど、導波管(50)の近位側に配置された音響ノードに形成された横方向貫通穴(74)を通過する保持ピン(66)によって、シャフトアセンブリ(20)内で長手方向かつ回転式に固定される。
【0023】
本実施例では、超音波ブレード(36)の遠位先端(76)は、導波管(50)を通じて伝達される共振超音波振動に関連付けられた反ノードに対応する位置にある。かかる構成により、超音波ブレード(36)に組織の負荷がかかっていないとき、器具(14)の音響アセンブリ(100)を好ましい共振周波数foに合わせることができる。超音波トランスデューサ(34)が発電機(12)によって通電されて、導波管(50)を介してブレード(36)に機械振動を伝送するとき、ブレード(36)の遠位先端(76)は、例えば、約20~120マイクロメートルの最大振幅の範囲内で、場合によっては、約20~50マイクロメートルの範囲内で、例えば、約50kHzの所定の振動周波数foで、長手方向に振動させられる。超音波ブレード(36)が組織と接触して位置付けられているとき、ブレード(36)の超音波振動は、同時に、組織を切断し、隣接する組織細胞内のタンパク質を変性させることによって、最小限の熱拡散を伴う凝固効果をもたらし得る。
【0024】
図6に示すように、内管(48)の遠位端(54)は、内管(48)の残りの近位部分に対して半径方向外側にオフセットされてよい。この構成により、クランプアーム枢動ピン(56)を受容する枢動ピン穴(78)は、遠位端(54)が内管(48)の残りの近位部分とぴったり重なって形成されている場合よりも、シャフトアセンブリ(20)の長手方向軸から更に離れた方向に離間配置されることが可能になる。有利には、これは、クランプアーム電極(42)の近位部分とブレード電極(44)の近位部分との間のすきまを増加させ、それにより、例えば、組織によってブレード(36)に及ぼされる垂直力に応答して、超音波ブレード(36)がクランプアーム(38)及び枢動ピン(56)に向かって屈曲したときの逆切断中に、電極(42、44)とそれらの対応する活性電気経路及び帰還電気経路との間での望ましくない「短絡」の危険を軽減する。換言すれば、超音波ブレード(36)が逆切断動作で使用されるとき、超音波ブレード(36)は、シャフトアセンブリ(20)の長手方向軸から離れる方向に、ピン(56)に向かってわずかに偏向する傾向があり得る。本実施例の遠位端(54)によってもたらされる半径方向のオフセットが存在しないであろう枢動ピン穴(78)よりも、長手方向軸から更に離れる方向に離間配置された枢動ピン穴(78)を有することにより、遠位端(54)は、枢動ピン(56)と超音波ブレード(36)との間に付加的な横方向のすきまを提供し、それによって、超音波ブレード(36)が逆切断動作中に横方向に偏向するときに、超音波ブレード(36)と枢動ピン(56)との間での接触の危険を低減又は排除する。付加的なすきまは、エンドエフェクタ(22)が起動されて、RF電気外科エネルギーを印加するときに超音波ブレード(36)と枢動ピン(56)との間での接触から生じるであろう電気的短絡を防止することに加えて、超音波ブレード(36)が超音波振動しているときに、超音波ブレード(36)と枢動ピン(56)との間での接触から生じ得る機械的損傷を防止する。
【0025】
II.電力ケーブル及びケーブルアダプタを有する例示的な外科用システム
A.例示的な外科用システムの概要
図7は、外科用システム(400)が発電機(402)と、外科用器具(404)と、外科用器具(404)を発電機(402)と動作可能に結合するように構成されている電力ケーブル(406)と、を含む点で、外科用システム(10)に類似している例示的な外科用システム(400)を示す。外科用システム(400)は、電力ケーブル(406)を、発電機(402)上の入力ポートとして機能し得る出力ポートと結合するように構成されているケーブルアダプタ(408)を更に含む。外科用器具(404)は、外科用器具(14)の形態であってよく、上記の例示的な補足的又は代替的特徴のうちの任意の1つ以上を組み込んでよい。外科用器具(404)は、上記の超音波トランスデューサ(34)の形態であり得る、内装された超音波トランスデューサ(410)を含む。
【0026】
電力ケーブル(406)は、外科用器具(404)と結合するように構成されている第1のケーブル端部(412)と、ケーブルアダプタ(408)を介して発電機(402)と結合するように構成されている第2のケーブル端部(414)と、を含む。本実施例では、第1のケーブル端部(412)は、外科用器具(404)に解放可能に結合するように構成されており、第2のケーブル端部(414)は、ケーブルアダプタ(408)の第1のアダプタ端部(416)に解放可能に結合するように構成されている。ケーブルアダプタ(408)の第2のアダプタ端部(418)は、発電機(402)上のポートに解放可能に結合するように構成されている。上記の解放可能な結合は、当該技術分野において既知の任意の好適な結合要素を使用して達成されてよい。あくまで一例として、かかる結合要素としては、ねじ要素、動的スナップ嵌め要素、静的スナップ嵌め要素、磁気要素、及び/又は摩擦嵌め要素が挙げられ得る。代替的な構成では、上記の解放可能な結合のうちのいずれか1つ以上は、解放不能であってよい。例えば、第1のケーブル端部(412)は、外科用器具(404)に解放不能に取り付けられてよく、及び/又は第2のケーブル端部(414)は、第1のアダプタ端部(416)に解放不能に取り付けられてよい。他の構成では、外科用器具(404)、電力ケーブル(406)、ケーブルアダプタ(408)、及び発電機(402)の間の解放可能及び解放不能な結合の任意の好適な組み合わせが提供されてよい。
【0027】
図7に示す例示的な構成では、電力ケーブル(406)の第1のケーブル端部(412)は、外科用器具(404)のハンドルアセンブリ(420)の近位端に結合し、内部に収容された超音波トランスデューサ(410)と同軸上に位置合わせされる。しかしながら、第1のケーブル端部(412)は、様々な他の位置で、及び/又はトランスデューサ(410)に対して様々な他の向きでハンドルアセンブリ(420)に結合され得ることが理解されよう。例えば、1つの代替的な構成では、第1のケーブル端部(412)は、超音波トランスデューサ(410)の中心軸からオフセットされた位置でハンドルアセンブリ(420)の近位部分に結合してよい。別の代替的な構成では、第1のケーブル端部(412)は、ハンドルアセンブリ(410)のピストルグリップ(422)の下端に結合してよい。
【0028】
図8は、外科用システム(500)が発電機(502)と、外科用器具(504)と、外科用器具(504)を発電機(502)と動作可能に結合するように構成されている電力ケーブル(506)と、を含む点で、外科用システム(10、400)に類似している別の例示的な外科用システム(500)を示す。外科用システム(500)は、電力ケーブル(506)を発電機(502)上の出力ポートと結合するように構成されているケーブルアダプタ(508)を更に含む。外科用器具(504)は、外科用器具(504)が、外科用器具(504)のハンドルアセンブリ(520)に解放可能に結合し、それによって支持される、外付けの超音波トランスデューサ(510)を含むことを除いて、外科用器具(404)に類似している。電力ケーブル(506)は、電力ケーブル(406)と実質的に同様であってよい。更に、発電機(502)、外科用器具(504)、電力ケーブル(506)、及びケーブルアダプタ(508)は、外科用システム(400)に関連して上述した構成に類似の様々な構成で互いに結合するように構成されてよい。
【0029】
B.例示的なフィルタ回路
図9は、発電機(602)と、外科用器具(604)と、フィルタ回路(606)と、を含む別の例示的な外科用システム(600)を示す。外科用システム(600)は、上記の外科用システム(10、400、500)のいずれかを表し得る。その点において、発電機(602)は、発電機(12、402、502)のいずれかを表してよく、外科用器具(602)は、例えば、外科用器具(14、404、504)のいずれかを表してよい。
【0030】
発電機(602)は、超音波駆動成分及びRF駆動成分を含む単一の出力波形(610)(「駆動信号」とも呼ばれる)を生成し、発するように構成されている。フィルタ回路(606)は、単一の出力波形(610)を受信し、その超音波駆動成分及びRF駆動成分を分離するように構成されている。より具体的には、フィルタ回路(606)は、単一の出力波形(610)を超音波駆動波形(612)及び別個のRF駆動波形(614)に変換する。超音波駆動波形(612)は、外科用器具(602)の超音波トランスデューサを駆動して、組織を切断及び/又は封止するための超音波エネルギーを生成するように構成されており、RF駆動波形(614)は、組織を封止するための電気外科用双極RFエネルギーで外科用器具(602)の双極RF電極に通電するように構成されている。
【0031】
ほんの一例として、フィルタ回路(606)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日に公開された米国特許出願公開第2017/0086910号、名称「Techniques for Circuit Topologies for Combined Generator」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日に公開された米国特許出願公開第2017/0086908号、名称「Circuit Topologies for Combined Generator」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日に公開された米国特許出願公開第2017/0086911号、名称「Circuits for Supplying Isolated Direct Current(DC)Voltage to Surgical Instruments」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日に公開された米国特許出願公開第2017/0086909号、名称「Frequency Agile Generator for a Surgical Instrument」、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日に公開された米国特許出願公開第2017/0086876号、名称「Method and Apparatus for Selecting Operations of a Surgical Instrument Based on User Intention」の教示に従って構築され、機能してよい。
【0032】
超音波駆動波形(612)及びRF駆動波形(614)は、超音波トランスデューサ及び外科用器具(604)の双極RF電極に同時に送達されてよく、それにより、器具(604)は、超音波エネルギー及び電気外科用双極RFエネルギーを同時に印加して組織を治療できる。超音波エネルギー及びRFエネルギーは選択的に印加されてよく、印加されたエネルギーの様々なパラメータは、例えば、エネルギー制御ボタン(28、30)など発電機(602)及び/又は外科用器具(604)上に設けられるユーザ入力機構を使用して選択的に調整されてよい。様々な実施例では、外科用システム(600)は、外科用システム(600)の制御回路に予めプログラムされたエネルギー印加アルゴリズムに基づいて、所定のレベル及び/又はパターンの超音波エネルギー及び/又はRFエネルギーを送達するように構成されてよい。かかるアルゴリズムとしては、参照により本明細書に組み込まれる、2014年3月4日に発行された米国特許第8,663,220号、名称「Ultrasonic Surgical Instruments」、参照により本明細書に組み込まれる、2017年1月5日に公開された米国特許出願公開第2017/0000541号、名称「Surgical Instrument with User Adaptable Techniques」、及び/又は参照により本明細書に組み込まれる、任意の他の特許若しくは特許出願に開示されている例示的なアルゴリズムのうちの任意の1つ以上が挙げられ得る。
【0033】
フィルタ回路(606)は、外科用システム(600)内の様々な好適な位置に配置されてよい。
図10は、外科用システム(620)の形態の外科用システム(600)の第1の例示的な変形例を示し、この変形例では、フィルタ回路(606)は、電力ケーブル又はケーブルアダプタ(例えば、電力ケーブル(406、506)又はケーブルアダプタ(408、508)など)の形態であり得るアクセサリデバイス(608)に組み込まれている。
図11は、外科用システム(630)の形態の外科用システム(600)の第2の例示的な変形例を示し、フィルタ回路(606)は、発電機(602)に組み込まれている。
図12は、外科用システム(630)の形態の外科用システム(600)の第3の例示的な変形例を示し、フィルタ回路(606)は、外科用器具(604)に組み込まれている。
【0034】
図13は、
図12の外科用システム(630)の一般的な構成による、内部の様々な任意の位置に配置されたフィルタ回路(606)を有する外科用器具(404)を示す。図示するように、単なる例として、フィルタ回路(606)は、ハンドルアセンブリ(420)の近位部分内において、内装された超音波トランスデューサ(410)の近位側に配置されてよい。あるいは、フィルタ回路(606)は、ハンドルアセンブリ(420)のピストルグリップ(422)の下部内にある。
【0035】
図14は、
図12の外科用システム(630)の一般的な構成による、内部に配置されたフィルタ回路(606)を有する外科用器具(504)を示す。図示するように、単なる例として、フィルタ回路(606)は、外付けの超音波トランスデューサ(510)に組み込まれてよい。
【0036】
C.EEPROM及びASICの例示的な配置
本明細書に開示される例示的な外科用システムのいずれかに、少なくとも1つの電気的消去可能プログラマブルROM(「EEPROM」)、及び特定用途向け集積回路(「ASIC」)を備えることが望ましい場合がある。例えば、1つ以上のEEPROMは、特定の製造入力及びシステム設定を記録して保持し、外科用器具及び/又は電力ケーブルなど外科用システムの1つ以上の構成要素の使用状況を追跡するために提供されてよい。かかるEEPROMは、外科用システムの発電機と連通して配置され得、したがって、発電機はEEPROMによって収集されたデータを読み取り得る。ASICは、エネルギー制御ボタン(28、30)など外科用器具の構成要素によって発せられるアナログ信号を受信するために設けられてよい。アナログ信号の受信に応答して、ASICは、外科用器具の状態を示す、対応するデジタル信号を生成して発し、このデジタル信号は発電機によって受信される。デジタル信号の受信に応答して、発電機は、発電機によって発せられる出力波形の超音波駆動成分及び/又はRF駆動成分の調整など、1つ以上の所定の動作を実行してよい。以下に記載する例示的な外科用システムの各EEPROM及びASICは、例えば、1本以上のワイヤを備え得る専用通信回線を介して、外科用システムの発電機と通信し得ることが理解されよう。
【0037】
図15~20は、外科用器具(700)と、電力ケーブル又はケーブルアダプタの形態であり得るアクセサリデバイス(702)と、を有する例示的な外科用システムを示す。各外科用システムは、1つ以上のEEPROM(704)及びASIC(706)を含む。以下に記載するように、EEPROM(704)及びASIC(706)は、外科用器具(700)及びアクセサリデバイス(702)に対して様々な構成で配置されてよい。以下に記載する全ての例示的な外科用システムは、上記の外科用システムのいずれかを表し得ることが理解されよう。例えば、外科用器具(700)は、外科用器具(14、404、504、604)のいずれかを表してよく、アクセサリデバイス(702)は、電力ケーブル(406、506)及びケーブルアダプタ(408、508)のうちのいずれか1つ以上を表してよい。更に、以下に記載する全ての例示的な外科用システムは、上記の発電機(12、402、502、602)のいずれかに類似の発電機を組み込んでよい。
【0038】
図15は、EEPROM(704)及びASIC(706)の両方が外科用器具(700)に組み込まれている、第1の例示的な外科用システム(710)を示す。
【0039】
図16は、EEPROM(704)が外科用器具(700)に組み込まれ、ASIASIC(706)は、システム(720)の電力ケーブル又はケーブルアダプタなどアクセサリデバイス(702)に組み込まれている、第2の例示的な外科用システム(720)を示す。
【0040】
図17は、第1のEEPROM(704)及びASIC(706)が外科用器具(700)に組み込まれ、第2のEEPROM(704)が、電力ケーブル又はシステム(730)のケーブルアダプタなどアクセサリデバイス(702)に組み込まれている、第3の例示的な外科用システム(730)を示す。かかる場合、電力ケーブルアダプタ及びケーブルアダプタは、互いから解放可能に分離できてよい、又は分離できなくてよい。
【0041】
図18は、第1のEEPROM(704)が外科用器具(700)に組み込まれ、第2のEEPROM(704)及びASIC(706)がアクセサリデバイス(702)に組み込まれている、第4の例示的な外科用システム(740)を示す。例えば、一例では、第2のEEPROM(704)及びASIC(706)の両方が、システム(740)の電力ケーブル又はケーブルアダプタに組み込まれてよい。別の例では、第2のEEPROM(704)は、電力ケーブル又はケーブルアダプタのうちの一方に組み込まれてよく、ASIC(706)は、電力ケーブル又はケーブルアダプタのうちの他方に組み込まれてよい。かかる実施例では、電力ケーブルアダプタ及びケーブルアダプタは、互いから解放可能に分離できてよい、又は分離できなくてよい。
【0042】
図19は、第1のEEPROM(704)及びASIC(706)が外科用器具(700)に組み込まれ、第2及び第3のEEPROM(704)がアクセサリデバイス(702)に組み込まれている、第5の例示的な外科用システム(750)を示す。例えば、システム(750)は、互いに解放可能に分離できる電力ケーブル及びケーブルアダプタを含んでよく、第2のEEPROM(704)は電力ケーブルに組み込まれ、第3のEEPROM(704)はケーブルアダプタに組み込まれている。
【0043】
図20は、第1のEEPROM(704)が外科用器具(700)に組み込まれ、第2及び第3のEEPROM(704)並びにASIC(706)がアクセサリデバイス(702)に組み込まれている、第6の例示的な外科用システム(760)を示す。例えば、システム(760)は、互いに解放可能に分離できる電力ケーブル及びケーブルアダプタを含んでよく、第2のEEPROM(704)は電力ケーブルに組み込まれ、第3のEEPROM(704)及びASIC(706)はケーブルアダプタに組み込まれている。別の例では、第2のEEPROM(704)及びASIC(706)は、電力ケーブルに組み込まれてよく、第3のEEPROM(704)は、ケーブルアダプタに組み込まれてよい。
【0044】
上記の各外科用システム(710、720、730、740、750、760)は、外科用器具(700)に組み込まれているEEPROM(704)を含む。この器具EEPROM(704)は、他のタスクの中でも、特に外科用器具(700)の使用状況を追跡するように機能し、それによって、ユーザは、外科用器具(700)が使用されている外科手術の回数を追跡可能になる。外科用システム(730、740、750、760)は、システム(730、740、750、760)の電力ケーブル及び/又はケーブルアダプタ(すなわち、「アクセサリデバイス」)に組み込まれている、少なくとも1つの追加のEEPROM(704)をそれぞれ含む。これらの追加のアクセサリEEPROM(704)のそれぞれは、アクセサリEEPROMと一体化されている、対応する電力ケーブル又はケーブルアダプタの使用状況を追跡し、それにより、ユーザは、外科用器具(700)の使用とは別に、電力ケーブル及び/又はケーブルアダプタの使用状況を監視可能になる。
【0045】
例示的な外科用システム(710、720、730、740、750、760)のうちの1つ以上では、アクセサリデバイス(702)は、例えば複数の外科用器具(700)を使用して、複数の外科手術に再利用可能であるように、外科用器具(700)と解放可能に結合されてよい。解放可能な結合は、外科用システム(400)に関連して上記したもののいずれかの形態であってよい。あるいは、アクセサリデバイス(702)は、例えば、単一の患者に対して実行される1つ以上の外科手術後に再利用不能であり、使用済みの外科用器具(700)と共に廃棄されるように、外科用器具(700)と解放不能に結合されてよい。例えば、アクセサリデバイス(702)は、ASIC(706)が外科用システム(720、740、760)などアクセサリデバイス(702)に組み込まれている外科用システムにおいて、外科用器具(700)と解放不能に結合されてよい。
【0046】
図21~23は、ハンドルアセンブリ(800)と、ハンドルアセンブリ(800)に解放可能に結合され、かつそれによって支持される、外付けの超音波トランスデューサ(802)と、を有する、例示的な外科用器具を概略的に示す。その点において、以下に記載する外科用器具は、
図8及び14に示す外科用器具(504)の様々な例示的な構成を表し得る。各外科用器具は、少なくとも1つのEEPROM(804)と、ASIC(806)と、を含み、これらは、上記のEEPROM(704)及びASIC(706)に機能面で類似であってよい。外付けの超音波トランスデューサ(802)の一部の変形例は、再利用可能な構成要素として構成されてよい。加えて、又は代替的に、ハンドルアセンブリ(800)の一部の変形形態は、再利用可能な構成要素として構成されてよい。
【0047】
図21は、第1のEEPROM(804)及びASIC(806)がハンドルアセンブリ(800)に組み込まれ、第2のEEPROM(804)が外付けの超音波トランスデューサ(802)に組み込まれている、第1の例示的な外科用器具(810)を示す。第1のEEPROM(804)は、ハンドルアセンブリ(800)の使用状況を追跡するように構成され、第2のEEPROM(806)は、ハンドルアセンブリ(800)の使用状況とは別に、外部トランスデューサ(802)の使用状況を追跡するように構成されている。
【0048】
図22は、第1のEEPROM(804)がハンドルアセンブリ(800)に組み込まれ、第2のEEPROM(804)及びASIC(806)が外付けの超音波トランスデューサ(802)に組み込まれている、第2の例示的な外科用器具(820)を示す。第1及び第2のEEPROM(804)は、上記の外科用器具(810)の第1及び第2のEEPROMと同様に機能するように構成されている。
【0049】
図23は、単一のEEPROM(804)及びASIC(806)を有する第3の例示的な外科用器具(830)を示し、これらは、両方ともハンドルアセンブリ(800)に組み込まれている。本実施例では、EEPROM(804)は、ハンドルアセンブリ(800)の使用状況を追跡するように構成されており、これは、例えば、トランスデューサ(802)が異なるハンドルアセンブリ(800)と組み合わせて以前に使用されている場合、外付けの超音波トランスデューサ(802)の使用状況とは異なる場合がある。
【0050】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない、と理解すべきである。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の種々の教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられている。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも、考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例0051】
外科用システムであって、(a)外科用器具であって、(i)本体と、(ii)本体によって支持される超音波トランスデューサと、(iii)本体から遠位側に延在するシャフトと、(iv)シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、エンドエフェクタは、超音波エネルギーを用いて組織を治療するように動作可能である、エンドエフェクタと、を備える、外科用器具と、(b)外科用器具を発電機と動作可能に結合するように構成されているアクセサリデバイスであって、発電機は、外科用器具に電力を供給し、超音波エネルギーを提供するように動作可能である、アクセサリデバイスと、(c)外科用器具の本体内に設けられた第1の電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)であって、第1のEEPROMは、外科用器具の使用状況を追跡するように動作可能である、第1のEEPROMと、(d)(i)アクセサリデバイスに組み込まれているアクセサリEEPROMであって、アクセサリEEPROMは、アクセサリデバイスの使用状況を追跡するように動作可能である、アクセサリEEPROM、(ii)超音波トランスデューサに組み込まれているトランスデューサEEPROMであって、トランスデューサEEPROMは、超音波トランスデューサの使用状況を追跡するように動作可能である、トランスデューサEEPROM、又は(iii)アクセサリデバイスに組み込まれているアクセサリ特定用途向け集積回路(ASIC)であって、アクセサリASICは、外科用器具の状態に関して発電機と通信するように動作可能である、アクセサリASICのうちの少なくとも1つと、を備える、外科用システム。
(a)外科用器具に結合するように構成されている電力ケーブルと、(b)電力ケーブルを発電機と結合するように構成されているケーブルアダプタと、を更に備え、アクセサリデバイスが、電力ケーブル又はケーブルアダプタのうちの1つを備える、実施例1の外科用システム。