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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063860
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】RFIDタグ読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20230428BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20230428BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
G06K7/10 128
G06K7/10 264
G06K7/10 240
G07G1/00 311D
H05K9/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173911
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】樋口 徳顕
(72)【発明者】
【氏名】中林 貴光
【テーマコード(参考)】
3E142
5E321
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142AA03
3E142EA13
3E142GA04
3E142GA22
3E142GA35
3E142GA41
5E321AA23
5E321GG11
(57)【要約】
【課題】RFIDタグを漏れなく読取りを行うことができ、かつ装置の外側、特に装置の上方の読取範囲を適切に規制することができる簡易な構成のRFIDタグ読取装置を提供する。
【解決手段】底壁111と側壁112を有して上部が開口部となったRFIDタグとの通信用の電波を透過しない材料からなる外箱11と、RFIDタグとの通信用の電波を透過する材料からなる内箱12と、を有し、内箱には、RFIDタグを付帯した商品を投入する凹部13と、該凹部の周囲に枠部121が形成され、凹部を形成する壁と外箱の間に所定の空間が形成され、側壁それぞれの内面側で、側壁の水平方向の中心からオフセットした位置であって、対向する側壁では互いに逆方向にオフセットした位置に、RFIDタグとの通信用のアンテナ114が側壁に対して仰角をもって装着されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグの読取装置であって、
底壁と側壁を有して上部が開口部となった包絡形状が直方体の、RFIDタグとの通信用の電波を透過しない材料からなる外箱と、
該開口部を覆う様に外箱に重ねられ、RFIDタグとの通信用の電波を透過する材料からなる内箱と、を有し、
内箱には、RFIDタグを付帯した商品を投入する凹部と、該凹部の周囲に枠部が形成され、
該枠部で外箱の側壁上端と内箱とが結合され、凹部を形成する壁と外箱の間に所定の空間が形成され、
外箱の側壁それぞれの内面側で、側壁の水平方向の中心からオフセットした位置であって、対向する側壁では互いに逆方向にオフセットした位置に、RFIDタグとの通信用のアンテナが装着され、
該アンテナは、側壁に対して仰角をもって装着されている
ことを特徴とするRFIDタグ読取装置。
【請求項2】
前記RFIDタグとの通信用の電波を透過しない材料が金属であることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項3】
前記RFIDタグとの通信用の電波を透過する材料がプラスチック樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項4】
前記内箱の枠部から凹部の上部にわたり、内面側に金属膜が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項5】
前記アンテナの上部を覆う抵抗膜と、該抵抗膜の上部の一部を覆う金属膜が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項6】
前記外箱の底壁、側壁、またはその両方の内面側に、電波吸収材が装着されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項7】
前記凹部は、買い物カゴを収納可能な大きさであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のRFIDタグ読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグの読取装置に関し、特に買い物カゴになど収納された多数の商品に付けられたRFIDタグを一括して読み取ることができる読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDタグ(非接触ICタグ、ICタグなどとも称され、以下では単に「タグ」と記す場合もある)を利用した商品が市場に提供され、販売店では在庫管理、支払い管理や万引き防止等、またメーカーや流通過程では、商品品質管理(混入等の発見)、在庫管理等に利用され、実用化が進んでいる。特にRFIDタグでは、リーダ装置またはリーダ/ライタ装置(以下まとめてリーダ装置と言う)との間を無線通信でデータの送受が出来、上記の作業が非常に効率良く実行できる。
【0003】
このような装置として、例えば引用文献1には、上方が開口した筐体の底部の水平板にICタグのリーダライタのアンテナを配置し、その上方に設けた別の水平板を買い物カゴの載置部とし、内壁面に電波反射シートと電波吸収シートを重ねて貼り渡したICタグの読取装置が開示され、載置部に置いた買い物カゴに収納された複数の商品のICタグを読み取ることができるとしている。
【0004】
しかし引用文献1の読取装置においては、アンテナが底面のみに設けられているため、筐体や買い物カゴの隅の部分に読取りの死角が生じやすく、またアンテナが上方の開口部に向いていることから、図3にも明らかに示されている様に、読取りの電波が高さ方向で規制されず、たまたまカゴの上方や斜め上にあった商品などを間違って読み取ってしまう恐れがあった。読取りが出来る高さを制御する為には、電波の出力を抑制する必要があるが、誤読を防ぐために電波を弱めると筐体内のタグの読取率も下がってしまうという問題があった。
【0005】
また引用文献2には、袋詰装置と情報取得装置とを備えた袋詰システムが開示され、商品を収納した買い物かごの底板がスライドして開放され、商品を昇降部の載置面に移し、昇降部が下降することで、あらかじめ載置面にセットされた袋に商品を収納すると共に、昇降部の側壁に設けられたアンテナで商品に付けられたRFタグと通信することにより、読取装置が商品のRFタグを読み取ることができるとしている。
【0006】
しかし引用文献2のシステムは、セルフレジシステム向けのもので装置自体が大型で店内に大きなスペースを確保する必要があり、また導入やメンテナンスにコストがかかる、と言った問題だけでなく、店員や顧客が装置の使い方に戸惑う可能性があるため、店員や顧客への使用方法の説明を行う必要が出てくる、などといった問題がある。またセルフレジシステム向けに特化したものとなっており、在庫管理用などには適用が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6469758号公報
【特許文献2】国際公開2018/139291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、店舗のセルフレジや商品の在庫管理などに適用でき、装置内に投入した商品のRFIDタグを漏れなく読取りを行うことができ、かつ装置の外側にあるRFI
Dタグを誤って読取ることがなく、特に装置の上方の読取範囲を適切に規制することができる簡易な構成のRFIDタグ読取装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、
RFIDタグの読取装置であって、
底壁と側壁を有して上部が開口部となった包絡形状が直方体の、RFIDタグとの通信用の電波を透過しない材料からなる外箱と、
該開口部を覆う様に外箱に重ねられ、RFIDタグとの通信用の電波を透過する材料からなる内箱と、を有し、
内箱には、RFIDタグを付帯した商品を投入する凹部と、該凹部の周囲に枠部が形成され、
該枠部で外箱の側壁上端と内箱とが結合され、凹部を形成する壁と外箱の間に所定の空間が形成され、
外箱の側壁それぞれの内面側で、側壁の水平方向の中心からオフセットした位置であって、対向する側壁では互いに逆方向にオフセットした位置に、RFIDタグとの通信用のアンテナが装着され、
該アンテナは、側壁に対して仰角をもって装着されている
ことを特徴とするRFIDタグ読取装置である。
【0010】
上記RFIDタグ読取装置において、
前記RFIDタグとの通信用の電波を透過しない材料が金属であって良い。
【0011】
上記RFIDタグ読取装置において、
前記RFIDタグとの通信用の電波を透過する材料がプラスチック樹脂であって良い。
【0012】
上記RFIDタグ読取装置において、
前記内箱の枠部から凹部の上部にわたり、内面側に金属膜が形成されていて良い。
【0013】
上記RFIDタグ読取装置において、
前記アンテナの上部を覆う抵抗膜と、該抵抗膜の上部の一部を覆う金属膜が設けられていて良い。
【0014】
上記RFIDタグ読取装置において、
前記外箱の底壁、側壁、またはその両方の内面側に、電波吸収材が装着されていて良い。
【0015】
上記RFIDタグ読取装置において、
前記凹部は、買い物カゴを収納可能な大きさであって良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明のRFIDタグ読取装置によれば、凹部に投入されたRFIDタグを付帯した商品のRFIDタグを漏れなく読み取ることができ、かつ、読取装置の外部の商品のRFIDタグを誤って読み取ってしまう恐れが少なく、特に装置の上方や斜め上方のRFIDタグの読取範囲を適切に規制することができるRFIDタグ読取装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のRFIDタグ読取装置の第一実施形態の概略外観図である。
図2】本発明のRFIDタグ読取装置の第一実施形態の断面概要図である。
図3】本発明のRFIDタグ読取装置の第一実施形態の外箱の内部構成の説明図である。
図4】本発明のRFIDタグ読取装置の第二実施形態の断面概要図である。
図5】本発明のRFIDタグ読取装置の第二実施形態の外箱の内部構成の説明図である。
図6】本発明のRFIDタグ読取装置の第三実施形態の断面概要図である。
図7】本発明のRFIDタグ読取装置の第三実施形態の外箱の内部構成の説明図である。
図8】本発明のRFIDタグ読取装置の第三実施形態の外箱の内部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。また、以下において、また図面において同等の部材等には同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0019】
図1は、本発明のRFIDタグ読取装置(以下、単に「読取装置」ともいう)の第一実施形態の概略外観図である。読取装置10は、外観において包絡形状が略直方体であり、上部が開口したRFIDタグとの通信用の電波を透過しない材料で構成される外箱11の開口部を覆うようにRFIDタグとの通信用の電波を透過する材料で構成される内箱12が重ねられて一体となっている。内箱12の略中央部分には凹部13が設けられ、凹部13の周囲は枠部121となっていて、凹部13を形成する壁122と接続している。また外箱11の側壁112の上端と枠部121が結合されて外箱11と内箱12が一体となっている。
【0020】
外箱11を構成するRFIDタグとの通信用の電波を透過しない材料としては、加工性や強度などの点から鉄板、ステンレス板、アルミ板などの金属が好ましく用いられる。また内箱12を構成するRFIDタグとの通信用の電波を透過する材料としては、木材、段ボールなども適用できるが、成形性、強度、耐水性、扱いやすさなどの点から、プラスチック樹脂が好ましく用いられる。樹脂の種類は特に限定するものでなく、一般的な成形性の良い樹脂から適宜選択すればよく、例えばポリプロピレン樹脂などが例示できる。
【0021】
図2の断面概要図に示す様に、外箱11は矩形状の底壁111の各辺から側壁112が立設された形状であり、内箱12の凹部13は、外箱11と内箱12の間に所定の空間が形成される様に形成されている。また凹部13は、RFIDタグが取り付けられた商品141を投入する部位であることから、商品141を内部に収納し得る大きさであると好ましく、特に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで使用される一般的な買い物カゴ14を収納できるサイズであると、買い物カゴ14ごと商品141を投入できるので利便性が高く好ましい。
【0022】
一般的な買い物カゴのサイズは、幅が450~570mm、奥行きが330~370mm、高さが240~255mm程度であるので、凹部13のサイズはこれらの買い物カゴをある程度の余裕を持って収納できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば内法で幅500~600mm、奥行き350~400mm、深さ240~300mm程度の範囲とすることができ、用途に合わせ適宜設定すると好ましい。
【0023】
外箱11と内箱12の間に空間において、外箱11の4枚の側壁112それぞれの内面側にRFIDタグとの通信用のアンテナ114が装着されている。アンテナ114での商品141に取り付けられたRFIDタグの読取りに際して求められる特性として、以下の様な点が挙げられる。
(1)内箱または買い物カゴの内部にあるRFIDタグは全て読取る。
(2)読取装置の外側にあるRFIDタグは読取らない。
(3)ただし、読取装置の上部はある程度の高さまでRFIDタグを読取る。
商品の数が多い場合、凹部12や買い物カゴ14に山盛り状に商品が収納される場合があることから、(3)の様な特性が求められる。読取装置10の上部で読み取り可能とする高さは、例えば読取装置10の上方50cm~1mであり、50cm程度に設定するとより好ましい。
【0024】
そこで、本発明の読取装置におけるアンテナ114は、図3に示す外箱の内部構成の説明図の様に、4つの側壁112それぞれの水平方向の中心からL1、L2、L3、L4だけオフセットした位置であって、対向する側壁112では互いに逆方向にオフセットした位置に、すなわちそれぞれの側壁に内側から正対したときには同じ方向にオフセットしている様に取り付けられ、かつ、側壁112に対する角度θが仰角を成す様に側壁112に取り付けられる。角度θの範囲としては、0°<θ<90°の範囲であって、読取装置10や凹部12のサイズに応じて適宜最適な角度を設定すればよいが、より好ましくは0°<θ<45°の範囲であり、上記の様な一般的な買い物カゴ14を収納し得るサイズであれば、10°前後とすると最も好ましい。オフセットL1、L2、L3、L4の値はアンテナ114の特性や内箱12のサイズなどに合わせ適宜設定される。
【0025】
アンテナ114から放射される電波の指向性は、アンテナ面の法線方向が最も強く、法線方向から離れるに従い弱くなるのが一般的であるので、上記の様に取り付けることで、凹部13内で電波の強度が弱い部分ができ難く、凹部13に投入された商品141に取り付けられたRFIDタグを4つのアンテナのうちいずれかで漏れなく読み取ることができると共に、読取装置10の上方への電波の漏れを抑えることができ、読取装置10の上方や斜め上方にあるRFIDタグの誤読を抑制することができ、例えば10°の仰角を成していることで読取装置10の上方50cm程度までの範囲のRFIDタグを読み取ることができる。
【0026】
アンテナ114は別に設けたRFIDタグ読取装置本体(図示せず)に接続されている。また本実施形態においては、底壁111および側壁112の内面に電波吸収材113が装着されている。内箱12はプラスチック樹脂製で、アンテナ114と商品141に取り付けられたRFIDタグとの通信用の電波を透過するので、該通信を阻害することがない。一方、外箱11は金属製であるため、アンテナから放射される電波を透過せず、読取装置10の下方や側方への電波の漏洩を防ぐことができ、読取装置10の下方や側方にあるRFIDタグの誤読を防ぐことができる。
【0027】
また、外箱11の内面に電波吸収材113を装着すると、外箱11内での電波の反射によるノイズの発生を抑えることができるのでより好ましい。電波吸収材113を装着する部位は、底壁111、側壁112のいずれかでも良く、またはその両方であっても良い。
【0028】
また、読取装置10は、図1に示したように単純な箱型の構成で比較的小型に構成できるため、台車等での移動も簡単であり、店舗での買い物のレジ向けの用途に限らず、電源が用意されれば店舗や店舗のバックヤードや倉庫において、商品等の在庫を確認する際に、RFIDタグ付きの商品等が収納されている箱ごとまとめて読取りすることができ、在庫管理向けの用途にも好適に使用することができる。
【0029】
以上の様な構成の読取装置10によれば、以下のような効果が得られる。
・アンテナを複数取り付ける事で、内箱内のRFIDタグが読取りできない死角がなくなり、内箱内の全域でRFIDタグを読み取ることができる。
・側壁に対して仰角を付けてアンテナを装着することで、底面にアンテナを設置した場合
に比べ、高さ方向の読取エリアを狭めることが可能で、かつ内箱上部のある程度の範囲の読取りも行うことができる。
【0030】
図4は、本発明のRFIDタグ読取装置の第二実施形態の断面概要図である。また図5は第二実施形態の外箱の内部構成の説明図である。本実施形態の読取装置10aにおける外箱11、内箱12の概略形状や材質、アンテナ114の装着の態様は前述の第一実施形態と同様であるが、読取装置10aにおいては、内箱12の枠部121と凹部13を形成する壁122の上部の内面側を周回して、金属膜115が形成されている。また本実施形態においては、側壁112の内面に電波吸収材113が装着されている。
【0031】
金属膜115はアンテナ114から放出される電波を透過しないものであれば特に限定するものではないが、例えばアルミ薄板やアルミ箔などが使用される。アンテナ114から射出される電波は、前述の様に法線方向が最も強くなるが、それ以外の方向にも放射されるほか、内部で不規則に反射した電波が図4での枠部121の方向にも若干放出される可能性があることから、その方向で読取装置10aの上方にRFIDタグ付きの商品があった場合、誤って読み取ってしまう可能性がある。これに対し、金属膜115が形成されていることでアンテナ114からの電波が反射されて外部への放出を遮断することができるため、誤読の可能性をさらに減らすことが可能である。
【0032】
読み取る必要のないRFIDタグを読み取らないようにするには、単にアンテナ出力を小さくすることも考えられるが、そうすると、読取装置内の読み取らなければならないRFIDタグの読み込みができない読み落としが発生しやすくなってしまう。本実施形態の読取装置10aにおいてはアンテナ出力を小さくする必要はなく、読み落としが発生してしまう恐れはない。従って、読取り可能なタグ数量を増やすことにも繋がる。
【0033】
すなわち本実施形態の読取装置10aによれば、以下のような効果がある。
・アンテナを複数設置することで読取装置10aの外部に電波が漏れやすくなるが、枠部と凹部の上部に電波を反射させる金属膜を設けることで、電波が漏れるのを防ぎ、読取装置10a外に広がる電波を抑え、誤読を防ぐ対策となる。
・アンテナ自体の電波の出力を弱めていないので、箱内に多数のRFIDタグがある場合でも、正確に読取装置内にあるタグを読取ることが出来る。
・結果として、読取り可能なタグ数量を増やすことにも繋がる。
【0034】
図6は、本発明のRFIDタグ読取装置の第三実施形態の断面概要図である。また図7は第三実施形態の外箱の内部構成の説明図である。本実施形態の読取装置10bにおける外箱11、内箱12の概略形状や材質、アンテナ114の装着の態様は前述の第一実施形態と同様であるが、読取装置10bにおいては、図8の部分拡大図に示す様に、アンテナ114の上部を抵抗膜116が覆っている。覆う割合としては、アンテナ114の上部側の50%以下程度とすると好ましいが、読取装置10や凹部12のサイズ、アンテナの仰角の大きさに合わせ、適宜設定される。抵抗膜116はアンテナ114から放射される電波を弱める特性があるため、本実施形態の読取装置10bにおいては、特に読取装置10bの上方に向かう電波を弱める作用がある。抵抗膜116は例えば粘着シールなどでアンテナ114表面に貼り付けることができる。また抵抗膜116は、電磁波を吸収して熱に変換する特性を有するものとして一般的に用いられているものなどから適宜選択して使用でき、例えば誘電体シートにITOを蒸着したものなどが例示できる。なお本実施形態においては、底壁111の内面に電波吸収材113が装着されている。
【0035】
また、抵抗膜116の上部の内面側に、金属膜117が形成されている。金属膜117は特に限定するものではないが、例えばアルミ製粘着シールやアルミ箔などが使用できる。抵抗膜116と共に金属膜117が形成されていることで、アンテナ114から放射される電波が読取装置10bの外側に広がりすぎるのを抑制でき、読み取る必要のない商品のRFIDタグを誤って読み取ってしまう可能性を減らすことができ、誤読の可能性をさらに減らすことが可能である。また本実施形態においても、アンテナ出力を小さくする必要はないので、読み落としの発生の可能性も少ない。
【0036】
すなわち本実施形態の読取装置10bによれば、以下のような効果がある。
・アンテナに電波を弱める抵抗膜と電波を反射させる金属膜を貼り付けることで、電波に広がりを抑制し、読取装置10b外に広がる電波を抑え、誤読を防ぐ対策となる。
・アンテナ自体の電波の出力を弱めていないので、箱内に多数のRFIDタグがある場合でも、正確に読取装置内にあるタグを読取ることが出来る。
・結果として、読取り可能なタグ数量を増やすことにも繋がる。
【0037】
また、特に図示しないが、第二実施形態と第三実施形態の構成を組み合わせ、内箱12の枠部121と凹部13を形成する壁122の上部の内面側を周回して金属膜115を形成し、さらにアンテナ114の上部を抵抗膜116で覆い、抵抗膜116の上部の内面側に、金属膜117が形成する構成とすることもでき、上述と同様の効果が得られる。
【0038】
以上、各実施形態について説明した様に、本発明のRFIDタグ読取装置によれば、RFIDタグが取り付けられた多数の商品を装置に投入して一括して読取りが出来る、箱型で比較的小型の読取装置が実現できる。また、装置の設置場所も電波を吸収する場所や、電波吸収体を別途設置する必要はない。さらに装置は大型のものではなく、箱形状であるため、移動も容易で利便性が高く、またコスト的にも、大型装置に比べるとかなり安価なものにできるため、導入コストを抑えつつ、店舗業務や在庫管理業務等の効率化を図ることが可能となる。
【0039】
具体的な用途の例としては以下のような例が挙げられる。
<セルフレジに用いる用途>
顧客が購入する商品にRFIDタグが付いており、このタグを一括に読取を行い、会計を行うことが出来るコンパクトな箱型のRFIDタグ読取装置で、買い物カゴを収めることが出来る形状のもの。また、RFIDタグ付きの商品を買い物カゴに入れていない場合でも、RFIDタグ付き商品を直接装置内に入れることが出来、このRFIDタグを一括に読み取ることが出来るRFIDタグ読取装置。
<複数のRFIDを一括読取る在庫管理用途>
店舗や倉庫において、商品等の在庫を確認する際に、RFIDタグ付きの商品等を一括で読取、在庫管理することが出来る箱型のRFIDタグ読取装置。
読取を行いたい商品関連を買い物カゴに入れて、商品の員数確認を行うことが可能。また、買い物カゴを用いず、員数確認を行いたい商品をそのまま読取装置内に入れる場合や、RFIDタグ付き商品が入っている箱や容器をそのまま読取装置内に入れて、数量確認を行うことが出来るRFIDタグ読取装置。
【0040】
<実験例>
図6図7に例示した構成でRFIDタグ読取テストを行った。なおアンテナの仰角は10°とした。
<評価結果>
・誤読
:側面側の誤読に対しては、アンテナ1台を上方に向けて底壁に設置した構成に対して、約40%の改善となった。
【0041】
:高さ方向に関しては、アンテナ1台を上方に向けて底壁に設置した構成に対して、読取高さは40%短くなった。
【符号の説明】
【0042】
10、10a、10b・・・RFIDタグ読取装置
11・・・外箱
12・・・内箱
13・・・凹部
14・・・買い物カゴ
111・・・底壁
112・・・側壁
113・・・電波吸収材
114・・・アンテナ
115・・・金属膜
116・・・抵抗膜
117・・・金属膜
121・・・枠部
122・・・凹部の壁
141・・・商品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8