(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064431
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】電線
(51)【国際特許分類】
H01B 7/36 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
H01B7/36 Z
H01B7/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174714
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐倉 一成
【テーマコード(参考)】
5G315
【Fターム(参考)】
5G315JB03
5G315JB05
5G315JC03
(57)【要約】
【課題】切断にかかる作業性を向上すること。
【解決手段】電線1aは、芯線11と、芯線11を囲む絶縁被覆21と、を含む。そして、電線1aは、電線1aの長さ方向に沿って、絶縁被覆21の外周面21aに設けられた目盛30を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と、前記芯線を囲む絶縁被覆と、を備える電線であって、
前記絶縁被覆は、前記電線の長さ方向に沿って、前記絶縁被覆の外周面に設けられた目盛を有する、
電線。
【請求項2】
前記目盛は、前記絶縁被覆の周方向に延びる複数の目印線を有し、
前記複数の目印線は、前記長さ方向において、第1長さ間隔毎に配置された第1目印線と、前記第1長さ間隔よりも短い第2長さ間隔毎に配置された第2目印線とを含み、
前記第1目印線と前記第2目印線とは互いに異なる、
請求項1に記載の電線。
【請求項3】
前記第2目印線の前記周方向の長さは、前記第1目印線の前記周方向の長さよりも短い、請求項2に記載の電線。
【請求項4】
前記複数の目印線は、前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔毎に配置された第3目印線を含み、
前記第3目印線の前記周方向の長さは、前記第2目印線の前記周方向の長さよりも短い、請求項3に記載の電線。
【請求項5】
前記目盛は、前記絶縁被覆の周方向に連続する複数の周回線を有し、
前記複数の周回線は、前記長さ方向において、第1長さ間隔に配置された第1周回線と、前記第1長さ間隔よりも短い第2長さ間隔毎に配置された第2周回線とを含み、
前記第1周回線と前記第2周回線とは異なっている、
請求項1に記載の電線。
【請求項6】
前記複数の周回線は、それぞれ基準線を含み、
前記第1周回線は、前記基準線と、前記基準線に沿って延びる少なくとも1本の第1補助線とを含み、
前記第2周回線は、前記基準線と、前記基準線に沿って延びる少なくとも1本の第2補助線とを含み、
前記第1周回線に含まれる前記第1補助線の本数と、前記第2周回線に含まれる前記第2補助線の本数は、互いに異なる、
請求項5に記載の電線。
【請求項7】
前記複数の周回線は、前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔に配置され、前記基準線により構成された第3周回線を含む、請求項6に記載の電線。
【請求項8】
前記第2周回線の幅は、前記第1周回線の幅よりも狭い、請求項5に記載の電線。
【請求項9】
前記複数の周回線は、前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔に配置され、前記第2周回線の幅よりも狭い幅を有する第3周回線を含む、請求項8に記載の電線。
【請求項10】
前記第2周回線の色は、前記第1周回線の色と異なる、請求項5に記載の電線。
【請求項11】
前記複数の周回線は、前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔に配置され、前記第1周回線および前記第2周回線の色と異なる色の第3周回線を含む、請求項10に記載の電線。
【請求項12】
前記目盛は、
前記長さ方向において、第1長さ間隔毎に配置され、前記絶縁被覆の周方向に連続する第1周回線と、
前記第1長さ間隔よりも短い第2長さ間隔毎に配置され、前記周方向に連続し、前記第1周回線と異なる第2周回線と、
前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔毎に配置され、前記周方向に延びる目印線と、
を含む、請求項1に記載の電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電線に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業位置と作業形態を示すマーキングが設けられた電線が開示されている。特許文献2には、複数の電線を含み、複数の電線の識別を容易としたワイヤハーネスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-335251号公報
【特許文献2】国際公開第2004/015720号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ディーラーオプション等の対応として、販売時または販売後の車両に運転支援システム等の機能を付加することがある。その機能の付加には、電線を必要な長さに切断して車両に敷設したり、既設のワイヤハーネスに含まれる一部の電線に対して切断などの加工を施す作業が必要となる。このため、電線の切断にかかる作業性の向上が求められる。
【0005】
上記特許文献1の電線では、付加する機能に応じた長さの電線を切り出すということができない。また、作業位置と作業形態を示すマーキングでは、他の機能を付加する電線には使用できないこととなる。上記特許文献2のワイヤハーネスは、機能を付加するための電線が予めワイヤハーネスに組み込まれていなければならず、車両に対して付加する機能のための電線としては利用できない。
【0006】
本開示の目的は、切断にかかる作業性を向上することができる電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電線は、芯線と、前記芯線を囲む絶縁被覆と、を備える電線であって、前記絶縁被覆は、前記電線の長さ方向に沿って、前記絶縁被覆の外周面に設けられた目盛を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電線によれば、切断にかかる作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態にかかる電線の斜視図である。
【
図2】
図2は、変更例にかかる電線の斜視図である。
【
図3】
図3は、変更例にかかる電線の斜視図である。
【
図4】
図4は、変更例にかかる電線の斜視図である。
【
図5】
図5は、変更例にかかる電線の斜視図である。
【
図6】
図6は、変更例にかかる電線の斜視図である。
【
図7】
図7は、変更例にかかる電線の斜視図である。
【
図8】
図8は、変更例にかかる電線の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の電線は、芯線と、前記芯線を囲む絶縁被覆と、を備える電線であって、前記絶縁被覆は、前記電線の長さ方向に沿って、前記絶縁被覆の外周面に設けられた目盛を有する。
【0011】
この構成によれば、目盛を頼りに電線を採寸して切断することができるため、切断にかかる作業性を向上することができる。
[2]前記目盛は、前記絶縁被覆の周方向に延びる複数の目印線を有し、前記複数の目印線は、前記長さ方向において、第1長さ間隔毎に配置された第1目印線と、前記第1長さ間隔よりも短い第2長さ間隔毎に配置された第2目印線とを含み、前記第1目印線と前記第2目印線とは互いに異なることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1目印線と第2目印線とを容易に識別可能であり、第1目印線と第2目印線とを頼りに電線を採寸することができ、切断にかかる作業性を向上できる。
[3]前記第2目印線の前記周方向の長さは、前記第1目印線の前記周方向の長さよりも短いことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第1目印線と第2目印線とを容易に識別することができる。
[4]前記複数の目印線は、前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔毎に配置された第3目印線を含み、前記第3目印線の前記周方向の長さは、前記第2目印線の前記周方向の長さよりも短いことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第1目印線、第2目印線、および第3目印線を容易に識別可能であり、第1目印線と第2目印線に加えて第3目印線を頼りに電線を採寸することができ、切断にかかる作業性を向上できる。
【0015】
[5]前記目盛は、前記絶縁被覆の周方向に連続する複数の周回線を有し、前記複数の周回線は、前記長さ方向において、第1長さ間隔に配置された第1周回線と、前記第1長さ間隔よりも短い第2長さ間隔毎に配置された第2周回線とを含み、前記第1周回線と前記第2周回線とは異なっていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、電線のいずれの方向からも第1周回線と第2周回線とを容易に識別可能であり、第1周回線と第2周回線とを頼りに電線を採寸することができ、切断にかかる作業性を向上できる。
【0017】
[6]前記複数の周回線は、それぞれ基準線を含み、前記第1周回線は、前記基準線と、前記基準線に沿って延びる少なくとも1本の第1補助線とを含み、前記第2周回線は、前記基準線と、前記基準線に沿って延びる少なくとも1本の第2補助線とを含み、前記第1周回線に含まれる前記第1補助線の本数と、前記第2周回線に含まれる前記第2補助線の本数は、互いに異なることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1周回線と第2周回線とを容易に識別することができる。
[7]前記複数の周回線は、前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔に配置され、前記基準線により構成された第3周回線を含むことが好ましい。
【0019】
この構成によれば、第1周回線、第2周回線、および第3周回線を容易に識別可能であり、第1周回線と第2周回線に加えて第3周回線を頼りに電線を採寸することができ、切断にかかる作業性を向上できる。
【0020】
[8]前記第2周回線の幅は、前記第1周回線の幅よりも狭いことが好ましい。
この構成によれば、第1周回線と第2周回線とを容易に識別することができる。
[9]前記複数の周回線は、前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔に配置され、前記第2周回線の幅よりも狭い幅を有する第3周回線を含むことが好ましい。
【0021】
この構成によれば、第1周回線、第2周回線、および第3周回線を容易に識別可能であり、第1周回線と第2周回線に加えて第3周回線を頼りに電線を採寸することができ、切断にかかる作業性を向上できる。
【0022】
[10]前記第2周回線の色は、前記第1周回線の色と異なることが好ましい。
この構成によれば、第1周回線と第2周回線とを容易に識別することができる。
[11]前記複数の周回線は、前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔に配置され、前記第1周回線および前記第2周回線の色と異なる色の第3周回線を含むことが好ましい。
【0023】
この構成によれば、第1周回線、第2周回線、および第3周回線を容易に識別可能であり、第1周回線と第2周回線に加えて第3周回線を頼りに電線を採寸することができ、切断にかかる作業性を向上できる。
【0024】
[12]前記目盛は、前記長さ方向において、第1長さ間隔毎に配置され、前記絶縁被覆の周方向に連続する第1周回線と、前記第1長さ間隔よりも短い第2長さ間隔毎に配置され、前記周方向に連続し、前記第1周回線と異なる第2周回線と、前記第2長さ間隔よりも短い第3長さ間隔毎に配置され、前記周方向に延びる目印線と、を含むことが好ましい。
【0025】
この構成によれば、第1周回線、第2周回線、および目印線を容易に識別可能であり、第1周回線と第2周回線に加えて目印線を頼りに電線を採寸することができ、切断にかかる作業性を向上できる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電線の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0027】
(第1実施形態)
第1実施形態の電線1aについて、
図1に従って説明する。
図1に示すように、電線1aは、芯線11と、芯線11を囲む絶縁被覆21と、を備える。
【0028】
芯線11は、長尺状の導電材料により構成されている。導電材料としては、たとえば銅、アルミニウム、ステンレス、鉄、等を用いることができる。これらの導電材料は、合金であってもよい。合金とするための他の金属材料としては、鉄、ニッケル、マグネシウム、シリコン、それらの金属の組み合わせなどが挙げられる。芯線11は、単線から構成されていても、複数本の素線を撚り合わせてなる撚線から構成されていてもよい。
【0029】
絶縁被覆21は、たとえば合成樹脂等の絶縁材料により構成されている。絶縁被覆21は、電線1a全体として表面に露出しており、絶縁被覆21は露出した外周面21aを有している。電線1aは、絶縁被覆21となる絶縁材料を、芯線11に対する押し出し成形等によって、芯線11の外周に配置することにより得られる。
【0030】
絶縁被覆21は、外周面21aに設けられた目盛30を有している。
目盛30は、電線1aの長さ方向(
図1の左右方向)に沿って設けられている。
目盛30は、複数の目印線31を有している。目印線31は、長さの単位系による所定の間隔毎に配置されている。長さの単位系は、たとえばメートル法である。なお、長さの単位系として、ヤード・ポンド法、等を用いることもできる。
【0031】
複数の目印線31は、電線1aの長さ方向において、第1長さ間隔P1毎に配置された第1目印線31aと、第2長さ間隔P2毎に配置された第2目印線31bとを含む。第2長さ間隔P2は、第1長さ間隔P1よりも短い。第1長さ間隔P1は、たとえば1m、10m、100m、等である。第2長さ間隔P2は、たとえば0.5m(50cm)、5m、50m、等である。このように配置された第2目印線31bは、第1長さ間隔P1で配置された2つの第1目印線31aの間を等分割(2分割)するように配置されているということもできる。また、第2長さ間隔P2は、第1長さ間隔P1の1/2に設定されているということもできる。
【0032】
第1目印線31aおよび第2目印線31bは、絶縁被覆21の周方向に延びている。本実施形態において、第2目印線31bの長さL2は、第1目印線31aの長さL1よりも短い。
【0033】
複数の目印線31は、第2長さ間隔P2よりも短い第3長さ間隔P3毎に配置された第3目印線31cを含む。第3長さ間隔P3は、たとえば、0.1m(10cm)、1m、10m、等である。このように配置された第3目印線31cは、第1目印線31aと第2目印線31bとの間を5分割するように配置されているということもできる。また、第3長さ間隔P3は、第2長さ間隔P2の1/5に設定されているということもできる。本実施形態において、第3目印線31cの長さL3は、第2目印線31bの長さL2よりも短い。
【0034】
本実施形態において、目盛30は、複数の目印線31として、第1目印線31a、第2目印線31b、および第3目印線31cを含む。第1目印線31aの長さL1と、第2目印線31bの長さL2と、第3目印線31cの長さL3とは、互いに異なる(L1>L2>L3)。したがって、第1目印線31aと第2目印線31bと第3目印線31cとは、互いに識別可能である。
【0035】
目盛30は、たとえば、絶縁被覆21に対するレーザ加工、絶縁被覆21の外周面21aに対する印刷、等の方法により形成することができる。上記したように、電線1aの絶縁被覆21は、芯線11に対して絶縁材料を押し出し成形することにより形成される。目盛30の目印線31は、この押し出し成形後に電線1aを長さ方向に搬送するときに、絶縁被覆21の外周面21aに対して、所定間隔毎にレーザ加工、印刷等を行うことにより形成できる。
【0036】
(作用・効果)
以上記述したように、第1実施形態の電線1aは、以下に示す作用・効果を奏する。
(1-1)電線1aは、芯線11と、芯線11を囲む絶縁被覆21と、を備える。そして、絶縁被覆21は、電線1aの長さ方向に沿って、絶縁被覆21の外周面21aに設けられた目盛30を有する。作業者は、目盛30を頼りにして、電線1aの切断作業を行うことができる。したがって、メジャー等の採寸を行うものを用いることなく、機能を後付けするハーネスとして、必要とする長さの電線1aを得ることができる。つまり、電線1aは、後付けハーネス用電線であり、このような電線1aの切断にかかる作業性を向上できる。
【0037】
(1-2)電線1aの切断作業において、作業者は、目盛30を頼りにして、電線1aを切断する。これにより、必要とする長さの電線1aを得る。目盛30が無い電線では、切断した電線が必要な箇所に対して短い場合を考慮して、長めに電線を切断することがある。この場合、電線により付加する機能を組み付ける際に、余分となる部分を再度切断する必要がある。このときに切断される部分は、電線の歩留まりの低下を招く。これらに対し、本実施形態の電線1aは、目盛30を頼りにして必要とする長さの電線1aを得ることができるため、再切断を行う必要がない。また、目盛30に含まれる目印線31の間隔によっては、余分となる部分が生じるものの、その余分となる部分の長さを、目盛30の無い電線よりも短くすることができる、つまり電線1aの歩留まりを向上することができる。
【0038】
(1-3)電線1aは、電線1aの長さ方向に沿って、絶縁被覆21の外周面21aに設けられた目盛30を備える。したがって、この電線1a以外の電線を切断する際に、電線1aをメジャーの代替品として用いることもできる。
【0039】
(1-4)目盛30の複数の目印線31は、第1長さ間隔P1毎に設けられた第1目印線31aと、第1長さ間隔P1より短い第2長さ間隔P2毎に設けられた第2目印線31bと、を含む。これら第1目印線31aおよび第2目印線31bを頼りに、電線1aの概略の長さを読み取ることができるため、必要とする長さに近い長さで電線1aを切断することができる。
【0040】
(1-5)目盛30の複数の目印線31は、第2長さ間隔P2より短い第3長さ間隔P3毎に設けられた第3目印線31cを含む。この第3目印線31cにより、必要とする長さに対してより近い長さで電線1aを切断することができる。
【0041】
(1-6)絶縁被覆21の周方向において、第1目印線31aの長さL1と第2目印線31bの長さL2とは、互いに異なる。したがって、作業者によって、第1目印線31aと第2目印線31bとを容易に識別することができる。そして、長尺の電線1aを切り出す場合に、先ず第1目印線31aを頼りに電線1aをたとえば電線1aが巻き付けられているドラムから引き出し、第2目印線31bを頼りに概略寸法で電線1aを切断することができる。
【0042】
(1-7)絶縁被覆21の周方向において、第3目印線31cの長さL3は、第1目印線31aの長さL1および第2目印線31bの長さL2と異なる。したがって、作業者は、第3目印線31cを容易に識別することができる。そして、長尺の電線1aを切り出す場合に、先ず第1目印線31aを頼りに電線1aをたとえば電線1aが巻き付けられているドラムから引き出し、第2目印線31bを頼りに、より必要とする長さに近い長さで電線1aを切断することができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電線1bについて、
図2に従って説明する。
なお、第2実施形態の電線1bについて、第1実施形態の電線1aに対して、目盛40の構成が異なる。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0044】
図2に示すように、本実施形態の絶縁被覆21は、外周面21aに設けられた目盛40を有している。目盛40は、複数の周回線41を含む。複数の周回線41は、絶縁被覆21の外周面21aにおいて、周方向に連続する線である。つまり、複数の周回線41は、絶縁被覆21の周方向において、外周面21aの全体に亘って形成されている。したがって、電線1bの径方向について、いずれの方向からも周回線41、つまり目盛40を確認できる。
【0045】
複数の周回線41は、長さの単位系による所定の間隔毎に配置されている。長さの単位系は、たとえばメートル法である。なお、長さの単位系として、ヤード・ポンド法、等を用いることもできる。
【0046】
複数の周回線41は、電線1bの長さ方向において、第1長さ間隔P1毎に配置された第1周回線41aと、第2長さ間隔P2毎に配置された第2周回線41bとを含む。第2長さ間隔P2は、第1長さ間隔P1よりも短い。第1長さ間隔P1は、たとえば1m、10m、100m、等である。第2長さ間隔P2は、たとえば0.5m(50cm)、5m、50m、等である。このように配置された第2周回線41bは、第1長さ間隔P1で配置された2つの第1周回線41aの間を等分割(2分割)するように配置されているということもできる。また、第2長さ間隔P2は、第1長さ間隔P1の1/2に設定されているということもできる。
【0047】
複数の周回線41は、第2長さ間隔P2よりも短い第3長さ間隔P3毎に配置された第3周回線41cを含む。第3長さ間隔P3は、たとえば、0.1m(10cm)、1m、10m、等である。このように配置された第3周回線41cは、第1周回線41aと第2周回線41bとの間を5分割するように配置されているということもできる。また、第3長さ間隔P3は、第2長さ間隔P2の1/5に設定されているということもできる。
【0048】
複数の周回線41は、それぞれ基準線42を含む。
第1周回線41aは、1本の基準線42と、4本の第1補助線43aとを含む。基準線42および第1補助線43aは、それぞれ絶縁被覆21の周方向において連続する線である。本実施形態において、4本の第1補助線43aは、基準線42を挟んでそれぞれ2本ずつ配置されている。なお、4本の第1補助線43aは、1本の第1補助線43aと3本の第1補助線43aとが基準線42を挟んで配置されていてもよい。また、基準線42に対して長さ方向の一方の側に4本の第1補助線43aが並んで配置されていてもよい。第1補助線43aの線幅は、基準線42の線幅と同じであってもよく、基準線42の線幅と異なっていてもよい。
【0049】
第2周回線41bは、基準線42と、2つの第2補助線43bとを含む。基準線42および第2補助線43bは、それぞれ絶縁被覆21の周方向において連続する線である。本実施形態において、2つの第2補助線43bは、基準線42を挟んで配置されている。なお、基準線42に対して長さ方向の一方の側に2本の第2補助線43bが並んで配置されていてもよい。第2補助線43bの線幅は、基準線42の線幅と同じであってもよく、基準線42の線幅と異なっていてもよい。
【0050】
第3周回線41cは、基準線42のみを含む。つまり、第3周回線41cは、補助線を含まない。
本実施形態において、目盛40は、複数の周回線41として、第1周回線41a、第2周回線41b、および第3周回線41cを含む。第1周回線41aと第2周回線41bと第3周回線41cは、それぞれが含む補助線の本数が異なる。したがって、第1周回線41aと第2周回線41bと第3周回線41cとは、互いに識別可能である。
【0051】
(作用・効果)
以上記述したように、第2実施形態の電線1bは、第1実施形態の電線1aで示した(1-1)から(1-5)の作用・効果に加え、以下に示す作用・効果を奏する。
【0052】
(2-1)目盛40は、複数の周回線41として、第1周回線41aおよび第2周回線41bを含む。第1周回線41aは、4本の第1補助線43aを含み、第2周回線41bは、2本の第2補助線43bを含む。したがって、第1周回線41aと第2周回線41bとは、互いに識別可能である。このため、したがって、作業者によって、第1周回線41aと第2周回線41bとを容易に識別することができる。そして、長尺の電線1bを切り出す場合に、先ず第1周回線41aを頼りに電線1bをたとえば電線1bが巻き付けられているドラムから引き出し、第2周回線41bを頼りに概略寸法で電線1bを切断することができる。
【0053】
(2-2)第3周回線41cは、基準線42のみを含む。したがって、したがって、作業者は、第3周回線41cを容易に識別することができる。そして、長尺の電線1bを切り出す場合に、先ず第1周回線41aを頼りに電線1bをたとえば電線1bが巻き付けられているドラムから引き出し、第2周回線41bを頼りに、より必要とする長さに近い長さで電線1bを切断することができる。
【0054】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0055】
・上記実施形態に対し、目盛30,40の構成を適宜変更してもよい。
図3に示す電線1cの絶縁被覆21は、目盛40cを有する。目盛40cは、複数の周回線44を含む。複数の周回線44は、電線1cの長さ方向において、第1長さ間隔P1毎に配置された第1周回線44aと、第2長さ間隔P2毎に配置された第2周回線44bとを含む。第1周回線44aと第2周回線44bとは、色が互いに異なる。たとえば、第1周回線44aは金色であり、第2周回線44bは銀色である。また、複数の周回線44は、第2長さ間隔P2よりも短い第3長さ間隔P3毎に配置された第3周回線44cを含む。第3周回線44cは、第1周回線44aおよび第2周回線44bと色が異なる。たとえば、第3周回線44cは黒色である。なお、第1周回線44a、第2周回線44b、および第3周回線44cは、適宜変更することができる。このように、目盛40cに含まれる第1周回線44a、第2周回線44b、および第3周回線44cを互いに異なる色とすることにより、第1周回線44a、第2周回線44b、および第3周回線44cを容易に識別することができる。そして、電線1cにおける切断にかかる作業性を向上できる。
【0056】
図4に示す電線1dの絶縁被覆21は、目盛30dを有する。目盛30dの第3目印線31cは、第1目印線31aと第2目印線31bとの間を4分割するように配置されている。なお、第3長さ間隔P3は、第2長さ間隔P2の1/4に設定されているということもできる。このような目盛30dを備える電線1dは、電線1dにおける切断にかかる作業性を向上できる。
【0057】
図5に示す電線1eの絶縁被膜21は、目盛30eを有する。目盛30eの第3目印線31cは、第1目印線31aと第2目印線31bとの間を等分割(2分割)するように配置されている。なお、第3長さ間隔P3は、第2長さ間隔P2の1/2に設定されているということもできる。このような目盛30eを備える電線1eは、電線1eにおける切断にかかる作業性を向上できる。
【0058】
図6に示す電線1fの絶縁被覆21は、目盛40fを有する。目盛40fは、複数の周回線45を含む。複数の周回線45は、電線1fの長さ方向において、第1長さ間隔P1毎に配置された第1周回線45aと、第2長さ間隔P2毎に配置された第2周回線45bとを含む。第1周回線45aと第2周回線45bとは、線幅が互いに異なる。たとえば、第2周回線45bの線幅は、第1周回線45aの線幅よりも狭い。また、複数の周回線45は、第2長さ間隔P2よりも短い第3長さ間隔P3毎に配置された第3周回線45cを含む。第3周回線45cは、第1周回線45aおよび第2周回線45bと線幅が異なる。たとえば、第3周回線45cの線幅は、第2周回線45bの線幅よりも狭い。このように、目盛40fに含まれる第1周回線45a、第2周回線45b、および第3周回線45cの線幅を互いに異なるようにすることにより、第1周回線45a、第2周回線45b、および第3周回線45cを容易に識別することができる。そして、電線1fにおける切断にかかる作業性を向上できる。
【0059】
図7に示す電線1gの絶縁被覆21は、目盛50を有する。目盛50は、上記第1実施形態の第3目印線31cと、上記第2実施形態の第1周回線41aおよび第2周回線41bを含む。このような電線1gは、上記各実施形態と同様に、第1周回線41a、第2周回線41b、および第3目印線31cを容易に識別することができる。そして、電線1gにおける切断にかかる作業性を向上できる。なお、第1周回線41aは、
図3に示す第1周回線44a、または
図6に示す第1周回線45aとすることもできる。同様に、第2周回線41bは、
図3に示す第2周回線44b、または
図6に示す第2周回線45bとすることもできる。また、第2周回線41bに代えて、第2目印線31bを設けた構成としてもよい。
【0060】
・上記実施形態および変更例において、電線1hの構成は適宜変更されてもよい。
図8に示す電線1hは、導電性を有する芯線11と、芯線11の外周を囲う絶縁被覆22と、絶縁被覆22の外周を囲う編組線23と、編組線23の外周を囲う絶縁性のシース24と、とを備える。この電線1hは、シールド電線である。この電線1hのシース24は、外周面24aに、第1実施形態の電線1aと同様に目盛30を有する。このような電線1hでは、絶縁性のシース24の外周面24aが絶縁被覆の外周面に相当する。このような電線1hについても、上記実施形態および変更例と同様に、電線1hの切断にかかる作業性を向上することができる。
【0061】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1a~1h 電線
11 芯線
21 絶縁被覆
21a 外周面
22 絶縁被覆
23 編組線
24 シース
24a 外周面
30,30d,30e 目盛
31 目印線
31a 第1目印線
31b 第2目印線
31c 第3目印線
40,40c,40f 目盛
41,44,45 周回線
41a,44a,45a 第1周回線
41b,44b,45b 第2周回線
41c,44c,45c 第3周回線
42 基準線
43a 第1補助線
43b 第2補助線
50 目盛
P1 第1長さ間隔
P2 第2長さ間隔
P3 第3長さ間隔
L1~L3 長さ