(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064947
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】バッテリの冷却構造
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6566 20140101AFI20230502BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230502BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230502BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20230502BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20230502BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20230502BHJP
【FI】
H01M10/6566
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/617
H01M10/651
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175421
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 佳範
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】複雑な構造を用いることなく簡素な構成でバッテリを効率良く冷却することができるバッテリの冷却構造を提供する。
【解決手段】バッテリ3の形状に応じて長く延びバッテリ3に沿って配設される第1の部位13と、第1の部位13につながっている第2の部位15とを備えたダクト本体部7と、ダクト本体部7の第1の部位13の長手方向でならんで第1の部位13に設けられており、ダクト本体部7の第1の部位13がバッテリ3に沿って配設されたときにバッテリ3に対向する複数の第1の開口部9と、ダクト本体部7の第2の部位15に設けられており、ダクト本体部7内の空気を吸引するための吸引装置19に接続される第2の開口部11とを有するバッテリの冷却構造1である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの形状に応じて長く延び前記バッテリに沿って配設される第1の部位と、前記第1の部位につながっている第2の部位とを備えたダクト本体部と、
前記ダクト本体部の第1の部位の長手方向でならんで前記第1の部位に設けられており、前記ダクト本体部の第1の部位が前記バッテリに沿って配設されたときに前記バッテリに対向する複数の第1の開口部と、
前記ダクト本体部の第2の部位に設けられており、前記ダクト本体部内の空気を吸引するための吸引装置に接続される第2の開口部と、
を有するバッテリの冷却構造。
【請求項2】
前記ダクト本体部は前記バッテリの上面に対向して配設される請求項1に記載のバッテリの冷却構造。
【請求項3】
前記第1の開口部の径の値が、前記第2の開口部から離れるにしたがって小さくなっている請求項1または請求項2に記載のバッテリの冷却構造。
【請求項4】
前記ダクト本体部の第1の部位は有底筒状に形成されており、また、前記ダクト本体部の第1の部位は複数設けられており、
前記ダクト本体部の第2の部位に前記第1の部位の長手方向の端が接続されていることで、前記第1の部位の内部空間が前記第2の部位の内部空間につながっている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバッテリの冷却構造。
【請求項5】
前記複数の第1の部位は、これらの長手方向が互いに一致して、前記第1の部位の長手方向に対して直交する所定の一方向にならんでおり、
前記複数の第1の部位の長手方向における前記第2の部位とは反対側の端の位置は、第1の部位の長手方向で互いが一致しており、前記複数の第1の部位の長手方向の前記第2の部位側の端の位置も、第1の部位の長手方向で互いが一致しており、
前記第2の部位は、前記第1の部位の長手方向に対して直交する前記所定の一方向に長く延びている請求項4に記載のバッテリの冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車等に搭載される車載バッテリの冷却構造として、バッテリ(バッテリのユニット)周辺の空気を強制的に吸引してバッテリから発せられる熱を排出するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
従来のバッテリの冷却構造では、バッテリユニットと冷却ファンとの間に冷却媒体(たとえば空気)の流路を形成するダクトを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のバッテリの冷却構造では、バッテリユニットと冷却ファンとダクトとの接続部が離間するほど、空気の吸引力は低下してしまう。そこで、別途冷却力を補うなどすることが必要となり、構造が複雑化して製造コストを高騰させる一因となる。
【0006】
本発明は、複雑な構造を用いることなく簡素な構成でバッテリを効率良く冷却することができるバッテリの冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るバッテリの冷却構造装置は、バッテリの形状に応じて長く延び前記バッテリに沿って配設される第1の部位と前記第1の部位につながっている第2の部位とを備えたダクト本体部と、前記ダクト本体部の第1の部位の長手方向でならんで前記第1の部位に設けられており前記ダクト本体部の第1の部位が前記バッテリに沿って配設されたときに前記バッテリに対向する複数の第1の開口部と、前記ダクト本体部の第2の部位に設けられており、前記ダクト本体部内の空気を吸引するための吸引装置に接続される第2の開口部とを有するバッテリの冷却構造である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複雑な構造を用いることなく簡素な構成でバッテリを効率良く冷却することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るバッテリの冷却構造で使用されるダクトを斜め下方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るバッテリの冷却構造で使用されるダクトを斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】
図1におけるIII-III断面を示す図である。
【
図4】
図1におけるIV-IV断面を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るバッテリの冷却構造の平面図であって、ダクトの第2の部位とこの第2の部位周辺の部位および吸引装置等を示す図である。
【
図6】比較例に係るバッテリの冷却構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係るバッテリの冷却構造1は、バッテリ(たとえば車両に搭載される車載バッテリ)3の冷却のために使用されるものである。以下、図面を参照しつつバッテリの冷却構造1について説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、説明の便宜のために、バッテリの冷却構造1における所定の一方向を縦方向とし、縦方向に対して直交する所定の一方向を横方向とし、縦方向と横方向とに対して直交する方向を上下方向とする。縦方向、横方向は、たとえば水平方向な方向になっている。
【0011】
バッテリの冷却構造1には、ダクト5が使用されている。ダクト5は、
図1~
図5で示すように、ダクト本体部7と第1の開口部9と第2の開口部11とを備えて構成されている。ダクト本体部7は、第1の部位(長手部)13と第2の部位(中間部)15と備えて構成されている。
【0012】
第1の部位13は、バッテリ3の形状に応じて長く延びてバッテリ3に沿って配設されるようになっている。第2の部位15は、第1の部位13とつながっている。第2の部位15と第1の部位13とがつながっていることで、1つのダクト本体部7(ダクト5)の内部には、連続してつながっている1つの内部空間17が形成されている。
【0013】
第1の開口部9は、空気の吸引口であり、バッテリ3近傍の昇温している空気を吸引してバッテリ3を冷却するために設けられている。第1の開口部9は、複数設けられている。複数の第1の開口部9は、ダクト本体部7の第1の部位13の長手方向(縦方向)で所定の間隔をあけて1列でならび第1の部位13に設けられている。
【0014】
また、ダクト5(ダクト本体部7)の第1の部位13がバッテリ3に沿って配設されたときに、複数の第1の開口部9は、バッテリ3に対向するようになっている。第1の開口部9が設けられていることで、第1の部位13の内部空間17(17A)とダクト5の外部の空間とがつながっている。
【0015】
第2の開口部11は、ダクト本体部7の第2の部位15にたとえば1つだけ設けられている。第2の開口部11は、ダクト本体部7の内部空間17内の空気をバッテリ3から離れる方向に吸引するための吸引装置(冷却用ファン)19に接続されるようになっている。吸引装置19等が設置されていない状態(
図1、
図2等で示す状態)では、第2の開口部11によって、第2の部位15の内部空間17(17B)とダクト5の外部の空間とがつながっている。
【0016】
吸引装置19でダクト5内の空気が吸引されることで、第1の開口部9からダクト5内(ダクト5の内部空間17)に空気の吸引がされるようになっている。なお、ダクト5は、たとえばブロー成形で製造されている。これにより、インジェクション成形で製造するよりもダクト5を安価に製造することができる。
【0017】
ダクト5はバッテリ3の上面に対向して配設されるようになっている。すなわち、ダクト5はバッテリ3の上側でバッテリ3から僅かに離れるようにして配設されるようになっている。ダクト5が配設されときには、第1の開口部9がバッテリ3に臨んでいる。なお、上下方向で見ると第1の開口部9は円形になっているが、必ずしも円形になっている必要は無い。
【0018】
また、第1の開口部9は、第2の開口部11から離れるにしたがって、径の値が小さくなっている。たとえば、第2の開口部11(吸引装置19)から最も離れている第1の開口部9の径の値が最も小さくなっており、第2の開口部11の最も近くにある第1の開口部9の径の値が最も大きくなっている。このような、第1の開口部9の径の値の違いは、複数の第1の開口部9それぞれにおける空気の吸引量の偏りを極力少なくして、複数の第1の開口部9それぞれにおける空気の吸引量を概ね等しくするためになされている。
【0019】
ダクト本体部7の第1の部位13は有底筒状(たとえば有底円筒状)に形成されている。ダクト本体部7の第1の部位は複数設けられている。ダクト本体部7の第2の部位15に第1の部位13の長手方向の端が接続されていることで、第1の部位13の内部空間17Aが第2の部位15の内部空間17Bにつながっている。第1の部位13の長手方向の端(有底筒の底壁部21とは反対側の端)は、開口部位23(
図4参照)になっている。開口部位23は第1の開口部9、第2の開口部11とは異なるものである。
【0020】
複数の第1の部位13は、これらの長手方向が互いに一致している(縦方向になっている)。複数の第1の部位13は、第1の部位13の長手方向に対して直交する所定の一方向(横方向)でならんでいる。
【0021】
複数の第1の部位13の長手方向における第2の部位15とは反対側の端(底壁部21)の位置は、第1の部位13の長手方向で互いが一致している。複数の第1の部位13の長手方向における第2の部位15側の端(開口部位23)の位置も、第1の部位13の長手方向で互いが一致している。
【0022】
第2の部位15は、第1の部位13の長手方向に対して直交する所定の一方向(横方向)に長く延びている。平面視すると(上下方向で見ると)、ダクト5は、矩形状に形成されている。第2の開口部11は、縦方向で、第2の部位15を間にして、第1の部位13とは反対側に設けられている。
【0023】
ここで、バッテリの冷却構造1についてさらに詳しく説明する。
【0024】
ダクト本体部7の第1の部位13は、薄肉の円筒状部25と薄肉円板状の底壁部21とを備えて有底円筒状に形成されている。円筒状部25の中心軸は縦方向に延びている。底壁部21は、円筒状部25の2つの開口部のうちの1つの開口部を塞いでいる。円筒状部25の2つの開口部のうちの他の1つの開口部が開口部位23になっている。
【0025】
ダクト本体部7の第2の部位15は、横方向の寸法の値が、縦方向の寸法の値および上下方向の寸法の値に比べて相当に大きい矩形な枡状に形成されている。矩形な枡状に形成されている第2の部位15の開口部は、第2の開口部11を形成しており、縦方向で第1の部位13とは反対側に位置している。
【0026】
矩形な枡状に形成されている第2の部位15の底壁部27(
図4参照)には、第1の部位13が接続されている。第2の部位15の底壁部27の厚さ方向は縦方向になっており、底壁部27には底壁部27をこの厚さ方向で貫通している複数の円形状の貫通孔が形成されている。複数の円形状の貫通孔は、横方向で所定の小さな間隔をあけてならんでいる。
【0027】
底壁部27の複数の円形状の貫通孔のそれぞれに複数の第1の部位13のそれぞれが接続されている。これにより、底壁部27の複数の円形状の貫通孔は、第1の部位13の開口部位23と合致している。
【0028】
ここで、ダクト本体部7の第1の部位13の円筒状部25の内径について
図4を参照しつつ説明する。円筒状部25の内径は、第2の部位15に近づくに従って段階的に小さくなっている。すなわち、内径Da1>内径Da2>内径Da3になっている。なお、内径Da1の部位は、円筒状部25の大部分を占めており、内径Da2の部位および内径Da3の部位は僅かになっている。たとえば、総ての第1の開口部9は、内径Da1の部位に形成されている。
【0029】
内径Da2の部位および内径Da3の部位(特に内径Da3の部位)が形成されていることで、吸気の勢い(空気の流れの勢い)が強くなり、第1の開口部9からの空気の吸い込み速度を高めることができる。なお、円筒状部25の内径が段階的ではなく、連続的に次第に変化していてもよい。
【0030】
第1の開口部9は、第1の部位13の円筒状部25から下側に僅かに突出している筒状部位(たとえば円筒状部位)29の先端に形成されている。
【0031】
第1の開口部9の径の値は、上述したように、第2の開口部11から離れるにしたがって小さくなっている。表現を変えれば、第2の開口部11(第2の部位15)に近づくにしたがって大きくなっている。すなわち、内径Db1<内径Db2<内径Db3<内径Db4<内径Db5<内径Db6になっている。なお、参照符号Db1からDb6も、
図4に示してある。
【0032】
これは、第2の開口部11(吸引装置19)から遠ざかるほど吸気の勢いが弱まることに起因している。吸気ダクト(吸引装置19)に近いほどダクト5の吸気開口部(第1の開口部)9の大きさを大きくし、遠ざかるほど吸気開口部9の大きさを小さくして、可能な限り勢いよく吸熱できるようにするためである。
【0033】
また、1つの第1の部位13に複数(たとえば6つの)の第1の開口部9が設けられているとともに、1つの第2の部位15に複数(たとえば5つの)の第1の部位13が接続されている。これにより、1つのダクト5(ダクト本体部7)には、複数(たとえば30)の第1の開口部9が設けられていることになる。複数の第1の開口部9は、平面視で行列をなして配置されている。
【0034】
複数の第1の開口部9を形成している複数の筒状部位29の下端の位置は、互いが一致している。第1の部位13に設けられている複数の第1の開口部9の間隔(縦方向での間隔)は、たとえば、一定の値になっている。
【0035】
複数の第1の部位13は、
図1等で示すように、所定の間隔をあけて横方向にならんでいる。複数の第1の部位13は、上方向では互いの位置が一致している。また、上下方向における第2の部位15の位置も、第1の部位13の位置と概ね一致している。
【0036】
図1で示すように、中央の第1の部位13を除く複数の第1の部位13が、第2の部位15の近傍で横方向中央側に若干曲がっている。これにより、ダクト5の幅寸法W1>幅寸法W2になっている。そして、バッテリ3の形状に合わせて第1の開口部9を適宜配置し、バッテリ3を効率良く冷却することができるようになっている。また、幅寸法W1>幅寸法W2にすることで、吸気の勢いを強めている。なお、総ての第1の部位13が曲がることなく縦方向にまっすぐ延びていてもよい。
【0037】
横方向における複数の第1の部位13の間隔は、
図3で示すように、横方向中央側で大きく、横方向中央側で小さくなっている。すなわち、寸法W3>寸法W4になっている。これは、バッテリ3の仕様(特性)に応じて、バッテリ3を効率良く冷却するためである。なお、複数の第1の部位13の間隔とは、曲がっている部位よりも第2の部位15から離れた側の部位であり縦方向にまっすぐ延びている部位における間隔である。なお、第1の部位13の内径がDa1の部位では、横方向における間隔の値が一定になっている。
【0038】
なお、バッテリ3の仕様(特性)が変更になれば、寸法W3=寸法W4になり、また、寸法W3<寸法W4になる場合もある。
【0039】
複数の第1の部位13の間には、連結部31が設けられている。連結部31は、たとえば、平板状に形成されており、厚さ方向が上下方向になっており、互いが隣り合っている第1の部位13同士をつないでいる。これにより、ダクト本体部7の剛性が高まっている。連結部31は、上下方向では、第1の部位13の中央のところに位置している。
【0040】
また、バッテリの冷却構造1では、
図5で示すように、第2の開口部11が連結ダクト33を介して吸引装置19とつながっている。
図5で示す態様では、1つの連結ダクト33に複数(たとえば2つ)のダクト5が接続されているが、1つの連結ダクト33に1つのダクト5が接続されている態様であってもよい。
【0041】
ところで、バッテリ3を効率良く冷却するために、バッテリ3の仕様(特性)に応じて、第1の開口部9の数、第1の開口部9のサイズ(径)、第1の開口部9の設置間隔等を適宜変更してもよい。
【0042】
また、バッテリ3を効率良く冷却するために、バッテリ3の仕様(特性)に応じて、第1の部位13の長手方向、筒状部位29の下端の位置を適宜変更してもよい。たとえば、第1の部位13の長手方向が縦方向に対して斜めな方向になっていてもよいし、複数の第1の部位13それぞれの長手方向が互いに異なっていてもよい。
【0043】
ここで、バッテリの冷却構造1に動作について説明する。
【0044】
バッテリ3が発熱すると、バッテリ3周辺の空気が温められて昇温し熱風となって上昇する。
図3、
図4で示す参照符号35は、熱風の上昇を示している。
【0045】
ここで、吸引装置19を稼働すると、第1の開口部9から熱風がダクト5内に吸引され、ダクト5内に吸引された熱風が、バッテリ3から離れたところで吸引装置19の空気排出孔から排出される。これにより、バッテリ3の冷却がされる。なお、
図3、
図4、
図5の多数の矢印は、空気の流れを示している。また、
図3、
図4に参照符号37で示すものはボードである。
【0046】
バッテリの冷却構造1では、ダクト本体部7の第1の部位13に、第1の部位13の長手方向にならんだ複数の第1の開口部9が設けられている。また、バッテリの冷却構造1では、ダクト本体部7の第1の部位13がバッテリ3に沿って配設されたときに複数の第1の開口部9がバッテリ3に対向するようになっている。さらに、バッテリの冷却構造1では、ダクト本体部7の第2の部位15に設けられている第2の開口部11から、吸引装置19によってダクト本体部7内の空気が排出されるようになっている。
【0047】
これにより、複数の第1の開口部9からダクト本体部7内にバッテリ3周辺の昇温された空気(バッテリ3によって昇温された空気)が吸引されるようになっている。そして、複数の第1の開口部9のそれぞれをバッテリ3の形状に合わせて配置させることで、複雑な構造を用いることなく簡素な構成でバッテリ3を効率良く冷却することができる。すなわち、バッテリ3の総てをほぼ均一に冷却することができる。
【0048】
また、バッテリの冷却構造1では、第2の部位15と、複数の第1の開口部9を備えた複数の第1の部位13とで、複数の第1の開口部9を適宜配置している。これにより、バッテリの冷却構造1の構成が簡素になっており価格の高騰を抑えることができる。
【0049】
ここで、比較例に係るバッテリの冷却構造301について、
図6を参照しつつ説明する。バッテリの冷却構造301では、バッテリ303の上ではなくバッテリ303の左右(
図6の紙面では上下)に並んだバッテリ303、303の間に、ダクト305が設置されている。また、ダクト305の、バッテリ303と対向する面に、矩形の長い開口部(ダクト305内に空気を吸引するための開口部)が設けられている。
【0050】
そして、吸引装置(吸気ファン;冷却ファン)307を稼働することで、矩形の長い開口部から空気を吸引している。
図6に示す矢印は、吸引装置307が稼働しているときの空気の流れを示している。
【0051】
比較例に係るバッテリの冷却構造301では、吸気ファン307に近い位置では吸気の勢いが強いものの、吸気ファン307から遠ざかればその分勢いが弱まり、冷却ファン307から遠い側の冷却が難しくなる。すなわち、バッテリ303の、斜線を施してある部位では、吸気の風速が遅く冷却が不十分になる。そして、バッテリ303を均等冷却することができなくなっている。
【0052】
また、バッテリの冷却構造1では、ダクト5(ダクト本体部7)がバッテリ3の上面に対向して配設されるようになっている。これにより、バッテリ3で昇温されて上昇してきた空気をただちに第1の開口部9からダクト5内に吸い込むことができ、バッテリ3を一層効率良く冷却することができる。
【0053】
また、バッテリの冷却構造1では、第1の開口部9の径の値が第2の開口部11から離れるにしたがって小さくなっている。これにより、ダクト本体部7内に流路抵抗があっても、複数の第1の開口部9それぞれからの空気の吸引量をほぼ等しくすることができ(吸引の勢いの偏りをほぼ無くすことができ)、バッテリ3の全体を均一に冷却することができる。
【0054】
また、バッテリの冷却構造1では、ダクト本体部7の第1の部位13が有底筒状に形成されて、第1の部位13が複数設けられている。また、バッテリの冷却構造1では、第2の部位15に第1の部位13の長手方向の端が接続されていることで、第1の部位の内部空間17Aが第2の部位15の内部空間17Bにつながっている。
【0055】
これにより、複数の第1の部位13内の空気を簡素な構成で1つの第2の部位15内に移動させることができるとともに、平面視で縦方向および横方向に広がっているバッテリ3まわりの空気をほぼ均一に吸引することができる。
【0056】
バッテリの冷却構造1において、ダクト本体部7の第1の部位13が有底円筒状に形成されていることで、ダクト本体部7の剛性(特に上下方向の荷重に対する剛性)が高くなっている。これにより、車両の床に設置され踏みつけられても、踏みつけ荷重に対して十分に耐えることができ、ダクト5が破損することなくなる。
【0057】
また、バッテリの冷却構造1では、複数の第1の部位13が、これらの長手方向が互いに一致していることなどにより、平面視するとダクト5(ダクト本体部7)が、矩形状に形成されている。これにより、平面視において矩形状のバッテリ3の全体にわたって、第1の開口部9をほぼ均一にしかも容易に配置することができ、ムラのない態様でバッテリ3の冷却をすることができる。
【0058】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 バッテリの冷却構造
3 バッテリ
7 ダクト本体部
9 第1の開口部
11 第2の開口部
13 第1の部位
15 第2の部位
17(17A、17B) 内部空間
19 吸引装置