(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065086
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】電力システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/264 20060101AFI20230502BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
E06B9/264 C
E06B9/264 B
E06B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175685
(22)【出願日】2021-10-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 紳之介
(72)【発明者】
【氏名】宮道 祐介
(72)【発明者】
【氏名】西村 太佑
(72)【発明者】
【氏名】竹中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】馬場 雅博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅也
【テーマコード(参考)】
2E043
2E239
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043AA05
2E043AB04
2E043BB04
2E043BE01
2E043BE13
2E239AA09
(57)【要約】
【課題】 ブラインド装置を含むシステム全体として消費電力を適切に抑制することを可能とする電力システム及び制御方法を提供する。
【解決手段】 電力システムは、所定空間の窓に取り付けられ、太陽電池セルが配置されたスラットを有するブラインド装置と、前記ブラインド装置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記所定空間の環境を調整する所定装置の消費電力及び前記太陽電池セルの発電電力に基づいて、前記スラットの角度を調整する動作モードを実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間の窓に取り付けられ、太陽電池セルが配置されたスラットを有するブラインド装置と、
前記ブラインド装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記所定空間の環境を調整する所定装置の消費電力及び前記太陽電池セルの発電電力に基づいて、前記スラットの角度を調整する動作モードを実行する、電力システム。
【請求項2】
前記所定装置は、前記所定空間の温度を調整する空調装置及び前記所定空間の照度を調整する照明装置の少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記太陽電池セルの発電電力、前記所定空間の温度及び所定空間の照度の少なくともいずれか1つに基づいて定められた前記スラットの基準角度に基づいて、前記動作モードを実行する、請求項2に記載の電力システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定空間を含むエリアの気象条件に基づいて、前記動作モードを実行する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電力システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記気象条件に基づいて、前記スラットの基準角度を選択する、請求項3を引用する請求項4に記載の電力システム。
【請求項6】
前記制御部は、選択された基準角度の角度幅において、前記スラットの角度を探索する、請求項5に記載の電力システム。
【請求項7】
所定空間の窓に取り付けられ、太陽電池セルが配置されたスラットを有するブラインド装置を制御するステップAを備え、
前記ステップAは、前記所定空間の環境を調整する所定装置の消費電力及び前記太陽電池セルの発電電力に基づいて、前記スラットの角度を調整する動作モードを実行するステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スラットを有するブラインド装置において、スラットの表面に太陽電池セル(以下、PV(Photovoltaic)セル)を配置する技術が提案されている。このような技術において、PVセルから電力を取り出すためのリード線の損傷を防ぐ技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、PVセルがスラットに配置されていないブラインド装置において、スラットの角度を調整することによって、ブラインド装置が取り付けられた窓を含む所定空間の室温を上昇させ、空調装置(暖房)の負荷を軽減する技術も提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/116413号パンフレット
【特許文献2】特開2004-178938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、PVセルがスラットに配置されたブラインド装置では、PVセルの発電電力が得られるため、スラットの角度を調整することによって空調装置の負荷を軽減しても、ブラインド装置及び空調装置を含むシステム全体として、消費電力を抑制することができるとは限らない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ブラインド装置を含むシステム全体として消費電力を適切に抑制することを可能とする電力システム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴は、電力システムであって、所定空間の窓に取り付けられ、太陽電池セルが配置されたスラットを有するブラインド装置と、前記ブラインド装置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記所定空間の環境を調整する所定装置の消費電力及び前記太陽電池セルの発電電力に基づいて、前記スラットの角度を調整する動作モードを実行する、ことを要旨とする。
【0008】
第2の特徴は、制御方法であって、所定空間の窓に取り付けられ、太陽電池セルが配置されたスラットを有するブラインド装置を制御するステップAを備え、前記ステップAは、前記所定空間の環境を調整する所定装置の消費電力及び前記太陽電池セルの発電電力に基づいて、前記スラットの角度を調整する動作モードを実行するステップを含む、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブラインド装置を含むシステム全体として消費電力を適切に抑制することを可能とする電力システム及び制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る施設100を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るブラインド装置140を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るEMS160を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る消費電力優先モードを説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る消費電力優先モードを説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る消費電力優先モードを説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る消費電力優先モードを説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0012】
[実施形態]
(電力管理システム)
以下において、実施形態に係る電力管理システムについて説明する。電力管理システムは、単に、電力システムと称されてもよい。
【0013】
図1に示すように、電力管理システム1は、施設100を有する。電力管理システム1は、電力管理サーバ200を含んでもよい。
【0014】
ここで、施設100及び電力管理サーバ200は、ネットワーク11を介して通信可能に構成される。ネットワーク11は、インターネットを含んでもよく、VPN(Virtual Private Network)などの専用回線を含んでもよく、移動体通信網を含んでもよい。
【0015】
施設100は、電力系統12と連系しており、電力系統12から電力が供給されてもよく、電力系統12に電力を供給してもよい。電力系統12から施設100への電力は、潮流電力、買電電力又は需要電力と称されてもよい。施設100から電力系統12への電力は、逆潮流電力又は売電電力と称されてもよい。
図1では、施設100として、施設100A~施設100Cが例示されている。
【0016】
特に限定されるものではないが、施設100は、住宅などの施設であってもよく、店舗などの施設であってもよく、オフィスなどの施設であってもよい。施設100は、2以上の住宅を含む集合住宅であってもよい。施設100は、住宅、店舗及びオフィスの少なくともいずれか2以上の施設を含む複合施設であってもよい。施設100の詳細については後述する(
図2を参照)。
【0017】
電力管理サーバ200は、地域電力会社などの事業者によって管理されてもよい。地域電力会社は、自治体などによって運営される電力会社であってもよい。電力管理サーバ200は、発電事業者、送配電事業者或いは小売事業者、リソースアグリゲータなどの事業者によって管理されるサーバである。リソースアグリゲータは、VPP(Virtual Power Plant)において、電力系統12の電力需給バランスを調整する電力事業者であってもよい。電力需給バランスの調整は、施設100の需要電力(潮流電力)の削減電力を価値と交換する取引(以下、ネガワット取引)を含んでもよい。電力需給バランスの調整は、逆潮流電力の増大電力を価値と交換する取引を含んでもよい。リソースアグリゲータは、VPPにおいて、発電事業者、送配電事業者及び小売事業者などに逆潮流電力を提供する電力事業者であってもよい。
【0018】
(施設)
以下において、実施形態に係る施設について説明する。
図2に示すように、施設100は、太陽電池装置110と、蓄電装置120と、燃料電池装置130と、ブラインド装置140と、負荷機器150と、EMS(Energy Management System)160と、を有する。施設100は、測定装置190を有してもよい。
【0019】
太陽電池装置110は、太陽光などの光に応じて発電をする分散電源である。例えば、太陽電池装置110は、PCS(Power Conditioning System)及び太陽光パネルによって構成される。実施形態では、太陽電池装置110は、施設100に設置される発電装置の一例であってもよい。
【0020】
蓄電装置120は、電力の充電及び電力の放電をする分散電源である。例えば、蓄電装置120は、PCS及び蓄電セルによって構成される。実施形態では、蓄電装置120は、施設100に設置される蓄電装置の一例であってもよい。
【0021】
燃料電池装置130は、燃料を用いて発電を行う分散電源である。例えば、燃料電池装置130は、PCS及び燃料電池セルによって構成される。
【0022】
例えば、燃料電池装置130は、固体酸化物型燃料電池(SOFC; Solid Oxide Fuel Cell)であってもよく、固体高分子型燃料電池(PEFC; Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよく、リン酸型燃料電池(PAFC; Phosphoric Acid Fuel Cell)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC; Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
【0023】
ブラインド装置140は、所定空間の窓に取り付けられる装置であって、太陽電池セル(以下、PV(Photovoltaic)セル)を有する装置である。所定空間は、施設100の部屋などである。ブラインド装置140が設置される所定空間への日差しを遮ることを可能とする装置である。ブラインド装置140は、窓よりも所定空間の内側に取り付けられてもよいし、窓よりも所定空間の外側に取り付けられてもよい。具体的には、ブラインド装置140は、複数のスラットを有しており、モータなどによって複数のスラットを操作する装置である。
【0024】
スラットは、矩形状の前面および矩形状の裏面を有する。矩形状の前面は、若干張り出すように湾曲している凸状の面(以下、凸状面)であってもよい。矩形状の裏面は、若干凹むように湾曲している凹状の面(以下、凹状面)であってもよい。スラットの制御は、スラットの巻き上げ、スラットの繰り出し及びスラットの角度調整の少なくともいずれか1つの制御を含んでもよい。また、スラットの制御は、複数のスラットのうちの一部のスラットに対する制御を含んでもよい。すなわち、スラットの制御は、複数のスラットのうち所定枚数のスラットに対する制御を含んでもよい。
【0025】
ブラインド装置140は、地面又は床面に対して水平方向に沿って延びるスラットが、地面又は床面に対して垂直方向に並べられた横型タイプであってもよく、地面又は床面に対して垂直方向に沿って延びるスラットが、地面又は床面に対して水平方向に並べられた縦型タイプであってもよい。ブラインド装置140は、電動ブラインドと称されてもよい。ブラインド装置140は、PV付き電動ブラインドと称されてもよい。
【0026】
実施形態では、ブラインド装置140は、PVセルが配置されたスラットを有する。PVセルは、スラットの表面に配置される。具体的には、PVセルは、スラットの凸状面に配置される。また、スラットの凹状面に配置されてもよいし、スラットの凸状面及び凹状面の両方に配置されてもよい。従って、ブラインド装置140は、太陽光などの光に応じて発電を行う分散電源の一例であると考えてもよい。ブラインド装置140は、PCSを含んでもよく、PCSを含まなくてもよい。スラットに配置されたPVセルのPCSとして、太陽電池装置110のPCSが用いられてもよい。ブラインド装置140の詳細については後述する(
図3を参照)。
【0027】
負荷機器150は、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器150は、所定空間の温度を調整する空調装置を含んでもよく、所定空間の照度を調整する照明装置を含んでもよい。空調装置及び照明装置は、所定空間の環境を調整する所定装置の一例である。空調装置及び照明装置は、ブラインド装置140の操作によって影響される装置であると考えてもよい。負荷機器150は、映像機器、音響機器、冷蔵庫、洗濯機、パーソナルコンピュータなどを含んでもよい。
【0028】
EMS160は、施設100に関する電力を管理する。EMS160は、太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130、ブラインド装置140、負荷機器150を制御してもよい。実施形態では、電力管理サーバ200から制御コマンドを受信する装置としてEMS160を例示するが、このような装置は、Gatewayと称されてもよく、単に制御ユニットと称されてもよい。EMS160の詳細については後述する(
図4を参照)。
【0029】
測定装置190は、電力系統12から施設100への潮流電力を測定する。測定装置190は、施設100から電力系統12への逆潮流電力を測定してもよい。例えば、測定装置190は、電力会社に帰属するSmart Meterであってもよい。測定装置190は、第1間隔(例えば、30分)における測定結果(潮流電力又は逆潮流電力の積算値)を示す情報要素を第1間隔毎にEMS160に送信してもよい。測定装置190は、第1間隔よりも短い第2間隔(例えば、1分)における測定結果を示す情報要素をEMS160に送信してもよい。
【0030】
(ブラインド装置)
以下において、実施形態に係るブラインド装置について説明する。
図3に示すように、ブラインド装置140は、通信部141と、スラット142と、制御部143と、を有する。
【0031】
通信部141は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0032】
例えば、通信部141は、ブラインド装置140とEMS160との間の通信を制御する。言い換えると、通信部141は、EMS160と通信する。このような通信は、第2プロトコルに準拠するプロトコルを用いて実行される。以下においては、第2プロトコルとして、ECHONET Lite(登録商標)について主として例示する。
【0033】
第1に、通信で用いるメッセージに含まれる情報要素は、ブラインド装置140の動作モードを特定するための情報要素を含んでもよい。動作モードは、所定装置の消費電力及びPVセルの発電電力に基づいて、スラット142の角度を調整する動作モード(以下、消費電力優先モード)を含む。消費電力優先モードの詳細については後述する。
【0034】
このようなメッセージは、ブラインド装置140を動作モードで制御するように指示するメッセージ(例えば、SETコマンド)を含んでもよく、ブラインド装置140に適用されている動作モードを要求するメッセージ(例えば、GETコマンド)を含んでもよい。このようなメッセージは、ブラインド装置140に適用されている動作モードを通知するメッセージ(例えば、GET応答コマンド、INFコマンド)を含んでもよい。GET応答コマンドは、GETコマンドに応じて送信されるコマンドであり、INFコマンドは、ブラインド装置140が自律的に送信するメッセージである。
【0035】
なお、SETコマンドは、ブラインド装置140の動作モードをブラインド装置140が特定するための情報要素を含む。GET応答コマンド及びINFコマンドは、ブラインド装置140の動作モードをEMS160が特定するための情報要素を含む。
【0036】
スラット142は、ブラインド装置140が設置される空間の日差しを調整する部材である。スラット142の表面には、PVセルが配置されてもよい。
【0037】
制御部143は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0038】
具体的には、制御部143は、ブラインド装置140を制御する。例えば、制御部143は、スラット142の巻き上げ、スラット142の繰り出し及びスラット142の角度調整の少なくともいずれか1つの制御を実行してもよい。また、制御部143は、複数のスラット142のうちの一部のスラットに対する制御をしてもよい。すなわち、制御部143は、複数のスラットのうち所定枚数のスラットに対する制御をしてもよい。
【0039】
実施形態では、制御部143は、所定装置の消費電力及びPVセルの発電電力に基づいて、スラット142の角度を調整する動作モード(消費電力優先モード)を実行する。消費電力優先モードの詳細については後述する。
【0040】
(EMS)
以下において、実施形態に係るEMSについて説明する。
図4に示すように、EMS160は、第1通信部161と、第2通信部162と、制御部163と、を有する。
【0041】
第1通信部161は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0042】
例えば、第1通信部161は、ネットワーク11を介して電力管理サーバ200と通信を行う。第1通信部161は、上述したように、第1プロトコルに従って通信を行う。例えば、第1通信部161は、第1プロトコルに従って第1メッセージを電力管理サーバ200から受信する。第1通信部161は、第1プロトコルに従って第1メッセージ応答を電力管理サーバ200に送信する。
【0043】
第2通信部162は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0044】
例えば、第2通信部162は、施設100に含まれる装置(太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130又はブラインド装置140)と通信を行う。第2通信部162は、上述したように、第2プロトコルに従って通信を行う。例えば、第2通信部162は、第2プロトコルに従って第2メッセージを分散電源に送信する。第2通信部162は、第2プロトコルに従って第2メッセージ応答を分散電源から受信する。上述したように、第2メッセージは、ブラインド装置140の動作モードを特定するための情報要素を含むメッセージであってもよい。
【0045】
制御部163は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0046】
具体的には、制御部163は、EMS160に設置される各構成を制御する。例えば、制御部163は、第2メッセージの送信によって、動作モードの設定をブラインド装置140に指示する。
【0047】
(消費電力優先モード)
以下において、実施形態に係る消費電力優先モードについて説明する。ここでは、スラット142の基準角度として、5つの基準角度が定められているケースについて説明する。基準角度1は、所定空間の外側からの採光を抑制し得る角度の一例である。基準角度2は、PVセルの発電電力を最大化し得る角度の一例である。基準角度3は、所定空間の外側からの採光を増大し得る角度の一例である。基準角度4は、所定空間の温度が上昇し得る角度の一例である。基準角度5は、スラット142を最も開いた角度の一例である。基準角度1は、PVセルの受光面を部屋の外側方向に最大限に向けた角度であると考えてもよい。基準角度5は、PVセルの受光面を部屋の内側方向に最大限に向けた角度であると考えてもよい。基準角度2~基準角度4は、基準角度1と基準角度5との間において、PVセルの受光面を部屋の内側方向に段階的に変更する角度であると考えてもよい。各基準角度は、所定の角度幅を有していてもよい。このようなケースにおいて、各基準角度の角度幅は互いに重複しないように定められてもよい。
【0048】
各基準角度は、PVセルの発電電力、所定空間の温度及び所定空間の照度の少なくともいずれか1つに基づいて定められる。言い換えると、各基準角度は、発電効果、温度効果及び照度効果の少なくともいずれか1つと対応付けられる。
【0049】
発電効果は、PVセルの発電電力に関する効果であり、発電効果の値が大きいほど、PVセルの発電電力が大きくてもよい。温度効果は、所定空間の温度に関する効果であり、温度効果の値が大きいほど、所定空間の温度の変化に与える影響が大きくてもよい。照度効果は、所定空間の照度に関する効果であり、照度効果の値が大きいほど、所定空間の照度が大きくてもよい。以下においては、説明の便宜上、発電効果、温度効果及び照度効果は5段階で表される。
【0050】
このような前提下において、以下に示すケースについて説明する。各ケースは、所定空間を含むエリアの気象条件によって区別される。例えば、気象条件は、季節及び天候を含む。
【0051】
(ケース1)
ケース1では、季節が夏であり、天候が晴れであるケースである。ここで、季節が夏であるため、温度効果の値が大きいほど、所定空間の温度の上昇を抑制する効果が大きくてもよい。
【0052】
図5に示すように、基準角度1については、発電効果=4、温度効果=4、照度効果=1であってもよい。基準角度2については、発電効果=5、温度効果=3、照度効果=2であってもよい。基準角度3については、発電効果=3、温度効果=2、照度効果=4であってもよい。基準角度4については、発電効果=2、温度効果=1、照度効果=3であってもよい。基準角度5については、発電効果=1、温度効果=5、照度効果=1であってもよい。
【0053】
なお、基準角度4の照度効果(=3)が基準角度3の照度効果(=4)よりも低い理由は、基準角度4において、所定空間の照度が高くなり過ぎるためであってもよい。基準角度5の温度効果(=5)が基準角度1の温度効果(=4)よりも高い理由は、PVセルによる光の吸収が抑制され、かつ、PVセルの発電電力が抑制されるためであってもよい。
【0054】
ここで、各基準角度と対応する発電効果、温度効果及び照度効果の値は、予め定められてもよい。各基準角度と対応する発電効果、温度効果及び照度効果の値は、過去の履歴の学習によって定められてもよい。学習は、各種パラメータ(季節、天候、基準角度)と各種効果(発電効果、温度効果及び照度効果)との相関関係の学習であってもよい。学習は、AI(Artificial Intelligence)に代表される深層学習であってもよい。
【0055】
第1に、所定空間の照度を上げるケースについて考える。ブラインド装置140は、所定空間の照度を上げるために適切な基準角度を選択する。例えば、ブラインド装置140は、照度効果が高い基準角度2、基準角度3及び基準角度4を選択してもよい。一方で、基準角度2、基準角度3及び基準角度4のいずれかにスラット142の角度が調整されると、所定空間の温度が上がる可能性があり、所定空間の温度を一定に保つためには、空調装置の消費電力が増大する可能性がある。従って、ブラインド装置140は、選択された基準角度の角度幅において、所定空間の温度を一定に保つための空調装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、空調装置及びブラインド装置140を含むシステム全体の電力を最小化し得るスラット142の角度で消費電力優先モードを実行してもよい。
【0056】
ここで、PVセルの発電電力が空調装置の消費電力よりも大きい場合には、空調装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力は負の値を取ってもよい。
【0057】
なお、所定空間の照度については、ブラインド装置140の操作によって変更されることを想定し、照明装置については操作されないことを想定してもよい。
【0058】
第2に、所定空間の温度を下げるケースについて考える。ブラインド装置140は、所定空間の温度を下げるために適切な基準角度を選択する。例えば、ブラインド装置140は、温度効果が高い基準角度1、基準角度2及び基準角度5を選択してもよい。一方で、基準角度1、基準角度2及び基準角度5のいずれかにスラット142の角度が調整されると、所定空間の照度が減少する可能性があり、所定空間の照度を一定に保つためには、照明装置の消費電力が増大する可能性がある。従って、ブラインド装置140は、選択された基準角度の角度幅において、所定空間の照度を一定に保つための照明装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、照明装置及びブラインド装置140を含むシステム全体の電力を最小化し得るスラット142の角度で消費電力優先モードを実行してもよい。なお、空調装置については操作されなくてもよい。
【0059】
ここで、PVセルの発電電力が照明装置の消費電力よりも大きい場合には、照明装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力は負の値を取ってもよい。
【0060】
なお、所定空間の温度については、ブラインド装置140の操作によって変更されることを想定し、空調装置については操作されないことを想定してもよい。
【0061】
(ケース2)
ケース2では、季節が夏であり、天候が雨であるケースである。ここで、季節が夏であるため、温度効果の値が大きいほど、所定空間の温度の上昇を抑制する効果が大きくてもよい。
【0062】
図6に示すように、基準角度1については、発電効果=2、温度効果=2、照度効果=1であってもよい。基準角度2については、発電効果=2、温度効果=2、照度効果=2であってもよい。基準角度3については、発電効果=1、温度効果=1、照度効果=4であってもよい。基準角度4については、発電効果=1、温度効果=1、照度効果=3であってもよい。基準角度5については、発電効果=1、温度効果=2、照度効果=1であってもよい。
【0063】
なお、天候が雨であるケース(
図6)においては、天候が晴れであるケース(
図5)と比べて、発電効果及び温度効果は相対的に小さくてもよい。
【0064】
ここで、各基準角度と対応する発電効果、温度効果及び照度効果の値は、予め定められてもよい。各基準角度と対応する発電効果、温度効果及び照度効果の値は、過去の履歴の学習によって定められてもよい。学習は、各種パラメータ(季節、天候、基準角度)と各種効果(発電効果、温度効果及び照度効果)との相関関係の学習であってもよい。学習は、AIに代表される深層学習であってもよい。
【0065】
このようなケースにおいて、所定空間の照度を増大するケースについて考える。ブラインド装置140は、所定空間の照度を増大するために適切な基準角度を選択する。例えば、ブラインド装置140は、発電効果及び温度効果が相対的に小さいため、基準角度2及び基準角度4を選択せずに、照度効果が最も高い基準角度3を選択してもよい。ブラインド装置140は、選択された基準角度の角度幅において、所定空間の温度を一定に保つための空調装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、空調装置及びブラインド装置140を含むシステム全体の電力を最小化し得るスラット142の角度で消費電力優先モードを実行してもよい。
【0066】
なお、所定空間の照度については、ブラインド装置140の操作によって変更されることを想定し、照明装置については操作されないことを想定してもよい。
【0067】
(ケース3)
ケース3では、季節が冬であり、天候が晴れであるケースである。ここで、季節が冬であるため、温度効果の値が大きいほど、所定空間の温度を維持する効果が大きくてもよい。
【0068】
図7に示すように、基準角度1については、発電効果=4、温度効果=3、照度効果=1であってもよい。基準角度2については、発電効果=5、温度効果=2、照度効果=2であってもよい。基準角度3については、発電効果=3、温度効果=1、照度効果=4であってもよい。基準角度4については、発電効果=2、温度効果=2、照度効果=3であってもよい。基準角度5については、発電効果=1、温度効果=3、照度効果=1であってもよい。
【0069】
なお、季節が冬であるケース(
図7)においては、季節が夏であるケース(
図5)と比べて、温度効果は相対的に小さくてもよい。但し、基準角度2及び基準角度4であっても、所定空間の温度を維持する効果がある程度は得られることに留意すべきである。
【0070】
ここで、各基準角度と対応する発電効果、温度効果及び照度効果の値は、予め定められてもよい。各基準角度と対応する発電効果、温度効果及び照度効果の値は、過去の履歴の学習によって定められてもよい。学習は、各種パラメータ(季節、天候、基準角度)と各種効果(発電効果、温度効果及び照度効果)との相関関係の学習であってもよい。学習は、AIに代表される深層学習であってもよい。
【0071】
第1に、所定空間の照度を増大するケースについて考える。ブラインド装置140は、所定空間の照度を増大するために適切な基準角度を選択する。例えば、ブラインド装置140は、照度効果が高い基準角度2、基準角度3及び基準角度4を選択してもよい。一方で、基準角度2、基準角度3及び基準角度4のいずれかにスラット142の角度が調整されると、所定空間の温度が下がる可能性があり、所定空間の温度を一定に保つためには、空調装置の消費電力が増大する可能性がある。従って、ブラインド装置140は、選択された基準角度の角度幅において、所定空間の温度を一定に保つための空調装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、空調装置及びブラインド装置140を含むシステム全体の電力を最小化し得るスラット142の角度で消費電力優先モードを実行してもよい。
【0072】
なお、所定空間の照度については、ブラインド装置140の操作によって変更されることを想定し、照明装置については操作されないことを想定してもよい。
【0073】
第2に、所定空間の温度を上げるケースについて考える。ブラインド装置140は、所定空間の温度を上げるために適切な基準角度を選択する。例えば、ブラインド装置140は、温度効果が高い基準角度1、基準角度2及び基準角度5を選択してもよい。なお、基準角度4の温度効果は、基準角度2の温度効果と同レベルではあるが、基準角度4では、基準角度2と比べて、PVの発電電力による所定空間の温度上昇が見込めないため、基準角度4は選択されなくてもよい。一方で、基準角度1、基準角度2及び基準角度5のいずれかにスラット142の角度が調整されると、所定空間の照度が減少する可能性があり、所定空間の照度を一定に保つためには、照明装置の消費電力が増大する可能性がある。従って、ブラインド装置140は、選択された基準角度の角度幅において、所定空間の照度を一定に保つための照明装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、照明装置及びブラインド装置140を含むシステム全体の電力を最小化し得るスラット142の角度で消費電力優先モードを実行してもよい。なお、空調装置については操作されなくてもよい。
【0074】
なお、所定空間の温度については、ブラインド装置140の操作によって変更されることを想定し、空調装置については操作されないことを想定してもよい。
【0075】
(ケース4)
ケース4では、季節が冬であり、天候が雨であるケースである。ここで、季節が冬であるため、温度効果の値が大きいほど、所定空間の温度を維持する効果が大きくてもよい。
【0076】
図8に示すように、基準角度1については、発電効果=2、温度効果=3、照度効果=1であってもよい。基準角度2については、発電効果=2、温度効果=2、照度効果=2であってもよい。基準角度3については、発電効果=1、温度効果=1、照度効果=4であってもよい。基準角度4については、発電効果=1、温度効果=2、照度効果=3であってもよい。基準角度5については、発電効果=1、温度効果=3、照度効果=1であってもよい。
【0077】
なお、天候が雨であるケース(
図8)においては、天候が晴れであるケース(
図7)と比べて、発電効果は相対的に小さくてもよい。
【0078】
第1に、所定空間の照度を増大するケースについて考える。ブラインド装置140は、所定空間の照度を増大するために適切な基準角度を選択する。例えば、ブラインド装置140は、照度効果が高い基準角度2、基準角度3及び基準角度4を選択してもよい。一方で、基準角度2、基準角度3及び基準角度4のいずれかにスラット142の角度が調整されると、所定空間の温度が下がる可能性があり、所定空間の温度を一定に保つためには、空調装置の消費電力が増大する可能性がある。従って、ブラインド装置140は、選択された基準角度の角度幅において、所定空間の温度を一定に保つための空調装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、空調装置及びブラインド装置140を含むシステム全体の電力を最小化し得るスラット142の角度で消費電力優先モードを実行してもよい。
【0079】
なお、所定空間の照度については、ブラインド装置140の操作によって変更されることを想定し、照明装置については操作されないことを想定してもよい。
【0080】
第2に、所定空間の温度を上げるケースについて考える。ブラインド装置140は、所定空間の温度を上げるために適切な基準角度を選択する。例えば、ブラインド装置140は、温度効果が高い基準角度1、基準角度2及び基準角度5を選択してもよい。なお、基準角度4については、ケース3と同様の理由で選択されなくてもよい。一方で、基準角度1、基準角度2及び基準角度5のいずれかにスラット142の角度が調整されると、所定空間の照度が減少する可能性があり、所定空間の照度を一定に保つためには、照明装置の消費電力が増大する可能性がある。従って、ブラインド装置140は、選択された基準角度の角度幅において、所定空間の照度を一定に保つための照明装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、照明装置及びブラインド装置140を含むシステム全体の電力を最小化し得るスラット142の角度で消費電力優先モードを実行してもよい。なお、空調装置については操作されなくてもよい。
【0081】
なお、所定空間の温度については、ブラインド装置140の操作によって変更されることを想定し、空調装置については操作されないことを想定してもよい。
【0082】
(まとめ)
上述したように、ブラインド装置140は、所定装置(例えば、空調装置又は照明装置)の消費電力及びPVセルの発電電力に基づいて、スラット142の角度を調整する消費電力優先モードを実行する。
【0083】
具体的には、ブラインド装置140は、PVセルの発電電力、所定空間の温度及び所定空間の照度の少なくともいずれか1つに基づいて定められる基準角度に基づいて、消費電力優先モードを実行してもよい。
【0084】
ブラインド装置140は、気象条件に基づいて、消費電力優先モードを実行してもよい。例えば、ブラインド装置140は、気象条件に基づいて基準角度を選択し、選択された基準角度に基づいて、消費電力優先モードを実行してもよい。ブラインド装置140は、気象条件に基づいて基準角度を選択し、選択された基準角度の角度幅においてスラット142の角度を探索してもよい。
【0085】
なお、消費電力優先モードは、EMS160によってブラインド装置140に設定されてもよい。さらに、消費電力優先モードで適用されるスラット142の角度は、EMS160によってブラインド装置140に設定されてもよい。
【0086】
(動作例)
以下において、実施形態に係る動作例について説明する。以下においては、ブラインド装置140とEMS160との間の通信で用いるプロトコルがECHONET Liteに準拠するプロトコルであるケースについて例示する。
【0087】
図9に示すように、ステップS10において、EMS160は、ブラインド装置140を動作モードで制御するように指示するSETコマンドをブラインド装置140に送信する。SETコマンドは、ブラインド装置140に適用すべき動作モードを特定する情報要素を含む。実施形態では、動作モードは、消費電力優先モードであってもよい。
【0088】
ステップS11において、ブラインド装置140は、SETコマンドに対するSET応答コマンドを送信する。SET応答コマンドは、SETコマンドを受け付けた旨を示す情報要素を含む。SET応答コマンドは、ブラインド装置140に適用されている動作モードを特定する情報要素を含まなくてもよい。
【0089】
ステップS12において、EMS160は、ブラインド装置140に適用されている動作モードを要求するGETコマンドをブラインド装置140に送信する。
【0090】
ステップS13において、ブラインド装置140は、GETコマンドに対するGET応答コマンドを送信する。GET応答コマンドは、ブラインド装置140に適用されている動作モードを特定する情報要素を含む。
【0091】
ステップS14において、ブラインド装置140は、所定トリガに応じて、INFコマンドを送信する。INFコマンドは、ブラインド装置140に適用されている動作モードを特定する情報要素を含む。所定トリガは、周期的なトリガを含んでもよく、ブラインド装置140の動作モードの変更を含んでもよい。所定トリガは、停電及び復電などを含んでもよい。
【0092】
(作用及び効果)
実施形態では、ブラインド装置140は、所定装置(例えば、空調装置又は照明装置)の消費電力及びPVセルの発電電力に基づいて、スラット142の角度を調整する消費電力優先モードを実行する。このような構成によれば、ブラインド装置140及び所定装置を少なくとも含むシステム全体として、消費電力を適切に抑制することができる。
【0093】
実施形態では、ブラインド装置140は、PVセルの発電電力、所定空間の温度及び所定空間の照度の少なくともいずれか1つに基づいて定められる基準角度に基づいて、消費電力優先モードを実行してもよい。このような構成によれば、消費電力優先モードにおいて探索すべきスラット142の角度幅を限定することができ、消費電力優先モードを速やかに実行することができる。
【0094】
実施形態では、ブラインド装置140は、気象条件に基づいて、消費電力優先モードを実行してもよい。このような構成によれば、スラット142の角度によって影響される効果(発電効果、温度効果及び照度効果)を考慮しながら、消費電力優先モードを適切に実行することができる。
【0095】
実施形態では、ブラインド装置140は、気象条件に基づいて基準角度を選択し、選択された基準角度の角度幅においてスラット142の角度を探索してもよい。このような構成によれば、選択された基準角度についてスラット142の角度を探索すればよく、全ての基準角度についてスラット142の角度を探索する必要がないため、スラット142の角度の探索に要する時間を短縮することができる。
【0096】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0097】
実施形態では、照明装置を操作せずに所定空間の照度を調整するケース、空調装置を操作せずに所定空間の温度を調整するケースについて説明した。これに対して、変更例1では、所定空間の照度について目標照度が設定されるケース、所定空間の温度について目標温度が設定されるケースについて説明する。
【0098】
第1に、所定空間の照度について目標照度が設定されるケースについて説明する。このようなケースにおいて、ブラインド装置140は、照明装置によって目標照度を実現するための消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、探索されたスラット142の角度で消費電力優先モードを実行する。ブラインド装置140は、上述した基準角度に基づいて消費電力優先モードを実行してもよい。基準角度は、目標照度に基づいて選択されてもよい。基準角度は、気象条件に基づいて選択されてもよい。
【0099】
第2に、所定空間の温度について目標温度が設定されるケースについて説明する。このようなケースにおいて、ブラインド装置140は、空調装置によって目標温度を実現するための消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、探索されたスラット142の角度で消費電力優先モードを実行する。ブラインド装置140は、上述した基準角度に基づいて消費電力優先モードを実行してもよい。基準角度は、目標温度に基づいて選択されてもよい。基準角度は、気象条件に基づいて選択されてもよい。
【0100】
第3に、所定空間の照度について目標照度が設定され、かつ、所定空間の温度について目標温度が設定されるケースについて説明する。このようなケースにおいて、ブラインド装置140は、照明装置によって目標照度を実現するための消費電力及び空調装置によって目標温度を実現するための消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する。ブラインド装置140は、探索されたスラット142の角度で消費電力優先モードを実行する。ブラインド装置140は、上述した基準角度に基づいて消費電力優先モードを実行してもよい。基準角度は、目標照度及び目標温度に基づいて選択されてもよい。基準角度は、気象条件に基づいて選択されてもよい。
【0101】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0102】
実施形態では、ブラインド装置140の動作モードとして消費電力優先モードについて主として説明した。これに対して、変更例2では、消費電力優先モード以外の動作モードについて説明する。
【0103】
動作モードは、第1動作モード、第2動作モード、第3動作モード及び第4動作モードの少なくともいずれかの動作モードを含んでもよい。
【0104】
第1動作モードは、PVセルの発電電力を最大化するようにスラット142の角度を調整する動作モードである。すなわち、第1動作モードでは、所定空間への日差しよりもPVセルの発電電力が優先される。
【0105】
第2動作モードは、PVセルの発電電力を最大化するスラット142の角度を探索する動作モードである。具体的には、第2動作モードでは、スラット142の角度を徐々に変更しながらPVセルの発電電力を計測することによって、PVセルの発電電力を最大化するスラット142の角度が探索される。第2運転モードで角度が変更されるスラット142は、ブラインド装置140に設けられる複数のスラット142の一部であってもよい。
【0106】
第3動作モードは、所定空間の照度及び温度の少なくともいずれかに基づいてスラット142の角度を調整する動作モードである。具体的には、第3動作モードでは、所定空間の照度が目標照度となるようにスラット142の角度が調整されてもよい。照度を検出するセンサは、ブラインド装置140に設けられてもよく、ブラインド装置140と通信可能に構成されてもよい。目標照度は、ユーザによって設定されてもよい。第3動作モードでは、所定空間の温度が目標温度となるようにスラット142の角度が調整されてもよい。温度を検出するセンサは、ブラインド装置140に設けられてもよく、ブラインド装置140と通信可能に構成されてもよい。目標温度は、ユーザによって設定されてもよい。
【0107】
第4動作モードは、所定空間の照度を最大化するようにスラット142の角度を調整する動作モードである。すなわち、第4動作モードでは、PVセルの発電電力よりも所定空間への日差しが優先される。
【0108】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0109】
上述した開示では、基準角度が5つであるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。基準角度は、4つ以下であってもよく、6つ以上であってもよい。或いは、基準角度は定められていなくてもよい。
【0110】
上述した開示では、発電効果、温度効果及び照度効果が5段階で表される。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。発電効果、温度効果及び照度効果は、4段階以下で表されてもよく、6段階以上で表されてもよい。或いは、発電効果は、PVセルの発電電力によって表され、温度効果は、所定空間の温度の上昇量/下降量によって表されてもよく、照度効果は、所定空間の照度の増大量/減少量によって表されてもよい。
【0111】
上述した開示では、消費電力優先モードにおいて、空調装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度の探索について説明した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。上述した動作は、PVセルの発電電力から空調装置の消費電力を除いた電力を最大化し得るスラット142の角度の探索と読み替えてもよい。空調装置の消費電力がPVセルの発電電力よりも大きい場合には、PVセルの発電電力から空調装置の消費電力を除いた電力は負の値を取ってもよい。
【0112】
上述した開示では、消費電力優先モードにおいて、照明装置の消費電力からPVセルの発電電力を除いた電力を最小化し得るスラット142の角度の探索について説明した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。上述した動作は、PVセルの発電電力から照明装置の消費電力を除いた電力を最大化し得るスラット142の角度の探索と読み替えてもよい。照明装置の消費電力がPVセルの発電電力よりも大きい場合には、PVセルの発電電力から照明装置の消費電力を除いた電力は負の値を取ってもよい。
【0113】
上述した開示では特に触れていないが、消費電力優先モードにおいて、システム全体の電力を最小化し得るスラット142の角度を探索する場合に、ブラインド装置140の制御部143は、空調装置の消費電力とPVセルの発電電力とを比較する機能を有してもよく、照明装置の消費電力とPVセルの発電電力とを比較する機能を有してもよい。
【0114】
上述した開示では、消費電力優先モードにおいて、基準角度を選択する主体がブラインド装置140である。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。基準角度を選択する主体は、EMS160の制御部163であってもよい。
【0115】
上述した開示では、消費電力優先モードにおいて、スラット142の角度を探索する主体がブラインド装置140である。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。スラット142の角度を探索する主体は、EMS160の制御部163であってもよい。
【0116】
上述した開示では、消費電力優先モードにおいて、基準角度の角度幅の範囲でシステム全体の消費電力を最小化する角度が探索される。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。例えば、基準角度は、角度幅を有していなくてもよい。このようなケースにおいて、消費電力優先モードでは、基準角度毎のシステム全体の消費電力が比較され、システム全体の消費電力が最小化される基準角度が選択されてもよい。スラット142の角度は、選択された基準角度に制御される。
【0117】
上述した開示では特に触れていないが、所定空間の照度は、調光機能を有する照明装置によって調整されてもよい。2以上の照明装置が所定空間に設置される場合に、所定空間の照度は、点灯状態の照明装置の数によって調整されてもよい。
【0118】
特に限定されるものではないが、動作モードは、動作状態と読み替えられてもよい。
【0119】
上述した開示では、ECHONET Liteについて主として説明した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。上述した開示は、SEP2.0、KNXなどの他のプロトコルにも適用可能である。
【0120】
上述した開示では特に触れていないが、EMS160が有する機能の少なくとも一部は、ネットワーク11上に配置されるサーバによって実行されてもよい。言い換えると、EMS160は、クラウドサービスによって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…電力管理システム、11…ネットワーク、12…電力系統、100…施設、110…太陽電池装置、120…蓄電装置、130…燃料電池装置、140…ブラインド装置、141…通信部、142…スラット、143…制御部、150…負荷機器、160…EMS、161…第1通信部、162…第2通信部、163…制御部、190…測定装置、200…電力管理サーバ