(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065651
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】角度分解型レーダセンサ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/02 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
G01S7/02 218
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023034577
(22)【出願日】2023-03-07
(62)【分割の表示】P 2021512382の分割
【原出願日】2019-06-18
(31)【優先権主張番号】102018214966.6
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】スコアー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,マルセル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信号解析のための計算コストを低減し、高分解能の一義的な角度測定を可能とする角度分解型レーダセンサを提供する。
【解決手段】角度分解型レーダセンサであって、走査方向yに互いにオフセットされたN個のアンテナ素子12を含むアンテナアレイ10と、デジタルビームフォーミング装置20と、ビームフォーミング装置20の信号に基づいて角度を推定するように構成された角度推定装置22とを備え、前記アンテナアレイ10の開口Aは、波長λの単位で(N-1)/2よりも大きく、隣接するアンテナ素子12間の中心間距離は、互いに相違するが、値A/(N-1)から所定量以上に外れないことを特徴とする角度分解型レーダセンサである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度分解型レーダセンサであって、
走査方向(y)に互いにオフセットされたN個のアンテナ素子(12)を含むアンテナアレイ(10)と、
デジタルビームフォーミング装置(20)と、
前記ビームフォーミング装置(20)の信号に基づいて角度を推定するように構成された角度推定装置(22)とを備え、
前記アンテナアレイ(10)の開口Aは、波長λの単位で(N-1)/2よりも大きく、隣接するアンテナ素子(12)間の中心間距離は、互いに相違しているが、値A/(N-1)から所定量以上には外れない、
ことを特徴とする角度分解型レーダセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダセンサであって、当該隣接するアンテナ素子の当該間隔は、値A/(N-1)から25%以上に外れず、好ましくは15%以上に外れない、レーダセンサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーダセンサであって、前記アンテナ素子(10)の間の間隔は規則的なパターンにしたがって変化する、レーダセンサ。
【請求項4】
請求項3に記載のレーダセンサであって、前記アンテナ素子(12)の間の間隔は多項式関数にしたがって変化する、レーダセンサ。
【請求項5】
請求項4に記載のレーダセンサであって、前記アンテナ素子(12)の間の間隔は線形関数にしたがって変化する、レーダセンサ。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のレーダセンサであって、Nが2のべき乗である、レーダセンサ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のレーダセンサであって、Aが1以上であり、好ましくはAが2以上である、レーダセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度分解型レーダセンサであって、走査方向に互いにオフセットされたN個のアンテナ素子を有するアンテナアレイと、デジタルビームフォーミング装置と、ビームフォーミング装置の信号に基づいて角度を推定するように構成された角度推定装置とを備えるレーダセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダセンサは、自動車において、例えば、自車両の前方における測位対象車両または他の物体との距離、相対速度および方位角を測定するために使用される。ここで、複数のアンテナ素子はそれぞれ、例えば、水平方向に互いに間隔をおいて配置されており、測位対象の物体の方位角が異なれば、レーダ信号が物体からそれぞれのアンテナ素子までカバーしなければならならない伝搬距離に差が生じるように配置されている。そのような伝搬距離差により、複数のアンテナ素子で受信された信号について対応する位相差が発生し、対応する解析チャネルで解析される。複数の異なるチャネルで受信された(複素)振幅を、アンテナダイアグラム上の対応する振幅と比較することによって、レーダ信号の入射角および測位対象の物体の方位角を決定することができる。
【0003】
物体の仰角も同様に測定することができる。この場合、複数のアンテナ素子が互いにオフセットされる走査方向は、水平方向ではなく、鉛直方向である。
【0004】
高い角度分解能が達成されるように、アンテナの開口はできるだけ大きいことが望ましい。しかしながら、隣接するアンテナ素子間の間隔が大きすぎると、波長λの整数倍だけ異なる伝搬距離差に対して、複数の受信信号の間に同じ位相関係が得られるので、角度測定にアンビギュイティが生じることがある。一義的な角度測定は、例えば、複数のアンテナ素子がλ/2の間隔をおいて配置されるULA構造(Uniform Linear Array)を用いて達成できる。
【0005】
「デジタルビームフォーミング」と呼ばれる手法によって、アンテナアレイの主感度方向を変更することができ、これにより、レーダセンサのいわゆるメイン受信ローブを特定の方向に向けることができるが、メイン受信ローブの両側に、ある程度の感度を有するサイドローブも生じる。デジタルビームフォーミングでは、それぞれのアンテナ素子で受信された複素振幅は、角度依存性の複素位相係数で重み付けされ、これら複素位相係数は所定の角度におけるレーダビームの伝搬距離差に対応するものである。このように複数の異なる方位角を有する複数のビームが形成されると、各ビームに対して利得関数が得られ、この利得関数は、各角度について、測位対象の物体が当該角度方向に存在するときに生じるアンテナ利得を示すものである。理想的には、特定の角度方向に位置する物体について、各ビームでそのビームについての理論的なアンテナ利得に相当する信号強度を測定することが望ましく、正確に1つの角度、すなわち物体が実際に位置する角度でのみ、測定された振幅が互いに正しい関係を有するはずである。
【0006】
しかしながら、実際には、測定された信号は多かれ少なかれノイズを含み、複数の異なるビームで測定された振幅が理論値と最もよく相関する角度を探し出すことによってのみ測位角度を推定することができる。この相関は、例えば、いわゆるDML関数(Deterministic Maximum Likelihood Function:決定論的最尤関数)で表すことができ、角度推定は、DML関数の最大値を探すことにある。
【0007】
より高い角度分解能を達成するためにアンテナアレイの開口を拡大し、なおかつ一義的な測定を維持することが望ましい場合には、アンテナ素子の数を増加させる必要がある。しかしながら、これにより、必要とされる解析チャネルの数も増加し、これにより、必要とされる計算能力、ひいてはハードウェアコストが増加する。
【0008】
国際公開第2013/056880号により、薄型アンテナアレイで動作するレーダセンサが知られており、隣接するアンテナ素子の対のうちの少なくともいくつかの対における間隔が大きくされ、これにより、所定数の解析チャネルでより大きい開口が達成される。アンテナ素子の異なる組合わせで交互に測定してアンテナアレイ内の間隔を埋めることによって、角度測定の一義性が回復する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、信号解析のための計算コストを低減し、高分解能の一義的な角度測定を可能とする角度分解型レーダセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、アンテナアレイの開口Aは、波長λの単位で(N-1)/2よりも大きく、隣接するアンテナ素子間の中心間距離は、互いに相違しているが、値A/(N-1)から所定量以上に外れないということによって上記課題が達成される。
【0011】
前記開口は(N-1)/2よりも大きいので、原則として角度推定にアンビギュイティが生じることがある。ULA用のDML関数では、このことは、当該関数が複数の異なる角度で複数の同じ大きさの最大値を有するという事実で示される。本発明によれば、複数のアンテナ素子は正確に等間隔で配列されるのではなく、むしろ対と対との間で間隔がわずかに異なることにより、DML関数の全ての最大値は、1つを除いて低くなり、その関数は、再び一義的な絶対最大値を有するようになるので、一義的な角度推定が可能である。しかしながら、ULA内の間隔に相当する値A/(N-1)からのアンテナ間隔のずれ(偏差)は、デジタルビームフォーミング用ULAと同様の技術を依然として使用できるとともに、サイドローブが十分に減衰するような形で制限されるものである。特に、デジタルビームフォーミングは、高速フーリエ変換(FFT)を用いて特に効率的に実行できる。
【0012】
したがって、本発明によるレーダセンサは、ULAの代わりに、準規則的なアレイを有するものであるが、このアレイでは、完全なULAとのずれの大きさは、想定される雑音レベルを考慮してもなお一義的な角度推定を可能とするようなものである。アンテナ素子の間隔がULAの値A/(N-1)から最大外れてもよい「所定量」は、一方では信号雑音に対する十分なロバスト性が達成されるが、他方では角度依存の利得関数がULAと比較してあまりに強く歪んでいないように選択される。
【0013】
本発明の有利な構成および改良形態が従属請求項に記載されている。
【0014】
一実施形態では、アンテナ素子間の中心間距離の値A/(N-1)からのずれ(偏差)は25%未満であり、すなわち、絶対値でA/4(N-1)未満であり、好ましくは、当該ずれ(偏差)は15%未満である。
【0015】
隣接するアンテナ素子の複数の異なる対同士の間隔の差は、例えば、線形関数、二次関数にしたがって、またはより高次の多項式にしたがって、または例えば正弦関数にしたがって規則的に変化することができる。アレイのアンテナ素子の数Nは、好ましくは、2のべき乗、例えば、N=8またはN=16であり、これにより、FFTによる効率的なデジタルビームフォーミングが可能になる。
【0016】
以下に図面を参照して例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】準規則的なアンテナアレイを有する本発明によるレーダセンサを示すブロック図である。
【
図2】従来のレーダセンサの規則的なアンテナアレイ(ULA)を示す図である。
【
図3】
図2に示したアンテナアレイを用いたデジタルビームフォーミングによって形成された複数の異なるビームの利得分布関数を示す図である。
【
図4】分かりやすくするために、2つのビームの利得関数のみを示す
図3に類似した概略図である。
【
図5】
図2に示したアンテナアレイ用のDML関数を示す図である。
【
図6】拡大された開口を有するULAの例を示す図である。
【
図7】
図4に類似しているが、
図6に示したアレイの2つの利得関数を示す図である。
【
図9】
図4および
図7に類似しているが、
図1に示した本発明によるアレイの2つの利得関数を示す図である。
【
図10】
図1に示したアレイのDML関数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、8個のアンテナ素子12を備えた準規則的なアンテナアレイ10を有するレーダセンサを示す図である。各アンテナ素子12は、縦方向zに延在する直列給電式の8個のアンテナパッチ14,…,14からなる列によって形成されている。列状のアンテナ素子12は、自動車用のレーダセンサの場合、車両の水平横方向に対応する走査方向yに一列に配置されており、レーダセンサは、方位角に角度分解能を有する。アンテナ素子12,12間の間隔ならびに各列のそれぞれのアンテナパッチ14,14間の間隔は、レーダビームの波長λの単位で与えられている。対をなす隣接するアンテナ素子12,12間の間隔は、
図1に定量的にも示されており、それぞれほぼ値2であるが、平均値2.00から7%未満のずれ(偏差)を有する。
【0019】
走査方向yにおけるアンテナアレイ10の幅は、約14λであり、アレイは、方位角(アジマス方向)において開口A=14を有する。一般に、アンテナ素子12,12間の間隔の平均値(この例では2.00)は、Nをアレイ内のアンテナ素子12,…,12の数とすれば、A/(N-1)に等しい。
【0020】
図示の例では、アンテナ素子12,…,12の複数の対の間の間隔は、1.87から2.13に線形に増加する。
【0021】
8個のアンテナ素子12,…,12は、それぞれの信号線16,…,16を介して解析回路18に接続されており、この解析回路では複数の受信信号が別々の受信チャネルで解析される。例えば、本明細書に示すレーダセンサは、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave:周波数変調連続波)レーダであってもよい。この場合、それぞれの解析チャネルは、アンテナ素子で受信された信号を送信レーダ信号の一部と混合するミキサを含むので、一方ではレーダセンサから物体に到達して戻るレーダ信号の経過時間に依存するとともに、他方では物体の相対速度に依存する周波数を有する中間周波数信号が得られる。複数の中間周波数信号は、解析回路18でデジタル化され、それぞれ所定のサンプリング期間にわたって記録される。このサンプリング期間では、送信信号の周波数がランプ状に変調される。異なるランプ勾配の複数の変調ランプで得られる中間周波数信号の周波数に基づいて、測位対象の物体との距離および相対速度を既知の方法で決定することができる。
【0022】
複数のアンテナ素子を解析回路18に接続する信号線16,…,16は、解析回路18への途中で信号間の位相関係が歪むことのないように、全て同じ長さを有するように構成されている。8個の受信チャネルで受信された信号の振幅および位相(すなわち、複素振幅)を比較することによって、特定の距離および特定の相対速度で測位対象の物体ごとに、レーダセンサから当該物体への方向を示す角度(方位角)を決定することができる。このために、8個の受信チャネルで受信された信号に対しては、ビームフォーミング装置20で、例えば高速フーリエ変換(FFT)によるデジタルビームフォーミングが実行される。ビームフォーミングの結果は角度推定装置22に伝送され、そこで、測位対象の物体の方位角φが最尤推定を用いて検出される。
【0023】
本発明の動作を説明するために、従来のレーダセンサで使用される、
図2に図示されているような完全調整の規則的なアンテナアレイ24(ULA)を最初に考察する。隣接する複数のアンテナ素子12,12の間の間隔は、このアレイにおいては一様にλ/2であり、これにより、一義性の条件が満たされている。しかしながら、このアレイは、8個の受信チャネルの場合、1つの開口A=3.5しか有しておらず、これにより角度分解能は著しく制限されている。
【0024】
図3は、
図2に示したアンテナアレイ24について、ビームフォーミング装置20のアンテナ利得を方位角φの関数として示す図である。詳細には、この図は、0°、+/-15°、+/-30°、+/-45°および+/-60°を超える位置に感度の最大値を有する10個の受信ビームに対する正規化された利得関数28~40のグラフを示す。各ビームは、最大利得を有するメインローブと、約13dBだけ減衰した多数のサイドローブとを有する。この図は、矩形ウィンドウを用いたFFTによるビームフォーミングに基づいている。
【0025】
分かりやすくするために、利得関数30,36のグラフが再び分離されて
図4に示されている。利得関数30のグラフは太線で描かれており、利得関数36のグラフは破線で描かれている。0°で最大値を有する利得関数30は左右対称のサイドローブを有するが、-45°で感度最大値を有するビームの利得関数は左右非対称であることが分かる。
【0026】
デジタルビームフォーミングでは、アンテナ素子からアンテナ素子までの伝搬距離差を反映した複数の複素重み係数を用いて、8個のアンテナ素子12,…,12で受信された信号の複素振幅から重み付け和が形成される。これらの伝搬距離差は方位角φに依存するので、(特定の方位角で感度最大値を有する)ビームごとに異なるセットの重み係数が得られる。物体がある方位角φに測位される場合、0°で感度最大値を有するビームで利得関数28に比例する強度を有する信号が得られ、同じ物体に対して、-45°で感度最大値を有するビームで利得関数36に比例する信号が得られる。同様に、他のそれぞれのビームについても、それぞれ対応する利得関数で与えられる値が得られる。
【0027】
ビームフォーミング後に複数の異なるビームについて得られる複数の異なる振幅値から、測位対象の物体が実際に位置する方位角を推定することができる。このためには、測定値と利得関数で与えられる値とが最もよく相関する角度が求められる。
【0028】
一例として、
図5は、方位角φ=0°に位置するターゲットについての「角度スペクトル」とも呼ばれるDML関数42(決定論的最尤関数)を示す。DML関数42は、それぞれの方位角φに対して、複数の異なるビームについて測定された値と利得関数との間の相関を示す。当該関数は、最大値が値1を有するように正規化されている。DML関数42は、測位対象の物体が位置する角度φ=0°において、明らかに顕著な単一の最大値のみを有することが分かる。その代わりに、角度φ=20°に位置する物体から信号を受信した場合、DML関数は、20°で最大値となるようにシフトする。
【0029】
角度分解能を向上させるために、
図2に示したULA24では、複数のアンテナ素子12,…,12の間の間隔は、アンテナ素子の数を増加させることなしに2λに拡大される。このとき、
図6に示すように、開口A=14を有するULA44が得られる。
【0030】
図7は、この変化が利得関数28~40にどのように影響するかを示している。
図4と同様に、利得関数28,36のグラフのみが
図7に示されている。これらの利得関数はそれぞれ、ほぼ同じ高さの複数の最大値を有することが分かる。例えば、利得関数28は、(
図4の場合のように)0°で最大値を有するが、+/-30°で他の同じ高さの最大値を有する。これら最大値の間には、より強く減衰した多数のサイドローブが存在している。同様のことが、利得関数36についても、他のそれぞれの利得関数(
図7には示されていない)についても該当する。
【0031】
図6に示したULAのDML関数42が
図8に示されている。この関数も、同じ高さをもつ複数の主最大値を有しているので、一義的な角度推定はもはや可能ではない。
【0032】
これに対して、
図1に示した準規則的なアンテナアレイ10を使用した場合には、一義的な角度推定が再び可能である。このアレイの利得関数28,36を
図9に示す。
図7の場合と同様に、それぞれの利得関数は、-50°から+50°までの角度範囲において顕著な3つの主最大値を有するが、複数のサイドローブは、ここではより強く「肩側に寄せられて」いる。すなわち、サイドローブは押し上げられて主最大値のエッジ近くにある。
【0033】
図10は、関連するDML関数42を示す。ビームフォーミング装置20におけるビームフォーミングは、
図2および
図6に示したULAと同様に同じ重み係数を用いて行われるが、隣接するアンテナ素子12,12の間の間隔はわずかに一様ではないので、1つの主最大値46のみがφ=0°(0°のターゲットの場合)に完全な高さで存在し、両側の最大値48,48は+/-30°でより強く抑圧されている。これは、角度推定時に一義的な最大値が見つけられること、したがって一義的な角度推定が可能であることを意味する。
【0034】
信号の雑音が著しく、最大値46と最大値48との間の差が曖昧であり、最大値48,…,48のうちの1つが最も高い値を有して方位角を決定するために誤って選択されるような場合には、誤推定が起こり得る。隣接する複数のアンテナ素子12,…,12の間の間隔が一様でなくなるほど、最大値48,…,48はより強く抑圧され、角度推定は信号ノイズに対してよりロバストになる。しかしながら、アレイ20の非一様性が増加するにつれてサイドローブはますます顕著になる。しかしながら、複数のアンテナ素子12,…,12の間の間隔の非一様性を適切に選択した場合には、一般に信号ノイズが存在していても一義的な角度推定が可能であり、追加の解析チャネルを必要とすることなしに、拡大された開口に基づいて、より高い角度分解能を達成することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度分解型レーダセンサであって、
走査方向(y)に互いにオフセットされたN個のアンテナ素子(12)を含むアンテナアレイ(10)と、
デジタルビームフォーミング装置(20)と、
前記デジタルビームフォーミング装置(20)の信号に基づいてDML関数の最大値から角度を推定するように構成された角度推定装置(22)とを備え、
前記アンテナアレイ(10)の開口Aは、波長λの単位で(N-1)/2よりも大きく、隣接するアンテナ素子(12)間の中心間距離は、互いに相違しているが、値A/(N-1)から25%以上には外れない、
ことを特徴とする角度分解型レーダセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダセンサであって、当該隣接するアンテナ素子の当該中心間距離は、15%以上に外れない、レーダセンサ。
【請求項3】
s
請求項1または2に記載のレーダセンサであって、前記アンテナ素子(10)の間の当該中心間距離は規則的なパターンにしたがって変化する、レーダセンサ。
【請求項4】
請求項3に記載のレーダセンサであって、前記アンテナ素子(12)の間の当該中心間距離は多項式関数にしたがって変化する、レーダセンサ。
【請求項5】
請求項4に記載のレーダセンサであって、前記アンテナ素子(12)の間の当該中心間距離は線形関数にしたがって変化する、レーダセンサ。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のレーダセンサであって、Nが2のべき乗である、レーダセンサ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のレーダセンサであって、Aが1以上であり、好ましくはAが2以上である、レーダセンサ。
【外国語明細書】