IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

特開2023-66058配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法
<>
  • 特開-配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法 図1
  • 特開-配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法 図2
  • 特開-配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法 図3
  • 特開-配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法 図4
  • 特開-配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法 図5
  • 特開-配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法 図6
  • 特開-配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法 図7
  • 特開-配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法 図8
  • 特開-配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066058
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/40 20060101AFI20230508BHJP
   H01B 7/08 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H01B7/40 307A
H01B7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176549
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 大地
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 努
【テーマコード(参考)】
5G309
5G311
【Fターム(参考)】
5G309GA02
5G309GA03
5G311CA01
5G311CB02
(57)【要約】
【課題】シートと被着体とを強固に接着することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】配線部材付き被着体10は、被着面22を有する被着体20と、前記被着面22に重なる第1シート30と、前記第1シート30に重なる第2シート40と、前記第1シート30及び前記第2シート40の間に位置する線状伝送部材50と、前記第1シート30、前記第2シート40及び前記被着体20を接着している接着部材60と、を備える。前記接着部材60は、前記第1シート30と前記被着面22との間に設けられた第1層部分61と、前記第1シート30に対して前記被着面22側とは反対側に設けられた第2層部分62と、前記第1シート30の側方で前記第1層部分61及び前記第2層部分62をつなぐ連結部分63とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着面を有する被着体と、
前記被着面に重なる第1シートと、
前記第1シートに重なる第2シートと、
前記第1シート及び前記第2シートの間に位置する線状伝送部材と、
前記第1シート、前記第2シート及び前記被着体を接着している接着部材と、
を備え、
前記接着部材は、前記第1シートと前記被着面との間に設けられた第1層部分と、前記第1シートに対して前記被着面側とは反対側に設けられた第2層部分と、前記第1シートの側方で前記第1層部分及び前記第2層部分をつなぐ連結部分とを含む、配線部材付き被着体。
【請求項2】
請求項1に記載の配線部材付き被着体であって、
前記第2層部分は、前記第1シート及び前記第2シートの間に位置する、配線部材付き被着体。
【請求項3】
請求項2に記載の配線部材付き被着体であって、
前記接着部材は、前記第2シートの幅方向に沿って前記第2シートの側縁よりも側方に露出する露出部分を含む、配線部材付き被着体。
【請求項4】
請求項3に記載の配線部材付き被着体であって、
前記露出部分には、前記接着部材の厚み方向に沿って前記被着面から前記第2層部分よりも遠くに突出する突出部分が設けられている、配線部材付き被着体。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配線部材付き被着体であって、
前記第2シートは前記第1シートよりも側方に延出して前記連結部分を覆う延出部を含む、配線部材付き被着体。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の配線部材付き被着体であって、
前記接着部材は前記線状伝送部材の延在方向に沿った第1端部及び第2端部を含み、
前記連結部分は、前記第1端部から前記第2端部まで連続的に延在している、配線部材付き被着体。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の配線部材付き被着体であって、
前記第1シートは前記第1層部分に接する第1不織布を含み、
前記接着部材は、前記第1層部分に連なり前記第1不織布に浸透した第1浸透層部分を含む、配線部材付き被着体。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の配線部材付き被着体であって、
前記第2シートは前記第2層部分に接する第2不織布を含み、
前記接着部材は、前記第2層部分に連なり前記第2不織布に浸透した第2浸透層部分を含む、配線部材付き被着体。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の配線部材付き被着体であって、
前記線状伝送部材が前記第1シート及び前記第2シートのいずれか一方に固定されている、配線部材付き被着体。
【請求項10】
被着体の被着面上に接着部材シート、第1シート、線状伝送部材及び第2シートをこの順で重ねつつ、前記接着部材シートのうち前記第1シートの側方に突出する部分を折り曲げて前記第2シートに接触するように重ねる工程と、
折り曲がった前記接着部材シートを加熱軟化させて、前記接着部材シートを介して、前記被着体、前記第1シート及び前記第2シートを接着する工程と、
を備える、配線部材付き被着体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材付き被着体及び配線部材付き被着体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の電線を扁平に保つ技術を開示している。特許文献1において、複数の電線は、例えば2枚のシートによって挟まれることによって、扁平に保たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-202730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の配線部材のシートが被着体に固定されることがある。シートと被着体とが強固に固定されることが望まれている。
【0005】
そこで、シートと被着体とを強固に固定することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材付き被着体は、被着面を有する被着体と、前記被着面に重なる第1シートと、前記第1シートに重なる第2シートと、前記第1シート及び前記第2シートの間に位置する線状伝送部材と、前記第1シート、前記第2シート及び前記被着体を接着している接着部材と、を備え、前記接着部材は、前記第1シートと前記被着面との間に設けられた第1層部分と、前記第1シートに対して前記被着面側とは反対側に設けられた第2層部分と、前記第1シートの側方で前記第1層部分及び前記第2層部分をつなぐ連結部分とを含む、配線部材付き被着体である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、シートと被着体とが強固に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかる配線部材付き被着体を示す平面図である。
図2図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3図2の領域A1の拡大図である。
図4図4は実施形態1にかかる配線部材付き被着体の製造方法を示す断面図である。
図5図5は実施形態1にかかる配線部材付き被着体の製造方法を示す断面図である。
図6図6は別の例にかかる配線部材付き被着体を示す断面図である。
図7図7は第1変形例にかかる配線部材付き被着体を示す断面図である。
図8図8は第2変形例にかかる配線部材付き被着体を示す断面図である。
図9図9は第3変形例にかかる配線部材付き被着体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材付き被着体は、次の通りである。
【0011】
(1)被着面を有する被着体と、前記被着面に重なる第1シートと、前記第1シートに重なる第2シートと、前記第1シート及び前記第2シートの間に位置する線状伝送部材と、前記第1シート、前記第2シート及び前記被着体を接着している接着部材と、を備え、前記接着部材は、前記第1シートと前記被着面との間に設けられた第1層部分と、前記第1シートに対して前記被着面側とは反対側に設けられた第2層部分と、前記第1シートの側方で前記第1層部分及び前記第2層部分をつなぐ連結部分とを含む、配線部材付き被着体である。第1シートの側縁が第1層部分、第2層部分及び連結部分に囲まれるため、第1シートが被着体から剥がれにくくなり、第1シートと被着体とが強固に接着される。
【0012】
(2)(1)の配線部材付き被着体において、前記第2層部分は、前記第1シート及び前記第2シートの間に位置してもよい。これにより、第1シート及び第2シートが第2層部分を介して接着固定される。
【0013】
(3)(2)の配線部材付き被着体において、前記接着部材は、前記第2シートの幅方向に沿って前記第2シートの側縁よりも側方に露出する露出部分を含んでもよい。これにより、第2シートの側縁まで接着部材に接着されやすくなり、第2シートの側縁が接着部材から剥がれにくくなる。
【0014】
(4)(3)の配線部材付き被着体において、前記露出部分には、前記接着部材の厚み方向に沿って前記被着面から前記第2層部分よりも遠くに突出する突出部分が設けられていてもよい。これにより、突出部分があることによって、接着部材が適切に接着していることの目安となる。
【0015】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの配線部材付き被着体において、前記第2シートは前記第1シートよりも側方に延出して前記連結部分を覆う延出部を含んでもよい。これにより、第2シートの延出部が第1シートを介さずに連結部分を介して被着面に接着固定される。
【0016】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの配線部材付き被着体において、前記接着部材は前記線状伝送部材の延在方向に沿った第1端部及び第2端部を含み、前記連結部分は、前記第1端部から前記第2端部まで連続的に延在していてもよい。これにより、線状伝送部材の延在方向に沿った接着部材の全長にわたって第1層部分と第2層部分とが連結部分を介して連結されることができる。
【0017】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの配線部材付き被着体において、前記第1シートは前記第1層部分に接する第1不織布を含み、前記接着部材は、前記第1層部分に連なり前記第1不織布に浸透した第1浸透層部分を含んでもよい。これにより、接着部材と第1シートとの接着にアンカー効果が発揮される。
【0018】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの配線部材付き被着体において、前記第2シートは前記第2層部分に接する第2不織布を含み、前記接着部材は、前記第2層部分に連なり前記第2不織布に浸透した第2浸透層部分を含んでもよい。これにより、接着部材と第2シートとの接着にアンカー効果が発揮される。
【0019】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの配線部材付き被着体において、前記線状伝送部材が前記第1シート及び前記第2シートのいずれか一方に固定されていてもよい。これにより、第1シートと第2シートとによって線状伝送部材を挟む際、線状伝送部材が第1シートと第2シートとの間から飛び出しにくくなる。これにより、固定作業が容易となる。
【0020】
(10)また、本開示の配線部材付き被着体の製造方法は、被着体の被着面上に接着部材シート、第1シート、線状伝送部材及び第2シートをこの順で重ねつつ、前記接着部材シートのうち前記第1シートの側方に突出する部分を折り曲げて前記第2シートに接触するように重ねる工程と、折り曲がった前記接着部材シートを加熱軟化させて、前記接着部材シートを介して、前記被着体、前記第1シート及び前記第2シートを接着する工程と、を備える、配線部材付き被着体の製造方法である。これにより、折り曲げられた接着部材シートによって、被着体、第1シート、及び第2シートがまとめて接着固定されることができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材付き被着体及びその製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材付き被着体及びその製造方法について説明する。図1は実施形態1にかかる配線部材付き被着体を示す平面図である。図2図1のII-II線に沿った断面図である。図3図2の領域A1の拡大図である。図4及び図5は実施形態1にかかる配線部材付き被着体の製造方法を示す断面図である。図4及び図5図3と同様の位置での概略断面図である。
【0023】
配線部材付き被着体10は、被着体20と第1シート30と第2シート40と線状伝送部材50と接着部材60とを備える。
【0024】
被着体20は、車両において線状伝送部材50が配置される箇所に設けられる部材である。図1に示す例では、線状伝送部材50の中間部が被着体20上に配置される。線状伝送部材50の第1端部は、被着体20の第1端部から外方に延び出る。線状伝送部材50の第2端部は、被着体20の第2端部から外方に延び出る。線状伝送部材50の第1端部及び第2端部のいずれか一方又は両方は、被着体20上に配置されてもよい。
【0025】
被着体20は、車両搭載部品である。例えば、被着体20は、車体に後付けされる部材である。被着体20は、線状伝送部材50と一緒に車両に組込まれてもよい。被着体20及び線状伝送部材50は、配線部材付き被着体10とされた状態で、車両組立工場に搬送されてもよい。被着体20は、例えば、剛性部材であってもよい。それぞれ柔軟な第1シート30、第2シート40及び線状伝送部材50が、被着体20に固定されることによって、被着体20に応じた形状に維持されてもよい。
【0026】
例えば、被着体20は、ブラケットなどであってもよい。被着体20は、線状伝送部材50を固定する機能以外に別の機能を有してもよい。かかる機能は、例えば、機器などを固定する機能であってもよい。また被着体20には、車両への固定部が設けられていてもよい。被着体20と車両とがねじ止めされる場合、被着体20に設けられる固定部は、ねじ止めに用いられる部分であればよく、例えば、貫通孔、ねじ穴、ナット、スタッドボルトなどであってもよい。
【0027】
被着体20は、線状伝送部材50が車両に組付けられるよりも前に、予め車両に組付けられる部材であってもよい。被着体20及び線状伝送部材50は、互いに別々に車両組立工場に搬送されてもよい。例えば、被着体20は、ボディパネル、ボディフレームなどであってもよい。
【0028】
被着体20は、被着面22を有する。被着面22に接着部材60を介して第1シート30が接着されている。ここでは、被着面22は金属製である。被着体20は、例えば、金属部材の単体、又は金属部材と樹脂部材との複合部材などのように、金属部材を含む部材である。この金属部材の表面が被着面22とされる。もっとも被着面22は、樹脂製であってもよい。この場合、被着体20は、樹脂部材の単体、又は金属部材と樹脂部材との複合部材などのように樹脂部材を含む部材であり、樹脂部材の表面が被着面22とされる。
【0029】
第1シート30は、被着面22に重なる。第1シート30は第1面31及び第2面32を有する。第1面31は、被着面22を向く面である。第2面32は、第2シート40を向く面である。
【0030】
第1シート30の一部は、カバー部33とされ、他の一部はシート固定部34とされる。カバー部33は、線状伝送部材50を覆う部分である。シート固定部34は、第2シート40と固定される部分である。第1シート30において、線状伝送部材50の並列方向に沿った中間部がカバー部33であり、両端部がシート固定部34である。
【0031】
第2シート40は、第1シート30に重なる。第2シート40は第3面41及び第4面42を有する。第3面41は、第1シート30を向く面である。第4面42は、第3面41とは反対側を向く面である。
【0032】
第2シート40の一部はカバー部43とされ、他の一部はシート固定部44とされる。カバー部43は、カバー部33とは反対側から線状伝送部材50を覆う部分である。カバー部33、43の間に線状伝送部材50が配置される。シート固定部44は、第1シート30と固定される部分である。シート固定部34、44は互いに接した状態で接着部材60によって固定されている。第2シート40において、線状伝送部材50の並列方向に沿った中間部がカバー部43であり、両端部がシート固定部44である。
【0033】
第1シート30は第2シート40よりも線状伝送部材50の延在方向に沿って長い。図1に示す例では、第1シート30は被着体20よりも長い。第1シート30の第1端部は、線状伝送部材50と共に被着体20の第1端部から外方に延び出る。第1シート30の第2端部は、線状伝送部材50と共に被着体20の第2端部から外方に延び出る。第1シート30の第1端部及び第2端部のいずれか一方又は両方は、被着体20上に配置されてもよい。
【0034】
第2シート40は第1シート30よりも線状伝送部材50の延在方向に沿って短い。図1に示す例では、第2シート40は被着体20と同程度の長さとされる。第2シート40において、線状伝送部材50の延在方向に沿った寸法が線状伝送部材50の並列方向に沿った寸法よりも大きい。第2シート40の第1端部及び第2端部の両方は、被着体20上に配置されている。第2シート40の第1端部は、被着体20の第1端部に配置され、第2シート40の第2端部は、被着体20の第2端部に配置されている。第2シート40の第1端部及び第2端部のいずれか一方又は両方は、被着体20の端部から外方に延び出てもよい。
【0035】
第2シート40は、線状伝送部材50の延在方向に沿って短尺に形成されて、被着体20上において、間隔をあけた複数箇所に設けられていてもよい。例えば、第2シート40において、線状伝送部材50の延在方向に沿った寸法が線状伝送部材50の並列方向に沿った寸法よりも小さくてもよい。
【0036】
第1シート30は不織布層36を含む。不織布層36における複数の繊維37の間に空隙38が形成されている。空隙38は、第1面31から第2面32に達する。本例では、第1シート30は、単層構造を有する。第1シート30は、不織布層36のみを有する。第1シート30は、複層構造を有していてもよい。
【0037】
第2シート40は不織布層46を含む。不織布層46における複数の繊維47の間に第2シート40の空隙48が形成されている。空隙48は、第3面41から第4面42まで達する。本例では、第2シート40は、単層構造を有する。第2シート40は、不織布層46のみを有する。第2シート40は、複層構造を有していてもよい。
【0038】
不織布層36、46における繊維37、47は、合成繊維であってもよいし、天然繊維であってもよい。合成繊維は、樹脂製であってもよい。かかる樹脂の種類は特に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を採用することができる。不織布層36の不織布と不織布層46の不織布とは、同じ種類であってもよいし、互いに異なる種類であってもよい。互いに異なる種類の2つの不織布としては、繊維の材料、繊維の太さ、目付などが異なっていてもよい。
【0039】
線状伝送部材50は、電気又は光等を伝送する線状の部材である。線状伝送部材50は、1本又は複数本設けられる。線状伝送部材50は、車両における部品同士を接続する部材であることが想定される。線状伝送部材50の端部には、例えばコネクタが設けられる。このコネクタが相手側部品に設けられたコネクタと接続されることで、線状伝送部材50が相手側部品に接続される。コネクタは、第1シート30に固定されていてもよい。コネクタは、第1シート30の外側に設けられていてもよい。
【0040】
線状伝送部材50は、伝送線本体51及び被覆層52を含む。伝送線本体51は電気又は光を伝送する伝送路である。例えば、線状伝送部材50が電線の場合、伝送線本体51は導体芯線である。導体芯線は1本又は複数本の素線によって構成される。素線は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を材料として形成される。また例えば、線状伝送部材50が光ファイバの場合、伝送線本体51はコア及びクラッドである。被覆層52は伝送線本体51を覆う層である。被覆層52を構成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、線状伝送部材50は、芯線と芯線の周囲の被覆層とを有する一般電線であってもよいし、シールド線、ツイスト線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。
【0041】
電気を伝送する線状伝送部材50としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材50の一部等は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。
【0042】
また、線状伝送部材50は、単心線であってもよい。単心線は単一の線状物である。単心線は伝送路が1つの線状伝送部材50である。線状伝送部材50は、多心線であってもよい。多心線は複数の線状物の複合物である。多心線は複数の伝送路を有する線状伝送部材50である。多心線は、例えば、ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等であってもよい。
【0043】
線状伝送部材50は、第1シート30及び第2シート40の間に位置する。線状伝送部材50が第1シート30と第2シート40とのいずれか一方に固定されている。本例では、線状伝送部材50が第1シート30に固定されている。以下では、第1シート30と線状伝送部材50とが一体化されたものを配線体100と呼ぶ。配線体100は、車両等において各種部品同士を電気的に(或は光通信可能に)接続する配線部材として用いられる。
【0044】
第1シート30と線状伝送部材50とは、線状伝送部材50の延在方向に沿って部分的に固定されている。かかる固定部をスポット固定部102と呼ぶ。スポット固定部102は、線状伝送部材50の延在方向に沿って互いに間隔をあけつつ複数設けられている。かかるスポット固定部102の間隔は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。もっとも、第1シート30と線状伝送部材50との固定部は、スポット固定部102である必要はない。第1シート30と線状伝送部材50との固定部は、線状伝送部材50の延在方向に沿って連続的に長く設けられていてもよい。
【0045】
第1シート30と線状伝送部材50とのスポット固定部102における固定態様は、如何なる固定態様であってもよい。かかる固定態様としては、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、第1シート30と線状伝送部材50とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様であり、例えば、縫糸、カバー、粘着テープなどが、線状伝送部材50を第1シート30に向けて押え込んだり、第1シート30と線状伝送部材50とを挟み込んだりして、その状態に維持するものである。以下では、第1シート30と線状伝送部材50とが、接触部位固定の状態にあるものとして説明する。
【0046】
かかる接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、第1シート30と線状伝送部材50とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどの接着部材を介して間接的にくっついて固定されているものである。また接触部位直接固定とは、第1シート30と線状伝送部材50とが別に設けられた接着部材等を介さずに直接くっついて固定されているものである。接触部位直接固定では、例えば第1シート30と線状伝送部材50とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。
【0047】
かかる接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
【0048】
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、溶着、融着、溶接等の公知の手段を用いることができる。ここでは第1シート30と線状伝送部材50とのスポット固定部102において、第1シート30と線状伝送部材50とは融着されている。本例では、第1シート30の不織布層36と線状伝送部材50の最外層とが融着される。線状伝送部材50において最外層は被覆層52である。
【0049】
線状伝送部材50の経路は、接続先となる部品の位置等に応じて設定される。線状伝送部材50が第1シート30に固定されることによって、線状伝送部材50がそれぞれの接続先となる部品の位置等に応じた配線経路に沿った状態に保たれる。ここでは線状伝送部材50は第1シート30上で直線状に延びている。第1シート30は、線状伝送部材50の経路に応じた形状(ここでは直線状)に形成されている。もっとも線状伝送部材50の経路は直線経路と曲げ経路との組み合わせによって構成されていてもよい。第1シート30も直線経路と曲げ経路との組み合わせによって構成されていてもよい。複数の線状伝送部材50は、幹線から枝線が分岐する態様で、第1シート30に固定されていてもよい。第1シート30も幹線が固定される部分から枝線が固定される部分が分岐する形状に形成されていてもよい。
【0050】
第1シート30及び第2シート40は柔らかい部材であってもよい。例えば、第1シート30及び第2シート40は柔軟性を有する不織布であるなどして、第1シート30及び第2シート40が柔らかい部材とされる。例えば、第1シート30は線状伝送部材50の曲げに追従可能な柔軟性を有してもよい。第1シート30及び線状伝送部材50は厚み方向への曲げ(折目が第1シート30の主面に沿うような曲げ)が可能とされてもよい。
【0051】
ここでは第1シート30及び第2シート40は同じ幅寸法を有する。第1シート30及び第2シート40は両側縁が揃うように重なっている。第1シート30及び第2シート40は異なる幅寸法を有していてもよい。少なくとも一方の側縁において、第1シート30の側縁が第2シート40の側縁よりも外側に張り出していてもよい。少なくとも一方の側縁において、第2シート40の側縁が第1シート30の側縁よりも外側に張り出していてもよい。
【0052】
接着部材60は、被着体20、第1シート30及び第2シート40を接着している。接着部材60は、第1層部分61と第2層部分62と連結部分63とを含む。第1層部分61は、第1面31と被着面22との間に設けられている。第2層部分62は、第1シート30に対して被着面22側とは反対側に設けられている。第2層部分62は、第1シート30よりも被着面22から遠くに設けられている。ここでは、第2層部分62は、第1シート30及び第2シート40の間に位置する。連結部分63は、第1シート30の側方で第1層部分61及び第2層部分62をつなぐ。
【0053】
第1層部分61は、被着面22及び第1面31に接着している。第1面31が第1層部分61を介して被着面22と接着している。第1シート30のシート固定部34において、第1面31は、被着面22に接していない。第1シート30のシート固定部34において、第1面31は、第1層部分61の厚み分、被着面22から離れている。ここではカバー部33の部分には、接着部材60が設けられていない。第1シート30のカバー部33において、第1面31は、被着面22と接している。カバー部33の部分にも接着部材60が設けられていてもよい。
【0054】
第2層部分62は、少なくとも第2シート40と接着している。ここでは第2層部分62は、第1シート30及び第2シート40と接着している。第2層部分62は、第2面32及び第3面41に接着している。第2面32及び第3面41のうち線状伝送部材50の側方部分が第2層部分62を介して互いに接着している。第2面32のシート固定部34が第2層部分62を介して第3面41のシート固定部44と接着している。
【0055】
連結部分63は、第1シート30の側方で、つまり第1シート30の幅方向に沿って第1シート30の外側で、被着面22に重なる。連結部分63は、被着面22に接着している。連結部分63は、被着面22及び第1シート30の積層方向において、第1シート30に重なっていない。連結部分63は、第1シート30の側方端面を覆う。連結部分63は、第1シート30の側方端面に接着していてもよいし、接着していなくてもよい。
【0056】
図1に示す例では、接着部材60は、線状伝送部材50の延在方向に沿って部分的に設けられている。接着部材60は、線状伝送部材50の延在方向に沿って間隔をあけた複数箇所に設けられている。接着部材60は、被着体20の第1端部及び第2端部にそれぞれ設けられている。被着体20の第1端部及び第2端部の間に、接着部材60は設けられていない。被着体20の第1端部及び第2端部の間に、接着部材60が設けられていてもよい。被着体20の第1端部から第2端部まで連続的に接着部材60が設けられていてもよい。
【0057】
接着部材60は線状伝送部材50の延在方向に沿った第1端部及び第2端部を含む。連結部分63は、接着部材60の第1端部から第2端部まで連続的に延在している。ここでは、第2シート40の4隅それぞれに設けられた各接着部材60において、連結部分63が第1端部から第2端部まで連続的に延在している。
【0058】
ここでは第1シート30のシート固定部34は、被着面22に対する積層方向において第1層部分61及び第2層部分62に挟まれ、かつ当該積層方向と交差する方向において外側から連結部分63に覆われる。第1層部分61、第2層部分62及び連結部分63は、U字状の断面形状を有し、第1シート30のシート固定部34を囲む。
【0059】
接着部材60は、露出部分64をさらに含む。露出部分64は、第2シート40の幅方向に沿って第2シート40の側縁よりも側方に露出する。ここでは、露出部分64は、連結部分63に設けられている。ここでは第1シート30の側縁と、第2シート40の側縁とが揃っているため、連結部分63の全体が露出部分64とされる。例えば、第1シート30の側縁が、第2シート40の側縁よりも外側に張り出している場合、露出部分64は、連結部分63の全体と、第1シート30の張出部分に重なる部分とを含む。また例えば、第2シート40の側縁が、第1シート30の側縁よりも外側に張り出している場合、連結部分63のうち第2シート40の側縁よりも外側に張り出している部分が露出部分64とされる。第2シート40の側縁が、第1シート30の側縁よりも外側に張り出している場合、露出部分64がない場合もありうる。
【0060】
露出部分64には、突出部分65が設けられている。突出部分65は、接着部材60の厚み方向に沿って被着面22から第2層部分62よりも遠くに突出する。突出部分65は、図3に示すように、湾曲凸面を有していてもよい。湾曲凸面は、断面が円形状であってもよい。湾曲凸面は、被着面22まで連続していてもよい。湾曲凸面と被着面22との接触角は、被着面22及び接着部材60の濡れ性に応じた角度であってもよい。突出部分65は、例えば、図5に示すように、接着部材60が加熱軟化される際、接着対象部分が加圧されることによって生じる。
【0061】
ここでは、接着部材60は、第1浸透層部分66、第2浸透層部分67及び第3浸透層部分68を含む。
【0062】
第1浸透層部分66は、第1層部分61に連なる。第1浸透層部分66は、第1シート30の不織布層36に浸透した部分である。第1浸透層部分66は第1層部分61から空隙38を介して不織布層36に浸透している。第1シート30の少なくとも第1面31側で、一部の繊維37の周りが、第1浸透層部分66の接着部材60に覆われている。
【0063】
第2浸透層部分67は、第2層部分62に連なる。第2浸透層部分67は、第2シート40の不織布層46に浸透した部分である。第2浸透層部分67は第2層部分62から空隙48を介して不織布層46に浸透している。第2シート40の少なくとも第3面41側で、一部の繊維47の周りが、第2浸透層部分67の接着部材60に覆われている。
【0064】
第3浸透層部分68は、第2層部分62に連なる。第3浸透層部分68は、第1シート30の不織布層36に浸透した部分である。第3浸透層部分68は第2層部分62から空隙38を介して不織布層36に浸透している。第1シート30の少なくとも第2面32側で、一部の繊維37の周りが、第3浸透層部分68の接着部材60に覆われている。
【0065】
第1浸透層部分66、第2浸透層部分67及び第3浸透層部分68それぞれの浸透度合いは、特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、図3に示すように、第1シート30において、第1浸透層部分66と第3浸透層部分68との間に、接着部材60が浸透していない層があってもよい。また例えば第1浸透層部分66と第3浸透層部分68とが積層方向につながっていてもよい。シート固定部34において、接着部材60が厚み方向に沿って全体的に浸透していてもよい。また例えば、図3に示すように、第2浸透層部分67は、第4面42に達していなくてもよい。また例えば、第2浸透層部分67は、第4面42に達していてもよい。
【0066】
接着部材60の種類は、特に限定されるものではないが、加熱されて接着性を発揮する状態となることができる接着剤などであると良い。接着部材60は、加熱されて軟化し、流動性を有する状態となることが可能であってもよい。かかる接着部材60は、例えば、ホットメルト接着剤であってもよい。
【0067】
第1層部分61の厚み寸法及び第2層部分62の厚み寸法は、特に限定されるものではなく適宜設定可能である。例えば、第1層部分61の厚み寸法及び第2層部分62の厚み寸法は、第1シート30のシート固定部34の厚み寸法と同じであってもよいし、それよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。例えば、第1層部分61の厚み寸法及び第2層部分62の厚み寸法は、0.1mmから2mmの間であってもよい。
【0068】
第1層部分61の幅寸法及び第2層部分62の幅寸法は、特に限定されるものではなく適宜設定可能である。例えば、第1層部分61の幅寸法及び第2層部分62の幅寸法は、第1層部分61の厚み寸法及び第2層部分62の厚み寸法よりも大きくてもよい。例えば、第1層部分61の幅寸法及び第2層部分62の幅寸法は、5mmから20mmの間であってもよい。
【0069】
連結部分63の幅寸法は、特に限定されるものではなく適宜設定可能である。例えば、連結部分63の幅寸法は、第1層部分61の厚み寸法及び第2層部分62の厚み寸法よりも大きくてもよい。例えば、連結部分63の幅寸法は、第1層部分61の幅寸法及び第2層部分62の幅寸法よりも小さくてもよい。例えば、連結部分63の幅寸法は、0.5mmから5mmの間であってもよい。
【0070】
<製造方法>
次に、配線部材付き被着体10の製造方法について説明する。
【0071】
配線部材付き被着体10の製造方法は、重ね工程と、接着工程と、を備える。
【0072】
重ね工程において、被着体20の被着面22上に接着部材シート60B、第1シート30、線状伝送部材50及び第2シート40がこの順で重ねられる。図4に示す例では、第1シート30及び線状伝送部材50が一体化されて配線体100となった状態で設けられている。また、重ね工程において、接着部材シート60Bのうち第1シート30の側方に突出する部分が折り曲げられて第2シート40に接触するように重ねられる。ここでは、図4に示すように、接着部材シート60Bのうち折り曲げられた部分が、第1シート30及び第2シート40の間に入るように重ねられる。
【0073】
接着工程において、折り曲がった接着部材シート60Bが加熱軟化されて、接着部材シート60Bを介して、被着体20、第1シート30及び第2シート40が接着される。接着部材シート60Bの加熱方法は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。接着部材シート60Bが加熱されると、やがて接着部材が軟化して接着性を発揮する状態となる。接着性を発揮する接着部材が、被着面22、シート固定部34、44に接着することによって、接着部材シート60Bを介して、被着体20、第1シート30及び第2シート40が接着される。
【0074】
接着工程において、図5に示すように、接着部分がプレス部材80、81によってプレスされつつ、接着部材シート60Bが加熱されてもよい。つまり、接着部分が加熱プレスされてもよい。接着部分が加熱プレスされると、シート固定部34、44は、圧縮変形して、カバー部33、43よりも厚みが薄くなることもあり得る。接着工程において、図5に示すように、接着部分のうち第2シート40のある部分のみが加熱プレスされてもよい。この場合、接着部材が第2シート40の外側に漏れ出して上記突出部分65をなしてもよい。
【0075】
また、接着工程において、加熱軟化した接着部材が不織布層36、46に浸透しうる。接着部分が加熱プレスされると、加熱軟化した接着部材が不織布層36、46に浸透しやすい。
【0076】
上記配線部材付き被着体10は、第2シート40の内部に浸透した接着部材が、第4面42に達しない状態で、完成となる。例えば、加熱時間、プレス部材の圧力などを調節することによって、第2シート40の内部に浸透した接着部材が、第4面42に達しないようにすることができる。
【0077】
<効果等>
以上のように構成された配線部材付き被着体10によると、第1シート30の側縁が第1層部分61、第2層部分62及び連結部分63に囲まれるため、第1シート30の側縁が被着体20から剥がれにくくなり、第1シート30と被着体20とが強固に接着される。
【0078】
これについて、図6を参照しつつ説明する。図6は別の例にかかる配線部材付き被着体10Xを示す断面図である。
【0079】
配線部材付き被着体10Xにおいて、接着部材60X以外については、配線部材付き被着体10と同様であるため、同じ参照符号を付し、説明は省略される。接着部材60Xは、連結部分63を含まない点で接着部材60とは異なる。このため、接着部材60Xにおいて、第1層部分61及び第2層部分62がつながっておらず、互いに独立して存在する。この場合、第1シート30のうち接着部材60Xに接着されている部分よりも側方部分の側縁が、接着部材60Xの外側に張り出し、周辺部材に引っ掛かったりする恐れがある。
【0080】
これに対して、配線部材付き被着体10では、第1シート30の側縁が第1層部分61、第2層部分62及び連結部分63に囲まれるため、周辺部材に引っ掛かりにくい。
【0081】
また、第2層部分62は、第1シート30及び第2シート40の間に位置する。これにより、第1シート30及び第2シート40がその間の第2層部分62を介して接着固定される。また、接着部分がプレス部材80、81によって挟まれる場合、プレス部材81が第2シート40と接触できることによって、プレス部材81が接着部材シート60Bと接触することが抑制される。
【0082】
また、接着部材60は、第2シート40の幅方向に沿って第2シート40の側縁よりも側方に露出する露出部分64を含む。これにより、第2シート40の側縁まで接着部材60に接着されやすくなり、第2シート40の側縁が接着部材60から剥がれにくくなる。
【0083】
また、露出部分64には、接着部材60の厚み方向に沿って被着面22から第2層部分62よりも遠くに突出する突出部分65が設けられている。この突出部分65があることによって、接着部材60が適切に接着していることの目安となる。例えば、上記のように、接着部分が加熱プレスされる場合、接着部分に与えられるエネルギーが小さいと、突出部分65が生じにくい。従って、突出部分65があることによって、十分大きいエネルギーが接着部分に与えられたものとみなすことができる。
【0084】
また、接着部材60は線状伝送部材50の延在方向に沿った第1端部及び第2端部を含み、連結部分63は、当該第1端部から当該第2端部まで連続的に延在している。これにより、線状伝送部材50の延在方向に沿った接着部材60の全長にわたって第1層部分61と第2層部分62とが連結部分63を介して連結されることができる。
【0085】
また、第1シート30は第1層部分61に接する第1不織布としての不織布層36を含み、接着部材60は、第1層部分61に連なり不織布層36に浸透した第1浸透層部分66を含む。これにより、接着部材60と第1シート30との接着にアンカー効果が発揮される。
【0086】
また、第2シート40は第2層部分62に接する第2不織布としての不織布層46を含み、接着部材60は、第2層部分62に連なり不織布層46に浸透した第2浸透層部分67を含む。これにより、接着部材60と第2シート40との接着にアンカー効果が発揮される。
【0087】
また、線状伝送部材50が第1シート30及び第2シート40のいずれか一方に固定されている。これにより、第1シート30と第2シート40とによって線状伝送部材50を挟む際、線状伝送部材50が第1シート30と第2シート40との間から飛び出しにくくなる。これにより、固定作業が容易となる。
【0088】
また、配線部材付き被着体10の製造方法によると、折り曲げられた接着部材シート60Bによって、被着体20、第1シート30、及び第2シート40がまとめて接着固定されることができる。
【0089】
[付記]
図7は第1変形例にかかる配線部材付き被着体110を示す断面図である。
【0090】
配線部材付き被着体110の第2シート140は、第1シート30よりも側方に延出して連結部分63を覆う延出部45を含む。これにより、第2シート140の延出部45が第1シート30を介さずに連結部分63を介して被着面22に接着固定される。
【0091】
配線部材付き被着体110において、連結部分63の大部分は、延出部45に覆われる。これにより、配線部材付き被着体110において、接着部材160の露出部分164が、配線部材付き被着体10における接着部材60の露出部分64よりも小さくなっている。配線部材付き被着体110において、露出部分164はない場合もあり得る。
【0092】
また、配線部材付き被着体110の露出部分164には、突出部分65が設けられていない。配線部材付き被着体110の露出部分164にも突出部分65が設けられていてもよい。
【0093】
図8は第2変形例にかかる配線部材付き被着体210を示す断面図である。
【0094】
配線部材付き被着体210において、接着部材260の第2層部分262は、第2シート40に対して第1シート30とは反対側にある。第2層部分262は、第2シート40の第4面42に接着している。第1層部分61及び第2層部分262が、シート固定部34、44を挟む。連結部分263は、第1シート30の側端面及び第2シート40の側端面を外側から覆う。
【0095】
第2面32と第3面41とは間に接着部材260を介さずに接している。第2面32の繊維37と第3面41の繊維47とが互いに接触している。第2面32と第3面41とは接着していなくてもよい。第2面32と第3面41とは接着していてもよい。第1浸透層部分66が第2面32まで達して第3面41から第2シート40に浸透していてもよい。第2浸透層部分67が第3面41まで達して第2面32から第1シート30に浸透していてもよい。第1浸透層部分66及び第2浸透層部分67が互いに接するように、接着部材260が第1シート30及び第2シート40の厚み方向に沿って全体的に浸透していてもよい。
【0096】
図9は第3変形例にかかる配線部材付き被着体310を示す断面図である。配線部材付き被着体310において、第1シート330が複層構造を有している点で、上記配線部材付き被着体10とは異なる。第1シート330は不織布層36と融着層39との2層構造を有している。
【0097】
融着層39は、不織布層36よりも線状伝送部材50側に積層されている。融着層39と線状伝送部材50とが融着固定される。融着層39は、不織布層36よりも線状伝送部材50との融着に向く層である。これにより、スポット固定部102の固定強度が高まり、例えば太い線状伝送部材350があってもスポット固定部102が外れにくくなる。融着層39は樹脂材料、好ましくは熱可塑性樹脂材料を含む。融着層39の樹脂材料が軟化して融着相手に融着される。かかる樹脂材料は、特に限定されるものではなく、不織布層36の材料で説明した上記樹脂材料などを用いることができる。好ましくは、被覆層52の材料と融着層39の材料とは相溶性を有しているとよい。ここでは被覆層52を構成する樹脂材料は融着層39を構成する樹脂材料と種類が同じである。例えば、融着層39を構成する樹脂材料、及び被覆層52を構成する樹脂材料はPVC又はポリオレフィンである。
【0098】
融着層39は、非繊維材シートである。非繊維材シートは、繊維を有しないシートである。融着層39は一様充実断面を有するシート(非発泡シート又はソリッドシートなどとも呼ばれる)であってもよい。また例えば、融着層39は、発泡シート等であってもよい。
【0099】
融着層39は不織布層36に部分的に積層されている。第1シート330において、融着層39はカバー部33に設けられ、シート固定部34に設けられていない。カバー部33において、融着層39の表面が第2面32をなしている。シート固定部34において、不織布層36の表面が第2面32をなしている。これにより、不織布層36及び融着層39の複層構造を有する第1シート330においても、空隙38がシート固定部34の第1面31及び第2面32に現れやすい。これにより、配線部材付き被着体310においても、第1浸透層部分66及び第3浸透層部分68が得られる。融着層39は不織布層36に全面的に積層されていてもよい。第1シート330のシート固定部34において、第2面32に空隙38が現れなくてもよい。
【0100】
融着層39の表面と不織布層36の表面とが接触しつつ、融着層39と不織布層36とが固定されている。融着層39と不織布層36との固定態様は特に限定されるものではないが、融着又は接着により固定されているとよい。不織布層36が空隙38を有するため、空隙38に融着層39の樹脂材料又は接着剤が入り込んで固定されることができる。これによりいわゆるアンカー効果が発揮されて、融着層39及び不織布層36が強固に固定される。ここでは融着層39と不織布層36とが融着されているものとして説明される。つまり、融着層39の樹脂が流動性を有する状態で不織布層36の繊維37の間に入り込んだ後に硬化される。これにより、融着層39の樹脂が不織布層36における繊維37の間に入り込んだ状態が維持され、融着層39と不織布層36とが強固に固定される。
【0101】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0102】
10、10X、110、210、310 配線部材付き被着体
20 被着体
22 被着面
30、330 第1シート
31 第1面
32 第2面
33 カバー部
34 シート固定部
36 不織布層(第1不織布)
37 繊維
38 空隙
39 融着層
40、140 第2シート
41 第3面
42 第4面
43 カバー部
44 シート固定部
45 延出部
46 不織布層(第2不織布)
47 繊維
48 空隙
50、350 線状伝送部材
51 伝送線本体
52 被覆層
60、60X、160、260 接着部材
60B 接着部材シート
61 第1層部分
62、262 第2層部分
63、263 連結部分
64、164 露出部分
65 突出部分
66 第1浸透層部分
67 第2浸透層部分
68 第3浸透層部分
80、81 プレス部材
100 配線体
102 スポット固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9