(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006625
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】在庫管理システム、在庫管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20230111BHJP
B67D 7/32 20100101ALI20230111BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
B67D7/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109327
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 賢介
(72)【発明者】
【氏名】星野 直道
【テーマコード(参考)】
3E083
5L049
【Fターム(参考)】
3E083AC01
3E083AD21
3E083AD27
3E083AJ10
5L049AA16
5L049CC52
(57)【要約】
【課題】揮発性流体の特性を考慮した在庫管理及びその在庫管理の結果に応じた警告をする。
【解決手段】在庫管理システムは、揮発性流体を販売する販売店の端末から、所定の単位期間の終了時点において当該販売店における燃料の販売数量及び実在庫量の入力を受け付ける受け付け手段と、前記販売店において対象となる単位期間における前記販売数量及び当該単位期間の1つ前の単位期間の終了時点における前記実在庫量から得られる計算在庫量と当該対象となる単位期間の終了時点における前記実在庫量との差に関する条件であって当該差が基準よりも大きいことを示す第1条件が満たされた場合、当該販売店に対して設定された第1宛先に警告を出力する出力手段とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性流体を販売する販売店の端末から、所定の単位期間の終了時点において当該販売店における燃料の販売数量及び実在庫量の入力を受け付ける受け付け手段と、
前記販売店において対象となる単位期間における前記販売数量及び当該単位期間の1つ前の単位期間の終了時点における前記実在庫量から得られる計算在庫量と当該対象となる単位期間の終了時点における前記実在庫量との差に関する条件であって当該差が基準よりも大きいことを示す第1条件が満たされた場合、当該販売店に対して設定された第1宛先に警告を出力する出力手段と
を有する在庫管理システム。
【請求項2】
前記販売店の属性及び前記対象となる単位期間が属する季節の少なくとも一方に基づいて前記条件を決定する決定手段
を有する請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項3】
前記販売店の属性が、当該販売店が存在する地域、当該販売店が所有する揮発性流体貯蔵庫のサイズ、該販売店が所有する揮発性流体貯蔵庫の数の少なくとも1種を含む
請求項2に記載の在庫管理システム。
【請求項4】
前記受け付け手段が、前記警告に対して前記販売店において行われた点検の結果の入力を受け付け、
前記警告及び当該警告に対する点検の結果を記録するデータベースに、前記受け付けた結果を書き込む書き込み手段を有する
請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項5】
前記データベースに記録された情報を用いて前記条件を決定する決定手段
を有する請求項4に記載の在庫管理システム。
【請求項6】
前記差に関する条件であって前記第1条件よりも厳しい第2条件が満たされた場合、前記警告の宛先を前記第1宛先と異なる第2宛先に設定する設定手段
を有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の在庫管理システム。
【請求項7】
前記第1条件が、所定期間における前記差の累積値の、当該所定期間における前記販売数量の累積値に対する増減率がしきい値以上であるという条件である
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の在庫管理システム。
【請求項8】
揮発性流体を販売する販売店の端末から、所定の単位期間の終了時点において当該販売店における燃料の販売数量及び実在庫量の入力を受け付けるステップと、
前記販売店において対象となる単位期間における前記販売数量及び当該単位期間の1つ前の単位期間の終了時点における前記実在庫量から得られる計算在庫量と当該対象となる単位期間の終了時点における前記実在庫量との差に関する条件であって当該差が基準よりも大きいことを示す条件が満たされた場合、当該販売店に対して設定された第1宛先に警告を出力するステップと
を有する在庫管理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
揮発性流体を販売する販売店の端末から、所定の単位期間の終了時点において当該販売店における燃料の販売数量及び実在庫量の入力を受け付けるステップと、
前記販売店において対象となる単位期間における前記販売数量及び当該単位期間の1つ前の単位期間の終了時点における前記実在庫量から得られる計算在庫量と当該対象となる単位期間の終了時点における前記実在庫量との差に関する条件であって当該差が基準よりも大きいことを示す条件が満たされた場合、当該販売店に対して設定された第1宛先に警告を出力するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性流体の在庫を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
在庫管理に関するシステムが知られている。例えば、特許文献1は、石油の販売元(元売業者又は小売業者)が販売先(小売業者又は消費者)の石油在庫を管理する技術を開示している。また、給油設備に関するシステムとして、例えば、特許文献2は、液面計が検知する液面レベル、又はタンク及び配管の腐食又は油漏れを検知し、インターネット等のネットワークを介して管理サーバに自動的に送信することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-209241号公報
【特許文献2】特開2018-151728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガソリンスタンドは、ガソリンなどの揮発性流体を販売する。揮発性である商品は、不揮発性の商品と異なり、入荷数量と販売数量との差が在庫数量と一致しないことがある。しかしながら、特許文献1及び2においては、揮発性流体の特性が十分に考慮されていない。
【0005】
本開示は、揮発性流体に対し、より高精度な在庫管理及び当該在庫管理の結果に応じて警告を出力する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、揮発性流体を販売する販売店の端末から、所定の単位期間の終了時点において当該販売店における燃料の販売数量及び実在庫量の入力を受け付ける受け付け手段と、前記販売店において対象となる単位期間における前記販売数量及び当該単位期間の1つ前の単位期間の終了時点における前記実在庫量から得られる計算在庫量と当該対象となる単位期間の終了時点における前記実在庫量との差に関する条件であって当該差が基準よりも大きいことを示す第1条件が満たされた場合、当該販売店に対して設定された第1宛先に警告を出力する出力手段とを有する在庫管理システムを提供する。
【0007】
本開示の別の一態様は、揮発性流体を販売する販売店の端末から、所定の単位期間の終了時点において当該販売店における燃料の販売数量及び実在庫量の入力を受け付けるステップと、前記販売店において対象となる単位期間における前記販売数量及び当該単位期間の1つ前の単位期間の終了時点における前記実在庫量から得られる計算在庫量と当該対象となる単位期間の終了時点における前記実在庫量との差に関する条件であって当該差が基準よりも大きいことを示す条件が満たされた場合、当該販売店に対して設定された第1宛先に警告を出力するステップとを有する在庫管理方法を提供する。
【0008】
本開示のさらに別の一態様は、コンピュータに、揮発性流体を販売する販売店の端末から、所定の単位期間の終了時点において当該販売店における燃料の販売数量及び実在庫量の入力を受け付けるステップと、前記販売店において対象となる単位期間における前記販売数量及び当該単位期間の1つ前の単位期間の終了時点における前記実在庫量から得られる計算在庫量と当該対象となる単位期間の終了時点における前記実在庫量との差に関する条件であって当該差が基準よりも大きいことを示す条件が満たされた場合、当該販売店に対して設定された第1宛先に警告を出力するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、揮発性流体の特性を考慮した在庫管理及びその在庫管理の結果に応じた警告をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る在庫管理システムの概要を示す図。
【
図4】在庫管理システムの動作を示すシーケンスチャート。
【
図7】点検結果を入力するためのUIオブジェクトを例示する図。
【
図11】在庫情報を入力するためのUIオブジェクトを例示する図。
【
図12】属性情報を登録するためのメニュー画面を例示する図。
【
図14】メール送信先マスタの設定画面を例示する図。
【
図15】アラート・リマインド通知マスタの設定画面を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.構成
図1は、一実施形態に係る在庫管理システム1の概要を示す図である。在庫管理システム1は、揮発性流体を販売する販売店SSにおける揮発性流体の在庫を管理するためのシステムである。本開示における揮発性流体は水よりも揮発性が高い流体をいい、一例においてガソリン、軽油、及び灯油などの燃料である。以下において揮発性流体が燃料である例を用いる。販売店SSはサービスステーション又はガソリンスタンドである。以下において複数の販売店SSの各々を区別するときは販売店SS[i]と表記する。複数の販売店SSを区別しないときは単に販売店SSと表記する。
【0012】
在庫管理システム1は、サーバ10、販売店端末20、及びユーザ端末30を有する。これらの装置はインターネット等のネットワークを介して接続される。在庫管理システム1は複数の販売店SSにおける燃料の在庫を管理する。各販売店SSにおいては少なくとも1台の販売店端末20が用いられる。販売店端末20は、販売店SSに設置されたコンピュータ装置、例えばパーソナルコンピュータ又はタブレット端末である。ユーザ端末30は、販売店SSに対応するユーザが用いるコンピュータ装置、例えばパーソナルコンピュータ又はスマートフォンである。在庫管理システム1のユーザとは、販売店SSの従業員、店長、及びその販売店の管理会社の社員を包括する概念である。
【0013】
販売店SSは、燃料を貯蔵する貯蔵庫(又はタンク)Tを有する。1つの販売店SSが複数種類の燃料を販売する場合、その販売店SSは各燃料に対応する貯蔵庫Tkを有する。例えば、ガソリン、軽油、及び灯油の3種の燃料を販売する販売店SS[1]は3つの貯蔵庫Tk[1,1]、Tk[1,2]、及びTk[1,3]を有する。
【0014】
販売店SS[i]の従業員は、所定の単位期間の終了時点において、少なくとも販売店SS[i]における燃料の販売数量及び実在庫量を在庫管理システム1に入力する。在庫管理システム1は、入力された情報をデータベースに記録する。在庫管理システム1は、このデータベースを参照して燃料漏れ等の異常が無いか判断する。異常があると判断された場合、在庫管理システム1は、対応するユーザに警告を出力する。
【0015】
図2は、在庫管理システム1の機能構成を例示する図である。在庫管理システム1は、記憶手段11、受け付け手段12、書き込み手段13、決定手段14、判断手段15、設定手段16、出力手段17、制御手段19、記憶手段21、受け付け手段22、表示手段23、送信手段24、受信手段25、制御手段29、記憶手段31、受信手段32、表示手段33、送信手段34、及び制御手段39を有する。この例において、記憶手段11、受け付け手段12、書き込み手段13、決定手段14、判断手段15、設定手段16、出力手段17、及び制御手段19はサーバ10に、記憶手段21、受け付け手段22、表示手段23、送信手段24、受信手段25、及び制御手段29は販売店端末20に、記憶手段31、受信手段32、表示手段33、送信手段34、及び制御手段39はユーザ端末30に、それぞれ実装される。
【0016】
サーバ10において、記憶手段11は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。この例において、記憶手段11はデータベース111及びデータベース112を記憶する。データベース111は、販売店の属性が記録されたデータベースである。データベース112は、販売店において入力された販売数量及び実在庫量のデータが記録されたデータベースである。この例において、データベース112にはさらに、販売店に出された警告及びその警告に対してその販売店において行われた点検の結果が記録される。
【0017】
受け付け手段12は、販売店端末20から、定期点検の結果の入力を受け付ける。定期点検とは、販売店が単位期間(例えば営業時間)の終了時点において行う、燃料の貯蔵庫及び関連設備の点検をいう。定期点検の結果は、例えば燃料の販売数量及び実在庫量のデータを含む。書き込み手段13は、受け付けた定期点検の結果のデータをデータベース112に書き込む。決定手段14は、受け付けた定期点検の結果が、警告を出力するための条件を決定する。
【0018】
判断手段15は、対象となる販売店について、警告を出力するための条件が満たされたか判断する。この条件は、販売店において対象となる単位期間における販売数量及び単位期間の1つ前の単位期間の終了時点における実在庫量から得られる計算在庫量と当該対象となる単位期間の終了時点における前記実在庫量との差に関する条件であって当該差が基準よりも大きいことを示す第1条件を含む。この条件が満たされたと判断手段15が判断した場合、設定手段16は、警告の出力先となる宛先を設定する。警告の出力先は、例えばデータベース111において定義される。出力手段17は、設定された宛先に警告を出力する。この警告は、例えば、販売店に対し貯蔵庫及び関連設備の点検を促すものである。制御手段19は、その他の制御を行う。
【0019】
販売店端末20において、記憶手段21は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。受け付け手段22は、ユーザから定期点検の結果の入力を受け付ける。表示手段23は、各種のUI(User Interface)画面を表示する。表示手段23が表示するUI画面には、例えば、定期点検の結果を入力するための入力画面が含まれる。送信手段24は、定期点検の結果をサーバ10に送信する。受信手段25は、サーバ10等の他の装置から各種のデータを受信する。制御手段29は、その他の制御を行う。
【0020】
ユーザ端末30において、記憶手段31は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。受信手段32は、サーバ10から警告を受信する。表示手段33は、サーバ10から受信した警告に対する点検(以下、警告に対処するために行われる点検を「異常点検」という)の結果を入力するためのUI画面を表示する。ユーザは、このUI画面を介して異常点検の結果を入力する。送信手段34は、異常点検の結果をサーバ10に送信する。制御手段39は、その他の制御を行う。
【0021】
サーバ10において、受け付け手段12は、異常点検の結果の入力を受け付ける。書き込み手段13は、異常点検の結果をデータベース112に書き込む。
【0022】
図3は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF(Interface)104を有するコンピュータ装置である。CPU101は、プログラムを実行して各種の演算を行い、サーバ10の他のハードウェア要素を制御する制御装置である。メモリ102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置である。ストレージ103は、各種のプログラム及びデータを記憶する不揮発性の補助記憶装置である。通信IF104は、所定の通信規格(例えばイーサネット(登録商標))に従って他の装置と通信する通信装置である。
【0023】
この例において、ストレージ103に記憶されるプログラムには、コンピュータ装置を在庫管理システム1におけるサーバ10として機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)が含まれる。CPU101がサーバプログラムを実行することにより、コンピュータ装置に
図2の機能が実装される。CPU101がサーバプログラムを実行している状態において、メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方が記憶手段11の一例であり、CPU101が書き込み手段13、決定手段14、判断手段15、設定手段16、及び制御手段19の一例であり、通信IF104が受け付け手段12及び出力手段17の一例である。
【0024】
詳細な説明は省略するが、販売店端末20及びユーザ端末30は、それぞれ、プロセッサ、メモリ、ストレージ、ディスプレイ、入力装置、及び通信IFを含むコンピュータ装置である。この例において、ストレージに記憶されるプログラムには、コンピュータ装置を在庫管理システム1における販売店端末20又はユーザ端末30として機能させるためのプログラム(以下それぞれ、「クライアントプログラム(販売店端末用)」及び「クライアントプログラム(ユーザ端末用)」という)が含まれる。クライアントプログラム(販売店端末用及びクライアントプログラム(ユーザ端末用)は、それぞれ、汎用のウェブブラウザのプログラム又は専用のアプリケーションプログラムである。
【0025】
プロセッサがクライアントプログラム(販売店端末用)を実行している状態において、メモリ及びストレージの少なくとも一方が記憶手段21の一例である。また、上記状態において、入力装置が受け付け手段22の一例であり、ディスプレイが表示手段23の一例であり、通信IFが送信手段24及び受信手段25の一例であり、プロセッサが制御手段29の一例である。
【0026】
プロセッサがクライアントプログラム(ユーザ端末用)を実行している状態において、メモリ及びストレージの少なくとも一方が記憶手段31の一例であり、通信IFが受信手段32及び送信手段34の一例であり、ディスプレイが表示手段33の一例であり、プロセッサが制御手段39の一例である。
【0027】
2.動作
2-1.動作例1
図4は、在庫管理システム1の動作例を示すシーケンスチャートである。
図4のシーケンスの開始前の時点において、サーバ10、販売店端末20、及びユーザ端末30にはそれぞれサーバプログラム、クライアントプログラム(販売店端末用)、及びクライアントプログラム(ユーザ端末用)がインストールされている。
【0028】
ステップS101において、販売店のユーザは、販売店端末20において定期点検の結果を入力する。一例において、販売店端末20からサーバ10にアクセスすると、サーバ10はトップ画面を表示するためのデータを販売店端末20に送信する。
【0029】
図5は、トップ画面を例示する図である。トップ画面は、領域901及び領域902を含む。領域901は、在庫管理システム1が提供するサービスのメニューを表示する領域である。この例では、「毎日・毎週点検」、「毎月点検」、「6ヶ月点検」、及び「在庫管理」の4つのメニューが提供される。「毎日・毎週点検」は、毎日及び毎週行うべき定期点検の結果を入力する画面へのリンクである。「毎月点検」は毎月行うべき定期点検の結果を入力する画面へのリンクである。「6ヶ月点検」は6ヶ月毎に行うべき定期点検の結果を入力する画面へのリンクである。「在庫管理」はその販売店における燃料の在庫状況を表示する画面へのリンクである。
【0030】
このように、この例においては、定期点検は複数種類(
図5の例では毎日・毎週点検、毎月点検、及び6ヶ月点検の3種類)定義される。それぞれ点検の単位期間が異なっている。毎日・毎週点検では単位期間が1営業日及び7カレンダー日であり、毎月点検では単位期間が1カレンダー月であり、6ヶ月点検では6カレンダー月である。例えば毎日・毎週点検について、販売店SS[i]の従業員は、営業時間内の決まった時刻(例えば営業終了後の毎日午後10時)に点検結果を在庫管理システム1に入力する。
【0031】
領域902は、在庫管理システム1からのお知らせを表示するための領域である。このお知らせには、定期点検に関するアラート(すなわち警告)が含まれる。例えば
図5の例において、領域902の最上段には「今週の油水分離機の点検が未入力です。」という、定期点検の結果が入力されていないことを示す警告が表示されている。
【0032】
図6は、毎日・毎週点検の入力画面を例示する図である。この入力画面は、領域911、領域912、及び領域913を含む。領域911は、対象となる販売店及び対象となる期間を指定するためのUIオブジェクト(例えばプルダウンメニュー)を表示する領域である。
図6の例では、対象期間として2021年4月が指定されている。領域912は、入力されたデータを所定の形式(例えばpdfファイル)で出力する指示を入力するためのUIオブジェクト(例えばボタン)を表示する領域である。領域913は、対象期間における日常点検(毎日・毎週点検)の結果を表示する領域である。対象期間に複数の単位期間が含まれるため、この例においては、縦に日付が、横に点検項目及び確認の有無が配置された表形式で点検結果が表示される。ユーザがこの画面において(例えばある行をクリックすることにより)一の日付を選択すると、点検結果を入力するためのUIオブジェクト(例えばポップアップウインドウ)が表示される。
【0033】
図7は、点検結果を入力するためのUIオブジェクト(ポップアップウインドウ)を例示する図である。このポップアップウインドウは、点検項目の表示及びその点検結果を入力するためのUIオブジェクトを含む。点検結果は、あらかじめ定義された選択肢から選択されるものである。この例において点検結果を入力するためのUIオブジェクトはラジオボタンである。さらに、点検結果を入力するためのUIオブジェクトは、備考として記述される文字列を入力するためのテキスト入力欄を含む。ユーザ(例えば販売店の従業員)は、この画面において点検結果を入力する。
【0034】
図8は、毎月点検の入力画面を例示する図である。この入力画面は領域911及び領域912に加え、領域923を含む。領域923は、対象期間における日常点検(毎月点検)の結果を表示する領域である。毎日・毎週点検と異なり対象期間に単一の単位期間のみが含まれるため、領域923は、点検項目及び点検内容の表示、並びに点検結果を入力するためのUIオブジェクト(選択肢を選択するラジオボタン及び備考の文字列を入力するテキスト入力欄)を含む。点検項目は毎日・毎週点検と異なっている。領域923の下部には確認欄が含まれる。確認欄は点検を行った者を選択するためのUIオブジェクト(
図8の例ではチェックボックス)を含む。なお
図7では図示しなかったが、毎日・毎週点検の結果を入力するためのポップアップウインドウにも点検を行った者を選択するための確認欄が含まれる。
【0035】
図9は、6ヶ月点検の入力画面を例示する図である。この入力画面は領域911及び領域912に加え、領域933を含む。領域933は、対象期間における日常点検(6ヶ月点検)の結果を表示する領域である。点検項目は毎日・毎週点検及び毎月点検と異なっている。点検項目は異なっているものの、点検結果の入力方法は毎月点検と同様である。
【0036】
再び
図4を参照する。毎月点検及び6ヶ月点検においても、ユーザが点検結果の入力を完了すると(例えば
図8の領域923の「更新」ボタンを押されると)、販売店端末20は、点検結果をサーバ10に送信する(ステップS102)。販売店端末20から点検結果の入力を受け付けると、サーバ10は、受け付けたデータをデータベース112に書き込む(ステップS103)。サーバ10は、新たに入力された点検結果を含む領域923又は領域933のデータを生成し、販売店端末20に送信する。販売店端末20は、新たに入力された点検結果を含む領域923又は領域933を含む画面(
図8又は
図9)を表示する。
【0037】
図10は、在庫管理の画面を例示する図である。在庫管理画面は、領域911及び領域912に加え、領域943及び領域944を含む。領域944は、燃料の貯蔵庫を選択するためのUIオブジェクト及び選択された貯蔵庫の属性の表示を含む。貯蔵庫の属性は、例えば、識別番号(図の例では「タンクNo.」)、燃料の種類(図の例では「油種」)、貯蔵庫の容量(図の例では「タンク容量」)、及び点検責任者を含む。これらの情報はデータベース111に記録されており、サーバ10はデータベース111からこれらの情報を読み出す。1つの販売店が複数の貯蔵庫を有することがあり、在庫の確認は貯蔵庫ごとに行われる。なお
図6、
図8、及び
図9では、毎日・毎週点検、毎月点検、及び6ヶ月点検が複数の貯蔵庫についてまとめて行われる(貯蔵庫及びその関連設備毎に定期点検が行われるわけではない)例を説明したが、これらの定期点検についても、貯蔵庫貯蔵庫及びその関連設備毎に点検及びその記録が行われてもよい。
【0038】
ユーザがこの画面において(例えばある行をクリックすることにより)一の日付を選択すると、在庫に関する情報を入力するためのUIオブジェクト(例えばポップアップウインドウ)が表示される。
【0039】
図11は、在庫情報を入力するためのUIオブジェクト(ポップアップウインドウ)を例示する図である。このポップアップウインドウは、点検項目の表示及びその点検結果を入力するためのUIオブジェクトを含む。念のため記載しておくと、この在庫情報の入力も定期点検の一例である。ここで入力される点検結果は燃料の在庫に関する数値が主である。
図11の例では、対象となる営業日(図の例では2021年4月3日)における「前日営業後の実在庫量」、「ローリーからの受け入れ数量」、「計量器からの販売数量」、及び「営業終了後の実在庫量」が点検結果として入力される。「前日営業後の実在庫量」は、初回入力時以外は前日のデータが自動的に取得されこの画面に表示されるのでユーザはこれを入力しない。「ローリーからの受け入れ数量」は、対象となる営業日に新たに貯蔵庫に追加された燃料があれば、その追加された数量を示す。「計量器からの販売数量」は、販売店における計量器(例えばPOS装置)においてその営業日に販売されたことが記録されている燃料の数量を示す。「営業終了後の実在庫量」は貯蔵庫の計器において計測される、その営業日における営業終了時刻後の貯蔵庫内の在庫量を示す。
【0040】
燃料は揮発性が高いので、計算在庫量と実在庫量との差Dが明らかに生じる蓋然性が高い。計算在庫量とは、前日営業後の実在庫量から計量器からの販売数量を減算した結果をいう。例えば前日営業後の実在庫量が4000Lであり、その営業日の販売数量が1000Lであった場合、計算在庫量は4000-1000=3000Lである。しかし給油作業中に燃料が揮発する等の事情により、貯蔵庫の計器により示される残量はこれよりも少なく例えば2900Lである。両者の差(詳細には実在庫量から計算在庫量を減算した結果)がDである(この例では、D=2900-3000=-100)。
【0041】
図11のポップアップウインドウは、燃料の在庫に関する数値に加え、「漏洩点検管の点検」の結果を入力するラジオボタン、及び漏洩点検管に不備がある場合にその不備内容を入力するためのテキスト入力欄を含む。ユーザ(例えば販売店の従業員)は、この画面においてこれらの点検結果を入力する。
【0042】
再び
図4を参照する。ユーザが点検結果の入力を完了すると(例えば
図7のポップアップウインドウ又は
図11のポップアップウインドウで「登録」ボタンを押されると)、販売店端末20は、点検結果をサーバ10に送信する(ステップS102)。販売店端末20から点検結果の入力を受け付けると(すなわち点検結果を受信すると)、サーバ10は、受け付けたデータをデータベース112に書き込む(ステップS103)。サーバ10は、新たに入力された点検結果を含む画面のデータを生成し、販売店端末20に送信する。販売店端末20は、新たに入力された点検結果を含む画面を表示する(すなわち画面が更新される)。例えば毎日・毎週点検の結果が新たに入力されれば
図6の画面が更新され、在庫情報が新たに入力されれば
図10の画面が表示される。
【0043】
ステップS104において、サーバ10は、ユーザに警告を行うための条件を決定する。在庫管理システム1からユーザに対して行われる警告には複数の種類があるが、ここで決定されるのは、在庫情報に関する警告である。一例において、条件は全ての販売店及び全ての季節に対して共通であり、この条件を定義する情報がサーバ10(の記憶手段11)に記憶されている。一例において、この条件は、計算在庫量と実在庫量との差Dの、販売数量に対する比率に関する条件(差Dに関する条件の一例)である。具体的には、この条件は、所定期間Tにおける差の累積値ΣDの、この所定期間における累積販売数量ΣSに対する累積増減率RΣ(=ΣD/ΣS)の大きさがしきい値Th[1]以上であるという条件である。一例において、Tは3日でありTh[1]は10%である。Th[1]は、データベース111に記録されている累計増減率判定基準に基づいて(例えば累計増減率判定基準に所定の係数を乗算することにより)得られる。なおこの条件が全ての販売店及び全ての季節に対して共通である場合(すなわちこの条件が固定されている場合)、ステップS104の処理は省略されてもよい。
【0044】
ステップS105において、サーバ10は、対象となる点検結果が、警告を行うための条件を満たすか判断する。対象となる点検結果は、ステップS102において入力が受け付けられた点検結果である。すなわちサーバ10は、新たに入力された点検結果が警告を行う条件を満たすか判断する。この条件が満たされた場合、サーバ10は、この条件が満たされた旨を示す情報を、対象となる販売店と対応づけてデータベース112に書き込む。
【0045】
新たに入力された点検結果が警告を行う条件を満たすと判断された場合、サーバ10は、警告を出力する(ステップS106)。一例において警告の出力先はあらかじめ決められており、例えば、在庫管理の画面を表示するためにサーバ10にアクセスしてきた販売店端末20である。一例において、警告は在庫管理の画面において表示される。
【0046】
再び
図10を参照する。この例では、4月1日、2日、及び3日の直近3日間における累積増減率Rが-10.00%であり、警告を行うための条件を満たしている。この場合、サーバ10は、販売店端末20からのアクセス要求に対して、警告を含む画面を生成する。この例においては警告を行うための条件が満たされた項目に相当セルが他のセルとは異なる色で表示される。例えば、4月3日の累積増減率のセルが赤色で表示される。
【0047】
さらに、警告を行うための条件が満たされた場合、サーバ10は、あらかじめ定義された宛先に警告メッセージを送信する。警告メッセージは、例えば、電子メール、SMS、メッセージングサービス、又はチャットサービスを介して送信される。この宛先はデータベース111に登録されている。警告メッセージの送信先は、例えば、その販売店の従業員、店長、及びその販売店を統括する管理会社の管理担当者のうち少なくとも1人である。すなわち、サーバ10は、警告をユーザ端末30に送信する(
図4:ステップS107)。この例によれば、日常点検により以上が発生したことをユーザは容易に知ることができる。
【0048】
2-2.補足(販売店の属性情報の登録)
在庫管理システム1の利用に際し、各販売店につき、その販売店の属性情報を在庫管理システム1に登録する必要がある。一例において、販売点の属性情報は、その販売点の従業員により登録される。
【0049】
図12は、属性情報を登録するためのメニュー画面(マスタ管理画面)を例示する図である。例えば販売店端末20がサーバ10にアクセスした時に表示されるトップ画面にこのマスタ管理画面へのリンクが含まれており、ユーザがこのリンクを選択することによりマスタ管理画面が販売店端末20に表示される。
【0050】
この例においては、マスタ管理画面において、貯蔵庫に関する情報(タンクマスタ)、警告を送信する宛先の設定(メール送信先マスタ)、警告を行う条件に関する設定(アラート・リマインド通知マスタ)の3種類の属性情報の登録又は設定が可能である。
【0051】
図13は、タンクマスタの設定画面を例示する図である。タンクマスタの設定画面は、領域951、領域952、及び領域953を含む。領域951は、対象となる販売店を指定するためのUIオブジェクト(図の例ではプルダウンメニュー)を表示する領域である。領域952は、貯蔵庫の新規登録を指示するためのUIオブジェクト(図の例では「新規登録」ボタン)を表示する領域である。領域953は、登録済の貯蔵庫の属性を表示する領域である。この例において、貯蔵庫の属性は、識別番号(図の例では「タンクNo.」)、燃料の種類(図の例では「油種」)、貯蔵庫の容量(図の例では「タンク容量」)、点検責任者、及び警告の条件に関する情報(図の例では「累計増減率判定基準」)を含む。ユーザが「新規登録」ボタンを押すと、これらの情報を入力するための入力画面(図示略)が表示される。サーバ10は、この入力画面を介して入力された属性情報をデータベース111に書き込む。
【0052】
図14は、メール送信先マスタの設定画面を例示する図である。メール送信先マスタの設定画面は、領域951に加え、領域962及び領域963を含む。領域962は、メール送信先の新規登録を指示するためのUIオブジェクト(図の例では「新規登録」ボタン)を表示する領域である。領域963は、登録済のメール送信先の属性を表示する領域である。この例において、メール送信先の属性は、識別情報(図の例では「送信先」)、送信先となるメールアドレス、送信する警告の種類を指定する情報(図の例では「アラート通知(SS向け)」、「アラート通知(責任者向け)」、及び「リマインド通知」)を含む。アラート通知(SS向け)とは、販売店の従業員又は店長向けの警告をいう。アラート通知(責任者向け)とは、その販売店を管轄する管理会社の管理者向けの警告をいう。この例において、警告はアラート通知(SS向け)、アラート通知(責任者向け)、及びリマインド通知に区分される。アラート通知(責任者向け)及び「リマインド通知」について、警告を行うための条件はそれぞれ個別に定義されてもよいし、同じ条件が用いられてもよい。両者で同じ条件が用いられる場合、SS向けと責任者向けとでアラート通知のメール文面が異なる。サーバ10は、この入力画面を介して入力された属性情報をデータベース111に書き込む。
【0053】
図15は、アラート・リマインド通知マスタの設定画面を例示する図である。アラート・リマインド通知マスタの設定画面は、領域951に加え、領域973を含む。領域973は、アラート・リマインド通知のタイミングを設定するためのUIオブジェクトを表示する領域である。在庫管理システム1からユーザに対して行われる警告は複数種類に区分される。
図15においては未入力アラートが設定される例を示す。未入力アラートとは、定期点検の結果が未入力であった場合に行われる警告をいう。未入力アラートは、複数種類の定期点検の各々に対して設定される。未入力アラートの設定項目は、未入力の期間及びメール送信時刻を含む。定期点検を行うべき営業日の営業終了時刻から「未入力の期間」で設定された日が経過した後で設定された「メール送信時刻」になった場合、サーバ10は設定された宛先に警告のメールを送信する。サーバ10は、この入力画面を介して入力された属性情報をデータベース111に書き込む。
【0054】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例に記載した事項のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0055】
3-1.警告を行うための条件
ユーザに警告を行うための条件は実施形態において例示されたものに限定されない。例えば、実施形態において例示した条件に代えて、又は加えて、計算在庫量と実在庫量との差Dの販売数量Sに対する比率R(=D/S)の大きさがしきい値Th[2]以上であった単位期間が、しきい値Th[3]以上連続した、という条件が用いられてもよい。一例において、Th[2]はデータベース111に記録されている累計増減率判定基準に基づいて(例えば累計増減率判定基準に所定の係数を乗算することにより)得られる。しきい値Th[2]は、例えば10%である。しきい値Th[3]は例えば3日である。
【0056】
ユーザに警告を行うための条件は、緩いものから厳しいものまで複数段階、定義されてもよい。例えば、比率R(=D/S)の大きさがしきい値Th[2]以上であった単位期間がしきい値Th[3]以上連続した、という第1条件に対し、より厳しい第2条件が定義されてもよい。第2条件は、例えば、比率Rの大きさがしきい値Th[4]以上であった単位期間がしきい値Th[3]以上連続した(Th[4]>Th[2])という条件である。あるいは、第2条件は、比率Rの大きさがしきい値Th[2]以上であった単位期間がしきい値Th[5]以上連続した(Th[5]>Th[3])という条件である。さらにあるいは、第2条件は、比率Rの大きさがしきい値Th[4]以上であった単位期間がしきい値Th[5]以上連続したという条件であってもよい。警告を行うための条件が複数段階定義される場合、警告の内容及び警告の送信先の少なくとも一方が、条件の厳しさに応じて変更されてもよい。例えば、より厳しい条件が満たされた場合、サーバ10は、緩い条件が満たされたときよりも多くのユーザに対して、又は優先度の高いユーザに対して警告を出力される。あるいは、警告を出力する宛先が変わらない場合においてより厳しい条件が満たされたときは、サーバ10は、緩い条件が満たされたときよりも緊急性の高い又は厳しい文面の警告を出力する。
【0057】
あるいは、ユーザに警告を行うための条件は計算在庫量と実在庫量との差Dの販売数量Sに対する比率Rに関するものではなく、差Dそのものに関するものであってもよい。例えば、ユーザに警告を行うための条件は、差Dがしきい値Th[6]以上である期間がしきい値Th[7]以上連続したというものである。
【0058】
3-2.警告を行うための条件の決定方法
実施形態においては警告を行うための条件が固定されている例を説明したが、警告を行うための条件は種々の属性又は環境に応じて適応的に決定されてもよい。例えば、決定手段14は、ステップS104において、販売店の属性及び対象となる営業日が属する季節の少なくとも一方に基づいて条件を決定する。ここで用いられる販売店の属性情報は、例えば販売店が属する地域である。各地域は、平均気温又は平均日射量などの気象データに応じてグループ分けされる。例えば平均気温がより高いグループに属する地域にある販売店に対しては、比率Rの大きさに関するしきい値Thが大きく、平均気温がより低いグループに属する地域にある販売店に対しては、比率Rの大きさに関するしきい値Thが小さく決定される。あるいは、販売店の属性として、貯蔵庫のサイズ及び数の少なくとも一方が用いられてもよい。あるいは、決定手段14は、警告を行うための条件(より詳細には、条件において用いられるしきい値の値)を、その営業日におけるその販売店が属する地域の最高気温又は日射量などの気象データ(すなわち販売店の近辺における天気)に応じて決定してもよい。例えば、同じ販売店であっても天気が晴れの営業日においては比率Rの大きさに関するしきい値Thが大きく、天気が雨の営業日においては比率Rの大きさに関するしきい値Thが小さく決定される。
【0059】
あるいは、決定手段14は、データベース112に記録されたデータを参照して、警告を行うための条件を決定してもよい。データベース112には、警告を行うための条件が満たされた旨の情報が記録されている。この情報は、販売店の識別情報、及びその条件を満たすと判断された時刻を示す時刻情報と対応づけられている。決定手段14は、この販売店の識別情報及び時刻情報から、警告を行うための条件が満たされたと判断された時刻の前後の点検結果をデータベース112において参照する。過去のある長さを有する期間において警告を行ったものの点検の結果異常が無かった割合がしきい値を超えた場合、決定手段14は、その販売店に関し警告を行うための条件が緩くなるよう変更する。具体的には、決定手段14は、例えばしきい値Th[1]の値を大きくする。
【0060】
さらにあるいは、決定手段14は、データベース112に記録されているデータを教師データとして用いた機械学習により、警告を行うための条件を決定してもよい。決定手段14は、例えば、データベース112に記録されている販売店の属性情報、その販売店が属する地域の気象データ、及び警告を行うための条件(例えばしきい値の値)を機械学習モデルの入力層に、定期点検及び異常点検の結果を出力層に、教師データとして与えて機械学習を行う。この学習済の機械学習モデルを用いれば、ある販売店(属性及び地域が既知)に対して警告を行うための条件(例えばしきい値の値)を複数パターン変化させて入力層に入力すると、定期点検及び異常点検の結果の予測値(すなわち異常の有無)が出力層から出力される。例えば、決定手段14は、異常がある確率がしきい値を超えない範囲でしきい値を最大化する。
【0061】
3-3.警告の出力方法
警告の出力方法は実施形態において例示したものに限定されない。例えば警告は、音声通話により出力されてもよい。
【0062】
3-4.警告の宛先
警告の宛先は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、設定手段16は、あらかじめ送信先の候補として登録されたユーザのうち、その時点でその販売店に最も近い位置にいるユーザを警告の宛先として設定する。
【0063】
3-5.警告の内容
警告の内容は実施形態において例示したものに限定されない。警告メッセージは、点検結果から予測される異常原因に対応する点検を指示する文字列、又はその点検結果の入力画面へのリンクを含んでもよい。この場合、例えば制御手段19が、その警告に対応する異常原因を推定する。異常原因の推定は、例えばデータベース111に記録された販売店の属性及びデータベース112に記録された定期点検及び異常点検の結果を用いて行われる。一例において、前述のように実在庫量から計算在庫量を減算した差Dは負の値を取るはずであるが、差Dが予想よりも正側に振れている場合、貯蔵庫に水など他の液体が混入した可能性がある。逆に差Dが予想よりも負側に振れている場合、貯蔵庫又は関連設備において液漏れが生じている可能性がある。あるいは、数値データ以外の点検結果により、又は数値データと他の点検結果との組み合わせにより、より詳細な原因を推定できる可能性もある。
【0064】
警告メッセージに点検の指示又は点検結果の入力画面へのリンクが含まれる場合、出力手段17は、その点検結果が入力されるまで点検のリマインドを出力してもよい。リマインドを出力した後でも点検結果が入力されない場合、設定手段16は、別のユーザ(例えば、あらかじめ送信先の候補として登録されたユーザのうちより職位が高いユーザ)にリマインドを出力してもよい。
【0065】
3-6.他の実施形態
在庫管理システム1における機能要素とハードウェア要素との対応関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、実施形態においてサーバ10の機能として説明したものの一部を、販売店端末20又はユーザ端末30に実装してもよい。あるいは、実施形態においてサーバ10の機能として説明したものの一部を、ネットワーク上の他の装置に実装してもよい。例えば、サーバ10とは別の装置がデータベース111及びデータベース112を記憶してもよい。
【0066】
在庫管理システム1のハードウェア要素は実施形態において例示したものに限定されない。要求される機能を実装できるものであれば、在庫管理システム1はどのようなハードウェア構成を有していてもよい。例えば、サーバ10は物理サーバであってもよいし、仮想サーバ(例えばいわゆるクラウド)であってもよい。
【0067】
実施形態において説明したUI画面はあくまで例示であり、在庫管理システム1が提供するUI画面はこれに限定されるものではない。要求される情報を入力又は出力できるものであれば、どのようなUI画面が用いられてもよい。また、在庫管理システム1において入力及び記録される情報は実施形態において例示したものに限定されない。在庫の棚卸し情報など、実施形態において例示していない情報が入力及び記録されてもよい。
【0068】
実施形態において例示した各種のプログラムは、それぞれ、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…在庫管理システム、10…サーバ、11…記憶手段、12…受け付け手段、13…書き込み手段、14…決定手段、15…判断手段、16…設定手段、17…出力手段、19…制御手段、20…販売店端末、21…記憶手段、22…受け付け手段、23…表示手段、24…送信手段、25…受信手段、29…制御手段、30…ユーザ端末、31…記憶手段、32…受信手段、33…表示手段、34…送信手段、39…制御手段、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF