(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066959
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ドレン部材及び配管構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/068 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
E04D13/068 504E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177852
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】元 隆明
(72)【発明者】
【氏名】菅生 純
(72)【発明者】
【氏名】吉川 康宏
(57)【要約】
【課題】上側ドレン部材の内筒部を下側ドレン部材の外筒部にスムースに挿入することが可能なドレン部材及び配管構造を提供する。
【解決手段】ドレン部材100は、下側ドレン部材110と、上側ドレン部材120と、を備える。下側ドレン部材110の第2外筒部113は、第1外筒部112の内側に配置され、内面に内周ネジ部115が設けられている。上側ドレン部材120の内筒部122は、外周面に内周ネジ部115と螺合する外周ネジ部125が設けられている。下側ドレン部材110は、上側ドレン部材120と下側ドレン部材110を装着する際に、内筒部122を第2外筒部113の内周側に案内する下側ガイドスリーブ116を備えている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、前記底板の幅方向の両端から上方に向かって伸びる側板と、を有し、前記底板に下穴が形成された軒樋に装着されるドレン部材であって、
前記底板の下面に配置され、前記下面に接着される下側フランジ部と、前記下側フランジ部の下方に形成され下方に向かって延在する第1外筒部と、前記第1外筒部の内側に配置され、内面に内周係合部が設けられた第2外筒部と、前記第1外筒部と前記第2外筒部とを連結する連結部と、を有する下側ドレン部材と、
前記底板の上面に配置され内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、前記上側フランジ部の下方に形成され下方に向かって延在し前記第2外筒部に挿入される内筒部と、前記上側フランジ部と前記内筒部の上端部を接続し下方に向かうにしたがって縮径される内筒縮径部と、前記内筒部の外周面に形成され前記内周係合部と螺合される外周係合部と、を有する上側ドレン部材と、を備え、
前記上側ドレン部材と前記下側ドレン部材の少なくともいずれか一方は、前記上側ドレン部材と前記下側ドレン部材を装着する際に、前記内筒部を前記第2外筒部の内周側に向かって案内する挿入ガイド部を備えていることを特徴とするドレン部材。
【請求項2】
請求項1に記載のドレン部材であって、
前記挿入ガイド部は、
前記外周係合部の下端部から下方に延在する上側ガイドスリーブ、又は前記内周係合部の上端部から上方に延在する下側ガイドスリーブにより構成されていることを特徴とするドレン部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のドレン部材であって、
前記連結部は、
前記第1外筒部の内面に設けられた被係合部と、前記第2外筒部の外面に設けられた係合部とで構成されていることを特徴とするドレン部材。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のドレン部材であって、
前記連結部は、
前記第1外筒部の内面及び前記第2外筒部の外面を一体に連結する橋部で構成されていることを特徴とするドレン部材。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のドレン部材であって、
前記第1外筒部の下端又は前記第2外筒部の下端に、凹部が設けられていることを特徴とするドレン部材。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のドレン部材であって、
前記第1外筒部の下端は、継手と接続される差口とされていることを特徴とするドレン部材。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のドレン部材であって、
前記第2外筒部の下端は、継手と接続される差口とされていることを特徴とするドレン部材。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のドレン部材であって、
前記第1外筒部の外側を覆うカバーを有することを特徴とするドレン部材。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のドレン部材を備えることを特徴とする配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軒樋に取り付けられ、軒樋と下流側の竪樋や継手とを接続するドレン部材及び配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば工場やショッピングセンター等の大型施設の建物に取り付けられた軒先に配置される大型の軒樋の内側に設けられた高排水機能を有するサイフォンドレン部材が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなサイフォンドレン部材は、軒樋の底板を挟んで下面に配置される下側ドレン部材と、上面に配置され上部にサイフォン部が形成された上側ドレン部材とを備えたドレン部材を備えることが一般的である。
このような下側ドレン部材と上側ドレン部材とを備えたドレン部材は、サイフォンドレン部材に限らず、種々の用途に適用されている。
【0004】
ドレン部材900は、
図33に示すように、例えば、底板(軒樋)11(10)の下面に配置される下側ドレン部材910と、軒樋10の上側に配置される上側ドレン部材920と、を備えている。また、サイフォンドレン部材では、
図34に示すように、例えば、上側ドレン部材920の上部に配置されたサイフォン部950を備えた構造とされている。
【0005】
下側ドレン部材910は、例えば、内周側に受入口が形成された下側フランジ部911と、下側フランジ部911の下方に形成された外筒部912と、下側フランジ部911と外筒部912を接続する外筒縮径部913と、を有しており、外筒部912の内周面には内周ネジ部915が形成されている。
【0006】
また、上側ドレン部材920は、例えば、内周側に落し口部が形成された上側フランジ部921と、上側フランジ部921の下方に形成された内筒部922と、上側フランジ部921と内筒部922を接続する内筒縮径部923と、を有しており、内筒部922の外周面には外周ネジ部925が形成されている。
【0007】
そして、下側ドレン部材910は、軒樋10の底板11の下面に配置され、上側ドレン部材920は軒樋の底板11の上面に配置されていて、内筒部922を下穴11Hを通じて外筒部912に挿入して、下側ドレン部材910の管軸O1と上側ドレン部材920の管軸O2がほぼ同軸になるように配置して、内周ネジ部915と外周ネジ部925を螺合させて、ドレン部材900として組み合わせる。
【0008】
また、下側ドレン部材910は、外筒縮径部913の下部に段差部914が形成されていて、段差部914の下面914Aが、下流側に接続されるエルボ(不図示)の受口部の上端面と当接して、ドレン部材900の互いの距離を所定寸法に設定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、内筒部922を外筒部912に挿入して下側ドレン部材910と上側ドレン部材920を組み合わせる際には、
図34に示すように、内筒部922の下端部922Tが段差部914の上面914Bに引っ掛かる場合がある。
このように、内筒部922の下端部922Tが段差部914の上面914Bに引っ掛かると、内筒部922を外筒部912にスムースに挿入して、所定位置に効率的に配置することが容易にできなくなる。
【0011】
また、
図34に示すように、外筒部912の内周面に形成された内周ネジ部915には、周方向に間隔をあけて隙間が形成されている場合がある。そのため、
図35に示すように、内筒部922を外筒部912に挿入して下側ドレン部材910と上側ドレン部材920を組み合わせる際に、外周ネジ部925が内周ネジ部915に形成された隙間に入り込んでしまい、管軸O1と管軸O2が傾いた状態で内周ネジ部915と外周ネジ部925が嵌合してしまうことがある。管軸O1と管軸O2が傾いた状態で内周ネジ部915と外周ネジ部925が嵌合されると、下側ドレン部材910と上側ドレン部材920の管軸O1、O2が同軸に配置されずに、上側ドレン部材920が下側ドレン部材910に対して傾いて嵌合され、所定のサイフォン作用を発生できなかったり、上側ドレンと軒樋底面との間に隙間が生じて漏水する虞がある。
そこで、上側ドレン部材の内筒部を下側ドレン部材の外筒部にスムースに挿入して所定位置に効率的に配置することが可能なドレン部材が望まれる。
【0012】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、上側ドレン部材の内筒部を下側ドレン部材の外筒部にスムースに挿入することが可能なドレン部材及び配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)この発明の第一態様は、底板と、前記底板の幅方向の両端から上方に向かって伸びる側板と、を有し、前記底板に下穴が形成された軒樋に装着されるドレン部材であって、前記底板の下面に配置され、前記下面に接着される下側フランジ部と、前記下側フランジ部の下方に形成され下方に向かって延在する第1外筒部と、前記第1外筒部の内側に配置され、内面に内周係合部が設けられた第2外筒部と、前記第1外筒部と前記第2外筒部とを連結する連結部と、を有する下側ドレン部材と、前記底板の上面に配置され内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、前記上側フランジ部の下方に形成され下方に向かって延在し前記第2外筒部に挿入される内筒部と、前記上側フランジ部と前記内筒部の上端部を接続し下方に向かうにしたがって縮径される内筒縮径部と、前記内筒部の外周面に形成され前記内周係合部と螺合される外周係合部と、を有する上側ドレン部材と、を備え、前記上側ドレン部材と前記下側ドレン部材の少なくともいずれか一方は、前記上側ドレン部材と前記下側ドレン部材を装着する際に、前記内筒部を前記第2外筒部の内周側に向かって案内する挿入ガイド部を備えていることを特徴とする。
【0014】
この発明に係るドレン部材によれば、上側ドレン部材と上側ドレン部材との少なくともいずれか一方が挿入ガイド部を備えている。よって、上側ドレン部材と下側ドレン部材とを装着する際に、上側ドレン部材の下端と第2外筒部の上端とを当てることにより、内筒部を第2外筒部の内周側に向けて案内できる。
これにより、上側ドレン部材の外周係合部が傾いたまま第2外筒部に嵌合することを防止できる。その結果、上側ドレン部材の内筒部を下側ドレン部材の第2外筒部にスムースに挿入することができる。あるいは、上側ドレン部材の内筒部に下側ドレン部材の第2外筒部をスムースに嵌合することができる。
【0015】
また、下側ドレン部材に第1外筒部と第2外筒部との2部材を備えた。よって、例えば、第1外筒部の色を軒樋の下面の色に合わせることが容易になる。これにより、ドレン部材及び軒樋の外観をスッキリさせることができる。
【0016】
さらに、下側ドレン部材に第1外筒部と第2外筒部とを備えることにより、例えば、第1外筒部及び第2外筒部を相対的に回転可能に連結できる。また、第2外筒部に内周係合部が設けられ、内周係合部が上側ドレン部材の外周係合部に螺合されている。よって、例えば、第2外筒部の内周係合部を外周係合部に対して回転させるとともに第2外筒部を第1外筒部に対して回転させることが可能である。これにより、例えば、第2外筒部の下端にエルボ(継手)を接続する場合、第2外筒部を回転させてエルボの向きを仮合わせやすくできる。
【0017】
あるいは、第1外筒部及び第2外筒部が相対的に回転不能に連結されている場合でも、下側フランジ部を軒樋の下面に接着する前の状態において、第2外筒部を第1外筒部とともに回転させてエルボの向きを仮合わせやすくできる。エルボの向きを仮合わせした後、下側フランジ部を軒樋の下面に接着して、下側フランジ部と軒樋の下面との間の止水を確保する。
【0018】
さらに、第1外筒部の下端にエルボを接続する場合、下側フランジ部を軒樋の下面に接着する前の状態において、例えば、第1外筒部を第2外筒部に対して回転させてエルボの向きを仮合わせやすくできる。エルボの向きを仮合わせした後、下側フランジ部を軒樋の下面に接着して、下側フランジ部と軒樋の下面との間の止水を確保する。
【0019】
(2)上記(1)に記載のドレン部材は、前記挿入ガイド部は、前記外周係合部の下端部から下方に向けて延在する上側ガイドスリーブ、又は前記内周係合部の上端部から上方に向けて延在する下側ガイドスリーブにより構成されていてもよい。
【0020】
この発明に係るドレン部材によれば、外周係合部の下端部から上側ガイドスリーブを下方に延在し、又は内周係合部の上端部から下側ガイドスリーブを上方に延在するだけで、挿入ガイド部を構成できる。これにより、挿入ガイド部を簡素な形状で構成できる。
【0021】
(3)上記(1)又は(2)に記載のドレン部材は、前記連結部は、前記第1外筒部の内面に設けられた被係合部と、前記第2外筒部の外面に設けられた係合部とで構成されていてもよい。
【0022】
この発明に係るドレン部材によれば、第1外筒部の被係合部と第2外筒部の係合部とで連結部を構成した。よって、例えば、第1外筒部及び第2外筒部を相対的に回転可能に連結できる。これにより、第1外筒部の下端や第2外筒部の下端にエルボ(継手)を接続する場合に、第1外筒部や第2外筒部を回転させてエルボの向きを仮合わせやすくできる。
【0023】
(4)上記(1)又は(2)に記載のドレン部材は、連結部は、前記第1外筒部の内面及び前記第2外筒部の外面を一体に連結する橋部で構成されてもよい。
【0024】
この発明に係るドレン部材によれば、第1外筒部及び第2外筒部を一体に連結する橋部で連結部を構成した。これにより、第1外筒部及び第2外筒部を組み立てる工程を省くことができ、生産性を高めることができる。
【0025】
(5)上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のドレン部材であって、前記第1外筒部の下端又は前記第2外筒部の下端に、凹部が設けられていてもよい。
【0026】
この発明に係るドレン部材によれば、第1外筒部の下端又は第2外筒部の下端に凹部を設けた。よって、例えば、上側ドレン部材の外周係合部と下側ドレン部材の内周係合部とを螺合する際に、例えば、凹部に施工工具を差し込んで(噛ませて)下側ドレン部材を回転させることができる。これにより、外周係合部と内周係合部とを確実に螺合させて、例えば、上側ドレン部材及び下側ドレン部材を軒樋の底板に確実に固定できる。
【0027】
(6)上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のドレン部材は、前記第1外筒部の下端は、継手と接続される差口とされていてもよい。
【0028】
この発明に係るドレン部材によれば、第1外筒部の下端を継手と接続する差口とした。これにより、例えば、第1外筒部の差口にエルボ等の継手を接続する場合、下側フランジ部を軒樋の下面に接着する前の状態において、例えば、第1外筒部を第2外筒部に対して回転させることによりエルボの向きを仮合わせやすくできる。エルボの向きを仮合わせした後、下側フランジ部を軒樋の下面に接着して、下側フランジ部と軒樋の下面との間の止水を確保する。
【0029】
(7)上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のドレン部材は、前記第2外筒部の下端は、継手と接続される差口とされていてもよい。
【0030】
この発明に係るドレン部材によれば、第2外筒部の下端を継手と接続する差口とした。ここで、下側ドレン部材に第1外筒部と第2外筒部とを備えることにより、例えば、第1外筒部及び第2外筒部を相対的に回転可能に連結できる。また、第2外筒部に内周係合部が設けられ、内周係合部が上側ドレン部材の外周係合部に螺合されている。よって、例えば、第2外筒部の内周係合部を外周係合部に対して回転させるとともに第2外筒部を第1外筒部に対して回転させることが可能である。これにより、例えば、第2外筒部の差口にエルボ(継手)を接続する場合、第2外筒部を回転させてエルボの向きを仮合わせやすくできる。
【0031】
あるいは、例えば、第1外筒部及び第2外筒部が相対的に回転不能に連結されている場合でも、下側フランジ部を軒樋の下面に接着する前の状態において、第2外筒部を第1外筒部とともに回転させてエルボの向きを仮合わせやすくできる。エルボの向きを仮合わせした後、下側フランジ部を軒樋の下面に接着して、下側フランジ部と軒樋の下面との間の止水を確保する。
【0032】
(8)上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のドレン部材は、前記第1外筒部の外側を覆うカバーを有していてもよい。
【0033】
この発明に係るドレン部材によれば、第1外筒部の外側を覆うカバーを備えた。よって、例えば、第1外筒部とともに下側フランジ部をカバーで覆うことが可能になる。これにより、ドレン部材及び軒樋の外観をスッキリさせることができる。
さらに、例えば、カバーの色を軒樋の下面の色に合わせることが容易になる。これにより、ドレン部材及び軒樋の外観を一層スッキリさせることができる。
【0034】
加えて、例えば、カバーの下端を継手と接続する差口とすることが可能となる。これにより、例えば、カバーの差口にエルボ等の継手を接続する場合、下側フランジ部を軒樋の下面に接着する前の状態において、カバーを回転させることによりエルボの向きを仮合わせやすくできる。エルボの向きを仮合わせした後、下側フランジ部を軒樋の下面に接着して、下側フランジ部と軒樋の下面との間の止水を確保する。
【0035】
(9)この発明の第二態様は、配管構造であって、上記(1)~(8)のいずれか一項に記載のドレン部材を備えることを特徴とする。
【0036】
この発明に係る配管構造によれば、上側ドレン部材の外周係合部が傾いたまま第2外筒部に嵌合することを防止できる。その結果、上側ドレン部材の内筒部を下側ドレン部材の第2外筒部にスムースに挿入することができる。あるいは、上側ドレン部材の内筒部に下側ドレン部材の第2外筒部をスムースに嵌合することができる。
【発明の効果】
【0037】
この発明に係るドレン部材及び配管構造によれば、上側ドレン部材の内筒部を下側ドレン部材の外筒部の所定位置に効率的に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るサイフォンドレン部材を備えた雨樋配管構造を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の概略を説明する図である。
【
図3】第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の詳細を説明する斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の概略構成を説明する組立てた状態を示す側面図である。
【
図5】第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の概略構成を説明する分解した状態を示す側面図である。
【
図6】雨樋配管構造に適用可能な異径エルボの断面図である。
【
図7】雨樋配管構造に適用可能な異径チーズの断面図である。
【
図8】雨樋配管構造の第1変形例を説明する側面から見た図である。
【
図9】雨樋配管構造の第2変形例を説明する側面から見た図である。
【
図10】
図9に示す雨樋配管構造の第3エルボの断面図である。
【
図11】第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す断面図である。
【
図12】第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材を分解した状態を示す断面図である。
【
図13】第1実施形態に係る上側ドレン部材の内筒部を第2外筒部の内周側に向けて案内する例を説明する断面図である。
【
図14】第1実施形態に係る上側ドレン部材の外周ネジ部に第2外筒部の内周ネジ部を螺合させる例を説明する断面図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを軒樋に取り付けた状態を示す側面図である。
【
図16】
図15の下側ドレン部材を第1外筒部および第2外筒部に分解した状態を示す側面図である。
【
図17】第2実施形態に係る下側ドレン部材を示す断面図である。
【
図18】
図17の下側ドレン部材を第1外筒部および第2外筒部に分解した状態を示す断面図である。
【
図19】第2実施形態に係る下側ドレン部材において第1外筒部の差口に第1エルボを接続した状態を示す断面図である。
【
図20】本発明の第3実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す断面図である。
【
図21】本発明の第4実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す断面図である。
【
図22】第1変形例に係るサイフォンドレン部材の上側ドレン部材を斜め下方からみた斜視図である。
【
図23】第2変形例に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す側面図である。
【
図24】第2変形例に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを軒樋に取り付けた状態を示す側面図である。
【
図25】第3変形例に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す側面図である。
【
図26】第3変形例に係る第1係止部と第2係止部とが係止した状態を示す側面図である。
【
図27】第4変形例に係る上側ドレン部材の下面図である。
【
図28】
図27に示すA-A破断線に沿って破断した断面図である。
【
図29】
図27に示すB-B破断線に沿って破断した断面図である。
【
図30】第5変形例に係る上側ドレン部材の下面図である。
【
図31】
図30に示すA-A破断線に沿って破断した断面図である。
【
図32】
図30に示すB-B破断線に沿って破断した断面図である。
【
図33】従来技術のドレン部材を示す断面図である。
【
図34】
図33のサイフォンドレン部材のねじ構造を説明する分解斜視図である。
【
図35】
図33のドレン部材を組立てる際の問題点を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図14を参照し、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るサイフォンドレン部材(ドレン部材)を備えた雨樋配管構造を説明する側面から見た図である。
図2は、第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の概略を説明する図である。
図3は、第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の詳細を説明する斜視図である。
図4は、第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の概略構成を説明する組立てた状態を示す側面図である。
図5は、第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の概略構成を説明する分解した状態を示す側面図である。
図において、符号1は、雨樋配管構造(配管構造)を、符号10は雨樋を、符号11は底板を、符号12は側板を、符号11Hは下穴を示している。また、符号100はサイフォンドレン部材(ドレン部材)を、符号110は下側ドレン部材を、符号120は上側ドレン部材を、符号150はサイフォン部を示している。なお、図面では、説明をわかりやすくするために形状等を強調しており、図面における寸法関係等は必ずしも整合しないものとする。
【0040】
雨樋配管構造(配管構造)1は、
図1に示すように、例えば、軒樋10と、軒樋10の底板11に形成される円形の下穴11Hに装着されるサイフォンドレン部材(ドレン部材)100と、サイフォンドレン部材100の下側に接続される第1エルボ20と、第1エルボ20の下流側に接続される呼び樋24と、呼び樋24の下流側24Bに接続される第2エルボ25と、第2エルボ25の下流側に接続される竪樋30とを備えている。
【0041】
軒樋10は、
図1、
図2、
図4、
図5に示すように、例えば、底板11と、底板11の幅方向の両端から上方に向かって伸びる側板12と、を備え、長手方向に沿って見たときに、溝形断面に形成されている。また、底板11には、平面視円形に形成された下穴11Hが底板11を厚さ方向に貫通して形成されている。
そして、軒樋10は、不図示の鼻隠し板に取り付けられた雨樋吊具(不図示)により吊設されて、屋根の軒先(不図示)から流下した雨水を受けるようになっている。
【0042】
この実施形態において、軒樋10は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やABS、AES等の合成樹脂で形成された押出成形品とされている。
なお、軒樋10を形成する材料は任意に設定することが可能であり、合成樹脂に限定されることなく、例えば、金属の押出成形品で形成されていてもよい。
【0043】
また、軒樋10を合成樹脂で形成する場合には、熱による伸縮防止のため線膨張係数が2.0×10-5/℃以下であることが好ましく、軒樋10の厚さ方向の中心に延伸したPET樹脂製シートや鉄製のシート等低伸縮性シートを内挿したり、軒樋10を構成する合成樹脂自体にワラストナイトや炭素繊維等の低伸縮性の添加物を配合することで線膨張係数を小さくすることが好適である。
【0044】
また、軒樋10は、底面幅が100mm以上200mm以下、高さが90mm以上150mm以下とされ、例えば流量4リットル/sec以上20リットル/sec以下の雨水を流すことができる大口径の竪樋に適用してもよい。
【0045】
サイフォンドレン部材(ドレン部材)100は、
図1~
図5に示すように、例えば、下側ドレン部材110と、上側ドレン部材120と、上側ドレン部材120の上部に配置されるサイフォン部150と、を備え、軒樋10に取り付けられている。具体的には、下側ドレン部材110が軒樋10の底板11の下面11B側に配置され、上側ドレン部材120が底板の上面11A側に配置されている。
【0046】
サイフォンドレン部材100を形成する材料は任意に設定することが可能である。
この実施形態において、サイフォンドレン部材100は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂により形成された射出成形品とされている。なお、合成樹脂に限定されるのではなく、鋳鉄、ステンレス鋼やアルミニウムを鋳造することによって形成してもよい。
なお、下側ドレン部材110、上側ドレン部材120の詳細については、後述する。
以下、
図2~
図5を参照して、サイフォン部150について説明する。
【0047】
サイフォン部150は、
図2~
図5に示すように、例えば、蓋部材151と、上側ドレン部材120と蓋部材151とを連結する縦リブ155と、把持リブ156と、誘導ガイド157と、を備えている。また、サイフォン部150は、上側ドレン部材120の上部に配置されている。
【0048】
蓋部材151は、
図2、
図3に示すように、例えば、上側ドレン部材120の上方に配置された平面視円形の円盤状部材とされている。また、蓋部材151は、上側ドレン部材120の管軸と同軸とされている。
そして、蓋部材151の外周縁151Aと上側ドレン部材120の外周縁121Cとの間に形成される部分が、軒樋10に溜まった雨水Wが落し口部121Hに流入する流入開口100Aを構成する。
【0049】
なお、流入開口100Aは、水平面に対して直交する方向において、蓋部材151の外周縁151Aと軒樋10の上面11Aとの間、又は上側ドレン部材120の上側フランジ部121との間のことをいう。
例えば、蓋部材151の外周縁151Aが上側フランジ部121の外周縁121Cより大きい場合、流入開口100Aは蓋部材151の外周縁151Aと軒樋10の上面11Aとの間に形成される部分となり、蓋部材151の外周縁151Aが上側フランジ部121の外周縁121Cより小さい場合、流入開口100Aは蓋部材151の外周縁151Aと上側フランジ部121の上面121Aとの間に形成される部分となる。
【0050】
この流入開口100Aの面積は、上述した落し口部121Hの開口面積A1よりも大きい面積となるよう、後述する蓋部材151の大きさや高さ、形状が調整される。本実施の形態では、流入開口100Aの面積は、円形の蓋部材151の円周、即ち外周縁151Aの長さに、蓋部材151の高さHとの積により求めることができる。
【0051】
蓋部材151は、複数の縦リブ155に下方から支持された状態で上側ドレン部材120に支持されている。
また、蓋部材151は、上述したように軒樋10の内側に配置され、落し口部121Hから上方に離間した位置に配置されるとともに、蓋部材151の下側となる軒樋10の上面11Aに落し口部121Hへ雨水Wを流入させる流入開口100Aを形成している。
また、蓋部材151は、軒樋10の上面11Aから上方に向けた高さHで10~60mmの位置に設定されていることが好適である。
【0052】
また、蓋部材151の平面視したときの大きさは任意に設定することが可能であるが、落し口部121Hの開口を塞ぐように配置されるとともに、落し口部121Hの開口面積A1より大きく設定されていることが好適である。なお、落し口部121Hの開口面積A1と等しく又は開口面積A1より小さく設定されていてもよい。
また、例えば、蓋部材151に上面から落し口部121Hに貫通する貫通穴が上下方向に形成されていてもよい。
【0053】
さらに、蓋部材151の高さHが軒樋10の底板11(具体的には、底板11の上面11A)から上方に30~40mmの位置に設定され、かつ蓋部材151の直径が落し口部121Hの開口外径R1の150~200%に設定されていることがより好適である。
蓋部材151の直径が落し口部121Hの開口外径R1の150%よりも小さい場合には、軒樋10内の水位が蓋部材151よりも低くなり、蓋部材151が流入する水に接しない虞がある。また、蓋部材151の直径が200%を超えると、流入開口100Aから流入する水流が蓋部材151に衝突する割合が大きくなり、軒樋10内の水位が蓋部材151よりも高くなり過ぎて、サイフォン性能を低下させる可能性がある。
【0054】
なお、サイフォン作用発生のためには、流入開口100Aより軒樋10内の水位が高くなる必要があり、蓋部材151の高さHは軒樋10内の最大水位よりも低い必要がある。安定的なサイフォン作用発生のため、蓋部材151の高さHは、軒樋10内の最大水位の0.1~0.5倍の高さであることが好適であり、0.2~0.45倍の高さであることがより好適である。
なお、軒樋10内の最大水位は、軒樋10の側板12の底板11からの高さのうち最も低いものをいう。
【0055】
また、上記のような位置に設定される蓋部材151を設けるための好適な内筒部122の内筒内周穴122Hの内径(開口外径)R1は、50mm以上170mm以下が好適であり、70mm以上170mm以下がより好適である。すなわち、落し口部121Hの開口外径R1を下限の50mm以上とすることで、サイフォン部(サイフォンドレン部材100)50で発生する大流量の排水をスムースに排水することができる。
そして、上限の170mm以下とすることで収まりが小さくなり、継手や支持具の大型化を防ぐことができる。
【0056】
また、蓋部材151には、
図2~
図5に示すように、上面151Bから上方に突出し、周方向に間隔をあけて配置される把持リブ156が設けられている。この把持リブ156を掴むことで、サイフォンドレン部材100を締め込む際の回転操作を容易に行うことができる。
【0057】
また、把持リブ156は、円周方向に延びるリブ本体156Aと、リブ本体156Aの両端から外周側に向けて突出する延出部156Bと、からなる。周方向に隣り合う把持リブ156、156同士の間には、例えばサイフォンドレン部材100を第1エルボ20に装着するときに例えば棒状部材を係合させて、その棒状部材を回転させることで締め込むことができる。
また、把持リブ156、156同士の間に隙間が形成されているので、軒樋10内の落ち葉等のゴミが通過し易くなり、絡まってしまうことを防ぐことができる。
【0058】
誘導ガイド157は、
図3~
図5に示すように、蓋部材151の下面151Cの平面視中央部においてドレン軸O(蓋中心)に向かうに従い漸次下方に延びる曲線を有する複数の誘導ガイド157がドレン軸Oから径方向に向けて放射状に延びて設けられている。
誘導ガイド157は、軒樋10内の雨水Wを流入開口100Aから落し口部(落し口部121Hの開口)へ誘導するためのものである。
なお、誘導ガイド157は、上端と下端に穴が形成された漏斗状や筒状の壁部によって形成されていてもよい。
【0059】
縦リブ155は、
図3に示すように、上側ドレン部材120の上面121Aと、蓋部材151の下面151Cの外周部とを連結している。すなわち、蓋部材151は、複数の縦リブ155によって下方から支持され、軒樋10の上面11Aから所定高さHを確保した位置で保持されている。これら縦リブ155は、流入開口100Aに設けられ、平面視で径方向に対して交差し、かつ湾曲して形成されている。つまり縦リブ155は、流入開口100Aから落し口部121Hに流入される雨水Wを整流する機能を有している。
【0060】
サイフォン部150において、内筒部122の内筒内周穴122Hの内径と、上側フランジ部121が連設される内面側の上面123Aは、テーパ面、或いは曲面に形成されたベルマウス形状をなしている。この内面側の上面(接続部分)123Aが曲面である場合、ドレン軸Oと平行な方向の断面の曲率半径は5mm~20mmであることが好適である。なお、上側フランジ部121と上面123Aとの接続部分は、上側へ屈曲していてもよい。
【0061】
次に、上述したサイフォンドレン部材100のサイフォン部150の作用について説明する。
サイフォン部150は、
図3に示すように、平面視したときに、落し口部121Hの開口を塞ぐとともに、大雨時に多量の雨水が流入開口100Aから流入したときにも空気を吸い込むことなく竪樋30が満水状態となって水封される。その結果、下流側にサイフォン現象を発生させることができる。
【0062】
このようなサイフォンドレン部材100は、例えば、工場やショッピングセンター等の大型施設の建物に取り付けられている雨樋配管構造1のうち軒先に配置される軒樋10の内側に設けられ、高排水機能を発揮する。
【0063】
第1エルボ20は、サイフォンドレン部材(ドレン部材)100の下流側に設置される継手(エルボ部材、継手部材)である。そして、第1エルボ20は、
図1に示すように、サイフォンドレン部材100の下側に接続されている。
第1エルボ20は、
図1に示すように、第1受口部21と、第2受口部22と、側面視でほぼ90°に湾曲する曲管部23と、を備えている。
【0064】
第1受口部21は、サイフォンドレン部材100の下側ドレン部材110に接続可能な内径に形成されていて、
図1に示すように、曲管部23との接続部分に曲管部23に向かって縮径された受口底面21Aが形成されている。そして、この受口底面21Aは、挿入された配管簿端部と当接して、配管との相対位置を確保可能とされている。
【0065】
曲管部23は、第1受口部21から流入した雨水Wの流速を低下させずに、雨水Wを円滑に流動させるために、管軸を含む断面(管軸に沿った)で見たときに、例えば、外側壁部(曲率が小さい側)及び内側壁部の曲率半径が少なくとも64mmより大きく、かつ125mmよりも小さく形成されていることが好適である。
また、第1エルボ20の第2受口部22は、呼び樋24の上流端部が接続される。
【0066】
呼び樋24は、第1エルボ20から流下した雨水Wを横引きする部材であり、サイフォンドレン部材100から流下した雨水Wを水平に導水するものであり、水平方向に沿って延在する直管とされている。また、下流側は第2エルボ25によって竪樋30の上端30Aに接続されている。
【0067】
また、呼び樋24は、上流端部から呼び樋24の下流端部24Bまでの長さ(呼び樋長さ)が、0m超1.5m以下であることが好適であり、0.6m以上1.5m以下であることがより好適であり、0.6m以上1.0m以下であることがより好適である。
呼び樋長さを前述の範囲内とすることによって、第1エルボ20から流下した雨水Wを満水状態で円滑に流すことができる。
呼び樋24の下流端部24Bは、第2エルボ25の第1受口部が接続される。第2エルボ25は、第1エルボ20と同様の構成を有している。
【0068】
第2エルボ25の第2受口部には、竪樋30の上端部30Aが接続される。
竪樋30は、第2エルボ25を流下した雨水Wを縦引きする部材であり、上下方向に沿って延びる直管である。竪樋30の下端側は、例えば、地面に接続され地中に埋設された集水桝(不図示)に接続される。集水桝は、連結管(不図示)を介して、下水管等の排水構造に接続されるように構成されている。
【0069】
竪樋30は、建物の外壁に沿って上下方向に配設された直管であり、第2エルボ25から流下した雨水Wを下方に流下させる部材である。
なお、竪樋30の上端部から下端部までの高さは、例えば、2.0m以上であり、3.0m以上であることが好適であり、4.0m以上であることがより好適である。竪樋の長さ(高さ寸法)が上記範囲内であることによって、竪樋30におけるサイフォン現象を良好に発生して維持することができる。竪樋長さが長くなると、下端部に流下する雨水Wの排水量が多くなり、集水桝の内部に雨水Wが勢いよく流入する。
【0070】
このように組み立てられた雨樋1では、屋根に降った雨が軒樋10に設けられたサイフォンドレン部材100に流入開口100Aから流入し、落し口部121Hを通って、第1エルボ20、呼び樋24、第2エルボ25を流れて竪樋30に流下する。
そして、呼び樋24から竪樋30に流れ込んだ雨水Wは、地中に埋設されている排水管(不図示)に流下する。このとき、サイフォンドレン部材100の下流側は満水状態で水封されることから、竪樋30の中を満水状態にして流下することになり、落し口部121Hと呼び樋24及び竪樋30内でサイフォン現象を発生させて、竪樋30から排水管(不図示)側に勢いよく排水されることになる。
【0071】
ここで、第2エルボ25としては、第1受け口と第2受け口とが同径である構成を採用することも可能である。しかしながら、
図6に示すように、第1受け口26の径と第2受け口27の径とが異なる第2エルボ25A(異径エルボ)を採用することも可能である。第2エルボ25Aは、曲管部28を備えている。曲管部28は、第1受け口26と第2受け口27とを接続する。曲管部28を、曲管部28の管軸を含む平面における断面で見たときに、曲管部28の内周側の部分の曲率及び外周側の部分の曲率が徐々に変わり小さくなる。このとき、曲管部28の内周側の曲率半径及び外周側の部分の曲率半径が、徐々に大きくなる。第2エルボ25Aは、上流から下流にかけて拡径している。
【0072】
第2エルボ25Aの第1受け口26(小径側受口、上流側受口)の呼び径に対して、第2受け口27(大径側受口、下流側受口)の呼び径は1サイズ以上大きいことが好ましい。例えば、第1受け口26の呼び径は、75(外径89mm)又は100(外径114mm)であってもよい。第2受け口27の呼び径は、100(外径114mm)又は125(外径140mm)であってもよい。
【0073】
また呼び樋24と竪樋30とを接続する継手は、エルボに限られない。例えば、
図7に示すようなチーズ25Bが、呼び樋24と竪樋30とを接続してもよい。チーズ25Bは、第1受け口26、第2受け口27に加えて、第3受け口29を備えている。第2受け口27及び第3受け口29は、直管29aを通して接続されている。曲管部28は、直管29aから側方に延びている。チーズ25Bでは、第3受け口29に、図示しない蓋を設けることが好ましい。蓋は、第3受け口29に着脱可能である。第3受け口29は、掃除口として機能する。なお、蓋を設けず、より高い位置からの雨水を排水する竪樋を接続してもよい。
なお
図7に示すチーズ25Bは、第1受け口26の径と第2受け口27の径とが異なる異径チーズである。しかしながら、チーズ25Bにおいて、第1受け口26と第2受け口27とが同径であってもよい。
【0074】
このように、第2エルボ25Aとして異径エルボを採用したり、チーズ25Bとして異径チーズをしたりすることは、
図8に示すように、竪樋30に合流継手31(合流部)が設けられている雨樋配管構造1Aに特に有効である。合流継手31は、竪樋30における高さ方向の途中位置に設けられている。合流継手31は、例えばチーズ等である。合流継手31では、竪樋30を流れてきた雨水に、他の雨樋10Aからの雨水が合流する。
雨樋配管構造1Aのように、竪樋30の途中位置で、他の雨樋10Aからの雨水が合流する場合、竪樋30の容量が少ないと竪樋30内が満水になりやすく、合流継手31において雨水が合流しようとしても合流できないおそれがある。そのため、前述のように、異径エルボ(第2エルボ25A)や異径チーズ(チーズ25B)を採用し、竪樋30の容量を大きく(竪樋30を拡径しておく)と、竪樋30において許容される流量に余裕が生じて雨水の合流が確実に実現される。
【0075】
なお、
図8に示す雨樋配管構造1Aでは、竪樋30を流れた雨水は雨水桝160に排水される。竪樋30と雨水桝160とは、第3エルボ161及び横管162を介して接続されている。竪樋30の下端は、地中に埋設されている。第3エルボ161は、竪樋30の下端に接続されている。横管162の第1端は、第3エルボ161に接続されている。横管162の第2端は、雨水桝160内に配置されている。第3エルボ161及び横管162は、前述した排水管を構成している。第2エルボ25Aとして異径エルボを採用することで、竪樋30の内部を流れる雨水は満水状態とならずに流速が遅くなる。そのため、雨水桝160からの水の跳ね出しを防止できる。
【0076】
ここで、
図9に示す雨樋配管構造1Bのように、第3エルボ161Aが異径エルボであってもよい。
図9及び
図10に示すように、第3エルボ161Aは、第2エルボ25Aと同様に、第1受け口26、第2受け口27、曲管部28を備えている。第1受け口26は、竪樋30の下端に接続される。第2受け口27は、横管162の第1端に接続される。
この場合、第3エルボ161A内部で流速が遅くなる。そのため、雨水桝160からの水の跳ね出しを防止できる。
なお、雨樋配管構造1Aや1Bにおいて、第2エルボ25Aと第3エルボ161の両方を異径エルボとしてもよいが、第3エルボ161Aにチーズを採用することは、第3エルボ161Aが地中に埋設されていることから難しい。
【0077】
次に、
図4~
図13を参照して、サイフォンドレン部材100を構成する下側ドレン部材110と、上側ドレン部材120について説明する。
図11は、第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す断面図である。
図12は、第1実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材を分解した状態を示す断面図である。なお、
図11は、サイフォンドレン部材においてサイフォン部を省略して簡略化した図である。
【0078】
サイフォンドレン部材(ドレン部材)100は、上述のように、下側ドレン部材110と、上側ドレン部材120と、上側ドレン部材120の上部に配置されるサイフォン部150と、を備えている。
【0079】
下側ドレン部材110は、
図4~
図12に示すように、例えば、下側フランジ部111と、第1外筒部112と、第2外筒部113と、連結部114と、を備えている。
下側フランジ部111は、軒樋10(具体的には、底板11)の下面11Bに配置され、下面11Bに接着される。具体的には、下側フランジ部111は、例えば、平面視外形が円形に形成され、内周側に平面視円形の受入れ穴111Hが形成されている。すなわち、下側フランジ部111は、平面視リング状の平板により形成されている。また、下側フランジ部111は、例えば、外周側の上面111Aが平坦面に形成されている。そして、下側フランジ部111の上面111Aは、軒樋10の底板11の下面11Bに配置された状態において下面11Bに接着される。なお、上面111Aには、接着剤が塗布される窪みが形成されていてもよい。この場合、接着剤が窪みに留まり易く、上面111Aと下面11Bとの間に多量の接着剤が保持される。
【0080】
第1外筒部112は、下側フランジ部111の下方に形成されて、下側フランジ部111の内周端から下方に向かって延在されている。第1外筒部112は、例えば、管軸O1を中心とする円筒形に形成され、軒樋10に取り付けられた状態で上下方向に延在している。また、第1外筒部112の内方には、上下に貫通する第1外筒内周穴112Hが形成されている。
【0081】
第2外筒部113は、第1外筒部112の内側(すなわち、第1外筒内周穴112H)に配置されている。第2外筒部113は、例えば、管軸O1を中心とする円筒形に形成され、第1外筒部112に連結された状態で上下方向に延在している。また、第2外筒部113の内方には、上下に貫通する第2外筒内周穴113Hが形成されている。
【0082】
第2外筒部113は、内周面(内面)に内周ネジ部(内周係合部)115が設けられている。内周ネジ部115は、第2外筒部113の内周面に形成され、公知の種々の形状のものが適用可能である。具体的には、内周ネジ部115は、周方向に間隔をあけて形成されたものや周方向に連続して形成されたものであってもよい。内周ネジ部115は、後述する外周ネジ部125に螺合される。
【0083】
また、第2外筒部113は、挿入ガイド部116と、凹部117と、を備えている。挿入ガイド部116は、第2外筒部113のうち内周ネジ部115の上端部から上方に向けて円筒状に延在する下側ガイドスリーブにより構成されている。以下、挿入ガイド部116を「下側ガイドスリーブ116」ということもある。なお、下側ガイドスリーブ116の役割については後で説明する。
このように、第2外筒部113のうち内周ネジ部115の上端部から上方に向けて円筒状に延在させるだけで下側ガイドスリーブ116を構成できる。これにより、下側ガイドスリーブ116を簡素な形状で構成できる。
下側ガイドスリーブ116は、下側ドレン部材110と上側ドレン部材120とが取り付けられた状態において、上端が上側ドレン部材120に接触しない高さに設定されている。
【0084】
凹部117は、第2外筒部113の下端113Tにおいて上方に向かってくぼむように、例えば、周方向に90°の間隔をあけて4つ設けられている。凹部117は、工具装着が下方から装着される工具装着用凹部である。以下、凹部117を「工具装着用凹部117」ということもある。
工具装着用凹部117の位置、数については任意に設定することが可能である。また、工具装着用凹部117の上側底面117Aの上下方向位置は任意に設定することが可能であるが、第1外筒部112の下端部及び内筒部122の下端部よりも下側に形成されていることが好適である。なお、工具装着用凹部117の役割については後で説明する。
【0085】
さらに、第2外筒部113は、下端が差口113Aとされている。第2外筒部113の差口113Aには、例えば、第1エルボ20の第1受口部21(
図1参照)が嵌合される。これにより、差口113Aに第1受口部21が接続される。
【0086】
連結部114は、第1外筒部112の内周面(内面)に設けられた係合突起部(被係合部)118と、第2外筒部113の外周面(外面)に設けられた係合凹部(係合部)119と、で構成されている。
係合突起部118は、例えば、第1外筒部112の内周面から径方向内側に向けて環状に突出されている。係合凹部119は、例えば、環状突起部119Aの外周面119Bに設けられている。環状突起部119Aは、第2外筒部113の外周面から径方向外側に向けて環状に突出されている。係合凹部119は、外周面119Bから径方向内側にむけてくぼむように環状に形成されている。
係合凹部119に係合突起部118が係合(嵌合)されることにより、第1外筒部112と第2外筒部113とが連結部114により連結される。
【0087】
上側ドレン部材120は、
図11に示すように、例えば、底板11の上面11Aに配置され内周側に落し口部121Hが形成された上側フランジ部121と、上側フランジ部121の下方に形成され下方に向かって延在する内筒部122と、上側フランジ部121と内筒部122の上端部を接続し下方に向かうにしたがって縮径される内筒縮径部123と、内筒部122の外周面に形成された外周ネジ部(外周係合部)125と、を備えている。
そして、上側ドレン部材120の内筒部122は、下側ドレン部材110の第2外筒部113に挿入され、外周ネジ部125と内周ネジ部115が螺合されて、サイフォンドレン部材100を構成する。
【0088】
上側フランジ部121は、例えば、平面視外形が円形に形成され、内周側に平面視円形の落し口部121H(サイフォン部150における落し口部121H)が形成されている。すなわち、上側フランジ部121は、平面視リング状の平板状に形成されている。
そして、上側フランジ部121の下面121Bは、軒樋10の底板11の上面11Aに配置される。
【0089】
また、上側フランジ部121の下面121Bは、例えば、外周側に平坦面が形成され、平坦面の内周側に管軸O2に沿って下方に突出する円筒形状部からなる位置決め段差部126が形成されている。
そして、この位置決め段差部126が軒樋10の下穴11Hの内周面と接触することにより、上側ドレン部材120が下穴11Hに対して位置決め可能とされている。
また、上側フランジ部121の上面121Aは、
図3に示すように、緩やかな曲線部により構成されている。
【0090】
内筒部122は、例えば、管軸O2を中心とし第2外筒部113内に挿入可能な円筒形に形成され、軒樋10に取り付けられた状態で上下方向に延在している。
また、内筒部122の内方には、上下に貫通する内筒内周穴122Hが形成されている。また、内筒部122の外周面には、外周ネジ部125が形成されている。
【0091】
内筒縮径部123は、
図11に示すように、下方に向かうにしたがって縮径されることにより上側フランジ部121と内筒部122の上端部を接続している。
この実施形態では、内筒縮径部123の上面123Aは、前述したサイフォン部150における落し口部121Hから内筒内周穴122Hへの流路表面を構成している。
【0092】
また、この実施形態において、内筒縮径部123の外周面は、内筒部122の外周面まで連続的に縮径される連続縮径外周面とされている。具体的には、内筒縮径部123の外周面は、管軸O2を含む断面において、内筒部122の上端まで内周側に向かってくぼむ緩やかな曲線により構成されスムースな形状に形成されている。すなわち、内筒縮径部の外周面には段差が形成されていない。なお、連続縮径外周面を直線的な線や直線と曲線を組み合わせた線により内筒縮径部を構成してもよい。また、内筒縮径部の外周面に連続縮径外周面を形成するかどうかは任意に設定することが可能であり、連続縮径外周面を形成しない構成としてもよい。
【0093】
外周ネジ部125は、内筒部122の外周面に形成されている。なお、外周ネジ部125は、内周ネジ部115と螺合可能な公知の種々の形状のものが適用可能であり、例えば、周方向に間隔をあけて形成されたものや周方向に連続して形成されたものであってもよい。
【0094】
次に、上述したサイフォンドレン部材100を軒樋10を取り付ける手順の一例について説明する。
まず、
図4、
図5、
図11に示すように、軒樋10の底板11に、サイフォンドレン部材100を取り付ける下穴11Hを形成する。
次に、例えば、上側ドレン部材120を軒樋10内に進入させ、軒樋10の下穴11Hに内筒部122を挿入して下方に突出させ、上側フランジ部121の段差部126を軒樋10の底板11の下穴11Hに挿入して固定する。上側フランジ部121の下面121Bには、例えば、接着剤やパッキンを装着させておく。
【0095】
次いで、下側フランジ部111の上面111Aと上側フランジ部121の下面121Bに、接着剤を塗布しておく。この状態において、下側フランジ部111の上面111Aが軒樋10の下穴11Hを囲む様にして軒樋10の底面と下側フランジ部111の上面111Aを接着しつつ、上側ドレン部材120の内筒部122を軒樋10の内部から下穴11Hに挿入して下側ドレン部材110の第2外筒部113と嵌合する。あるいは、下側ドレン部材110の第2外筒部113に上側ドレン部材120を挿入する。
この状態において、外周ネジ部125と内周ネジ部115とを螺合させ、所定のところまで螺合させる。この状態において、施工工具(不図示)を工具装着用凹部117に差し込んで、差し込んだ施工工具により第2外筒部113を引き続き回転させる。施工工具により第2外筒部113を所定位置まで占め込んで、軒樋10の下穴11Hの周囲の軒樋底面を下側フランジ部111の上面111Aと上側フランジ部121の下面121Bとで挟み込むことにより、サイフォンドレン部材100を軒樋10の底面に固定する。これにより、外周ネジ部125と内周ネジ部115とを確実に螺合させて、例えば、上側ドレン部材120及び下側ドレン部材110を軒樋10の底板11に確実に固定できる。
【0096】
ここで、上側ドレン部材120の外周ネジ部125と第2外筒部113の内周ネジ部115とを螺合させる例を
図13、
図14に基づいて詳しく説明する。
図13は、第1実施形態に係る上側ドレン部材の内筒部を第2外筒部の内周側に向けて案内する例を説明する断面図である。
図14は、第1実施形態に係る上側ドレン部材の外周ネジ部に第2外筒部の内周ネジ部を螺合させる例を説明する断面図である。
【0097】
第1実施形態に係るサイフォンドレン部材100によれば、
図13、
図14に示すように、第2外筒部113には下側ガイドスリーブ116が内周ネジ部115の上端部から上方に向けて円筒状に延在されている。よって、上側ドレン部材120に下側ドレン部材110を矢印Aの如く底板11の下側から装着する際に、第2外筒部113の下側ガイドスリーブ116を上側ドレン部材120の下端(すなわち、内筒部122の下端)を当てることができる。よって、上側ドレン部材120の内筒部122を第2外筒部113の内周側(すなわち、第2外筒内周穴113H)に向けて案内できる。
【0098】
これにより、第2外筒部113の内周ネジ部115が傾いたまま上側ドレン部材120の内筒部122に嵌合することを防止できる。したがって、上側ドレン部材120の内筒部122に下側ドレン部材110の第2外筒部113をスムースに嵌合することができる。その結果、上側ドレン部材120の外周ネジ部125に第2外筒部113の内周ネジ部115を円滑に螺合させることができる。
【0099】
第1実施形態に係るサイフォンドレン部材100によれば、
図11に示すように、上側フランジ部121の下面121Bに位置決め段差部126が形成されているので、サイフォンドレン部材100を正確かつ効率的に軒樋10に取り付けることができる。
【0100】
なお、
図13、
図14においては、上側ドレン部材120が底板11に固定された状態で、第2外筒部113を上側ドレン部材120の内筒部122に嵌合する例について説明した。しかしながら、下側ドレン部材110が底板11に固定された状態で、第2外筒部113に上側ドレン部材120の内筒部122を挿入する場合についても同様の作用、効果が得られる。
【0101】
以上説明したように、第1実施形態に係る雨樋配管構造1及びサイフォンドレン部材100によれば、下側ドレン部材110に第1外筒部112と第2外筒部113とを備えた。また、第2外筒部113のうち内周ネジ部115の上端部から下側ガイドスリーブ116を上方に向けて円筒状に延在させた。よって、上側ドレン部材120に下側ドレン部材110を装着する際に、第2外筒部113の下側ガイドスリーブ116を上側ドレン部材120の下端(すなわち、内筒部122の下端)を当てることができる。これにより、上側ドレン部材120の内筒部122を第2外筒部113の内周側に向けて案内できる。したがって、上側ドレン部材120の内筒部122に下側ドレン部材110の第2外筒部113をスムースに嵌合させることができる。あるいは、上側ドレン部材120の内筒部122を下側ドレン部材110の第2外筒部113にスムースに挿入させることができる。
【0102】
また、下側ドレン部材110に第1外筒部112と第2外筒部113とを備えた。よって、例えば、第1外筒部112の色を軒樋10の下面11Bの色に合わせることが容易になる。これにより、サイフォンドレン部材100及び軒樋10の外観をスッキリさせることができる。
【0103】
さらに、下側ドレン部材110に第1外筒部112と第2外筒部113とを備え、第1外筒部112及び第2外筒部113を連結部114で連結した。連結部114は、環状の係合凹部119に環状の係合突起部118が係合(嵌合)されることにより連結されている。よって、第1外筒部112及び第2外筒部113を連結部114により相対的に回転可能に連結できる。
また、第2外筒部113に内周ネジ部115が設けられ、内周ネジ部115が上側ドレン部材120の外周ネジ部125に螺合されている。よって、例えば、第2外筒部113の内周ネジ部115を外周ネジ部125に対して回転させるとともに第2外筒部113を第1外筒部112に対して回転させることが可能である。
【0104】
ここで、第2外筒部113の下端を差口113Aとし、差口113Aに第1エルボ20の第1受口部21が嵌合により接続されている。これにより、第2外筒部113を回転させることにより第1エルボ20の向きを変えることが可能になり、第1エルボ20の向きを仮合わせやすくできる。
【0105】
以下、本発明に係る第2実施形態から第4実施形態の雨樋配管構造及びサイフォンドレン部材を
図15~
図21に基づいて説明する。なお、第2実施形態から第4実施形態の雨樋配管構造及びサイフォンドレン部材において第1実施形態と同一類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0106】
<第2実施形態>
以下、
図15~
図19を参照して、本発明に係る第2実施形態の雨樋配管構造及びサイフォンドレン部材について説明する。
図15は、第2実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを軒樋に取り付けた状態を示す側面図である。
図16は、
図15の下側ドレン部材を第1外筒部および第2外筒部に分解した状態を示す側面図である。
図17は、第2実施形態に係る下側ドレン部材を示す断面図である。
図18は、
図17の下側ドレン部材を第1外筒部および第2外筒部に分解した状態を示す断面図である。
図19は、第2実施形態に係る下側ドレン部材において第1外筒部の差口に第1エルボを接続した状態を示す断面図である。
【0107】
図15~
図18において、符号200はサイフォンドレン部材(ドレン部材)を示している。サイフォンドレン部材(ドレン部材)200は、
図15~
図18に示すように、例えば、下側ドレン部材210と、上側ドレン部材120と、上側ドレン部材120の上部に配置されるサイフォン部(不図示)と、を備えている。
すなわち、サイフォンドレン部材200は、第1実施形態の下側ドレン部材110を下側ドレン部材210に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のサイフォンドレン部材100と同様である。
【0108】
下側ドレン部材210は、
図15~
図18に示すように、例えば、下側フランジ部111と、第1外筒部212と、第2外筒部213と、連結部114と、を備えている。
第1外筒部212は、下側フランジ部111の下方に形成されて、下側フランジ部111の内周端から下方に向かって延在されている。第1外筒部212は、例えば、管軸O1を中心とする円筒形に形成され、軒樋10に取り付けられた状態で上下方向に延在している。また、第1外筒部212の内方には、上下に貫通する第1外筒内周穴212Hが形成されている。
【0109】
また、第1外筒部212は、下端が円筒状に縮径されて差口212Aに形成されている。第1外筒部212の差口212Aには、例えば、第1エルボ20の第1受口部21(
図19参照)が嵌合される。差口212Aと第1受口部21とは、例えば接着により固定される。これにより、差口212Aに第1受口部21が接続される。
【0110】
第2外筒部213は、第1外筒部212の内側(すなわち、第1外筒内周穴212H)のうち差口212Aの上方に配置されている。第2外筒部213は、例えば、管軸O1を中心とする円筒形に形成され、第1外筒部212に連結された状態で上下方向に延在している。また、第2外筒部213の内方には、上下に貫通する第2外筒内周穴213Hが形成されている。
【0111】
第2外筒部213は、内周面(内面)に内周ネジ部(内周係合部)215が設けられている。内周ネジ部215は、第2外筒部213の内周面に形成され、公知の種々の形状のものが適用可能である。具体的には、内周ネジ部215は、周方向に間隔をあけて形成されたものや周方向に連続して形成されたものであってもよい。内周ネジ部215は、上側ドレン部材120の外周ネジ部125(
図19参照)に螺合される。
【0112】
また、第2外筒部213は、挿入ガイド部216を備えている。挿入ガイド部216は、第2外筒部213のうち内周ネジ部215の上端部から上方に向けて円筒状に延在する下側ガイドスリーブにより構成されている。以下、挿入ガイド部216を「下側ガイドスリーブ216」ということもある。このように、第2外筒部213のうち内周ネジ部215の上端部から上方に向けて円筒状に延在させるだけで下側ガイドスリーブ216を構成できる。これにより、下側ガイドスリーブ216を簡素な形状で構成できる。
下側ガイドスリーブ216は、下側ドレン部材210と上側ドレン部材120とが取り付けられた状態において、上端が上側ドレン部材120に接触しない高さに設定されている。
下側ガイドスリーブ216は、第1実施形態の下側ガイドスリーブ116と同様の役割を果たす。
【0113】
第1外筒部212及び第2外筒部213は、第1実施形態と同様に、連結部114で連結されている。連結部114は、環状の係合凹部119に環状の係合突起部118が係合(嵌合)されることにより連結されている。よって、第1外筒部212及び第2外筒部213を連結部114により相対的に回転可能に連結できる。
【0114】
ここで、
図19に示すように、第1外筒部212の下端を差口212Aとし、差口212Aに第1エルボ20の第1受口部21が嵌合により接続されている。よって、下側フランジ部111を軒樋10の底板11(具体的には、底板11の下面11B)に接着する前の状態において、例えば、第1外筒部212を第2外筒部213に対して回転させて第1エルボ20の向きを仮合わせやすくできる。第1エルボ20の向きを仮合わせした後、下側フランジ部111を底板11の下面11Bに接着して、下側フランジ部111と底板11の下面11Bとの間の止水を確保する。
【0115】
以上説明したように、第2実施形態に係る雨樋配管構造1及びサイフォンドレン部材200によれば、下側ドレン部材210に第1外筒部212と第2外筒部213とを備えた。また、第2外筒部213のうち内周ネジ部215の上端部から下側ガイドスリーブ216を上方に向けて円筒状に延在させた。よって、上側ドレン部材120に下側ドレン部材210を装着する際に、第2外筒部213の下側ガイドスリーブ216を上側ドレン部材120の下端(すなわち、内筒部122の下端)を当てることができる。これにより、上側ドレン部材120の内筒部122を第2外筒部213の内周側に向けて案内できる。したがって、上側ドレン部材120の内筒部122に下側ドレン部材210の第2外筒部213をスムースに嵌合させることができる。あるいは、上側ドレン部材120の内筒部122を下側ドレン部材210の第2外筒部213にスムースに挿入させることができる。
【0116】
また、下側ドレン部材210に第1外筒部212と第2外筒部213とを備えた。よって、例えば、第1外筒部212の色を軒樋10の下面11Bの色に合わせることが容易になる。これにより、サイフォンドレン部材200及び軒樋10の外観をスッキリさせることができる。
【0117】
<第3実施形態>
以下、
図20を参照して、本発明に係る第3実施形態の雨樋配管構造及びサイフォンドレン部材について説明する。
図20は、第3実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す断面図である。
【0118】
図20において、符号300はサイフォンドレン部材(ドレン部材)を示している。サイフォンドレン部材(ドレン部材)300は、
図20に示すように、例えば、下側ドレン部材310と、上側ドレン部材120と、上側ドレン部材120の上部に配置されるサイフォン部(不図示)と、を備えている。
すなわち、サイフォンドレン部材300は、第1実施形態の下側ドレン部材110を下側ドレン部材310に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のサイフォンドレン部材100と同様である。
【0119】
下側ドレン部材310は、
図20に示すように、例えば、下側フランジ部111と、第1外筒部312と、第2外筒部313と、連結部314と、を備えている。
第1外筒部312は、下側フランジ部111の下方に形成されて、下側フランジ部111の内周端から下方に向かって延在されている。第1外筒部312は、例えば、管軸O1を中心とする円筒形に形成され、軒樋10に取り付けられた状態で上下方向に延在している。また、第1外筒部312の内方には、上下に貫通する第1外筒内周穴312Hが形成されている。
【0120】
また、第1外筒部312は、凹部317を備えている。凹部317は、第1外筒部312の下端312Tにおいて上方に向かってくぼむように、例えば、周方向に90°の間隔をあけて4つ設けられている。凹部317は、工具装着が下方から装着される工具装着用凹部である。以下、凹部317を「工具装着用凹部317」ということもある。
工具装着用凹部317の位置、数については任意に設定することが可能である。また、工具装着用凹部317の上側底面317Aの上下方向位置は任意に設定することが可能であるが、上側ドレン部材120の内筒部122の下端部よりも下側に形成されていることが好適である。工具装着用凹部317は、第1実施形態の工具装着用凹部117と同じ役割を果たす。
【0121】
第2外筒部313は、第1外筒部312の内側(すなわち、第1外筒内周穴312H)に配置されている。第2外筒部313は、例えば、管軸O1を中心とする円筒形に形成され、第1外筒部312に連結された状態で上下方向に延在している。また、第2外筒部313の内方には、上下に貫通する第2外筒内周穴313Hが形成されている。
【0122】
第2外筒部313は、内周面(内面)に内周ネジ部(内周係合部)315が設けられている。内周ネジ部315は、第2外筒部313の内周面に形成され、公知の種々の形状のものが適用可能である。具体的には、内周ネジ部315は、周方向に間隔をあけて形成されたものや周方向に連続して形成されたものであってもよい。内周ネジ部315は、上側ドレン部材120の外周ネジ部125に螺合される。
【0123】
ここで、第1外筒部312の工具装着用凹部117に施工工具(不図示)を差し込んで、差し込んだ施工工具により第1外筒部312を回転させる。第1外筒部312が回転することにより、第1外筒部312とともに第2外筒部313が回転する。これにより、上側ドレン部材120の外周ネジ部125と第2外筒部313の内周ネジ部315とを確実に螺合させることができる。したがって、例えば、上側ドレン部材120及び下側ドレン部材310を軒樋10の底板11に確実に固定できる。
【0124】
また、第2外筒部313は、挿入ガイド部316を備えている。挿入ガイド部316は、第2外筒部313のうち内周ネジ部315の上端部から上方に向けて円筒状に延在する下側ガイドスリーブにより構成されている。以下、挿入ガイド部316を「下側ガイドスリーブ316」ということもある。このように、第2外筒部313のうち内周ネジ部315の上端部から上方に向けて円筒状に延在させるだけで下側ガイドスリーブ316を構成できる。これにより、下側ガイドスリーブ316を簡素な形状で構成できる。
下側ガイドスリーブ316は、下側ドレン部材310と上側ドレン部材120とが取り付けられた状態において、上端が上側ドレン部材120に接触しない高さに設定されている。
下側ガイドスリーブ316は、第1実施形態の下側ガイドスリーブ116と同様の役割を果たす。
【0125】
さらに、第2外筒部313は、下端が差口313Aとされている。第2外筒部313の差口313Aには、例えば、竪樋30の上端や、第1エルボ20の第1受口部21(
図1参照)が嵌合される。これにより、差口313Aに第1受口部21が接続される。
【0126】
第1外筒部312及び第2外筒部313は、連結部314で連結されている。連結部314は、第1外筒部312の内面及び第2外筒部313の外面を一体に連結する橋部で構成されている。これにより、第1外筒部312及び第2外筒部313を組み立てる工程を省くことができ、生産性を高めることができる。
【0127】
以上説明したように、第3実施形態に係る雨樋配管構造1及びサイフォンドレン部材300によれば、下側ドレン部材310に第1外筒部312と第2外筒部313とを備えた。また、第2外筒部313のうち内周ネジ部315の上端部から下側ガイドスリーブ316を上方に向けて円筒状に延在させた。よって、上側ドレン部材120に下側ドレン部材310を装着する際に、第2外筒部313の下側ガイドスリーブ316を上側ドレン部材120の下端(すなわち、内筒部122の下端)を当てることができる。これにより、上側ドレン部材120の内筒部122を第2外筒部313の内周側に向けて案内できる。したがって、上側ドレン部材120の内筒部122に下側ドレン部材310の第2外筒部313をスムースに嵌合させることができる。あるいは、上側ドレン部材120の内筒部122を下側ドレン部材310の第2外筒部313にスムースに挿入させることができる。
【0128】
また、第2外筒部313の内周ネジ部315が上側ドレン部材120の外周ネジ部125に螺合されている。加えて、第1外筒部312及び第2外筒部313が連結部314で一体に連結されている。すなわち、第1外筒部312及び第2外筒部313は相対的に回転不能に連結されている。例えば、この状態において、第2外筒部313の差口313Aに第1エルボ20の第1受口部21(
図1参照)が接続される。
この場合でも、下側フランジ部111を軒樋10の底板11(具体的には、底板11の下面11B)に接着する前の状態において、第2外筒部313を第1外筒部312とともに回転させて第1エルボ20の向きを仮合わせやすくできる。第1エルボ20の向きを仮合わせした後、下側フランジ部111を底板11の下面11Bに接着して、下側フランジ部111と底板11の下面11Bとの間の止水を確保する。
【0129】
<第4実施形態>
以下、
図21を参照して、本発明係る第4実施形態の雨樋配管構造及びサイフォンドレン部材について説明する。
図21は、第4実施形態に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す断面図である。
【0130】
図21において、符号400はサイフォンドレン部材(ドレン部材)を示している。サイフォンドレン部材(ドレン部材)400は、
図21に示すように、例えば、下側ドレン部材410と、上側ドレン部材120と、上側ドレン部材120の上部に配置されるサイフォン部(不図示)と、を備えている。
すなわち、サイフォンドレン部材400は、第1実施形態の下側ドレン部材110を下側ドレン部材410に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のサイフォンドレン部材100と同様である。
【0131】
下側ドレン部材410は、
図21に示すように、例えば、下側フランジ部111と、第1外筒部412と、第2外筒部413と、連結部414と、カバー418と、を備えている。
第1外筒部412は、下側フランジ部111の下方に形成されて、下側フランジ部111の内周端から下方に向かって延在されている。第1外筒部412は、例えば、管軸O1を中心とする円筒形に形成され、軒樋10に取り付けられた状態で上下方向に延在している。また、第1外筒部412の内方には、上下に貫通する第1外筒内周穴412Hが形成されている。第1外筒部412は、下端412Aがカバー418(後述する)の段部415Aに接続されている。
【0132】
第2外筒部413は、第1外筒部412の内側(すなわち、第1外筒内周穴412H)に配置されている。第2外筒部413は、例えば、管軸O1を中心とする円筒形に形成され、第1外筒部412に連結された状態で上下方向に延在している。また、第2外筒部413の内方には、上下に貫通する第2外筒内周穴413Hが形成されている。
【0133】
第2外筒部413は、内周面(内面)に内周ネジ部(内周係合部)415が設けられている。内周ネジ部415は、第2外筒部413の内周面に形成され、公知の種々の形状のものが適用可能である。具体的には、内周ネジ部415は、周方向に間隔をあけて形成されたものや周方向に連続して形成されたものであってもよい。内周ネジ部415は、上側ドレン部材120の外周ネジ部125に螺合される。
【0134】
また、第2外筒部413は、挿入ガイド部416を備えている。挿入ガイド部416は、第2外筒部413のうち内周ネジ部415の上端部から上方に向けて円筒状に延在する下側ガイドスリーブにより構成されている。以下、挿入ガイド部416を「下側ガイドスリーブ416」ということもある。このように、第2外筒部413のうち内周ネジ部415の上端部から上方に向けて円筒状に延在させるだけで下側ガイドスリーブ416を構成できる。これにより、下側ガイドスリーブ416を簡素な形状で構成できる。
下側ガイドスリーブ416は、下側ドレン部材410と上側ドレン部材120とが取り付けられた状態において、上端が上側ドレン部材120に接触しない高さに設定されている。
下側ガイドスリーブ416は、第1実施形態の下側ガイドスリーブ116と同様の役割を果たす。
【0135】
第1外筒部412及び第2外筒部413は、連結部414で連結されている。連結部414は、第1外筒部412の内面及び第2外筒部413の外面を一体に連結する橋部で構成されている。これにより、第1外筒部412及び第2外筒部413を組み立てる工程を省くことができ、生産性を高めることができる。
【0136】
カバー418は、第1外筒部412と、第1外筒部412から下方に突出した第2外筒部413とを外側から覆うように形成されている。カバー418は、例えば、管軸O1を中心とする円筒形に形成され、軒樋10に取り付けられた状態で上下方向に延在している。
カバー418は、上端415Bが下側フランジ部111、第1外筒部412、及び第1外筒部412から下方に突出した第2外筒部413を外側から覆うように配置されている。このように、カバー418の上端415Bで、特に下側フランジ部111を覆うことにより、サイフォンドレン部材400及び軒樋10の外観をスッキリさせることができる。
さらに、例えば、カバー418の色を軒樋10の下面11bの色に合わせることが容易になる。これにより、サイフォンドレン部材400及び軒樋10を一層スッキリさせることができる。
【0137】
カバー418は、下端415Cが円筒状に縮径されて差口となるように形成されている。以下、下端415Cを「差口415C」ということもある。カバー418の差口415Cには、例えば、第1エルボ20の第1受口部21(
図1参照)が嵌合される。これにより、差口212Aに第1受口部21が接続される。また、カバー418は、上端415Bと差口415Cとが段部415Aで一体に連結されている。段部415Aには、第1外筒部412の下端412Aが接続されている。
よって、下側フランジ部111を軒樋10の底板11(具体的には、下面11B)に接着する前の状態において、例えば、カバー418を外周ネジ部125及び内周ネジ部415において回転させることにより第1エルボ20の向きを仮合わせやすくできる。第1エルボ20の向きを仮合わせした後、下側フランジ部111を底板11の下面11Bに接着して、下側フランジ部111と底板11の下面11Bとの間の止水を確保する。
【0138】
また、カバー418は、凹部417を備えてもよい。凹部417は、カバー418の下端415Tにおいて上方に向かってくぼむように、例えば、周方向に90°の間隔をあけて4つ設けられている。凹部417は、工具装着が下方から装着される工具装着用凹部である。以下、凹部417を「工具装着用凹部417」ということもある。
工具装着用凹部417の位置、数については任意に設定することが可能である。また、工具装着用凹部417の上側底面417Aの上下方向位置は任意に設定することが可能であるが、上側ドレン部材120の内筒部122の下端部よりも下側に形成されていることが好適である。工具装着用凹部417は、第1実施形態の工具装着用凹部117と同じ役割を果たす。
【0139】
すなわち、カバー418の工具装着用凹部417に施工工具(不図示)を差し込んで、差し込んだ施工工具によりカバー418を回転させる。カバー418が回転することにより、カバー418とともに第1外筒部412及び第2外筒部413が回転する。これにより、上側ドレン部材120の外周ネジ部125と第2外筒部413の内周ネジ部415とを確実に螺合させることができる。したがって、例えば、上側ドレン部材120及び下側ドレン部材410を軒樋10の底板11に確実に固定できる。
【0140】
以上説明したように、第4実施形態に係る雨樋配管構造1及びサイフォンドレン部材400によれば、下側ドレン部材410に第1外筒部412と第2外筒部413とを備えた。また、第2外筒部413のうち内周ネジ部415の上端部から下側ガイドスリーブ416を上方に向けて円筒状に延在させた。よって、上側ドレン部材120に下側ドレン部材410を装着する際に、第2外筒部413の下側ガイドスリーブ416を上側ドレン部材120の下端(すなわち、内筒部122の下端)を当てることができる。これにより、上側ドレン部材120の内筒部122を第2外筒部413の内周側に向けて案内できる。したがって、上側ドレン部材120の内筒部122に下側ドレン部材410の第2外筒部413をスムースに嵌合させることができる。あるいは、上側ドレン部材120の内筒部122を下側ドレン部材410の第2外筒部413にスムースに挿入させることができる。
【0141】
また、下側ドレン部材410にカバー418を備えることにより、カバー418の上端415Bで下側フランジ部111を覆うことができる。これにより、サイフォンドレン部材400及び軒樋10の外観をスッキリさせることができる。
さらに、カバー418の色を軒樋10の下面11bの色に合わせることが容易になる。これにより、サイフォンドレン部材400及び軒樋10を一層スッキリさせることができる。
【0142】
<変形例>
以下、実施形態の変形例として第1変形例から第3変形例のサイフォンドレン部材等を
図22~
図26に基づいて説明する。なお、第1変形例から第5変形例のサイフォンドレン部材において実施形態と同一類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0143】
<第1変形例>
以下、
図22を参照して、本発明係る第1変形例のサイフォンドレン部材について説明する。
図22は、第1変形例に係るサイフォンドレン部材の上側ドレン部材を斜め下方からみた斜視図である。
上側ドレン部材520は、
図22に示すように、例えば、上側フランジ部121と内筒部122との交差部にリブ521が設けられている。リブ521は、内筒部122の上端から径方向の外側に向けて突出されている。リブ521は、例えば、径方向の外側の端縁が、上面123A(
図3参照)のベルマウス形状における外面(下面)に沿うように上下方向に曲線状に延びている。
リブ521は、例えば、上側ドレン部材520を下側ドレン部材110(
図11参照)の内側に差し込む際、あるいは、下側ドレン部材110を上側ドレン部材520に嵌め込む際のガイドとして機能する。
【0144】
リブ521は、上側ドレン部材520に周方向に等間隔をあけて複数(図示の例では4つ)配置されている。各リブ521は、表裏面が周方向を向く板状である。各リブ521の上端は、上側フランジ部121の下面に連なっている。各リブ521は、上側ドレン部材520から径方向の外側に向けて突出している。各リブ521の径方向の外側に向けた突出量は、下方から上方に向かうに従い大きくなっている。
【0145】
<第2変形例>
以下、
図23、
図24を参照して、本発明係る第2変形例のサイフォンドレン部材について説明する。
図23は、第2変形例に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す側面図である。
図24は、第2変形例に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを軒樋に取り付けた状態を示す側面図である。
【0146】
図23、
図24に示すように、サイフォンドレン部材(ドレン部材)600は、例えば、下側ドレン部材610において第2外筒部113の内周ネジ部115(
図11参照)に代えて第1係止部(内周係合部)615を備えている。第1係止部615は、突起である。第1係止部615は、第1係止部615を径方向から見た正面視において、階段状である。
また、サイフォンドレン部材600は、例えば、上側ドレン部材620において内筒部122の外周ネジ部125(
図11参照)に代えて第2係止部(外周係合部)625を備えている。第2係止部625は、突起である。第2係止部625は、第2係止部625を径方向から見た正面視において、階段状である。
下側ドレン部材610と上側ドレン部材620とを嵌合した状態において回転することにより、第1係止部615と第2係止部625とが係止する。図示の例では、第1係止部615と第2係止部625とが互いに噛み合う。これにより、下側ドレン部材610と上側ドレン部材620との更なる回転が規制され、下側ドレン部材610と上側ドレン部材620とが取り付けた状態に保持される。
【0147】
<第3変形例>
以下、
図25、
図26を参照して、本発明係る第3変形例のサイフォンドレン部材について説明する。
図25は、第3変形例に係るサイフォンドレン部材の下側ドレン部材と上側ドレン部材とを分解した状態を示す側面図である。
図26は、第3変形例に係る第1係止部と第2係止部とが係止した状態を示す側面図である。
【0148】
図25、
図26に示すように、サイフォンドレン部材(ドレン部材)700は、例えば、下側ドレン部材710において第2外筒部113の内周ネジ部115(
図11参照)に代えて第1係止部(内周係合部)715を備えている。第1係止部715は、突起である。第1係止部715は、第1係止部715を径方向から見た正面視において、三角形状である。
また、サイフォンドレン部材700は、例えば、上側ドレン部材720において内筒部122の外周ネジ部125(
図11参照)に代えて第2係止部(外周係合部)725を備えている。第2係止部725は、突起である。第2係止部725は、第2係止部725を径方向から見た正面視において、軸線O1に直交する方向(周方向)対して傾斜する直線状である。第2係止部725は、周条であるとも言える。第2係止部725の周端には、第1係止部715が乗り越え可能に係止される係止片725Aが設けられている。係止片725Aは、係止片725Aを径方向から見た正面視において、三角形状である。
下側ドレン部材710と上側ドレン部材720とを嵌合した状態において回転することにより、第1係止部715が第2係止部725の係止片725Aを周方向に乗り越えた後、両者が係止する。これにより、下側ドレン部材610と上側ドレン部材620との更なる回転が規制され、下側ドレン部材710と上側ドレン部材720とが取り付けた状態に保持される。
なお第2変形例や第3変形例の他、上側ドレン部材と下側ドレン部材との間に、いわゆるバヨネット構造を、内周係合部および外周係合部として採用することも可能である。
【0149】
<他の変形例>
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
【0150】
例えば、上記実施形態においては、ドレン部材がサイフォン部150を備えたサイフォンドレン部材100である場合について説明したが、ドレン部材がサイフォン部150を備えるかどうかは任意に設定することが可能であり、サイフォン部150を備えていない構成としてもよい。サイフォンドレン部材200、300、400についても同様である。
【0151】
また、上記実施形態においては、下側ドレン部材110において第2外筒部113の上端部から下側ガイドスリーブ116を上方に延在する例について説明したが、これに限らない。その他の例として、上側ドレン部材120において内筒部122の下端部から挿入ガイド部として上側ガイドスリーブを下方に延在させてもよい。また、下側ドレン部材110の第2外筒部113に下側ガイドスリーブを備え、さらに、上側ドレン部材120の内筒部122に上側ガイドスリーブを備えてもよい。サイフォンドレン部材200、300、400についても同様である。さらに、前述のようなリブ521を採用してもよい。
【0152】
また、上記実施形態においては、上側ドレン部材120が位置決め段差部126を備えている場合について説明したが、上側ドレン部材120が位置決め段差部126を備えるかどうかは任意に設定してもよい。
【0153】
また、上記実施形態においては、上側ドレン部材120の上側フランジ部121は、平面視でリング状の平板状(周方向の全周にわたって連続して延びる形状)に形成されている場合について説明した。しかしながら、
図27~
図29に示す第4変形例の上側ドレン部材120Aのように、上側フランジ部121の一部が切り欠かれたリング状でもよい。上側フランジ部121に設けられる切欠き127は少なくとも1つあればよく、複数あってもよい。複数設ける場合には、上側フランジ部121の周方向に等間隔になる様に設けることが好適である。
さらに例えば、上側ドレン部材120の上側フランジ部121が、平面視で歯車状や、平面視で不連続なリング状に形成されていてもよい。この場合、切欠く箇所は任意である。
切欠き127を形成するにあたり、上側フランジ部121のうち、縦リブ155が形成された箇所に切欠き127を設けてもよい。ただし、縦リブ155の強度を保つため、上側フランジ部121のうち、縦リブ155が形成されていない箇所に切欠き127を形成することが好適である。
雨水をスムースに落し口部121Hに流入させるため、上側ドレン部材120Aの管軸と直交する方向に切欠き127を形成することが好適である。
さらに例えば、上側ドレン部材120の上側フランジ部121が、平面視で四角形や五角形、六角形等の多角形でもよい。この場合、縦リブ155の外縁側の端部と、多角形の頂点とが一致していることが好ましい。例えば、縦リブ155が5枚の場合には上側フランジ部121は平面視で五角形とされ、縦リブ155が6枚の場合には上側フランジ部121は平面視で六角形とされており、多角形の上側フランジ部121の各頂点に縦リブ155の外縁側の端部が位置するように、上側フランジ部121および縦リブ155が配置される。なお、多角形状の場合、各頂点は鋭利にとがっていても、面取りがされ円弧状であってもよい。
【0154】
また、上側ドレン部材120Aにおける切り欠く範囲(切欠き127の大きさ)は任意である。しかしながら、上側ドレン部材120Aが下穴11Hに対してずれるのを防止するため、前述の切り欠く範囲(切欠き127の大きさ)は、上側フランジ部121の最外接円から、位置決め段差部126までの範囲とすることが好適である。
なお
図30~
図32における第5変形例の上側ドレン部材120Bに示すように、切欠き127は、位置決め段差部126よりも、下穴11Hの中心方向に切り欠いていてもよい。この場合、切欠き127があることで、軒樋10の底板11において上側フランジ部121による段差を無くすことが可能になる。その結果、底板11に滞留する雨水を落し口部121Hに流入させやすい。
【0155】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態を適宜組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0156】
1、1A、1B 雨樋配管構造(配管構造)
10 軒樋
11 底板
11A 上面
11B 下面
11H 下穴
12 側板
100、200、300、400、600、700 サイフォンドレン部材(ドレン部材)
110、210、310、410、610、710 下側ドレン部材
111 下側フランジ部
112、212、312、412 第1外筒部
113、213、313、413 第2外筒部
113A、212A、313A、415C 差口
114、314、414 連結部
115、215、315、415 内周ネジ部(内周係合部)
116、216、316、416 下側ガイドスリーブ(挿入ガイド部)
117、317、417 凹部
118 係合突起部(被係合部)
119 係合凹部(係合部)
120、120A、120B、520、620、720 上側ドレン部材
121 上側フランジ部
121H 落し口部
122 内筒部
123 内筒縮径部
125 外周ネジ部(外周係合部)
418 カバー
615 第1係止部(内周係合部)
625 第2係止部(外周係合部)
715 第1係止部(内周係合部)
725 第2係止部(外周係合部)