(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006723
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子、電子機器及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 50/16 20230101AFI20230111BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230111BHJP
【FI】
H05B33/22 B
H05B33/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109468
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 嘉憲
(72)【発明者】
【氏名】西村 和樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 清香
(72)【発明者】
【氏名】三谷 真人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良多
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB08
3K107CC04
3K107CC12
3K107DD59
3K107DD68
3K107DD75
3K107DD76
3K107DD78
3K107FF14
3K107FF19
(57)【要約】
【課題】より高性能な有機EL素子を提供する。
【解決手段】陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置された発光層と、前記発光層と前記陰極との間に配置された第1の層とを有し、前記発光層がホスト化合物を含み、前記第1の層が第1の化合物と第2の化合物とを含み、以下の条件1及び条件2を満たす、有機エレクトロルミネッセンス素子。
(条件1)
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第1の化合物の電子親和力AfETAとが、下記式(1-1)及び(1-2)を満たす。
AfH<AfETA・・・(1-1)
|AfH-AfETA|≦0.10・・・(1-2)
(条件2)
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第2の化合物の電子親和力AfETBとが、下記式(2-1)及び(2-2)を満たす。
AfH>AfETB・・・(2-1)
|AfH-AfETB|≦0.10・・・(2-2)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極と、
陽極と、
前記陰極と前記陽極との間に配置された発光層と、
前記発光層と前記陰極との間に配置された第1の層と
を有し、
前記発光層がホスト化合物を含み、
前記第1の層が第1の化合物と第2の化合物とを含み、
以下の条件1及び条件2を満たす、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
(条件1)
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第1の化合物の電子親和力AfETAとが、下記式(1-1)及び(1-2)を満たす。
AfH<AfETA・・・(1-1)
|AfH-AfETA|≦0.10・・・(1-2)
(条件2)
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第2の化合物の電子親和力AfETBとが、下記式(2-1)及び(2-2)を満たす。
AfH>AfETB・・・(2-1)
|AfH-AfETB|≦0.10・・・(2-2)
【請求項2】
前記第1の層と前記発光層との間に他の層を含まない請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記第1の層が、実質的に前記第1の化合物と前記第2の化合物のみからなる請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記第1の層が、前記第1の化合物と前記第2の化合物のみからなる請求項1~3のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記第1の層における、前記第1の化合物と前記第2の化合物の質量比(第1の化合物:第2の化合物)が、10:90~90:10の範囲内である請求項1~4のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記第1の層における、前記第1の化合物と前記第2の化合物の質量比(第1の化合物:第2の化合物)が、10:90~70:30の範囲内である請求項1~5のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記第1の層における、前記第1の化合物と前記第2の化合物の質量比(第1の化合物:第2の化合物)が、40:60~60:40の範囲内である請求項1~6のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記発光層側から、前記陰極に向けて、前記第1の層と、電子輸送性材料を含む第2の層とをこの順に有する、請求項1~7のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
前記第1の層と前記第2の層との間に他の層を含まない、請求項1~8のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第1の化合物の電子親和力AfETAとが、下記式(1-2-1)を満たす、請求項1~9のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
|AfH-AfETA|≦0.09・・・(1-2-1)
【請求項11】
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第2の化合物の電子親和力AfETBとが、下記式(2-2-1)を満たす、請求項1~10のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
|AfH-AfETB|≦0.09・・・(2-2-1)
【請求項12】
前記発光層が蛍光発光性材料を含む、請求項1~11のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
前記第1の化合物が、下記式(1)で表される化合物である請求項1~12のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化76】
(式(1)において、
X
1~X
3は、それぞれ独立に、CR
4又はNである。
X
1~X
3の少なくとも1つはNである。
R
4は、水素原子又は置換基Rである。
R
4が2以上存在する場合、2以上のR
4は同一でもよく、異なっていてもよい。
R
1~R
3は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
前記置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
前記置換基Rが2個以上存在する場合、2個以上の前記置換基Rは同一でもよく、異なっていてもよい。
R
901~R
907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907が2個以上存在する場合、2個以上のR
901~R
907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)
【請求項14】
前記第1の化合物が、下記式(11)で表される化合物である請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化77】
(式(11)において、
X
1~X
3、R
1、及びR
2は前記式(1)で定義した通りである。
L
1は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50の芳香族炭化水素基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
Ar
1は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
n1は1~3の整数である。n1が2以上の場合、2以上のAr
1はそれぞれ同一であっても異なってもよい。)
【請求項15】
Ar
1が、下記式(12)で表される基である請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化78】
(式(12)において、
X
11は、O、S、N(R
21)、又はC(R
22)(R
23)である。
R
11~R
18及びR
21~R
23のうちのいずれか1つはL
1との結合を表す。
L
1との結合を表さないR
11~R
18のうち隣接する2つ以上の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
L
1との結合を表さず、かつ前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
11~R
18、及びL
1との結合を表さないR
21~R
23は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
前記置換基Rは前記式(1)で定義した通りである。)
【請求項16】
X11が、O又はSである請求項15記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項17】
前記第1の化合物が、下記式(21)で表される化合物である請求項13~16のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化79】
(式(21)において、
X
1~X
3、R
1、及びR
2は、前記式(1)で定義した通りである。
L
1は、前記式(11)で定義した通りである。
X
12は、O又はSである。
R
11~R
18のうちのいずれか1つはL
1との結合を表す。
L
1との結合を表さないR
11~R
18のうち隣接する2つ以上の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
L
1との結合を表さず、かつ前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
11~R
18は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
n1は1~3の整数である。nが2以上の場合、2以上の括弧内の構造はそれぞれ同一であっても異なってもよい。
置換基Rは前記式(1)で定義した通りである。)
【請求項18】
L1が、
単結合、又は
無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基であり、
前記置換基Rが、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R911)(R912)(R913)、
-O-(R914)、
-S-(R915)、
-N(R916)(R917)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
R911~R917は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、又は
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である請求項1~17のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項19】
X1~X3のうちの2つがNである請求項1~18のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項20】
前記第2の化合物が、下記式(51)で表される化合物である請求項1~19のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化80】
(式(51)において、
A
3及びA
4は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。
A
5は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~6の単環炭化水素基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数3~6の単環複素環基である。
mは、0~3の整数である。
mが0のとき、(A
5)
mは単結合を表す。
X
25~X
28のうちいずれか1つは、A
5に結合する炭素原子である。
X
21~X
24、及びA
5に結合する炭素原子ではないX
25~X
28は、それぞれ独立に、N又はCR
aである。
Y
21~Y
24のうちいずれか1つは、A
5に結合する炭素原子である。
Y
25~Y
28、及びA
5に結合する炭素原子ではないY
21~Y
24は、それぞれ独立に、N又はCR
aである。
R
aのうち隣接する2つ以上の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
aは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
前記置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)
(ここで、R
901~R
907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。R
901~R
907が2個以上存在する場合、2個以上のR
901~R
907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基
からなる群から選択される。
前記置換基Rが2以上存在する場合、2以上の前記置換基Rは同一であってもよいし、異なってもよい。
ただし、式(51)は、下記条件(i)及び(ii)の一方又は双方を満たす。
条件(i):A
3及びA
4のうちの少なくとも1つが、
シアノ基を有する置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
シアノ基を有する置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。
条件(ii):X
21~X
28及びY
21~Y
28のうちの少なくとも1つはCR
aであり、前記少なくとも1つのCR
a中の少なくとも1つのR
aが、
シアノ基を有する置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
シアノ基を有する置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。)
【請求項21】
前記式(51)において、mが0である請求項20記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項22】
前記式(51)で表される化合物が、下記式(72)で表される化合物である請求項20又は21記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化81】
(式(72)において、R
a、A
3、及びA
4は、前記式(51)で定義した通りである。)
【請求項23】
前記条件(i)及び(ii)におけるシアノ基を有する置換の環形成炭素数6~30のアリール基が、下記式(2-1)~(2-5)から選ばれる基である請求項20~22のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化82】
【請求項24】
前記条件(i)を満たし、前記条件(ii)を満たさない請求項20~23のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項25】
前記式(51)が、下記条件(ia)及び(iia)の一方又は双方を満たす請求項20~23のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
条件(ia):A3及びA4のうちの少なくとも1つが、
シアノ基を有し、他の置換基を有しない、置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
シアノ基を有し、他の置換基を有しない、置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。
条件(iia):X21~X28及びY21~Y28のうちの少なくとも1つはCRaであり、前記少なくとも1つのCRa中の少なくとも1つのRaが、
シアノ基を有し、他の置換基を有しない、置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
シアノ基を有し、他の置換基を有しない、置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。
【請求項26】
前記式(51)が、前記条件(i)又は(ia)を満たし、
前記条件(ii)及び(iia)を満たさず、
X21~X24、A5に結合する炭素原子ではないX25~X28、Y25~Y28、及びA5に結合する炭素原子ではないY21~Y24が、すべてCRaであり、
mは0であり、かつ、
A3及びA4が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~12のアリール基である
請求項20~23のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項27】
前記ホスト化合物が、アントラセン誘導体である請求項1~26のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項28】
前記ホスト化合物が、下記式(101)で表される化合物である請求項1~27のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化83】
(式(101)において、
R
101~R
108のうち隣接する2つ以上の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
101~R
108は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
L
101及びL
102は、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基である。
Ar
101及びAr
102は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
前記置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
前記置換基Rが2個以上存在する場合、2個以上の前記置換基Rは同一でもよく、異なっていてもよい。
R
901~R
907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907が2個以上存在する場合、2個以上のR
901~R
907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)
【請求項29】
R101~R108のうちの隣接する2つ以上の1組以上が互いに結合して形成された、前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環が有する水素原子、
水素原子であるR101~R108、
置換基RであるR101~R108が有する水素原子、
L101が有する水素原子、
L102が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、及び
Ar102が有する水素原子
のうちの1つ以上が重水素原子である請求項28記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項30】
前記ホスト化合物が、下記式(102)で表される化合物である請求項1~29のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化84】
(式(102)において、R
101~R
108、L
101、Ar
101、及びAr
102は、前記式(101)で定義した通りである。)
【請求項31】
前記ホスト化合物が、下記式(103)で表される化合物である請求項1~30のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化85】
(式(103)において、L
101、Ar
101、及びAr
102は、前記式(101)で定義した通りである。)
【請求項32】
請求項1~31のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子機器。
【請求項33】
前記第1の化合物及び前記第2の化合物を含む組成物を用いて、前記第1の層を形成することを含む、請求項1~31のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、電子機器及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)に電圧を印加すると、陽極から正孔が、また陰極から電子が、それぞれ発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。
従来の有機EL素子は素子性能が未だ十分ではなかった。素子性能を高めるべく有機EL素子の改良は徐々に進められているが、さらなる高性能化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、より高性能な有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、有機EL素子の電子輸送帯域の構成に着目して鋭意検討した結果、従来の有機EL素子においては、発光層と電子輸送帯域との界面に電子が滞留しやすく、滞留電子と発光層励起子によって不要な相互作用が引き起こされることに起因して素子性能の向上が阻害されていると考えた。例えば、特許文献1においては、電子輸送帯域における一の層が二つの化合物を含み、一方の化合物のアフィニティ(電子親和力)は発光層中のホスト化合物より絶対値が小さく、他方の化合物のアフィニティは発光層中のホスト化合物より絶対値が大きい有機EL素子の具体例が開示されている。発明者らは、このような従来の有機EL素子においては、「他方の化合物」のアフィニティの絶対値とホスト化合物のアフィニティの絶対値との差が大きすぎる(「他方の化合物」のアフィニティの絶対値がホスト化合物のアフィニティの絶対値よりも大きすぎる)ために、発光層と電子輸送帯域との界面にエネルギー障壁が生じ、結果、当該界面に電子が滞留しやすくなると考えた。
そこで、発明者らは、電子輸送帯域における一の層に二つの化合物を含ませ、一方の化合物のアフィニティの絶対値は発光層中のホスト材料のアフィニティの絶対値よりも一定範囲で小さく、他方の化合物のアフィニティの絶対値は発光層中のホスト材料のアフィニティの絶対値よりも一定範囲で大きい(大きくなりすぎない)ようにすることで、キャリアバランスを改善し、発光層と電子輸送帯域との界面における電子溜まりを抑制でき、より高性能な有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成した。
なお、特許文献1は、国際出願(PCT/JP2019/034437、国際公開第2020/050217号)に係る優先権の基礎出願書類として閲覧可能である。
本発明によれば、以下の有機EL素子等が提供される。
1.陰極と、
陽極と、
前記陰極と前記陽極との間に配置された発光層と、
前記発光層と前記陰極との間に配置された第1の層と
を有し、
前記発光層がホスト化合物を含み、
前記第1の層が第1の化合物と第2の化合物とを含み、
以下の条件1及び条件2を満たす、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
(条件1)
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第1の化合物の電子親和力AfETAとが、下記式(1-1)及び(1-2)を満たす。
AfH<AfETA・・・(1-1)
|AfH-AfETA|≦0.10・・・(1-2)
(条件2)
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第2の化合物の電子親和力AfETBとが、下記式(2-1)及び(2-2)を満たす。
AfH>AfETB・・・(2-1)
|AfH-AfETB|≦0.10・・・(2-2)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より高性能な有機EL素子が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一態様に係る有機EL素子の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[定義]
本明細書において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、即ち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、及び三重水素(tritium)を包含する。
【0009】
本明細書において、化学構造式中、「R」等の記号や重水素原子を表す「D」が明示されていない結合可能位置には、水素原子、即ち、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子が結合しているものとする。
【0010】
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジン環は環形成炭素数5であり、フラン環は環形成炭素数4である。また、例えば、9,9-ジフェニルフルオレニル基の環形成炭素数は13であり、9,9’-スピロビフルオレニル基の環形成炭素数は25である。
また、ベンゼン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ベンゼン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているベンゼン環の環形成炭素数は、6である。また、ナフタレン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ナフタレン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているナフタレン環の環形成炭素数は、10である。
【0011】
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば、単環、縮合環、及び環集合)の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ピリジン環の環形成原子数は6であり、キナゾリン環の環形成原子数は10であり、フラン環の環形成原子数は5である。例えば、ピリジン環に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子の数は、ピリジン環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているピリジン環の環形成原子数は、6である。また、例えば、キナゾリン環の炭素原子に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子については、キナゾリン環の環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているキナゾリン環の環形成原子数は10である。
【0012】
本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX~YYのZZ基」という表現における「炭素数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表し、置換されている場合の置換基の炭素数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0013】
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX~YYのZZ基」という表現における「原子数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表し、置換されている場合の置換基の原子数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0014】
本明細書において、無置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「無置換のZZ基」である場合を表し、置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「置換のZZ基」である場合を表す。
本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「無置換」とは、ZZ基における水素原子が置換基と置き換わっていないことを意味する。「無置換のZZ基」における水素原子は、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子である。
また、本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「置換」とは、ZZ基における1つ以上の水素原子が、置換基と置き換わっていることを意味する。「AA基で置換されたBB基」という場合における「置換」も同様に、BB基における1つ以上の水素原子が、AA基と置き換わっていることを意味する。
【0015】
「本明細書に記載の置換基」
以下、本明細書に記載の置換基について説明する。
【0016】
本明細書に記載の「無置換のアリール基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルケニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルキニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のシクロアルキル基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~6である。
本明細書に記載の「無置換のアリーレン基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の2価の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキレン基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
【0017】
・「置換もしくは無置換のアリール基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」の具体例(具体例群G1)としては、以下の無置換のアリール基(具体例群G1A)及び置換のアリール基(具体例群G1B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「無置換のアリール基」である場合を指し、置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「置換のアリール基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アリール基」という場合は、「無置換のアリール基」と「置換のアリール基」の両方を含む。
「置換のアリール基」は、「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアリール基」としては、例えば、下記具体例群G1Aの「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの置換のアリール基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアリール基」の例、及び「置換のアリール基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアリール基」には、下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」におけるアリール基自体の炭素原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0018】
・無置換のアリール基(具体例群G1A):
フェニル基、
p-ビフェニル基、
m-ビフェニル基、
o-ビフェニル基、
p-ターフェニル-4-イル基、
p-ターフェニル-3-イル基、
p-ターフェニル-2-イル基、
m-ターフェニル-4-イル基、
m-ターフェニル-3-イル基、
m-ターフェニル-2-イル基、
o-ターフェニル-4-イル基、
o-ターフェニル-3-イル基、
o-ターフェニル-2-イル基、
1-ナフチル基、
2-ナフチル基、
アントリル基、
ベンゾアントリル基、
フェナントリル基、
ベンゾフェナントリル基、
フェナレニル基、
ピレニル基、
クリセニル基、
ベンゾクリセニル基、
トリフェニレニル基、
ベンゾトリフェニレニル基、
テトラセニル基、
ペンタセニル基、
フルオレニル基、
9,9’-スピロビフルオレニル基、
ベンゾフルオレニル基、
ジベンゾフルオレニル基、
フルオランテニル基、
ベンゾフルオランテニル基、
ペリレニル基、及び
下記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価のアリール基。
【0019】
【0020】
【0021】
・置換のアリール基(具体例群G1B):
o-トリル基、
m-トリル基、
p-トリル基、
パラ-キシリル基、
メタ-キシリル基、
オルト-キシリル基、
パラ-イソプロピルフェニル基、
メタ-イソプロピルフェニル基、
オルト-イソプロピルフェニル基、
パラ-t-ブチルフェニル基、
メタ-t-ブチルフェニル基、
オルト-t-ブチルフェニル基、
3,4,5-トリメチルフェニル基、
9,9-ジメチルフルオレニル基、
9,9-ジフェニルフルオレニル基
9,9-ビス(4-メチルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-イソプロピルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルオレニル基、
シアノフェニル基、
トリフェニルシリルフェニル基、
トリメチルシリルフェニル基、
フェニルナフチル基、
ナフチルフェニル基、及び
前記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から誘導される1価の基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基。
【0022】
・「置換もしくは無置換の複素環基」
本明細書に記載の「複素環基」は、環形成原子にヘテロ原子を少なくとも1つ含む環状の基である。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、及びホウ素原子が挙げられる。
本明細書に記載の「複素環基」は、単環の基であるか、又は縮合環の基である。
本明細書に記載の「複素環基」は、芳香族複素環基であるか、又は非芳香族複素環基である。
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」の具体例(具体例群G2)としては、以下の無置換の複素環基(具体例群G2A)、及び置換の複素環基(具体例群G2B)等が挙げられる。(ここで、無置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「無置換の複素環基」である場合を指し、置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「置換の複素環基」である場合を指す。)本明細書において、単に「複素環基」という場合は、「無置換の複素環基」と「置換の複素環基」の両方を含む。
「置換の複素環基」は、「無置換の複素環基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換の複素環基」の具体例は、下記具体例群G2Aの「無置換の複素環基」の水素原子が置き換わった基、及び下記具体例群G2Bの置換の複素環基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換の複素環基」の例や「置換の複素環基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換の複素環基」には、具体例群G2Bの「置換の複素環基」における複素環基自体の環形成原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G2Bの「置換の複素環基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0023】
具体例群G2Aは、例えば、以下の窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1)、酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2)、硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4)を含む。
【0024】
具体例群G2Bは、例えば、以下の窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1)、酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2)、硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4)を含む。
【0025】
・窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1):
ピロリル基、
イミダゾリル基、
ピラゾリル基、
トリアゾリル基、
テトラゾリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ピリジル基、
ピリダジニル基、
ピリミジニル基、
ピラジニル基、
トリアジニル基、
インドリル基、
イソインドリル基、
インドリジニル基、
キノリジニル基、
キノリル基、
イソキノリル基、
シンノリル基、
フタラジニル基、
キナゾリニル基、
キノキサリニル基、
ベンゾイミダゾリル基、
インダゾリル基、
フェナントロリニル基、
フェナントリジニル基、
アクリジニル基、
フェナジニル基、
カルバゾリル基、
ベンゾカルバゾリル基、
モルホリノ基、
フェノキサジニル基、
フェノチアジニル基、
アザカルバゾリル基、及びジアザカルバゾリル基。
【0026】
・酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2):
フリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
キサンテニル基、
ベンゾフラニル基、
イソベンゾフラニル基、
ジベンゾフラニル基、
ナフトベンゾフラニル基、
ベンゾオキサゾリル基、
ベンゾイソキサゾリル基、
フェノキサジニル基、
モルホリノ基、
ジナフトフラニル基、
アザジベンゾフラニル基、
ジアザジベンゾフラニル基、
アザナフトベンゾフラニル基、及び
ジアザナフトベンゾフラニル基。
【0027】
・硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3):
チエニル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ベンゾチオフェニル基(ベンゾチエニル基)、
イソベンゾチオフェニル基(イソベンゾチエニル基)、
ジベンゾチオフェニル基(ジベンゾチエニル基)、
ナフトベンゾチオフェニル基(ナフトベンゾチエニル基)、
ベンゾチアゾリル基、
ベンゾイソチアゾリル基、
フェノチアジニル基、
ジナフトチオフェニル基(ジナフトチエニル基)、
アザジベンゾチオフェニル基(アザジベンゾチエニル基)、
ジアザジベンゾチオフェニル基(ジアザジベンゾチエニル基)、
アザナフトベンゾチオフェニル基(アザナフトベンゾチエニル基)、及び
ジアザナフトベンゾチオフェニル基(ジアザナフトベンゾチエニル基)。
【0028】
・下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4):
【0029】
【0030】
【0031】
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、XA及びYAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、NH、又はCH2である。ただし、XA及びYAのうち少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、又はNHである。
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、XA及びYAの少なくともいずれかがNH、又はCH2である場合、前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基には、これらNH、又はCH2から1つの水素原子を除いて得られる1価の基が含まれる。
【0032】
・窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1):
(9-フェニル)カルバゾリル基、
(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、
(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、
(9-ナフチル)カルバゾリル基、
ジフェニルカルバゾール-9-イル基、
フェニルカルバゾール-9-イル基、
メチルベンゾイミダゾリル基、
エチルベンゾイミダゾリル基、
フェニルトリアジニル基、
ビフェニリルトリアジニル基、
ジフェニルトリアジニル基、
フェニルキナゾリニル基、及び
ビフェニリルキナゾリニル基。
【0033】
・酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2):
フェニルジベンゾフラニル基、
メチルジベンゾフラニル基、
t-ブチルジベンゾフラニル基、及び
スピロ[9H-キサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0034】
・硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3):
フェニルジベンゾチオフェニル基、
メチルジベンゾチオフェニル基、
t-ブチルジベンゾチオフェニル基、及び
スピロ[9H-チオキサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0035】
・前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4):
【0036】
前記「1価の複素環基の1つ以上の水素原子」とは、該1価の複素環基の環形成炭素原子に結合している水素原子、XA及びYAの少なくともいずれかがNHである場合の窒素原子に結合している水素原子、及びXA及びYAの一方がCH2である場合のメチレン基の水素原子から選ばれる1つ以上の水素原子を意味する。
【0037】
・「置換もしくは無置換のアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」の具体例(具体例群G3)としては、以下の無置換のアルキル基(具体例群G3A)及び置換のアルキル基(具体例群G3B)が挙げられる。(ここで、無置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「無置換のアルキル基」である場合を指し、置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「置換のアルキル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキル基」という場合は、「無置換のアルキル基」と「置換のアルキル基」の両方を含む。
「置換のアルキル基」は、「無置換のアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキル基」(具体例群G3A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のアルキル基(具体例群G3B)の例等が挙げられる。本明細書において、「無置換のアルキル基」におけるアルキル基は、鎖状のアルキル基を意味する。そのため、「無置換のアルキル基」は、直鎖である「無置換のアルキル基」、及び分岐状である「無置換のアルキル基」が含まれる。尚、ここに列挙した「無置換のアルキル基」の例や「置換のアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルキル基」には、具体例群G3Bの「置換のアルキル基」におけるアルキル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G3Bの「置換のアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0038】
・無置換のアルキル基(具体例群G3A):
メチル基、
エチル基、
n-プロピル基、
イソプロピル基、
n-ブチル基、
イソブチル基、
s-ブチル基、及び
t-ブチル基。
【0039】
・置換のアルキル基(具体例群G3B):
ヘプタフルオロプロピル基(異性体を含む)、
ペンタフルオロエチル基、
2,2,2-トリフルオロエチル基、及び
トリフルオロメチル基。
【0040】
・「置換もしくは無置換のアルケニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルケニル基」の具体例(具体例群G4)としては、以下の無置換のアルケニル基(具体例群G4A)、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルケニル基とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「無置換のアルケニル基」である場合を指し、「置換のアルケニル基」とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「置換のアルケニル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アルケニル基」という場合は、「無置換のアルケニル基」と「置換のアルケニル基」の両方を含む。
「置換のアルケニル基」は、「無置換のアルケニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルケニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルケニル基」(具体例群G4A)が置換基を有する基、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアルケニル基」の例や「置換のアルケニル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルケニル基」には、具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」におけるアルケニル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0041】
・無置換のアルケニル基(具体例群G4A):
ビニル基、
アリル基、
1-ブテニル基、
2-ブテニル基、及び
3-ブテニル基。
【0042】
・置換のアルケニル基(具体例群G4B):
1,3-ブタンジエニル基、
1-メチルビニル基、
1-メチルアリル基、
1,1-ジメチルアリル基、
2-メチルアリル基、及び
1,2-ジメチルアリル基。
【0043】
・「置換もしくは無置換のアルキニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキニル基」の具体例(具体例群G5)としては、以下の無置換のアルキニル基(具体例群G5A)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルキニル基とは、「置換もしくは無置換のアルキニル基」が「無置換のアルキニル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキニル基」という場合は、「無置換のアルキニル基」と「置換のアルキニル基」の両方を含む。
「置換のアルキニル基」は、「無置換のアルキニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキニル基」(具体例群G5A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基等が挙げられる。
【0044】
・無置換のアルキニル基(具体例群G5A):
エチニル基
【0045】
・「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」の具体例(具体例群G6)としては、以下の無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A)、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)等が挙げられる。(ここで、無置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「無置換のシクロアルキル基」である場合を指し、置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「置換のシクロアルキル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「シクロアルキル基」という場合は、「無置換のシクロアルキル基」と「置換のシクロアルキル基」の両方を含む。
「置換のシクロアルキル基」は、「無置換のシクロアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のシクロアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のシクロアルキル基」(具体例群G6A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のシクロアルキル基」の例や「置換のシクロアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のシクロアルキル基」には、具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」におけるシクロアルキル基自体の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0046】
・無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A):
シクロプロピル基、
シクロブチル基、
シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
1-アダマンチル基、
2-アダマンチル基、
1-ノルボルニル基、及び
2-ノルボルニル基。
【0047】
・置換のシクロアルキル基(具体例群G6B):
4-メチルシクロヘキシル基。
【0048】
・「-Si(R901)(R902)(R903)で表される基」
本明細書に記載の-Si(R901)(R902)(R903)で表される基の具体例(具体例群G7)としては、
-Si(G1)(G1)(G1)、
-Si(G1)(G2)(G2)、
-Si(G1)(G1)(G2)、
-Si(G2)(G2)(G2)、
-Si(G3)(G3)(G3)、及び
-Si(G6)(G6)(G6)
が挙げられる。ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-Si(G1)(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G1)(G2)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G2)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G6)(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる。
【0049】
・「-O-(R904)で表される基」
本明細書に記載の-O-(R904)で表される基の具体例(具体例群G8)としては、
-O(G1)、
-O(G2)、
-O(G3)、及び
-O(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0050】
・「-S-(R905)で表される基」
本明細書に記載の-S-(R905)で表される基の具体例(具体例群G9)としては、
-S(G1)、
-S(G2)、
-S(G3)、及び
-S(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0051】
・「-N(R906)(R907)で表される基」
本明細書に記載の-N(R906)(R907)で表される基の具体例(具体例群G10)としては、
-N(G1)(G1)、
-N(G2)(G2)、
-N(G1)(G2)、
-N(G3)(G3)、及び
-N(G6)(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-N(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる
【0052】
・「ハロゲン原子」
本明細書に記載の「ハロゲン原子」の具体例(具体例群G11)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0053】
・「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がフッ素原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子で置き換わった基(パーフルオロ基)も含む。「無置換のフルオロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のフルオロアルキル基」は、「フルオロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のフルオロアルキル基」には、「置換のフルオロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のフルオロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のフルオロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がフッ素原子と置き換わった基の例等が挙げられる。
【0054】
・「置換もしくは無置換のハロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のハロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がハロゲン原子で置き換わった基も含む。「無置換のハロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のハロアルキル基」は、「ハロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のハロアルキル基」には、「置換のハロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のハロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のハロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がハロゲン原子と置き換わった基の例等が挙げられる。ハロアルキル基をハロゲン化アルキル基と称する場合がある。
【0055】
・「置換もしくは無置換のアルコキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルコキシ基」の具体例としては、-O(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルコキシ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0056】
・「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」の具体例としては、-S(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルキルチオ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0057】
・「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」の具体例としては、-O(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールオキシ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0058】
・「置換もしくは無置換のアリールチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールチオ基」の具体例としては、-S(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールチオ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0059】
・「置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基」
本明細書に記載の「トリアルキルシリル基」の具体例としては、-Si(G3)(G3)(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。「トリアルキルシリル基」の各アルキル基の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~6である。
【0060】
・「置換もしくは無置換のアラルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、-(G3)-(G1)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」であり、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。従って、「アラルキル基」は、「アルキル基」の水素原子が置換基としての「アリール基」と置き換わった基であり、「置換のアルキル基」の一態様である。「無置換のアラルキル基」は、「無置換のアリール基」が置換した「無置換のアルキル基」であり、「無置換のアラルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、7~50であり、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~18である。
「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルイソプロピル基、2-フェニルイソプロピル基、フェニル-t-ブチル基、α-ナフチルメチル基、1-α-ナフチルエチル基、2-α-ナフチルエチル基、1-α-ナフチルイソプロピル基、2-α-ナフチルイソプロピル基、β-ナフチルメチル基、1-β-ナフチルエチル基、2-β-ナフチルエチル基、1-β-ナフチルイソプロピル基、及び2-β-ナフチルイソプロピル基等が挙げられる。
【0061】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリール基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはフェニル基、p-ビフェニル基、m-ビフェニル基、o-ビフェニル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-ターフェニル-4-イル基、o-ターフェニル-3-イル基、o-ターフェニル-2-イル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9,9-ジメチルフルオレニル基、及び9,9-ジフェニルフルオレニル基等である。
【0062】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾイミダゾリル基、フェナントロリニル基、カルバゾリル基(1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、又は9-カルバゾリル基)、ベンゾカルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ナフトベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、ジアザジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ナフトベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、ジアザジベンゾチオフェニル基、(9-フェニル)カルバゾリル基((9-フェニル)カルバゾール-1-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-2-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-3-イル基、又は(9-フェニル)カルバゾール-4-イル基)、(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、ジフェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルトリアジニル基、ビフェニリルトリアジニル基、ジフェニルトリアジニル基、フェニルジベンゾフラニル基、及びフェニルジベンゾチオフェニル基等である。
【0063】
本明細書において、カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0064】
【0065】
本明細書において、(9-フェニル)カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0066】
【0067】
前記一般式(TEMP-Cz1)~(TEMP-Cz9)中、*は、結合部位を表す。
【0068】
本明細書において、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0069】
【0070】
前記一般式(TEMP-34)~(TEMP-41)中、*は、結合部位を表す。
【0071】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアルキル基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等である。
【0072】
・「置換もしくは無置換のアリーレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリーレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアリーレン基」の具体例(具体例群G12)としては、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0073】
・「置換もしくは無置換の2価の複素環基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の2価の複素環基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換の2価の複素環基」の具体例(具体例群G13)としては、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0074】
・「置換もしくは無置換のアルキレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアルキレン基」の具体例(具体例群G14)としては、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0075】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリーレン基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-42)~(TEMP-68)のいずれかの基である。
【0076】
【0077】
【0078】
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、Q1~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、*は、結合部位を表す。
【0079】
【0080】
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、Q1~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
式Q9及びQ10は、単結合を介して互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、*は、結合部位を表す。
【0081】
【0082】
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、Q1~Q8は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、*は、結合部位を表す。
【0083】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の2価の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-69)~(TEMP-102)のいずれかの基である。
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
前記一般式(TEMP-69)~(TEMP-82)中、Q1~Q9は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
前記一般式(TEMP-83)~(TEMP-102)中、Q1~Q8は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0093】
以上が、「本明細書に記載の置換基」についての説明である。
【0094】
・「結合して環を形成する場合」
本明細書において、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず」という場合は、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合しない」場合と、を意味する。
本明細書における、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(以下、これらの場合をまとめて「結合して環を形成する場合」と称する場合がある。)について、以下、説明する。母骨格がアントラセン環である下記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物の場合を例として説明する。
【0095】
【0096】
例えば、R921~R930のうちの「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、環を形成する」場合において、1組となる隣接する2つからなる組とは、R921とR922との組、R922とR923との組、R923とR924との組、R924とR930との組、R930とR925との組、R925とR926との組、R926とR927との組、R927とR928との組、R928とR929との組、並びにR929とR921との組である。
【0097】
上記「1組以上」とは、上記隣接する2つ以上からなる組の2組以上が同時に環を形成してもよいことを意味する。例えば、R921とR922とが互いに結合して環QAを形成し、同時にR925とR926とが互いに結合して環QBを形成した場合は、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-104)で表される。
【0098】
【0099】
「隣接する2つ以上からなる組」が環を形成する場合とは、前述の例のように隣接する「2つ」からなる組が結合する場合だけではなく、隣接する「3つ以上」からなる組が結合する場合も含む。例えば、R921とR922とが互いに結合して環QAを形成し、かつ、R922とR923とが互いに結合して環QCを形成し、互いに隣接する3つ(R921、R922及びR923)からなる組が互いに結合して環を形成して、アントラセン母骨格に縮合する場合を意味し、この場合、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-105)で表される。下記一般式(TEMP-105)において、環QA及び環QCは、R922を共有する。
【0100】
【0101】
形成される「単環」、又は「縮合環」は、形成された環のみの構造として、飽和の環であっても不飽和の環であってもよい。「隣接する2つからなる組の1組」が「単環」、又は「縮合環」を形成する場合であっても、当該「単環」、又は「縮合環」は、飽和の環、又は不飽和の環を形成することができる。例えば、前記一般式(TEMP-104)において形成された環QA及び環QBは、それぞれ、「単環」又は「縮合環」である。また、前記一般式(TEMP-105)において形成された環QA、及び環QCは、「縮合環」である。前記一般式(TEMP-105)の環QAと環QCとは、環QAと環QCとが縮合することによって縮合環となっている。前記一般式(TMEP-104)の環QAがベンゼン環であれば、環QAは、単環である。前記一般式(TMEP-104)の環QAがナフタレン環であれば、環QAは、縮合環である。
【0102】
「不飽和の環」には、芳香族炭化水素環、芳香族複素環の他、環構造中に不飽和結合、即ち、二重結合及び/又は三重結合を有する脂肪族炭化水素環(例えば、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン等)、及び不飽和結合を有する非芳香族複素環(例えば、ジヒドロピラン、イミダゾリン、ピラゾリン、キノリジン、インドリン、イソインドリン等)が含まれる。「飽和の環」には、不飽和結合を有しない脂肪族炭化水素環、又は不飽和結合を有しない非芳香族複素環が含まれる。
芳香族炭化水素環の具体例としては、具体例群G1において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
芳香族複素環の具体例としては、具体例群G2において具体例として挙げられた芳香族複素環基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
脂肪族炭化水素環の具体例としては、具体例群G6において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
「環を形成する」とは、母骨格の複数の原子のみ、あるいは母骨格の複数の原子とさらに1以上の任意の原子で環を形成することを意味する。例えば、前記一般式(TEMP-104)に示す、R921とR922とが互いに結合して形成された環QAは、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、1以上の任意の原子とで形成する環を意味する。具体例としては、R921とR922とで環QAを形成する場合において、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922とが結合するアントラセン骨格の炭素原子と、4つの炭素原子とで単環の不飽和の環を形成する場合、R921とR922とで形成する環は、ベンゼン環である。
【0103】
ここで、「任意の原子」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子である。任意の原子において(例えば、炭素原子、又は窒素原子の場合)、環を形成しない結合は、水素原子等で終端されてもよいし、後述する「任意の置換基」で置換されてもよい。炭素原子以外の任意の原子を含む場合、形成される環は複素環である。
単環または縮合環を構成する「1以上の任意の原子」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは2個以上15個以下であり、より好ましくは3個以上12個以下であり、さらに好ましくは3個以上5個以下である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」、及び「縮合環」のうち、好ましくは「単環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「飽和の環」、及び「不飽和の環」のうち、好ましくは「不飽和の環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」は、好ましくはベンゼン環である。
本明細書に別途記載のない限り、「不飽和の環」は、好ましくはベンゼン環である。
「隣接する2つ以上からなる組の1組以上」が、「互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、又は「互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、母骨格の複数の原子と、1個以上15個以下の炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子とからなる置換もしくは無置換の「不飽和の環」を形成する。
【0104】
上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
上記の「飽和の環」、又は「不飽和の環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
以上が、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(「結合して環を形成する場合」)についての説明である。
【0105】
・「置換もしくは無置換の」という場合の置換基
本明細書における一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基(本明細書において、「任意の置換基」と呼ぶことがある。)は、例えば、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
無置換の環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基等であり、
ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
R901が2個以上存在する場合、2個以上のR901は、互いに同一であるか、又は異なり、
R902が2個以上存在する場合、2個以上のR902は、互いに同一であるか、又は異なり、
R903が2個以上存在する場合、2個以上のR903は、互いに同一であるか、又は異なり、
R904が2個以上存在する場合、2個以上のR904は、互いに同一であるか、又は異なり、
R905が2個以上存在する場合、2個以上のR905は、互いに同一であるか、又は異なり、
R906が2個以上存在する場合、2個以上のR906は、互いに同一であるか、又は異なり、
R907が2個以上存在する場合、2個以上のR907は、互いに同一であるか又は異なる。
【0106】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0107】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~18のアルキル基、
環形成炭素数6~18のアリール基、及び
環形成原子数5~18の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0108】
上記任意の置換基の各基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基の具体例である。
【0109】
本明細書において別途記載のない限り、隣接する任意の置換基同士で、「飽和の環」、又は「不飽和の環」を形成してもよく、好ましくは、置換もしくは無置換の飽和の5員環、置換もしくは無置換の飽和の6員環、置換もしくは無置換の不飽和の5員環、又は置換もしくは無置換の不飽和の6員環を形成し、より好ましくは、ベンゼン環を形成する。
本明細書において別途記載のない限り、任意の置換基は、さらに置換基を有してもよい。任意の置換基がさらに有する置換基としては、上記任意の置換基と同様である。
【0110】
本明細書において、「AA~BB」を用いて表される数値範囲は、「AA~BB」の前に記載される数値AAを下限値とし、「AA~BB」の後に記載される数値BBを上限値として含む範囲を意味する。
【0111】
[有機EL素子]
本発明の一態様に係る有機EL素子は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置された発光層と、前記発光層と前記陰極との間に配置された第1の層とを有し、前記発光層がホスト化合物を含み、前記第1の層が第1の化合物と第2の化合物とを含む。
本発明の一態様に係る有機EL素子は、以下の条件1及び条件2を満たす。
(条件1)
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第1の化合物の電子親和力AfETAとが、下記式(1-1)及び(1-2)を満たす。
AfH<AfETA・・・(1-1)
|AfH-AfETA|≦0.10・・・(1-2)
(条件2)
前記ホスト化合物の電子親和力AfHと、前記第2の化合物の電子親和力AfETBとが、下記式(2-1)及び(2-2)を満たす。
AfH>AfETB・・・(2-1)
|AfH-AfETB|≦0.10・・・(2-2)
【0112】
本発明の一態様に係る有機EL素子は、上記の構成を備えることで、電子輸送帯域における優れたキャリアバランスを実現し、発光層と電子輸送帯域との界面における電子溜まりを抑制でき、より高い素子性能を実現することが可能である。具体的な効果として、発光効率が高く、また、駆動電圧が低い有機EL素子を実現することができる。
なお、条件1及び条件2から自明であるが、第1の化合物と第2の化合物とは異なる化合物である。
以下、本発明の一態様に係る有機EL素子の各構成について説明する。
【0113】
(条件1)
式(1-1)及び式(1-2)で示される通り、第1の化合物としては、電子親和力AfETAがホスト化合物の電子親和力AfHよりも高く、かつ、その差が0.10以内である化合物を用いる。電子親和力は実施例に記載の方法により測定する。
【0114】
AfETAとAfHの差の絶対値は0.09以下であってもよい。このことは下記式(1-2-1)のように表現することもできる。
|AfH-AfETA|≦0.09・・・(1-2-1)
【0115】
(条件2)
式(2-1)及び式(2-2)で示される通り、第2の化合物としては、電子親和力AfETBがホスト化合物の電子親和力AfHよりも低く、かつ、その差が0.10以内である化合物を用いる。
【0116】
AfETBとAfHの差の絶対値は0.09以下であってもよい。このことは下記式(2-2-1)のように表現することもできる。
|AfH-AfETB|≦0.09・・・(2-2-1)
【0117】
本発明の一態様に係る有機EL素子の効果は、条件1及び条件2の通り、ホスト化合物の電子親和力と、第1の化合物又は第2の化合物の電子親和力との相対値が特定の範囲であることによるものである。そのため、電子親和力の実際の値は特に制限はないが、例えば、AfHは1.9~2.2であり、AfETAは2.0~2.3であり、AfETBは1.8~2.1である。
【0118】
(第1の化合物)
第1の化合物としては、上記の条件を満たす限り特に制限はない。第1の化合物は重水素原子を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0119】
第1の化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物を用いることができる。
【化22】
(式(1)において、
X
1~X
3は、それぞれ独立に、CR
4又はNである。
X
1~X
3の少なくとも1つはNである。
R
4は、水素原子又は置換基Rである。
R
4が2以上存在する場合、2以上のR
4は同一でもよく、異なっていてもよい。
R
1~R
3は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
前記置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
前記置換基Rが2個以上存在する場合、2個以上の前記置換基Rは同一でもよく、異なっていてもよい。
R
901~R
907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907が2個以上存在する場合、2個以上のR
901~R
907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0120】
一実施形態において、上記式(1)で表される化合物は下記式(11)で表される。
【化23】
(式(11)において、
X
1~X
3、R
1、及びR
2は前記式(1)で定義した通りである。
L
1は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50の芳香族炭化水素基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
Ar
1は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
n1は1~3の整数である。n1が2以上の場合、2以上のAr
1はそれぞれ同一であっても異なってもよい。)
【0121】
一実施形態において、上記式(11)のAr
1は下記式(12)で表される。
【化24】
(式(12)において、
X
11は、O、S、N(R
21)、又はC(R
22)(R
23)である。
R
11~R
18及びR
21~R
23のうちのいずれか1つはL
1との結合を表す。
L
1との結合を表さないR
11~R
18のうち隣接する2つ以上の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
L
1との結合を表さず、かつ前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
11~R
18、及びL
1との結合を表さないR
21~R
23は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
前記置換基Rは前記式(1)で定義した通りである。)
【0122】
一実施形態において、上記式(12)のX11はO又はSである。
一実施形態において、上記式(12)のX11はN(R21)である。
【0123】
一実施形態において、上記式(1)で表される化合物は下記式(21)で表される。
【化25】
(式(21)において、
X
1~X
3、R
1、及びR
2は、前記式(1)で定義した通りである。
L
1は、前記式(11)で定義した通りである。
X
12は、O又はSである。
R
11~R
18のうちのいずれか1つはL
1との結合を表す。
L
1との結合を表さないR
11~R
18のうち隣接する2つ以上の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
L
1との結合を表さず、かつ前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
11~R
18は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
n1は1~3の整数である。nが2以上の場合、2以上の括弧内の構造はそれぞれ同一であっても異なってもよい。
置換基Rは前記式(1)で定義した通りである。)
【0124】
一実施形態において、上記式(1)で表される化合物は下記式(22)で表される。
【化26】
(式(22)において、
X
1~X
3、R
1、R
2、L
1、R
11~R
18及びn1は前記式(21)で定義した通りである。
R
21は水素原子又は置換基Rである。
前記置換基Rは前記式(1)で定義した通りである。)
【0125】
一実施形態において、L1は、
単結合、又は
無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基であり、
前記置換基Rが、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R911)(R912)(R913)、
-O-(R914)、
-S-(R915)、
-N(R916)(R917)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
R911~R917は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、又は
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0126】
一実施形態において、X1~X3の2つがNである。
【0127】
[定義]に記載したように、本明細書において使用する「水素原子」は軽水素原子、重水素原子、及び三重水素原子を包含する。従って、上述したように、第1の化合物は天然由来の重水素原子を含んでいてもよい。
また、原料化合物の一部又は全てに重水素化した化合物を使用することにより、第1の化合物に重水素原子を意図的に導入してもよい。従って、一実施形態において、第1の化合物は少なくとも1個の重水素原子を含む。すなわち、本実施形態の化合物は、式(1)で表される化合物であって、該化合物に含まれる水素原子の少なくとも一つが重水素原子である化合物であってもよい。
【0128】
一実施形態において、水素原子であるR1~R4、及び置換基RであるR1~R4が有する水素原子のうちの1つ以上が重水素原子である。
【0129】
化合物の重水素化率は使用する原料化合物の重水素化率に依存する。所定の重水素化率の原料を用いたとしても、天然由来の一定の割合で軽水素同位体が含まれ得る。従って、重水素化率の態様は、単に化学式で表される重水素原子の数をカウントして求められる割合に対し、天然由来の微量の同位体を考慮した比率が含まれる。
一実施形態において、第1の化合物の重水素化率は、例えば、1%以上、3%以上、5%以上、10%以上、又は50%以上である。
【0130】
上記式(1)で表される化合物は、目的物に合わせた既知の代替反応や原料を用いることで合成することができる。
【0131】
以下に、第1の化合物の具体例を記載するが、これらは例示に過ぎず、第1の化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0132】
【0133】
【0134】
(第2の化合物)
第2の化合物としては、上記の条件を満たす限り特に制限はない。第2の化合物は重水素原子を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0135】
第2の化合物としては、例えば、下記式(51)で表される化合物を用いることができる。
【化29】
(式(51)において、
A
3及びA
4は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。
A
5は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~6の単環炭化水素基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数3~6の単環複素環基である。
mは、0~3の整数である。
mが0のとき、(A
5)
mは単結合を表す。
X
25~X
28のうちいずれか1つは、A
5に結合する炭素原子である。
X
21~X
24、及びA
5に結合する炭素原子ではないX
25~X
28は、それぞれ独立に、N又はCR
aである。
Y
21~Y
24のうちいずれか1つは、A
5に結合する炭素原子である。
Y
25~Y
28、及びA
5に結合する炭素原子ではないY
21~Y
24は、それぞれ独立に、N又はCR
aである。
R
aのうち隣接する2つ以上の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
aは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
前記置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)
(ここで、R
901~R
907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。R
901~R
907が2個以上存在する場合、2個以上のR
901~R
907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基
からなる群から選択される。
前記置換基Rが2以上存在する場合、2以上の前記置換基Rは同一であってもよいし、異なってもよい。
ただし、式(51)は、下記条件(i)及び(ii)の一方又は双方を満たす。
条件(i):A
3及びA
4のうちの少なくとも1つが、
シアノ基を有する置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
シアノ基を有する置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。
条件(ii):X
21~X
28及びY
21~Y
28のうちの少なくとも1つはCR
aであり、前記少なくとも1つのCR
a中の少なくとも1つのR
aが、
シアノ基を有する置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
シアノ基を有する置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。)
【0136】
一実施形態において、前記式(51)にけるmは0である。
【0137】
一実施形態において、上記式(51)で表される化合物は、下記式(61)、(62)、又は(63)で表される化合物である。
【化30】
(式(61)~(63)において、X
21~X
28、Y
21~Y
28、A
3、及びA
4は、前記式(51)で定義した通りである。)
【0138】
一実施形態において、上記式(51)で表される化合物は、下記式(71)で表される化合物である。
【化31】
(式(71)において、R
a、A
3、及びA
4は、前記式(51)で定義した通りである。)
【0139】
一実施形態において、上記式(51)で表される化合物は、下記式(72)で表される化合物である。
【化32】
(式(72)において、R
a、A
3、及びA
4は、前記式(51)で定義した通りである。)
【0140】
一実施形態において、上記式(51)で表される化合物は、下記式(73)で表される化合物である。
【化33】
(式(73)において、R
a、A
3、及びA
4は、前記式(51)で定義した通りである。)
【0141】
一実施形態において、前記条件(i)及び(ii)におけるシアノ基を有する置換の環形成炭素数6~30のアリール基は、下記式(2-1)~(2-5)から選ばれる基である。
【化34】
【0142】
一実施形態において、前記条件(i)及び(ii)におけるシアノ基を有する置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基は、下記式(2-6)~(2-9)から選ばれる基である。
【化35】
【0143】
一実施形態において、上記式(51)で表される化合物は、前記条件(i)を満たし、前記条件(ii)を満たさない。
【0144】
一実施形態において、上記式(51)で表される化合物は、下記条件(ia)及び(iia)の一方又は双方を満たす。
条件(ia):A3及びA4のうちの少なくとも1つが、
シアノ基を有し、他の置換基を有しない、置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
シアノ基を有し、他の置換基を有しない、置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。
条件(iia):X21~X28及びY21~Y28のうちの少なくとも1つはCRaであり、前記少なくとも1つのCRa中の少なくとも1つのRaが、
シアノ基を有し、他の置換基を有しない、置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
シアノ基を有し、他の置換基を有しない、置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。
【0145】
一実施形態において、上記式(51)で表される化合物は、
前記条件(i)又は(ia)を満たし、
前記条件(ii)及び(iia)を満たさず、
X21~X24、A5に結合する炭素原子ではないX25~X28、Y25~Y28、及びA5に結合する炭素原子ではないY21~Y24が、すべてCRaであり、
mは0であり、かつ、
A3及びA4が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~12のアリール基である。
【0146】
[定義]に記載したように、本明細書において使用する「水素原子」は軽水素原子、重水素原子、及び三重水素原子を包含する。従って、上述したように、第2の化合物は天然由来の重水素原子を含んでいてもよい。
また、原料化合物の一部又は全てに重水素化した化合物を使用することにより、第2の化合物に重水素原子を意図的に導入してもよい。従って、一実施形態において、第2の化合物は少なくとも1個の重水素原子を含む。すなわち、本実施形態の化合物は、式(51)で表される化合物であって、該化合物に含まれる水素原子の少なくとも一つが重水素原子である化合物であってもよい。
【0147】
一実施形態において、
A3~A5が有する水素原子、
Raのうち隣接する2つ以上の1組以上が互いに結合して形成した置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環が有する水素原子、
水素原子であるRa、及び
置換基RであるRaが有する水素原子のうちの1つ以上が重水素原子である。
【0148】
一実施形態において、第2の化合物の重水素化率は、例えば、1%以上、3%以上、5%以上、10%以上、又は50%以上である。
【0149】
上記式(51)で表される化合物は、目的物に合わせた既知の代替反応や原料を用いることで合成することができる。
【0150】
以下に、第2の化合物の具体例を記載するが、これらは例示に過ぎず、第2の化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0151】
【0152】
【0153】
(第1の化合物と第2の化合物の組み合わせ)
第1の化合物と第2の化合物との組み合わせは、上述した条件1及び条件2を満たす限り特に制限はなく、適宜組み合わせて使用できる。
第1の化合物と第2の化合物との組み合わせの一例を以下に示すが、組み合わせはこれらに限定されるものではない。
【0154】
・組合せ1
第1の化合物が1-1であり、第2の化合物が2-1である。
【化38】
【0155】
・組合せ2
第1の化合物が1-2であり、第2の化合物が2-1である。
【化39】
【0156】
・組合せ3
第1の化合物が1-3であり、第2の化合物が2-1である。
【化40】
【0157】
・組合せ4
第1の化合物が1-4であり、第2の化合物が2-1である。
【化41】
【0158】
・組合せ5
第1の化合物が1-5であり、第2の化合物が2-1である。
【化42】
【0159】
・組合せ6
第1の化合物が1-6であり、第2の化合物が2-1である。
【化43】
【0160】
・組合せ7
第1の化合物が1-7であり、第2の化合物が2-1である。
【化44】
【0161】
・組合せ8
第1の化合物が1-8であり、第2の化合物が2-1である。
【化45】
【0162】
・組合せ9
第1の化合物が1-1であり、第2の化合物が2-2である。
【化46】
【0163】
・組合せ10
第1の化合物が1-2であり、第2の化合物が2-2である。
【化47】
【0164】
・組合せ11
第1の化合物が1-3であり、第2の化合物が2-2である。
【化48】
【0165】
・組合せ12
第1の化合物が1-4であり、第2の化合物が2-2である。
【化49】
【0166】
・組合せ13
第1の化合物が1-5であり、第2の化合物が2-2である。
【化50】
【0167】
・組合せ14
第1の化合物が1-6であり、第2の化合物が2-2である。
【化51】
【0168】
・組合せ15
第1の化合物が1-7であり、第2の化合物が2-2である。
【化52】
【0169】
・組合せ16
第1の化合物が1-8であり、第2の化合物が2-2である。
【化53】
【0170】
(ホスト化合物)
本発明の一態様に係る有機EL素子の発光層に用いるホスト化合物としては、上記の条件を満たす限り特に制限はない。ホスト化合物は重水素原子を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0171】
本発明の一態様に係る有機EL素子の発光層に用いるホスト化合物としては、例えば、アントラセン誘導体を用いることができる。
【0172】
一実施形態において、ホスト化合物は下記式(101)で表される化合物である。
【化54】
(式(101)において、
R
101~R
108のうち隣接する2つ以上の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成するか、あるいは前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環を形成しないR
101~R
108は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
L
101及びL
102は、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基である。
Ar
101及びAr
102は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
前記置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
前記置換基Rが2個以上存在する場合、2個以上の前記置換基Rは同一でもよく、異なっていてもよい。
R
901~R
907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907が2個以上存在する場合、2個以上のR
901~R
907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0173】
一実施形態において、ホスト化合物は下記式(102)で表される化合物である。
【化55】
(式(102)において、R
101~R
108、L
101、Ar
101、及びAr
102は、前記式(101)で定義した通りである。)
【0174】
一実施形態において、ホスト化合物は下記式(103)で表される化合物である。
【化56】
(式(103)において、L
101、Ar
101、及びAr
102は、前記式(101)で定義した通りである。)
【0175】
[定義]に記載したように、本明細書において使用する「水素原子」は軽水素原子、重水素原子、及び三重水素原子を包含する。従って、上述したホスト化合物は天然由来の重水素原子を含んでいてもよい。
また、原料化合物の一部又はすべてに重水素化した化合物を使用することにより、ホスト化合物に重水素原子を意図的に導入してもよい。従って、一実施形態において、ホスト化合物は少なくとも1個の重水素原子を含む。すなわち、本実施形態の化合物は、式(101)で表される化合物であって、該化合物に含まれる水素原子の少なくとも一つが重水素原子である化合物であってもよい。
【0176】
一実施形態において、R101~R108のうちの隣接する2つ以上の1組以上が互いに結合して形成された、前記置換もしくは無置換の飽和又は不飽和の環が有する水素原子、
水素原子であるR101~R108、
置換基RであるR101~R108が有する水素原子、
L101が有する水素原子、
L102が有する水素原子、
Ar101が有する水素原子、及び
Ar102が有する水素原子
のうちの1つ以上が重水素原子である。
【0177】
一実施形態において、ホスト化合物の重水素化率は、例えば、1%以上、3%以上、5%以上、10%以上、又は50%以上である。
【0178】
式(101)で表される化合物は、目的物に合わせた既知の代替反応や原料を用いることで合成することができる。
【0179】
以下に、発光層のホスト化合物の具体例を記載するが、これらは例示に過ぎず、ホスト化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
(有機EL素子)
本発明の一態様に係る有機EL素子は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置された発光層と、前記発光層と前記陰極との間における一の層(第1の層)とを有し、前記第1の層が第1の化合物と第2の化合物とを含む。
【0195】
第1の層における第1の化合物と第2の化合物との割合は特に制限はないが、一実施形態において、質量比(第1の化合物:第2の化合物)は、10:90~90:10の範囲内である。
一実施形態において、第1の化合物と第2の化合物の質量比(第1の化合物:第2の化合物)は、10:90~70:30の範囲内である。
一実施形態において、第1の化合物と第2の化合物の質量比(第1の化合物:第2の化合物)は、40:60~60:40の範囲内である。
【0196】
第1の層は、第1の化合物と第2の化合物以外の他の化合物を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0197】
一実施形態において、第1の層は実質的に前記第1の化合物と前記第2の化合物のみからなる。
「実質的に前記第1の化合物と前記第2の化合物のみからなる」とは、第1の層中に他の化合物が全く含まれないか、又は、他の化合物が本発明の効果を損なわない範囲で微量含まれることを言う。例えば、不可避不純物として混入している場合は本状態である。
一実施形態において、第1の層における、第1の化合物と第2の化合物以外の他の化合物の含有量(総量)は、例えば、1質量%以下、0.5質量%以下、0.1質量%以下、又は0.01質量%以下である。
一実施形態において、第1の層は前記第1の化合物と前記第2の化合物のみからなる。
【0198】
当該有機EL素子の代表的な素子構成としては、基板上に、以下の構造を積層した構造が例示される。
(1)陽極/発光層/電子輸送帯域/陰極
(2)陽極/正孔輸送帯域/発光層/電子輸送帯域/陰極
(「/」は各層が隣接して積層されていることを示す。)
電子輸送帯域は、通常、電子注入層及び電子輸送層から選択される1以上の層からなる。発光層と陰極との間の領域は、通常、この電子輸送帯域である。
正孔輸送帯域は、通常、正孔注入層及び正孔輸送層から選択される1以上の層からなる。
【0199】
本発明の一態様の有機EL素子の概略構成を、
図1を参照して説明する。
本発明の一態様に係る有機EL素子1は、基板2と、陽極3と、発光層5と、陰極10と、陽極3と発光層5との間にある正孔輸送帯域4と、発光層5と陰極10との間にある電子輸送帯域6とを有する。
【0200】
以下、本発明の一態様に係る有機EL素子で用いることができる部材、及び各層を構成する上記化合物以外の材料等について説明する。
【0201】
(基板)
基板は、発光素子の支持体として用いられる。基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチック等を用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。
【0202】
(陽極)
基板上に形成される陽極には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、及びグラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0203】
(正孔注入層)
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、芳香族アミン化合物、又は高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)等も使用できる。
【0204】
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用する事ができる。ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。尚、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0205】
(発光層のゲスト(ドーパント)材料)
発光層は、発光性の高い物質を含む層であり、種々の材料を用いることができる。例えば、発光性の高い物質としては、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。蛍光性化合物は一重項励起状態から発光可能な化合物であり、燐光性化合物は三重項励起状態から発光可能な化合物である。
発光層に用いることができる青色系の蛍光発光材料として、ピレン誘導体、スチリルアミン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フルオレン誘導体、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体等が使用できる。発光層に用いることができる緑色系の蛍光発光材料として、芳香族アミン誘導体等を使用できる。発光層に用いることができる赤色系の蛍光発光材料として、テトラセン誘導体、ジアミン誘導体等が使用できる。
発光層に用いることができる青色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体等の金属錯体が使用される。発光層に用いることができる緑色系の燐光発光材料としてイリジウム錯体等が使用される。発光層に用いることができる赤色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、白金錯体、テルビウム錯体、ユーロピウム錯体等の金属錯体が使用される。
【0206】
(発光層のホスト材料)
発光層のホスト化合物としては、上述したアントラセン誘導体の他、各種のものを用いることができ、上記のドーパント材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い化合物が好ましい。なお、ホスト化合物とは、通常、上記のドーパント材料を分散させるための材料を意味する。
上述したアントラセン誘導体以外のホスト化合物としては、例えば、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、若しくは亜鉛錯体等の金属錯体、2)オキサジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、若しくはフェナントロリン誘導体等の複素環化合物、3)カルバゾール誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、若しくはクリセン誘導体等の縮合芳香族化合物、4)トリアリールアミン誘導体、若しくは縮合多環芳香族アミン誘導体等の芳香族アミン化合物が使用される。
【0207】
上記の有機EL素子の発光層は、蛍光発光型の発光層、燐光発光型の発光層又は熱活性化遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence)機構を用いる発光層のいずれであってもよい。
また、上記の有機EL素子は、蛍光発光型、燐光発光型又は熱活性化遅延蛍光機構を用いる単色発光素子であっても、上記のハイブリッド型の白色発光素子であってもよいし、単独の発光ユニットを有するシンプル型であっても、複数の発光ユニットを有するタンデム型であってもよい。ここで、「発光ユニット」とは、一層以上の有機層を含み、そのうちの一層が発光層であり、注入された正孔と電子が再結合することにより発光することができる最小単位をいう。
【0208】
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層には、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、3)高分子化合物を使用することができる。
本発明の一態様に係る有機EL素子における、電子輸送帯域の第1の層以外の層が含みうる材料として、上記の化合物等が挙げられる。また、第1の層が上記第1の化合物及び第2の化合物以外の化合物を含む場合の含みうる材料として、上記の化合物等が挙げられる。
【0209】
一実施形態において、有機EL素子は、発光層側から、陰極に向けて、第1の層(「第1の電子輸送層」又は「正孔障壁層」ともいう)と第2の層(「第2の電子輸送層」ともいう)とをこの順に有する。
【0210】
一実施形態において、上記第2の層は、アルカリ金属を含む化合物、及び元素周期表における第13族に属する金属を含む化合物からなる群から選択される1以上の化合物を含む。このような化合物としては、例えば、フッ化リチウム、酸化リチウム、8-ヒドロキシキノリノラト-リチウム(Liq)、フッ化セシウム、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(Almq3)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)等が挙げられる。
【0211】
一実施形態において、第1の層と発光層との間に他の層を含まない。
一実施形態において、第1の層と第2の層との間に他の層を含まない。
【0212】
(電子注入層)
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、イッテルビウム(Yb)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、8-ヒドロキシキノリノラト-リチウム(Liq)等の金属錯体化合物、リチウム酸化物(LiOx)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。
【0213】
(陰極)
陰極には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、即ち、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、及びマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属及びこれらを含む合金等が挙げられる。
陰極は、通常、真空蒸着法やスパッタリング法で形成される。また、銀ペースト等を用いる場合は、塗布法やインクジェット法等を用いることができる。
【0214】
また、電子注入層が設けられる場合、仕事関数の大小に関わらず、アルミニウム、銀、ITO、グラフェン、ケイ素もしくは酸化ケイ素を含有する酸化インジウム-酸化スズ等、種々の導電性材料を用いて陰極を形成することができる。
【0215】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、各層の膜厚は特に制限されないが、一般にピンホール等の欠陥を抑制し、印加電圧を低く抑え、発光効率をよくするため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
【0216】
(有機EL素子の製造方法)
本発明の一態様に係る有機EL素子において、各層の形成方法は特に限定されない。従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等による形成方法を用いることができる。発光層等の各層は、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に溶かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
【0217】
一実施形態において、上記第1の層は、上述した条件1及び条件2を満たす第1の化合物及び第2の化合物を含む組成物によって形成してもよい。本実施形態の方法として、例えば、第1の化合物と第2の化合物を予め混合した後、同一蒸着源から蒸着して第1の層を成膜する方法が挙げられる。当該方法は、製造装置や製造工程を簡易化できるという利点がある。
【0218】
上記の実施形態において用いる組成物について説明する。
当該組成物における第1の化合物と第2の化合物との割合は特に制限はないが、一実施形態において、質量比(第1の化合物:第2の化合物)は、10:90~90:10の範囲内であり、例えば、10:90~70:30の範囲内、又は40:60~60:40の範囲内としてもよい。
【0219】
上記の組成物は、第1の化合物と第2の化合物以外の他の化合物を含んでもよいし、含まなくてもよい。他の化合物としては、上述した第1の層で説明した材料が挙げられる。
【0220】
一実施形態において、上記の組成物は実質的に前記第1の化合物と前記第2の化合物のみからなる。
「実質的に前記第1の化合物と前記第2の化合物のみからなる」とは、組成物中に他の化合物が全く含まれないか、又は、他の化合物が本発明の効果を損なわない範囲で微量含まれることを言う。例えば、不可避不純物として混入している場合は本状態である。
一実施形態において、上記の組成物における、第1の化合物と第2の化合物以外の他の化合物の含有量(総量)は、例えば、1質量%以下、0.5質量%以下、0.1質量%以下、又は0.01質量%以下である。
一実施形態において、上記の組成物は前記第1の化合物と前記第2の化合物のみからなる。
【0221】
上記の組成物における第1の化合物と第2の化合物との組み合わせは、上述した条件1及び条件2を満たす限り特に制限はなく、適宜組み合わせることができる。第1の化合物と第2の化合物との組み合わせの一例は、上述した本発明の一態様に係る有機EL素子で例示した「第1の化合物と第2の化合物との組み合わせの一例」の組合せ1から組合せ16の通りである。
【0222】
上記の組成物の形態は特に限定されず、例えば、固体、粉体等が挙げられ、ペレット状に成形されていてもよい。
【0223】
上記の組成物が粉体(混合粉体)である場合、一の粒子中に第1の化合物と第2の化合物が含まれてもよいし、第1の化合物からなる粒子と、第2の化合物からなる粒子との混合物であってもよい。
【0224】
粉体の製造方法は、従来知られた方法を採用することができる。例えば、第1の化合物と第2の化合物とを乳鉢等を用いて粉砕混合してもよいし、第1の化合物と第2の化合物とを容器等に入れ、化学的に不活性な環境で加熱した後、周囲温度まで冷却し、得られた混合物をミキサー等で粉砕して粉体を得てもよい。
【0225】
[電子機器]
本発明の一態様に係る電子機器は、本発明の一態様に係る有機EL素子を備えることを特徴とする。
電子機器の具体例としては、有機ELパネルモジュール等の表示部品、テレビ、携帯電話、又はパーソナルコンピュータ等の表示装置、及び、照明、又は車両用灯具等の発光装置等が挙げられる。
【実施例0226】
<化合物>
実施例及び比較例の有機EL素子の製造に用いた第1の化合物を以下に示す。
【化71】
【0227】
実施例及び比較例の有機EL素子の製造に用いた第2の化合物を以下に示す。
【化72】
【0228】
実施例及び比較例の有機EL素子の製造に用いた発光層のホスト化合物を以下に示す。
【化73】
【0229】
実施例及び比較例の有機EL素子の製造に用いた他の化合物の構造を以下に示す。
【化74】
【0230】
<化合物の評価>
第1の化合物、第2の化合物及びホスト化合物について、下記の測定方法により、電子親和力の評価を行った。結果を表1に示す。
【0231】
電子親和力Afは次式及び以下の式により算出した。
Af=-1.19×(Ere-Efc)-4.78eV
ここで、各符号は以下を意味する。
Ere:第一還元電位(DPV,Negative scan)
Efc:フェロセンの第一酸化電位(DPV,Positive scan),(ca.+0.55V vs Ag/AgCl)
酸化還元電位は、電気化学アナライザー(ALS社製:CHI630B)を用いて微分パルスボルタンメトリー(DPV)法で測定した。
溶媒としてN,N-dimethylformamide(DMF)を用い、サンプル濃度は1.0mmol/Lとした。支持電解質はtetrabuthylammmonium hexafluorophosphate(TBHP)(100mmol/L)を用いた。作用電極、対抗電極としては、それぞれglassy carbon,Ptを用いた。
(参考文献)M. E. Thompson,et.al.,Organic Electronics,6(2005),p.11-20,Organic Electronics,10(2009),p.515-520
【0232】
【0233】
実施例1
<有機EL素子の作製>
有機EL素子を以下のように作製した。
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック株式会社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は130nmとした。
洗浄後の透明電極付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極が形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HT及びHAを化合物HAの割合が3質量%となるように共蒸着し、膜厚10nmの第1正孔輸送層を成膜した。
第1正孔輸送層上に、化合物HTを蒸着し、膜厚80nmの第2正孔輸送層を成膜した。
第2正孔輸送層上に、化合物EBLを蒸着し、膜厚5nmの第3正孔輸送層を成膜した。
第3正孔輸送層上に化合物BH-1(ホスト材料)及び化合物BD(ドーパント材料)を、化合物BDの割合が4質量%となるように共蒸着し、膜厚25nmの発光層を成膜した。
発光層上に、化合物ETA-1及びETB-1を、ETB-1の割合が40質量%となるように共蒸着し、膜厚5nmの第1電子輸送層を形成した。
第1電子輸送層上に、化合物ET及び8-ヒドロキシキノリノラト-リチウム(Liq)を、Liqの割合が50質量%となるように共蒸着し、膜厚20nmの第2電子輸送層を形成した。
第2電子輸送層上に、金属Ybを蒸着して、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
電子注入層上に、金属Alを蒸着し、膜厚50nmの陰極を成膜した。
【0234】
実施例1の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次の通りである。
ITO(130)/HT:HA(10:3%)/HT(80)/EBL(5)/BH-1:BD(25:4%)/ETA-1:ETB-1(5:40%)/ET:Liq(20:50%)/Yb(1)/Al(50)
括弧内の数字は膜厚(単位:nm)を表す。また、括弧内においてパーセント表示された数字は、当該層における後者の化合物の割合(質量%)を示す。
【0235】
また、発光層のホスト化合物の電子親和力AfHと化合物ETA-1(第1の化合物)の電子親和力AfETAの差の絶対値(|AfH-AfETA|)、及びホスト化合物の電子親和力AfHとETB-1(第2の化合物)の電子親和力AfETBの差の絶対値(|AfH-AfETB|)を表2に示す。
【0236】
<有機EL素子の評価>
作製した有機EL素子について以下の評価を行った。結果を表2に示す。
・駆動電圧
有機EL素子の初期特性を、室温下、DC(直流)定電流10mA/cm2駆動で測定した。
・外部量子効率
電流密度が10mA/cm2となるように有機EL素子に電圧を印加し、EL発光スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)にて計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、外部量子効率EQE(%)を算出した。
【0237】
実施例2,3
第1電子輸送層における化合物ETA-1とETB-1との含有割合を表2に記載の通りに変更した以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0238】
実施例4
化合物ETA-1の代わりに化合物ETA-2を用いた以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0239】
実施例5,6
第1電子輸送層における化合物ETA-2とETB-1との含有割合を表2に記載の通りに変更した以外は実施例4と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0240】
比較例1~5
第1電子輸送層に使用する化合物と組成(含有割合)を表2に記載の通りとした以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0241】
【0242】
比較例1及び比較例2は、条件2を満たすが条件1を満たさない(すなわち、第1の化合物のアフィニティ絶対値がホストに対して大きすぎる)比較例である。
比較例3は、条件1を満たすが条件2を満たさない(すなわち、第2の化合物のアフィニティ絶対値がホストに対して小さすぎる)比較例である。
比較例4及び比較例5は、条件1と条件2のどちらも満たさない比較例である。
比較例1~5で得られた有機EL素子は、いずれも、実施例1~6で得られた有機EL素子と比較して、駆動電圧が高く、かつ効率が低い。このことから、上述した条件1及び条件2を同時に満たすことによって、より高性能な有機EL素子が得られることが分かる。
【0243】
<化合物の合成>
(合成実施例1)ETA-2の合成
下記合成経路で、化合物ETA-2を合成した。
【化75】
【0244】
(1-1)中間体1の合成
4,6-ジクロロ-2-フェニルピリミジン(15g)と(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-4-イル)ボロン酸(24g)をトルエン(888mL)及び1,2-ジメトキシエタン(444mL)に溶かし、テトラキス(卜リフエニルホスフィン)パラジウム(0)(3.1g)及び炭酸ナトリウム水溶液(2M、100mL)を加え、80℃にて21時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、トルエンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び懸濁洗浄にて精製し、白色固体である中間体1(16g、収率43%)を得た。
(1-2)化合物ETA-2の合成
中間体1(7.0g)と2-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ジベンゾフラン(4.9g)に1,2-ジメトキシエタン(69mL)を加えて撹拌した。これにPdCl2(Amphos)2(0.39g)と炭酸ナトリウム水溶液(2M、21mL)を加え、80℃にて6時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、析出した固体をろ取した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶にて精製し、白色固体(8.1g、収率82%)を得た。
得られた白色固体は、マススペクトル分析の結果、m/e=715であり、化合物ETA-2であった。