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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067500
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】セキュリティセンサ付きガラス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/719 20110101AFI20230509BHJP
   B60R 25/34 20130101ALI20230509BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01R13/719
B60R25/34
B60J1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178803
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】村上 亜砂美
(72)【発明者】
【氏名】門馬 利真
(72)【発明者】
【氏名】田中 慶
(72)【発明者】
【氏名】北出 聡太郎
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FB20
5E021FC19
5E021MA14
5E021MA18
5E021MB08
(57)【要約】
【課題】より生産性向上可能な構造のセキュリティセンサ付きガラスを提供する。
【解決手段】セキュリティセンサ付きガラス100は、導電パターン87が形成された窓ガラス86と、導電パターン87とシステム200とを互いに電気的に接続するコネクタハウジング82と、ノイズ除去用のインダクタ83と、コネクタハウジング82を支持しているとともにインダクタ83を固定しているベース20と、インダクタ83を覆う状態でベース20に取り付けられているインダクタケース60と、を有し、ケース部70には導電材の第1コネクタピン44と第2コネクタピン42とがインサート成形されており、インダクタ83は、磁性体であるEコア10と、Eコア10の両端の脚部にそれぞれ外挿されている第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aと、を備えて構成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電パターンが形成された窓ガラスと、前記窓ガラスに取り付けられ、前記導電パターンとシステムとを互いに電気的に接続するコネクタハウジングと、ノイズ除去用のインダクタと、前記コネクタハウジングを支持しているとともに前記インダクタを固定しているベースと、前記インダクタを覆う状態で前記ベースに取り付けられているインダクタケースと、を有するセキュリティセンサ付きガラスであって、
前記コネクタハウジングは、コネクタが差し込まれる中空部を有するケース部を備え、
前記ケース部には、それぞれ導電材である第1コネクタピンと第2コネクタピンとがインサート成形されており、
前記ベースには、それぞれ導電材である第1ターミナルピンと第2ターミナルピンとがインサート成形されており、
前記第1ターミナルピンは、前記導電パターンに電気的に接続されている第1端子部と当該第1端子部から起立している第1支持部とを当該第1ターミナルピンの一端部に有するとともに、第1コイル接続端子部を有し、
前記第2ターミナルピンは、前記導電パターンに電気的に接続されている第2端子部と当該第2端子部から起立している第2支持部とを当該第2ターミナルピンの一端部に有するとともに、第2コイル接続端子部を有し、
前記第1端子部、前記第1支持部、前記第1コイル接続端子部、前記第2端子部、前記第2支持部及び前記第2コイル接続端子部がそれぞれ前記ベースから露出しており、
前記インダクタは、磁性体であるEコアと、前記Eコアの両端の脚部にそれぞれ外挿されている第1空芯コイル及び第2空芯コイルと、を備えて構成されており、
前記第1空芯コイルの一方の端部は前記第1コネクタピンに電気的に接続されており、前記第1空芯コイルの他方の端部は前記第1コイル接続端子部に電気的に接続されており、
前記第2空芯コイルの一方の端部は前記第2コネクタピンに電気的に接続されており、前記第2空芯コイルの他方の端部は前記第2コイル接続端子部に電気的に接続されているセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項2】
前記コネクタハウジングは、当該コネクタハウジングの下面から下方に突出している複数の突起部を有し、
前記ベースの上面には、それぞれ前記突起部が挿入されている複数の凹部が形成されており、
前記第1ターミナルピンは、開口孔を有し、
少なくとも1つ以上の前記突起部が前記開口孔を貫通している請求項1に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項3】
前記複数の突起部のうちの2つ以上の突起部が水平方向における第1方向に並んで配置されている請求項2に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項4】
前記複数の突起部のうちの2つ以上の突起部が水平方向であって前記第1方向に対して直交する方向に並んで配置されている請求項3に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項5】
前記第1ターミナルピン及び前記第2ターミナルピンの各々は、前記ベースに埋設されている平板部を有し、
前記第1支持部と前記第2支持部との一方又は両方は、前記平板部から上方に起立している立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端から前記第1端子部又は前記第2端子部に向けて下方に折り返されている折返し部と、を有する請求項1から4のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項6】
前記第1ターミナルピンの前記平板部と前記第2ターミナルピンの平板部とが互いに同じ高さ位置に配置されている請求項5に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項7】
前記ケース部の天井部には、前記中空部に達する貫通孔が形成されている請求項1から6のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項8】
前記中空部内には、前記貫通孔の縁部から垂下していて前記コネクタと係合する凸部が形成されている請求項7に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項9】
前記コネクタは、本体部と、前記本体部の上端部に設けられており、前記ケース部を弾性的に付勢するバネ片と、を含み、
前記バネ片の上面には、それぞれ下方に向けて窪んでいる一対の溝部が形成されており、
前記バネ片の上面において、前記一対の溝部どうしの間には、上方に向けて凸の上面突起部が形成されており、
前記コネクタが前記ケース部に差し込まれた状態では、前記上面突起部は、前記貫通孔の内部に入り込む請求項7又は8に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項10】
前記Eコアの前記両端の脚部の各々と、前記Eコアの中央の脚部と、はそれぞれの軸方向に対して直交する横断面形状が矩形状の角柱状に形成されている請求項1から9のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項11】
前記Eコアは、前記両端の脚部の各々と、当該Eコアの中央の脚部と、がそれぞれ水平に延在するとともに互いに水平に並ぶ姿勢で配置されており、
前記両端の脚部の各々と前記中央の脚部とは、互いに同一の上下寸法に形成されている請求項1から10のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項12】
前記ベースは、水平方向において互いに並んで配置されている第1保持部及び第2保持部を有し、
前記第2保持部の上面には、下方に向けて窪んでいる収容凹部が形成されており、
前記収容凹部は、上方と、前記第1保持部側とは反対側と、に向けてそれぞれ開放しており、
前記収容凹部の内部に前記Eコア、前記第1空芯コイル及び前記第2空芯コイルが収容されている請求項1から11のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項13】
前記導電パターンは断線検出用パターンである請求項1から12のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【請求項14】
前記窓ガラスは車両用窓ガラスである請求項1から13のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティセンサ付きガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティセンサ付きガラスとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1の車両用ガラスモジュールは、導電パターンが形成された車両用窓ガラスと、車両用窓ガラスに取り付けられ、導電パターンと車両システムとを互いに電気的に接続するコネクタハウジングと、電気回路を搭載した回路基板と、回路基板上に実装されているチップインダクタと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-47473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者の検討によれば、特許文献1の車両用ガラスモジュールは、生産性を向上させる観点で、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、より生産性向上可能な構造のセキュリティセンサ付きガラスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、導電パターンが形成された窓ガラスと、前記窓ガラスに取り付けられ、前記導電パターンとシステムとを互いに電気的に接続するコネクタハウジングと、ノイズ除去用のインダクタと、前記コネクタハウジングを支持しているとともに前記インダクタを固定しているベースと、前記インダクタを覆う状態で前記ベースに取り付けられているインダクタケースと、を有するセキュリティセンサ付きガラスであって、
前記コネクタハウジングは、コネクタが差し込まれる中空部を有するケース部を備え、
前記ケース部には、それぞれ導電材である第1コネクタピンと第2コネクタピンとがインサート成形されており、
前記ベースには、それぞれ導電材である第1ターミナルピンと第2ターミナルピンとがインサート成形されており、
前記第1ターミナルピンは、前記導電パターンに電気的に接続されている第1端子部と当該第1端子部から起立している第1支持部とを当該第1ターミナルピンの一端部に有するとともに、第1コイル接続端子部を有し、
前記第2ターミナルピンは、前記導電パターンに電気的に接続されている第2端子部と当該第2端子部から起立している第2支持部とを当該第2ターミナルピンの一端部に有するとともに、第2コイル接続端子部を有し、
前記第1端子部、前記第1支持部、前記第1コイル接続端子部、前記第2端子部、前記第2支持部及び前記第2コイル接続端子部がそれぞれ前記ベースから露出しており、
前記インダクタは、磁性体であるEコアと、前記Eコアの両端の脚部にそれぞれ外挿されている第1空芯コイル及び第2空芯コイルと、を備えて構成されており、
前記第1空芯コイルの一方の端部は前記第1コネクタピンに電気的に接続されており、前記第1空芯コイルの他方の端部は前記第1コイル接続端子部に電気的に接続されており、
前記第2空芯コイルの一方の端部は前記第2コネクタピンに電気的に接続されており、前記第2空芯コイルの他方の端部は前記第2コイル接続端子部に電気的に接続されているセキュリティセンサ付きガラスを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より生産性向上可能な構造のセキュリティセンサ付きガラスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態におけるセキュリティセンサの斜視図である。
図2】実施形態におけるセキュリティセンサの分解斜視図である。
図3】実施形態におけるセキュリティセンサの斜視図である(ただしインダクタケースの図示を省略している)。
図4】実施形態におけるセキュリティセンサの平面図である(ただしインダクタケースの図示を省略している)。
図5】実施形態におけるセキュリティセンサの側面図である(ただしインダクタケースの図示を省略している)。
図6】実施形態におけるセキュリティセンサの下側から視た斜視図である(ただしインダクタケースの図示を省略している)。
図7図4に示すA-A線に沿った断面図である。
図8図4に示すB-B線に沿った断面図である。
図9】実施形態に係るセキュリティセンサ付きガラスの平面図である。
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1から図9を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。なお、図6において、コネクタ110の図示を省略している。
【0010】
図1から図9のいずれかに示すように、本実施形態に係るセキュリティセンサ付きガラス100は、導電パターン87(図9参照)が形成された窓ガラス86(図9参照)と、窓ガラス86に取り付けられ、導電パターン87とシステム200とを互いに電気的に接続するコネクタハウジング82と、ノイズ除去用のインダクタ83(図1及び図2参照)と、コネクタハウジング82を支持しているとともにインダクタ83を固定しているベース20と、インダクタ83を覆う状態でベース20に取り付けられているインダクタケース60と、を有する。
コネクタハウジング82は、コネクタ110(図1及び図2参照)が差し込まれる中空部76を有するケース部70を備えている。
ケース部70には、それぞれ導電材である第1コネクタピン44と第2コネクタピン42とがインサート成形されている。
ベース20には、それぞれ導電材である第1ターミナルピン56と第2ターミナルピン51とがインサート成形されている(図7等)。
第1ターミナルピン56は、導電パターン87に電気的に接続されている第1端子部59と当該第1端子部59から起立している第1支持部58とを当該第1ターミナルピン56の一端部に有するとともに、第1コイル接続端子部57を有する。
第2ターミナルピン51は、導電パターン87に電気的に接続されている第2端子部54と当該第2端子部54から起立している第2支持部53とを当該第2ターミナルピン51の一端部に有するとともに、第2コイル接続端子部52を有する。
第1端子部59、第1支持部58、第1コイル接続端子部57、第2端子部54、第2支持部53及び第2コイル接続端子部52がそれぞれベース20から露出している。
インダクタ83は、磁性体であるEコア10と、Eコア10の両端の脚部(本実施形態の場合、外脚部12)にそれぞれ外挿されている第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aと、を備えて構成されている(図4等)。
第1空芯コイル15bの一方の端部は第1コネクタピン44に電気的に接続されており、第1空芯コイル15bの他方の端部は第1コイル接続端子部57に電気的に接続されている。
第2空芯コイル15aの一方の端部は第2コネクタピン42に電気的に接続されており、第2空芯コイル15aの他方の端部は第2コイル接続端子部52に電気的に接続されている。
【0011】
本実施形態によれば、インダクタ83は、Eコア10と、第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aと、を備えて構成されている。このため、チップインダクタと回路基板とを用いる場合と比較して、セキュリティセンサ81の生産性を向上させることができる。すなわち、より生産性向上可能な構造のセキュリティセンサ付きガラス100を実現できる。
【0012】
以下の説明では、上下方向をZ方向と称する。下(下方)は、第1端子部59及び第2端子部54が配置されている側、すなわちセキュリティセンサ81の実装面側(窓ガラス86側)である。ただし、セキュリティセンサ付きガラス100の製造時や使用時における各部の位置関係(特に上下の位置関係)は、本明細書で説明する位置関係と必ずしも一致しない。
第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの各々の軸方向は、Z方向に対して直交する方向に延在している。第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの各々の軸方向をY方向と称し、Y方向における一方を前(前方)、他方を後(後方)と称する。
また、Y方向とZ方向との双方に対して直交する方向をX方向と称し、X方向における一方を左(左方)、他方を右(右方)と称する。
これらの方向については、各図に示している。
また、Z方向に対して直交する向き(方向)を水平(水平方向)と称し、Z方向に沿う向き(方向)を鉛直(鉛直方向)と称する。
また、セキュリティセンサ付きガラス100の各部の位置関係は、特に断りが無い限り、セキュリティセンサ付きガラス100の各部が相互に組み付けられてセキュリティセンサ付きガラス100が作製された状態での位置関係を説明したものである。
【0013】
本実施形態の場合、一例として、セキュリティセンサ81は、四輪自動車の車両用強化ガラスに取り付けられ、当該車両用強化ガラスが破砕した際に、導電パターン87が断線したことを検知する。
より詳細には、図9に模式的に示すように、窓ガラス86には、例えば、2つの導電パターン87が形成されている。そして、第1ターミナルピン56及び第2ターミナルピン51の各々が、対応する導電パターン87に対して実装される。第1ターミナルピン56及び第2ターミナルピン51の各々と、導電パターン87とは、例えば、半田(又は溶接)によって互いに電気的及び機械的に接続される。
窓ガラス86は、特に限定されないが、例えば、車両用窓ガラスである。また、窓ガラス86が車両用窓ガラスであれば、システム200は、以降、車両システム200とも称する。
セキュリティセンサ81は、特に限定されないが、例えば、断線検出用センサであり、導電パターン87は、特に限定されないが、例えば、窓ガラス86の断線検出用パターンである。また、車両システム200は、特に限定されないが、例えば、断線検出システムである。ただし、本発明において、セキュリティセンサ81、導電パターン87及び車両システム200の各々は、これらの例に限定されず、例えば、振動などのピッキング等の行為に起因する現象を検出するものでもよい。
また、インダクタ83(第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15a)は、ノイズ除去用のフィルタとなっている。インダクタ83が除去する(減衰させる)ノイズは、一例として、車両用アンテナ(不図示)が受信する、FM帯(76MHz~108MHz)、及びDAB(Digital Audio Broadcast) Band III(174MHz~240MHz)帯の電波等が対象になり得るが、これらのような放送波の周波数帯の電波に限らない。この他に、例えばノイズは、車両から不定期に発生する周波数帯の電波も挙げられるので、減衰させるべき周波数帯の電波に応じてインダクタ83の仕様を適宜、設計すればよい。
車両システム200とコネクタ110とは互いに電気的に接続されるように構成されている。図1等に示すように、コネクタハウジング82にコネクタ110が差し込まれることによって、セキュリティセンサ81を介して車両システムと200と導電パターン87とが互いに電気的に接続される。
【0014】
Eコア10は、例えば、いわゆるEコアであり、平面形状がE字状に形成されている(図4参照)。
Eコア10は、左右方向に延在している基部13と、基部13の両端部からそれぞれ前方に突出している左右一対の外脚部12と、基部13の中間部から前方に突出している中脚部14と、を備えている。本実施形態の場合、左右一対の外脚部12が、Eコアの両端の脚部である。したがって、左右一対の外脚部12の各々に、対応する第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの各々が外挿されている。
なお、基部13からの外脚部12及び中脚部14の突出方向は、第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの軸方向と同方向となっている。
基部13は、例えば、左右に長尺であるとともに、軸方向に対して直交する横断面形状が矩形状の角柱状に形成されている。ただし、基部13の横断面形状は特に限定されず、例えば、円柱状等であってもよい。
基部13において、軸回りに配置されている4面のうち2面は、それぞれ水平な上面及び下面であり、残りの2面のうち一方(以下、内面)は内方を向いており、他方(以下、外面)は外方を向いている。本実施形態の場合、基部13の内面がEコア10の内側面を構成しており、基部13の外側面がEコア10の外側面を構成している。
各外脚部12及び中脚部14は、例えば、前後に長尺であるとともに、軸方向に対して直交する横断面形状が矩形状の角柱状に形成されている。ただし、外脚部12及び中脚部14の各々の横断面形状は特に限定されず、例えば、円柱状等であってもよい。
外脚部12及び中脚部14の各々において、軸回りに配置されている4面のうち2面は、それぞれ水平な上面及び下面であり、残りの2面のうち一方は右方を向いており、他方は左方を向いている。
基部13、各外脚部12及び中脚部14は、例えば、互いに同一の上下寸法に設定されている。Eコア10において、基部13の上面と、外脚部12の上面及び中脚部14の上面と、は互いに面一に配置されている。すなわち、Eコア10における全体の上面は、平坦に形成されており、且つ、水平に配置されている。同様に、Eコア10において、基部13の下面と、外脚部12の下面及び中脚部14の下面と、は互いに面一に配置されている。すなわち、Eコア10における全体の下面は、平坦に形成されており、且つ、水平に配置されている。
【0015】
このように、例えば、Eコア10の両端の脚部(本実施形態の場合、外脚部12)の各々と、Eコア10の中央の脚部(本実施形態の場合、中脚部14)と、はそれぞれの軸方向に対して直交する横断面形状が矩形状の角柱状に形成されている。
また、Eコア10は、例えば、両端の脚部(外脚部12)の各々と、当該Eコア10の中央の脚部(中脚部14)と、がそれぞれ水平に延在するとともに互いに水平に並ぶ姿勢で配置されており、両端の脚部の各々と中央の脚部とは、互いに同一の上下寸法に形成されている。
【0016】
本実施形態の場合、図2に示すように、第1ターミナルピン56及び第2ターミナルピン51の各々は、ベース20に埋設されている平板部(本実施形態の場合、第1平板部56a、第2平板部51a)を有する。
図5図6及び図7等に示すように、第1支持部58と第2支持部53との一方又は両方は、平板部から上方に起立している立ち上がり部(本実施形態の場合、第2支持部53が有する立ち上がり部53b)と、立ち上がり部の上端から第1端子部59又は第2端子部54に向けて下方に折り返されている折返し部(本実施形態の場合、第2支持部53が有する折返し部53a)と、を有する。
このような構成によれば、立ち上がり部53bと折返し部53aとを有することによって、第2支持部53が弾性変形容易となるので、セキュリティセンサ81を窓ガラス86に実装する際の半田(又は溶接)の熱による熱応力を緩和できる。すなわち、窓ガラス86や第2空芯コイル15aに対して作用する応力を低減できる。更には、セキュリティセンサ付きガラス100に対して振動が加わった場合や、セキュリティセンサ81の周囲温度が高温となった場合等においても、第2支持部53は容易に弾性変形できるので、窓ガラス86や第2空芯コイル15aに対して作用する応力を低減できる。
【0017】
より詳細には、図2等に示すように、第1ターミナルピン56及び第2ターミナルピン51の各々は、例えば、銅板などの板状の金属部材である。
第1ターミナルピン56は、例えば、第1平板部56aと、第1コイル接続端子部57と、第1支持部58と、第1端子部59と、を有する。
また、第2ターミナルピン51は、例えば、第2平板部51aと、第2コイル接続端子部52と、第2支持部53と、第2端子部54と、を有する。
そして、第1支持部58と第2支持部53とのうち、第2支持部53が、立ち上がり部53bと折返し部53aとを有する。
ただし、本発明において、第1支持部58と第2支持部53とのうち、第1支持部58が、立ち上がり部と折返し部とを有していてもよいし、第1支持部58と第2支持部53との両方が、それぞれ立ち上がり部と折返し部とを有していてもよい。
【0018】
図2図7及び図8に示すように、第1平板部56aは、例えば、前後方向に長尺な形状に形成されている。第1支持部58は、例えば、第1平板部56aの前縁から第1端子部59に向けて垂下している。第1コイル接続端子部57は、例えば、第1平板部56aの後端から上方に起立している。
また、第1コイル接続端子部57は、例えば、平面視略L字状に形成されており、前後に延在している部分と、左右に延在している部分と、を含む。第1コイル接続端子部57の前端は、第1平板部56aと接続されており、第1コイル接続端子部57の右側端部は、上方に起立している。
【0019】
より詳細には、第1平板部56aは、例えば、水平に配置されている。そして、第1ターミナルピン56は、第1支持部58と第1端子部59との境界において板面が折り曲げられており(例えば90度折り曲げられており)、第1支持部58と第1平板部56aとの境界においても板面が折り曲げられている(例えば90度折り曲げられている)。更に、第1平板部56aと第1コイル接続端子部57との境界においても板面が折り曲げられている(例えば、90度折り曲げられている)。これにより、第1支持部58は、第1平板部56a及び第1端子部59の各々に対して直交している。また、第1平板部56aは、第1端子部59よりも上方に配置されている。
【0020】
第2平板部51aは、例えば、平面視略L字状に形成されており、前後に延在している部分と、左右に延在している部分と、を含む。立ち上がり部53bは、第2平板部51aの後端から上方に起立しており、折返し部53aは、立ち上がり部53bの上端から第2端子部54に向けて下方に折り返されている。第2コイル接続端子部52は、例えば、第2平板部51aの左側端から上方に起立している。
また、第2コイル接続端子部52も、例えば、平面視略L字状に形成されており、前後に延在している部分と、左右に延在している部分と、を含む。第2コイル接続端子部52の前端は、第2平板部51aと接続されており、第2コイル接続端子部52の左側端部は、上方に起立している。
【0021】
より詳細には、第2平板部51aは、例えば、水平に配置されている。そして、第1ターミナルピン56は、第2支持部53と第2端子部54との境界において板面が折り曲げられており(例えば90度折り曲げられており)、第2支持部53と第2平板部51aとの境界においても板面が折り曲げられている(例えば90度折り曲げられている)。更に、立ち上がり部53bと折返し部53aとの境界部において板面が折り曲げられている(例えば180度折り曲げられている)。これにより、第2支持部53(立ち上がり部53b及び折返し部53a)は、第2平板部51a及び第2端子部54の各々に対して直交している。
図7等に示すように、立ち上がり部53bの上縁と折返し部53aの上縁とは、互いに略同等の高さ位置に配置されている一方で、立ち上がり部53bの下縁は、折返し部53aの下縁よりも上方に配置されている。したがって、第2平板部51aは、第2端子部54よりも上方に配置されている。
また、第2平板部51aと第2コイル接続端子部52との境界においても板面が折り曲げられている(例えば、90度折り曲げられている)。
【0022】
このように、本実施形態の場合、第1平板部56a、第1コイル接続端子部57、第1支持部58及び第1端子部59は、折り曲げ形成された第1ターミナルピン56の一部分ずつにより構成されている。同様に、第2平板部51a、第2コイル接続端子部52、第2支持部53(折返し部53a及び立ち上がり部53b)及び第2端子部54は、折り曲げ形成された第2ターミナルピン51の一部分ずつにより構成されている。
【0023】
更に、図7及び図8に示すように、第1ターミナルピン56の第1支持部58の下縁の高さ位置は、第2ターミナルピン51の第2支持部53の下縁の高さ位置(折返し部53aの下縁の高さ位置)と略同等に設定されている。したがって、第1端子部59と第2端子部54とは互いに略同等の高さ位置に配置されている。
また、第1ターミナルピン56の第1支持部58の上縁の高さ位置は、第2ターミナルピン51の第2支持部53の下縁の高さ位置(立ち上がり部53bの下縁の高さ位置)と略同等に設定されている。したがって、第1ターミナルピン56の第1平板部56aと第2ターミナルピン51の第2平板部51aとが互いに同じ高さ位置に配置されている。
【0024】
第1ターミナルピン56は、例えば、その全体が均一な肉厚に形成されている。同様に、第2ターミナルピン51は、例えば、その全体が均一な肉厚に形成されている。更に、第1ターミナルピン56と第2ターミナルピン51とは、例えば、互いに同等の肉厚に形成されている。
【0025】
図2図3及び図4に示すように、ベース20は、例えば、水平方向において互いに並んで配置されている第1保持部36及び第2保持部31を有する。
より詳細には、本実施形態の場合、ベース20は、前側に配置されている第1保持部36と、後側に配置されている第2保持部31と、第1保持部36と第2保持部31とを相互に連結している連結部35と、を備えている。なお、図6においては、ベース20を二点鎖線で示している。
第1保持部36は、例えば、前後に長尺で、且つ、左右寸法よりも上下寸法が小さい略平板状に形成されている。
第2保持部31は、例えば、略直方体形状に形成されている。第2保持部31の前側の部分の左右幅寸法は、当該第2保持部31の後側の部分の左右幅寸法よりも小さい寸法に設定されている。
第2保持部31の上面には、下方に向けて窪んでいる収容凹部32が形成されている。収容凹部32は、例えば、上方と、第1保持部36側とは反対側(本実施形態の場合、後方)と、に向けてそれぞれ開放している。収容凹部32の内部にEコア10、第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aが収容されている。また、収容凹部32の底面には、上方に起立した複数の位置決め突起が形成されており、これらの複数の位置決め突起によって、収容凹部32に対するEコア10の位置決めを容易に行うことができる。
連結部35は、例えば、左右に長尺で、且つ、上下寸法よりも前後寸法が小さい略平板状に形成されている。連結部35の上端部の一部分は、面取形状となっている。
【0026】
図4に示すように、第1保持部36の左右幅寸法は、例えば、連結部35の左右幅寸法及び第2保持部31の左右幅寸法の各々よりも大きい寸法に設定されている。第2保持部31の最大左右幅寸法は、連結部35の左右幅寸法よりも大きい寸法に設定されている。
また、第1保持部36の前後寸法は、例えば、連結部35の前後寸法及び第2保持部31の前後寸法の各々よりも大きい寸法に設定されている。第2保持部31の前後寸法は、例えば、連結部35の前後寸法よりも大きい寸法に設定されている。
【0027】
上述のように、第1ターミナルピン56及び第2ターミナルピン51の各々は、ベース20にインサート成形されている。これにより、セキュリティセンサ81の構造的強度を向上できる。
より詳細には、図6等に示すように、第1ターミナルピン56の第1平板部56aにおける前端部を除く部分は、第1保持部36と、連結部35と、第2保持部31と、に亘って埋設されている。また、第1コイル接続端子部57における上端部を除く部分は、第2保持部31に埋設されている。一方、第1平板部56aの前端部、第1支持部58及び第1端子部59は、例えば、第1保持部36の前面から外部に露出している。また、第1コイル接続端子部57の上端部は、第2保持部31の右側面から外部に露出している。
図7等に示すように、第2ターミナルピン51の第2平板部51aの後端部を除く部分は、第2保持部31に埋設されている。また、第2コイル接続端子部52における上端部を除く部分は、第2保持部31に埋設されている。一方、第2平板部51aの後端部、第2支持部53及び第2端子部54は、例えば、第2保持部31の後面から外部に露出している。また、第2コイル接続端子部52の上端部は、第2保持部31の左側面から外部に露出している。
【0028】
また、図6図7及び図8に示すように、ベース20において、第1ターミナルピン56と第2ターミナルピン51とは互いに離間した状態で埋設されている。これにより、第1ターミナルピン56と第2ターミナルピン51とは互いに電気的に分離されている。
【0029】
図1図2及び図7等に示すように、インダクタケース60は、例えば、前方及び下方に向けてそれぞれ開放している中空の略直方体形状に形成されている。
より詳細には、インダクタケース60は、例えば、第2保持部31の上方を覆う天面部61を備えている。より詳細には、インダクタケース60は、天面部61の後縁部から下方に延出している後面部62と、天面部61の側周縁部からそれぞれ下方に延出している左右一対の側面部63と、を有する。
天面部61は、例えば、平坦な平板状に形成されており、水平に配置されている。左右一対の側面部63の各々は、平坦な平板状に形成されており、鉛直に配置されている。
【0030】
本実施形態の場合、インダクタケース60は、例えば、第2保持部31の上端部を覆うよう当該第2保持部31に対して装着されている。より詳細には、図7及び図8等に示すように、天面部61は、第2保持部31の上方を覆っており、左側の側面部63は、第2保持部31の左側面を覆っており、右側の側面部63は、第2保持部31の右側面を覆っている。
【0031】
左側の側面部63の内面は、第2保持部31の左側面に対して面接触している。右側の側面部63の内面は、第2保持部31の右側面に対して面接触している。これにより、インダクタケース60が、第2保持部31を左右に挟持した状態で当該第2保持部31に対して装着(嵌入)されている。
ただし、インダクタケース60と第2保持部31とは、例えば、不図示の接着剤や接着テープ等によって互いに固定されていてもよい。
また、インダクタケース60の後面部62には、例えば、当該後面部62を前後に貫通する切欠形状部が形成されている。図7に示すように、第2ターミナルピン51の第2支持部53及び第2端子部54は、切欠形状部を介してインダクタケース60の外部に露出している。
【0032】
図1図2及び図7等に示すように、ケース部70は、例えば、前方に向けて開放している開口70bを有するとともに、前後に長尺な略直方体形状に形成されている。コネクタ110がコネクタハウジング82に差し込まれる際には、当該コネクタ110は開口70bからケース部70の中空部76に挿入される。
より詳細には、ケース部70は、例えば、天井部71に加えて、天井部71の後縁部から下方に延出している後面部72と、天井部71の側周縁部からそれぞれ下方に延出している左右一対の側面部73と、ケース部70の下端を閉塞している底面部74と、を有する。
天井部71及び後面部72の各々は、例えば、平坦な平板状に形成されており、水平に配置されている。左右一対の側面部73の各々は、平坦な平板状に形成されており、鉛直に配置されている。
【0033】
ここで、本実施形態の場合、ケース部70の天井部71には中空部76に達する貫通孔70aが形成されている。更には、中空部76内には、貫通孔70aの縁部から垂下していてコネクタ110と係合する凸部71aが形成されている。
貫通孔70aが天井部71に形成されているので、凸部71aがコネクタ110と係合しているかどうかを容易に視認できる。
より詳細には、貫通孔70aは、天井部71を上下に貫通している。貫通孔70aは、例えば、天井部71の前方部に形成されている。平面視において、貫通孔70aは、略矩形状に形成されている。
本実施形態の場合、中空部76内には、前後一対の凸部71aが形成されている。より詳細には、前後一対の凸部71aの各々は、貫通孔70aを間に挟んで前後に並んで配置されている。図7に示すように、前後一対の凸部71aの各々は、天井部71の下面から下方に突出しているとともに、前後に延在している。
前側の凸部71aの後端部を除く部分の厚み寸法は、例えば、前方に向けて徐々に縮小している。また、前側の凸部71aの後端面は、例えば、下方に向けて後側に徐々に変位するように傾斜している。同様に、貫通孔70aの前端面は、例えば、下方に向けて後側に徐々に変位するように傾斜している。
【0034】
ここで、コネクタハウジング82は、当該コネクタハウジング82の下面から下方に突出している複数の突起部75を有する。
ベース20の上面には、それぞれ突起部75が挿入されている複数の凹部37が形成されている。
また、第1ターミナルピン56は、第1平板部56aを上下に貫通している開口孔56bを有する。そして、図6及び図7に示すように、少なくとも1つ以上の突起部75が開口孔56bを貫通している。
このような構成によれば、ベース20とコネクタハウジング82とを相互に組み付ける際に、突起部75を対応する凹部37に挿入することによって、ベース20に対するコネクタハウジング82の位置決めを容易にできる。
更には、少なくとも1つ以上の突起部75が開口孔56bを貫通しているので、第1ターミナルピン56と突起部75との互いの干渉を抑制し、ベース20とコネクタハウジング82とを所望の位置関係で相互に組み付けできる。
【0035】
より詳細には、本実施形態の場合、複数(例えば、4つ)の突起部75は、ケース部70の底面部74の下面から下方に突出している。各突起部75は、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。
複数(例えば、4つ)の凹部37は、例えば、第1保持部36の上面に形成されている。各凹部37は、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。
各凹部37は、突起部75と対応した形状及び位置に形成されており、1つずつの凹部37に対して対応する突起部75が挿入されている。
より詳細には、各突起部75は、例えば、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されている。各突起部75の外径は、下方に向けて徐々に縮径している
各凹部37も、例えば、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されており、各凹部37の内径は、下方に向けて徐々に縮径している。
【0036】
また、図7に示すように、一例として、4つの突起部75のうち、2つの突起部75が開口孔56bを貫通している。
より詳細には、開口孔56bを貫通している2つの突起部75は、例えば、底面部74の下面において前後方向に並んで配置されており、このうち前側の突起部75は当該下面の中間部(前後方向における中間)に位置しており、後側の突起部75は当該下面の後方部に位置している。
残りの2つの突起部75は、例えば、底面部74の下面の前方部において、左右方向に並んで配置されており、当該突起部75どうしの間には、第1平板部56aの前端部が配置されている。
同様に、第1保持部36の上面において、例えば、2つの凹部37が前後方向に並んで配置されており、このうち前側の凹部37は当該上面の中間部(前後方向における中間)に位置しており、後側の凹部37は当該上面の後方部に位置している。
残りの2つの凹部37は、例えば、第1保持部36の上面の前方部において、左右方向に並んで配置されている。
また、一例として、開口孔56bは、例えば、第1ターミナルピン56において、第1平板部56aの中央部に形成されている。開口孔56bは、平面視において、前後に長尺なオーバル形状に形成されている。そして、第1保持部36において、前後に並んで配置された2つの凹部37が、開口孔56bを貫通している。
【0037】
このように、本実施形態の場合、複数の突起部75のうちの2つ以上の突起部75が水平方向における第1方向に並んで配置されている。また、本実施形態の場合、複数の突起部75のうちの2つ以上の突起部75が水平方向であって第1方向に対して直交する方向に並んで配置されている。
【0038】
ベース20とケース部70とを相互に組み付ける際には、各突起部75は、対応する1つずつの凹部37の内部に挿入される。この状態において、第1保持部36の上面と底面部74の下面とは互いに面接触している。また、各突起部75の外周面と、対応する凹部37の内周面とは、接着剤を介して互いに接合されている。ただし、本発明において、第1保持部36の上面と底面部74の下面とについても、接着剤を介して互いに接合されていてもよい。
また、本実施形態の場合、後面部72と底面部74との境界部は、連結部35の上端部一部分の面取形状と対応した形状(すなわち面取形状)となっており、当該境界部と連結部35の上端部の一部分とは、互いに係合している。
また、ケース部70の左右幅寸法は、第1保持部36の左右幅寸法と略同等の寸法に設定されている。ケース部70の前後寸法は、第1保持部36の前後寸法と連結部35の前後寸法との合計値よりも僅かに小さい寸法に設定されている。これにより、底面部74の下面の全体が、ベース20の上面(第1保持部36の上面及び連結部35の上端面の一部分)に対して面接触している。
【0039】
上述のように、ケース部70には、それぞれ導電材である第1コネクタピン44と第2コネクタピン42とがインサート成形されている。これにより、第1コネクタピン44と第2コネクタピン42との構造的強度を十分に確保できる。
本実施形態の場合、第1コネクタピン44と第2コネクタピン42とは、互いに左右対称形状に形成されている。
より詳細には、第1コネクタピン44は、例えば、平面視略L字状に形成されており、前後に延在している第1部分45と、当該第1部分45の後端から右方に突出している第2部分46と、を含む。第2部分46の先端部は、上方に起立している。
同様に、第2コネクタピン42は、例えば、平面視略L字状に形成されており、第1部分45と、当該第1部分45の後端から左方に突出している第2部分46と、を含む。第2部分46の先端部は、上方に起立している。
【0040】
図8に示すように、本実施形態の場合、各第1部分45が、ケース部70の後面部62を前後に貫通した状態でインサート成形されている。
より詳細には、各第1部分45の前端部は、後面部62の前面よりも前方に位置しており、ケース部70の中空部76内に配置されている。そして、各第1部分45の端部が後述するコネクタ110の内部に挿入される。これにより、コネクタ110と第1コネクタピン44及び第2コネクタピン42とが電気的に接続される。
また、各第1部分45の中間部は、ケース部70の後面部72に埋設されている。
一方、図4等に示すように、各第1部分45の後端部及び第2部分46は、後面部62の後面から後方に向けて突出しており、ケース部70の中空部76の外部に配置されている。そして、各第2部分46の上端部には、対応するコイル(第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15a)の他端部が固定されている。
また、本実施形態の場合、ケース部70において、第1コネクタピン44と第2コネクタピン42とは互いに離間した状態で埋設されている。これにより、第1コネクタピン44と第2コネクタピン42とは互いに電気的に分離されている。
【0041】
上述のように、インダクタ83は、第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aを備えている。
図2に示すように、第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの各々は、それぞれ巻線によって構成されている。第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの各々は、巻線を巻回することにより形成された巻回部16を含む。
そして、図3及び図4に示すように、第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの各々の一方の端部が、それぞれ対応するコネクタピン42、44に電気的に接続されている。一例として、第1空芯コイル15bの一方の端部が、巻回部16から引き出され第1コネクタピン44の第2部分46の上端部に対して絡げられ、半田91(又は溶接、圧着による加締め等)によって固定されている。同様に、第2空芯コイル15aの一方の端部が、巻回部16から引き出され第2コネクタピン42の第2部分46の上端部に対して絡げられ、半田91(又は溶接、圧着による加締め等)によって固定されている。
また、第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの各々の他方の端部が、それぞれ対応するコイル接続端子部52、57に電気的に接続されている。より詳細には、第1空芯コイル15bの他方の端部が、巻回部16から引き出され第1コイル接続端子部57の上端部に対して絡げられ、半田91(又は溶接、圧着による加締め等)によって固定されている。同様に、第2空芯コイル15aの他方の端部が、巻回部16から引き出され第2コイル接続端子部52の上端部に対して絡げられ、半田91(又は溶接、圧着による加締め等)によって固定されている。
【0042】
図4等に示すように、本実施形態の場合、第1空芯コイル15bは、右側の外脚部12に外挿され、第2空芯コイル15aは、左側の外脚部12に外挿されている。これにより、第1空芯コイル15bと第2空芯コイル15aとの間に中脚部14が配置される構成となるので、第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの各々の周囲に生じる磁気結合の度合を適度に弱められる。すなわち、所望のインダクタ83の特性を実現できる。
【0043】
図1図2及び図7等に示すように、コネクタ110は、本体部115と、本体部115の上端部に設けられており、ケース部70を弾性的に付勢するバネ片120と、を含む。
本体部115は、例えば、一方向に長尺な略直方体形状に形成されている。
そして、本体部115の長手方向とケース部70の中空部76の長手方向とが互いに一致した状態で、コネクタ110は、コネクタハウジング82に差し込まれる。
また、本体部115には、対応する第1コネクタピン44及び第2コネクタピン42それぞれが差し込まれる左右一対の挿入孔131が形成されている。左右一対の挿入孔の各々は、本体部115を前後に貫通している。
バネ片120は、例えば、前後に延在しており、当該バネ片120の後端部が支持されている片持ち式の構造である。バネ片120の長手方向における中間部は、ケース部70の凸部71aに対して接触して当該凸部71aを付勢する。
より詳細には、バネ片120の上面には、下方に向けて窪んだ一対の溝部125(本実施形態の場合、前後一対の溝部125)が形成されており、各溝部125に対して1つずつのケース部70の凸部71aが係合する。そして、溝部125の底面と凸部71aとの接触箇所においてコネクタ110がケース部70を上方に付勢する力が生じるようにバネ片120は傾斜している。本実施形態の場合、バネ片120の前側の部分は、前方に向けて上り傾斜している。
更に、本実施形態の場合、バネ片120の上面において、一対の溝部125どうしの間には、上方に向けて凸の上面突起部126が形成されている。図7に示すように、コネクタ110がケース部70に差し込まれている状態において、上面突起部126は、貫通孔70aの内部に入り込んでいる。
このような構成によれば、前後方向においてコネクタ110がケース部70に対して相対的に変位してしまうことを規制できる。
【0044】
コネクタ110をケース部70に差し込む際には、バネ片120は、ケース部70の天井部71の下面によって押し下げられ、前方に向けて上り傾斜している状態から、前方に向けて下り傾斜している状態に弾性変形する。そして、上面突起部126が貫通孔70aに達するまでコネクタ110がケース部70に対して差し込まれると、バネ片120は弾性復元し、各溝部125に対応する凸部71aが係合する。
ここで、本実施形態の場合、前後一対の溝部125どうしの間に配置されている上面突起部126の後端面は、下方に向けて徐々に後側に変位している傾斜面となっている。このため、コネクタ110をケース部70に差し込む際に、バネ片120は、上面突起部126の傾斜面に沿って後側の凸部71aによって後方に向けてスムーズに案内される。
更に、本実施形態の場合、上面突起部126の前端面は、鉛直面となっている一方で、上述のように前側の凸部71aの後端面は下方に向けて徐々に後側に変位している傾斜面となっている。このため、突起部の前端面と前側の凸部71aの後端面とによって、前後方向におけるケース部70に対するコネクタ110の相対変位をより確実に規制できる。
また、バネ片120の最前端部には、バネ片120に対する押圧操作を受け付ける押圧部122が設けられている。
コネクタ110をケース部70から取り外す際には、バネ片120の弾性力に抗して押圧部122を下方に押圧することにより、溝部125に対する凸部71aの係合を解除する。この状態を維持しつつ、コネクタ110をケース部70から引き抜くことによって、コネクタ110をケース部70から取り外すことができる。
【0045】
図3に示すように、コネクタ110がケース部70に差し込まれている状態において、右側の挿入孔131には、第1コネクタピン44の第1部分45の前端部が挿入され、左側の挿入孔131には、第2コネクタピン42の第1部分45の前端部が挿入される。また、本体部115の後端面は、例えば、ケース部70の後面部72の前面と近接又は面接触している。
また、バネ片120の押圧部122及び本体部115の前端部の各々は、ケース部70の開口70bから当該ケース部70の外部に露出している。
【0046】
Eコア10は、その全体が磁性材料によって一体成形されている。
ベース20(第2保持部31及び第1保持部36)は、例えば、その全体が樹脂等の絶縁材料により一体成形されている。
インダクタケース60は、例えば、その全体が樹脂等の絶縁材料によって一体成形されている。
ケース部70は、例えば、その全体が樹脂等の絶縁材料によって一体成形されている。
コネクタ110は、例えば、その全体が樹脂等の絶縁材料によって一体成形されている。
【0047】
セキュリティセンサ81の組み立ては、例えば、以下のように実施できる。
【0048】
先ず、第1ターミナルピン56と第2ターミナルピン51とがインサート成形されたベース20を準備する。同様に、第1コネクタピン44及び第2コネクタピン42の各々がインサート成形されたケース部70を準備する。また、第1空芯コイル15bを、Eコア10の左側の外脚部12に外挿し、第2空芯コイル15aをEコア10の右側の外脚部12に外挿する。
次に、ベース20とケース部70とを相互に組み付ける。より詳細には、ベース20の各凹部37の内部に接着剤を塗布する。そして、ケース部70の各突起部75を、対応する凹部37に挿入する。
次に、第1空芯コイル15b及び第2空芯コイル15aの各々が外挿されたEコア10を、第2保持部31の収容凹部32内に配置する。そして、例えば、Eコア10の前端面を、接着剤等によって収容凹部32の内面に対して固定する。
続いて、第1空芯コイル15bの一方の端部と第1コネクタピン44との電気的及び機械的な接合と、第1空芯コイル15bの他方の端部と第1コイル接続端子部57との電気的及び機械的な接合と、を行う。同様に、第2空芯コイル15aの一方の端部と第2コネクタピン42との電気的及び機械的な接合と、第2空芯コイル15aの他方の端部と第2コイル接続端子部52との電気的及び機械的な接合と、を行う。
こうして、セキュリティセンサ81が得られる。
【0049】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0050】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)導電パターンが形成された窓ガラスと、前記窓ガラスに取り付けられ、前記導電パターンとシステムとを互いに電気的に接続するコネクタハウジングと、ノイズ除去用のインダクタと、前記コネクタハウジングを支持しているとともに前記インダクタを固定しているベースと、前記インダクタを覆う状態で前記ベースに取り付けられているインダクタケースと、を有するセキュリティセンサ付きガラスであって、
前記コネクタハウジングは、コネクタが差し込まれる中空部を有するケース部を備え、
前記ケース部には、それぞれ導電材である第1コネクタピンと第2コネクタピンとがインサート成形されており、
前記ベースには、それぞれ導電材である第1ターミナルピンと第2ターミナルピンとがインサート成形されており、
前記第1ターミナルピンは、前記導電パターンに電気的に接続されている第1端子部と当該第1端子部から起立している第1支持部とを当該第1ターミナルピンの一端部に有するとともに、第1コイル接続端子部を有し、
前記第2ターミナルピンは、前記導電パターンに電気的に接続されている第2端子部と当該第2端子部から起立している第2支持部とを当該第2ターミナルピンの一端部に有するとともに、第2コイル接続端子部を有し、
前記第1端子部、前記第1支持部、前記第1コイル接続端子部、前記第2端子部、前記第2支持部及び前記第2コイル接続端子部がそれぞれ前記ベースから露出しており、
前記インダクタは、磁性体であるEコアと、前記Eコアの両端の脚部にそれぞれ外挿されている第1空芯コイル及び第2空芯コイルと、を備えて構成されており、
前記第1空芯コイルの一方の端部は前記第1コネクタピンに電気的に接続されており、前記第1空芯コイルの他方の端部は前記第1コイル接続端子部に電気的に接続されており、
前記第2空芯コイルの一方の端部は前記第2コネクタピンに電気的に接続されており、前記第2空芯コイルの他方の端部は前記第2コイル接続端子部に電気的に接続されているセキュリティセンサ付きガラス。
(2)前記コネクタハウジングは、当該コネクタハウジングの下面から下方に突出している複数の突起部を有し、
前記ベースの上面には、それぞれ前記突起部が挿入されている複数の凹部が形成されており、
前記第1ターミナルピンは、開口孔を有し、
少なくとも1つ以上の前記突起部が前記開口孔を貫通している(1)に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(3)前記複数の突起部のうちの2つ以上の突起部が水平方向における第1方向に並んで配置されている(2)に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(4)前記複数の突起部のうちの2つ以上の突起部が水平方向であって前記第1方向に対して直交する方向に並んで配置されている(3)に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(5)前記第1ターミナルピン及び前記第2ターミナルピンの各々は、前記ベースに埋設されている平板部を有し、
前記第1支持部と前記第2支持部との一方又は両方は、前記平板部から上方に起立している立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端から前記第1端子部又は前記第2端子部に向けて下方に折り返されている折返し部と、を有する(1)から(4)のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(6)前記第1ターミナルピンの前記平板部と前記第2ターミナルピンの平板部とが互いに同じ高さ位置に配置されている(5)に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(7)前記ケース部の天井部には、前記中空部に達する貫通孔が形成されている(1)から(6)のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(8)前記中空部内には、前記貫通孔の縁部から垂下していて前記コネクタと係合する凸部が形成されている(7)に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(9)前記コネクタは、本体部と、前記本体部の上端部に設けられており、前記ケース部を弾性的に付勢するバネ片と、を含み、
前記バネ片の上面には、それぞれ下方に向けて窪んでいる一対の溝部が形成されており、
前記バネ片の上面において、前記一対の溝部どうしの間には、上方に向けて凸の上面突起部が形成されており、
前記コネクタが前記ケース部に差し込まれた状態では、前記上面突起部は、前記貫通孔の内部に入り込む(7)又は(8)に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(10)前記Eコアの前記両端の脚部の各々と、前記Eコアの中央の脚部と、はそれぞれの軸方向に対して直交する横断面形状が矩形状の角柱状に形成されている(1)から(9)のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(11)前記Eコアは、前記両端の脚部の各々と、当該Eコアの中央の脚部と、がそれぞれ水平に延在するとともに互いに水平に並ぶ姿勢で配置されており、
前記両端の脚部の各々と前記中央の脚部とは、互いに同一の上下寸法に形成されている(1)から(10)のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(12)前記ベースは、水平方向において互いに並んで配置されている第1保持部及び第2保持部を有し、
前記第2保持部の上面には、下方に向けて窪んでいる収容凹部が形成されており、
前記収容凹部は、上方と、前記第1保持部側とは反対側と、に向けてそれぞれ開放しており、
前記収容凹部の内部に前記Eコア、前記第1空芯コイル及び前記第2空芯コイルが収容されている(1)から(11)のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(13)前記導電パターンは断線検出用パターンである(1)から(12)のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
(14)前記窓ガラスは車両用窓ガラスである(1)から(13)のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ付きガラス。
【符号の説明】
【0051】
10 Eコア
12 外脚部
13 基部
14 中脚部
15a 第2空芯コイル
15b 第1空芯コイル
16 巻回部
20 ベース
31 第2保持部
35 連結部
36 第1保持部
37 収容凹部
42 第2コネクタピン
44 第1コネクタピン
45 第1部分
46 第2部分
51 第2ターミナルピン
51a 第2平板部
52 第2コイル接続端子部
53 第2支持部
53a 折返し部
53b 立ち上がり部
54 第2端子部
56 第1ターミナルピン
56a 第1平板部
56b 開口部
57 第1コイル接続端子部
58 第1支持部
59 第1端子部
60 インダクタケース
61 天面部
62 後面部
63 側面部
70 ケース部
70a 貫通孔
70b 開口
71 天井部
71a 凸部
72 後面部
73 側面部
74 底面部
75 突起部
76 中空部
81 セキュリティセンサ
82 コネクタハウジング
83 インダクタ
86 窓ガラス
87 導電パターン
91 半田
100 セキュリティセンサ付きガラス
110 コネクタ
120 バネ部
122 押圧部
131 凹部
200 システム(車両システム)
図1
図2
図3
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図7
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図9