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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067696
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】運搬システム、及び運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/04 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
B61B13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037660
(22)【出願日】2022-03-11
(62)【分割の表示】P 2021178449の分割
【原出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】521477145
【氏名又は名称】遠藤 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 啓太
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で広範囲の領域の状況把握が可能な運搬システムを提供する。
【解決手段】運搬システムは、IoTデバイスを搭載して運搬する運搬システムであって、走行面が壁面と反対側に向くように壁面に設置されるレールと、レールに沿って走行する運搬台車と、を備え、運搬台車は、レールの走行面に接地して走行する2つの車輪と、車輪を走行方向に離間させて支持する車台と、を備え、車輪は、断面円形の胴部と、胴部の円周方向に沿って配置され、レールの走行面に吸着可能な磁石と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IoTデバイスを搭載して運搬する運搬システムであって、
走行面が壁面と反対側に向くように前記壁面に設置されるレールと、
前記レールに沿って走行する運搬台車と、を備え、
前記運搬台車は、
前記レールの走行面に接地して走行する2つの車輪と、
前記車輪を走行方向に離間させて支持する車台と、を備え、
前記車輪は、
断面円形の胴部と、
前記胴部の円周方向に沿って配置され、前記レールの走行面に吸着可能な磁石と、を備える
運搬システム。
【請求項2】
IoTデバイスを搭載して運搬する運搬システムであって、
第1の走行面が壁面側を向き、第2の走行面が反対側に向くように壁面に設置されるレールと、
前記レールに沿って走行する運搬台車と、を備え、
前記運搬台車は、
前記レールの第1の走行面に接地して走行する第1の車輪と、
前記レールの第2の走行面に接地して走行する第2の車輪と、
前記第1の車輪および前記第2の車輪を走行方向に離間させて支持する車台と、を備え、
前記第1の車輪および前記第2の車輪は、
断面円形の胴部と、
前記胴部の円周方向に沿って配置され、前記レールの走行面に吸着可能な磁石と、を備える
運搬システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の運搬システムであって、
前記車輪は、前記胴部の軸方向の両側に、前記レールの側面に対向する規制板を備える
運搬システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の運搬システムであって、
前記車台は、前記車輪の下方に配置され、前記車輪の軸に下方から接続する駆動部を備える
運搬システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の運搬システムであって、
前記レールの両側面を挟持する2つのローラーと、前記2つのローラーを離間させて支持する支持部を有し、前記運搬台車に接続される落下防止部を備える
運搬システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の運搬システムであって、
前記運搬台車は、前記車台の下面に前記IoTデバイスを着脱可能に搭載する
運搬システム。
【請求項7】
IoTデバイスを搭載して運搬する運搬台車であって、
走行面が壁面と反対側に向くように前記壁面に設置されたレールの前記走行面に接地して走行する少なくとも2つの車輪と、
前記車輪を走行方向に離間させて支持する車台と、を備え、
前記車輪は、
断面円形の胴部と、
前記胴部の円周方向に沿って配置され、前記レールの走行面に吸着可能な磁石と、を備える
運搬台車。
【請求項8】
IoTデバイスを搭載して運搬する運搬台車であって、
第1の走行面が壁面側を向き、第2の走行面が壁面の反対側に向くように前記壁面に設置されるレールの、前記第1の走行面に接地して走行する第1の車輪と、
前記レールの第2の走行面に接地して走行する第2の車輪と、
前記第1の車輪および前記第2の車輪を走行方向に離間させて支持する車台と、を備え、
前記第1の車輪および前記第2の車輪は、
断面円形の胴部と、
前記胴部の円周方向に沿って配置され、前記レールの走行面に吸着可能な磁石と、を備える
運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬システム、及び運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラは、屋外だけでなく、屋内においても利用のニーズがあり、屋内に設置できる監視カメラ装置がある。例えば、店舗や屋内駐車場などの屋内の監視カメラ装置は、天井に回動可能に取り付けられ、モーターにより所定の角度範囲で回動し、撮影を行っている。特許文献1に記載の監視カメラ装置は、天井面のような接地面に固定されるベースに着脱自在に結合される半球状のカバーを備えている。半球状のカバー内にガイドレールが形成され、ガイドレールに沿ってカメラが走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-268390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の監視カメラ装置では、カメラ自体が走行するのは、半球状のカバー内のみであるため、所定の狭い領域の状況しか把握することができない。
【0005】
一方、近年普及しているカメラを搭載した小型ドローンは、飛び回ることができるので、屋内の広い範囲の撮影に使用することができる。しかしながら、飛行の不安定さ、飛行の騒音など、屋内での使用には適さない。
【0006】
本発明は、上記の問題を鑑み、簡易な構造で広範囲の領域の状況把握が可能な運搬システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも1つを解決するものであるが、その例を挙げるならば、次のとおりである。すなわち、本発明の一態様に係る運搬システムは、IoTデバイスを搭載して運搬する運搬システムであって、走行面が壁面と反対側に向くように前記壁面に設置されるレールと、前記レールに沿って走行する運搬台車と、を備え、前記運搬台車は、前記レールの走行面に接地して走行する2つの車輪と、前記車輪を走行方向に離間させて支持する車台と、を備え、前記車輪は、断面円形の胴部と、前記胴部の円周方向に沿って配置され、前記レールの走行面に吸着可能な磁石と、を備える。
【0008】
または、運搬システムは、IoTデバイスを搭載して運搬する運搬システムであって、第1の走行面が壁面側を向き、第2の走行面が反対側に向くように壁面に設置されるレールと、前記レールに沿って走行する運搬台車と、を備え、前記運搬台車は、前記レールの第1の走行面に接地して走行する第1の車輪と、前記レールの第2の走行面に接地して走行する第2の車輪と、前記第1の車輪および前記第2の車輪を走行方向に離間させて支持する車台と、を備え、前記第1の車輪および前記第2の車輪は、断面円形の胴部と、前記胴部の円周方向に沿って配置され、前記レールの走行面に吸着可能な磁石と、を備えるものであってもよい。
【0009】
前記車輪は、前記胴部の軸方向の両側に、前記レールの側面に対向する規制板を備えていてもよい。
【0010】
前記車台は、前記車輪の下方に配置され、前記車輪の軸に下方から接続する駆動部を備えていてもよい。
【0011】
前記レールの両側面を挟持する2つのローラーと、前記2つのローラーを離間させて支持する支持部を有し、前記運搬台車に接続される落下防止部を備えていてもよい。
【0012】
前記運搬台車は、前記車台の下面に前記IoTデバイスを着脱可能に搭載してもよい。
【0013】
または、運搬台車は、IoTデバイスを搭載して運搬する運搬台車であって、走行面が壁面と反対側に向くように前記壁面に設置されたレールの前記走行面に接地して走行する少なくとも2つの車輪と、前記車輪を走行方向に離間させて支持する車台と、を備え、前記車輪は、断面円形の胴部と、前記胴部の円周方向に沿って配置され、前記レールの走行面に吸着可能な磁石と、を備えるものであってもよい。
【0014】
あるいは、運搬台車は、IoTデバイスを搭載して運搬する運搬台車であって、第1の走行面が壁面側を向き、第2の走行面が壁面の反対側に向くように前記壁面に設置されるレールの、前記第1の走行面に接地して走行する第1の車輪と、前記レールの第2の走行面に接地して走行する第2の車輪と、前記第1の車輪および前記第2の車輪を走行方向に離間させて支持する車台と、を備え、前記第1の車輪および前記第2の車輪は、断面円形の胴部と、前記胴部の円周方向に沿って配置され、前記レールの走行面に吸着可能な磁石と、を備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構造で広範囲の領域の状況把握が可能な運搬システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る運搬システムの概略構成例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る運搬システムの設置例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る運搬台車のカーブの走行例を説明する図である。
図4】第1実施形態の変形例に係る運搬システムに用いられる運搬台車の概略構成例を示す図である。
図5】第1実施形態の変形例に係る運搬システムに用いられる運搬台車の概略構成例を示す図である。
図6】第2実施形態に係る運搬システムの概略構成例を示す図である。
図7】第2実施形態の変形例に係る運搬システムに用いられる運搬台車の概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態の例について、図面を参照して説明する。なお、下記実施形態および変形例において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、本願において、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る運搬システム1の概略構成例を示している。図1(a)は、レール2及び運搬台車3の平面図、図1(b)は、レール2及び運搬台車3の正面図、図1(c)は、レール2及び運搬台車3の左側面図を示している。また、図2は、運搬システム1の設置例、図3は、第1実施形態に係る運搬台車3のカーブの走行例を示している。図3(a)は、運搬台車3がレール2のカーブの内周を移動する際の車輪の位置、図3(b)は、運搬台車3がレール2のカーブの外周を移動する際の車輪の位置を示している。
【0019】
本実施形態に係る運搬システム1は、IoT(Internet of Things)デバイス6を搭載して運搬する運搬台車3が壁面7に取り付けられたレール2に沿って走行することで広範囲の画像等のデータを取得できるものである。運搬システム1は、レール2と、運搬台車3と、を備えている。
【0020】
レール2は、図1および図2に示すように、運搬台車3に搭載されるIoTデバイス6が管理対象または監視対象となる領域のデータを収集可能に壁面7に敷設される。レール2は、取付面21と、走行面22と、側面23と、を有し、走行面22が壁面7と反対側に向くように壁面7に設置されている。レール2は、断面矩形の板状をしている。レール2は、板状の広い面の一方が取付面21であり、反対側が走行面22であり、取付面21と走行面22を繋ぐように側面23を有している。レール2は、取付面21が壁面7から延びる支柱71に取り付けられている。レール2は、角を有する壁面7部分では、曲線に形成されている。壁面7の角に併せてレール2を直角に形成すると後述する車輪4が走行不能になる場合があるため、レール2は、角のない曲線形状としている。レール2は、車輪4の磁石42が吸着するよう磁性体から形成される。レール2は、車輪4の磁石42が吸着できれば、走行面22のみ磁性体から形成されるなど、吸着部分以外はプラスチックや木材などの非磁性体であってもよい。
【0021】
運搬台車3は、2つの車輪4と、車台5と、を備えている。
【0022】
車輪4は、レール2の走行面22に接地して走行する。車輪4は、断面円形の胴部41と、胴部41の円周方向に沿って配置される磁石42と、胴部41の軸方向の両側に設けられた規制板43と、後述するモーターと接続する軸44と、を有している。
【0023】
胴部41は、断面円形の柱状をしている。胴部41は、円柱の平面部分に軸44を備え、レール2の走行面22に沿って回転する。
【0024】
磁石42は、胴部41の円柱面の略全面に設けられる。磁石42は、レール2の走行面22に吸着する。レール2に吸着し、車輪4が走行できれば、磁石42は、円柱面の略中央部分など部分的に設けられていてもよい。
【0025】
規制板43は、胴部41の円柱の平面部分の両側に設けられ、円盤状をしている。規制板43は、胴部41がレール2に接地する際にレール2の側面23(レール2の板状の狭い面)に対向するように設けられている。
【0026】
磁石42がレール2の走行面22に吸着した状態で胴部41が回転し、かつ、規制板43がレール2の側面23に対向して胴部41の上下動を抑制することにより、車輪4はレール2から外れることなく、レール2の走行面22をレール方向に安定して走行することができる。
【0027】
車台5は、駆動部51と、基部52と、を備えている。車台5は、車輪4の下方に配置され、2つの車輪4を運搬台車3の走行方向に離間して支持する。
【0028】
駆動部51は、車輪4の軸44に下方から接続されている。具体的には、駆動部51は、モーター511を基部52上に保持する。そして、駆動部51のモーター511は、車輪4の軸44に接続され車輪4が回転し車台5が移動するための駆動力を与える。モーター511は、小型のDCモーター等を用いることができる。モーター511の出力軸と軸44は、直接的に接続されていてもよいし、例えば、歯車、プーリー、又はベルト等の動力伝達機構を介して接続されていてもよい。
【0029】
基部52は、駆動部51の下方に配置され、各駆動部51、すなわち2つの駆動部51と接続している2つの車輪4を、レール2方向(運搬台車3の走行方向)に離間して支持している。基部52は、車輪4および駆動部51を支持することができ、壁面7に干渉しなければどのような形状であってもよく、例えば、本実施形態では、略長方形をしている。
【0030】
車台5には、図示しないコントローラ、無線通信部、及びバッテリーが搭載される。コントローラは、各モーター511の動作(回転方向、回転速度など)を制御する。コントローラは、例えば、あらかじめ記憶された制御指令を実行することによりモーター511の動作を制御してもよいし、無線通信部を介して外部のコンピュータ装置やリモートコントローラから制御指令を受け付けて実行することによりモーター511の動作を制御してもよい。バッテリーは、各モーター511、コントローラ、および無線通信部に電源を供給する。バッテリーとしては、例えば、繰り返し充電可能な二次電池や、放電が一回だけの一次電池が用いられる。なお、これらのコントローラ、無線通信部、及びバッテリーの少なくとも一つは、後述するIoTデバイス6に一体化されたり共有されたりしてもよい。
【0031】
IoTデバイス6は、図示しないセンサーと、制御部と、無線通信部と、バッテリーとを備えている。なお、本実施形態では、IoTデバイス6は、センサーの機能と、インターネットに接続してクラウドや他のコンピュータと情報をやり取りする機能とが一つの機器に含まれているものを意味している。
【0032】
センサーは、管理対象範囲の環境情報の検知を行う。センサーは、欲しい情報が取得できればよく、例えば、画像センサー(すなわちカメラ)、温度センサー、照度センサー、湿度センサーなどを用いる。制御部は、センサーの制御を行う。また、無線通信部は、外部とのデータのやり取りや制御情報のやり取りを行う。IoTデバイスは、公知の種々のセンサー、制御部、および無線通信部を任意に用いて情報の取得および外部とのやり取りを行う。
【0033】
次に、本実施形態に係る運搬システム1の動作について説明する。運搬台車3の車台5の下面にIoTデバイス6を着脱可能に取り付ける。IoTデバイス6は、車台5から着脱可能に取り付けられていればどのような方法で取り付けられていてもよく、例えばIoTデバイス6を箱形のケースに入れ、ケースを車台5の基部52にねじ、剥離可能なテープ等により取り付けてもよい。
【0034】
IoTデバイス6を取り付けた運搬台車3をレール2に取り付ける。車輪4の胴部41がレール2の走行面22に接地するように取り付けると、胴部41の磁石42がレール2の磁性体に吸着する。運搬台車3の駆動部51の無線通信部にリモートコントローラ等で起動の信号を送ることにより、駆動部51のモーター511が起動し、車輪4が回転する。運搬台車3は、レール2の走行面22に沿って走行する。前進、後進、速度調整などが可能であることは言うまでもない。壁面7の角部分でレール2がカーブを有している場合、運搬台車3は、内回りでは図3(a)のように、外回りでは図3(b)のように走行し、停止したり、落下したりすることなく走行することができる。外回りでは、基部52の上方で2つの駆動部51および車輪4の間に、レール2のカーブ部分が入り込み、車台5に干渉することはない。
【0035】
プログラムにより運搬台車3がレール2の始点から終点を往復するようにしておけば、常時、IoTデバイス6により、管理対象内の必要な情報を得ることができる。例えば、温度センサーを備えていれば、管理対象内の各ポイントの温度が設定温度になっているか、温度が変わっている場合は、どの箇所で変化が起こっているのか等を把握することができる。また、画像センサーを備えていれば、移動型の監視カメラとして使用することができる。もちろん、レール2を環状に設置すれば、運搬台車3を循環走行させることもできる。
【0036】
以上、本実施形態について説明した。本実施形態によれば、簡易な構造で広範囲の領域の状況把握が可能な運搬システム1を提供することができる。本実施形態に係る運搬システム1に用いられる運搬台車3は、レール2の走行面22に装着され、車輪4の胴部41の外周に設けられた磁石42により簡単に着脱をすることができる。また、簡易構造のレール2を自由なレイアウトで設置することができるので、レール2に沿って運搬台車3が移動することで、広範囲のデータを取得することができる。また、地上からでは得られないデータを取得することができ、ドローンのように衝突したり落下したりする恐れが少ない。
【0037】
なお、本実施形態では、レール2が磁性体、車輪4が磁石42を備える例を示したが、レール2が磁石を備え、車輪4が磁性体または磁石を備えるものであってもよい。
【0038】
<変形例>
図4は、第1実施形態の変形例に係る運搬システム1に用いられる運搬台車3aの概略構成例を示している。図5は、運搬システム1に用いられる運搬台車の概略構成例を示す図である。図5では、車輪4および駆動部51を省略した左側面図を示している。本変形例では、運搬台車3aは、落下防止部8を備え、レール2からの落下を防ぐことができるようになっている。
【0039】
運搬台車3aは、運搬台車3aに接続される落下防止部8を備えている。落下防止部8は、車輪4がレール2に沿って走行する際に、走行方向にローラー81が回転し、後述するワイヤー823を介して車台5の移動に追従する構造をしている。落下防止部8は、レール2の両側面23を挟持する2つのローラー81と、2つのローラー81を離間させて支持する支持部82と、を有している。
【0040】
ローラー81は、レール2の両側面23に配置される。ローラー81は、断面円形の胴部811と、胴部811の軸方向の両側に設けられた規制板812と、一端が支持部82に支持されている軸813と、を備えている。胴部811は、断面円形の柱状をしている。胴部811は、円柱の平面部分に軸813を備え、レール2の側面23に沿って回転する。規制板812は、胴部811の円柱の平面部分の両側に設けられ、断面台形の錐体状をしている。規制板812は、胴部811がレール2の側面23に接地する際にレール2の取付面21および走行面22に対向するように設けられている。規制板812が胴部811側から外方に向かって広がる形状をしていることで、レール2の曲線を容易に走行することができる。
【0041】
支持部82は、ローラー支持部821と、接続部822と、ワイヤー823と、を備えている。ローラー支持部821は、レール2の両側面23に配置されたローラー81を支持する。
【0042】
接続部822は、ローラー支持部821の下方に設けられ、ワイヤー823が取り付けられている。接続部822のワイヤー823の一端は、運搬台車3aの車台5の基部52に接着等により接続される。なお、車台5と落下防止部8の接続手段は、ワイヤー823に限定されず、例えば、紐、線ばね、板バネ、取り付け金具などであってもよい。
【0043】
落下防止部8は、2つのローラー81によりレール2の上下の側面23からレール2を挟むように配置されるため、レール2から離脱(脱線)しにくくなっている。落下防止部8を運搬台車3aに取り付けることで、仮に車輪4がレール2から離脱しても運搬台車3が落下するのを防止することができる。
【0044】
なお、本変形例のローラー81は、胴部811に磁石を有していないが、胴部811は、全周に磁石を有していてもよい。胴部811が磁石を有することで、レール2の側面23に吸着し、より効果的に離脱を防止することができる。
【0045】
<第2実施形態>
図6は、本実施形態の第2実施形態の運搬システム1bの概略構成例を示している。図6(a)は、レール2bに運搬台車3bを取り付けた状態の平面図、図6(b)は、レール2bに運搬台車3bを取り付ける前の状態の平面図、図6(c)は、左側面図を示している。本実施形態では、レール2bに、第1の走行面221、および第2の走行面222の2面が設けられ、車輪9の一方が第1の走行面221、および車輪9の他方が第2の走行面222を走行する点が第1実施形態と異なる。車輪9の構造は、第1実施形態の車輪4と同じである。
【0046】
レール2bは、第1レール24と第2レール25とを備え、第1レール24が第1の走行面221を有し、第2レール25が第2の走行面222を有している。レール2bは、第1の走行面221が壁面7側を向き、第2の走行面222が反対側に向くように壁面7に設置されている。レール2bは、側面視において、略H字形状をしている。レール2bは、壁面7から延びる支柱71の取付部72が第1レール24及び第2レール25の間に設けられている。第1レール24及び第2レール25の間に取付部72を設けることで、支柱71をレール2bの第1の走行面221および第2の走行面222、上下の側面223、車輪9などに干渉しない位置に取り付けることができる。
【0047】
車輪9は、第1の走行面221に接地する第1の車輪91と、第2の走行面222に接地する第2の車輪92を備えている。第1の車輪91および第2の車輪92は、レール2bに接地した状態で、レール2bを挟むように配置されている。車台5bの駆動部51bは、第1の車輪91および第2の車輪92の下部に設けられる。本実施形態では、第1実施形態と異なり2つの車輪9(第1の車輪91および第2の車輪92)のモーター511bの回転方向は逆となる。基部52bは、駆動部51bの下部に設けられる。IoTデバイス6は、車台5bの下部に取り付けられる。
【0048】
運搬台車3bは、図6(b)に示すように、まず、第1の車輪91および第2の車輪92が第1の走行面221及び第2の走行面222から離れる方向(図6(b)で反時計回り)に回転させた状態で、レール2bの下に配置する。それから、第1の車輪91および第2の車輪92が第1の走行面221および第2の走行面222に接近する方向(図6(b)で時計回り)に回転させる。第1の走行面221に第1の車輪91が、第2の走行面222に第2の車輪92が接地し、運搬台車3bがレール2bに取り付けられる(図6(a)参照)。運搬台車3bをレール2bから取り外す際は、取付作業と反対の動作を行えばよい。
【0049】
本実施形態によれば、運搬台車3bをレール2bに簡易に取り付け及び取り外しできる運搬システム1bが提供される。本実施形態では、第1の走行面221に第1の車輪91が、第2の走行面222に第2の車輪92が、レール2bを挟むように取り付けられるため、運搬台車3bの走行が安定するとともに、レール2bから離脱しにくくなる。
【0050】
<変形例>
図7は、第2実施形態の変形例に係る運搬システム1bに用いられる運搬台車3cの概略構成例を示している。図7(a)は、平面図、図7(b)は、正面図、図7(c)は、車輪9および駆動部51を省略した左側面図を示している。本変形例では、運搬台車3cは、落下防止部8を備えており、レール2bからの落下を防ぐことができるようになっている。
【0051】
本変形例の落下防止部8は、第1実施形態の変形例の落下防止部8と同様に、レール2bの第1レール24または第2レール25の両側面223を挟持する2つのローラー81と、2つのローラーを離間させて支持する支持部82と、を有している。また、支持部82は、ローラー支持部821と、接続部822と、ワイヤー823と、を備えている。
【0052】
本変形例では、落下防止部8は、第2レール25の両側面223を2つのローラー81が挟持するように配置されている。もちろん、落下防止部8は、第1レール24の両側面223を2つのローラー81が挟持するように配置されてもよい。
【0053】
落下防止部8を運搬台車3cに取り付けることで、運搬台車3cのレール2bからの落下を防止することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態および変形例について説明したが、上記した実施形態および変形例は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を容易に想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態および変形例に限定されるものではない。特許請求の範囲に限定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【0055】
なお、本発明は、IoTデバイスに限らず様々な機器や物品の運搬に使用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1、1b:運搬システム、2、2b:レール、3、3a、3b、3c:運搬台車、4、:車輪、5、5b:車台、6:IoTデバイス、7:壁面、8:落下防止部、9:車輪、21:取付面、22:走行面、23:側面、41:胴部、42:磁石、43:規制板、44:軸、51、51b:駆動部、52、52b:基部、71:支柱、72:取付部、81:ローラー、82:支持部、221:第1の走行面、222:第2の走行面、223:側面、511:モーター、811:胴部、812:規制板、821:ローラー支持部、822:接続部、823:ワイヤー
図1
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図3
図4
図5
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図7