(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067722
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】アイプレートモジュール
(51)【国際特許分類】
B63B 25/22 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
B63B25/22
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092938
(22)【出願日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】110140436
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516299062
【氏名又は名称】台鍛工業股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FORMOSA FORGES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】謝榮▲コアン▼
(57)【要約】
【課題】現有の欠点を解決できるアイプレートモジュールを提供する。
【解決手段】底壁11とピンホール121を有し底壁11に接続されている一対の枢設部12とオープン槽13とを備える取り付けユニット10と、ピンホール121に着脱できる軸ピン20と、軸孔311を有する中間部31と一側が円弧になる第1の長孔323を有し中間部31の一側に接続している第1のウイング部材32と一側が円弧になる第2の長孔333を有し中間部31の他側に接続している第2のウイング部材33とを備える板状のアイプレート30と、を備え、軸孔311と第1の長孔323と第2の長孔333とは、一つの平面が通過する位置に位置し且つ軸孔311の中心と第1の長孔323の前記円弧を画成する円心との距離が軸孔311の中心と第2の長孔333の前記円弧を画成する円心との距離と同じになるように開けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、それぞれが同一の中軸線に沿って同軸的に開けられているピンホールを有し、且つ該中軸線において互いに間隔があいているように前記底壁に接続されている一対の枢設部と、前記一対の枢設部の間にあって前記一対の枢設部と前記底壁とにより画成するオープン槽と、を備える取り付けユニットと、
前記一対の枢設部にそれぞれある前記ピンホールに着脱できるように貫設されている軸ピンと、
前記オープン槽において前記軸ピンに回動可能に枢設されており、且つ、前記軸ピンが貫設されている軸孔を有する中間部と、前記中間部の一側に接続している第1のウイング部材と、前記中間部の前記一側の他側に接続している第2のウイング部材と、を備える板状のアイプレートと、を備え、
前記第1のウイング部材は、前記中間部に接続している第1の接続端部と、前記第1の接続端部側と反対する側に形成されている第1の末端部と、前記第1の接続端部と前記第1の末端部との間に一側が円弧になるように開けられている第1の長孔と、を有し、
前記第2のウイング部材は、前記中間部に接続している第2の接続端部と、前記第2の接続端部側と反対する側に形成されている第2の末端部と、前記第2の接続端部と前記第2の末端部との間に、前記第1の長孔の前記一側に対応する側が円弧になるように開けられている第2の長孔と、を有し、
前記軸孔と前記第1の長孔と前記第2の長孔とは、一つの平面が通過する位置に位置し、且つ、前記軸孔の中心と前記第1の長孔の前記円弧を画成する円心との距離が前記軸孔の中心と前記第2の長孔の前記円弧を画成する円心との距離と同じになるように開けられていることを特徴とするアイプレートモジュール。
【請求項2】
前記アイプレートは、
前記取り付けユニットの前記底壁に近い底縁と、
前記底縁側と反対する側にある頂縁と、
前記第1のウイング部材の前記底縁と前記頂縁とを連接している第1の側縁と、
前記第2のウイング部材の前記底縁と前記頂縁とを連接している第2の側縁と、を備え、
前記第1の長孔と前記第2の長孔とのそれぞれの前記底縁と前記頂縁との間にある長軸長さは、前記第1の側縁と前記第2の側縁との間にある短軸長さより長いことを特徴とする請求項1に記載のアイプレートモジュール。
【請求項3】
前記アイプレートの前記軸孔は、前記中軸線に沿って前記ピンホールと同軸的に開けられており、
前記第1の長孔及び前記第2の長孔は、それぞれの前記長軸における両端側にそれぞれ第1の円弧中心線を円心として形成されていて前記円弧とする第1の円弧と、第2の円弧中心線を円心として形成されている第2の円弧と、があり、各前記第1の円弧中心線は、前記中軸線と共に前記平面に延伸しており、
且つ、前記第1の長孔と前記第2の長孔とは、前記第1の長孔の前記長軸と前記第2の長孔の前記長軸とが互いに平行するように開けられていることを特徴とする請求項2に記載のアイプレートモジュール。
【請求項4】
前記第1の長孔と前記第2の長孔とは、前記平面と平行しながら、各前記第1の円弧の端縁に接する接平面である第1の基準面と、前記平面及び前記第1の基準面と平行しながら、各前記第2の円弧の端縁に接する接平面である第2の基準面と、が定義できるように開けられていることを特徴とする請求項3に記載のアイプレートモジュール。
【請求項5】
前記取り付けユニットの前記底壁は、前記オープン槽に向う側の反対側にある第1の当接面を備え、
前記一対の枢設部は、前記中軸線と交差しながら前記第1の当接面に対して傾斜しないように前記第1の当接面から延伸する延伸面に対する角度である傾斜角が40°~50°の範囲内にあるように延伸している延長線に沿って形成されていることを特徴とする請求項4に記載のアイプレートモジュール。
【請求項6】
前記取り付けユニットの前記一対の枢設部のそれぞれは、前記アイプレートの設置位置を示すための識別部を備え、
前記アイプレートの前記第1のウイング部材は、前記識別部に対応して形成されている指示部を備えることを特徴とする請求項4に記載のアイプレートモジュール。
【請求項7】
前記取り付けユニットの前記底壁は、前記第1の当接面と約L字形になるように形成されている第2の当接面と、前記第1の当接面と前記第2の当接面とを繋いでいる線状の角部と、を更に備え、
前記角部は、前記頂縁側からみると、前記中軸線に対して斜めに延伸していることを特徴とする請求項5に記載のアイプレートモジュール。
【請求項8】
前記取り付けユニットの前記底壁は、前記中軸線と略直交する断面が約逆L字形になるように前記オープン槽へ突出しているブロックを備え、
前記アイプレートの前記底縁は、前記ブロックが進入でき、且つ前記ブロックに対応しながら、前記中心線と略直交する断面が約逆L字形になるように形成されている凹み部を備えることを特徴とする請求項4に記載のアイプレートモジュール。
【請求項9】
前記取り付けユニットの前記底壁は、前記ブロック側の反対側にあって、平面に形成されている底面を更に備えることを特徴とする請求項8に記載のアイプレートモジュール。
【請求項10】
前記取り付けユニットの前記一対の枢設部は、前記中軸線と交差しながら前記底面に対する角度である傾斜角が40°~50°の範囲内にあるように延伸している延長線に沿って形成されていることを特徴とする請求項9に記載のアイプレートモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを固縛する固縛装置に関し、特に固縛装置に使用するアイプレートモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
貨物船に積載されたコンテナは複数層に積み重ねられるので、貨物船の進行中の揺れによるコンテナの移動や荷崩れなどを防止するために、例えば特許文献1~特許文献3に開示される固縛装置を複数個用いて、コンテナを甲板または船橋を利用してコンテナを固縛する。
【0003】
図1及び
図2に示されるように、一般の貨物船の甲板または船橋には、複数のアイプレート1(Eye Plate)を溶接固定するための複数の固定座2が設置されている。複数のアイプレート1のそれぞれは、固定座2の頂面及び2つの側面に溶接されており、複数のアイプレート1のそれぞれには複数の円形孔101が形成されている。複数のコンテナ縛り装置4は、アイプレート1に枢設できるものであり、且つ、アイプレート1に枢設されているターンバックル(Turnbuckle)5と、長さを調整できるようにターンバックル5に螺接しているラッシングロッド(Lashing Rod)6とを備える。ラッシングロッド6は、コンテナ7のコンテナ角701(Corner Casting Of Container)に掛けられてコンテナ7の位置を固定することができる。
【0004】
また、
図1及び
図2に示されるように、使用する際、コンテナ縛り装置4のターンバックル5は、軸ピン501を用いてアイプレート1の円形孔101に枢設され、コンテナ縛り装置4の一端が貨物船の甲板または船橋に固定され、コンテナ縛り装置4の他端においては、ラッシングロッド6の留め部601がコンテナ7のコンテナ角701に予め開けられている留め穴に設置されることにより、コンテナ7を安定に固定する目的を達成できる。
【0005】
アイプレート1とコンテナ縛り装置4とにより、コンテナ7を固定する目的を達成できるが、
図3及び
図4に示されるように、輸送中に風波の影響により、船体に衝撃力F(
図3の実線矢印に示される)が作用した時に、コンテナ7が反対方向へ傾く(
図3の点線矢印に示される)ようになり、ラッシングロッド6がコンテナ7に引っ張られると、船体が衝撃を受ける時に緩衝がないので、
図4に示されるように、コンテナ7やラッシングロッド6が引き裂かれて破壊されやすい。更に、コンテナ7やコンテナ縛り装置4の破損によりコンテナ7を引っ張る力がなくなると、段積みされたコンテナ7が傾いて崩れやすく(
図4の左側に参照)、コンテナ7の損壊や貨物の損失が起こる。
【0006】
また、2つのラッシングロッド6がアイプレート1に枢設される時に、2つのラッシングロッド6の間の隙間が引っ張る角度により変化するので、操作する際に操作者の手が挟まれて怪我をしやすい。
【0007】
特許文献4に開示されているフィッティングプレート、装置、及び機構にも上記の問題点がある。
【0008】
本願出願者が発明した特許文献5に開示されているラッシングアイアセンブリは、上記に欠点を解決したが、アイプレートが受ける力をより均衡にする点において更に向上する余地があり、鋭意研究開発の結果、本願が提案された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】台湾特許第I250956号公報
【特許文献2】台湾実用新案第M284618号公報
【特許文献3】台湾特許第I245730号公報
【特許文献4】独国実用新案第202017103865号明細書
【特許文献5】台湾特許第I641770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、現有の欠点を解決できるアイプレートモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を実現するために、本発明は、
底壁と、それぞれが同一の中軸線に沿って同軸的に開けられているピンホールを有し、且つ該中軸線において互いに間隔があいているように前記底壁に接続されている一対の枢設部と、前記一対の枢設部の間にあって前記一対の枢設部と前記底壁とにより画成するオープン槽と、を備える取り付けユニットと、
前記一対の枢設部にそれぞれある前記ピンホールに着脱できるように貫設されている軸ピンと、
前記オープン槽において前記軸ピンに回動可能に枢設されており、且つ、前記軸ピンが貫設されている軸孔を有する中間部と、前記中間部の一側に接続している第1のウイング部材と、前記中間部の前記一側の他側に接続している第2のウイング部材と、を備える板状のアイプレートと、を備え、
前記第1のウイング部材は、前記中間部に接続している第1の接続端部と、前記第1の接続端部側と反対する側に形成されている第1の末端部と、前記第1の接続端部と前記第1の末端部との間に一側が円弧になるように開けられている第1の長孔と、を有し、
前記第2のウイング部材は、前記中間部に接続している第2の接続端部と、前記第2の接続端部側と反対する側に形成されている第2の末端部と、前記第2の接続端部と前記第2の末端部との間に、前記第1の長孔の前記一側に対応する側が円弧になるように開けられている第2の長孔と、を有し、
前記軸孔と前記第1の長孔と前記第2の長孔とは、一つの平面が通過する位置に位置し、且つ、前記軸孔の中心と前記第1の長孔の前記円弧を画成する円心との距離が前記軸孔の中心と前記第2の長孔の前記円弧を画成する円心との距離と同じになるように開けられていることを特徴とするアイプレートモジュールを提供する。
【発明の効果】
【0012】
上記のように、本発明のアイプレートモジュールによれば、第1の長孔及び第2の長孔により、2つのコンテナ縛り装置の取り付け及び取り外しが便利になり、該第1の長孔と該第2の長孔と軸孔とは、一つの平面が通過する位置に位置し且つ該軸孔の中心と該第1の長孔の一側の円弧を画成する円心との距離が該軸孔の中心と該第2の長孔の一側の円弧を画成する円心との距離と同じになるように開けられていることにより、アイプレートが受ける力がより均衡になって、安定に固縛できるようになり、位置を固定する効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来のアイプレートとコンテナ縛り装置とによりコンテナを固縛する態様を示す概略図である。
【
図2】
図1の従来のアイプレートを示す部分拡大図である。
【
図4】船舶におけるコンテナの傾斜挙動及びコンテナの破損を示す概略図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るアイプレートモジュールを示す分解斜視図である。
【
図6】上記の第1の実施形態に係るアイプレートを示す正面図である。
【
図7】上記の第1の実施形態に係るアイプレートモジュールの組み立て状態を示す断面図である。
【
図8】上記の第1の実施形態に係るアイプレートモジュールの設置状態を示す正面図である。
【
図9】上記の第1の実施形態に係るアイプレートモジュールの設置状態を示す上視図である。
【
図10】上記の第1の実施形態に係るアイプレートモジュールの2種類の使用形態を示す正面図である。
【
図11】上記の第1の実施形態に係るアイプレートモジュールの使用形態を示す上視図である。
【
図13】上記の第1の実施形態に係るアイプレートモジュールの他の使用形態を示す正面図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係るアイプレートモジュールを示す分解斜視図である。
【
図15】上記の第2の実施形態に係るアイプレートを示す正面図である。
【
図16】上記の第2の実施形態に係るアイプレートモジュールの組み立て状態を示す正面図である。
【
図17】上記の第2の実施形態に係るアイプレートモジュールの2種類の使用形態を示す正面図である。
【
図18】上記の第2の実施形態に係るアイプレートモジュールの使用形態を示す上視図である。
【
図20】上記の第2の実施形態に係るアイプレートモジュールの他の使用形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る装置についていくつかの実施例を挙げて図面を参照して説明する。なお、同一構成及び機能を有する構成要素については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0015】
本発明の第1の実施形態に係るアイプレートモジュールは、
図5~
図9に示されるように、実質に逆L字形直角に形成されている角端部110を有する縦柱100の頂部に固定することに適しているものであって、取り付けユニット10と、軸ピン20と、板状のアイプレート30とを備える。
【0016】
取り付けユニット10は、
図5及び
図7に示されるように、底壁11と、中軸線L1において互いに間隔があいているように底壁11に接続されている一対の枢設部12と、一対の枢設部12の間にあって一対の枢設部12と底壁11とにより画成するオープン槽13とを備える。
【0017】
底壁11は、
図7に示されるように、オープン槽13に向かっている頂面111と、オープン槽13に向かう側(即ち頂面111がある側)の反対側にある第1の当接面112と、第1の当接面112と約L字形になるように形成されている第2の当接面113と、第1の当接面112と第2の当接面113とを繋いでいる線状の角部114とを備える。
【0018】
頂面111は、
図7に示されるように、平坦段115と、平坦段115の両側から縦柱100側へ平坦段115に対して傾斜するように延伸している斜面段116とを有する。即ち、平坦段115を上向きの水平面にすると斜面段116は下へ傾斜しているものである。
【0019】
一対の枢設部12は、
図5に示されるように、それぞれが同一の中軸線L1に沿って同軸的に開けられているピンホール121を有しながら、一対の枢設部12のそれぞれの一側に形成され、アイプレート30の設置位置を示すための識別部122を備える。
【0020】
この実施形態において、2つのピンホール121は、同じく中軸線L1を中心として円形に開けられている。
【0021】
角部114は、
図9に示されるように、後記のアイプレート30の頂縁35側からみると、中軸線L1に対して斜めに延伸している。また、
図9において角部114と中軸線L1とのなす角である取付角θ2が取付の必要に応じて適宜の角度になるよう取り付けユニット10を加工できる。
【0022】
また、一対の枢設部12は、
図7に示されるように、中軸線L1と交差しながら、第1の当接面112に対する、または第1の当接面112に対して傾斜しないように第1の当接面112から延伸する延伸面に対する角度である傾斜角θ1が40°~50°の範囲内にあるように延伸している延長線L2に沿って形成されている。傾斜角θ1は、45°が最も好ましい。
【0023】
軸ピン20は、
図5に示されるように、一対の枢設部12にそれぞれあるピンホール121に着脱できるように貫設されている。
【0024】
この実施形態において、軸ピン20は、
図5に示されるように、ピンホール121に対応する円柱状に形成されているものであって、一端に張出し部21が形成されており、他端にロックピン23が挿入できるロック孔22が開けられている。
【0025】
板状のアイプレート30は、
図5~
図7に示されるように、オープン槽13において軸ピン20に回動可能に枢設されているものである。且つ、
図5~
図7に示されるように、軸ピン20が貫設されている軸孔311を有する中間部31と、中間部31の一側に接続している第1のウイング部材32と、中間部31の前記一側の他側に接続している第2のウイング部材33と、底壁11に近い底縁34と、底縁34側と反対する側にある頂縁35と、第1のウイング部材32の底縁34と頂縁35とを連接している第1の側縁36と、第2のウイング部材33の底縁34と頂縁35とを連接している第2の側縁37とを備える。
【0026】
この実施形態において、
図5~
図7に示されるように、第1のウイング部材32と第2のウイング部材33とは、中間部31に対して対向する両側にあり、軸孔311は、中軸線L1に沿ってピンホール121と同軸的に(即ち、中軸線L1を中心とする)且つピンホール121に対応する円形に開けられている。
【0027】
第1のウイング部材32は、
図5~
図7に示されるように、中間部31に接続している第1の接続端部321と、第1の接続端部321側と対向する側に形成されている第1の末端部322と、第1の接続端部321と第1の末端部322との間に一側が円弧になるように開けられている第1の長孔323と、第1の長孔323に対応して頂縁35から中軸線L1の延伸方向に沿って突起している第1の当止ブロック324と、識別部122に対応して形成されている指示部325とを有する。
【0028】
第2のウイング部材33は、
図5~
図7に示されるように、中間部31に接続している第2の接続端部331と、第2の接続端部331側と対向する側に形成されている第2の末端部332と、第2の接続端部331と第2の末端部332との間に、第1の長孔323の前記一側に対応する側が円弧になるように開けられている第2の長孔333と、第2の長孔333に対応して頂縁35から中軸線L1の延伸方向に沿って突起している第2の当止ブロック334とを有し、第2の長孔333は、第1の長孔323と同じ形及びサイズを有する。
【0029】
また、
図7に示されるように、第1の長孔323と第2の長孔333とのそれぞれの底縁34と頂縁35との間にある長軸長さA1は、第1の側縁36と第2の側縁37との間にある短軸長さA2より長い。より詳しく言うと、
図7に示されるように、第1の長孔323は、底縁34と頂縁35との間にあって長軸長さA1を有する長軸と、第1の側縁36と第1の接続端部321との間にあって短軸長さA2を有する短軸とを備え、第2の長孔333は、底縁34と頂縁35との間にあって長軸長さA1を有する長軸と、第2の側縁37と第2の接続端部331との間にあって短軸長さA2を有する短軸とを備える。
【0030】
この実施形態において、
図5~
図7に示されるように、第1の当止ブロック324及び第2の当止ブロック334は、アイプレート30の一対の枢設部12のそれぞれに対向する両面に形成されており、指示部325は該両面のうちの少なくとも一面に描かれている矢印である。
【0031】
軸孔311と第1の長孔323と第2の長孔333とは、
図6に示されるように、一つの平面Pが通過する位置に位置し、且つ、軸孔311の中心と第1の長孔323の該円弧を画成する円心との距離dが軸孔311の中心と第2の長孔333の該円弧を画成する円心との距離dと同じになるように開けられている。
【0032】
第1の長孔323及び第2の長孔333は、
図6に示されるように、それぞれの前記長軸における両端側にそれぞれ第1の円弧中心線L3を円心として形成されている前記円弧とする第1の円弧326、336と、第2の円弧中心線L4を円心として形成されている第2の円弧327、337とがあり、二本の第1の円弧中心線L3は、中軸線L1と共に平面Pに延伸している。
【0033】
この実施形態において、
図6に示されるように、二本の第1の円弧中心線L3は、頂縁35に近い側に位置しながら中軸線L1と平行であり、距離dは、二本の第1の円弧中心線L3のそれぞれから中軸線L1までの距離である。
【0034】
より詳しく言うと、第1の長孔323と第2の長孔333とは、
図6及び
図7に示されるように、第1の長孔323の前記長軸と第2の長孔333の前記長軸とが互いに平行となるように、且つ、平面Pと平行となるように、2つの第1の円弧326、336の端縁に接する接平面である第1の基準面P1と、平面P及び第1の基準面P1と平行となるように、2つの第2の円弧327、337の端縁に接する接平面である第2の基準面P2とが定義できるように、開けられている。
【0035】
以下、本発明のアイプレートモジュールにおける各部材の作用や技術手段や効果を説明する。
【0036】
図10及び
図11に示されるように、複数のコンテナ7が縦に積み重なり且つ横に並ぶように甲板に設置される時に、複数のアイプレートモジュールの取り付けユニット10は、甲板や船橋に固定されている縦柱100の角端部110に溶接されて固定されている。且つ、
図12及び
図13に示されるように、複数のコンテナ縛り装置4のターンバックル5及びラッシングロッド6を使用してコンテナ7を固縛する際、2つのコンテナ縛り装置4を1つのアイプレート30と2つのコンテナ7との間にラッシングする。且つ、各一対のコンテナ縛り装置4は、一端が各アイプレート30の第1の長孔323及び第2の長孔333に枢設し、他端が上下互いに段積みされた2つのコンテナ7のコンテナ角701に掛かかることにより位置が固定される。
【0037】
図10に示されるように、コンテナ7の積み上げ高さの違いにより、コンテナ7とアイプレート30との間にあるコンテナ縛り装置4のアイプレート30に対する取付角度が異なる。コンテナ縛り装置4の取付角度は、
図12及び
図13に示されるように、第1の当止ブロック324及び第2の当止ブロック334の異なる側に取り付けることにより変化する。
【0038】
第1の当止ブロック324及び第2の当止ブロック334により、コンテナ縛り装置4を当止して位置を制限する機能がある。それにより、例えば
図12のようにコンテナ縛り装置4を予定の角度で斜めに延伸するようにアイプレート30に取り付けると、コンテナ縛り装置4の上端の高さが常に操作者の腰の位置以上にあるようになるので、コンテナ縛り装置4を操作する際に操作者がしゃがんでコンテナ縛り装置4を取る必要がなくなり、操作の利便性が向上する。
【0039】
また、
図7~
図9に示されるように、取り付けユニット10が縦柱100の角端部110に固定された時に、枢設部12の上記延長線L2の第1の当接面112の前記延伸面に対してなす角度である上記傾斜角θ1が実質45°であると共に、角部114は、
図9に示されるように、頂縁35側からみると、中軸線L1に対して斜めに延伸しており、また、
図9において角部114と中軸線L1とのなす角である取付角θ2が取付の必要に応じて適宜の角度になるよう取り付けユニット10を加工できるので、取り付けユニット10が縦柱100の角端部110に固定する時に、
図9に示されるように、斜めにすることができる。
【0040】
また、第1の当接面112が縦柱100の頂部に固定され第2の当接面113の縦柱100に固定される面積が従来より小さいので、溶接ビード(weld bead)が短く、補強用の板を更に溶接する工程を省略できる。
【0041】
また、取り付けユニット10が縦柱100の角端部110に溶接して固定され、具体的には第1の当接面112が縦柱100の頂部に溶接して固定され、第2の当接面113が縦柱100の側面に溶接して固定されるので、よって部材の体積及び溶接の面積を低減でき、材料や溶接などのコストを削減できる。
【0042】
また、
図7~
図9に示されるように、取り付けユニット10が縦柱100の角端部110に固定された時に、取り付けユニット10に取り付けられたアイプレート30も、
図9に示されるように、斜めになるので、組み立てやすくなり、すぐに設置位置に設置できる。
【0043】
また、
図10及び
図11に示されるように、コンテナ縛り装置4がアイプレート30の第1の長孔323及び第2の長孔333に枢設されることにより、軸ピン20の両側において引っ張る力の配分がより均衡的になる。異なる高さで段積みされたコンテナ(引っ張る角度が高さと伴って変化する)に対して、すべてのコンテナ縛り装置4が同等に力を加えることができる。
【0044】
図12に示されるように、貨物船が進行中に風波を受けて、段積みされたコンテナ7が船体の揺れにより搖動やスイングが生じる状況において、コンテナ縛り装置4がアイプレート30の第1の長孔323及び第2の長孔333において適度に相対スライドすることができるので、振動力を吸収できて、風波によりコンテナ7が受けた衝撃を緩衝できる。
【0045】
第1の長孔323及び第2の長孔333の長軸長さA1が短軸長さA2より長いので、コンテナ縛り装置4は、短軸に対応する方向において位置が制限される効果があるので、力を受けた時にズレが生じない。
【0046】
図7に示されるように、取り付けユニット10の底壁11の頂面111は、平坦段115と、平坦段115の両側から第1の当接面112または第2の当接面113側へ斜めに延伸している斜面段116とを有するので、アイプレート30の底縁34と取り付けユニット10の頂面111との間に、アイプレート30が軸ピン20を軸心として小幅に回動する隙間ができるが、該隙間は小さいので、指を挟む恐れを回避できる。
【0047】
図7に示されるように、アイプレート30の指示部325である矢印が、識別部122である突起を指すようにすることにより、アイプレート30を取り付けユニット10に取り付ける時に、アイプレート30が逆の状態で取り付けることを防止でき、一回で正しい状態で取り付けることができて、速やかに取り付けられる。
【0048】
図12に示されるように、コンテナ縛り装置4がアイプレート30の第1の長孔323及び第2の長孔333で適度に相対スライドすることができるので、コンテナ縛り装置4のターンバックル5をラッシングロッド6に対して緩める時に、ターンバックル5のアイプレート30に枢設する端部が第1の長孔323及び第2の長孔333の下端部で当止されることができる。
【0049】
そして、軸孔311と第1の長孔323と第2の長孔333とは、
図6に示されるように、平面Pが通過する位置に位置し且つ軸孔311の中心(中軸線L1)と第1の長孔323の第1の円弧326の円心(第1の円弧中心線L3)との距離dが軸孔311の中心と第2の長孔333の第1の円弧336の円心(第1の円弧中心線L3)との距離dと同じになるように開けられているので、アイプレート30両側の力を受ける位置が対称し、アイプレート30が受ける力がより均衡になる効果がある。
【0050】
本発明のアイプレートモジュールの第2の実施形態は、
図14~
図16に示されるように、第1の実施形態における縦柱100といった柱がないが、水平角管やそれに類似するものに設置することに適しているものであって、同じく取り付けユニット10と、軸ピン20と、板状のアイプレート30とを備える。
【0051】
本発明のアイプレートモジュールの第2の実施形態は、第1の実施形態と類似し、ここで第1の実施形態と同じ構成の説明を省略し、第1の実施形態との相違点のみ説明する。
【0052】
この実施形態において、取り付けユニット10の底壁11は、
図14及び
図16に示されるように、中軸線L1と略直交する断面が約逆L字形になるようにオープン槽13へ突出しているブロック14と、ブロック14側の反対側にあって、平面に形成されている底面15とを備える。底面15により、水平角管や他の平面に固く溶接できる。
【0053】
一対の枢設部12は、
図16に示されるように、中軸線L1と交差しながら底面15に対する角度である傾斜角θ1が40°~50°の範囲内にあるように延伸している延長線L2に沿って形成されている。傾斜角θ1は、45°が最も好ましい。
【0054】
アイプレート30の底縁34は、
図15に示されるように、ブロック14が進入でき、且つブロック14に対応しながら、中軸線L1と略直交する断面が約逆L字形になるように形成されている凹み部341を備える。
【0055】
第1の実施形態と同じく、軸孔311と第1の長孔323と第2の長孔333とは、
図15に示されるように、平面Pが通過する位置に位置し且つ軸孔311の中心(中軸線L1)と第1の長孔323の第1の円弧326を画成する円心(第1の円弧中心線L3)との距離dが軸孔311の中心と第2の長孔333の第1の円弧336を画成する円心(第1の円弧中心線L3)との距離dと同じになるように開けられている。
【0056】
図17~
図20に示されるように、この第2の実施形態のアイプレートモジュールと複数のコンテナ縛り装置4と合わせて、コンテナ7を固縛することができ、且つ、2つのコンテナ縛り装置4を1つのアイプレート30と2つのコンテナ7との間にラッシングすることにより達成できる目的及び効果は、第1の実施形態と同じである。
【0057】
上記の構成によれば、本発明のアイプレートモジュールは、構造がシンプル、製造及び組み立てが簡単、アイプレートが受ける力がより均衡になる効果がある。
【0058】
上記実施形態は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施形態に対して若干の変更や修飾が可能である。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のアイプレートモジュールは、貨物の固縛に使用でき、特にコンテナの固縛に好適である。
【符号の説明】
【0060】
100 縦柱
110 角端部
10 取り付けユニット
11 底壁
111 頂面
112 第1の当接面
113 第2の当接面
114 角部
115 平坦段
116 斜面段
12 枢設部
121 ピンホール
122 識別部
13 オープン槽
14 ブロック
15 底面
20 軸ピン
21 張出し部
22 ロック孔
23 ロックピン
30 アイプレート
31 中間部
311 軸孔
32 第1のウイング部材
321 第1の接続端部
322 第1の末端部
323 第1の長孔
324 第1の当止ブロック
325 指示部
326、336 第1の円弧
327、337 第2の円弧
33 第2のウイング部材
331 第2の接続端部
332 第2の末端部
333 第2の長孔
334 第2の当止ブロック
34 底縁
341 凹み部
35 頂縁
36 第1の側縁
37 第2の側縁
4 コンテナ縛り装置
5 ターンバックル
6 ラッシングロッド
7 コンテナ
701 コンテナ角
L1 中軸線
L2 延長線
L3 第1の円弧中心線
L4 第2の円弧中心線
P 平面
P1 第1の基準面
P2 第2の基準面
θ1 傾斜角
θ2 取付角
A1 長軸長さ
A2 短軸長さ
d 距離