(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068725
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】基礎カバー設置構造および除去方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/28 20060101AFI20230511BHJP
E04B 1/348 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
E04G21/28 B
E04B1/348 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179984
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】松川 啓介
(72)【発明者】
【氏名】益山 勝成
(57)【要約】
【課題】主に、基礎カバーの風による飛散を防止し得るようにする。
【解決手段】
建物1の基礎3には、基礎3を上から覆う基礎カバー8が設けられる。
基礎カバー8は、基礎3から突設されたボルト部材71に対し、取付金具72、または、取付金具72に取付けられた棒状部材51を介して保持されるようにする。
取付金具72は、水上金具81と水下金具82と、を備えても良い。
棒状部材51は、横水平材83と、縦斜材84と、を備えても良い。
更に、縦斜材84間の位置に縦斜材84と平行に配設されて、基礎カバー8に上から載置される上押さえ棒85を備えても良い。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎を上から覆う基礎カバーが設けられ、
該基礎カバーは、前記基礎から突設されたボルト部材に対し、取付金具、または、該取付金具に取付けられた棒状部材を介して保持され、
前記取付金具は、前記基礎の水上側の辺に設置される水上金具と、前記基礎の水下側の辺に設置される水下金具と、を備え、
前記水上金具は、前記水下金具よりも高くなっており、
前記棒状部材は、
前記水上側の辺に沿い配設されて、前記水上金具によって支持される横水平材と、
該横水平材と垂直に配設されて、前記水上金具および前記水下金具によって下り勾配に支持される縦斜材と、を備え、
更に、該縦斜材間の位置に該縦斜材と平行に配設されて、前記基礎カバーに上から載置される上押さえ棒を備えたことを特徴とする基礎カバー設置構造。
【請求項2】
請求項1に記載の基礎カバー設置構造であって、
前記棒状部材は、前記基礎カバーに備えられた棒通し部に通して設置されることを特徴とする基礎カバー設置構造。
【請求項3】
ユニット建物の基礎の、少なくとも、水上側の辺から突設されたボルト部材に、水上金具を介して、前記水上側の辺に沿って延びる横水平材を取付け、
前記水上側の辺よりも高くなるように前記横水平材が設置された基礎を、基礎カバーで上から斜めに覆い、
該基礎カバーの周縁部を、紐状部材やペグで地面に固定すると共に、基礎から突設されたボルト部材、または、ボルト部材に取付けた固定金具に固定しておき、
基礎に対して最初の建物ユニットを据付ける直前に、前記紐状部材、前記ペグ、前記固定金具、および、前記横水平材の最初に前記建物ユニットを据付ける部分を、取り外すことを特徴とする基礎カバー除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基礎カバー設置構造および除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物は、敷地に予め打設形成された基礎の上に構築される。
【0003】
基礎は、打設から建物を構築するまでの間にある程度の期間を要するため、その期間中の降雨によって内側に雨水が入らないように保護する(または雨仕舞を行う)必要がある。
【0004】
一般的な基礎の雨仕舞は、基礎の上に基礎カバーを直接かけて、基礎の全面を基礎カバーで単に上から覆うようにしていた。基礎カバーは、周縁部をペグで地面に固定する。
【0005】
また、基礎の内側に支柱を立設し、支柱を使って基礎カバーをドーム状に張設することにより、ドーム状の基礎カバーの内部に基礎を収容するようにした大掛かりなものも存在している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基礎カバーの周縁部を地面にペグで固定した場合、ペグだけだと十分な固定力が得られないので、ペグが外れて基礎カバーが風で飛散するおそれがあった。
【0008】
また、ドーム状の基礎カバーの内部に基礎を収容するようにした場合も、支柱が倒れて基礎カバーが潰れたり、風で飛散したりするおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に対して、本発明は、
建物の基礎を上から覆う基礎カバーが設けられ、
該基礎カバーは、前記基礎から突設されたボルト部材に対し、取付金具、または、該取付金具に取付けられた棒状部材を介して保持され、
前記取付金具は、前記基礎の水上側の辺に設置される水上金具と、前記基礎の水下側の辺に設置される水下金具と、を備え、
前記水上金具は、前記水下金具よりも高くなっており、
前記棒状部材は、
前記水上側の辺に沿い配設されて、前記水上金具によって支持される横水平材と、
該横水平材と垂直に配設されて、前記水上金具および前記水下金具によって下り勾配に支持される縦斜材と、を備え、
更に、該縦斜材間の位置に該縦斜材と平行に配設されて、前記基礎カバーに上から載置される上押さえ棒を備えている基礎カバー設置構造を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記構成によって、基礎カバーの風による飛散を防止することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態にかかる基礎カバー設置構造を用いた基礎の上に構築されるユニット建物の全体斜視図である。
【
図2】
図1のユニット建物を構成する建物ユニットの全体斜視図である。
【
図3】
図1のユニット建物の施工手順を示す斜視図である。
【
図4A】
図3に続くユニット建物の施工手順を示す斜視図である。
【
図4B】
図4Aの仮雨仕舞シート(天井カバー)の平面図である。
【
図5A】基礎カバーを設置した基礎の全体斜視図である。
【
図6】(a)は基礎を短辺の側から見た縦断面図、(b)は基礎を長辺の側から見た部分的な縦断面図である。
【
図7】基礎カバーを構成するカバー片の平面図である。このうち、(a)は最後に設置されるカバー片、(b)は中間に設置されるカバー片、(c)は最初に設置されるカバー片である。
【
図8】(a)は隣接するカバー片を重ねて設置した状態を示す側面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【
図9】(a)は水上金具の全体斜視図、(b)は水上金具の側面図、(c)は水上金具の正面図である。
【
図10】(a)は水下金具の全体斜視図、(b)は水下金具の側面図、(c)は水下金具の正面図である。
【
図11】(a)は固定金具の全体斜視図、(b)は固定金具の側面図、(c)は固定金具の正面図、(d)は固定金具の底面図、(e)は長さ調整プレートの三面図(正面図、側面図、底面図)である。
【
図12】棒状部材や上押さえ棒の長さ調節のための構造を示す斜視図である。
【
図13】ボルト部材に取付金具や棒状部材などを取付けた状態を示す基礎の全体斜視図である。
【
図14】カバー片を被せた状態を示す基礎の全体斜視図である。
【
図15】カバー片どうしを連結する状態を示す基礎の全体斜視図である。
【
図16】上押さえ棒を棒通し部へ挿入する前の状態を示す基礎の全体斜視図である。
【
図17】(a)は上押さえ棒を棒通し部へ挿入した後の状態を示す基礎の全体斜視図、(b)は上押さえ棒の端部を、キャップを用いて固定する状態を示す部分拡大斜視図である。
【
図18】上押さえ棒を、棒通し部(上面側通し部)へ挿入して基礎カバーの上に乗せた状態を示す基礎の全体斜視図である。
【
図19】基礎カバーの周縁部を固定する状態を示す部分拡大図である。このうち、(a)は水上金具の周辺、(b)は固定金具の周辺、(c)は基礎カバーの立上部被覆部の周辺である。
【
図20】(a)は上押さえ棒を棒通し部から引抜く状態を示す基礎の全体斜視図、(b)は横水平材を引抜く状態を示す(a)の水上側の部分拡大図である。
【
図21】基礎のカバー片をめくった部分に建物ユニットを据付ける状態を示す基礎の全体斜視図であり、(a)は据付け前、(b)は据付け後である。
【
図22A】(a)は建物ユニットを据付けた部分の連結部を外す状態を示す基礎の全体斜視図、(b)はめくったカバー片から縦斜材を引抜く状態を示す基礎の全体斜視図である。
【
図22B】カバー片を回収する状態を示す基礎の全体斜視図である。
【
図23A】隣接する仮雨仕舞シートの側面上部カバー部どうしを連結する手順を順に示す建物ユニットの部分拡大側面図である。このうち、(a)は先行する建物ユニットを据付けたときの状態、(b)は側面上部カバー部をめくるように上へ折り返して、隣接する建物ユニットを下す状態である。
【
図23B】
図23Aに続く、隣接する側面上部カバー部どうしを連結する手順を順に示す建物ユニットの部分拡大側面図である。このうち、(a)は隣接する側面上部カバー部どうしを連結した状態、(b)は側面上部カバー部を二つ折りにした状態である。
【
図23C】
図23Bに続く、隣接する側面上部カバー部どうしを連結する手順を順に示す建物ユニットの部分拡大側面図である。このうち、(a)は二つ折りにした側面上部カバー部を後から設置された側面上部カバー部の側へ倒した状態、(b)は倒した側面上部カバー部に結束部材を取り付ける状態である。
【
図23D】下階の建物ユニットの上に上階の建物ユニットを設置する状態を示す部分拡大側面図である。このうち、(a)は雨仕舞シートをめくった状態、(b)は、隣接する雨仕舞シートの側面上部カバー部を上階の建物ユニットの側に寄せてその側面下部に添設保持させる状態である。
【
図24A】基礎カバーの変形例を示す図である。このうち、(a)は基礎に対するカバー片の割付図(平面図)、(b)は(建物ユニットが3個分の大きさの基礎に対する)カバー片の設置状態を示す概略側面図である。
【
図24B】
図24Aの基礎カバーを構成する狭幅のカバー片の部品図(全体平面図)である。
【
図24C】
図24Aの基礎カバーを構成する広幅のカバー片の部品図(全体平面図)である。
【
図24D】
図24Bおよび
図24Cの基礎カバーのX部分、Y部分、Z部分の拡大図である。このうち、(a)はX部分の幅方向に沿った部分拡大図、(b)はX部分の長手方向に沿った部分拡大図、(c)はY部分の幅方向に沿った部分拡大図、(d)はZ部分の幅方向に沿った部分拡大図、(e)はZ部分の長手方向に沿った部分拡大図である。
【
図24E】
図24Aの基礎カバーを構成する、基礎の短辺用の側面被覆部の側面図である。このうち、(a)は水上側が左用、(b)は右水上側が右用である。
【
図25】実施例2にかかる
図6と同様の図である。このうち、(a)は基礎を短辺の側から見た縦断面図、(b)は基礎を長辺の側から見た部分的な縦断面図、(c)は(a)の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図25は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0014】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0015】
戸建住宅や集合住宅などの建物1を設ける。建物1は、どのような構造のものであっても良いが、この実施例では、例えば、
図1に示すようなユニット建物とする。
【0016】
ユニット建物は、
図2に示すような、箱型(直方体状)の建物ユニット2を予め工場で製造して建築現場へ搬送し、
図3、
図4Aに示すように、建築現場で組み合わせて設置することにより、短期間のうちに構築できるようにした建物1である。
【0017】
ユニット建物は、建築現場で、基礎3の上に下階Lの建物ユニット2を横に並べて据付け(
図3)、下階Lの建物ユニット2の上に上階Hの建物ユニット2を横に並べて据付ける(
図4A)ことなどによって構築される。
【0018】
各建物ユニット2は、その骨格部分にボックスラーメン構造のユニットフレームを有している。ユニットフレームは、
図2に示すように、4本の金属製の柱2aの上端部間に4本の金属製の天井梁2bを矩形状に連結し、4本の柱2aの下端部間に4本の金属製の床梁2cを矩形状に連結した構造を備えている。ユニットフレームの屋外側となる側面には外壁材2dなどが取付けられる。
【0019】
基礎3は、
図1に示すように、建物1を地面よりも高い位置に設置するための鉄筋コンクリート製の構築物である。基礎3は、少なくとも建物1の外周に沿って延びる外周立上部を有している。外周立上部は、例えば、ほぼ閉じた枠状をしており、ほぼ一定の幅を有して建物1の周方向に延びる。外周立上部は、上下方向4に対し、所定の高さh1を有して地面から立ち上げられる。外周立上部は、概ね地面から300~500mm、好ましくは400mm程度の高さに形成される。
【0020】
外周立上部は、建物1の外形とほぼ同じ形状および大きさに形成される。ユニット建物の場合、外周立上部は、下階Lの建物ユニット2を複数並べて形成される建物1の下階Lの外形と同じ形状および大きさとなる。基礎3には、外周立上部を含む立上部のみからなる布基礎と、外周立上部の内側の地面を塞いだベタ基礎とがあるが、そのどちらでも良い。
【0021】
この実施例では、基礎3は、外周立上部が、一対の平行な長辺3a,3bと、一対の平行な短辺3c,3dと、を有する平面視ほぼ長方形状とされている。この基礎3の上に、それぞれ同じ大きさを有する複数の建物ユニット2が並べて設置される。建物ユニット2は、短い辺が基礎3の長辺3a,3bに沿って並ぶように、横並びに設置される。そのため、基礎3の長辺3a,3bは、建物ユニット2の短い辺のほぼ整数倍の長さとされている。基礎3の短辺3c,3dは、建物ユニット2の長い辺と同じ長さとされている。
【0022】
ほぼ長方形状の短い辺の方向を幅方向、長い辺の方向を長手方向とした場合、上記配置により、基礎3の幅方向が、建物ユニット2の長手方向となり、基礎3の長手方向が建物ユニット2の幅方向となる。
【0023】
このような基礎3の上に対し、例えば、建物ユニット2は、基礎3の一方の短辺3cの側から他方の短辺3dの側へ向けて順番に据付けられる(建物ユニット2の据付方向5)。ただし、建物ユニット2の配置や外周立上部の形状は、上記に限るものではない。
【0024】
そして、上記したような平面視矩形状の基礎3については、一方の長辺3aを水上側の辺とし、他方の長辺3bを水下側の辺とする。また、建物ユニット2の据付け順が早い側となる一方の短辺3cを据付方向5の上流側の辺、建物ユニット2の据付け順が遅い側となる他方の短辺3dを据付方向5の下流側の辺とする。
【0025】
なお、一方の長辺3aを水下側の辺、他方の長辺3bを水上側の辺にしても良いが、例えば、玄関ポーチなどを構成するための小型のユニットや付属物などを設置する側を水上側の辺とするのが好ましい。
【0026】
以下、単に基礎3と言う場合には、基礎3は、主に基礎3の外周立上部を指すものとする。
【0027】
なお、
図3に示すように、建物ユニット2の室内側となる側面の開口部分には、開口部分を仮雨仕舞するための側面カバー6が取付けられ、下階Lの建物ユニット2の上面(天井)には、上面を仮雨仕舞するための天井カバー(上面仮雨仕舞シート、または、仮雨仕舞シート7)が取付けられる。また、基礎3(の外周立上部)の内側には、断熱材9が施工される。
【0028】
下階Lの建物ユニット2の上面を覆う仮雨仕舞シート7は、例えば、
図4Bの部品図のようなものとされる。
【0029】
即ち、仮雨仕舞シート7は、建物ユニット2の上面を覆う矩形状のシート本体の4つの辺に対し、各辺からそれぞれ突出形成されて、建物ユニット2の4つの側面の上部をそれぞれ覆う4つの側面上部カバー部7aを有する。
【0030】
側面上部カバー部7aは、それぞれ建物ユニット2の4つの側面に沿って下へ曲げた状態で、連結部7bによって隣接する側面上部カバー部7aと互いに連結される。
【0031】
また、側面上部カバー部7aの裏面には、隣接して設置される建物ユニット2の上面に設置された別の仮雨仕舞シート7の隣り合う側面上部カバー部7aと、上へ曲げた状態で互いに連結、分離可能な第二連結部7cが備えられる。
【0032】
第二連結部7cを備えた側面上部カバー部7aは、幅中間部に、側面上部カバー部7aの二つ折りを補助する折曲補助線部7dを長手方向に沿って延びるように有している。
【0033】
この際、仮雨仕舞シート7は、例えば、ポリエチレンなどでできた柔軟な合成樹脂シート(ポリエチレン製防水ラミネートシート)で形成される。側面上部カバー部7aは、隣接する仮雨仕舞シート7との連結のためには、少なくとも、隣接する建物ユニット2が存在する辺に有していれば良い。連結部7bおよび第二連結部7cは、例えば、面ファスナーなどとされる。連結部7bおよび第二連結部7cは、少なくとも側面上部カバー部7aの両端部に設けられる。折曲補助線部7dは、縫い目線や溶着線やテープ状部材の取り付けなどによって形成される。
【0034】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、
図5A(
図5B、
図6)に示すように、基礎3に対し、仮雨仕舞のための基礎カバー8が取付けられる。仮雨仕舞は、基礎3の養生中や完成後から、建物ユニット2の据付け直前までの間に、基礎3の内側を雨水から一時的に保護することである。なお、上記期間中に降雨のおそれがない場合には、仮雨仕舞は必要ない。
【0035】
(基礎カバー8について)
【0036】
基礎カバー8は、以下のような構成を備えても良い。
【0037】
(A1)建物1の基礎3を上からカバー部材11で覆う基礎カバー8であって、
カバー部材11は、基礎3の上に複数並べて設置される建物ユニット2の大きさに合わせて複数のカバー片12に分割されている。または、カバー部材11は、建物ユニット2の大きさに合わせて形成された複数のカバー片12で構成される。
【0038】
ここで、基礎カバー8は、基礎3を上から全体的に覆って基礎3の内側の仮雨仕舞を行う柔軟なシート状の仮雨仕舞部材である。基礎カバー8は、建物ユニット2の据付け時に取外される一時的なものである。
【0039】
基礎カバー8は、主にカバー部材11で構成される。カバー部材11は、折ったり丸めたりすることができる、薄くて柔軟な面状の部材(シートやフィルム)で構成される。カバー部材11は、全体が、少なくとも基礎3の全面を覆い得る大きさに形成される。
【0040】
カバー部材11は、例えば、ポリエチレンなどでできた合成樹脂シート(ポリエチレン製防水ラミネートシート)で形成される。この合成樹脂シートは、防水性を有しており、安価、軽量で、しかも、丈夫で使い易いことから工事現場などで建築用の作業シートとして様々な用途に使われている。この作業シートは、例えば、アウトドア、レジャー、防災などの分野でも多目的シートとして様々な用途で有効に活用されているものと同じ素材でできている。
【0041】
建物ユニット2の大きさに合わせて分割とは、カバー部材11における、基礎3の内側となる部分を、隣接する建物ユニット2間の位置で分けられるようにして、建物ユニット2ごとに別々にすることである。これにより、カバー片12は、少なくとも建物ユニット2と同じ形状および大きさの部分を有することになる。なお、後述するように、各カバー片12は、実際には、建物ユニット2の形状および大きさよりも若干大きなものとなる。
【0042】
カバー片12は、カバー部材11を構成する所要の大きさの面状部材である。カバー片12をほぼ建物ユニット2に合わせた大きさおよび形状、または、基礎3の建物ユニット2を据付ける部分に合わせた大きさおよび形状にすることで、カバー片12は、概略平面視ほぼ長方形状になる。そして、カバー部材11は、建物ユニット2の大きさの分だけめくりながら基礎3の上から取外して行くような使い方が可能な、取扱性の良いものとなる。
【0043】
基礎3の上からカバー片12をうまくめくれるようにするために、カバー片12は、基礎3の上に、建物ユニット2の据付方向5とは、逆の方向に順番に並べて設置される(カバー片12の設置方向13)。
【0044】
これにより、建物ユニット2の据付方向5と、カバー片12の設置方向13とで、上流側と下流側が反対になる。即ち、カバー片12の設置方向13を基準にすると、基礎3の他方の短辺3dの側が上流側となり、基礎3の一方の短辺3cの側が下流側となる。以降、混乱を避けるため、単に、短辺3cの側、短辺3dの側と言う場合がある。
【0045】
そして、カバー片12は、基礎3の他方の短辺3dの側から基礎3の一方の短辺3cの側へ向けて、一部を上に重ねながら順に設置される(
図8)。この際、先に設置したカバー片12の幅方向の一方(短辺3c側)の側縁部の上に、後のカバー片12の幅方向の他方(短辺3d側)の側縁部が重ねられる。
【0046】
例えば、
図7に示すように、カバー片12は、主に基礎3の内側部分(内面)を覆う内面被覆部14と、内面被覆部14の長手方向の両端部にそれぞれ一体に形成された側面被覆部16とを有している。内面被覆部14は、少なくとも建物ユニット2の底面とほぼ同じ大きさおよび形状の平面視ほぼ矩形状をした面、またはそれよりも大きな面とされる。側面被覆部16は、基礎3の水上側および水下側の辺(長辺3a,3b)の側面を外側から覆う面とされる。なお、内面被覆部14と、側面被覆部16との境界は、必ずしも明瞭ではないが、基礎3の上に被せたときに、折り目となって表れる。
【0047】
また、カバー片12は、隣接するカバー片12の隣り合う側縁部と重なる重複部18,19を有している。重複部18,19は、隣接するカバー片12が覆う建物ユニット2の据付け位置に達する長さ、または、その建物ユニット2の据付け位置を超える長さまで延ばすのが好ましい。なお、内面被覆部14における、重複部18,19の境界位置は、必ずしも明瞭ではないが、カバー片12どうしを重ね合わせたときに表れる。
【0048】
更に、一部のカバー片12には、一つの側縁部に、基礎3の短辺3c,3dの側面を外側から覆う側面被覆部17も設けられる。内面被覆部14と、側面被覆部17との境界は、必ずしも明瞭ではないが、基礎3の上に被せたときに、折り目となって表れる。
【0049】
そして、基礎3の長辺3a,3bの側面を覆う側面被覆部16は、全てのカバー片12に設けられる。これ対し、基礎3の短辺3c,3dの側面を覆う側面被覆部17は、最初と最後に設置されるカバー片12のみに設けられる。
【0050】
図7は最も基本的な構成を有する基礎カバー8の一例である。この基礎カバー8は、最初に設置される第一のカバー片12(
図7(c))と、中間に設置される単数または複数の第二のカバー片12(
図7(b))と、最後に設置される第三のカバー片12(
図7(a))と、の3種類の異なるカバー片12で構成されている。第一のカバー片12と第三のカバー片12は、異なる側の側縁部に側面被覆部17を一体に備えており、第二のカバー片12は、側面被覆部17を備えていない点が主に相違している。
【0051】
このうち、側面被覆部16は、各カバー片12の両方の長手方向の端縁部(短い辺)に沿って一定の幅で設けられる。また、側面被覆部17は、最初と最後に設置されるカバー片12における、隣接するカバー片12がない側の一つの側縁部(長い辺)に沿って一定の幅または異なる幅で設けられる。
【0052】
そして、重複部18,19は、各カバー片12の側縁部(長い辺)における、少なくとも、隣接するカバー片12と重なる部分に形成される。そして、各カバー片12の側縁部(長い辺)における、隣接するカバー片12と重ならない部分は、非重複部分となる。非重複部分は、重複部18,19があることによって、建物ユニット2の底面よりも幅が狭くなる。
【0053】
このうち、重複部18は、重なりの上になる部分であり、カバー片12における、基礎3の短辺3dの側の側縁部に設けられる。重複部18は、少なくとも、内面被覆部14の範囲に設けられるが、側面被覆部16に及ぶ大きさにすることができる。重複部18は、最初に設置されるカバー片12には設けられない。
【0054】
また、重複部19は、重なりの下になる部分であり、カバー片12における、基礎3の短辺3cの側の側縁部に設けられる。重複部19は、少なくとも、内面被覆部14の範囲に設けられるが、側面被覆部16に及ぶ大きさにすることができる。重複部19は、最後に設置されるカバー片12には設けられない。
【0055】
加えて、
図5Bに示すように、カバー片12は、バンドなどの紐状部材21を通すための取付穴22や、取付用補助部23を、単数または複数有している。取付用補助部23は、例えば、取付穴22を有するペケット(紐通し片)や、ループ状のバンドなどとすることができる。取付用補助部23は、主に、カバー片12の裏面側(下面側)に設けられる。紐状部材21は、基礎3などに直接固定するのに使っても良いし、ペグ24などで地面に固定するように使っても良い。取付穴22は、側面被覆部16,17の縁部の位置などに適宜設けられる。取付用補助部23は、内面被覆部14の縁部周辺となる位置などに適宜設けられる。カバー片12やペケットの取付穴22は、ハトメによって補強されても良い。
【0056】
なお、基礎カバー8の構成は、上記に限らず、例えば、
図24A~
図24Eの変形例のようにすることも可能である。この変形例については、後述する。
【0057】
(A2)
図7に示すように、カバー片12は、建物ユニット2間の境界部31(例えば、
図3)に位置する側縁部に、互いに連結可能な連結部32,33を有しても良い。
【0058】
ここで、境界部31は、基礎3の上に隣接して設置される建物ユニット2の、互いに隣り合う下側の辺(近接する床梁2c)間のほぼ真下となる位置である。
【0059】
カバー片12の(連結部32,33が設けられる)側縁部は、重複部18,19となる側縁部である。重複部18,19にならず、隣接するカバー片12がない側縁部には、連結部32,33は特に必要ない。
【0060】
連結部32,33を設けない場合、カバー片12は、隙間ができないように並べたり重ね合わせたりして設置するだけのものとなり、このようにしても良いが、連結部32,33は設けるのが好ましい。
【0061】
連結部32は、重複部18,19に対し、カバー片12の側縁部またはその近傍に沿って取付けられる。連結部32は、主に内面被覆部14の範囲内に設けられるが、両側の側面被覆部16にまで及ぶように設けても良い。
【0062】
連結部33は、主に隣接するカバー片12の側面被覆部16間や、同一のカバー片12における、側面被覆部16と側面被覆部17との間に設けられる。
【0063】
連結部32,33は、隣接するカバー片12どうしを繋げられればどのようなものでも良いが、例えば、ファスナー部や面ファスナーなどとすることができる。この実施例では、連結部32,33は、一方の連結部32をファスナー部とし、他方の連結部33を面ファスナーとしている。
【0064】
ファスナー部は、カバー片12の少なくとも内面被覆部14どうしを繋いで一体化するための連結具(繋ぎ部材)として、カバー片12の側縁部に設けられる。
【0065】
ファスナー部は、務歯(ムシ)と呼ばれる噛合部分を片側の側縁部分に沿って多数有するリボンテープ32aを主に有している。ファスナー部は、2本のリボンテープ32aと、務歯を噛み合せたり分離したりするための操作用のスライダー32bとを組み合わせたものとされる。
【0066】
この実施例の場合、スライダー32bは、一方のリボンテープ32aに取付けられている。スライダー32bが取付けられた一方のリボンテープ32aが雄ファスナーとなり、スライダー32bが取付けられていない他方のリボンテープ32aが雌ファスナーとなる。スライダー32bは、持ち手に、リード用の紐32cを取付けるようにしても良い。リード用の紐32cは、基礎3の短辺3c,3dとほぼ同じ長さかそれよりも長くするのが好ましい。
【0067】
面ファスナーは、隣接するカバー片12の側面被覆部16どうしや、同一のカバー片12の側面被覆部16と側面被覆部17との間を繋いで一体化するための連結具(繋ぎ部材)として、カバー片12の各部に設けられる。
【0068】
面ファスナーは、面どうしを引掛力によって直接くっつけるための柔軟な面固定部材である。面ファスナーには、表面に多数のループ部を有する第一のリボンテープ33a(雌)と、表面に多数のフック部を有する第二のリボンテープ33b(雄)との二種類がある。第一のリボンテープ33aと第二のリボンテープ33bとを一対一に組み合わせることで連結具としての面ファスナーが構成される。
【0069】
ファスナー部および面ファスナーは、設置順の早いカバー片12の側縁部の上面と、設置順の遅いカバー片12の側縁部の下面との間の、互いに重なり合う位置に縫い付けられる。この際、ファスナー部の一対のリボンテープ32a(雄・雌)や、面ファスナーの一方のリボンテープ32aと他方のリボンテープ32aは、上面と下面のどちらかに分けて設置される。
【0070】
なお、
図8に示すように、必要な場合には、上に重なるカバー片12は、重複部18に、連結部32,33を上から覆うファスナーカバー35を形成しても良い。また、下に重なるカバー片12は、裏面側に、連結部32,33の取付け部分(の縫い目)を裏側から覆う裏当シート36を溶着しても良い。これにより、連結部32,33からの雨水の漏れをより有効に防止することができる。
【0071】
(A3)
図8に示すように、カバー片12は、側縁部に建物ユニット2に対して磁気吸着可能な磁石41を備えても良い。
【0072】
ここで、磁石41は、磁力によって金属に吸着される磁性体(永久磁石)である。磁石41は、建物ユニット2を構成する金属製のユニットフレームの下側の辺(床梁2c)などに対して吸着される。磁石41は、カバー片12における、後から設置されるカバー片12によって覆い隠される側縁部、または、その周辺に設置される。
【0073】
この際、カバー片12は、上記側縁部に形成される重複部19を、後から設置されるカバー片12の位置に据付けられる建物ユニット2の下縁部に達するまで延長する。この延長した重複部19の先端縁部またはその周辺に磁石41を取付けるようにする。磁石41は、重複部19の先端縁部に縫い付けたり、接着したりしても良いし、また、先端縁部を筒状にして、その内部に挿入設置するようにしても良い。
【0074】
磁石41は、カバー片12の側縁部に対し、少なくとも内面被覆部14の両端の位置に設ければ良いが、側縁部に沿って連続的に、または、不連続に設置することができる。磁石41は、例えば、粒状や塊状のものとしても良いし、棒状のものとしても良い。
【0075】
(A4)
図5A(
図5B)に示すように、
カバー部材11は、基礎3に設置された棒状部材51によって、一端側が他端側より高い傾斜状態で支持されても良い(
図6)。
カバー片12には、棒状部材51を通す棒通し部52(
図8)が設けられても良い。
【0076】
ここで、カバー部材11は、基礎3の上に対し、棒状部材51を用いて、内面被覆部14がほぼ水平な状態となるように設置しても良いが、内面被覆部14は、傾斜させて設置するのが好ましい。カバー部材11は、一端側(水上側)から他端側(水下側)へ向け、少なくとも排水勾配程度以上の下り勾配となるように傾斜される。
【0077】
カバー部材11を傾斜させる場合、側面被覆部16,17が基礎3の側面のほぼ全部または少なくとも上部を覆い得るように、側面被覆部16,17の幅をカバー部材11の傾斜に見合った大きさに形成する。
【0078】
即ち、カバー部材11は、高くなる一端側の側面被覆部16を、持ち上げる分だけ他端側の側面被覆部16よりも幅広くする。
【0079】
具体的には、
図6に示すように、水下側の側面被覆部16の幅(または設置時の上下寸法)は、ほぼ基礎3の高さh1とほぼ同じ程度かそれよりも若干高くするのが好ましい(高さh1±α)。なお、水下側の側面被覆部16の幅は、少なくとも基礎3の上部(天端)の周辺、または、基礎3の側面の上側を覆える程度以上(例えば、h1の半分程度以上)あれば良く、最大で地面にほぼ当接する程度で十分なので、その範囲内で適宜設定される。
【0080】
よって、水上側の側面被覆部16の幅は、水下側の側面被覆部16の幅(高さh1±α)に、水上側を基礎3の上部よりも持ち上げる分の高さh2を加えた程度となる。これにより、水下側および水上側の側面被覆部16によって、基礎3の側面の全部または少なくとも上部周辺を各側面被覆部16で支障なく覆うことができる。
【0081】
また、これに伴い、水下側および水上側の側面被覆部16の幅の違いを吸収して、基礎3の短辺3c,3d側の側面の少なくとも上部を支障なく覆い得るようにするために、側面被覆部17は台形状にする(
図7)。
【0082】
棒状部材51は、カバー部材11を一端側が他端側よりも高くなり、また、一端側が他端側より高い傾斜配置で保たれるようにするために、基礎3に取付けられる骨組みまたは支持棒である。棒状部材51には、複数種類のものが存在する。棒状部材51については、後述する。
【0083】
棒通し部52は、棒状部材51を通すための筒状の部分である。棒通し部52は、カバー部材11を構成するカバー片12にそれぞれ取付けられて一体化される。棒通し部52については、後述する。なお、少なくとも1つの棒通し部52は、例えば、カバー片12における、連結部32や磁石41の位置の近傍などに、これらを避けるように設置される。
【0084】
カバー部材11の一端側の基礎3からの高さh2は、基礎3よりも高ければ良いが、好ましくは、以下のようにする。
【0085】
(A5)
図6に示すように、カバー部材11の一端側の基礎3からの高さh2は、基礎3内に設置される床下機器61の搬入高さh3より高くしても良い。
【0086】
ここで、床下機器61は、床下に設置される機器類のことであり、例えば、空調装置の室内機や、床下暖房装置などがある。
【0087】
搬入高さh3は、床下機器61を通すのに必要な上下方向4の寸法である。なお、搬入高さh3は、床下機器61の上下寸法に、所要の作業スペースを足した寸法となる。搬入高さh3は、例えば、450mm~600mm、好ましくは600mm程度に設定することができる。
【0088】
そして、基礎3の水上側の辺(長辺3a)には、長辺3aに沿った上方の位置に、搬入高さh3よりも高くなるように棒状部材51を設置する。この棒状部材51に対し、カバー部材11を上から被せるようにする。これにより、基礎3に設置されたカバー部材11の一端側が上記した高さh2まで持ち上げられると共に、基礎3の上部と、棒状部材51との間に、床下機器61の搬入用の作業スペースが確保される。上記した高さh2は、例えば、600mm~800mm、好ましくは700mm程度とすることができる。
【0089】
これに伴い、カバー部材11の一端側(水上側)の側面被覆部16は、その幅(または、設置したときの上下寸法)が、搬入高さh3の寸法よりも大きくした高さh2の分だけ、他端側(水下側)の側面被覆部16の幅よりも広くなる。
【0090】
(基礎カバー8の設置構造について)
【0091】
基礎カバー8の設置構造は、どのようにしても良いが、例えば、以下のようにする。
【0092】
(B1)
図5A(
図5B)に示すように、建物1の基礎3には、基礎3を上から覆う基礎カバー8が設けられる。
基礎カバー8は、基礎3から突設されたボルト部材71に対し、取付金具72、または、取付金具72に取付けられた棒状部材51を介して保持されるようにする。
【0093】
ここで、基礎カバー8の設置構造は、基礎3に対して基礎カバー8を設置するための構造である。
【0094】
ボルト部材71は、例えば、基礎3の上部(外周立上部の上面)から上方へ向けて突設するように基礎3(の外周立上部)に埋設されたアンカーボルトを用いるのが好ましい。ただし、アンカーボルトとは別に、基礎カバー8を設置するための専用のボルト部材71を基礎3に取付けて使うことも可能である。ユニット建物の場合、アンカーボルトは、少なくとも、基礎3の上部に建物ユニット2を設置したときの、各建物ユニット2の4つのコーナー部(となる柱2a)の位置またはその近傍にそれぞれ設置される。アンカーボルトは、また、基礎3の短辺3c,3dの中間部などにも適宜設置される。
【0095】
図9(
図10)に示すように、取付金具72は、ボルト部材71に設置されて、棒状部材51をボルト部材71に固定するための金具(支持棒取付用金具)であり、少なくともその下部に、ボルト部材71に取付可能なボルト取付部73を有している。
【0096】
ボルト取付部73は、例えば、ボルト部材71に対して直接螺着可能なナット部73aとしても良い。
【0097】
ナット部73aは、例えば、六角ナット、高ナット、六角ナットなどの複数種類のナット部材を組み合わせて構成しても良い。
【0098】
取付金具72は、少なくともその上部に、棒状部材51を固定可能なクランプ部74を有している。クランプ部74は、クランプ支持部75に取付けられる。
【0099】
クランプ部74は、例えば、半割円筒状の2つのクランプ片74a,74bの一側(上側)をヒンジ部74cで開閉可能に連結した構造を有している。クランプ片74a,74bは、他側(下側)が、ボルト・ナットなどの締結固定部材74dによってクランプ支持部75に固定される。締結固定部材74dのナットは、手で操作できるように蝶ナット(
図10(c))を用いるのが好ましい。
【0100】
取付金具72は、下部のボルト取付部73と、上部のクランプ支持部75との間に介在されるように、高さ設定部材76を有している。高さ設定部材76は、取付金具72の高さを規定する部材である。高さ設定部材76には、例えば、上下方向4に延びる寸切りボルトや上下両端にネジ部を有するロッドなどを使うことができる。
【0101】
取付金具72は、基礎3に対する設置位置に応じて、複数種類のものが使用される。取付金具72については後述する。
【0102】
棒状部材51は、基礎カバー8を、基礎3の上部を覆った状態に保たせるための骨組みとなる、棒状をした長尺の部材である。棒状部材51には、適度な重さと必要な強度が得られるように、例えば、金属製の中空のパイプ部材(支持パイプ)を使用するのが好ましい。
【0103】
棒状部材51は、基礎3に対する設置位置に応じて、複数種類のものが使用される。棒状部材51については後述する。
【0104】
基礎カバー8は、ボルト部材71に取付けた取付金具72または棒状部材51に対し、少なくとも1箇所以上で繋がれて固定されることで、間接的にではあるが基礎3に対して固定されることになるため、基礎3を利用した強固な固定状態が得られる。ただし、基礎カバー8は、ボルト部材71に直接固定される部分を有していても良い。
【0105】
(B2)取付金具72は、基礎3の水上側の辺に設置される水上金具81(
図9)と、基礎3の水下側の辺に設置される水下金具82(
図10)と、を備えても良い。
水上金具81は、水下金具82よりも高いものである。
棒状部材51は、水上側の辺に沿い配設されて、水上金具81によって支持される横水平材83と、横水平材83とほぼ垂直に配設されて、水上金具81および水下金具82によって下り勾配に支持される縦斜材84と、を備えても良い。
更に、縦斜材84間の位置に縦斜材84と平行に配設されて、基礎カバー8に上から載置される上押さえ棒85(
図5A)を備えても良い。
【0106】
ここで、水上側の辺は、基礎3における、互いに平行な一対の長辺3a,3bのうちの一方であり、この実施例では、長辺3aとなっている。
【0107】
水上金具81は、
図9に示すように、上部に2本の棒状部材51(横水平材83および縦斜材84)をそれぞれ固定可能な2つのクランプ部74を有している(第一クランプ部86、第二クランプ部87)。
【0108】
クランプ支持部75は、水平面75aと垂直面75bとを有するL型のアングル金具などとされており、垂直面75bが縦斜材84の延設方向(基礎3の短辺3c,3dと平行な方向)へ向けられている。
【0109】
クランプ部74は、水平面75aおよび垂直面75bに対し、高さ違いに取付けられている。
【0110】
位置が低い水平面75aには、横水平材83のクランプ部74(第一クランプ部86)が、横水平材83の延設方向(基礎3の長辺aと平行な方向)へ向くように取付けられる。
【0111】
水平面75aよりも位置が高い垂直面75bの上部には、縦斜材84のクランプ部74(第二クランプ部87)が、縦斜材84の延設方向へ向くように取付けられる。
【0112】
なお、第一クランプ部86の下部の位置(ほぼ横水平材83に対する取付位置)は、少なくとも上記した床下機器61の搬入高さh3とほぼ同じかそれよりも若干高くなるように設定される。そして、基礎カバー8の水上側の部分は、第一クランプ部86よりも高い、第二クランプ部87に固定された縦斜材84に対し、縦斜材84の上から被せられる。
【0113】
水上金具81の下部のボルト取付部73と、上部のクランプ支持部75(の水平面75a)との間に設けられる高さ設定部材76は、水上金具81の高さを規定する長い支柱状部材である。高さ設定部材76は、下端部をボルト取付部73(のナット部73a)に螺着され、上端部をクランプ支持部75に六角ナットを用いて締結固定される。
【0114】
水下側の辺は、基礎3における、互いに平行な一対の長辺3a,3bのうちの他方であり、この実施例では、長辺3bとなっている。
【0115】
水下金具82は、
図10に示すように、上部に棒状部材51(縦斜材84)を固定可能な1つのクランプ部74を有している(第三クランプ部88)。
【0116】
クランプ支持部75は、水平面75aと垂直面75bとを有するL型のアングル金具などとされ、垂直面75bが縦斜材84の延設方向へ向けられている。
【0117】
クランプ部74は、垂直面75bの上部に縦斜材84の延設方向へ向くように取付けられている。そして、基礎カバー8の水下側の部分は、第三クランプ部88に固定された縦斜材84に対し、縦斜材84の上から基礎3よりも若干高くなるように被せられる。
【0118】
水下金具82の下部のボルト取付部73と、上部のクランプ支持部75(の水平面75a)との間に設けられる高さ設定部材76は水下金具82の高さを規定する短い支柱状部材である。水下金具82の高さ設定部材76は、水上金具81の高さ設定部材76よりも(縦斜材84の傾斜角度に応じた分だけ)短くなっている。水下金具82のクランプ支持部75は、高さ設定部材76によって、基礎3の上部よりも若干高い位置に支持される。高さ設定部材76は、下端部をボルト取付部73に螺着され、上端部をクランプ支持部75に六角ナットを用いて締結固定される。
【0119】
なお、水下金具82の高さ設定部材76は短くて良いため、クランプ支持部75そのものを下方へ延びる形状にして、高さ設定部材76の機能を持たせるようにしても良い。例えば、クランプ支持部75は、垂直面75bを高さ設定部材76の分だけ延ばして、水平面75aを直接ボルト部材71に固定させるようにしても良い。また、クランプ支持部75のL型のアングル金具の2つの面を上下方向4へ向けると共に、所要の長さにして配置することで、クランプ支持部75は、クランプ部74の取付機能と、高さ設定機能とを兼備させることが可能である。
【0120】
更に、基礎3のその他の辺には、固定金具91(
図11)が設置されても良い。その他の辺は、基礎3における、互いに平行な一対の短辺3c,3dとなる。固定金具91は、基礎3の短辺3c,3dに設けられたボルト部材71の少なくとも1つ以上または全てに対して取付けられる。
【0121】
固定金具91は、基礎カバー8(の内面被覆部14)の側縁部周辺などを基礎3の短辺3c,3dに固定するための支柱状をした金具(カバー取付用金具)である。固定金具91は、棒状部材51を支持するための取付金具72ではない。しかし、固定金具91を備えることにより、基礎カバー8に設置方向13に対する張りを持たせると共に、基礎3の短辺3c,3dの最も近くに位置する縦斜材84に作用される風力の影響を軽減することができる。
【0122】
固定金具91は、水平面91aと垂直面91bと三角形状の側板部91cとを有する側面視ほぼ三角形状のコーナー金具などとされる。水平面91aは、帯状をして基礎3の短辺3c,3dの幅方向に延設される。垂直面91bは、帯状をして幅方向が基礎3の短辺3c,3dの延設方向へ向けられる。側板部91cは、水平面91aと垂直面91bとの片側の側面間を連結する。
【0123】
固定金具91の下部に位置する水平面91aは、基礎3の上部に直接当接する面(取付面)を有するボルト取付部73となっている。水平面91aには、ボルト挿通孔73bが形成され、ボルト挿通孔73bにボルト部材71を通してナット部材で上から基礎3に締結固定可能となっている。
【0124】
垂直面91bは、その上部に、高さ調整プレート92が、上下方向4にスライド移動可能に取付けられる。高さ調整プレート92は、垂直面91bとほぼ同じ幅寸法を有して上下方向4に延びる矩形状の板材であり、垂直面91bと平行な面を有している。高さ調整プレート92は、縦斜材84の固定金具91と近接する部分と同じ高さかそれよりも若干低くなるように、その設置位置に応じた高さに調整される。
【0125】
垂直面91bと高さ調整プレート92には、それぞれボルト・ナットなどの締結固定具93を通すためのボルト挿通孔94a,94bが形成されており、締結固定具93で面直方向に締結固定される。
【0126】
ボルト挿通孔94a,94bのうちの少なくとも一方は、上下方向4に延びる長孔とされる。この実施例では、長孔は高さ調整プレート92のボルト挿通孔94bとされている。高さ調整プレート92は、上部に、基礎カバー8を取付けるための取付孔部92aを有している。
【0127】
基礎カバー8は、取付用補助部23(紐通し片)の取付穴22を使って、バンドなどの紐状部材21で固定金具91の上端部分(高さ調整プレート92の取付孔部92a)に固定される(例えば、
図19(b))。そのため、取付用補助部23や取付穴22は、少なくとも、基礎カバー8における各高さ調整プレート92の上端部分や、各ボルト部材71に近い位置(基礎3の長辺3a,3bの方向や、短辺3c,3dの方向に近い位置)に対して適宜設けられる。
【0128】
棒状部材51としての横水平材83および縦斜材84は、基礎3に取付けられて、基礎カバー8を下側から支える主要な骨組みである。なお、横水平材83における「横」、および、縦斜材84における「縦」は、基礎3の上部を平面的に見たときの長辺3a,3bおよび短辺3c,3dの向きのことである。
【0129】
横水平材83は、水上金具81の上部間を連結して一体化する棒状部材51である。横水平材83は、両端部以外の中間部が、基礎カバー8にほぼ接しないように複数の水上金具81の間に設置される。横水平材83は、基礎3における、水上側の辺(長辺3a)とほぼ同じ長さを有しており、水上側の辺の上方(真上またはその周辺)の高い位置(基礎3の上部より上記した床下機器61の搬入高さh3だけ高い位置)に、ほぼ水平に設置される。横水平材83は、両端部が最も外側に位置する水上金具81のクランプ部74から若干はみ出すように取付けられる。これにより、基礎カバー8を、基礎3の長辺3a,3bの方向へ拡げることができる。
【0130】
縦斜材84は、基礎カバー8を下側から直接支持する棒状部材51である。縦斜材84は、基礎3における、一対の短辺3c,3dとほぼ同じ(または、傾斜させる分だけ短辺3c,3dよりも長い)長さを有している。縦斜材84は、短辺3c,3dの上方(真上またはその周辺)の位置、および、基礎3の内側の適宜の位置に、単数または複数、水上側から水下側へ向けて下り勾配に設置される。ユニット建物の場合、基礎3の内側の縦斜材84は、互いに隣接する建物ユニット2間のほぼ境界部31となる位置の近傍にそれぞれ1本ずつ設置される。縦斜材84は、両端部が水上金具81および水下金具82のクランプ部74(第二クランプ部87、第三クランプ部88)から若干はみ出すように取付けられる。これにより、基礎カバー8を、基礎3の短辺3c,3dの方向へ拡げることができる。
【0131】
上押さえ棒85は、基礎カバー8の上に置いて、基礎カバー8を上側から押さえるための骨組み(中骨)である。上押さえ棒85は、基礎カバー8を下側から支えるための骨組みとしては使われておらず、他の骨組みとも直接連結されない。そのため、上押さえ棒85は、狭い意味では棒状部材51からは外れるが、全体として基礎カバー8の支えになっているので、広い意味では、骨組みの一部として棒状部材51に含めることができる。
【0132】
上押さえ棒85は、縦斜材84とほぼ同じ長さを有しており、隣接する縦斜材84間のほぼ中間の位置に、縦斜材84とほぼ平行に設置される。ユニット建物の場合、上押さえ棒85は、各建物ユニット2の幅中央部付近の位置にそれぞれ設置される。この実施例では、上押さえ棒85は、一端が横水平材83よりも上側に位置し、他端が基礎3の水下側の辺(長辺3b)の上側に位置するように設置される。
【0133】
上押さえ棒85を設置することにより、基礎カバー8には、上押さえ棒85の重みで、上押さえ棒85の位置が全体的に凹むことによる、下り勾配の排水溝89(
図8)が形成される。
【0134】
なお、上押さえ棒85の他端は、縦斜材84の他端の位置(ほぼ200mm程度の高さ)より低くなることで、長辺3bの上面に直接接地しても良いし、接地せずに長辺3bから若干浮いた状態となっても良い。
【0135】
この際、基礎カバー8は、縦斜材84の位置を山の頂部とし、上押さえ棒85の位置を谷の底とする山谷形状になると共に、山谷の方向(基礎カバー8の設置方向13)へ引っ張られることになる。また、カバー片12どうしの連結部32を、山(縦斜材84)と谷(上押さえ棒85)との間の、山寄りの比較的高い位置に設定することで、連結部32から雨水が入り難くなる。この実施例では、連結部32は、縦斜材84よりも若干短辺3d側となる位置に設けている。
【0136】
なお、横水平材83、縦斜材84、上押さえ棒85は、それぞれ同じ径寸法や肉厚に揃えることができるが、必要な強度などが異なっているので、径寸法や肉厚などを異ならせるようにしても良い。この実施例では、基礎カバー8を直接支持することで最も高い強度が必要になる縦斜材84を、最も大径かつ厚肉にしている。そして、基礎カバー8の上に載せるだけでそれほどの強度を必要としない上押さえ棒85は、最も小径かつ薄肉にしている。また、横水平材83は、縦斜材84と同じか、縦斜材84と上押さえ棒85との中間の径および肉厚にしている。
【0137】
(B3)
図12に示すように、棒状部材51は、長さ調節が可能なものとしても良い。
【0138】
ここで、長さ調節可能は、長さを変更できることである。棒状部材51は、長さ調節できないものとしても良いが、長さ調節できるようにするのが好ましい。長さ調節のために、棒状部材51は、例えば、複数の金属製の短いパイプ片51aと、金属製のネジ式ジョイント51bとによって構成しても良い。
【0139】
この場合、棒状部材51は、複数の短いパイプ片51aをネジ式ジョイント51bで接続して継ぎ足すことで、所要の長さが得られるようにしている。反対に、ネジ式ジョイント51bの位置でパイプ片51aを取外すことで、棒状部材51は、複数の短いパイプ片51aに分解される。パイプ片51aは、全て同じ長さとしても良いし、長さが異なるものを混ぜても良い。パイプ片51aを全て同じ長さにした場合、棒状部材51は、1本のパイプ片51aの整数倍の長さになる。
【0140】
パイプ片51aは、両端部の外周面に雄ネジ部51cを有している。ネジ式ジョイント51bは、パイプ片51aの端部に外嵌可能な内径を有する単管状部材とされ、内周面には雄ネジ部51cが螺着可能な雌ネジ部51dを有している。
【0141】
ネジ式ジョイント51bは、パイプ片51aとは別部材として構成しても良いし、パイプ片51aの一端部に固定してパイプ片51aと一体化しても良い。
【0142】
棒状部材51は、横水平材83、縦斜材84、上押さえ棒85のうちの少なくとも1つを長さ調節可能に構成すれば良いが、全てを長さ調節可能とするのが好ましい。
図12は、縦斜材84の例となっているが、横水平材83、上押さえ棒85についても同様の長さ調節構造(または連結構造)を備えることができる。
【0143】
具体的には、横水平材83を構成する主なパイプ片51aは、ユニット建物の場合には、建物ユニット2の短い辺の整数分の1の長さに形成するのが好ましい。
【0144】
また、縦斜材84および上押さえ棒85を構成する主なパイプ片51aは、ユニット建物の場合には、建物ユニット2の長い辺の整数分の1の長さに形成するのが好ましい。
【0145】
なお、縦斜材84および上押さえ棒85を構成するパイプ片51aは、どのような長さとしても良いが、横水平材83を構成するパイプ片51aと同じ長さに揃えることもできる。ただし、横水平材83、縦斜材84、上押さえ棒85は、構成するパイプ片51aの長さを、互いに異ならせることもできる。
【0146】
また、棒状部材51の長さ調節機構は、上記に限るものではなく、例えば、ネジ式ジョイント51b以外の各種ジョイント構造や、インロー継ぎによる継ぎ足し構造や、入れ子式の多重筒による伸縮構造などを採用しても良い。ただし、強度的には、ネジ式ジョイント51bを用いるのが、必要な耐風性能を確保する上で最も好ましい。また、構造的にも、ネジ式ジョイント51bは、最もシンプルとなるので好ましい。
【0147】
(B4)棒状部材51は、基礎カバー8に備えられた棒通し部52(
図12)に通して設置されるようにしても良い。
【0148】
ここで、棒通し部52は、棒状部材51を通す筒状の部分であり、基礎カバー8に、少なくとも一つ以上設けられる。棒通し部52は、棒状部材51よりも若干太い径を有し、棒状部材51とほぼ同じか若干短い長さの筒状体とするのが好ましい。棒通し部52は、基礎カバー8とほぼ同じ素材で形成するのが好ましい。棒通し部52は、基礎カバー8における、棒状部材51の設置位置に、棒状部材51の設置方向へ向けて連続して延びるように取付けられる。
【0149】
基礎カバー8は、基礎3全体を同時に覆い得る一枚物の大判のものとしても良いが、上記したようにユニット建物の場合には、基礎カバー8は、ユニット建物ごとの大きさのカバー片12に分割するのが好ましい。この場合、棒通し部52は、カバー片12ごとに、それぞれ少なくとも一つ以上設けるようにする(
図7)。この実施例では、各カバー片12には、縦斜材84と、上押さえ棒85とを通して固定するための棒通し部52が設けられる。
【0150】
なお、横水平材83のための棒通し部52は設けられていないが、必要に応じて、横水平材83のための棒通し部52を設けることもできる。
【0151】
(B5)
図7(
図8)に示すように、棒通し部52は、
基礎カバー8の下面側に設けられる下面側通し部52aと、
基礎カバー8の上面側に設けられる上面側通し部52bと、を備えても良い。
図8に示すように、縦斜材84は、下面側通し部52aを通して基礎カバー8の下面側に設置されても良い。
上押さえ棒85は、上面側通し部52bを通して基礎カバー8の上面側に設置されても良い。
【0152】
ここで、下面側通し部52aは、基礎カバー8の下側に棒状部材51(縦斜材84)を通して、棒状部材51を基礎カバー8に保持固定するものである。下面側通し部52aは、基礎カバー8の下面側に、縫付けまたは溶着などによって取付けられる。なお、下面側通し部52aは、カバー片12の内面被覆部14における、水上金具81の第二クランプ部87と、水下金具82の第三クランプ部88との間となる位置に設けられる。下面側通し部52aは、第二クランプ部87と第三クランプ部88との間の距離とほぼ同じかそれよりも短い長さに形成される。
【0153】
上面側通し部52bは、基礎カバー8の上側に棒状部材51(上押さえ棒85)を通して、棒状部材51を基礎カバー8に保持固定するものである。上面側通し部52bは、基礎カバー8の上面側に、縫付けまたは溶着などによって取付けられる。なお、上面側通し部52bは、基礎3の短辺3c,3dとほぼ同じかそれよりも短くなるように、カバー片12の内面被覆部14に形成される。
【0154】
基礎カバー8を、ユニット建物ごとの大きさのカバー片12に分割した場合、各カバー片12は、少なくとも1本の縦斜材84と、1本の上押さえ棒85を通せるように、棒通し部52を合わせて2つ備えるようにする。
【0155】
2つの棒通し部52は、カバー片12の一方(基礎3の短辺3c側)の側縁部と、幅中央部(またはその近傍)とにそれぞれ設置される。一方の側縁部の棒通し部52は下面側通し部52aとされて、縦斜材84が通される。幅中央部の棒通し部52は上面側通し部52bとされて、上押さえ棒85が通される。ただし、最初に設置されるカバー片12については、他方(基礎3の短辺3d側)の側縁部についても基礎3の短辺3dの近傍の縦斜材84のための棒通し部52(下面側通し部52a)が設置される。
【0156】
なお、上記した基礎カバー8の設置構造は、ユニット建物の基礎3に限らず、一般的な建物1の基礎3に対しても適用することが可能である。
【0157】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0158】
上記基礎カバー8の設置構造に基づいた、上記基礎カバー8の設置方法は、以下のようになる。
【0159】
(B1)
図5A(
図5B)に示すように、建物1の基礎3を、基礎カバー8で上から覆う。この際、基礎3から突設されたボルト部材71によって、取付金具72、または、取付金具72に取付けられた棒状部材51を介して、基礎カバー8を(基礎3に)保持する。
【0160】
(B2)取付金具72として、基礎3の水上側の辺に水上金具81(
図9)を設置すると共に、基礎3の水下側の辺に水上金具81よりも低い水下金具82(
図10)を設置する。棒状部材51として、横水平材83を、水上側の辺に沿い配設して水上金具81によって支持すると共に、横水平材83とほぼ垂直な縦斜材84を、水上金具81および水下金具82によって下り勾配に支持する。取付金具72および棒状部材51によって、水上側が高くなり、水下側が低くなるように基礎カバー8で基礎3を上から斜めに覆う(傾斜状態で設置する)。そして、縦斜材84間の位置に縦斜材84と平行な上押さえ棒85(
図5A)を、基礎カバー8に上から載置して、基礎カバー8に排水溝89を形成する。
【0161】
(B3)
図12に示すように、棒状部材51には、長さ調節が可能な部材を使用する。そして、棒状部材51は、状況に応じて、長さ調節を行いながら、基礎3や基礎カバー8などに対して取り付けたり、反対に取り外したりする。
【0162】
(B4)棒状部材51を、基礎カバー8に備えられた棒通し部52(
図12)に通して設置する。
【0163】
(B5)この際、
図7(
図8)に示すように、棒通し部52を、基礎カバー8の下面側に設けられる下面側通し部52aと、基礎カバー8の上面側に設けられる上面側通し部52bとする。
図8に示すように、縦斜材84を、下面側通し部52aを通して基礎カバー8の下面側に設置する。上押さえ棒85は、上面側通し部52bを通して基礎カバー8の上面側に設置する。
【0164】
また、上記基礎カバー8を用いた建物1の仮雨仕舞方法は、以下のようにする。
【0165】
(A1)建物1の基礎3を上からカバー部材11で覆う。この際、カバー部材11を分割して、建物ユニット2の大きさに合わせた複数のカバー片12を設ける。または、カバー部材11を、建物ユニット2の大きさに合わせて形成された複数のカバー片12で構成する。そして、各カバー片12を(基礎3に対する)建物ユニット2の配置(据付け位置)に応じて基礎3の上に複数並べて設置する。
【0166】
(A2)
図7に示すように、(基礎3の上に複数並べて設置した)カバー片12を、建物ユニット2間の境界部31(例えば、
図3)に位置する側縁部に設けた連結部32,33で互いに連結する。これにより、カバー片12は一体のカバー部材11になる。
【0167】
(A3)
図8に示すように、カバー片12は、側縁部に備えた磁石41で建物ユニット2に対して磁気吸着できるようにしておく。これにより、カバー片12の側縁部と、建物ユニット2との隙間をなくして、隙間からの雨水の浸入を防止する。
【0168】
(A4)基礎3に対するカバー片12の設置時には、
図5A(
図5B)に示すように、カバー部材11を、基礎3に設置された棒状部材51によって、一端側が他端側より高い傾斜状態で支持する(
図6)。そして、カバー片12に設けた棒通し部52(
図8)に、棒状部材51を通す。または、棒通し部52に通すことで、棒状部材51をカバー片12に保持させる。
(A5)この際、
図6に示すように、カバー部材11の一端側の基礎3からの高さh2を、基礎3内に設置される床下機器61の搬入高さh3より高くする。
【0169】
(A6)上記において、基礎3の上に建物ユニット2を順番に設置して行く際には、カバー部材11は、設置する建物ユニット2を基礎3の上方に浮かせた状態で、浮いた建物ユニット2の下に位置するカバー片12を(めくるなどして)取り除くようにする。これにより、カバー片12を取り除いた部分から基礎3への雨水の浸入が防止される。
【0170】
(A7)カバー片12を取り除いた位置へ建物ユニット2を据付けた後には、取り除いたカバー片12に隣接していた別のカバー片12の側縁部に設けた磁石41で、側縁部を据付けた建物ユニット2に磁気吸着させる。
【0171】
(A8)カバー片12は側縁部に、互いに重なる重複部18,19を設けておく。そして、基礎3に対して、カバー片12は、側縁部を上に重ねながら(重複部19の上に重複部18を重ねながら)、建物ユニット2の据付け順の遅い側から早い側へ向けて順に設置する。反対に、カバー片12は、建物ユニット2の据付け順の早い側から遅い側へ向けて順に基礎3から取り除くようにする。
【0172】
(A9)そして、基礎3の上に建物ユニット2を据付ける際には、建物ユニット2の上面を仮雨仕舞シート7で(予め)覆っておき、建物ユニット2の隣に別の建物ユニット2を据付けたときに、互いに隣接する建物ユニット2の上面の仮雨仕舞シート7どうしを連結する。
【0173】
(A10)建物ユニット2の上面を覆う仮雨仕舞シート7は、建物ユニット2の上に、上階Hの建物ユニット2を設置する際に、上階Hの建物ユニット2を建物ユニット2の上方に浮かせた状態で、浮いた上階Hの建物ユニット2の下に位置する仮雨仕舞シート7を(めくるなどして)取り除く。
【0174】
(A11)仮雨仕舞シート7には、建物ユニット2の側面の上部を覆う側面上部カバー部7aを形成する。そして、隣接する仮雨仕舞シート7は、側面上部カバー部7aを上へ曲げた状態にして、側面上部カバー部7aどうしを連結すると共に、連結した側面上部カバー部7aを、連結した状態で二つ折りに曲げる。
【0175】
(A12)上記したように、ユニット建物(建物1)の基礎3の、少なくとも、水上側の辺(長辺3a)から突設されたボルト部材71に、水上金具81を介して、水上側の辺(長辺3a)に沿って延びる横水平材83を取付ける。水上側の辺(長辺3a)よりも高くなるように横水平材83が設置された基礎3を、基礎カバー8で上から斜めに覆う。基礎カバー8の周縁部を、紐状部材21やペグ24で地面に固定すると共に、基礎3から突設されたボルト部材71、または、ボルト部材71に取付けた固定金具91に固定しておく。この状態で、基礎カバー8の除去方法では、基礎3に対して最初の建物ユニット2を据付ける直前に、紐状部材21、ペグ24、固定金具91、および、横水平材83の最初に建物ユニット2を据付ける部分を、取り外すようにする。
【0176】
以下、上記のより具体的な、基礎カバー8の使用の仕方などについて、設置の仕方と外し方に分けて説明する。
【0177】
(基礎カバー8の設置の仕方について)
【0178】
基礎3の上に基礎3全体を覆うように基礎カバー8を設置する。その際の作業の流れについて説明する。
【0179】
まず、
図13に示すように、基礎3のボルト部材71に対して取付金具72などを取付ける(取付金具等設置工程)。
【0180】
この際、基礎3の水上側の辺(長辺3a)には水上金具81を取付け、水下側の辺(長辺3b)には水下金具82を取付ける。また、その他の辺(短辺3c,3d)に対して、固定金具91を取付ける。固定金具91は、縦斜材84の近傍部分とほぼ同程度の高さに調整する。調整は、取付けのときに行なっても良いし、縦斜材84を設置した後で行なっても良い。
【0181】
なお、ユニット建物の場合、ボルト部材71(アンカーボルト)は、基礎3の各建物ユニット2を据付ける位置における、少なくとも、建物ユニット2の4つのコーナー部またはその近傍となる位置に設置される。そのため、隣接する建物ユニット2の境界部31の位置では、基礎3の長辺3a,3bに対し、比較的近い位置に、隣接する建物ユニット2のためのボルト部材71が2つ並んで設置される。この場合、取付金具72(水下金具82および水上金具81)は、2つのうちのどちらか一方のボルト部材71に取付けるようにする。
【0182】
この実施例では、基礎3に対する各建物ユニット2の据付け位置に設けられる4つのボルト部材71のうちの、建物ユニット2の据付け順の早い側(この実施例では、短辺3cの側)に位置する2つのボルト部材71に対して取付金具72を取付けるようにする。残りの2つのボルト部材71については、基本的に、取付金具72は取付けないようにする。よって、境界部31の位置で2つ並んで設置されたボルト部材71においては、短辺3d側に位置するものが取付金具72の取付けに使用される。
【0183】
なお、据付け順が最後となる建物ユニット2の位置については、4つのコーナー部の全てのボルト部材71に対して取付金具72を取付けるようにする。
【0184】
取付金具72は、水上金具81と水下金具82とを、対にして取付けるようにする。
【0185】
そして、ボルト部材71に取付けた取付金具72を使って、基礎3の上方に棒状部材51を設置する(第一支持棒設置工程)。
【0186】
まず、水上金具81のほぼ上端間に横水平材83をほぼ水平に設置して、横水平材83で全ての水上金具81を連結する。横水平材83は、予めつないで長くしてから設置しても良いし、つないで長くしながら設置しても良い。横水平材83は、基礎3の水上側の辺の上方の、比較的高い位置に設置される。
【0187】
そして、基礎3の上方に横水平材83を設置したら、
図14に示すように、横水平材83の上から、基礎3の上に基礎カバー8を被せる。これにより、基礎カバー8は、横水平材83の両端によって、水上側が基礎3の長辺3aの延設方向へ拡がって基礎3の短辺3c,3dを覆い得る状態に形状保持される。
【0188】
この際、基礎カバー8は、内面被覆部14によって基礎3の一側を覆い、側面被覆部16によって基礎3の長辺3a,3bを覆い得る状態に設置する。なお、最初と最後のカバー片12については、側面被覆部17によって基礎3の短辺3c,3dを覆い得る状態に設置する。
【0189】
基礎カバー8は、複数のカバー片12を予めつないで大きくした状態で設置しても良いし、
図15に示すように、各建物ユニット2の位置に対応するカバー片12を個別に設置し、後から各カバー片12どうしを連結部32,33で一体につないで大きくしても良い。
【0190】
各カバー片12を後からつなぐ場合には、カバー片12は、建物ユニット2の据付け順の遅い側(この実施例では、基礎3の短辺3dの側)から早い側へ向けて順に設置する。カバー片12は、先に設置されたカバー片12の側縁部(重複部19)の上に、隣接する側縁部の一部(重複部18)が重なるように一枚ずつ順番に設置する(
図8参照)。
【0191】
そして、カバー片12は、一枚設置するごとに、棒通し部52(下面側通し部52a)に縦斜材84を通すことで、縦斜材84とカバー片12とを一体化し、縦斜材84によって一側縁部を真っ直ぐに張った状態に形状保持する。そして、縦斜材84は、両端を水上金具81と水下金具82とに固定して、縦斜材84を下り勾配に支持する。これにより、カバー片12は、基礎3の内側を覆う部分(内面被覆部14)の水上側および水下側が、縦斜材84の両端によって、それぞれ短辺3c,3dの延設方向へ拡げられる。
【0192】
以上により、カバー片12は、水上側から水下側へ向けて下り勾配に傾いた状態に拡がって、カバー片12の上に雨水がたまり難い形状の原型ができる(第二支持棒設置工程)。
【0193】
なお、カバー片12は、先に棒通し部52(下面側通し部52a)に縦斜材84を通してから、順番に基礎3の上に設置するようにしても良い。これにより、カバー片12を表裏反転して下面が上になった状態で、上になった棒通し部52に縦斜材84を通すことができるので、棒通しの作業性を良くすることができる。
【0194】
縦斜材84は、予めつないで長くしてから棒通し部52(下面側通し部52a)に通して水上金具81と水下金具82とに両端部を固定しても良いし、つないで長くしながら棒通し部52に通して水上金具81と水下金具82とに両端部を固定しても良い。
【0195】
そして、基礎3の上に設置した全てのカバー片12に縦斜材84を通して固定したら、上記したように、隣接するカバー片12は、側縁部どうしの重なった部分を連結部32,33でつなげて一体化する。これにより、隣接するカバー片12の側縁部間から雨水が漏れ難くなる。
【0196】
連結部32がファスナーの場合、カバー片12の片側(例えば、水下側)でファスナーをかませて、反対側(例えば、水上側)からリード用の紐32cを引っ張る。これにより、基礎3内に立ち入ることなく、ファスナーによるカバー片12(の内面被覆部14)の連結が行われる。リード用の紐32cの先端部は、連結後には片側(例えば、水下側)へ戻しておくようにするのが好ましい。
【0197】
また、連結部33が面ファスナーの場合、隣接するカバー片12(の側面被覆部16)の側縁部どうしを重ね合わせて上から押し付けるだけで、面ファスナーが接合される。なお、同一のカバー片12(の側面被覆部16と側面被覆部17)の間の連結部33(面ファスナー)も同様にして適宜のタイミングで連結する。
【0198】
図16、
図17に示すように、カバー片12を連結して一枚の基礎カバー8にしたら、基礎カバー8の上に上押さえ棒85を設置する(第三支持棒設置工程)。この実施例では、上押さえ棒85は、水上側から水下側へ向けて差込むようにしているが、どちら側から差込んでも良い。
【0199】
上押さえ棒85は、予めつないで長くしてから棒通し部52(上面側通し部52b)に通しても良いし、つないで長くしながら棒通し部52(上面側通し部52b)に通しても良い。これにより、上押さえ棒85とカバー片12とは一体化される。
【0200】
また、上押さえ棒85は、水上側の端部が横水平材83の上方に位置されると共に、水下側の端部が基礎3(の長辺3b)の上面の上側に位置される。
【0201】
このように、上押さえ棒85がカバー片12の上に設置されることで、カバー片12は、重みで下へ凹んで、
図17の状態から
図18に示すように、縦斜材84よりも急な下り勾配の状態になる。
【0202】
この際、カバー片12は、上押さえ棒85の重みで上から押さえられて、上押さえ棒85の位置を中心に下側へ凹まされ、全体の張りが強くなる。特に、カバー片12の水下側は、縦斜材84によって水下金具82の上端の位置に保持され、上押さえ棒85によって基礎3の上部または僅かにその上方となる位置まで下げられて水下金具82よりも低くなるため、比較的大きな山谷形状になる。
【0203】
これにより、カバー片12は、縦斜材84間の位置に、上押さえ棒85に沿った下り勾配の排水溝89が形成される。この排水溝89は、水上側から水下側へ向けて徐々に大きく深くなる。
【0204】
そして、
図19に示すように、基礎カバー8の張り具合を確認および調整しながら、基礎カバー8の周縁部の各部(取付穴22の位置)を、バンドなどの紐状部材21で棒状部材51や、取付金具72および固定金具91や、基礎3のボルト部材71などに固縛する。
【0205】
棒状部材51や上押さえ棒85を基礎カバー8に固定する場合は、直接バンドなどの紐状部材21を巻き付けて固縛しても良い。また、
図17(b)に示すように、棒状部材51の端部に通し孔95aを有するキャップ95を取付けて、キャップ95に設けた通し穴を使って、バンドなどの紐状部材21を基礎カバー8の取付穴22に通して固縛しても良い。
【0206】
更に、基礎カバー8の周縁部が風でバタつかないように、バンドなどの紐状部材21とペグ24を用いて周縁部を地面に補助的に固定しても良い。ペグ24は、なるべく基礎3に近い位置に打ち込むようにする。
【0207】
最後に、基礎カバー8の上に水をかけて耐水試験を行うのが好ましい。
【0208】
以上により、基礎3に対する基礎カバー8の設置が完了する。そして、基礎カバー8が、取付金具72などや棒状部材51などを介して基礎3のボルト部材71に強固に固定されることで、基礎カバー8の風による飛散を確実に防止することができる。
【0209】
(基礎カバー8の外し方について)
【0210】
次に、降雨時における、建物ユニット2の基礎3への据付けの仕方、および、その際の基礎カバー8の外し方について説明する。
【0211】
降雨時には、通常、建物ユニット2の基礎3への据付けは行われていないが、この実施例では、降雨時でも建物ユニット2の据付けが可能となっている。
【0212】
建物ユニット2の据付けの前には、基礎カバー8の上に雨水が溜まっていないことを確認する。基礎カバー8の上に雨水が溜まっている場合には、溜まった雨水を、例えば、ポンプなどで強制的に排水する(雨水除去工程)。
【0213】
そして、まず、基礎カバー8の周縁部の各部から、地面やボルト部材71、固定金具91、取付金具72などや棒状部材51などに固縛しているバンドなどの紐状部材21やペグ24を取外して、基礎カバー8の周縁部を固縛状態から解放する(周縁部解放工程)。なお、降雨時でない場合には、基礎カバー8は、そのまま一気に全体を取外すことができる。この作業は、基礎2に最初の建物ユニット2を据え付ける直前に行う。最初の建物ユニット2を据え付ける直前とは、概ね、据え付けの当日における、建築現場へ最初の建物ユニット2が到着する前後から、最初の建物ユニット2を基礎2の上に吊り上げるまでの間とするのが好ましい。
【0214】
そして、建物ユニット2は、基礎3に対して短辺3cの側から短辺3dの側へ向けて据付方向5に1つずつ順番に据付けて行くことになる。この際、
図20に示すように、基礎3における、建物ユニット2を据付ける位置に設置されている上押さえ棒85や棒状部材51(横水平材83の一部や縦斜材84)のみを基礎3から取外して行く。また、その部分に設置された取付金具72(水下金具82、水上金具81)も基礎3から取外す。その部分に固定金具91がある場合には固定金具91も取外す(棒状部材等部分的取外工程)。基礎3の他の部分については、棒状部材51や取付金具72などはまだ残しておく。
【0215】
この際、上押さえ棒85は、棒通し部52から完全に引抜くようにする。上押さえ棒85は、棒通し部52(上面側通し部52b)から全体を一気に引抜くようにして外しても良い。また、上押さえ棒85は、棒通し部52から引抜きつつ、ネジ式ジョイント51bを外して、短いパイプ片51aに分解しながら外して行くようにしても良い。なお、上押さえ棒85は、1本ごとのパイプ片51aに分解する必要はなく、敷地から出ない程度の長さに程度に分解して行くのが最も効率的であり、作業も短時間で済む(他の棒状部材51についても同様である)。
【0216】
縦斜材84については、取付金具72(水下金具82、水上金具81)から取外した状態にすれば基礎3からは外れるので、そのまま棒通し部52(下面側通し部52a)内に残しておいても良い。
【0217】
横水平材83については、建物ユニット2を据付ける部分のみ外せれば、どのように外しても良い。横水平材83は、例えば、外す部分と残す部分との間にある1箇所のネジ式ジョイント51bで分解して、外す部分を建物ユニット2の据付け順の早い側(この実施例では、短辺3cの側)から引抜くようにしても良い。反対に、例えば、建物ユニット2の据付け順の遅い側(この実施例では、短辺3dの側)の位置で、建物ユニット2の一つ分の短辺3c,3dの長さだけ横水平材83を引抜いても良い。短辺3dの側では、取付金具72(水上金具81)から引抜いた横水平材83の部分をパイプ片51aに分解して除去する。この場合には、全ての水上金具81のクランプ部74を緩めて、横水平材83をクランプ部74内でスライドできるようにしておく。あるいは、外す部分と残す部分との間にある1箇所のネジ式ジョイント51bで分解した後、外す部分の中間に位置する1箇所のネジ式ジョイント51bで分解して外す部分を2分割し、それぞれを内側へ向けて引抜くようにしても良い。建物ユニット2をまだ据付けない部分については、横水平材83は、基礎3の上にそのまま残しておく。
【0218】
そして、棒状部材51を外した部分の取付金具72や固定金具91は、上記したように、ボルト部材71から取外して回収する。
【0219】
このような状態になったら、クレーンで建物ユニット2を吊り上げて、
図21(a)に示すように、基礎3の据付ける位置の真上に浮かせた状態で、建物ユニット2を一時的に保持する(棒状部材等部分的取外工程)。建物ユニット2は、高すぎず、低すぎない、カバー片12の取り除き作業に適した高さに浮かせるようにする。
【0220】
この状態で、基礎カバー8は、浮かせた建物ユニット2の下のカバー片12のみを、基礎3の短辺3dの側へ向けてめくり、隣接するカバー片12の上に重なるように仮置する(カバー片取り除き工程)。そして、
図21(b)に示すように、基礎3の、めくったカバー片12で覆われていた部分(または、カバー片12を取り除いた部分)の上に、建物ユニット2を据付ける(建物ユニット据付工程)。
【0221】
この際、据付けた建物ユニット2の下部(の床梁2c)に、隣接するカバー片12の建物ユニット2側の側縁部(または重複部19)に取付けた磁石41を、くっつけて、建物ユニット2の側面下部と隣接するカバー片12の側縁部との間を素早く塞ぐ(側縁部吸着工程)。磁石41は、縦斜材84よりも高い位置に取り付ける。
【0222】
こうして建物ユニット2を据付けたら、次の建物ユニット2を据付ける準備を行う。その間に、
図22A(a)に示すように、めくったカバー片12と隣接するカバー片12との間の連結部32,33を外して、めくったカバー片12を隣接するカバー片12から分離する(カバー片分離工程)。隣接するカバー片12は、基礎3の上にそのまま残される。
【0223】
連結部32がファスナーの場合、カバー片12の片側(例えば、水下側)からリード用の紐32cを引っ張ることで、基礎3内に立ち入ることなく、ファスナーが外され、めくったカバー片12が分離される。
【0224】
また、連結部33が面ファスナーの場合、カバー片12の側縁部(の側面被覆部16)どうしを引き剥がすようにする。なお、側面被覆部16の面ファスナーについては、カバー片12をめくる際に剥がしても良い。
【0225】
そして、めくったカバー片12の棒通し部52に縦斜材84を残している場合には、
図22A(b)に示すように、カバー片12をめくった後、または、カバー片12を分離した後にカバー片12の棒通し部52から縦斜材84を引抜く。この実施例では、縦斜材84は、水下側へ引抜くようにしているが、どちら側へ引抜いても良い。縦斜材84の引抜き方については、上記した上押さえ棒85と同様である。なお、カバー片12をめくるまでの間、カバー片12に縦斜材84を残しておくのは、縦斜材84を持って操作することで、カバー片12を素早くきれいにめくれるからである。
【0226】
カバー片12は、分離して縦斜材84を外した後に、
図22Bに示すように、残りの基礎カバー8の上などで折り畳み、更に、丸めるなどして、回収する(カバー片回収工程)。
【0227】
以後、上記を、全ての下階Lの建物ユニット2の据付けが終了するまで順番に行うようにする。
【0228】
以上により、降雨時でも、基礎3の内側をほとんど濡らすことなく、下階Lの建物ユニット2の据付けができるようになり、基礎3から基礎カバー8を段取り良く取外すことができる。
【0229】
以下、仮雨仕舞シート7の連結および取り外しについて説明する。
【0230】
(仮雨仕舞シート7の連結について)
【0231】
次に、基礎3の上に下階Lの建物ユニット2を隣接して据付ける際には、下階Lの建物ユニット2の上面に(予め)取り付けた仮雨仕舞シート7の隣り合う側面上部カバー部7a(
図23A(a))どうしを、それぞれ上へ折り曲げて(
図23A(b))、側面上部カバー部7aの裏面どうしを合わせた状態にして第二連結部7cで連結する(側面上部カバー部連結工程、
図23B(a))。
【0232】
連結した側面上部カバー部7aは、折曲補助線部7dの位置で二つ折りにして、側面上部カバー部7aの上縁部を下へ向けると共に、折り曲げた側面上部カバー部7aの内側に隠す(二つ折り工程、
図23B(b))。これにより、側面上部カバー部7aの(上)縁部からの、側面上部カバー部7a間への雨水の浸入を防止する。
【0233】
そして、二つ折りにした側面上部カバー部7aを、隣接する仮雨仕舞シート7の側へ倒してほぼ寝かせた状態にする(
図23C(a))。寝かせた側面上部カバー部7aは、必要に応じて、バンドなどの結束部材を用いて足場などに固定する(
図23C(b))。
【0234】
以後、下階Lの建物ユニット2を基礎3に全て据付けるまで上記を繰り返す。これにより、全ての仮雨仕舞シート7が連結されて一体化され、下階Lの建物ユニット2の上面が仮雨仕舞いされる。
【0235】
(仮雨仕舞シート7の取り外しについて)
【0236】
次に、下階Lの建物ユニット2の上に上階Hの建物ユニット2を端から順に載せるようにして並べて行く(
図4A)。その際に、上階Hの建物ユニット2を、下階Lの建物ユニット2の上方で一時的に浮かせた状態にして保持し、上階Hの建物ユニット2で下階Lの建物ユニット2の上を覆わせる。
【0237】
そして、浮かせた上階Hの建物ユニット2の下に位置する仮雨仕舞シート7をめくり、隣接する仮雨仕舞シート7の上へ仮置するなどして取り除き、めくった部分に上階Hの建物ユニット2を据付ける(
図23D(a))。めくられた仮雨仕舞シート7は、その後、隣接する仮雨仕舞シート7から分離して、畳み、回収して再利用する。隣接する仮雨仕舞シート7は、ほぼそのままの状態で下階Lの建物ユニット2の上に残しておくと共に、その側面上部カバー部7aを上記とは反対側へ二つ折りにして、設置した上階Hの建物ユニット2の側へ倒し、その上階Hの建物ユニット2に添わせる(
図23D(a))。添わせた側面上部カバー部7aは、必要に応じて、バンドなどの結束部材を用いて足場などに固定する。これにより、上階Hの建物ユニット2と、隣接する仮雨仕舞シート7の側面上部カバー部7aとの隙間をなくして、雨水の浸入を防止する。
【0238】
以後、下階Lの建物ユニット2の上に上階Hの建物ユニット2を全て据付けるまで上記を繰り返す。これにより、全ての仮雨仕舞シート7が効率良く取り外され、雨水の浸入を防止しつつ下階Lの建物ユニット2の上に上階Hの建物ユニット2が据付けられる。
【0239】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果が得られる。
【0240】
以下、基礎カバー8の効果について説明する。
【0241】
(効果 A1)基礎カバー8では、カバー部材11は、建物ユニット2とほぼ同じ大きさおよび形状の部分を有するカバー片12に分けた状態で設けても良い。このカバー片12を、基礎3の上に建物ユニット2の配置や向きに合わせて、複数並べて設置する。そして、基礎3に対し、クレーンを用いて建物ユニット2を据付ける際に、基礎3の建物ユニット2を据付ける部分に設置されたカバー片12のみをめくってその部分の基礎3を露出させる。
【0242】
この作業は、建物ユニット2を、基礎3の据付ける部分の上方に浮かせて、その箇所を雨水から保護した状態で行う。また、基礎3の他の部分(据付けを行わない部分)については、他のカバー片12は被せたままにしておく。
【0243】
そして、カバー片12をめくって基礎3が露出した部分に建物ユニット2を据付ける。めくったカバー片12は、取り除くと共に、折り畳んで回収する。以後、同様に、カバー片12を1枚ずつ順番にめくりながら建物ユニット2を据付けて行く。
【0244】
このようにすることで、降雨時であっても、他の箇所から基礎3内に雨水が入込まない状態を維持しつつ建物ユニット2を据付けることができる。
【0245】
また、建物ユニット2を据付ける箇所についても、建物ユニット2がその箇所の上空に来たときに、建物ユニット2が基礎3の上空に浮いている状態でその下方のカバー片12をめくるようにしている。これにより、カバー片12をめくった部分から基礎3内へ雨水が入り難くできる。よって、全体として、雨水の浸入を有効に防止しながらカバー片12を取り除くことができる。
【0246】
そして、カバー部材11を複数のカバー片12に分けることで、カバー片12ごとに取り扱い得るようになるため、カバー部材11を一枚物の大判部材で構成した場合と比べて格段に取り扱いを容易化できる。
【0247】
(効果 A2)基礎カバー8では、建物ユニット2間の境界部31に位置するカバー片12の側縁部は、連結部32,33を備えても良い。これにより、基礎3の上に建物ユニット2の配置に合わせてカバー片12を隙間なく並べた状態に配置して、隣接するカバー片12どうしを連結部32,33で簡単に連結して一体化することができる。反対に、連結部32,33を外すことでカバー片12を(一体の状態から)簡単に分離することができる。カバー片12どうしを連結部32,33でつなげることで、カバー片12は、間からの雨水の浸入をより有効に抑制、防止できるものになる。
【0248】
この際、例えば、連結部32,33をファスナー部とし、ファスナー部のスライダー32bにリード紐を結んでスライダー32bとは反対側へ導いておく。これにより、カバー片12の片側でファスナー部をかませ、反対側からリード用の紐32cを引っ張ることで、基礎3内に立ち入らなくても、ファスナー部の接合(カバー片12の連結)を容易に行うことができる。また、連結した後には、カバー片12のスライダー32bとは反対側(片側)にリード紐を導いておくことにより、片側からリード用の紐32cを引っ張ることで、基礎3内に立ち入らなくても、ファスナー部を容易に外す(カバー片12を分離する)ことができる。
【0249】
また、例えば、連結部32,33を面ファスナーとすることにより、カバー片12の側縁部どうしを重ね合わせて押し付けるだけで、基礎3内に立ち入らなくても、面ファスナーの接合を簡単に行うことができ、反対に、面ファスナーを外すことも容易である。
【0250】
(効果 A3)基礎カバー8では、カバー部材11は、側縁部に磁石41を備えても良い。そして、基礎3に対する建物ユニット2の据付け後に、カバー部材11の側縁部に備えられた磁石41で、カバー部材11の側縁部を、据付けた直後の建物ユニット2の下部に吸着固定させるようにする。磁石41は、基礎3の上に残されたカバー部材11のうちの据付けた建物ユニット2に隣接するカバー片12の、建物ユニット2と近接する側縁部のものを使用する。これにより、建物ユニット2の据付け直後に素早く、据付けた建物ユニット2とカバー部材11との間の隙間を塞いで、隙間からの雨水の入込みを防止することができる。
【0251】
(効果 A4)基礎カバー8では、カバー部材11は、基礎3に対し、棒状部材51によって一端側が他端側より高い傾斜状態で支持されても良い。これにより、傾斜したカバー部材11の上から雨水を基礎3の外部へと自然排水させることができる。よって、カバー部材11の上に雨水が溜まるのを防止できる。
【0252】
カバー部材11は、例えば、基礎3の一側の辺(例えば、長辺3a)の上方に設置された棒状部材51(横水平材83)の上側に被せるように設置するだけで傾斜状態に支持することができる。
【0253】
そして、カバー部材11に棒通し部52を設けることにより、棒通し部52に棒状部材51(縦斜材84や上押さえ棒85)を通すだけで、カバー部材11が棒状部材51と一体化される。そして、棒状部材51によってカバー部材11は、真っ直ぐに張った状態に形状保持される。そのため、棒状部材51によってカバー部材11を傾斜状態に安定して保持させることができる。
【0254】
そして、カバー部材11の棒通し部52に棒状部材51(縦斜材84)を通して一体化することで、カバー部材11に作用される、風圧力を棒状部材51に伝達し、更に、棒状部材51から、固定金具91、アンカーボルトを介して基礎3に伝達することができる。
【0255】
(効果 A5)基礎カバー8では、カバー部材11は、基礎3からの一端側の高さh2が床下機器61の搬入高さh3よりも高くなるように設置しても良い。これにより、基礎3の上にカバー部材11を設置した後であっても、建物ユニット2の据付け前に、いつでも基礎3内へ床下機器61を搬入することが可能になる。
【0256】
また、高く持ち上げられたカバー部材11の一端側の下側の空間を利用することで、カバー部材11があっても、基礎3の内側に対して断熱材9(基礎用断熱材)を施工したり、プレ配管を行ったりすることなども可能になる。
【0257】
(効果A6)上記において、基礎3の上に建物ユニット2を順番に設置して行く際に、カバー部材11は、設置する建物ユニット2を基礎3の上方に浮かせた状態で、浮いた建物ユニット2の下に位置するカバー片12を取り除くようにする。このように、浮いた建物ユニット2の下からカバー部材11を取り除くことで、基礎3の下側の部分が雨水で濡れるのを防止できる。
【0258】
(効果A7)カバー片12を取り除いた部分に建物ユニット2を据付けた後に、取り外したカバー片12に隣接していた別のカバー片12の側縁部に設けた磁石41で、側縁部を据付けた建物ユニット2に磁気吸着させる。これにより、建物ユニット2と別のカバー片12の側縁部との間を素早く塞いで雨水の浸入を防止することができる。
【0259】
(効果A8)カバー片12の側縁部に、互いに重なる重複部18,19を設け、基礎3に対して、カバー片12を、側縁部を上に重ねながら(重複部19の上に重複部18を重ねながら)、建物ユニット2の据付け順の遅い側から早い側へ向けて順に設置すると共に、カバー片12を、建物ユニット2の据付け順の早い側から遅い側へ向けて順に取り外す。これにより、基礎3に対して、カバー片12を、効率的に設置すると共に、効率的に取り外すことができる。
【0260】
(効果A9)基礎3の上に建物ユニット2を据付ける際に、建物ユニット2の上面を仮雨仕舞シート7で覆っておき、建物ユニット2の隣に別の建物ユニット2を据付けたときに、互いに隣接する建物ユニット2の上面の仮雨仕舞シート7どうしを連結する。これにより、建物ユニット2の上面を仮雨仕舞シート7で仮雨仕舞することが可能になる。そして、仮雨仕舞シート7どうしを連結することで、仮雨仕舞シート7を一体化して、仮雨仕舞シート7間からの雨水の浸入を防止することができる。
【0261】
(効果A10)建物ユニット2の上面を覆う仮雨仕舞シート7は、建物ユニット2の上に、上階Hの建物ユニット2を設置する際に、上階Hの建物ユニット2を建物ユニット2の上方に浮かせた状態で、浮いた上階Hの建物ユニット2の下に位置する仮雨仕舞シート7を取り除く。このように、浮いた上階Hの建物ユニット2の下から仮雨仕舞シート7を取り除くことで、下側の建物ユニット2の上面などが雨水で濡れるのを防止できる。
【0262】
(効果A11)仮雨仕舞シート7に、建物ユニット2の側面の上部を覆う側面上部カバー部7aを形成する。そして、隣接する仮雨仕舞シート7は、側面上部カバー部7aを上へ曲げた状態にして、側面上部カバー部7aどうしを連結すると共に、連結した側面上部カバー部7aを、連結した状態で二つ折りに曲げる。このように、上へ曲げて連結した側面上部カバー部7aを二つ折りにすることで、側面上部カバー部7aの端部が内側に隠れるため、特別なシール部材やシール構造を用いずに仮雨仕舞シート7間からの雨水の浸入を防止することができる。
【0263】
(効果A12)基礎カバー8の除去方法としては、基礎カバー8の周縁部の紐状部材21、ペグ24、固定金具91、および、横水平材83の最初に建物ユニット2を据え付ける部分を取り外すことで、基礎カバー8の周縁部が解放されて、基礎カバー8を基礎3から取り外す準備が整えられる。この準備作業を、基礎3に対して最初の建物ユニット2を据付ける直前に行うことで、準備作業と実際に基礎カバー8を取り外す作業とが一連の作業となって作業に無駄がなくなり、また、準備作業から取外し作業を開始するまでの時間が短くなって、段取りを良くすることができる。そして、作業の段取りが良くなることで、基礎カバー8と建物ユニット2との間から基礎3内へ入り込む雨水の量を少なくすることができる。また、作業の段取りが良くなることで、雨天時のような悪い作業環境下であっても、作業を順調に進捗できるため、ミスの発生を少なくすることができる。
【0264】
以下、基礎カバー8の設置構造の効果について説明する。
【0265】
(効果 B1)基礎カバー8の設置構造では、基礎カバー8は、取付金具72や棒状部材51を介して基礎3から突設されたボルト部材71に保持させるようにしても良い。これにより、基礎3に設けられたボルト部材71を利用して、基礎カバー8を基礎3に対して強固に保持することができる。そのため、基礎カバー8が風で飛散するのを確実に防止でき、基礎3に設置する基礎カバー8の耐風性能を向上できる。また、基礎3に設けられたボルト部材71を有効活用することで、基礎カバー8の設置構造を簡素化でき、例えば、基礎3とは別の設置構造を設けるなどの大掛かりな構造にしなくて済む。
【0266】
(効果 B2)基礎カバー8の設置構造では、取付金具72は、基礎3の水上側の辺に設置される水上金具81と、基礎3の水下側の辺に設置される水下金具82と、を備えても良い。水上金具81は、水下金具82より高くしても良い。棒状部材51は、水上側の辺に沿い配設されて、水上金具81によってほぼ水平に支持される横水平材83と、横水平材83と垂直に配設されて、水上金具81および水下金具82によって水下側へ向け下り勾配に支持される縦斜材84と、を備えても良い。
【0267】
これにより、水上金具81によって、横水平材83を水上側の辺に沿った高い位置に設置することができる。また、水上金具81および水下金具82によって、縦斜材84を横水平材83と垂直に、下り勾配で設置することができる。
【0268】
そして、基礎3の上に、基礎3を覆うように基礎カバー8を設置する。これにより、基礎カバー8は、水上金具81、横水平材83および縦斜材84の水上側の端部によって水上側が高くなり、水下金具82および縦斜材84の水下側の端部によって水下側が低くなる。そして、縦斜材84によって基礎カバー8を、水上側から水下側へ向けて下り勾配に形状保持された状態に張設することができる。
【0269】
また、基礎カバー8の設置構造は、縦斜材84間の位置に縦斜材84と平行に配設されて、基礎カバー8に上から載置される上押さえ棒85を備えても良い。
【0270】
そして、上押さえ棒85を基礎カバー8の上から縦斜材84間の位置に載置する。これにより、基礎カバー8の上押さえ棒85を載せた部分を重みで凹ませて、基礎カバー8の張りをより強くすると共に、基礎カバー8の上に排水溝89を形成することができる。基礎カバー8は、上押さえ棒85や縦斜材84などによって、水下側の端縁部が、縦斜材84の位置が高く、上押さえ棒85の位置が低い山谷形状になるため、排水溝89が明確に形成される。
【0271】
(効果 B3)基礎カバー8の設置構造では、棒状部材51は、長さ調節が可能なものとしても良い。これにより、棒状部材51が取り扱い易くなり、敷地の状況にかかわらず、棒状部材51を容易に取り回すことが可能になる。
【0272】
(ネジ式ジョイント51bの効果)
【0273】
具体的には、棒状部材51は、少なくとも一つが、複数のパイプ片51aを、ネジ式ジョイント51bを介して連結分離可能なものとしても良い。これにより、横水平材83、縦斜材84、並びに、上押さえ棒85などの棒状部材51は、パイプ片51aの長さ単位での長さ調節が可能となる。そして、パイプ片51aをネジ式ジョイント51bで連結分離させる構造にすることで、棒状部材51は、高い耐風性能を確保できる。
【0274】
そして、横水平材83、縦斜材84、並びに、上押さえ棒85のうちの、ネジ式ジョイント51bで連結分離可能とした棒状部材51については、複数のパイプ片51aで構成される。そのため、パイプ片51aを分離することで、棒状部材51は、搬送時、設置時、撤去時などの取り扱いを容易化でき、敷地の状況に拘わらず、容易に取り回しが可能となる。
【0275】
即ち、横水平材83、縦斜材84、並びに、上押さえ棒85は、パイプ片51aをネジ式ジョイント51bで連結する構造により、長さを調整できる。そのため、棒状部材51は、様々な大きさの基礎3に対応できる。
【0276】
横水平材83、縦斜材84、並びに、上押さえ棒85は、基礎3に建物ユニット2を据付ける際に、建物ユニット2ごとに、パイプ片51aをネジ式ジョイント51bの部分で取外しながら短くしたり、撤去したりできるので作業性が良く便利である。
【0277】
(効果 B4)基礎カバー8の設置構造では、棒状部材51は、基礎カバー8に備えられた棒通し部52に通して設置されても良い。これにより、棒通し部52に棒状部材51を通すことで、基礎カバー8は張った状態になって形状保持される。
【0278】
そして、棒通し部52に棒状部材51を通すことで基礎カバー8と棒状部材51とが一体化される。そのため、基礎カバー8が受けた風圧力を、棒通し部52を介して棒状部材51へ確実に伝達できるようになる。
【0279】
更に、棒状部材51を取付金具72およびボルト部材71を介して基礎3に固定することで、基礎カバー8が基礎3に間接的に取付けられるようになる。そのため、棒状部材51へ伝えられた力は取付金具72、ボルト部材71を介して基礎3へと伝達される。
【0280】
(効果 B5)基礎カバー8の設置構造では、棒通し部52は、基礎カバー8の下面側に設けられる下面側通し部52aと、基礎カバー8の上面側に設けられる上面側通し部52bと、を備えても良い。縦斜材84は、下面側通し部52aを通して基礎カバー8の下面側に設置されると共に、上押さえ棒85は、上面側通し部52bを通して基礎カバー8の上面側に設置されても良い。
【0281】
このように、縦斜材84を下面側通し部52aへ通し、上押さえ棒85を上面側通し部52bへ通すことで、基礎カバー8に対して各棒状部材51を正しい位置に容易かつ確実にセットすることができる。そして、棒状部材51を決められた棒通し部52へ通すだけで、棒状部材51および基礎カバー8を短時間のうちに少ない手間で基礎3の上に確実に組み立てることができる。
【0282】
そして、縦斜材84が基礎カバー8を下側から支え、上押さえ棒85が基礎カバー8を上側から押さえるようにできる。
【0283】
<変形例>
【0284】
以下、基礎カバー8の変形例について説明する。
図24A~
図24Eは、基礎カバー8の変形例を示すものである。
【0285】
図24Aに示すこの変形例の基礎カバー8は、基礎3に対して全て同じ大きさおよび形状の建物ユニット2を複数個据付ける場合に使用するものとなっている。なお、
図24A(a)は、建物ユニット2を4個設置する場合、
図24A(b)は、建物ユニット2を3個設置する場合となっている。
【0286】
この変形例では、基礎カバー8は、カバー片12を、幅方向に対称な形状にしている。そして、このような対称構造を有するカバー片12は、狭幅Nのカバー片12(
図24B)と、広幅Wのカバー片12(
図24C)と、の2種類が用意される。
【0287】
また、側面被覆部17は、全部または一部(下部)をカバー片12とは別体に構成して、カバー片12に着脱可能としている。
【0288】
このうち、
図24Bに示す狭幅Nのカバー片12は、最初に1枚だけ使用される。また、
図24Cに示す広幅Wのカバー片12は、2番目以降(最後まで)の全てに使用される。
【0289】
図24Bの狭幅Nのカバー片12は、一番下に設置されるため、他のものよりも幅寸法が狭くなっている。
図24Cの広幅Wのカバー片12は、上に重ねて設置するため、上に重ねる分だけ
図24Bの狭幅Nのカバー片12よりも幅寸法が広くなっている。なお、どちらのカバー片12も重複部18,19は、同じ幅に形成されており、幅中央の非重複部分の幅によって幅寸法が調整されている。
【0290】
また、
図24E(a)(b)の側面被覆部17は、基礎3の短辺3c,3dのどちらかを覆うものであり、左右反対勝手の形状、構造になっている。そのため、基礎3の長辺3a,3bのどちらが水上側になっても、この二枚の使い分けで対応できる。
【0291】
そして、カバー片12を幅方向に対称構造にするために、カバー片12は、以下のような構成を備えている。
【0292】
即ち、カバー片12は、幅中央の位置に、上面側通し部52bを備えている。そして、カバー片12は、両側縁部に形成される重複部18および重複部19を、同じ形状(幅や長さ)にして、同じ構成(連結部32,33、下面側通し部52a、磁石41など)を、反対勝手に備えるようにしている。
【0293】
また、カバー片12は、重複部18および重複部19の幅中央の位置に、下面側通し部52aをそれぞれ1つずつ備えるようにしている。更に、重複部18および重複部19の周縁部などの各部に対し、取付穴22や、取付穴22を備えた取付用補助部23を対称的に配置している。
【0294】
以上により、カバー片12は、幅方向に対称な構造となる。
【0295】
この際、重複部18および重複部19は、その側縁部に、連結部32として、側縁部に沿って全域に延びる雄ファスナーをそれぞれ備えている。また、重複部18および重複部19は、縁部よりも内側の(非重複部分との境界となる)位置に、別の連結部32として、全域に延びる雌ファスナーを、それぞれ(雄ファスナーと平行に)備えている。即ち、重複部18および重複部19は、それぞれ連結部32を2種類ずつ備えている。
【0296】
等しい間隔で互いに平行に設置された第一の連結部32と第二の連結部32との幅方向の中間部に、下面側通し部52aがこれらと平行に1つずつ備えられる。下面側通し部52aは、カバー片12の両端縁部に達しないように、ほぼ内面被覆部14の範囲までの長さとされている。
【0297】
そして、下面側通し部52aの両端部の延長線上の同じ位置には、連結部33としての面ファスナーの一方のリボンテープ33aと他方のリボンテープ33bとが、表面側と裏面側とに分けてそれぞれ取付けられている。一方のリボンテープ33aと他方のリボンテープ33bとは、側面被覆部16となる部分に、カバー片12の両端縁部に達するように形成されている。連結部33(面ファスナー)の側部には、リボンテープ33a,33bに沿った切込部が形成されている。
【0298】
また、カバー片12の重複部18および重複部19における、雄ファスナーの近傍となる縁部には、内面被覆部14の両端となる位置に、板状の磁石41が、それぞれ2個ずつ取付けられている。
【0299】
以上により、重複部18および重複部19は、細部まで幅方向に対称な構造となる。
【0300】
また、
図24Eの側面被覆部17は、台形状をしており、その長手方向の両端部分には、側面被覆部16の幅寸法と同じ等辺を有する直角二等辺三角形状をした折込部17aを一体に有している。
【0301】
折込部17aは、等辺が互いに重なり合うように底辺の中央部で垂直二等分線に沿って二つ折りにされる。等辺の表面には、連結部33を構成する第一のリボンテープ33aと、第二のリボンテープ33bとがそれぞれ、等辺に沿って取付けられている。これにより、折込部17aは、二つ折りにして第一のリボンテープ33aと、第二のリボンテープ33bとを連結することで、基礎3のコーナー部に合った立体形状になる。
【0302】
そして、側面被覆部17は、両端の折込部17aまでの長さが、カバー片12の側縁部と同じ長さになっており、上縁部には、全長に亘って延びるように、連結部32の雌側となるリボンテープ32aを備えている。
【0303】
なお、その他の構成については、上記した
図7のものとほぼ同様である。
【0304】
そして、各カバー片12と側面被覆部17とは、
図24A(b)に示すように、基礎3の上に上記実施例と同様に設置される。
【0305】
カバー片12は、側面被覆部16の幅の広い方が水上側となるように設置される。また、側面被覆部17は、大きい方の折込部17aが水上側となるように設置される。
【0306】
この際、最初に基礎3の上に設置されるカバー片12は、
図24Bの狭幅Nのカバー片12とされる。この狭幅Nのカバー片12における基礎3の短辺3d側となる側縁部(のオスファスナー)に、
図24Eの一方の側面被覆部17の上縁部(のメスファスナー)が連結される。
【0307】
以降は、
図24Cの広幅Wのカバー片12が基礎3の上に単数または複数設置方向13へ並べて設置される。
【0308】
即ち、
図24Bの狭幅Nのカバー片12における基礎3の短辺3c側となる側縁部(重複部19)に、
図24Cの広幅Wのカバー片12における基礎3の短辺3d側となる側縁部(重複部18)が重ねられる。そして、狭幅Nのカバー片12の重複部19のメスファスナーに、広幅Wのカバー片12の重複部18のオスファスナーが連結される。
【0309】
その後、
図24Cの広幅Wのカバー片12における基礎3の短辺3c側となる側縁部(重複部19)に、
図24Cの広幅Wのカバー片12における基礎3の短辺3d側となる側縁部(重複部18)が重ねられる。そして、狭幅Nのカバー片12の重複部19のメスファスナーに、広幅Wのカバー片12の重複部18のオスファスナーが連結される。更に、この作業が、基礎3全体を覆うのに必要な数だけ繰り返される。
【0310】
そして、最後となる
図24Cの広幅Wのカバー片12が設置されたら、最後の広幅Wのカバー片12における基礎3の短辺3c側となる側縁部(のオスファスナー)に、
図24Eの他方の側面被覆部17の上縁部(のメスファスナー)が連結される。その他の設置の仕方については、上記実施例と同様である。
【0311】
以上により、基礎3の上に基礎カバー8が支障なく、設置される。
【0312】
この変形例の基礎カバー8によれば、カバー片12および側面被覆部17を対称構造にすることで、基礎3の長辺3a,3bのどちらを水上側にしても、上記した4種類の部材だけで対応できるようになり、カバー片12の汎用性が高くなる。その他については、上記実施例と同様の構成を備えることができ、同様の作用、効果を得ることができる。
ここで、凹部101は、カバー部材11における基礎3の内側となる部分を上から押して、下へ凹ませることで基礎3の上部よりも低くなるように形成された窪みである。凹部101は、カバー部材11を複数のカバー片12に分割した場合には、各カバー片12にそれぞれ形成される。
そして、一端が、基礎3の水上側の辺(長辺3a)の上側に位置され、他端が、基礎3の水下側の辺(長辺3b)の手前側で、基礎3の内側の底面の上側に位置するように上押さえ棒85を設置する。この場合、上押さえ棒85は、直線状としても良いが、凹部101の理想的な形状に合わせた曲線形状などにしても良い。
これにより、カバー部材11は、他端縁部や側面被覆部16が基礎3の水下側の辺(長辺3b)の上に被せられた状態で、基礎3の内側の部分が一端側から他端側へ向けて(基礎3の上部よりも低くなるように)下り勾配に凹まされる。そして、凹部101は、上記実施例の排水溝89と同様の排水機能を持つ。
基礎貫通スリーブ102は、基礎3の他端側に埋設された、基礎3の内外間を連通する管部材である。この実施例では、基礎貫通スリーブ102は、基礎3の水下側の辺(長辺3b)における、上下方向4の中間部またはそれよりも低い位置に、ほぼ水平または屋外側へ向けて若干下り勾配となるように埋設される。この実施例では、基礎貫通スリーブ102は、基礎3の外周立上部の最下部の位置に埋設されている。
なお、基礎貫通スリーブ102は、雨仕舞後には、例えば、給水管、排水管などの配管類や、電線、信号ケーブルなどの配線類を通すのに利用しても良い。このように、基礎3に埋設した基礎貫通スリーブ102を通して、配線、配管を行うことにより、基礎3を破壊せずに、基礎3に貫通配置された配線や配管のメンテナンスを行うことが可能になる。なお、基礎貫通スリーブ102は、配線、配管を行わない場合には、塞いでおく。
凹部101の最下部の排水ノズル103が基礎貫通スリーブ102へ挿入されるとは、凹部101が基礎貫通スリーブ102へ向けて下り勾配となることである。また、凹部101の下り勾配の終点(最下部)の位置が、基礎貫通スリーブ102と合致するような形状に、凹むことである。そして、凹部101の最下部に設けられた排水ノズル103が基礎貫通スリーブ102へ入ることである。
排水ノズル103は、カバー部材11の表裏間を貫通する貫通穴に取付けられた排水口形成部材である。排水ノズル103は、カバー部材11に予め取付けておくか、現場で取付けられるようにしておく。排水ノズル103は、少なくとも基礎貫通スリーブ102内へ差込まれていれば良いが、基礎貫通スリーブ102よりも屋外側へ出るような長さにするのが好ましい。排水ノズル103は、入口部に、目詰まり防止用のストレーナーを備えても良い。
なお、カバー部材11の水上側については、上記実施例と同様に、水上金具81に横水平材83および縦斜材84を取付けるようにして、水上側の部分を基礎3の上面より高く持ち上げるようにしても良い。
また、カバー部材11の水上側は、基礎貫通スリーブ102よりも高ければ良いので、例えば、横水平材83などを設けずに、基礎3の上部とほぼ同程度の高さなどとしても良い。この場合には、縦斜材84に変えて、縦材104などを設けても良い。縦材104は、基礎3の上部とほぼ同じか若干高い高さで水上側から水下側へほぼ水平または緩い下り勾配で延びる棒状部材51とされる。
この縦材104は、水下金具82と同様の低い取付金具72などを用いて、基礎3の水上側および水下側の長辺3a,3bに設けられたボルト部材71に取付けるようにしても良い。このようにすることで、水上金具81と、横水平材83とが不要になり、また、カバー片12がほぼ水平に近い配置となって、両端縁部の側面被覆部16を、ほぼ同じ幅寸法にすることができる。
この実施例では、カバー部材11に対し、基礎3内に、一端側から他端側へ向けて下り勾配となる凹部101を形成する。そして、凹部101の最下部に排水ノズル103を取り付けて、基礎3に設けられた基礎貫通スリーブ102へ挿入する。これにより、建物1の基礎3に対する仮雨仕舞いが行われる。
基礎カバー8では、カバー部材11は、基礎3の内側に、一端側から他端側へ向けて下り勾配となる凹部101を有しても良い。凹部101は、最下部に、基礎3に設けられた基礎貫通スリーブ102へ挿入される排水ノズル103を有しても良い。
これにより、カバー部材11の上に降った雨水を凹部101に集めて、凹部101の最下部の排水ノズル103から基礎貫通スリーブ102を通して基礎3の外部へ自然排水させることができる。よって、カバー部材11の上に雨水が溜まるのを防止できる。